確定申告

予定納税とは?
7月・11月に届く納付書の意味と減額申請の使い方

小松優馬

小松 優馬

公認会計士(登録番号43196)・税理士(登録番号151214)

監査法人での上場企業監査・上場準備CFO経験を経て独立。港区浜松町で個人・法人の税務をサポート。YouTubeチャンネル「公認会計士・税理士 小松ゆうま」運営。

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この記事のポイント

  • 予定納税は所得税の前払い制度です。新たな税金ではありません
  • 予定納税基準額15万円以上の方が対象。7月・11月に3分の1ずつ納めます
  • 譲渡所得・一時所得・雑所得などは基準額の計算から除かれます
  • 所得が減る見込みなら減額申請が可能。期限は7月15日・11月15日です

まず結論:予定納税は新しい税金ではなく「前払い」です

予定納税は、その年の所得税と復興特別所得税の一部を先に納める制度です。新たな課税ではなく、確定申告で精算される前払いです。

制度の趣旨は、一度に納める負担を軽くし、国の歳入を年間でならすことです(所得税法104条〜114条)。

対象になるのは予定納税基準額が15万円以上の方

対象は「予定納税基準額」が15万円以上になる方です(国税庁タックスアンサーNo.2040)。基準額は、その年5月15日時点で確定している前年分の所得や税額などから計算されます。

対象になる方には、6月中旬までに税務署から通知が届きます。通知が来る前提で資金を準備しておくことが大切です。

年2回届く納付書の封筒
予定納税は前年の実績をもとにした税金の前払いです

いつ・いくら納めるのか

納めるのは、予定納税基準額の3分の1ずつ。7月と11月の2回に分けてです。

区分納付期間納付額
第1期分その年の7月1日から7月31日まで予定納税基準額の3分の1
第2期分その年の11月1日から11月30日まで予定納税基準額の3分の1
第3期分翌年の確定申告期限まで確定申告で精算した残額

計算例

例:予定納税基準額45万円の場合

450,000円 ÷ 3 = 150,000円

第1期分(7月)・第2期分(11月)とも各150,000円。残り150,000円相当は翌年の確定申告で精算します。

確定申告で計算した年間の所得税額が予定納税額の合計より少なければ差額は還付され、多ければその差額を納めます。

不動産を売った翌年に予定納税が来ないのはなぜか

確定申告の相談窓口
確定申告の相談窓口

前年に不動産を売った翌年、予定納税の通知が来ない、または金額が小さいことがあります。

予定納税基準額の計算では、譲渡所得のような、その年限りの所得が除かれるからです。

国税庁タックスアンサーNo.2040は、次の所得がある場合には特例的な計算をするとしています。

  • 山林所得
  • 退職所得等の分離課税所得(分離課税の上場株式等の配当を除く)
  • 譲渡所得
  • 一時所得
  • 雑所得
  • 平均課税を受けた臨時所得

前年分に外国税額控除や災害減免法の適用を受けた場合も対象です。該当する場合は、課税総所得金額と分離課税の上場株式等の配当所得に係る所得税額から源泉徴収税額を引いた金額が基準額になります。

予定納税は「今年も同じくらいの所得があるだろう」という前提の制度です。不動産の売却や退職金はその年限りの所得のため、基準額の計算から外されています。

数字のイメージ:譲渡所得を除いた場合の計算

項目金額
譲渡所得を除いた課税総所得金額に係る所得税額200,000円
源泉徴収税額△50,000円
予定納税基準額150,000円(15万円以上のため対象)
第1期分・第2期分(各3分の1)50,000円

譲渡所得の税額がいくら大きくても基準額には入りません。ただし、譲渡所得以外の所得が大きい方は通常どおり対象になります。

今年の所得が減りそうなら減額申請ができます

今年の状況が前年と違うなら、減額を申請できます。期限は第1期分が7月15日、第2期分が11月15日です。

国税庁「所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請手続」によれば、次のような場合に減額申請ができます。

  • 災害や盗難などにより、本年の所得が前年より著しく減少する見込みの場合
  • 事業を廃止するなど、本年の所得が前年より明らかに少なくなる場合
  • 損失や災害による損害賠償金の受取りがある場合
  • 本年の所得の見積額が前年と比較して著しく異なる場合

期限は「納付期限」ではなく申請の期限です

区分減額申請の提出期間納付期限(参考)
第1期分その年の7月1日から7月15日まで7月31日
第2期分その年の11月1日から11月15日まで11月30日

注意

納付期限と申請期限は別の日付です

納付期限(7月31日・11月30日)と申請期限(7月15日・11月15日)を混同しないでください。第1期分を逃しても、11月15日までに申請すれば第2期分は減額できる可能性があります。

申請は「予定納税額の減額申請書」を所轄税務署に出して行います。e-Taxソフトでも書面でも提出でき、減額の理由を示す見積りの根拠が必要です。

減額申請と「払えないとき」は別の話です

減額申請は今年の所得が実際に減る見込みがあることが前提です。「所得は前年並みだが、手元にお金がない」場合は対象外で、納税の猶予など別の制度を検討します。

金融機関での納付
業績が下がった年は減額申請を使うことができます

予定納税とうまく付き合うために

資金繰りの見込みを整理する書類
早めに見込みを整理しておくと安心です

1. 確定申告が終わった時点で、翌年の予定納税を見込んでおく

申告書を出した段階で、翌年7月と11月にいくら必要かは分かります。見込んでおくと資金繰りが安定します。

2. 事業を縮小・廃止したら、7月15日より前に検討する

事業の状況が変わった年は、6月の通知を待たず、その時点で見込みを整理しておきましょう。

3. 納付が難しいときは、期限前に相談する

納期限までに納められないと延滞税の対象になります。資金が足りない見込みが立った段階で、放置せず所轄税務署へ相談してください。

4. 還付になる場合でも申告は必要です

予定納税を納めすぎた場合、還付を受けるには確定申告が必要です。申告しないと、納めた予定納税額は戻ってきません。

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よくある質問(FAQ)

Q1. 予定納税を納め忘れたらどうなりますか?

延滞税の対象になります。納期限は第1期分が7月31日、第2期分が11月30日です(土日祝の場合は翌開庁日)。納付が難しい場合は放置せず所轄税務署へご相談ください。

Q2. 予定納税を納めすぎた場合は戻ってきますか?

戻ります。確定申告で精算され、所得税額より予定納税額が多ければ差額が還付されます。あらかじめ減額申請をしておけば、資金を寝かせずに済みます。

Q3. 会社員ですが予定納税の通知が届きました。なぜですか?

給与以外の所得があり、前年の確定申告から計算した予定納税基準額が15万円以上になったためです(国税庁タックスアンサーNo.2040)。給与天引き分は差し引かれますが、それでも基準を超えることがあります。

Q4. 減額申請をすれば必ず認められますか?

いいえ、税務署の判断です。今年の所得や税額の見積りが前年より明らかに少なくなる理由と、その根拠資料が必要です。単に「納めるのが大変」という理由では認められません。

免責事項

本記事は令和8年8月時点の法令・国税庁公表資料に基づく一般的な解説です。予定納税基準額の計算は前年分の申告内容によって異なり、減額申請の可否も個別の見積りに基づいて判断されます。具体的な事案については必ず税理士または所轄税務署にご確認ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。

参考資料・判例出典

この記事のお悩みは、小松公認会計士・税理士事務所にご相談ください

制度は複雑ですが、お客様がすべてを理解する必要はありません。難しいことは、専門家にお任せください。

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具体的なご相談は無料で承ります

減額申請の期限は7月15日と11月15日です。この日を過ぎると、その期分については申請できません。今年の所得が前年より大きく減りそうな方は、期限より前にご相談ください。減額申請ができる状況かどうかを確認したうえで、必要な書類をご案内します。

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小松 優馬

公認会計士・税理士/元監査法人

大手監査法人にて上場企業の監査業務に従事。税務の専門性を高めるため独立。お客様の人生設計を支える税務パートナーとして活動中。YouTubeチャンネル「税理士 小松ゆうま」では税務情報を発信中(登録者6,500人超)。

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