不動産譲渡所得

短期譲渡所得と長期譲渡所得の違い
5年は売った年の1月1日で数えます

この記事の答え

  • 土地や建物を売った年の1月1日に、5年を超えて持っていれば長期、5年以下なら短期です。
  • 取得した年に6を足した年以後に売る人は長期です。相続した人は原則、前の持ち主の年で数えます。
  • 利益1,000万円なら、税金は短期で約396万円、長期で約203万円です(特例なしの目安)。
小松優馬

小松 優馬

公認会計士(登録番号43196)・税理士(登録番号151214)

監査法人での上場企業監査・上場準備CFO経験を経て独立。港区浜松町で個人・法人の税務をサポート。YouTubeチャンネル「公認会計士・税理士 小松ゆうま」運営。

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5年は、いつの時点で数えますか

夕方の光を受ける戸建て住宅の軒先
5年は、売った年の1月1日の時点で数えます

5年は、土地や建物を売った年の1月1日の時点で数えます。売った日の時点ではありません。

個人が土地や建物を売ると、利益に税金がかかります。売った年の1月1日に持っていた期間(所有期間)が5年を超えると「長期譲渡所得」です。5年以下なら「短期譲渡所得」です。この2つで税率が違います。

会社員のAさんは、令和3年4月1日にマンションを買いました。

計算例

令和8年6月に売る → 令和8年1月1日の時点で4年9か月 → 短期 令和9年1月に売る → 令和9年1月1日の時点で5年9か月 → 長期

Aさんが令和8年6月に売ると、実際には約5年2か月持っていても短期です。

覚え方があります。取得した年に6を足した年以後に売れば、長期です。

図1 長期か短期か、30秒チェック
質問1 相続や贈与でもらった不動産ですか?
はい前の持ち主が取得した年を使います
いいえ自分が取得した年を使います
質問2 売る年は、取得した年に6を足した年以後ですか?令和8年に売る人は令和2年以前、令和9年に売る人は令和3年以前の取得が「はい」です。平成30年に取得した人は、令和6年以後が「はい」です。
はい長期です(税率20.315%)
いいえ短期です(税率39.63%)

税率は特例を使わない場合です。土地と建物で取得した年が違う人は、別々に判定します。相続の例外や、交換・収用の特例で取得した場合、親などから安く買った場合は、図3を確かめてください。

売った年は、原則として買主に引き渡した年です。売買契約の効力が生じた年(一般的には契約を結んだ年)を選ぶこともできます。選び方は、引渡日と契約日の記事で説明しています。

長期と短期で、税金はいくら違いますか

午後の光が差し込む空き室の和室
短期の税率は、長期の約2倍です

特例を使わない場合の税率は、長期が20.315%、短期が39.63%です。短期は長期の約2倍です。この税金は、給与などの所得とは分けて計算します。

区分合計所得税住民税復興特別所得税など
長期20.315%15%5%0.315%
短期39.63%30%9%0.63%

税率を掛けるのは、売った代金ではなく利益です。利益は、売った代金から、買ったときの代金などと、仲介手数料などの売るための費用を引いて計算します。

図2 利益1,000万円の人の税金
所得税など住民税
短期
3,963,000円
長期
2,031,500円

利益1,000万円に税率を掛けた目安です。特別控除や軽減税率の特例は考えていません。

利益が1,000万円の人は、短期だと長期より税金が1,931,500円多くなります。

補足

令和9年分からは、所得税額に掛ける率の内訳が変わります。復興特別所得税が2.1%から1.1%に下がり、防衛特別所得税1%が加わります。合計は2.1%のままなので、20.315%と39.63%は変わりません。

税金が下がる特例もあります。自宅を売る人は、要件を満たせば、長期でも短期でも最高3,000万円の特別控除を使えます。10年を超えて持っていた自宅には、軽減税率の特例もあります。売った年の1月1日に、家と土地の両方が10年を超えていることなどが要件です。

数え始めの日は、どの日ですか

和室で年配の人が若い人に鍵を手渡す場面
数え始めの日は、不動産の手に入れ方で決まります

数え始めは、不動産を取得した日の翌日です。取得した日は、手に入れ方で決まります。

  • 買った不動産:原則は引渡しを受けた日です。売買契約の効力が生じた日(一般的には契約日)も選べます。完成前に契約した新築は、完成の日以後になります。
  • 工務店などに建ててもらった家:引渡しを受けた日です。
  • 自分で建てた家:完成した日です。

相続や贈与でもらった不動産は、原則として前の持ち主が取得した日を引き継ぎます。相続した日や、もらった日からは数えません。

会社員のBさんは、父が平成10年に買った家を令和7年に相続しました。Bさんが令和8年に売っても、長期です。

反対に、買換えの特例で買った家は、前の家の日を引き継ぎません。前の家から引き継ぐのは、買った代金の計算です。

図3 もとの取得の日を引き継ぐ? 引き継がない?

もとの取得の日を引き継ぐ

  • 相続や遺言でもらった不動産(前の持ち主が取得した日)
  • 贈与でもらった不動産(前の持ち主が取得した日)
  • 固定資産の交換の特例で取得した不動産(手放した不動産を取得した日)
  • 収用の代替資産の特例で取得した不動産(収用された不動産を取得した日)

実際に取得した日から数える

  • 買った不動産、建てた家
  • マイホームの買換えの特例で買った家
  • 事業用資産の買換えの特例で買った不動産
  • 離婚の財産分与で受け取った不動産

相続でも、借金を相続財産の範囲で引き継ぐ手続き(限定承認)をした場合は、別の扱いになります。親などの個人から時価の2分の1未満で買い、売主に損が出た不動産は、売主が取得した日を引き継ぎます。

土地と建物は、別々に判定します。Cさんは平成25年に土地を買い、令和5年に家を建てました。Cさんが令和8年に両方を売ると、土地は長期、建物は短期です。

どんな失敗がありますか

日付を1つ取り違えると、税率が変わります。5年の判定なら、税率の差は約2倍です。

失敗の例

  • 持って5年を超えてから売り、長期で計算した例。売った年の1月1日に5年以下なら短期で、税額が足りなくなります。
  • 相続した日から数えた例。前の持ち主の期間で長期になる人が、短期と思って売却を先に延ばしてしまいます。
  • 建て替え前の家の期間を足そうとした例。特例の所有期間の判定で、国税不服審判所は、売った家そのものの期間で判断するとしました。
  • 住民票の日付で取得の時期を示そうとした例。自宅の軽減税率の10年の判定で、住民票の記載だけでは証明にならないとされました。引渡しの時期で判定され、特例は使えませんでした。

どこまで自分で判断できますか

和室で担当者の説明を聞く二人
判断に迷うときは、専門家と一緒に確かめます

売買契約書で取得した年を確かめ、6を足すところまでは、ご自身でできます。次の場合は、個別の判断が必要です。

  • 土地と建物、持分ごとに取得の時期が違う
  • 相続や贈与が重なり、前の持ち主の資料を探す必要がある
  • 過去に買換えや交換の特例を使っている
  • 年末に契約し、年明けに引き渡す予定である

税理士が入ると変わること

小松公認会計士・税理士事務所では、取得の日を資料で確かめます。売買契約書、登記事項証明書、相続の資料を突き合わせます。税額は土地と建物に分けて計算し、特例を使えるかも確かめます。

5年の境目が近い方には、引渡しを年内にするか年明けにするかの試算を、契約の前にお出しします。

この論点で小松公認会計士・税理士事務所ができること

制度は複雑ですが、お客様がすべてを理解する必要はありません。難しいことは、専門家にお任せください。

小松公認会計士・税理士事務所 代表 小松優馬 登録者6,900人超

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あわせて読みたい

よくある質問(FAQ)

Q1. 引渡しの日に5年を超えていれば、長期になりますか?

いいえ。判定するのは、売った年の1月1日の時点です。実際には5年を超えて持っていても、その1月1日に5年以下なら短期になります。

Q2. リフォームをした家は、リフォームの日から数えますか?

いいえ。改良や改造をしても、数え始めは、その家を取得した日のままです。建て替えた場合、建物は新しい家を取得した日から数えます。

Q3. ゴルフ会員権なども、1月1日で数えますか?

いいえ。1月1日で数えるのは、土地と建物です。土地建物や株式等以外の資産は、取得した時から売った時までの期間で、長期と短期を判定します。

Q4. 相続時精算課税でもらった不動産は、いつから数えますか?

贈与した人が取得した日から数えます。計算のしかたは、相続時精算課税と売却の記事で説明しています。

免責事項

本記事は令和8年11月時点の法令・国税庁の公表資料に基づく一般的な解説で、個人が土地や建物を売る場合を対象としています。法人が売る場合、不動産業として売る場合、非居住者の場合、国や地方公共団体に土地を売るなどで税率が下がる場合は扱っていません。記載した計算例は、特別控除や軽減税率の特例、所得控除を考えないなど、一定の前提を置いた目安です。取得の日の判定は、契約の内容と事実関係によって結論が異なります。具体的な事案については税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。

参考資料・出典

引渡しの日を決める前に、短期と長期のどちらになるか確かめませんか

土地や建物を売った利益の税率は、売った年の1月1日に5年を超えて持っていたかで変わります。特例を使わない場合、長期は20.315%、短期は39.63%です。売買契約書、登記事項証明書、相続の資料から取得の日を確かめ、長期と短期の税額を比べてご説明します。5年の境目が近い方は、引渡しの時期を決める前に、まずは無料相談をご利用ください。

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小松 優馬

公認会計士・税理士/元監査法人

大手監査法人にて上場企業の監査業務に従事。税務の専門性を高めるため独立。判例ベースの適正申告・節税にこだわり、お客様の人生設計を支える税務パートナーとして活動中。YouTubeチャンネル「税理士 小松ゆうま」では税務情報を発信中(登録者7,000人超)。

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