お客様からよくいただくご質問にお答えします。

A. 初回相談・お問い合わせについて

Q1. 初回相談は本当に無料ですか?
はい、初回相談は完全無料です。20分程度お時間をいただき、お悩みやご状況を丁寧にヒアリングさせていただきます。無理な営業は一切いたしませんので、安心してご相談ください。
Q2. 代表は本当に直接対応してくれますか?
はい、ご相談から申告書の提出まで代表(公認会計士・税理士)が一貫して対応します。職員任せにすることはありません。
Q3. 全国対応は可能ですか?
はい、Zoom等のオンラインツールで全国対応しております。資料の郵送・電子データのやり取りで申告完結可能です。
Q4. 土日や夜間でも相談できますか?
事前にお問い合わせいただければ、できる限り日程調整をさせていただきます。お気軽にご相談ください。
Q5. 無理な営業はされますか?
いいえ、無理な営業は一切行いません。ご相談後、ご納得いただいてからご契約となります。
Q6. 相談で何を話せばいいか、まとまっていません。
まとまっていない段階のご相談こそ歓迎です。「いま困っていること」をそのままお話しください。整理して論点に分けるのは、こちらの仕事です。

B. 料金・お支払いについて

Q7. 確定申告の費用相場はいくらですか?
確定申告の料金は、基本料金32,000円(税別)+申告内容に応じた加算で決まります。実際のご依頼の中心価格帯は75,000円〜129,000円程度です(不動産譲渡所得等の特殊な申告がある場合を除く)。⚡ 60秒見積りで、あなたの場合の概算をその場でご確認いただけます。
Q8. 法人顧問料はいくらですか?
月額43,000円〜(税別・プランにより)。決算申告は別途108,000円〜(税別・売上規模により)です。詳細は法人料金ページをご確認ください。
Q9. 期限が迫っていますが対応可能ですか?
期限内であれば最優先対応いたします。期限間際は追加料金(緊急対応料)が発生する場合があります。
Q10. 期限後申告でも依頼できますか?
はい、対応可能です。期限後申告には割増料金が発生しますので、お早めにご相談ください。
Q11. 料金の支払い方法は?
銀行振込にてお願いしております。法人顧問の場合は口座振替も可能です。
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初回相談 無料/無理な勧誘は一切しません/相談だけで終えていただいて構いません

Q12. 不動産を複数件売却・保有しています。料金は物件ごとにかかりますか?
物件ごとの料金の合計に「複数物件割引」を適用します。不動産所得・不動産譲渡所得とも、2物件の場合は該当カテゴリの料金総額から20%OFF、3物件以上の場合は25%OFFです(不動産譲渡所得は特例加算も割引対象)。⚡ 60秒見積りは最大5物件まで対応しており、物件ごとに入力すると割引後の概算がその場で分かります。6物件以上お持ちの場合は個別にご相談ください。

C. 確定申告について

Q13. 必要書類が揃っていなくても相談できますか?
はい、お持ちの資料だけでもご相談いただけます。ご契約後は必要書類リストもお渡しします。
Q14. 領収書がぐちゃぐちゃ・袋に入ったままでも依頼できますか?
はい、大丈夫です。むしろ、その状態から整えるのが私たちの仕事です。「こんな状態で恥ずかしい」と皆さまおっしゃいますが、整理の途中でご自身を責める必要はまったくありません。そのままお持ちください。
Q15. 不動産売却の取得費が不明な場合は?
合理的な算定方法で対応可能です。詳細は不動産譲渡LPをご覧ください。
Q16. 副業の確定申告も対応してもらえますか?
はい、副業(フリーランス・YouTuber等)の確定申告も多数実績があります。
Q17. RSU・ESPP・ストックオプションの申告は?
外資系勤務の方のRSU・ESPP・ストックオプション申告も対応しております。
Q18. 申告完了までどのくらいかかりますか?
必要書類が揃ってから2〜3週間が目安です。期限が近い場合は最優先対応いたします。
Q19. 自分で申告するのと、税理士に頼むのは何が違うのですか?
大きな違いは「最終確認の有無」です。ご自身の申告では「これで合っているのか」という不安が提出後も残りがちですが、税理士が作成・確認した申告は、根拠を持って提出できます。また、適用できる控除・特例の見落とし(払い過ぎ)を防げます。
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Q20. 不動産を売却しましたが、購入時の契約書が見つかりません。取得費はどうなりますか?
まず概算取得費(譲渡価額の5%)での計算になりますが、これは最後の手段です。住宅ローンの契約書、抵当権設定登記、分譲時のパンフレット、通帳の出金記録などから合理的に算定できる場合があります。国税不服審判所 平成12年11月16日裁決では、市街地価格指数による推計が合理的と認められた事例もあります。ただし、どのような資料でも認められるわけではなく、合理性の判断には専門的な検討が必要です。詳しくは不動産売却で取得費がわからない?概算取得費5%で損しないための合理的算定法をご覧ください。
Q21. 相続した実家を売却しました。使える特例はありますか?
いわゆる「空き家の3,000万円特別控除」(措置法35条3項)と「取得費加算の特例」のいずれかを選択できる場合があります。両者は併用できないため、どちらが有利かの試算が必要です。空き家特例は昭和56年5月31日以前の建築であること、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までの譲渡であること、売却代金が1億円以下であることなど要件が細かく定められています。詳しくは相続した実家を売却したら税金はいくら?空き家3,000万円控除と取得費加算の使い分けをご覧ください。
Q22. 副業をしています。20万円を超えなければ申告は不要ですか?
いわゆる「20万円ルール」は、給与を1か所から受けている方が確定申告を省略できる制度ですが、誤解の多い論点です。医療費控除やふるさと納税で確定申告をする場合は、20万円以下の副業所得も申告に含める必要があります。また住民税の申告は別途必要です。詳しくは副業の確定申告はいくらから必要?「20万円ルール」の正しい理解と落とし穴をご覧ください。
Q23. RSUやストックオプションがあります。申告は複雑ですか?
課税のタイミングと所得区分が論点になります。RSUは権利確定時に給与所得として課税され、売却時に譲渡所得として再度課税されます。外国株式の場合は為替換算や外国税額控除の検討も必要です。当事務所は外資系企業にお勤めの方の申告実績があります。詳しくはRSU・ストックオプションの確定申告 外資系・IT企業勤務者が間違えやすい3つの論点をご覧ください。
Q24. ひとり親控除や寡婦控除は、どんなときに使えますか?
ひとり親控除は35万円で、事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる一定の人がいないこと、生計を一にする子がいること、合計所得金額が500万円以下であることの3つをすべて満たす方が対象です(国税庁タックスアンサーNo.1171)。子の要件は、その年分の総所得金額等が48万円以下(令和7年分からは58万円以下)で、他の人の同一生計配偶者や扶養親族になっていないことです。ひとり親に当てはまらない方でも、寡婦控除27万円を受けられる場合があります(同No.1170)。離婚の場合は扶養親族がいることが必要ですが、死別の場合は扶養親族の要件がありません。いずれも申告しなければ受けられない控除です。詳しくは使い忘れが多い4つの所得控除 ひとり親控除・寡婦控除・障害者控除・勤労学生控除をご覧ください。
Q25. マイホームの買換え特例を使いました。売った金額より安い家に買い換えても税金はかかりませんか?
差額に対して税金がかかります。買換え特例は非課税ではなく課税の繰延べで、繰延べが全額に及ぶのは売った金額以上の家に買い換えた場合です。国税庁は、売った金額より買い換えた金額が少ないときは、収入金額=売った金額-買い換えた金額必要経費=(売ったマイホームの取得費+譲渡費用)×(収入金額÷売った金額)譲渡所得=収入金額-必要経費で計算するとしています(国税庁タックスアンサーNo.3358、租税特別措置法36条の2・同施行令24条の2)。同ページの具体例では、売った金額1億円・買い換えた金額7,000万円・取得費1,000万円・譲渡費用500万円のとき、収入金額3,000万円、必要経費450万円、譲渡所得は2,550万円となります。取得費と譲渡費用は全額ではなく按分した分しか引けない点にご注意ください。また、この特例と3,000万円の特別控除の特例や軽減税率の特例は重ねて受けられません。売る前に両方で試算しておく必要があります。詳しくは買換え特例で安い家に住み替えたら税金がかかります 売った金額との差額に課税される仕組みをご覧ください。
Q26. 転勤で自宅を空き家にしたまま数年たちました。売るときに3,000万円特別控除は使えますか?
期限があります。住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る必要があります。国税庁は、過去に住んでいたマイホームでも、(1)売った家屋が自分が所有者として住んでいたものであること、(2)住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までにその家屋を売るか、家屋とともにその敷地等を売ること、のいずれにも当てはまるときは適用が受けられるとし、「この期間を過ぎてから売った場合にはこの特例の適用を受けることはできません」と明記しています(国税庁タックスアンサーNo.3314)。3年後の同じ日ではなくその年の12月31日が期限である点、判定は譲渡の日で行う点にご注意ください。また、空けていた間に人に貸していても構いません。国税庁は以前に住んでいた家屋について「その家屋は、住まなくなった日以後、どのような用途に使用してもかまいません」としています(同No.3302)。ただし家屋を取り壊して敷地だけを売る場合は条件が変わり、取壊しから1年以内の譲渡契約であること、取り壊してから契約日まで貸駐車場などその他の用に供していないことが必要です。詳しくは空き家にした自宅は3年で3,000万円控除が切れます 住まなくなった日からの数え方と、貸していた場合をご覧ください。
Q27. 別荘を売りました。マイホームの3,000万円特別控除は使えますか?
使えません。国税庁は「マイホームを売ったときの特例」の適用除外として、「別荘などのように主として趣味、娯楽または保養のために所有する家屋」を明記しています(国税庁タックスアンサーNo.3302)。税法上も、通常自分および生計を一にする親族が居住の用に供しない家屋で主として趣味、娯楽または保養の用に供する目的で所有するものは「生活に通常必要でない資産」とされています(所得税法施行令178条1項2号)。したがって税額は、譲渡価額から取得費と譲渡費用を差し引いた譲渡所得に、長期(譲渡した年の1月1日で所有期間5年超)なら所得税15パーセント・住民税5パーセント、短期なら所得税30パーセント・住民税9パーセントを乗じて計算します(同No.3208・No.3211。復興特別所得税として所得税額の2.1パーセントが加わります)。売却して損が出た場合も、給与所得や事業所得と損益通算することはできません(同No.3203、所得税法69条2項)。マイホーム向けの譲渡損失の特例も居住用財産が前提のため使えません。特例が使えない分、取得費と譲渡費用を漏れなく積み上げることが税額を左右します。詳しくは別荘・セカンドハウスを売ったときの税金 3,000万円特別控除が使えない理由と損の扱いをご覧ください。
Q28. 相続した実家に自分が住んでから売ります。空き家の3,000万円控除は使えますか?
使えません。ただし、マイホームの3,000万円特別控除の対象になり得ます。被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例は、その家屋や敷地が「相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付けの用または居住の用に供されていたことがないこと」を要件としています(国税庁タックスアンサーNo.3306)。相続人が住んだ時点でこの要件を満たさなくなります。一方で、自分が住んだ家は「現に自分が住んでいる家屋」に当たり、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の対象になり得ます。住まなくなってから売る場合も、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売れば対象です(同No.3302)。ただし同特例には適用除外があり、「この特例の適用を受けることだけを目的として入居したと認められる家屋」や一時的な目的で入居したと認められる家屋は対象外です。また、相続で取得した資産は引き続き所有していたものとみなされ、取得費と取得の時期を被相続人から引き継ぎます(所得税法60条1項1号)。そのため所有期間が10年を超えていれば軽減税率の特例(課税長期譲渡所得金額6,000万円以下の部分は所得税10パーセント・住民税4パーセント)を3,000万円の特別控除と重ねて受けられます(同No.3305)。どちらの特例を使うかで税額は変わりますので、住む前・売る前にご確認ください。詳しくは相続した実家に自分が住んでから売ったとき 使える特例が入れ替わりますをご覧ください。

D. 税務調査・その他

Q29. 税務調査が入った場合のサポートは?
はい、税務調査対応もサポートします。立会いから対応文書作成までフォローします(別途料金)。
Q30. 税務署から手紙(お尋ね・連絡)が来ました。何をすればいいですか?
まず、慌てて一人で回答しないでください。書面の種類によって適切な対応が異なります。書面の写真を添えてご相談いただければ、何を求められているか・どう対応すべきかをご説明します。早く動くほど選択肢は多く残ります。
Q31. 他の税理士からの切り替えは可能ですか?
はい、可能です。前任税理士からの引き継ぎもスムーズに行います。
Q32. 贈与税の申告も対応してもらえますか?
はい、暦年贈与・相続時精算課税制度どちらも対応可能です。詳細は料金ページをご確認ください。
Q33. 創業融資や資金調達の相談もできますか?
はい、日本政策金融公庫の創業融資から民間銀行借入、補助金活用まで対応します。CFO経験を活かした事業計画書・資金繰り表の作成支援も行います。
Q34. 法人化のタイミングを相談できますか?
はい、フリーランス・YouTuber・不動産オーナー等の法人化タイミングを総合的に判断します。
Q35. 確定申告をしていない年があります。今から申告できますか?
できます。ご自身から期限後申告を行う場合と、税務署の調査を受けてから申告する場合とでは、無申告加算税の税率が変わります。早く動くほど負担は軽くなりますので、お早めにご相談ください。詳しくは確定申告をしていないとどうなる?無申告加算税・延滞税と期限後申告の進め方をご覧ください。
Q36. 確定申告の期限に間に合いそうにありません。どうすればよいですか?
期限内にできる範囲で提出し、後日修正する方法や、期限後申告として速やかに提出する方法があります。何もしないまま放置するのが最も不利です。やってはいけない対応もありますので、詳しくは確定申告が期限に間に合わないときの対処法 今からできること・やってはいけないことをご覧ください。
Q37. 医療費が年間10万円に届きませんが、医療費控除は使えませんか?
使える場合があります。医療費控除の基準は原則10万円ですが、その年の総所得金額等が200万円未満の方は総所得金額等の5パーセントが基準になります。年金収入のみの方やパート収入のみの方は、10万円未満でも対象になることがあります。市販薬の購入が中心の方は、セルフメディケーション税制(12,000円を超える部分・最高88,000円)を選べる場合もあります。詳しくは医療費控除はいくらから使える?10万円の基準とセルフメディケーション税制の選び方をご覧ください。
Q38. 住宅ローン控除を受けるのに確定申告は必要ですか?
はい、入居した年の翌年に確定申告が必要です。給与所得者の方でも初年度だけは自分で申告する必要があり、2年目以降は勤務先の年末調整で受けられます。登記事項証明書・売買契約書の写し・年末残高等証明書などの添付書類が必要です。初年度の申告を忘れていた場合でも、還付申告はその年の翌年1月1日から5年間提出できます。詳しくは住宅ローン控除は初年度だけ確定申告が必要 必要書類と手続きの流れをご覧ください。
Q39. 年金を受け取っています。確定申告は必要ですか?
公的年金等の収入金額が400万円以下で、かつ公的年金等以外の所得が20万円以下であれば、所得税の確定申告は不要です。ただしその場合でも住民税の申告が必要なことがあります。また、医療費控除や生命保険料控除などがある方は、申告することで源泉徴収された税金が戻る可能性があります。申告義務がないことと、申告しないほうが得であることは別です。詳しくは年金受給者の確定申告は必要?400万円ルールと申告したほうが得なケースをご覧ください。
Q40. 賃貸に出していたマンションを売却しました。3,000万円の特別控除は使えますか?
使えません。3,000万円の特別控除は、ご自身が住んでいた居住用財産が対象です。賃貸用の物件では、取得費も購入代金そのままではなく、必要経費に算入してきた減価償却費を差し引いた未償却残高で計算します。詳しくは賃貸用マンション・アパートを売却したときの譲渡所得 3,000万円控除が使えない場合の計算をご覧ください。なお、売却でかかった費用をどこまで差し引けるかについては測量費・取壊し費用は取得費?譲渡費用?不動産売却でかかった費用の線引きで解説しています。
Q41. ふるさと納税のワンストップ特例を申請しました。医療費控除で確定申告をしても大丈夫ですか?
確定申告をすると、ワンストップ特例の申請は効力を失います。そのため、確定申告書にふるさと納税分の寄附金控除を必ず記載してください。記載を忘れると控除がまるごと受けられず、自己負担が2,000円ではなく寄附額の全額になってしまいます。第二表の「寄附金控除に関する事項」だけでなく、「住民税に関する事項」の都道府県・市区町村への寄附(特例控除対象)欄への記載も必要です。詳しくはふるさと納税で確定申告が必要になるのはどんなとき?ワンストップ特例が無効になる5つのケースをご覧ください。
Q42. 父が亡くなりました。父の確定申告はどうすればよいですか?
相続人が代わりに申告します。これを準確定申告といい、期限は相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内です。相続税の申告期限(10か月以内)より先に来るため、遺産分割の話し合いを待っていると期限を過ぎてしまいます。医療費控除や社会保険料控除は死亡の日までに支払った分が対象で、配偶者控除・扶養控除は死亡の日の現況で判定し月割りはしません。詳しくは亡くなった方の確定申告(準確定申告)4か月の期限と相続人がやることをご覧ください。
Q43. 海外に住んでいますが、日本のマンションを売却しました。日本で申告が必要ですか?
必要です。非居住者であっても、日本国内にある不動産の譲渡所得は日本で課税されます。さらに、買主は譲渡対価の10.21%を源泉徴収して納付します(個人が自己または親族の居住用に購入し、対価が1億円以下の場合を除きます)。源泉徴収された金額は前払いにすぎないため、確定申告で精算すると還付になることが多くあります。申告書を提出するときまでに納税管理人の届出も必要です。詳しくは海外在住のまま日本の不動産を売却したら?10.21%の源泉徴収と納税管理人の手続きをご覧ください。
Q44. マイホームを売って買い換えます。買換え特例と3,000万円特別控除はどちらを選ぶべきですか?
併用できないため、どちらか一方を選びます。買換え特例は税金が非課税になる制度ではなく、課税を将来に繰り延べる制度です。売った年の税負担はゼロでも、買い換えた家を将来売るときに繰り延べた利益が上乗せされます。譲渡益が3,000万円以下であれば特別控除だけで税額がゼロになるため、買換え特例を検討する意味があるのは譲渡益が大きいケースに限られます。なお買換え特例を使うと、買い換えた家について住宅ローン控除は受けられません。詳しくはマイホームの買換え特例と3,000万円控除はどちらが有利?令和9年12月31日まで2年延長をご覧ください。また、購入時の契約書に土地と建物の内訳がなく取得費が固まらない場合は契約書に土地と建物の内訳がない 不動産売却で取得費を按分する3つの方法で按分方法を解説しています。
Q45. 不動産を売って3,000万円の特別控除を使えば、扶養や配偶者控除に影響はありませんか?
影響します。扶養親族や配偶者控除・配偶者特別控除、住宅ローン控除などの判定に使う「合計所得金額」は、国税庁の定義上、申告分離課税の長期・短期譲渡所得については特別控除前の金額で計算します。特別控除によって所得税がゼロになっても合計所得金額には特別控除前の譲渡益がそのまま入るため、その年だけ扶養から外れる、基礎控除や配偶者控除が使えなくなる、といったことが起こります。国民健康保険料などの取扱いは市区町村の条例によって異なりますので、あわせてご確認ください。詳しくは不動産を売った年は扶養から外れる?3,000万円控除でも残る合計所得金額をご覧ください。
Q46. 提出した確定申告に間違いが見つかりました。いつまで直せますか?
税金を払いすぎていた場合の更正の請求は、原則として法定申告期限から5年以内です。税金が少なすぎた場合の修正申告に期限はありませんが、税務署の調査の事前通知前に自主的に提出すれば過少申告加算税はかかりません。事前通知の後は5パーセント(一定額を超える部分は10パーセント)、調査を受けた後は10パーセント(同15パーセント)となるため、早く動くほど負担が軽くなります。詳しくは確定申告を間違えたときの直し方 更正の請求は5年以内・修正申告は早いほど有利をご覧ください。
Q47. 確定申告の税金がすぐに払えません。分割で納めることはできますか?
いくつか方法があります。まず延納は、納付する税金の2分の1以上を法定納期限までに納めれば残りを5月31日まで延ばせる制度で、確定申告書に届け出るだけで利用できます。それでも難しい場合は、納期限から6か月以内に申請する換価の猶予(原則1年以内・月々の分割納付)や納税の猶予があり、猶予期間中の延滞税は全部または一部が免除されます。納税資金がなくても申告は期限内に済ませてください。詳しくは確定申告の税金が払えないときの対処法 延納・換価の猶予と延滞税の違いをご覧ください。
Q48. 親から相場より安く不動産を買っても問題ありませんか?
税務上は問題になり得ます。個人から著しく低い価額の対価で財産を譲り受けた場合、その財産の時価と支払った対価との差額は贈与により取得したものとみなされ、買った側に贈与税がかかります(相続税法7条)。相手が法人の場合は、時価の2分の1を下回る対価で売ると売主側で時価により譲渡所得が計算されます(所得税法59条1項2号)。また親族間の売買では、マイホームの3,000万円特別控除も住宅ローン控除も原則として使えません。詳しくは親子間・同族会社との不動産売買 低額譲渡とみなし贈与の境界線をご覧ください。
Q49. 公共事業で土地を売ることになりました。使える特例はありますか?
土地収用法などで収用権が認められている公共事業のための譲渡には、代替資産を取得した場合の課税の繰延べ最高5,000万円の特別控除という2つの特例があり、どちらか一方を選択します。5,000万円特別控除は、最初に買取り等の申出があった日から6か月を経過した日までに売っていること、最初に買取り等の申し出を受けた本人が譲渡していることなどが要件で、同じ事業で2以上の年にまたがるときは最初の年しか受けられません。詳しくは公共事業で土地を売ったときの5,000万円特別控除 収用等の特例と4つの要件をご覧ください。
Q50. 不動産を売って、買主から固定資産税の精算金を受け取りました。譲渡所得に含めるのですか?
含めます。買主が支払う精算金は税金の納付ではなく売買代金の一部であり、譲渡した日から年末までの期間に対応する固定資産税・都市計画税に相当する額は譲渡価額に算入します。自分が納めた固定資産税と相殺することはできず、その固定資産税は譲渡費用にもなりません。なお、1つの契約に基づく代金を2年以上に分けて受け取る場合も、その全額が譲渡した年の収入金額になります。詳しくは固定資産税の精算金も譲渡所得の収入金額です 不動産売却で入れ忘れやすい4つのお金をご覧ください。
Q51. 12月に売買契約をして、引渡しが翌年1月になります。どちらの年分で申告しますか?
選ぶことができます。資産を譲渡した日は原則として買主に引き渡した日ですが、売買契約などの効力発生の日(一般的には契約締結の日)に譲渡があったものとして申告することもできます。土地建物等の長期・短期は「譲渡した年の1月1日」時点の所有期間で判定するため、どちらの年分にするかで税率が20.315パーセントと39.63パーセントに分かれることがあります。特例の適用期限や合計所得金額にも影響しますので、契約前にご確認ください。詳しくは不動産売却の確定申告はどの年分?引渡日と契約日は選べますをご覧ください。
Q52. 離婚の財産分与で自宅を渡します。税金はかかりますか?
かかることがあります。土地や建物で財産分与をすると、渡した側に譲渡所得の課税が行われ、分与した時の時価が収入金額になります。現金を1円も受け取っていなくても納税が生じる点にご注意ください。また、婚姻中に分与すると配偶者への譲渡となるため居住用財産の3,000万円特別控除は使えません。受け取った側は原則として贈与税はかかりませんが、取得費と取得時期は引き継がず、分与を受けた日にその時の時価で取得したものとして扱います。詳しくは離婚の財産分与で自宅を渡すと譲渡所得税がかかります 渡す側・受け取る側の税金をご覧ください。
Q53. 退職金から思ったより多く源泉徴収されていました。取り戻せますか?
「退職所得の受給に関する申告書」を勤務先に提出していなかった場合、退職金の支給額に20.42パーセントを乗じた額が源泉徴収されます。退職所得控除も2分の1にする計算も反映されないため、本来の税額より大幅に多くなります。この差額は確定申告で精算でき、還付を受けるための申告はその年の翌年1月1日から5年間提出できます。退職した年は年末調整を受けていないことも多く、給与の分だけでも還付になることがあります。詳しくは退職金に確定申告は必要?受給に関する申告書を出し忘れたときの取り戻し方をご覧ください。
Q54. 賃貸アパートを売却しました。譲渡所得のほかに消費税もかかりますか?
事業用の建物の売却は消費税の課税対象です(土地部分は非課税)。売却した年にご自身が課税事業者かどうかで納付の要否が決まります。見落としやすいのは売却の2年後で、建物の売却代金が基準期間の課税売上高に含まれるため、それまで免税事業者だった方が課税事業者になることがあります。詳しくは事業用の建物を売ったら消費税がかかります 譲渡所得とは別に確認したい4つのことをご覧ください。
Q55. 自宅で仕事をしています。家賃や電気代はどこまで経費にできますか?
生活と業務の両方にかかわる費用(家事関連費)は、業務の遂行上直接必要であったことを明らかに区分できる部分に限って必要経費になります。「何パーセントまで」という法令上の基準はなく、床面積・使用時間・走行距離など実態に基づく基準で説明できるかどうかが判断の分かれ目です。詳しくは自宅兼事務所の家賃・電気代はどこまで経費?家事按分の考え方と根拠の残し方をご覧ください。
Q56. 空き巣に入られました。確定申告で控除は受けられますか?
盗難による損害は雑損控除の対象になります。控除額は2つの計算式のうち多いほうを採用し、引ききれない金額は翌年以後3年間繰り越せます。なお、詐欺や恐喝による被害は雑損控除の対象となる原因に含まれていません。詳しくは災害・盗難で損害を受けたときの雑損控除 災害減免法とどちらが有利かをご覧ください。
Q57. 7月に予定納税の納付書が届きました。今年は所得が減る見込みです。減らせますか?
その年の所得が前年より明らかに少なくなる見込みであれば、予定納税額の減額申請ができます。提出期限は第1期分が7月15日、第2期分が11月15日で、納付期限(7月31日・11月30日)とは別の日付です。第1期分の期限を過ぎた場合でも、11月15日までに申請すれば第2期分は減額できる可能性があります。詳しくは予定納税とは?7月・11月に届く納付書の意味と減額申請の使い方をご覧ください。
Q58. 同じ年にマイホームと公共事業で2件の売却がありました。特別控除は両方とも満額使えますか?
使えません。譲渡所得の特別控除は7種類ありますが、その年の譲渡益全体を通じて合計5,000万円が限度とされており、控除する順序も決まっています。公共事業の5,000万円控除で枠を使い切ると、マイホームの3,000万円控除が残枠までしか使えないことがあります。契約前であれば譲渡時期をずらす選択肢もありますので、早めにご相談ください。詳しくは譲渡所得の特別控除は7種類 同じ年に使えるのは合計5,000万円までですをご覧ください。
Q59. 数年前に医療費が多くかかった年があります。今からでも還付を受けられますか?
確定申告の義務がない方の還付申告は、その年の翌年1月1日から5年間提出できます。医療費控除のほか、年の途中で退職した年の源泉徴収税額、住宅ローン控除、雑損控除、寄附金控除などが対象になります。ただし、そもそも確定申告の義務がある方は法定申告期限までの申告が必要で、5年ルールの対象外です。詳しくは払いすぎた所得税は5年さかのぼって取り戻せます 還付申告の期限と進め方をご覧ください。
Q60. 妻に事業を手伝ってもらっています。給与を払えば経費にできますか?
生計を一にする配偶者その他の親族への給与は、原則として必要経費になりません(所得税法56条)。例外が青色事業専従者給与で、届出書の提出、6か月を超える期間専ら従事していること、労務の対価として相当な金額であることなどの要件があります。届出書の提出期限はその年の3月15日です。専従者給与を出すとその方について配偶者控除・扶養控除は使えなくなりますので、世帯全体での試算が必要です。詳しくは家族に払う給与は経費になる?青色事業専従者給与と白色の事業専従者控除をご覧ください。
Q61. 小規模企業共済やiDeCoの掛金は、事業の経費に入れてよいですか?
入れられません。掛金は事業上の損金または必要経費には算入できず、その年に支払った全額が「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除になります。帳簿では事業主貸で処理し、確定申告書の所得控除欄に記載します。経費に計上すると事業所得が過少になり、個人事業税や国民健康保険料の計算までずれます。詳しくは小規模企業共済とiDeCoの掛金は全額所得控除 「必要経費」ではない点に注意をご覧ください。
Q62. 相続した実家を売って兄弟で分けます。分け方で税金は変わりますか?
変わります。相続人全員で持分を相続して売り、代金を分ける換価分割と、1人が家を相続して他の相続人に金銭を払う代償分割では、譲渡所得を申告する人も、特別控除を何人分使えるかも変わります。また代償金は取得費になりません(相続した不動産の取得費は被相続人から引き継ぐため)。分割協議書に署名したあとでは選び直せませんので、売却前のご相談をおすすめします。詳しくは相続した実家を売って兄弟で分けるとき 換価分割と代償分割で変わる税金をご覧ください。
Q63. 金の地金を売った利益にも確定申告は必要ですか?
必要になる場合があります。金地金の売却益は、株式や不動産と違って給与などと合算する総合課税の譲渡所得です。譲渡益からは年間50万円の特別控除を差し引け、保有期間が5年を超えていれば控除後の金額の2分の1だけが課税対象になります。同じ利益でも5年以内か5年超かで負担が2倍以上変わることがあります。詳しくは金地金やゴルフ会員権を売ったときの税金 総合課税の譲渡所得と50万円特別控除をご覧ください。
Q64. 20万円のパソコンを買いました。全額その年の経費にできますか?
青色申告をしている中小事業者であれば、10万円以上30万円未満の資産を年間300万円まで取得した年の必要経費にできます(少額減価償却資産の特例)。白色申告の方は、10万円以上20万円未満なら一括償却資産として3年間で均等に必要経費にできます。ただし所得が少ない年に一気に経費化しても効果は小さいため、翌年以降の所得の見通しとあわせて選ぶことをおすすめします。詳しくは30万円未満の備品は一括で経費にできる?少額減価償却資産の特例と一括償却資産の使い分けをご覧ください。
Q65. 開業したら、いつまでにどんな届出が必要ですか?
開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)は、事業を開始した年分の確定申告期限までに提出します。ただし青色申告承認申請書は、その年の1月16日以後に開業した場合は開業日から2か月以内で、この期限を過ぎるとその年は青色申告特別控除も青色事業専従者給与も使えません。家族や従業員に給与を払うなら給与支払事務所等の開設届出書を1か月以内に提出します。詳しくは開業したら出す届出書 青色申告承認申請は開業から2か月以内ですをご覧ください。
Q66. 大学生の子のアルバイト収入が123万円を超えました。扶養から外れますか?
扶養控除は使えなくなりますが、お子さんが19歳以上23歳未満であれば特定親族特別控除の対象になります。合計所得金額が58万円超85万円以下(給与だけなら給与収入123万円超150万円以下)であれば控除額は63万円で、特定扶養親族の扶養控除と同額です。つまり給与収入150万円までは親の税負担は変わりません。なおお子さんご自身も、給与収入160万円までは所得税がかかりませんが、「本人の所得税がゼロ」と「親の扶養に入れる」は別です。扶養の判定は基礎控除を引く前の合計所得金額(58万円以下)で行うためです。詳しくは扶養控除・配偶者控除の「年収の壁」はどう変わった?令和7年分からの123万円と160万円をご覧ください。
Q67. 年末調整を受けたのに確定申告が必要と言われました。どんなときですか?
医療費控除・寄附金控除・雑損控除の3つは、年末調整では受けられません。適用を受けたい年は確定申告が必要です。また住宅ローン控除は最初の年だけ確定申告が必要で、2年目以後は年末調整で受けられます。このほか、給与の年間収入金額が2,000万円を超える方、給与所得と退職所得以外の所得の合計額が20万円を超える方なども確定申告が必要です。年末調整で控除証明書を出し忘れた場合も、原則としてその年の翌年1月1日から5年間は還付申告で取り戻せます。詳しくは年末調整と確定申告は何が違う?年末調整では受けられない3つの控除をご覧ください。
Q68. 海外赴任が決まりました。株式を持っていると出国のときに課税されると聞きました。
国外転出の時に1億円以上の有価証券等を所有等しており、国外転出の日前10年以内の国内在住期間が5年を超えている方は、実際に売っていなくても含み益に所得税が課されます(国外転出時課税)。とくに重要なのは、国外転出の時までに納税管理人の届出をしたかどうかで申告期限が変わる点です。届出をしないまま出国すると、出国の時までに準確定申告と納税が必要になり、納税猶予の特例も受けられません。出国日が決まった段階でご相談ください。詳しくは国外転出時課税(出国税)とは?1億円以上の有価証券を持つ方の海外赴任・移住で必要な手続をご覧ください。
Q69. FXや日経225先物で損が出ました。給与の税金と相殺できますか?
できません。先物取引・FXの損益は「先物取引に係る雑所得等」として申告分離課税(20.315パーセント)で計算し、給与所得や事業所得との損益通算はできません。上場株式等の譲渡損益や暗号資産の所得とも通算できない点にご注意ください。ただし損失は翌年以後3年間繰り越せます。繰り越すには、損失が出た年から連続して申告書付表を添付した確定申告書を提出し続ける必要があり、取引をしなかった年も申告が必要です。詳しくは先物取引・FXの確定申告 申告分離課税20.315パーセントと3年間の繰越控除をご覧ください。
Q70. 個人事業主です。何から手をつけるといちばん節税になりますか?
順番があります。①記帳を整えて経費を適正に計上する ②期限内にe-Taxで申告して青色申告特別控除65万円を確実に取る ③小規模企業共済やiDeCoなどの所得控除 ④資産の取得、の順です。①②は支出をともなわずに所得を減らせるため費用対効果がもっとも高く、逆に④から始めると手元の現金が減る割に税額は下がりません。なお申告が1日でも遅れると65万円は10万円になります。詳しくは個人事業主の節税は「順番」で決まります 使う順番を間違えると効果が消えますをご覧ください。
Q71. 不動産を売るために払った費用は、どこまで譲渡費用になりますか?
国税庁は譲渡費用を「土地や建物を売るために直接かかった費用」と定義し、仲介手数料・売主負担の印紙税・借家人への立退料・土地を売るための建物取壊し費用と損失額・有利な条件で売るための違約金・借地権売却時の名義書換料を挙げています。一方、修繕費や固定資産税などの維持管理費、売却代金の取立てのための費用は譲渡費用になりません。領収書の名目ではなく、何のために・いつ支出したかで判断されます。小松公認会計士・税理士事務所では、取得費・譲渡費用・特例の3つについて一次資料まで戻り、根拠を示せる範囲を漏れなく拾うことを実務の柱にしています。詳しくは不動産売却の税額は「申告のしかた」で変わりますをご覧ください。
Q72. 共有名義の土地を分けて、それぞれの単独名義にします。税金はかかりますか?
所得税基本通達33-1の7は、個人が他の者と土地を共有している場合において、その共有に係る一の土地についてその持分に応ずる現物分割があったときは、その分割による土地の譲渡はなかったものとして取り扱うとしています。面積の比と持分の割合が異なっていても、分割後の価額の比が持分の割合におおむね等しければ該当します。一方、複数の物件を分け合う場合は「一の土地」の分割ではないため、交換として課税関係が生じます(国税庁 質疑応答事例「共有物の分割」)。等価であっても結論は変わりません。登記を進める前にご相談ください。詳しくは共有名義を解消したいとき 共有物分割で譲渡所得が生じる場合・生じない場合をご覧ください。
Q73. 相続した土地を売ります。父がいくらで買ったのか調べる方法はありますか?
相続で取得した土地建物の取得費は、被相続人が買い入れたときの購入代金や購入手数料などを基に計算します(国税庁タックスアンサーNo.3270)。資料は、①ご自宅(売買契約書・権利証・領収証)②法務局(登記事項証明書・閉鎖登記簿・当時の抵当権設定登記)③金融機関(預金通帳・住宅ローン契約書)④分譲会社・仲介会社(分譲時のパンフレット・価格表)⑤市区町村(名寄帳・固定資産評価証明書)の順に当たると見つかることがあります。なお概算取得費(売った金額の5パーセント)を使うと、相続人が支払った登記費用などを取得費に含めることはできません。実額で計算できるかを先に検討する順序になります。詳しくは相続した不動産を売るとき 被相続人の取得費をさかのぼって調べる方法をご覧ください。
Q74. 1階が店舗、2階が自宅の建物を売りました。3,000万円控除は建物全体に使えますか?
原則として、自分の居住の用に使っていた部分に限られます(国税庁タックスアンサーNo.3452)。家屋と敷地のそれぞれについて面積により居住用部分を計算し、その部分だけが特例の対象になります。ただし、居住の用に使っていた部分が全体のおおむね90パーセント以上であるときは、全体を居住の用に使っていたものとして特例の適用を受けることができます(措置法通達31の3-8)。なお、居住用部分で使い切れなかった控除枠を非居住用部分の譲渡益に回すことはできません。過去の申告で用いてきた事業使用割合との整合も確認が必要です。詳しくは店舗兼住宅・賃貸併用住宅を売ったとき 3,000万円控除は居住部分だけ?おおむね90パーセントの基準をご覧ください。
Q75. 自分の会社に自宅の土地を贈与しました。お金は受け取っていませんが税金はかかりますか?
かかります。法人に対する贈与や遺贈、時価の2分の1未満の価額による譲渡があった場合には、時価で資産の譲渡があったものとされます(国税庁タックスアンサーNo.3105)。ご自身が100パーセント出資している同族会社であっても同じです。また、限定承認の相続や限定承認の包括遺贈(個人に対するものに限られます)も同様に時価で譲渡があったものとされ、この場合の譲渡所得は被相続人の準確定申告(相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内)で申告します。現金が入らないまま納税が生じますので、実行前の試算と納税資金の手当てが必要です。詳しくは対価を受け取っていないのに譲渡所得税がかかる? 法人への贈与・遺贈と限定承認のみなし譲渡をご覧ください。
Q76. 使っていない土地を安い値段で売りました。何か控除は使えますか?
都市計画区域内にある低未利用土地等を、その上にある建物等の対価を含めて500万円以下(一定の場合は800万円以下)で売り、売った年の1月1日において所有期間が5年を超えているなど一定の要件を満たす場合には、譲渡所得の金額から100万円を控除できます(国税庁タックスアンサーNo.3226)。市区町村長の確認をした書類の添付が必要で、収用等の特別控除など他の特例との重複適用はできません。適用期限は令和8年度税制改正により令和10年12月31日まで3年延長されました。詳しくは使っていない土地を500万円以下で売ったら100万円引けます 低未利用土地等の特別控除をご覧ください。
Q77. 事業で使っている土地建物を売って、別の物件に買い換えます。税金は安くなりますか?
一定の組合せに当てはまる買換えでは、譲渡益に対する課税の一部を将来に繰り延べることができます(国税庁タックスアンサーNo.3405)。非課税になるわけではなく、原則として譲渡価額の20パーセントに対応する部分に課税し、残りを繰り延べる仕組みです。買換資産を取得の日から1年以内に事業の用に供すること、買い換える土地の面積が譲渡した土地の面積の5倍以内であることなどの要件があり、届出と確定申告での書類添付も必要です。適用期限は令和8年度税制改正により令和11年12月31日まで3年延長されました(一部の組合せは期限が異なります)。詳しくは事業用資産の買換えの特例とは 課税が8割先送りになる仕組みと令和8年度改正の3年延長をご覧ください。
Q78. 借りていた事務所を明け渡して立退料を受け取りました。税金はかかりますか?
立退料は、その中身に応じて3つの所得に分かれます(国税庁タックスアンサーNo.3155)。①家屋の明渡しによって消滅する権利の対価に相当する金額は総合課税の譲渡所得、②立ち退きに伴う事業の休業等による収入金額または必要経費を補填する金額は事業所得等、③①②以外の金額は一時所得の収入金額になります。区分によって特別控除の使い方が変わるため、契約書や覚書に内訳を記載しておくことが大切です。なお、賃貸している建物やその敷地を売るために支払った立退料は、支払う側では譲渡費用になります(同No.1382)。詳しくは立退料をもらったとき・支払ったときの税金 3つに分かれる所得区分と、譲渡費用になる場合をご覧ください。
Q79. 何年も前にしたリフォームの費用は、売却時の取得費に入れられますか?
取得費には購入代金や建築代金のほか、設備費や改良費なども含まれます(国税庁タックスアンサーNo.3252)。増改築やリフォームの費用は、価値を高めたり使用可能期間を延ばしたりするものであれば取得費に入る余地があります。ただし建物については所有期間中の減価償却費相当額を差し引いた金額が取得費になります(同No.3261)。実務でいちばんの壁は資料です。工事請負契約書・見積書・請求書・領収書、工事代金の振込が残る通帳、リフォームローンの契約書などが手がかりになります。入れ忘れを防ぐため、売却が決まった段階で一度ご相談ください。詳しくはリフォーム・増改築の費用は取得費に入ります 売却時の入れ忘れを防ぐ資料の残し方をご覧ください。
Q80. 長く住んだマイホームを売ります。3,000万円を引いてもまだ利益が残る場合、税率は下がりますか?
売った年の1月1日において家屋と敷地の所有期間がともに10年を超えているなど一定の要件を満たす場合には、軽減税率の特例を使えます(国税庁タックスアンサーNo.3305)。この特例は3,000万円の特別控除と重ねて受けることができます。特別控除を差し引いたあとの課税長期譲渡所得金額のうち6,000万円以下の部分は10パーセント、6,000万円を超える部分は「(金額-6,000万円)×15パーセント+600万円」で所得税を計算します(このほか復興特別所得税が基準所得税額の2.1パーセント上乗せされ、住民税は別に定められています)。前年・前々年にこの特例を受けていないことなども要件です。詳しくは10年超住んだマイホームを売るなら軽減税率の特例 3,000万円控除と重ねて使えますをご覧ください。
Q81. 相続した不動産は、いつまでに売れば特例が使えますか?
特例ごとに期限が違います。取得費加算の特例は、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までの譲渡が要件です(相続開始からおよそ3年10か月。国税庁タックスアンサーNo.3267)。被相続人の居住用財産(空き家)の3,000万円特別控除は、相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの譲渡が要件で、さらに制度そのものの適用期限が令和9年12月31日までとされています(同No.3306)。両方を同じ不動産について重ねて適用することはできません。売却活動には数か月から1年以上かかることもありますので、期限から逆算してお早めにご相談ください。詳しくは相続した不動産の売却は「期限」から逆算します 3年10か月・3年目の12月31日・令和9年12月31日をご覧ください。
Q82. 贈与や相続でもらった不動産を売ります。名義変更のときに払った登記費用や不動産取得税は取得費に入りますか?
入れられます。贈与、相続または遺贈により取得した資産を売る場合、その名義変更のために支出した登録免許税(登記費用を含みます)・不動産取得税などは、譲渡所得の計算上、取得費に含めることができます。かつては取得費にならないものとして扱われていましたが、最高裁判所平成17年2月1日判決を受けて取扱いが改められたものです(国税庁タックスアンサーNo.3252、所得税基本通達60-2)。ただし業務の用に供される資産の場合には、これらの税金は取得費に含まれません。また、遺産分割のためにかかった訴訟費用等は取得費になりません。なお、概算取得費(譲渡価額の5パーセント)を使う場合には、これらの費用を上乗せすることはできません。取得費と取得時期は、原則として贈与した方・亡くなった方から引き継ぎます。詳しくは贈与や相続でもらった不動産を売るとき 名義変更で払った登記費用・不動産取得税は取得費に入りますをご覧ください。
Q83. 不動産を買うために借りた住宅ローンの利息は、売却時の取得費に入りますか?
一部が入ります。土地、建物などの固定資産の取得のための借入金の利子等のうち、借り入れた日からその固定資産の使用開始の日までの期間に対応する部分の金額は、原則としてその固定資産の取得費に含めます(国税庁タックスアンサーNo.3264、所得税基本通達38-8)。裏を返せば、住み始めたあと(使用開始後)の利子は取得費に入りません。借入金で購入した土地や建物を全く使用することなく売ったときは、借り入れた日から売った日までの利子の全額が取得費に含まれます。また、その資金を借り入れる際に支出した公正証書作成費用、抵当権設定登記費用、借入れの担保として締結した保険契約に基づき支払う保険料その他その借入れのために通常必要と認められる費用も、同様に取得費に算入します。なお、賃貸用など業務用の資産について既に必要経費に算入した利子は、重ねて取得費に入れることはできません。詳しくは不動産を買うための借入金の利息は取得費に入ります 借入れの日から使用開始の日までが対象ですをご覧ください。
Q84. 海外に持っている不動産を売りました。現地で税金を納めていても、日本で確定申告が必要ですか?
必要です。国税庁は、日本の居住者は原則として国内で生じた所得も国外で生じた所得も日本で課税されるとし、海外の不動産を売却して得た譲渡益についても、国内にある不動産を売却した場合と同様に課税されるとしています(タックスアンサーNo.3560)。外国通貨での譲渡所得の金額と取得価額は、原則としてその取引日のT.T.M(対顧客直物電信売相場と買相場の仲値)で円に換算します。取得時と売却時で相場が違うため、現地通貨では損失でも、円に直すと利益が出ていることがあります。現地で課税された分は外国税額控除で二重課税を調整しますが、控除できるのは控除限度額までで、全額とは限りません(タックスアンサーNo.1240)。詳しくは海外の不動産を売ったら日本でも確定申告が必要です 為替はT.T.Mで換算し外国税額控除で調整しますをご覧ください。
Q85. 個人で持っている不動産を自分の会社に現物出資します。現金を受け取らなくても税金はかかりますか?
かかります。国税庁は、法人に現物出資した場合も資産の譲渡になり、所得税の課税対象とされるとしています(タックスアンサーNo.3117)。このときの譲渡収入金額は、出資した不動産の時価ではなく、現物出資により取得した株式や出資持分の時価です。ただし、その価額が出資した不動産の時価の2分の1未満である場合は、出資した不動産の時価が収入金額とみなされます(所得税法59条、所得税法施行令169条)。同じ2分の1の線引きは、法人への低額譲渡にもあります(タックスアンサーNo.3217)。現金が入らないのに納税だけが発生するため、納税資金の準備とあわせた事前の試算が欠かせません。移したあとで戻すことはできませんので、手続に入る前にご相談ください。詳しくは個人の不動産を会社に現物出資すると 現金が入らなくても譲渡所得税がかかりますをご覧ください。
Q86. 平成22年に買った土地を売る予定です。使える特別控除はありますか?
あります。国税庁は、個人が平成21年に取得した国内の土地等を平成27年以降に譲渡した場合、または平成22年中に取得した土地等を平成28年以降に譲渡した場合には、その土地等に係る譲渡所得の金額から1,000万円を控除できるとしています(タックスアンサーNo.3225)。譲渡所得の金額が1,000万円に満たない場合は、その譲渡所得の金額が控除額になります。ただし、親子や夫婦など特別な間柄にある者から取得した土地等相続・遺贈・贈与・交換・代物弁済・所有権移転外リース取引により取得した土地等は対象外です。また、収用等の特別控除や事業用資産の買換えの課税の繰延べなど、他の譲渡所得の特例と重ねて使うことはできません。適用には確定申告書にその旨を記載し、取得年が分かる書類を添付する必要があります。詳しくは平成21年・平成22年に買った土地の1,000万円特別控除 使い忘れが多い特例をご覧ください。
Q87. 道路の拡幅で立ち退くことになり、移転料の名目で補償金を受け取りました。譲渡所得として申告すればよいですか?
いいえ。補償金は名目ごとに課税上の扱いが分かれます。国税庁は、収用等により取得する補償金を対価補償金・収益補償金・経費補償金・移転補償金・その他の補償金に分類し、収用等の課税の特例の適用があるのは原則として対価補償金だけとしています(タックスアンサーNo.3555)。移転補償金は、その交付の目的に従って支出した額については各種所得の総収入金額に算入されませんが、目的に従って支出されなかった場合や支出後に残った場合は一時所得になります。ただし、建物等を引き家または移築するための補償金を受けて実際には取り壊したときや、移設困難な機械装置の補償金を受けたときは対価補償金として取り扱うことができ、借家人補償金は対価補償金とみなして取り扱われます。補償金の内訳書を手元に置いたうえでご相談ください。詳しくは収用の補償金は名目で所得区分が変わります 対価・収益・経費・移転の4区分をご覧ください。
Q88. 自宅を取り壊して更地にしてから土地を売りました。3,000万円の特別控除は使えますか?
3つの要件をすべて満たせば使えます。国税庁は、家屋を取り壊してその敷地だけを売った場合には原則としてこの特例の適用を受けられないとしたうえで、次の要件すべてに当てはまるときは適用を受けることができるとしています(タックスアンサーNo.3320)。(1)家屋を取り壊した日から1年以内にその敷地を売る契約をしていること(2)その家屋に住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること(3)その家屋を取り壊してから、その敷地を売る契約をした日まで、貸付けその他の用に使用していないこと。取り壊してから駐車場として貸すと(3)に当たらなくなります。また、家屋の一部を取り壊して敷地の一部を売ったときに、残った家屋が居住できる状態になっている場合は適用を受けられません。取り壊しの前に、契約の時期の見込みまで含めてご相談ください。詳しくは自宅を取り壊して土地だけを売るとき 3,000万円特別控除の3つの要件をご覧ください。
Q89. 単身赴任中で、自宅には妻と子どもだけが住んでいます。その自宅を売る場合、3,000万円の特別控除は使えますか?
一定の事情があれば、ご本人が住んでいなくても使えます。国税庁は、この特例は原則として家屋の所有者本人が現に住んでいるマイホームを譲渡した場合に受けられるものとしたうえで、本人が転勤や転地療養などの事情のため、配偶者等と離れて単身でほかに生活している場合で、これらの事情がなくなったときはその配偶者等と一緒に配偶者等が住んでいる家屋で生活すると認められる場合には、配偶者や子供だけが住んでいる家屋についても適用を受けることができるとしています(タックスアンサーNo.3317)。ポイントは「事情がなくなれば戻って一緒に暮らすと認められること」です。単身赴任先に生活の本拠を移してしまっている場合は当てはまりません。なお、売ったときに2つ以上マイホームを持っていたときは、主として住まいに使っていた家屋だけが対象になります。海外へ転勤して非居住者となった場合は別の取扱いになりますので、赴任先が国内か国外かも含めてご相談ください。詳しくは単身赴任中のマイホームを売ったとき 3,000万円特別控除が使える2つの条件をご覧ください。
Q90. 自宅の建物は夫の名義、土地は妻の名義です。売ったとき、妻も3,000万円の特別控除を使えますか?
3つの要件をすべて満たせば、敷地の所有者も適用を受けられます。この特例は原則として家屋の所有者が家屋とその敷地を譲り渡した場合に受けられるものですが、国税庁タックスアンサーNo.3311は、家屋の所有者と敷地の所有者が異なるときでも、(1)敷地を家屋と同時に売ること(2)家屋の所有者と敷地の所有者とが親族関係にあり、生計を一にしていること(3)その敷地の所有者は、その家屋の所有者と一緒にその家屋に住んでいることのすべてに当てはまるときは、敷地の所有者もこの特例の適用を受けることができるとしています。ただし注意が必要です。この場合の特別控除額は、家屋の所有者と敷地の所有者と合わせて3,000万円までで、差し引く順序はまず家屋の所有者、続いて敷地の所有者です。家屋の所有者側で3,000万円を使い切れば、敷地の所有者に残る控除額はありません。なお、1つの家屋を夫婦で共有している場合は結論が異なりますのでご注意ください。詳しくは家と土地で名義が違う自宅の売却 敷地の所有者も3,000万円控除を使える3要件をご覧ください。
Q91. 母が老人ホームに入所したあとに亡くなりました。空き家になっていた実家を売る場合、3,000万円の特別控除は使えますか?
「特定事由」に当たり、かつ一定の要件を満たせば対象になります。国税庁タックスアンサーNo.3307は、相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていなかった家屋であっても、要件を満たすときは被相続人居住用家屋として特例の対象になるとしています。まず、介護保険法の要介護認定もしくは要支援認定を受けていた被相続人が、特別養護老人ホーム・有料老人ホーム・介護老人保健施設・サービス付き高齢者向け住宅などに入居または入所していたことが必要です。認定を受けていたかどうかは、亡くなった時点ではなく、施設に入って家に住まなくなる直前の時点で判定します。そのうえで、住まなくなった時から相続の開始の直前まで、引き続きその家屋が被相続人の物品の保管その他の用に供されていたことその間に事業の用・貸付けの用・被相続人以外の者の居住の用に供されていたことがないことが求められます。空き家の間に人に貸したり、駐車場にしたり、お子様が住んだりすると使えなくなります。実務ではここで外れる例が多いところです。詳しくは老人ホーム入所後の実家を売ったとき 空き家3,000万円特別控除と特定事由をご覧ください。
Q92. 農地を売りました。売買契約は年内ですが、農地法の許可と引渡しは翌年になります。どちらの年分の申告になりますか?
農地は、ふつうの不動産とは選べる日が違います。譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期は、原則として資産の引渡しがあった日です(所得税基本通達36-12)。納税者の選択により契約の効力発生の日によることもできますが、農地法3条1項または5条1項本文の許可を受けなければならない農地・採草放牧地の譲渡(および同条1項6号の届出をしてする農地等の譲渡)については、選べるのが「その譲渡に関する契約が締結された日」とされています。つまり、契約した年で申告するか、引き渡した年で申告するかを選ぶことになり、どちらを選ぶかによって、その年の他の所得との関係や所有期間の判定が変わってきます。なお、許可を受ける前(または届出前)にその契約が解除された場合は、再売買と認められるものを除き、解除された日の翌日から2か月以内に更正の請求をすることができます(同通達の注2)。許可・届出の要否や進め方そのものは、農業委員会にご確認ください。詳しくは農地を売ったときの譲渡所得 農地法の許可と「どの年分の申告になるか」をご覧ください。
Q93. 住宅ローンが払えず、自宅が競売にかけられました。手元にお金は残っていませんが、確定申告は必要ですか?
まず原則として、競売でも任意売却でも、不動産を手放せば譲渡所得の対象になります。売却代金が全額借入金の返済に消えたというだけでは、課税がなくなるわけではありません。ただし例外があります。所得税法9条1項10号は、資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合における、国税通則法にいう強制換価手続による資産の譲渡による所得その他これに類するものとして政令で定める所得には所得税を課さないと定めています。そして所得税法施行令26条は、その政令で定める所得を、資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難であり、かつ強制換価手続の執行が避けられないと認められる場合における資産の譲渡による所得で、その譲渡に係る対価が当該債務の弁済に充てられたものとしています。所得税基本通達9-12の4は、譲渡に要した費用に相当する部分を除いた対価の全部が、譲渡の時において有する債務の弁済に充てられたかどうかで判定するとしています。当てはまるかどうかは、譲渡した時の現況による個別の判断になります(同通達9-12の2)。詳しくは競売・任意売却で不動産を手放したとき 譲渡所得と資力喪失による非課税をご覧ください。
Q94. 土地区画整理で換地を受け取りました。譲渡所得の申告は必要ですか?
換地を受け取っただけであれば、譲渡がなかったものとみなされます。租税特別措置法33条の3第1項は、土地区画整理法による土地区画整理事業や土地改良法による土地改良事業などが施行された場合において、換地処分により土地等を取得したときは、換地処分により譲渡した土地等の譲渡がなかったものとみなすと定めています。ただし同項のかっこ書きで、土地等とともに清算金を取得した場合や保留地が定められた場合には、その清算金の額または保留地の対価の額に対応する部分が除かれます。つまり清算金を受け取った部分は課税の対象になります。その清算金は租税特別措置法33条1項3号により「収用等」に当たるものとされており(土地区画整理法90条の規定により換地を定められなかったことにより支払われるものなどは除かれます)、要件を満たせば収用等の特例の対象になり得ます。また、受け取った換地を将来売るときは、従前の土地の取得の時期を引き継ぎます(同法33条の6第1項)。新しく取得した土地として短期譲渡になるわけではありません。詳しくは土地区画整理で換地を受け取ったときの税金 課税されるのは清算金の部分ですをご覧ください。
Q95. 相続した自社株を会社に買い取ってもらうと、どんな税金がかかりますか?
原則はみなし配当ですが、相続の直後であれば譲渡所得にできる特例があります。個人が非上場株式をその発行会社に譲渡して対価を受け取った場合、その額が発行会社の資本金等の額のうちその交付の基因となった株式に対応する部分の金額を超えるときは、超える部分が配当とみなされます(所得税法25条1項5号)。配当所得は他の所得と合算する総合課税です。これに対し、相続または遺贈により財産を取得し、その相続または遺贈について納付すべき相続税額がある個人が、相続の開始があった日の翌日から相続税の申告書の提出期限の翌日以後3年を経過する日までに、相続税の課税の対象となった非上場株式をその発行会社に譲渡した場合には、みなし配当課税を行わず全額を非上場株式の譲渡所得の収入金額とする特例があります(租税特別措置法9条の7第1項)。この特例を適用すると、収入金額から取得費と譲渡に要した費用を控除して計算した譲渡所得金額の15.315パーセントに相当する所得税および復興特別所得税が課税されます(国税庁タックスアンサーNo.1477。このほか住民税5パーセントがかかります=同No.1463)。取得費を計算する際に「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」を併用することも可能とされています(同No.1477、No.3267)。手続として、譲渡する日までに届出書を発行会社へ提出する必要があり、発行会社は譲り受けた日の属する年の翌年1月31日までに所轄税務署長へ提出します。期限を過ぎると使えません。詳しくは自社株を会社に買い取らせたときの税金|みなし配当と3年10か月の特例をご覧ください。

E. 法人の節税・役員報酬について

Q96. 役員退職金はいくらまで損金にできますか?
法令にも通達にも金額の基準はありません。国税庁は「適正な額のもの」は損金の額に算入されるとし、法人税法34条2項は不相当に高額な部分は損金不算入と定めています。判断要素は、業務に従事した期間・退職の事情・同種同規模の法人の支給状況などです。実務でよく使われる功績倍率法の算式や倍率も法令の定めではないため、一律に安全な水準はありません。当事務所では、退職慰労金規程の整備と決議書類、支給額の相当性を説明できる資料をそろえたうえで金額を検討します。詳しくは役員退職金はいくらまで損金になる?功績倍率と分掌変更のときの落とし穴をご覧ください。
Q97. 法人保険に入れば節税になりますか?
「節税」ではなく課税の繰延べとお考えください。令和元年7月8日以後に契約した保険期間3年以上の定期保険等で最高解約返戻率が50パーセントを超えるものは、返戻率の区分に応じて保険料の一部を資産計上します(50パーセント超70パーセント以下は40パーセント、70パーセント超85パーセント以下は60パーセント)。また解約返戻金は益金になるため、解約する年に対応する損金(役員退職金など)を用意していなければ効果は消えます。当事務所は保険の募集代理店ではありませんので、税務処理と資金繰りの観点から中立に検証します。詳しくは法人保険で節税はできる?令和元年の通達改正で変わった「保険と税」の関係をご覧ください。
Q98. 役員報酬は期の途中で変更できますか?
支給自体はできますが、期の途中の増額分は原則として損金になりません。損金にできる役員給与は定期同額給与・事前確定届出給与・一定の業績連動給与の3類型に限られ、定期同額給与は各支給時期の支給額が同額であることが要件だからです。改定できるのは事業年度開始後の限られた期間のみで、当期の利益を見てから調整することはできません。当事務所では、法人税だけでなく社長ご自身の所得税・住民税・社会保険料まで通算した複数案の試算をしたうえで、期首に金額を決めています。詳しくは役員報酬と役員退職金の組み立て方 社長個人の手取りまで考える出口設計をご覧ください。
Q99. 決算前にできることはありますか?決算日を過ぎてからでは遅いですか?
決算日を過ぎると、打てる手はほとんど残りません。決算前の代表的な打ち手は短期前払費用・決算賞与・少額減価償却資産・経営セーフティ共済の4つですが、いずれも決算日までの支払いや通知・事業供用が要件です。決算日後にできるのは、決算賞与のうち決算日までに各人別の通知と損金経理を済ませたもの(支払は翌日から1か月以内)と、債務が確定している費用の計上漏れの洗い出しに限られます。また4つとも多くは課税の繰延べであり、現金は先に出ていきます。着地の見込みが立つ決算日の3か月前を目安にご相談ください。詳しくは決算前3か月にできる法人の決算対策4つ 効果と、その限界をご覧ください。
Q100. 役員の自宅を社宅にすると、税金はどう変わりますか?
役員に社宅を貸す場合、役員から1か月当たり賃貸料相当額を受け取っていれば、会社が負担している差額について給与として課税されません(国税庁タックスアンサーNo.2600)。賃貸料相当額は、法定耐用年数30年以下なら床面積132平方メートル以下、30年超なら99平方メートル以下の小規模な住宅かどうかで計算式が変わります。ただし現金で支給する住宅手当や、役員本人が直接契約している場合の家賃負担は、社宅の貸与とは認められず給与として課税されます。会社が賃貸借契約の当事者となることが出発点ですので、導入前の設計が必要です。詳しくは社宅で役員報酬を見直す 賃貸料相当額の計算と、給与課税されない3つの条件をご覧ください。
Q101. 交際費は年800万円まで経費にできると聞きましたが、本当ですか?
交際費等は原則としてその全額が損金不算入ですが、期末の資本金の額または出資金の額が1億円以下である等の法人については、①接待飲食費の50パーセントに相当する金額を超える部分、②800万円にその事業年度の月数を乗じ12で除して計算した金額(定額控除限度額)を超える部分——のいずれかを損金不算入額とすることができます(国税庁タックスアンサーNo.5265)。どちらが有利かは交際費等の総額と飲食費の割合で入れ替わりますので、金額を入れて比較してください。また、1人当たり10,000円以下の飲食費を交際費等から除くには、参加者の氏名または名称・その関係・人数などを記載した書類の保存が必要です(令和6年3月31日以前に支出したものの基準金額は5,000円以下です)。詳しくは交際費はいくらまで経費になる?1人1万円以下の飲食費と800万円の定額控除限度額をご覧ください。
Q102. 従業員の給与を上げると、法人税が安くなる制度はありますか?
あります。中小企業者等が、平成30年4月1日から令和9年3月31日までの間に開始する各事業年度において、国内雇用者への給与等支給額を前期より1.5パーセント以上増やした場合には、増加額の15パーセント(上乗せ要件を満たす場合には最大45パーセント)を法人税額から控除できます(国税庁タックスアンサーNo.5927-2)。控除できるのは調整前法人税額の20パーセントまでで、控除しきれなかった金額は5年間繰り越せます。ただし明細を記載した書類を確定申告書等に添付した場合に限り適用され、設立事業年度は適用できません。役員報酬の増額は判定に入りません。詳しくは中小企業向け賃上げ促進税制 給与を1.5パーセント増やすと法人税額から最大45パーセントを控除できますをご覧ください。
Q103. 出張の日当を出したいのですが、いくらまで経費にできますか?
金額の上限は法令で定められていません。旅行の目的・目的地・行路や期間の長短・宿泊の要否・旅行者の職務内容および地位などからみて、その旅行に通常必要とされる費用の範囲内であれば、会社の経費になり、受け取る側にも所得税がかかりません(所得税基本通達9-3)。判定にあたっては、支給額が役員と使用人の全てを通じて適正なバランスが保たれている基準によって計算されたものか、同業種・同規模の他社が一般的に支給している金額に照らして相当かが勘案されます。当事務所では旅費規程の整備と記録の残し方からお手伝いします。詳しくは出張日当は会社の経費になり受け取る側に所得税がかかりません 旅費規程のつくり方をご覧ください。
Q104. 社長個人の土地に会社の建物が建っています。何か届出は必要ですか?
契約書で将来その土地を無償で返還することを定めたうえで、土地の所有者と借地人が連名で「土地の無償返還に関する届出書」を提出していれば、権利金の認定課税は行われません(国税庁タックスアンサーNo.5730)。届出書を出しておらず、相当の地代も収受していない場合には、権利金を受け取ったものとして課税されることがあります。また届出書が提出されている場合、相続税の計算では貸宅地を自用地としての価額の100分の80で評価します。届出が漏れているケースは実務でよく見かけますので、一度ご確認ください。詳しくは社長の土地に会社の建物を建てるとき 借地権の認定課税と土地の無償返還に関する届出書をご覧ください。
Q105. 機械やソフトウエアを買うと、法人税が安くなる制度はありますか?
中小企業者等には中小企業投資促進税制中小企業経営強化税制があります。前者は計画の認定が不要で、1台160万円以上の機械装置などについて取得価額の30パーセントの特別償却7パーセントの税額控除を選べます(国税庁タックスアンサーNo.5433。税額控除は資本金3,000万円以下の法人が対象)。後者は経営力向上計画の認定を受けることで即時償却または7パーセント(特定中小企業者等は10パーセント)の税額控除が使えます(同No.5434)。いずれも税額控除の上限は調整前法人税額の20パーセントで、適用期限は令和9年3月31日です。なお令和8年度税制改正により、令和8年4月1日以後に取得等をする工具・器具備品の取得価額要件は30万円以上から40万円以上に引き上げられました。詳しくは設備投資で使える中小企業の2つの税制 中小企業投資促進税制と中小企業経営強化税制の選び方をご覧ください。
Q106. 取締役になっていない家族社員でも、税務上は役員として扱われることがありますか?
あります。法人税法上の役員には、取締役などの登記された役員のほか、使用人以外の者でその法人の経営に従事しているものや、同族会社の使用人のうち一定の持株要件をすべて満たし、かつ経営に従事しているものが含まれます(国税庁タックスアンサーNo.5200)。持株要件は、①所有割合が50パーセントを超える最初の株主グループに属していること、②その属する株主グループの所有割合が10パーセントを超えていること、③本人(配偶者等を含む)の所有割合が5パーセントを超えていること、の3つです。役員に当たると判断されると、賞与などの支給が役員給与のルールで判定されます。株主名簿と職務の実態の両面から、期首前に確認することをおすすめします。詳しくは役職がなくても税務上は「役員」になります みなし役員の3つの持株要件をご覧ください。
Q107. 経営セーフティ共済に入れば節税になりますか?
掛金は支出した事業年度に損金算入できますが(措法66の11①二)、解約したときの解約手当金は益金になります。つまり税負担がなくなるのではなく、課税の時期を先に送る仕組みです。掛金は月額5,000円から20万円まで、掛金残高800万円まで積むことができ、12か月以上納めていれば掛金総額の8割以上、40か月以上で全額が戻ります(中小機構)。効果を出すには、解約手当金が入る期に役員退職金など大きな損金を合わせる出口の設計が要ります。なお令和6年10月1日以後に解除があった後に再加入した場合、解除の日から2年を経過する日までに支出する掛金は損金になりません(措法66の11②)。詳しくは経営セーフティ共済は「出口」で決まります 掛金は損金・解約手当金は益金をご覧ください。
Q108. 会社で入っている保険を社長個人に名義変更したいのですが、いくらで評価しますか?
原則は支給時解約返戻金の額で評価します(所得税基本通達36-37)。ただし、支給時解約返戻金の額が支給時資産計上額の70パーセントに相当する金額未満である保険契約等に関する権利を支給した場合には、支給時資産計上額により評価します。解約返戻金が低い時期をねらって名義変更する手法に対応した取扱いで、令和3年7月1日以後に行う支給について適用されます。復旧することのできる払済保険に変更してから渡す場合にも、別の定めが置かれています。評価額の差はそのまま役員に対する経済的利益の額に響きますので、実行前にご相談ください。詳しくは会社の保険を社長個人へ名義変更するとき 低解約返戻金型は「資産計上額の70パーセント」が分かれ目ですをご覧ください。
Q109. 役員に賞与を出したいのですが、会社の経費にできますか?
役員に対する給与は、定期同額給与・事前確定届出給与・一定の業績連動給与のいずれにも該当しないと損金の額に算入されません(国税庁タックスアンサーNo.5211)。役員賞与を損金にするには、あらかじめ「事前確定届出給与に関する届出書」を提出しておく必要があります。届出期限は、原則として株主総会等の決議をした日から1か月を経過する日会計期間開始の日から4か月を経過する日のいずれか早い日です(新設法人は設立の日以後2か月を経過する日)。届け出た額と実際の支給額が異なると事前確定届出給与に該当しなくなりますので、支給の前にご相談ください。詳しくは役員賞与を損金にする事前確定届出給与 届出の期限と、支給額が1円でも違うと全額が損金不算入になる理由をご覧ください。
Q110. 決算賞与を決算日までに支払えません。今期の経費にできますか?
次の3つの要件をすべて満たせば、支給額の通知をした日の属する事業年度の損金にできます(国税庁タックスアンサーNo.5350)。①その支給額を各人別に、かつ同時期に支給を受けるすべての使用人に通知していること ②通知した金額を通知したすべての使用人に対し、事業年度終了の日の翌日から1か月以内に支払っていること ③その支給額につき通知をした日の属する事業年度において損金経理をしていることです。なお、支給日に在職する使用人のみに賞与を支給することとしている場合の通知は、ここでいう「通知」に該当しません。賞与規程に支給日在職者の条項があると使えませんので、決算期を迎える前にご確認ください。詳しくは決算賞与は決算日までに支払わなくても損金にできます 未払計上が認められる3つの要件をご覧ください。
Q111. 社員の食事代は、いくらまで会社が負担できますか?
役員や使用人に支給する食事は、①役員や使用人が食事の価額の半分以上を負担していること ②(食事の価額)-(本人が負担している金額)が1か月当たり7,500円(消費税および地方消費税の額を除きます)以下であることの2つをどちらも満たしていれば、給与として課税されません(国税庁タックスアンサーNo.2594・令和8年4月1日現在法令等)。現金で食事代を補助する場合は、深夜勤務者に1食当たり650円以下の金額を支給する場合を除き、補助する全額が給与として課税されます。残業や宿日直のときに支給する食事は、無料で支給しても課税しなくてよいこととされています。詳しくは社員の食事代は1か月7,500円まで会社が負担できます 社員旅行・人間ドックまで含めた福利厚生の線引きをご覧ください。
Q112. 社長に万一のことがあったとき、会社から出す死亡退職金や弔慰金に税金はかかりますか?
被相続人の死亡によって受け取る退職手当金等のうち、被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したものは、相続または遺贈により取得したものとみなされて相続税の課税対象になります。ただし、すべての相続人が取得した退職手当金等の合計額が500万円×法定相続人の数の非課税限度額以下であれば課税されません(国税庁タックスアンサーNo.4117)。弔慰金については、実質上退職手当金等に該当すると認められる部分を除き、業務上の死亡であるときは死亡当時の普通給与の3年分、業務上の死亡でないときは普通給与の半年分までが弔慰金等に相当する金額とされ、これを超える部分は退職手当金等として相続税の対象になります(同No.4120)。詳しくは社長に万一があったとき 死亡退職金の500万円×法定相続人と、弔慰金の非課税枠をご覧ください。
Q113. 保険料の負担が重いので、会社の生命保険を払済保険に変更しようと思います。税金はかかりますか?
課税関係が生じることがあります。法人が既に加入している生命保険をいわゆる払済保険に変更した場合には、原則として、その変更時における解約返戻金相当額と、その保険契約により資産に計上している保険料の額(資産計上額)との差額を、その変更した日の属する事業年度の益金の額または損金の額に算入することとされています(法人税基本通達9-3-7の2)。ただし、既に加入している生命保険の保険料の全額(特約に係る保険料の額を除きます)が役員または使用人に対する給与となる場合は、この限りではありません。また同通達の(注)1では、養老保険・終身保険・定期保険・第三分野保険・年金保険(特約が付加されていないものに限ります)から同種類の払済保険に変更した場合に、本文の取扱いを適用せず、既往の資産計上額を契約が終了するまで計上しているときは、これを認めるとされています。特約の有無や変更後の保険の種類で結論が変わりますので、変更の手続に入る前にご相談ください。詳しくは払済保険への変更は、その事業年度に益金または損金が立ちます 法人保険の見直しをご覧ください。
Q114. 小規模企業共済は、どのように受け取ると税金の扱いが変わりますか?
受け取り方によって所得の種類が変わります。事業をやめて一括で受け取る共済金は退職所得とされます(所得税法施行令72条3項3号イ)。任意に解約した場合は65歳が分かれ目で、65歳以上の共済契約者に支給される解約手当金は退職所得とされ(同号ロ)、国税庁の質疑応答事例では65歳未満の共済契約者に支給されるものは一時所得とされています。個人事業と同一の事業を営む会社を設立するため、その事業に係る金銭以外の資産の出資をすることにより事業を廃止した場合に、共済契約が解除されたものとみなされて支給される解約手当金も退職所得です(同号ハ)。一方、分割払の方法により支給される分割共済金は公的年金等に該当し、公的年金等に係る雑所得となります(同令82条の2第2項3号)。受け取る年が会社からの役員退職金と近いと、退職所得控除額の計算に調整が入ることもあります。受け取る前の試算が有効です。詳しくは小規模企業共済は受け取り方で税金が変わります 一括は退職所得・分割は公的年金等・65歳未満の任意解約は一時所得をご覧ください。
Q115. 従業員の退職金を中退共で準備しています。決算日までに払えなかった掛金を、未払金にして今期の損金にできますか?
できません。法人税基本通達9-3-1は、法人税法施行令135条各号に掲げる掛金、保険料、事業主掛金等の額について、現実に納付または払込みをしない場合には、未払金として損金の額に算入することができないと定めています。通常の経費は債務が確定していれば未払計上できますが、退職金共済の掛金にはその考え方が使えません。金額が失われるわけではなく、損金になる時期が翌期にずれます。決算対策として使うのであれば、決算日までに納付を済ませる必要があります。なお同通達の(注)は、独立行政法人勤労者退職金共済機構の退職金共済契約の場合にも、被共済者には、その法人の役員で部長、支店長、工場長等のような使用人としての職務を有している者が含まれるとしています。詳しくは従業員の退職金を掛金で準備する中退共 掛金は納付した事業年度の損金・受け取る側は退職所得ですをご覧ください。
Q116. 会社で養老保険に入ると、保険料の2分の1を損金にできると聞きました。条件はありますか?
受取人の設定と、被保険者の範囲の2つで結論が変わります。法人税基本通達9-3-4は、法人が自己を契約者とし役員または使用人を被保険者とする養老保険の保険料について、(1)死亡保険金・生存保険金の受取人がいずれも法人の場合は全額を資産計上、(2)いずれも被保険者またはその遺族の場合は全額がその役員・使用人に対する給与、(3)死亡保険金の受取人が被保険者の遺族で、生存保険金の受取人が法人の場合は2分の1を資産計上し残額を期間の経過に応じて損金、と定めています。2分の1を損金にできるのは(3)の形だけです。ただし同(3)にはただし書きがあり、役員または部課長その他特定の使用人(これらの者の親族を含む。)のみを被保険者としている場合には、その残額はその役員・使用人に対する給与になります。誰を被保険者にするかを決める前にご相談ください。詳しくは養老保険で従業員の退職金を準備する 2分の1が損金になる形と給与になる形をご覧ください。
Q117. 妻を取締役にしています。毎月の役員報酬とは別に賞与を出したいのですが、届出をしなくても経費にできますか?
使用人兼務役員に当たるかどうかで結論が変わります。国税庁は、使用人兼務役員とは役員のうち部長、課長、その他法人の使用人としての職制上の地位を有し、かつ常時使用人としての職務に従事する者をいうとしたうえで、代表取締役・副社長・専務・常務その他これらに準ずる職制上の地位を有する役員・監査役などは使用人兼務役員にならないとしています(タックスアンサーNo.5205)。同族会社では、さらに持株割合による3つの要件(50パーセントを超える株主グループに属する/その株主グループの所有割合が10パーセント超/本人と配偶者等の所有割合が5パーセント超)をすべて満たす役員も、使用人兼務役員になれません。使用人兼務役員に当たる場合、使用人としての職務に対する給与は役員給与の3類型に当てはまらなくても損金不算入の対象から外れますが、使用人分の賞与は、他の使用人に対する賞与の支給時期と異なる時期に支給すると損金に算入されません(法人税法施行令70条3号)。詳しくは使用人兼務役員になれる人と2つの条件 家族の役員賞与を損金にできる場合をご覧ください。
Q118. 会社名義でゴルフ会員権を買いました。入会金と年会費は経費になりますか?
入会金は原則として経費ではなく資産に計上します。国税庁は、法人会員として入会する場合の入会金は資産に計上し、資産に計上した入会金は償却が認められないとしています(タックスアンサーNo.5381)。ただし記名式の法人会員で、名義人である特定の役員または使用人が専ら法人の業務に関係なく利用するため、その者が負担すべきものと認められるときは、入会金相当額はその人に対する給与になります。年会費・年決めのロッカー料・名義書換料は、入会金が資産計上されていれば交際費、入会金が給与とされていればその人への給与です。プレー代は入会金の処理にかかわらず、業務の遂行上必要と認められれば交際費、そうでなければ給与になります。脱退して返還を受けられない入会金は、脱退した事業年度の損金になります。詳しくは会社でゴルフ会員権を買ったら経費になる?入会金は資産・年会費は交際費が原則をご覧ください。
Q119. 中小企業退職金共済に加入することにしました。これまでの分の退職金を、在職中の従業員にまとめて支払っても損金になりますか?
要件を満たす「打切支給」であれば、支払った事業年度の損金になります。国税庁の法人税基本通達9-2-35は、法人が中小企業退職金共済制度または確定拠出年金制度への移行、定年の延長等に伴い退職給与規程を制定または改正し、使用人に対して退職給与を打切支給した場合において、その支給をしたことにつき相当の理由があり、かつ、その後は既往の在職年数を加味しないこととしているときは、その支給した退職給与の額をその支給した日の属する事業年度の損金の額に算入するとしています。ポイントは2つです。ひとつは「相当の理由」があること、もうひとつはこれから先の退職金の計算で過去の在職年数を使わないことです。同通達の(注)は、打切支給したこととして未払金等に計上した場合はこの取扱いに含まれないと明記しています。決算対策として未払計上するだけでは認められません。詳しくは退職金の打切支給とは 辞めていない人に払っても損金になる3つの場面をご覧ください。
Q120. 同業者団体が主催する海外視察ツアーに社長が参加しました。旅行代金は全額を経費にできますか?
旅行日程のうち、業務に従事した割合に応じた金額だけが旅費になります。国税庁の法令解釈通達「海外渡航費の取扱いについて」(平成12年10月11日付 課法2-15ほか)は、同業者団体等が行う視察等のための団体による海外渡航について、その旅行に通常要する費用の額に業務従事割合を基礎とした損金等算入割合を乗じて計算した金額を旅費として損金に算入するとしています。業務従事割合は「視察等の業務に従事したと認められる日数 ÷(視察等の業務に従事したと認められる日数 + 観光を行ったと認められる日数)」で計算し、損金等算入割合はこれを10パーセント単位に区分(10パーセント未満の端数は四捨五入)したものです。損金等算入割合が90パーセント以上なら全額が旅費、10パーセント以下なら全額が旅費になりません。旅費とされなかった部分は、参加した役員または使用人に対する給与になります。旅行日程表と現地での行動記録が判断の資料になりますので、必ず保存してください。詳しくは海外視察旅行の費用はどこまで会社の経費か 観光を含む海外出張の旅費のあん分をご覧ください。
Q121. 社長が亡くなり、会社で社葬を行いました。費用は会社の経費になりますか?また、いただいた香典はどう扱えばよいですか?
社会通念上相当と認められる社葬について、通常要する部分の金額は損金になります。国税庁の法人税基本通達9-7-19は、法人がその役員または使用人が死亡したため社葬を行い、その費用を負担した場合において、その社葬を行うことが社会通念上相当と認められるときは、その負担した金額のうち社葬のために通常要すると認められる部分の金額は、その支出した日の属する事業年度の損金の額に算入することができるとしています。関門は「社会通念上相当か」と「通常要する部分か」の2つです。金額の基準や費目の一覧は通達にもタックスアンサーにも書かれておらず、会社の規模・故人の職務・参列者の範囲といった個別の事情から判断することになります。なお、会葬者が持参した香典等を法人の収入としないで遺族の収入とすることは認められています(同通達の(注))。会社の雑収入に立てる必要はありません。詳しくは社葬費用は会社の経費になるか 損金になる範囲と香典の取扱いを解説をご覧ください。
Q122. 地元の神社の祭礼に協賛金を出しました。全額を経費にできますか?
原則として法人税法上の「寄附金」となり、限度額を超える部分は損金になりません。国税庁タックスアンサーNo.5281・No.5262によれば、神社の祭礼等の寄贈金や、事業に直接関係のない団体への金銭の贈与は、原則として寄附金として扱われます。そして法人税法第37条第1項により、寄附金は支出した全額が損金になるのではなく、一定の限度額を超える部分の金額が損金の額に算入されません。ここで大切なのは、支出したときの名目では決まらないという点です。「寄附金」「拠出金」「見舞金」その他いずれの名義であっても、贈与や無償の供与であれば寄附金になります。逆に、事業の遂行と直接関係のある広告宣伝費、交際費等、接待費、福利厚生費とされるものは寄附金から除かれます。看板や社名入りの提灯が掲出されるなど、広告宣伝としての実質があるかどうかで区分が変わりますので、支出の前に内容を整理しておくことをおすすめします。詳しくは神社の祭礼への寄贈金や協賛金は経費になるか 法人の寄附金の損金算入限度額をご覧ください。
Q123. 決算前に4年落ちの中古車を買えば、購入額の全額をその期の経費にできると聞きました。本当ですか?
「4年落ちなら耐用年数2年・定率法の償却率1.000」というところまでは正しいのですが、その期に全額が損金になるとは限りません。国税庁タックスアンサーNo.5404の簡便法によれば、法定耐用年数6年の一般の乗用車を4年経過後に取得した場合、(6年-4年)+4年×20パーセント=2.8年となり、1年未満を切り捨てて2年です。平成24年4月1日以後に取得した資産の定率法の償却率は、耐用年数2年で1.000とされています(耐用年数省令 別表第十)。ただし落とし穴が2つあります。1つは償却限度額が、事業の用に供した月からの月割りになることです(法人税法施行令59条)。決算月に使い始めた車は、1年分ではなく12分の1しか損金になりません。もう1つは、平成19年4月1日以後に取得した減価償却資産では帳簿価額に1円が残ることです。さらに、減価償却はあくまで課税の繰延べですから、帳簿価額が下がった車を売れば、そのときに売却益が益金になります。詳しくは社用車を中古で買うと何年で経費になる? 中古資産の簡便法と期の途中の月割りをご覧ください。
Q124. 企業型確定拠出年金の掛金を、決算で未払金に計上して今期の損金にできますか?
できません。現実に納付するまでは損金になりません。会社が支出した企業型確定拠出年金の事業主掛金は、法人税法施行令135条3号により、支出した事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入されます。そのうえで法人税基本通達9-3-1は、同条各号に掲げる掛金等の額について「現実に納付又は払込みをしない場合には、未払金として損金の額に算入することができない」と定めています。決算日までに引落しが済んでいなければ、その事業年度の損金にはなりません。決算前には、その事業年度の掛金が何月分まで実際に引き落とされているか、残高不足などで引落しが飛んでいる月がないか、未払計上した掛金が決算書に残っていないかをご確認ください。この取扱いは企業型確定拠出年金に固有のものではなく、同じ135条各号に並ぶ中小企業退職金共済の掛金などにも共通します。なお掛金には拠出限度額の定めがあります(確定拠出年金法施行令11条・36条)。詳しくは企業型確定拠出年金の掛金は会社の損金 受け取りは退職所得か公的年金等ですをご覧ください。
Q125. 社員に払う通勤手当は、いくらまで所得税がかからないのですか?
通勤の方法によって限度額が決まっています。所得税法9条1項5号は「通常の給与に加算して受ける通勤手当」のうち政令で定めるものを非課税としており、その中身は所得税法施行令20条の2が定めています。電車・バスなどの交通機関だけを使う場合は、最も経済的かつ合理的な経路および方法による運賃等・定期券の価額で、1か月15万円が上限です。新幹線や特急列車の運賃等も、その経路・方法が最も経済的かつ合理的と認められる場合には非課税に含まれますが、グリーン料金は含まれません(国税庁タックスアンサーNo.2582)。マイカーや自転車の場合は片道の通勤距離で決まり、片道2キロメートル未満は全額課税、2キロメートル以上10キロメートル未満は月4,200円、以降は距離に応じて上がり、95キロメートル以上で月66,400円です(同No.2585)。一定の要件を満たす駐車場等の料金を負担しているときは、月5,000円を限度に上乗せできます(所得税法施行令20条の2第3号)。限度額を超えて支給した部分は、支給した月の給与に上乗せして源泉徴収します。なお、所得税が非課税でも、健康保険・厚生年金保険の標準報酬月額の計算では報酬に含まれます(日本年金機構)。詳しくは通勤手当はどこまで非課税か 電車は月15万円・マイカーは片道の距離で決まりますをご覧ください。
Q126. 妻や子を従業員として雇っています。給与はいくらまで経費にできますか?
金額の基準は法令にありません。ただし、役員の家族への給与だけは相当性を問われます。使用人に払う給与は原則として全額が損金ですが、法人税法36条は、役員と政令で定める特殊の関係のある使用人に支給する給与(債務の免除による利益その他の経済的な利益を含みます)のうち不相当に高額な部分を損金不算入としています。対象となる「特殊関係使用人」は、①役員の親族、②役員と事実上婚姻関係と同様の関係にある者、③①②以外で役員から生計の支援を受けているもの、④②③の者と生計を一にするこれらの者の親族です(法人税法施行令72条)。金額が相当かどうかは、その使用人の職務の内容、会社の収益の状況、他の使用人への支給の状況、同種の事業を営み事業規模が類似する法人の支給の状況に照らして判定します(同施行令72条の2)。退職給与は、業務に従事した期間・退職の事情・類似法人の支給状況で判定し、企業年金や中小企業退職金共済などからの給付も勘案されます(法人税基本通達9-2-42)。なお、その家族が税務上は役員(みなし役員)に当たる場合は、そもそも役員給与のルールが適用されます。詳しくは社長の家族に払う給与はいくらまで経費になる? 特殊関係使用人と過大な使用人給与をご覧ください。
Q127. 2社を経営しています。片方の社員をもう1社で働かせ、給与相当額を精算していますが、外注費として処理してよいですか?
外注費ではありません。給与として扱われます。法人税基本通達9-2-45は、出向元が給与を支給しているために出向先が自己の負担すべき給与に相当する金額(給与負担金)を出向元へ支出したときは、その給与負担金の額は出向先におけるその出向者に対する給与として取り扱うとしています。同通達の注書きは、実質的に給与負担金の性質を有する金額を経営指導料等の名義で支出する場合にも適用があるとしており、名目を変えても結論は変わりません。出向者が出向先で役員になっている場合は、(1)給与負担金の額について出向先の株主総会等の決議がされていること、(2)出向契約等で出向期間と給与負担金の額があらかじめ定められていること、のいずれにも該当するときに、出向先におけるその役員に対する給与の支給として法人税法34条が適用されます(同9-2-46)。この場合の事前確定届出給与の届出は出向先法人が行います。逆に、出向先の給与水準が低いために出向元が差額を補填した金額は、出向元の損金になります(同9-2-47)。詳しくはグループ会社に社員を出向させたときの給与 給与負担金・較差補填金・経営指導料をご覧ください。
Q128. 補助金をもらいました。そのまま税金がかかってしまうのでしょうか?
受け取った補助金は益金ですが、圧縮記帳を使えるとその期の課税を抑えられます。法人税法42条1項は、固定資産の取得または改良に充てるための国または地方公共団体の補助金等(国庫補助金等)の交付を受けた場合で、その返還を要しないことが事業年度終了の時までに確定しているときに、その事業年度終了の時までに取得または改良をした交付の目的に適合した固定資産について、交付を受けた国庫補助金等の額(圧縮限度額)の範囲内で帳簿価額を損金経理により減額するか、積立金として積み立てる方法により経理したときは、その金額を損金の額に算入するとしています。返還不要が期末までに確定していないときは、法人税法43条の特別勘定を設ける方法があり、確定した事業年度に取り崩して益金に算入します。注意点は3つあります。第一に、これは課税の免除ではなく先送りです。圧縮した分だけ以後の減価償却費が減ります。第二に、確定申告書に明細の記載がなければ適用できません(法人税法42条3項)。第三に、工場誘致条例などに基づく補助金で実質的に税の減免に代えて交付されたものは、そもそも国庫補助金等に該当しません(法人税基本通達10-2-4)。火災や事故の保険金で建物を建て直した場合にも、別に圧縮記帳の規定があります(法人税法47条)。詳しくは補助金をもらったら税金がかかる?圧縮記帳で課税を先送りできる仕組みと要件をご覧ください。
Q129. 機械をリースで導入すれば、毎月のリース料をそのまま経費にできますか?
いいえ。法人税法上のリース取引に当たる場合は、引渡しの時に売買があったものとされます。国税庁は、①リース期間中の中途解約が禁止されている(または未経過期間のリース料のおおむね全部を支払う)こと、②賃借人が資産からもたらされる経済的な利益を実質的に享受し、使用に伴って生ずる費用を実質的に負担すべきこととされていること、の両方を満たすものを法人税法上のリース取引とし、リース資産の引渡しの時に売買があったものとするとしています(国税庁タックスアンサーNo.5702)。したがって資産に計上して償却することになり、所有権移転外リース取引であれば償却方法はリース期間定額法です。さらに所有権移転外リース資産には、圧縮記帳・特別償却・少額の減価償却資産の損金算入・一括償却資産の損金算入の4つの制度が適用できません(同No.5704)。ただし中小企業投資促進税制については「特別償却の規定は適用できませんが、税額控除の規定は適用できます」とされています(同No.5433)。いわゆるオペレーティング・リースであれば、契約に基づき支払うこととされている金額のうち債務の確定した部分を損金に算入します(同No.5705)。詳しくは設備をリースで導入したときの税金 所有権移転外リースで使えない4つの制度をご覧ください。
Q130. 業績が悪くなりました。期の途中で自分の役員報酬を下げられますか?
下げること自体はできますが、損金になるかどうかは別の問題です。経費(損金)になる定期同額給与の範囲は法人税法施行令69条1項1号が定めており、期の途中の改定が認められるのは2つの事由に限られます。1つ目は臨時改定事由で、「当該事業年度において当該内国法人の役員の職制上の地位の変更、その役員の職務の内容の重大な変更その他これらに類するやむを得ない事情」による改定です(同号ロ)。国税庁は例として、定時株主総会後に社長が退任したことに伴い臨時株主総会の決議により副社長が社長に就任する場合や、合併に伴い職務の内容が大幅に変更される場合を挙げています(法人税基本通達9-2-12の3)。2つ目は業績悪化改定事由で、「当該事業年度において当該内国法人の経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由」による改定ですが、条文上「その定期給与の額を減額した改定に限り」とされています(同号ハ)。つまり業績悪化を理由に増額することはできません。さらに通達は、この事由には「法人の一時的な資金繰りの都合や単に業績目標値に達しなかったことなどはこれに含まれない」と明記しています(同9-2-13)。原則は、会計期間開始の日から3か月を経過する日までにする通常改定です(同号イ)。詳しくは期の途中で役員報酬を変えられる2つの事由 ― 臨時改定事由と業績悪化改定事由をご覧ください。
Q131. 決算月を変えることはできますか?何か手続きが要りますか?
変えられます。会社側で定款等に定める会計期間を変更したうえで、税務署への届出が必要です。法人税法13条1項は、事業年度とは「法人の財産及び損益の計算の単位となる期間」で、法令で定めるものまたは法人の定款、寄附行為、規則、規約その他これらに準ずるもの(定款等)に定めるものをいう、としています。つまり決算月は法律で固定されているのではなく、会社が定款等で決めているものです。ただし同項ただし書きにより、その期間が1年を超える場合は、開始の日以後1年ごとに区分した各期間(最後に1年未満の期間を生じたときはその期間)とされるため、1年を超える事業年度は作れません。変更したときは、法人税法15条により「遅滞なく、その変更前の会計期間及び変更後の会計期間…を納税地の所轄税務署長に届け出なければならない」とされています。実際の手続は国税庁の「C1-8 異動事項に関する届出」で、提出時期は異動等後速やかに、提出先は異動前の納税地の所轄税務署長、添付書類はなし(ただし内容確認のため定款等の写しを確認される場合があります)とされています。提出はe-Taxソフトで作成・提出するか、書面なら1部を持参または送付します。なお変更した期は1年未満の事業年度になり、役員報酬を決める期限(定期同額給与の通常改定は会計期間開始の日から3か月を経過する日まで)も連動して動きます。詳しくは決算期(事業年度)は変えられます ― 手続と、変更した期に起きることをご覧ください。

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