この記事のポイント
- 800万円以下の宅地・建物は、仲介手数料の上限が33万円(30万円の1.1倍)になります
- 特例には媒介契約の前の説明と合意が必要です。払った仲介手数料は譲渡費用です
- 要件を満たせば100万円控除や空き家の特例が候補です。同じ売却での併用はできません
- 赤字ならこの売却に所得税はかかりません。特例を使うなら確定申告が必要です
まず結論:800万円以下なら仲介手数料は最大33万円、払った分は譲渡費用です
売買代金が800万円以下の宅地や建物は、国土交通省の告示で「低廉な空家等」とされます。
この売買の仲介では、不動産会社は通常の計算を超える報酬を受けられます。
上限は30万円の1.1倍(33万円)で、媒介契約の前に説明と合意が必要です。
払った仲介手数料は、譲渡所得の計算で「譲渡費用」として差し引きます。
譲渡所得とは、売った金額から買った金額と売る費用を引いたもうけです。
要件を満たせば、100万円控除や空き家の3,000万円控除も候補になります。

仲介手数料の上限は、800万円以下なら33万円になります
通常の上限は、代金を3つに区切り、それぞれに割合をかけた合計です(告示第二)。
200万円以下の部分は5.5%、200万円超400万円以下の部分は4.4%です。
400万円超の部分は3.3%です(消費税等相当額を含む率)。
| 売買代金 | 通常の上限 | 特例の上限 |
|---|---|---|
| 100万円 | 55,000円 | 330,000円 |
| 300万円 | 154,000円 | 330,000円 |
| 500万円 | 231,000円 | 330,000円 |
| 800万円 | 330,000円 | 330,000円 |
この場合において、当該依頼者から受ける報酬の額は三十万円の一・一倍に相当する金額を超えてはならない。
(国土交通省 報酬告示 第七)
「空家等」という名前ですが、人が住んでいる家も対象です(解釈・運用の考え方)。
補足
改正前の告示では、400万円以下で現地調査等の費用を要する売買が対象でした。特例の報酬は売主側の依頼者からだけで、上限は18万円の1.1倍でした。令和6年7月1日施行の改正で今の形になりました。
特例を使うには、媒介契約の前に説明と合意が必要です
不動産会社が通常より高い報酬を受けるには、契約の前の説明と合意が必要です。
媒介契約とは、不動産会社に売却の仲介を頼む契約のことです。
宅地建物取引業者は、この規定に基づき告示第二の計算方法により算出した金額を超えて報酬を受ける場合には、媒介契約の締結に際しあらかじめ、この規定に定める上限の範囲内で、報酬額について依頼者に対して説明し、合意する必要があることに、特に留意すること。
(国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」第46条第1項関係)
報酬は、媒介に要する費用を勘案して決めます。
ポイント
媒介契約書と、報酬額の説明を受けた書面は保管してください。仲介手数料を譲渡費用に入れるときの根拠になります。

払った仲介手数料は、譲渡費用として差し引きます
特例で上がった仲介手数料も、売るために払った仲介手数料です。
譲渡費用とは、土地や建物を売るために直接かかった費用のことです。
(国税庁 タックスアンサー No.3255)
同じページは、主な譲渡費用の1番目に仲介手数料を挙げています。
修繕費や固定資産税など、維持や管理のための費用は譲渡費用になりません。
媒介とは別の契約で払う管理などの費用は、売るために直接かかったかを確かめます。
費用の線引きは測量費・取壊し費用の線引きの記事で扱っています。
安い土地は100万円控除、相続した実家は空き家の特例が候補です
どちらも要件があり、同じ売却ではどちらか一方しか使えません。
100万円控除は、令和2年7月1日から令和10年12月31日までの売却が対象です。
期限は、令和8年度の改正で3年延長されました(措置法35条の3第1項)。
主な要件は次のとおりです(No.3226)。
- 都市計画区域内の、使われていない低未利用土地等であること
- 売った年の1月1日で、所有期間が5年を超えること
- 建物の代金を含めて500万円以下(市街化区域など一定の区域は800万円以下)
- 親子や夫婦など、特別な関係の人に売らないこと
- 売った後に、その土地が利用されること
相続した土地は、親が取得した時から所有期間を数えます(No.3270)。
詳しい要件は100万円控除の記事をご覧ください。
空き家の特例は、相続した実家を令和9年12月31日までに売る場合の制度です。
家は、昭和56年5月31日以前に建てられたものであることなどが要件です。
売るのは、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までです。
控除は最高3,000万円です。令和6年1月1日以後の売却で家と敷地を取得した相続人が3人以上なら2,000万円までです。
空き家の特例を受ける売却には、100万円控除は使えません(措置法35条の3第2項3号)。
空き家の特例は相続した実家の売却の記事で扱っています。

赤字なら所得税はかからず、特例を使うなら申告が要ります
安く売っても、取得費しだいで利益が出ることがあります。
取得費とは、買った代金や手数料などで、建物は減価償却費相当額を差し引きます。
買った代金が分からないときは、売った金額の5%を取得費にできます(No.3258)。
計算例
例1:相続した空き地を300万円で売却。親が買った代金は不明。仲介手数料は33万円
取得費(5%) 3,000,000円 × 5% = 150,000円 譲渡所得 3,000,000円 -(150,000円 + 330,000円)= 2,520,000円 税額の目安 所得税378,000円 + 復興特別所得税7,938円 + 住民税126,000円 = 511,938円 100万円控除を使えた場合 2,520,000円 - 1,000,000円 = 1,520,000円 → 308,788円例2:同じ土地を、親が500万円で買っていた場合
譲渡所得 3,000,000円 -(5,000,000円 + 330,000円)= -2,330,000円所有期間5年超・ほかの譲渡費用なしとした、端数処理前の目安です。
税率は所得税15%、住民税5%、復興特別所得税は所得税の2.1%です(No.3208)。令和9年分からは復興特別所得税1.1%と防衛特別所得税1%です。
例2は赤字なので、この売却に所得税はかかりません。
ただし、土地や建物の赤字は、給与などほかの所得と差し引きできません(No.3203)。マイホームには、一定の要件で差し引ける特例があります。
国税庁は、利益がある方は原則として確定申告が必要としています。
注意
100万円控除は、確定申告書に記載し、書類を添付した場合に適用されます(措置法35条の3第4項)。空き家の特例も確定申告が必要です。控除で税金がゼロになる場合も、特例を受けるには申告が必要です。
つまずきやすいのは、この5つです
金額の判定と特例の要件を取り違えると、申告漏れにつながります。
- 報酬額の合意の記録がない ― 譲渡費用の根拠を示しにくくなります
- 固定資産税や修繕費を譲渡費用に入れた ― 維持や管理の費用は入りません
- 土地の代金だけで500万円以下と判定した ― 建物等の対価も含めます
- 100万円控除と空き家の特例を重ねた ― 同じ売却では併用できません
- 税金がゼロだからと申告しなかった ― 特例を受けるには申告が必要です
ここまではご自身で、ここから先は個別判断です
書類をそろえるのはご自身でできますが、特例の判定は個別です。
- 売買代金が800万円以下か、建物の代金を含めて確かめる
- 媒介契約の前に報酬額の説明を受け、合意した内容を書面で残す
- 仲介手数料など、売るために払った費用の領収書を保管する
- 親が買ったときの売買契約書や領収書を探す
低未利用土地等に当たるか、空き家の特例の要件、取得費の計算は、資料と事情で変わります。

税理士が入ると変わるのは、取得費の根拠と特例の選び方です
ひとつめは、親の購入資料から取得費を確かめ、5%と比べることです。
ふたつめは、譲渡費用に入れる費用と、入れない費用を分けることです。
みっつめは、100万円控除と空き家の特例の要件を確かめ、使える方を選ぶことです。
よっつめは、確認書などの添付書類をご案内し、内訳書と申告書を作ることです。
小松公認会計士・税理士事務所では、売却前のご相談から適正申告までを担当します。
この論点で小松公認会計士・税理士事務所ができること
制度は複雑ですが、お客様がすべてを理解する必要はありません。難しいことは、専門家にお任せください。
登録者6,900人超
小松公認会計士・税理士事務所 代表
小松 優馬公認会計士・税理士
- お話を伺って、「あなたの場合はどうなるか」をはっきりお答えします
- 必要な書類のご案内から申告まで、まるごとお任せいただけます
- 料金は先にお見積り。全国どこでも、オンラインで完結できます
YouTube「税理士 小松ゆうまチャンネル」(登録者6,900人超)で、税金の話を分かりやすく解説しています。動画を見てみる
初回相談は無料です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 800万円以下なら、仲介手数料は必ず33万円になりますか?
いいえ。33万円(30万円の1.1倍)は上限です。報酬は媒介に要する費用を勘案して決めます。通常の計算を超える場合は、媒介契約の締結に際しあらかじめ説明と合意が必要です。代金がちょうど800万円なら、通常の計算でも33万円です。
Q2. 特例で高くなった仲介手数料も、譲渡費用になりますか?
譲渡費用は、土地や建物を売るために直接かかった費用です(タックスアンサー No.3255)。売るための仲介手数料は、その代表例です。一方、修繕費や固定資産税など維持や管理のための費用は譲渡費用になりません。別契約の費用は中身を確かめます。
Q3. 安く売って赤字なら、確定申告は要りますか?
国税庁は、譲渡所得金額(利益)がある方は原則として確定申告が必要としています。赤字ならこの売却に所得税はかかりませんが、給与などほかの所得とは原則として差し引きできません。マイホームの売却で一定の要件を満たすと差し引ける特例があり、その場合は申告が必要です。ほかの所得で申告が必要かは、別に確かめます。
Q4. 100万円控除と空き家の3,000万円控除は、一緒に使えますか?
同じ売却では使えません(措置法35条の3第2項3号)。100万円控除は都市計画区域内・5年超・500万円以下(一定の区域は800万円以下)などが要件です。空き家の特例は昭和56年5月31日以前の建築などが要件です。どちらも確定申告が必要です。
免責事項
本記事は令和8年10月時点の法令・公表資料に基づく一般的な解説です。宅地建物取引業法46条、国土交通省告示「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」(昭和45年建設省告示第1552号、最終改正 令和6年6月21日国土交通省告示第949号)の第二・第七、国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」(令和8年4月1日施行版)、租税特別措置法35条の3・35条3項、復興財確法13条・防衛財確法5条の9、国税庁タックスアンサー No.3255・No.3226・No.3306・No.1440・No.3203・No.3208・No.3258・No.3270、国税庁「不動産等を売却した方へ」と「令和8年度税制改正のあらまし」の内容を扱っています。売買の代理と賃貸の媒介・代理の特例(告示第八〜第十)、免税事業者である宅地建物取引業者の報酬の計算、複数の業者が関わる場合の報酬、媒介以外の業務の報酬が譲渡費用になるかどうか、低未利用土地等への該当と市区町村長の確認書の手続、800万円となる区域の判定、空き家の特例の耐震基準・確認書・老人ホームに入所していた場合・1億円の判定、取得費加算の特例との選択、措置法35条の3第5項の扱い、印紙税の額、税額の端数処理、住民税の手続、ほかの所得がある場合の申告義務の判定は扱っていません。記事中の計算例は一定の前提を置いた目安であり、実際の金額は売買代金・取得費・譲渡費用・所有期間・使える特例によって変わります。具体的な判断は必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。
参考資料・出典
- 国土交通省 宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額(昭和45年建設省告示第1552号)https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001750229.pdf
- 国土交通省 宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001881261.pdf
- 国税庁 タックスアンサー No.3255 譲渡費用となるものhttps://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3255.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.3226 低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3226.htm
- e-Gov法令検索 租税特別措置法https://laws.e-gov.go.jp/law/332AC0000000026
安い空き家・土地を売る前に、仲介手数料と使える特例を確かめませんか
800万円以下の売却では、仲介手数料の特例と譲渡費用の範囲が論点になります。100万円控除と空き家の特例のどちらを使えるかで、手元に残る金額も変わります。代表税理士が、契約書や購入時の資料から取得費と譲渡費用を整理します。譲渡所得の内訳書と確定申告書まで作成します。売買契約の前の段階でご相談ください。
無料相談を申し込む 不動産売却の確定申告サポートを見る 約60秒で料金を自動見積り