お客様からよくいただくご質問にお答えします。

A. 初回相談・お問い合わせについて

Q1. 初回相談は本当に無料ですか?
はい、初回相談は完全無料です。20分程度お時間をいただき、お悩みやご状況を丁寧にヒアリングさせていただきます。無理な営業は一切いたしませんので、安心してご相談ください。
Q2. 代表は本当に直接対応してくれますか?
はい、ご相談から申告書の提出まで代表(公認会計士・税理士)が一貫して対応します。職員任せにすることはありません。
Q3. 全国対応は可能ですか?
はい、Zoom等のオンラインツールで全国対応しております。資料の郵送・電子データのやり取りで申告完結可能です。
Q4. 土日や夜間でも相談できますか?
事前にお問い合わせいただければ、できる限り日程調整をさせていただきます。お気軽にご相談ください。
Q5. 営業時間を教えてください。
平日11:00〜19:00です(土日祝日はお休みです)。お問い合わせフォームは24時間受け付けており、2日以内に代表からご返信します。土日や夜間のご相談は、事前にご連絡いただければできる限り日程を調整します。
Q6. 事務所はどこにありますか?来所は必要ですか?
〒105-0013 東京都港区浜松町1-3-2にあります(JR浜松町駅・都営 大門駅から徒歩6分)。ご相談から資料のやり取り、申告まですべてオンラインで完結しますので、ご来所いただく必要はありません。対面でのご相談をご希望の場合は、お問い合わせの際にお知らせください。
Q7. 相談はどのような方法で行いますか?
Web会議(Zoomなど)・お電話・メールからお選びいただけます。資料は郵送のほか、スマホで撮影した画像やPDFをアップロードしてお送りいただけます。
Q8. 相談の内容や預けた資料の秘密は守られますか?
はい。税理士は税理士法第38条、公認会計士は公認会計士法第27条により、業務で知り得た秘密を守る義務を負っています。ご相談の内容やお預かりした資料が、法令に基づく場合を除いて外部に開示されることはありません。個人情報の取扱いはプライバシーポリシーをご覧ください。
Q9. 無理な営業はされますか?
いいえ、無理な営業は一切行いません。ご相談後、ご納得いただいてからご契約となります。
Q10. 相談で何を話せばいいか、まとまっていません。
まとまっていない段階のご相談こそ歓迎です。「いま困っていること」をそのままお話しください。整理して論点に分けるのは、こちらの仕事です。
Q11. 離れて暮らす親の確定申告を、子どもから依頼することはできますか?
はい、弊所ではご家族からのご依頼も受け付けています。申告書は親ご本人の申告として提出し、ご家族は書類集めや連絡の窓口を担えます。税理士が代理するときは、親ご本人の委任を証する税務代理権限証書を税務署に出します(税理士法30条)。そのため、ご依頼の前に親ご本人の同意を確かめます。還付金は、原則として親ご本人の氏名のみの口座で受け取るよう国税庁が案内しています。詳しくは親の確定申告を子どもが代わりに頼むとき 離れて暮らす親の書類と依頼の流れで解説しています。

B. 料金・お支払いについて

Q12. 確定申告の費用相場はいくらですか?
確定申告の料金は、基本料金32,000円(税別・税込35,200円)+申告内容に応じた加算で決まります(最低料金65,000円・税別、税込71,500円)。例えば、売上300万円の個人事業主の方(その他控除セットを含む)は77,000円(税込84,700円)、家賃収入100万円の会社員の方(給与所得・その他控除セットを含む)は79,000円(税込86,900円)です(いずれも通常価格・税別)。⚡ 60秒見積りで、あなたの場合の概算をその場でご確認いただけます。
Q13. 個人の確定申告の10%OFFは、いつまでですか?
令和8年12月31日までにお申込みいただいた方が対象です。令和9年1月1日以降のお申込みは、通常料金になります。10%OFF後の合計が最低料金65,000円(税別・税込71,500円)に満たない場合は、65,000円でお引き受けします。この期限は個人の確定申告の料金に限ります(法人の料金は法人料金ページをご確認ください)。⚡ 60秒見積りで、あなたの場合の料金をその場でご確認いただけます。
Q14. 法人顧問料はいくらですか?
月額43,000円〜(税別・プランにより)。決算申告は別途108,000円〜(税別・売上規模により)です。詳細は法人料金ページをご確認ください。
Q15. 期限が迫っていますが対応可能ですか?
期限内であれば最優先対応いたします。期限間際は追加料金(緊急対応料)が発生する場合があります。
Q16. 期限後申告でも依頼できますか?
はい、対応可能です。お早めにご相談ください。
Q17. 料金の支払い方法は?
銀行振込にてお願いしております。法人顧問の場合は口座振替も可能です。
Q18. お見積りの後に、追加料金がかかることはありますか?
ご依頼の前にお見積りをお出しします。ご依頼の後に申告する内容が増えた場合など、追加の料金が必要になるときは、必ず作業の前にご説明し、ご了承をいただいてから進めます。
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Q19. 不動産を複数件売却・保有しています。料金は物件ごとにかかりますか?
物件ごとの料金の合計に「複数物件割引」を適用します。不動産所得・不動産譲渡所得とも、2物件の場合は該当カテゴリの料金総額から20%OFF、3物件以上の場合は25%OFFです(不動産譲渡所得は特例加算も割引対象)。⚡ 60秒見積りは最大5物件まで対応しており、物件ごとに入力すると割引後の概算がその場で分かります。6物件以上お持ちの場合は個別にご相談ください。
Q20. 確定申告を税理士に頼むなら、いつまでに依頼先を決めればよいですか?
令和8年分の申告と納付の期限は、原則として令和9年3月15日です(タックスアンサーNo.2020)。源泉徴収票などは原則として1月31日までに交付され、2月に届く予定の書類もあります。年内に依頼先を決めると、届いた書類から順に確認を進められ、12月31日までの手当ても所得の見込みで選べます。期限後の申告では、55万円・65万円の青色申告特別控除を受けられません(No.2072)。詳しくは確定申告を税理士に頼むならいつまでに決める? 2月に入ってから探すときの注意点で解説しています。

C. 確定申告について

Q21. 必要書類が揃っていなくても相談できますか?
はい、お持ちの資料だけでもご相談いただけます。ご契約後は必要書類リストもお渡しします。
Q22. 領収書がぐちゃぐちゃ・袋に入ったままでも依頼できますか?
はい、大丈夫です。むしろ、その状態から整えるのが私たちの仕事です。「こんな状態で恥ずかしい」と皆さまおっしゃいますが、整理の途中でご自身を責める必要はまったくありません。そのままお持ちください。
Q23. 不動産売却の取得費が不明な場合は?
合理的な算定方法で対応可能です。詳細は不動産譲渡LPをご覧ください。
Q24. 副業の確定申告も対応してもらえますか?
はい、副業(フリーランス・YouTuber等)の確定申告も多数実績があります。
Q25. RSU・ESPP・ストックオプションの申告は?
外資系勤務の方のRSU・ESPP・ストックオプション申告も対応しております。
Q26. 申告完了までどのくらいかかりますか?
必要書類が揃ってから2〜3週間が目安です。期限が近い場合は最優先対応いたします。
Q27. 自分で申告するのと、税理士に頼むのは何が違うのですか?
大きな違いは「最終確認の有無」です。ご自身の申告では「これで合っているのか」という不安が提出後も残りがちですが、税理士が作成・確認した申告は、根拠を持って提出できます。また、適用できる控除・特例の見落とし(払い過ぎ)を防げます。
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Q28. 不動産を売却しましたが、購入時の契約書が見つかりません。取得費はどうなりますか?
まず概算取得費(譲渡価額の5%)での計算になりますが、これは最後の手段です。住宅ローンの契約書、抵当権設定登記、分譲時のパンフレット、通帳の出金記録などから合理的に算定できる場合があります。国税不服審判所 平成12年11月16日裁決では、市街地価格指数による推計が合理的と認められた事例もあります。ただし、どのような資料でも認められるわけではなく、合理性の判断には専門的な検討が必要です。詳しくは不動産売却で取得費がわからない?概算取得費5%で損しないための合理的算定法をご覧ください。
Q29. 相続した実家を売却しました。使える特例はありますか?
いわゆる「空き家の3,000万円特別控除」(措置法35条3項)と「取得費加算の特例」のいずれかを選択できる場合があります。両者は併用できないため、どちらが有利かの試算が必要です。空き家特例は昭和56年5月31日以前の建築であること、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までの譲渡であること、売却代金が1億円以下であることなど要件が細かく定められています。詳しくは相続した実家を売却したら税金はいくら?空き家3,000万円控除と取得費加算の使い分けをご覧ください。
Q30. 副業をしています。20万円を超えなければ申告は不要ですか?
いわゆる「20万円ルール」は、確定申告をしなくてよい場合の決まりです。給与の収入が2,000万円以下で、1か所から受ける給与の全部が源泉徴収の対象の方が使えます。給与と退職金以外の所得が20万円以下なら、原則として所得税の申告は不要です。同族会社の役員などが会社から利子や賃貸料を受け取る場合は使えません。給与が2か所以上の方は、条件が変わります。医療費控除やふるさと納税で確定申告をする場合は、20万円以下の副業所得も申告に含める必要があります。確定申告をしない場合は、原則として住民税の申告が別に必要です。詳しくは副業の確定申告はいくらから必要?「20万円ルール」の正しい理解と落とし穴をご覧ください。
Q31. RSUやストックオプションがあります。申告は複雑ですか?
課税のタイミングと所得区分が論点になります。RSUは権利確定時に給与所得として課税され、売却時に譲渡所得として再度課税されます。外国株式の場合は為替換算や外国税額控除の検討も必要です。当事務所は外資系企業にお勤めの方の申告実績があります。詳しくはRSU・ストックオプションの確定申告は必要? 課税の時期と取得費の注意点をご覧ください。
Q32. ひとり親控除や寡婦控除は、どんなときに使えますか?
ひとり親控除は35万円で、事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる一定の人がいないこと、生計を一にする子がいること、合計所得金額が500万円以下であることの3つをすべて満たす方が対象です(国税庁タックスアンサーNo.1171)。令和9年分からは、控除額が38万円に引き上げられます。子の要件は、その年分の総所得金額等が62万円以下(令和8年分から)であることです。令和7年分は58万円以下です。他の人の同一生計配偶者や扶養親族になっていないことも必要です。ひとり親に当てはまらない方でも、寡婦控除27万円を受けられる場合があります(同No.1170)。離婚の場合は扶養親族がいることが必要ですが、死別の場合は扶養親族の要件がありません。いずれも、年末調整か確定申告で申告しなければ受けられない控除です。詳しくはひとり親控除と寡婦控除はどちらを使える? 条件の違いと減る税金を図で確認をご覧ください。
Q33. マイホームの買換え特例を使いました。売った金額より安い家に買い換えても税金はかかりませんか?
差額に対して税金がかかります。買換え特例は非課税ではなく課税の繰延べで、繰延べが全額に及ぶのは売った金額以上の家に買い換えた場合です。国税庁は、売った金額より買い換えた金額が少ないときは、収入金額=売った金額-買い換えた金額、必要経費=(売ったマイホームの取得費+譲渡費用)×(収入金額÷売った金額)、譲渡所得=収入金額-必要経費で計算するとしています(国税庁タックスアンサーNo.3358、租税特別措置法36条の2・同施行令24条の2)。同ページの具体例では、売った金額1億円・買い換えた金額7,000万円・取得費1,000万円・譲渡費用500万円のとき、収入金額3,000万円、必要経費450万円、譲渡所得は2,550万円となります。取得費と譲渡費用は全額ではなく按分した分しか引けない点にご注意ください。また、この特例と3,000万円の特別控除の特例や軽減税率の特例は重ねて受けられません。売る前に両方で試算しておく必要があります。詳しくは買換え特例で安い家に住み替えたら税金がかかります 売った金額との差額に課税される仕組みをご覧ください。
Q34. 転勤で自宅を空き家にしたまま数年たちました。売るときに3,000万円特別控除は使えますか?
期限があります。住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る必要があります。国税庁は、過去に住んでいたマイホームでも、(1)売った家屋が自分が所有者として住んでいたものであること、(2)住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までにその家屋を売るか、家屋とともにその敷地等を売ること、のいずれにも当てはまるときは適用が受けられるとし、「この期間を過ぎてから売った場合にはこの特例の適用を受けることはできません」と明記しています(国税庁タックスアンサーNo.3314)。3年後の同じ日ではなくその年の12月31日が期限である点、判定は譲渡の日で行う点にご注意ください。また、空けていた間に人に貸していても構いません。国税庁は以前に住んでいた家屋について「その家屋は、住まなくなった日以後、どのような用途に使用してもかまいません」としています(同No.3302)。ただし家屋を取り壊して敷地だけを売る場合は条件が変わり、取壊しから1年以内の譲渡契約であること、取り壊してから契約日まで貸駐車場などその他の用に供していないことが必要です。詳しくは空き家にした自宅は3年で3,000万円控除が切れます 住まなくなった日からの数え方と、貸していた場合をご覧ください。
Q35. 別荘を売りました。マイホームの3,000万円特別控除は使えますか?
使えません。国税庁は「マイホームを売ったときの特例」の適用除外として、「別荘などのように主として趣味、娯楽または保養のために所有する家屋」を明記しています(国税庁タックスアンサーNo.3302)。税法上も、通常自分および生計を一にする親族が居住の用に供しない家屋で主として趣味、娯楽または保養の用に供する目的で所有するものは「生活に通常必要でない資産」とされています(所得税法施行令178条1項2号)。したがって税額は、譲渡価額から取得費と譲渡費用を差し引いた譲渡所得に、長期(譲渡した年の1月1日で所有期間5年超)なら所得税15パーセント・住民税5パーセント、短期なら所得税30パーセント・住民税9パーセントを乗じて計算します(同No.3208・No.3211。復興特別所得税として所得税額の2.1パーセントが加わります)。売却して損が出た場合も、給与所得や事業所得と損益通算することはできません(同No.3203、所得税法69条2項)。マイホーム向けの譲渡損失の特例も居住用財産が前提のため使えません。特例が使えない分、取得費と譲渡費用を漏れなく積み上げることが税額を左右します。詳しくは別荘・セカンドハウスを売ったときの税金 3,000万円特別控除が使えない理由と損の扱いをご覧ください。
Q36. 相続した実家に自分が住んでから売ります。空き家の3,000万円控除は使えますか?
使えません。ただし、マイホームの3,000万円特別控除の対象になり得ます。被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例は、その家屋や敷地が「相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付けの用または居住の用に供されていたことがないこと」を要件としています(国税庁タックスアンサーNo.3306)。相続人が住んだ時点でこの要件を満たさなくなります。一方で、自分が住んだ家は「現に自分が住んでいる家屋」に当たり、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の対象になり得ます。住まなくなってから売る場合も、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売れば対象です(同No.3302)。ただし同特例には適用除外があり、「この特例の適用を受けることだけを目的として入居したと認められる家屋」や一時的な目的で入居したと認められる家屋は対象外です。また、相続で取得した資産は引き続き所有していたものとみなされ、取得費と取得の時期を被相続人から引き継ぎます(所得税法60条1項1号)。そのため所有期間が10年を超えていれば軽減税率の特例(課税長期譲渡所得金額6,000万円以下の部分は所得税10パーセント・住民税4パーセント)を3,000万円の特別控除と重ねて受けられます(同No.3305)。どちらの特例を使うかで税額は変わりますので、住む前・売る前にご確認ください。詳しくは相続した実家に自分が住んでから売ったとき 使える特例が入れ替わりますをご覧ください。
Q37. 住宅ローンが残っている家を子どもに贈与します。お金を受け取らないので税金はかかりませんか?
贈与した側にも所得税がかかる場合があります。受贈者に一定の債務を負担させることを条件にした財産の贈与を負担付贈与といいます。国税庁は、負担付贈与があった場合には、贈与者は負担額に相当する金額で贈与財産を譲渡したことになるため、譲渡益が生じるときは所得税の対象になるとしています(国税庁タックスアンサーNo.4426)。対価を1円も受け取っていなくても同じです。譲渡とは有償無償を問わず所有資産を移転させる一切の行為をいい、通常の売買のほか交換、代物弁済、財産分与、収用なども含まれます(同No.3105)。もらった側にも税金があります。個人から負担付贈与を受けた場合には、贈与財産の価額から負担額を控除した価額に贈与税が課税されます。ここで注意が要るのが「贈与財産の価額」の見方です。土地や借地権・家屋・構築物などの場合は、その贈与の時における「通常の取引価額」に相当する金額から負担額を控除した価額によります(それ以外の財産は相続税評価額から負担額を控除した価額です)。路線価などによる相続税評価額はこれより低くなることが一般的ですので、「路線価とローン残高がほぼ同じだから贈与税は出ない」という見立ては土地では通りません。なお、負担額が第三者の利益に帰す場合は、その第三者が負担額に相当する金額を贈与により取得したことになります。名義を移す前に、贈与した側の譲渡所得まで試算されることをおすすめします。詳しくは住宅ローンが残る家を贈与すると あげた側に譲渡所得税がかかりますをご覧ください。
Q38. 売る前に妻へ持分を贈与すれば、3,000万円特別控除を2人分使えますか?
おしどり贈与という制度自体はありますが、「売るための贈与」は要件とぶつかります。婚姻期間が20年以上の夫婦の間で居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、贈与税の申告をすることにより基礎控除額110万円のほかに最高2,000万円まで控除(配偶者控除)できます(国税庁タックスアンサーNo.4452)。適用要件は3つで、(1)夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われたこと、(2)贈与された財産が居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭であること、(3)贈与を受けた年の翌年3月15日までにその居住用不動産に現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること、です。売却を前提に持分だけを移す形は、この(3)と正面からぶつかります。譲渡所得の側にも定めがあり、マイホームを売ったときの3,000万円特別控除は「この特例の適用を受けることだけを目的として入居したと認められる家屋」を適用除外としています(同No.3302)。さらに、贈与でもらった不動産の取得費と取得の時期は贈与した人から引き継ぎます。所得税法60条1項1号が「その者が引き続きこれを所有していたものとみなす」と定めているためで、贈与しても譲渡益そのものは減りません。贈与税がかからない結果になっても、登録免許税・不動産取得税は別途かかります。なお配偶者控除は同じ配偶者からの贈与については一生に一度しか適用を受けられません。順序と時期で結論が変わりますので、動かす前にご相談ください。詳しくは妻に持分を贈与してから売れば3,000万円控除は2人分?おしどり贈与と売却をご覧ください。
Q39. 売買契約を結んだあと、引渡しの前に売主だった父が亡くなりました。どうなりますか?
相続財産は不動産ではなく「残代金請求権」になり、譲渡所得は誰の申告にするかを選べます。国税庁の質疑応答事例は、売買契約の締結後、引渡しの日前に売主に相続が開始した場合、相続または遺贈により取得した財産はその売買契約に基づく相続開始時における残代金請求権(未収入金)になるとしています。その評価は財産評価基本通達204の貸付金債権の評価によります(買主が亡くなった場合は、引渡請求権等が相続財産となり、残代金支払債務を承継します)。譲渡所得のほうは、収入すべき時期が引渡しがあった日が原則で、契約の効力発生の日(通常は契約締結の日)も選択できます(所得税基本通達36-12)。この選択が「誰の申告か」を決めます。契約日を選べば亡くなった方の譲渡所得となり準確定申告に、引渡日を選べば相続人の譲渡所得になります。そして使える特例が入れ替わります。国税庁の質疑応答事例は、居住用財産の譲渡所得の特別控除の特例等は譲渡資産がその譲渡者の居住の用に供されていたものである場合に適用されるとしたうえで、契約の効力発生の日により総収入金額に算入することを選択するとき、すなわち被相続人の譲渡所得として申告するときは、特別控除の特例等の適用を受けることができるとしています。一方、相続人が引渡しがあった日として申告するときは、相続税額の取得費加算の特例(租税特別措置法39条)を適用して差し支えないとされています。どちらが有利かは、亡くなった方がそこに住んでいたか、相続税をいくら納めるかで変わります。準確定申告の期限は相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月で、相続税の申告期限より早く来ます。詳しくは売買契約のあと、引渡しの前に売主が亡くなったら 相続税と譲渡所得はこう分かれますをご覧ください。
Q40. 配偶者居住権を手放してお金を受け取りました。買ったものではないので税金はかかりませんか?
かかる場合があります。対価を受け取れば譲渡所得の収入金額になります。所得税基本通達33-6の8は、配偶者居住権または配偶者居住権の目的となっている建物の敷地の用に供される土地をその配偶者居住権に基づき使用する権利(敷地利用権)の消滅につき対価の支払を受ける場合における当該対価の額は、所得税法施行令95条に規定する譲渡所得に係る収入金額に該当するとしています。同令95条は、契約に基づき譲渡所得の基因となるべき資産が消滅したことに伴い一時に受ける補償金その他これに類するものの額を譲渡所得の収入金額とする規定です。大事なのは取得費がゼロではないことです。所得税法60条3項は、相続または遺贈により取得した配偶者居住権が消滅したときについて、その権利を取得した時に建物を譲渡したとしたならば計算される取得費のうち配偶者居住権の価額に相当する金額に対応する部分として政令で定めるところにより計算した金額により取得したものとし、そこから配偶者居住権の存続する期間を基礎として政令で定めるところにより計算した金額を控除した金額を取得費とすると定めています(この場合、建物の減価の額を控除する同法38条2項は適用しません)。敷地利用権についても同項2号に同様の定めがあります。あわせて、建物・土地を売る所有者側の取得費も減ります。同条2項により、配偶者居住権が設定されていないとしたならば計算される取得費から、配偶者居住権(敷地利用権)の取得費とされる金額を控除するためです。つまり取得費は2人で分け合う形になり、配偶者と所有者をセットで計算する必要があります。権利の価額は相続税法23条の2により評価し(国税庁タックスアンサーNo.4666)、建物の相続税評価額をもとに耐用年数・経過年数・存続年数(配偶者の平均余命)と複利現価率を使って計算します。詳しくは配偶者居住権がついた実家を売るとき 配偶者が対価を受け取ると譲渡所得になりますをご覧ください。
Q41. 特別控除で税金がゼロになります。確定申告はしなくてよいですか?
申告が必要です。特例は「確定申告書に書いて初めて」使えるためです。租税特別措置法35条12項は、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除について、「その適用を受けようとする者の……確定申告書に、同項の規定の適用を受けようとする旨その他の財務省令で定める事項の記載があり、かつ、当該譲渡による譲渡所得の金額の計算に関する明細書その他の財務省令で定める書類の添付がある場合に限り、適用する」と定めています。国税庁タックスアンサーNo.3302も、手続きとして「この特例の適用を受けるためには、一定の書類を添えて確定申告をすることが必要です」とし、確定申告書に譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)[土地・建物用] を添えて提出するとしています。所有期間10年超の軽減税率(同法31条の3第3項)や、相続税額の取得費加算(同法39条2項)にも同じ構造の申告要件があります。期限を過ぎてしまった場合でも、あきらめる必要はありません。所得税法2条1項37号は「確定申告書」を定義するにあたり、「(当該申告書に係る期限後申告書を含む。)」と明記しています。つまり期限後に提出する申告書も条文上の「確定申告書」に当たります。さらに同法35条13項は、確定申告書の提出がなかった場合や記載・添付がなかった場合でも、税務署長がやむを得ない事情があると認めるときは、書類の提出があった場合に限り特例を適用することができるという宥恕の定めを置いています。一方で、すでに提出した申告書を後から直す更正請求書は、同法2条1項40号の2で確定申告書とは別のものとして定義されており、扱いが同じとは限りません。どの手続で直せるかは個別の確認が必要です。詳しくは税金がゼロでも申告が必要 3,000万円控除は確定申告書に書いて初めて使えますをご覧ください。
Q42. 土地を提供してマンションの部屋を受け取りました(等価交換)。現金は入っていませんが税金はかかりますか?
原則は課税されますが、要件を満たせば課税を先に延ばせる特例があります。租税特別措置法37条の5「既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換え及び交換の場合の譲渡所得の課税の特例」です。同条1項は、譲渡資産を譲渡した場合において、その譲渡の日の属する年の12月31日までに買換資産の取得(建設を含みます)をし、かつ取得の日から1年以内にその資産を居住の用または事業の用に供したとき(供する見込みであるとき)は、「当該譲渡による収入金額が当該買換資産の取得価額以下である場合にあつては当該譲渡資産の譲渡がなかつたものとし」、超える場合はその超える金額に相当する部分の譲渡があったものとして課税する、と定めています。対象になる土地等は、政令等で定める区域(既成市街地等など)内にあり、その敷地の上に地上階数4以上の中高層耐火建築物(特定民間再開発事業の場合)または地上階数3以上の中高層の耐火共同住宅を建築する事業の用に供するために譲渡されるものに限られます。区域の範囲は物件の所在地ごとに確認が必要です。なお、措置法通達37の5-1は、この第2号の譲渡資産について事業の用または居住の用に供されていたものであるかどうかを問わないとしており、空閑地でも対象になり得ます。大事なのは、これが非課税ではなく課税の繰延べだという点です。同条4項により、買換資産の取得価額は譲渡した資産の取得価額等を引き継ぐため、受け取った部屋を将来売るときに、繰り延べた分が表に出てきます。詳しくは等価交換でマンションを受け取ったとき 立体買換えの特例で課税が繰り延べられますをご覧ください。
Q43. 不動産を売った年は給与が少なく、医療費控除や社会保険料控除を引ききれません。譲渡所得から引けますか?
引けます。所得控除は総所得金額から先に控除し、引ききれない分を分離課税の譲渡所得から控除します。所得税法87条は所得控除を総所得金額、山林所得金額、退職所得金額から順次控除すると定め、租税特別措置法31条3項3号は、長期譲渡所得について同法87条を適用する際に「総所得金額」を「総所得金額、長期譲渡所得の金額」と読み替えるとしています(短期譲渡所得は同法32条4項の準用)。たとえば総所得金額100万円・所得控除150万円・長期譲渡所得2,000万円の年なら、引ききれない50万円を譲渡所得から控除でき、課税長期譲渡所得金額は1,950万円になります(税率20.315パーセントで約10万円の差)。住民税も地方税法附則34条に同じ趣旨の定めがあります。譲渡所得の内訳書だけを作って第一表・第三表の所得控除欄を埋め忘れる、年金から天引きされた社会保険料を入れ忘れる、といった漏れが多い箇所です。詳しくは不動産を売った年の所得控除 給与から引ききれない分は譲渡所得から引けますをご覧ください。
Q44. 親から相続時精算課税で贈与を受けた土地を売ります。取得費は贈与を受けたときの価額ですか?
いいえ。贈与を受けたときの価額ではなく、親がその土地を買ったときの取得費と取得時期をそのまま引き継ぎます。所得税法60条1項は、贈与、相続又は遺贈により取得した資産を譲渡した場合、その者が引き続きこれを所有していたものとみなすと定めています。相続時精算課税は、贈与時に特別控除2,500万円(相続税法21条の12)を超える部分に一律の税率で贈与税を納め、贈与者の相続時にその贈与財産を相続税の課税価格に加算して精算する制度で、基礎控除は相続税法21条の11の2の60万円と租税特別措置法70条の3の2により令和6年1月1日以後は110万円です。納めた贈与税は取得費に含まれる税金として国税庁が挙げているものに入っていません(タックスアンサーNo.3252)。相続税額の取得費加算(同法39条)は、贈与者の存命中は相続税額がないため使えず、贈与者の死亡後に相続税の課税価格に算入されたあとであれば、申告期限の翌日以後3年以内の売却について適用の余地があります。詳しくは相続時精算課税でもらった不動産を売るとき 取得費と取得時期は親から引き継ぎますをご覧ください。
Q45. 土地を貸して権利金を受け取りました。譲渡所得になる場合、取得費はどう計算しますか?
土地全体の取得費のうち、権利金に対応する部分だけを按分して使います。権利金は原則として不動産所得ですが、その土地の時価の2分の1(地下又は空間に限った権利や一定の地役権なら4分の1)を超えると資産の譲渡とみなされ、譲渡所得になります。このとき控除できる取得費は、所得税法施行令174条1項により土地の取得に要した金額及び改良費の額の合計額×権利金÷(権利金+底地としての価額)で計算します。底地としての価額が明らかでなく、その設定により支払を受ける地代があるときは、地代の年額の20倍に相当する金額を使えます。たとえば取得費3,000万円の土地について権利金5,000万円・地代年額120万円なら、取得費は3,000万円×5,000万円÷7,400万円=約2,027万円にとどまります(一定の前提を置いた目安です)。2回目以降の設定では、前回控除した取得費を差し引いた残額が計算の元になります(同条2項・3項)。詳しくは借地権を設定して権利金を受け取ったとき 取得費は土地の取得費を按分しますをご覧ください。
Q46. 遺留分侵害額を請求されました。お金がないので不動産を渡そうと思いますが、税金はかかりますか?
渡した側に譲渡所得税がかかります。現金を受け取っていなくても課税されます。民法1046条1項により、遺留分侵害額の請求は「遺留分侵害額に相当する金銭の支払」を求める権利です。金銭の支払に代えて不動産を移転することは代物弁済にあたり、国税庁の質疑応答事例「遺留分侵害額の請求に基づく金銭の支払に代えて土地を移転した場合の課税関係」は「代物弁済に該当しますので、甲に対して譲渡所得課税を行うことになります」と回答しています。所得税基本通達33-1の6も、その履行により消滅した債務の額に相当する価額で資産を譲渡したこととなると定めています。つまり収入金額は時価ではなく、消滅した遺留分侵害額です。受け取った側は、所得税基本通達38-7の2により消滅した債権の額に相当する価額で取得したことになります。さらに相続税のほうも動きます。相続税法32条1項3号は「遺留分侵害額の請求に基づき支払うべき金銭の額が確定したこと」を更正の請求の事由としており、期限はその事由が生じたことを知った日の翌日から4か月以内です。金銭で払うか不動産で払うかは、先に税額を並べて比べるべき判断です。詳しくは遺留分侵害額を不動産で支払うと譲渡所得税がかかります 代物弁済の落とし穴をご覧ください。
Q47. 不動産を売って3月に所得税を納めました。住民税もかかりますか?
かかります。納付は翌年6月からです。土地建物の譲渡所得に対する住民税は、地方税法附則34条が長期譲渡所得について道府県民税「百分の二」・市町村民税「百分の三」(合計5パーセント)、附則35条が短期譲渡所得について「百分の三・六」「百分の五・四」(合計9パーセント)と定めています。課税長期譲渡所得金額が2,000万円なら住民税は1,000,000円、同じ金額が短期なら1,800,000円です。納期について地方税法320条は「六月、八月、十月及び一月中(…)において、当該市町村の条例で定める」としており、給与から天引きされる場合は321条の5第1項により「十二分の一の額を六月から翌年五月まで」となります。大阪市は「所得のあった翌年度に、前年中の所得等に基づき税額を決定する制度となっており、納付時期の所得状況などにかかわらず納めていただくこととなります」と説明しています。給与所得者の方は、確定申告書第二表で「自分で納付」を選ばないと、譲渡所得分の住民税も給与から天引きされ得ます。また地方税法318条により賦課期日は1月1日で、その後に引っ越しても納め先は変わりません。詳しくは不動産を売った翌年に来る住民税 納付は6月から、長期なら5パーセントですをご覧ください。
Q48. 相続した空き家を放置すると、固定資産税が6倍になると聞きました。本当ですか?
放置しただけで自動的に6倍になるわけではありません。引き金は市町村長の勧告です。地方税法349条の3の2は住宅用地の課税標準を価格の3分の1(小規模住宅用地は6分の1)とする一方、その括弧書きで「空家等対策の推進に関する特別措置法…第十三条第二項の規定により所有者等…に対し勧告がされた同法第十三条第一項に規定する管理不全空家等及び同法第二十二条第二項の規定により所有者等に対し勧告がされた同法第二条第二項に規定する特定空家等の敷地の用に供されている土地を除く」としています。つまり税率が上がるのではなく、住宅用地特例の対象から外れるということです。特定空家等は「そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態」などの空家等、管理不全空家等はその一歩手前の状態を指します。もっとも、特例が外れた翌年度にいきなり6倍になるわけではありません。同法附則18条の負担調整措置により上がり方は段階的で、価格1,200万円・税率1.4パーセントという前提を置いた試算では、28,000円が翌年度は36,400円、上限でも100,800円(3.6倍)にとどまります。相続した空き家の3,000万円特別控除には期限があるため、持ち続けるか売るかの判断は早いほうが選択肢が残ります。詳しくは空き家の固定資産税が6倍になる理由 特定空家等の勧告で住宅用地特例が外れますをご覧ください。
Q49. 相続した実家を売りたいのですが、名義変更をしていません。そのまま売れますか?
売れません。売買による所有権移転登記の前に、相続登記を済ませる必要があります。令和6年4月1日から相続登記の申請が義務化され、不動産登記法76条の2第1項により、相続によって不動産を取得した相続人は自己のために相続の開始があったことを知り、かつその不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に申請しなければなりません。施行日より前に開始した相続も対象で、法務省は「令和9年3月31日までに相続登記をする必要があります」としています。正当な理由がないのに怠ると、同法164条1項により十万円以下の過料に処するとされています。期限に間に合わないときの簡便な仕組みとして相続人申告登記(76条の3)がありますが、法務省はこれについて「不動産についての権利関係を公示するものではないため、相続した不動産を売却したり、抵当権の設定をしたりするような場合には、別途、相続登記をする必要があります」としています。つまり申告登記だけでは売却できません。さらに税務側にも期限があり、相続税の取得費加算は相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日まで、空き家特例にも適用期限があります。登記の段取りが遅れると、特例を使えないまま売却日を迎えることになります。なお登記申請の代理は司法書士の業務で、当事務所が担うのは譲渡所得の試算・特例の適用判定・確定申告です。詳しくは相続登記の義務化はいつまで?相続した家を売る前の名義変更と3年の期限をご覧ください。
Q50. 不動産の代金を何年かに分けて受け取ります。税金も分割で払えますか?
税金は分割になりません。譲渡所得は引渡しの年に全額が課税されます。所得税基本通達36-12は、譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期を「資産の引渡しがあった日」によるものとしています。その年に受け取った金額ではなく、売買代金の全額がその年の収入になりますので、頭金しか受け取っていない年に、代金全額に対応する所得税・住民税の納期限が来ます。そのための制度が、所得税法132条の「延払条件付譲渡に係る所得税額の延納」です。同条3項と所得税法施行令265条は、賦払が3回以上であること、引渡しの期日の翌日から最後の賦払金の支払期日までが2年以上であること、引渡しの期日までに支払期日が到来する賦払金が対価の3分の2以下であること、という3つの要件を定めています。要件を満たし、延払条件付譲渡に係る税額がその年分の所得税額の2分の1を超え、かつ30万円を超えるときに、5年以内の延納を申請できます。申請書と担保の書類は、所得税法133条1項により確定申告による納付の期限までに提出します。延納には利子税がかかり、所得税法136条1項は年7.3パーセントとしていますが、租税特別措置法93条1項により利子税特例基準割合が年7.3パーセントに満たない年はその割合です。確定申告の通常の延納(5月31日まで)とは別の制度ですのでご注意ください。詳しくは売却代金を分割で受け取るのに税金は売った年に全額 延払条件付譲渡の延納をご覧ください。
Q51. 家を2つ持っています。どちらを売っても3,000万円の控除は使えますか?
使えるのは1軒だけです。租税特別措置法施行令20条の3第2項は、対象を「その者が主としてその居住の用に供していると認められる一の家屋」に限っています。どちらが「主」かは住民票では決まりません。租税特別措置法関係通達31の3-2は、「その居住の用に供している家屋」とは「その者が生活の拠点として利用している家屋(一時的な利用を目的とする家屋を除く。)」をいい、その者および配偶者等の日常生活の状況、その家屋への入居目的、その家屋の構造及び設備の状況その他の事情を総合勘案して判定するとしています(同35-6により3,000万円特別控除にも準用されます)。判定の時点も決まっており、同31の3-9は、譲渡の時に住んでいる家屋はその譲渡の時、住まなくなっている家屋はその居住の用に供されなくなった時の現況によるとしています。また、2軒を年をずらして売っても両方では使えません。租税特別措置法35条2項は、その年の前年または前々年に既にこの特例などの適用を受けている場合を対象から除いています。国税庁は、この特例の適用を受けることだけを目的として入居したと認められる家屋や、別荘などのように主として趣味、娯楽または保養のために所有する家屋は対象にならないとしています。詳しくは家を2つ持っている人が売るとき どちらが「マイホーム」かで3,000万円控除が決まりますをご覧ください。
Q52. 山を売りました。土地の売却として申告すればよいですか?
ひとつの売買でも、土地の部分と立木の部分で所得の種類が分かれます。土地は譲渡所得、立木は山林所得です。所得税基本通達32-2は「山林をその生立する土地とともに譲渡した場合における当該土地の譲渡から生ずる所得は、山林所得に該当しない」としています。ただし所得税法32条2項は「山林をその取得の日以後五年以内に伐採し又は譲渡することによる所得は、山林所得に含まれないものとする」としており、短期間で売った場合は事業所得または雑所得になります。山林所得は同条3項により、総収入金額から必要経費を引き、さらに特別控除額を引いて計算します。必要経費は実額のほかに、租税特別措置法30条の概算経費控除を選べます。譲渡代金3,000万円・伐採費等500万円なら、差引2,500万円の50パーセントにあたる1,250万円を経費にでき、実額より450万円多く引けることがあります。さらに森林経営計画に基づく譲渡なら、同法30条の2の森林計画特別控除があります。税額は5分5乗方式で計算します。課税山林所得金額750万円なら382,800円で、5分5乗によらずに計算した1,089,000円よりも小さくなります。詳しくは山林(立木)を売ったときの税金 土地は譲渡所得、立木は山林所得で計算しますをご覧ください。
Q53. 不動産を売ったのに、買主から代金を払ってもらえません。税金はどうなりますか?
代金を受け取っていなくても、売った年に全額が課税されます。所得税基本通達36-12は「山林所得又は譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期は、山林所得又は譲渡所得の基因となる資産の引渡しがあった日によるものとする」としているためです。そのあと本当に回収できなくなったときの救済が、所得税法64条1項です。同項は、回収することができないこととなつた金額に対応する部分の金額を「当該各種所得の金額の計算上、なかつたものとみなす」としています。手続の期限にご注意ください。所得税法152条は、更正の請求を「当該事実が生じた日の翌日から二月以内に限り」できるとしており、国税通則法23条の通常の5年とは別の短い期限です。回収不能かどうかは気持ちではなく事実で判定します。所得税基本通達51-12は「その債務者の資産状況、支払能力等からみてその全額が回収できないことが明らかになった場合」としています。また、なかったものとみなされる金額には上限があります。売却代金5,000万円のうち3,000万円が回収不能でも、みなされるのは2,800万円までで、200万円は救済されないことがあります。詳しくは売った不動産の代金が回収できなくなったときの所得税 所得税法64条1項と更正の請求の特例は2か月が期限ですをご覧ください。
Q54. 不動産を5年より長く持っていれば、税率は下がりますか?
数えるのは「売った年の1月1日」です。実際の保有が5年を超えていても短期になることがあります。租税特別措置法31条1項は長期譲渡所得を「その年一月一日において所有期間が五年を超えるものの譲渡」としています。所有期間は同条2項により「その取得(建設を含む。)をした日の翌日から」数えます。税率は長期20.315パーセント・短期39.63パーセントで、課税譲渡所得金額2,000万円なら4,063,000円と7,926,000円、差は3,863,000円です。取得の日は所得税基本通達33-9で判定し、他から取得した資産は引渡しを受けた日が原則です。相続や贈与で取得した不動産は、所得税法60条1項が「その者が引き続きこれを所有していたものとみなす」としているため、亡くなった方や贈与した方の取得日を引き継ぎます。一方、買換えの特例で取得した資産は実際の取得の日で判定します(租税特別措置法関係通達31・32共-5)。詳しくは短期譲渡所得と長期譲渡所得の違い 5年は売った年の1月1日で数えますをご覧ください。
Q55. 年の途中でアパートを売りました。家賃の申告はどうなりますか?
譲渡所得とは別に、その年の不動産所得も申告します。減価償却費は1年分ではなく、引渡しの月までの月数で按分します。所得税基本通達49-54は、譲渡の時における償却費の額を「譲渡所得の金額の計算上控除する取得費に含めないで、その年分の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入しても差し支えない」としており、どちらにするかを選べます。取得価額3,000万円・耐用年数47年(定額法の償却率0.022)の建物を7月31日に引き渡した場合、1年分660,000円のうち必要経費になるのは385,000円です。間違いが多いのは精算金と敷金です。固定資産税の未経過分の精算金は国税庁の質疑応答事例で「譲渡所得の収入金額に算入されます」とされており、不動産所得ではありません。返還を要する敷金はどちらの収入にもなりません。1年分の償却費を必要経費にしたうえで取得費も年初の未償却残高で計算すると、660,000円を二重に引くことになります。詳しくは賃貸物件を売った年の不動産所得の申告 減価償却費は引渡しの月まで、固定資産税の精算金は譲渡所得ですをご覧ください。
Q56. 不動産を売った年は、ふるさと納税の上限額が増えますか?
課税される長期譲渡所得があれば増えますが、3,000万円控除などで課税長期譲渡所得金額がゼロなら、譲渡所得の分は増えません。特例分の上限は住民税の所得割の2割で、長期譲渡所得に係る所得割もこれに合算されます(地方税法314条の7第11項・附則34条6項4号)。令和9年中の寄附からは、特例分に合計193万円の上限も加わります。課税総所得金額500万円の方が長期譲渡所得2,000万円を得た場合、一定の前提を置いた目安では、寄附額の目安は約14.6万円から約43.3万円に上がります。譲渡益が出た年や特例を使う年は、原則として確定申告が必要です。確定申告をすると、ワンストップ特例の申請は無効になります(国税庁タックスアンサー No.1155)。また、寄附はその年の12月31日までに行う必要があります(所得税法78条1項)。詳しくは不動産を売った年のふるさと納税 上限は増える?3,000万円控除なら譲渡分は増えませんをご覧ください。
Q57. 自治体や開発業者に土地を売ると、税率が下がる特例があると聞きました。
優良住宅地の造成等のための譲渡に当たれば、課税長期譲渡所得金額のうち2,000万円以下の部分の所得税が15%から10%、住民税が5%から4%になります(租税特別措置法31条の2・地方税法附則34条の2)。所有期間がその年1月1日で5年を超える土地等が対象で、国・地方公共団体への譲渡や、開発許可を受けて一団の住宅用の宅地を造成する者への譲渡などが該当します。該当するかは、買主から交付される証明書で確かめ、確定申告書に添付します(施行規則13条の3)。収用の5,000万円控除など、特別控除の適用を受ける土地には使えません(同法31条の2第4項)。詳しくは優良住宅地の造成等の軽減税率 自治体や開発業者に土地を売ると所得税10%をご覧ください。
Q58. 開発業者や自治体に宅地造成のために土地を売ると、特別控除はありますか?
特定住宅地造成事業等のために買い取られる場合は、譲渡益から最大1,500万円を控除できます(租税特別措置法34条の2)。長期・短期のどちらの譲渡所得にも適用があります。控除は1年間の合計で1,500万円までで、他の特別控除と合わせた年間の上限は5,000万円です(同法36条)。同じ土地で優良住宅地の軽減税率(同法31条の2)とは重ねて使えません(措置法通達34の2-17)。申告するときは、買取りをする者から交付を受けた証明書類の添付が必要です。詳しくは特定住宅地造成事業等の1,500万円控除 自治体・公社に土地を売るときの対象と注意をご覧ください。
Q59. 土地区画整理事業のために土地を買い取られました。税金の特例はありますか?
国や地方公共団体などが行う土地区画整理事業などのために買い取られた場合は、譲渡益から最大2,000万円を控除できます(租税特別措置法34条)。一つの事業の買取りが2年以上にわたるときは、最初の年の買取り分にしか使えません(同条3項)。収用等の5,000万円控除などと合わせた控除額は、年間5,000万円が上限です(同法36条)。申告するときは、買取りをする者から交付を受けた証明書類を確定申告書に添付します(同法34条4項)。詳しくは区画整理で土地を売ったときの2,000万円控除 対象の買取りと注意点をご覧ください。
Q60. 後から買い取った共有持分と元の持分をまとめて売りました。長期・短期はどう判定しますか?
取得の日が違う部分ごとに判定します。所有期間は取得をした日の翌日から数えるため(租税特別措置法31条2項)、買い取った持分は買い取った日から数えます。長期と短期が混ざると税率が変わります。詳しくは取得時期が違う不動産をまとめて売ったら? 長期・短期は部分ごとに判定しますで解説しています。
Q61. 不動産を売った後、欠陥が見つかり代金を減額しました。税金は戻りますか?
自動では戻らず、更正の請求が必要です。解除や取消し、判決・裁判所での和解などに当たる場合の更正の請求は、期限が2か月です。理由が生じた日などの翌日から数えます(国税通則法23条2項、所得税法152条)。詳しくは売却後に欠陥で代金を減額したら譲渡所得は? 更正の請求は2か月の期限に注意で解説しています。
Q62. 不動産を売ったときの「譲渡所得の内訳書」は、どこから書けばよいですか?
【土地・建物用】の内訳書は1面から4面で1組で、一の契約ごとに1枚ずつ使います。売った物件、買った代金と売る費用、譲渡所得金額の計算を面ごとに書き、確定申告書と一緒に出します。建物の減価償却費相当額の引き忘れが典型的な誤りです。詳しくは譲渡所得の内訳書の書き方 土地・建物を売ったら各面に何をどの資料から書くかで解説しています。
Q63. マイホームを買い換えて旧宅の売却で損が出ました。給与と差し引けますか?
一定の要件を満たせば、損益通算と翌年以後3年内の繰越控除ができます(租税特別措置法41条の5)。新居の住宅ローン(償還期間10年以上)や床面積などの要件があり、繰越控除には毎年の申告が必要です。詳しくはマイホームを買い換えて売却損が出たら? 損益通算と繰越控除の要件と失敗例で解説しています。
Q64. 相続した土地を区画・造成して分譲すると、譲渡所得になりますか?
区画形質の変更等を加えて宅地として売ると、譲渡所得でなく事業所得または雑所得になるのが原則です(所得税基本通達33-4)。極めて長期間(おおむね10年以上)持っていた土地なら、造成着手直前の時価までの値上がり部分を譲渡所得として区分できます(同33-5)。詳しくは造成分譲の土地は事業所得? 通達33-4・33-5で見る譲渡所得との境目で解説しています。
Q65. 不動産を売った年の確定申告書「第三表」には、何を書けばよいですか?
第三表は分離課税用の申告書で、譲渡所得の内訳書で計算した収入金額と所得金額を、短期・長期と一般分・軽課分などの区分ごとに転記します。区分を取り違えると税率が変わります。詳しくは確定申告書第三表の書き方 不動産を売った年に内訳書の数字をどの欄へ写すかで解説しています。
Q66. マイホームに住み続けたまま、庭の一部だけを売っても3,000万円控除は使えますか?
使えません。家屋を残して敷地の一部だけを売っても対象外です(措置法通達35-6・31の3-18)。敷地に当たるかは、家屋と一体として利用していたかで判断します(同31の3-12)。詳しくはマイホームの3,000万円控除 敷地はどこまで?庭・隣地・一部売却の線引きで解説しています。
Q67. 相続税を払うために土地を物納すると、譲渡所得の税金はかかりますか?
物納の許可を受けた財産は、所得税では譲渡がなかったものとみなされます(租税特別措置法40条の3)。ただし許可限度額を超える価額で物納した部分は対象外です。物納は延納でも金銭で納めることが困難な金額の範囲でしか認められず、申請は納期限までです。詳しくは相続税は物納か土地の売却か 収納価額と譲渡所得税で比べる考え方と物納の要件で解説しています。
Q68. 親子で住んでいる二世帯住宅を売ると、3,000万円控除は親子それぞれ使えますか?
所有者ごとに判定します。親子の共有なら、要件を満たす共有者1人につき最高3,000万円です(タックスアンサーNo.3308)。敷地だけを持つ親は、家屋と同時に売る・家屋の所有者と生計を一にする・一緒に住む、の要件をすべて満たすときに使え、家屋の所有者と合わせて3,000万円までです(No.3311)。直系血族など特別の関係がある人への売却は対象外です。詳しくは二世帯住宅の売却と3,000万円控除 名義と住み方で親子の結論が分かれますで解説しています。
Q69. 不動産を売った代金を、名義人ではない家族に分けると贈与税がかかりますか?
原則として贈与税の対象です。譲渡所得を申告するのは不動産の持ち主で、持ち主が代金を家族に渡すと、もらった人のその年の贈与の合計が110万円を超えれば贈与税の申告が必要です(タックスアンサーNo.4402)。相続した不動産を1人の名義で売って代金を分ける場合は、遺産分割の中で分けたかどうかで扱いが変わります。詳しくは不動産の売却代金を家族に分けると贈与税? 名義と遺産分割の書き方が分かれ目で解説しています。
Q70. 家族信託で子が受託者になった親の家を売ると、譲渡所得の申告は誰がしますか?
受益者等課税信託なら、信託財産は受益者が持っているものとみなされます(所得税法13条1項)。受益者が親なら、売ったもうけは親の譲渡所得です。ただし、信託の変更権限を持ち、給付を受けることになっている人も受益者とみなされます(同条2項)。3,000万円控除が使えるかは、住んでいた家か・売った相手・期限などの個別判断です。詳しくは家族信託した親の家を売ったら譲渡所得は誰に? 受益者課税と3,000万円控除で解説しています。
Q71. 年金の扶養親族等申告書に書く「所得の見積額」は、年金の金額をそのまま書けばよいですか?
いいえ。収入から決まった控除を引いた「所得」の見込みを書きます。令和9年分の場合、65歳以上で年金額が330万円以下なら、年金額から110万円を引くのが基本です。年金以外の所得が1,000万円超の方や、給与と年金の控除の合計が280万円超の方は計算が変わります。給与は、収入が74.1万円以上219.1万円未満なら74万円を引きます。障害年金と遺族年金は含めません。年金と給与の両方がある方は、所得金額調整控除で最大10万円を引きます。詳しくは年金の扶養親族等申告書 令和9年分「所得の見積額」の計算方法を3つの例で解説で解説しています。
Q72. 自宅をリースバックで売って住み続ける場合、3,000万円の特別控除は使えますか?
売る時に住んでいる自宅であることなどの要件を満たせば、対象になり得ます。売った後に借りて住むことを理由に対象外とする定めは、措置法の条文と通達に見当たりません。ただし、リースバックに特有の取扱いは国税庁の公表資料に見当たらず、個別判断です。買主が配偶者・直系血族や自分たちが支配する会社などの場合は、3,000万円控除も軽減税率も使えません。法人に時価の2分の1未満で売ると、時価で売ったものとされます。詳しくはリースバックの税金 売った自宅に住み続けても3,000万円控除は使えるかで解説しています。
Q73. 未登記の建物がある家を売るとき、建物の取得の日は表題登記をした日になりますか?
登記の日で決まるものではありません。請け負わせて建てた建物は、引渡しを受けた日が取得の日です。自ら建てたなら、建設の完了日です(所得税基本通達33-9)。自宅の3,000万円の特別控除は、建物の登記を要件にしていません。一方、所有期間10年超の軽減税率は、登記事項証明書の添付が定められています。詳しくは未登記の建物を売るときの譲渡所得 取得の日・取得費と3,000万円控除の書類で解説しています。
Q74. 災害で自宅がなくなり、残った土地を売る場合も3,000万円の特別控除は使えますか?
災害の時に住んでいた家なら、使える場合があります。期限は、災害があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日です(国税庁 No.3302)。以前に住んでいた家が後から滅失したときは、住まなくなった日から数えます。東日本大震災の時に住んでいた家が、震災で滅失した場合、この「3年」は「15年」です。平成23年3月11日に住めなくなった場合、期限は令和8年12月31日です。特別の関係がある人への売却でないことなど、他の要件も満たす必要があります。詳しくは災害で滅失した自宅の敷地を売るとき 3,000万円控除と軽減税率の期限で解説しています。
Q75. マンションの建替えで権利変換を受けると、譲渡所得の税金はかかりますか?
マンション再生法の権利変換で新しい部屋の権利を得るだけなら、譲渡はなかったものとみなされます(租税特別措置法33条の3第6項)。建替え後の部屋は、古い部屋の取得費と取得の日を引き継ぎます。ただし、清算金(差額)に対応する部分は譲渡とみなされます。建替えに参加せず売り渡した部屋も、譲渡所得の対象です。詳しくはマンション建替えの税金 権利変換だけなら課税されず、売り渡すと譲渡所得ですで解説しています。
Q76. 相続した土地を相続税の申告期限より前に売ると、小規模宅地等の特例は使えなくなりますか?
取得した人と土地の区分によります(租税特別措置法69条の4第3項)。配偶者が取得した自宅の土地には、申告期限までの保有・居住の要件がありません。同居していた親族は保有と居住、家なき子は保有が申告期限までの要件です。亡くなった方の事業用・貸付用の土地は、保有と事業の継続などが要件です。申告書を早く出しても、要件の「申告期限」は変わりません。詳しくは小規模宅地等の特例は申告期限前に売ると失う? 相続した土地を売る時期と要件で解説しています。
Q77. 賃貸アパートを取り壊して土地を売るとき、取壊し費用はどの所得から引きますか?
売るための取壊しであることが明らかなら、土地の譲渡費用です(所得税基本通達33-7)。建物の未償却残高などの損失も同じです(同33-8)。そうでなければ、損失は不動産所得の必要経費です。事業的規模でなければ、引ける額に上限があります(所得税法51条4項)。売るためでない場合の取壊し費用の扱いは、個別に判断します。同じ損失を両方で引くことはできません。詳しくはアパートを取り壊して売るときの税金 取壊し費用は譲渡費用か不動産所得かで解説しています。
Q78. 使わない土地を市町村に寄附すると、所得税はかかりますか?
国や地方公共団体への寄附なら、譲渡所得の所得税はかかりません(租税特別措置法40条1項前段)。値上がりした土地の寄附金控除は、時価でなく取得費相当額です(タックスアンサー No.1150)。控除を受けるには確定申告が必要です。公益法人等への寄附は、国税庁長官の承認を受けたときに非課税です。受け入れの可否は自治体ごとに異なります。詳しくは土地を市町村に寄附したときの税金 譲渡所得は非課税、寄附金控除は時価でなく取得費で解説しています。
Q79. 月極駐車場として貸していた土地を売るとき、3,000万円控除は使えますか?
使えません。3,000万円控除はマイホームを売ったときの特例です(タックスアンサー No.3302)。税率は、売った年の1月1日の所有期間が5年を超えるかで決まります。舗装やフェンスの取得費は、造ったときの金額ではなく未償却残高です(所得税法38条2項)。買換え特例は、特別の施設のない駐車場では使えないとされています(タックスアンサー No.3402)。詳しくは月極駐車場の土地を売るときの税金 3,000万円控除・舗装の取得費・消費税で解説しています。
Q80. 住宅ローンが残っている家を売るとき、ローンの残高は譲渡所得から差し引けますか?
差し引けません。譲渡所得は、売った金額から取得費と譲渡費用を差し引いて計算します(タックスアンサー No.3202)。利益が出る売却なら、ローンの残高で変わるのは手取りです。自分の借入れの抵当権を返済に伴って抹消する費用は、公表裁決で譲渡費用と認められていません。マイホームをローン残高を下回る価額で売って損が出たときは、一定の要件のもとで譲渡損失の特例があります(No.3390)。詳しくは住宅ローンが残る家の売却と税金 抵当権抹消・繰上げ返済の費用は譲渡費用かで解説しています。
Q81. マイホームを売るとき、建物の取得費から差し引く減価償却費はどう計算しますか?
ずっと自宅として使った建物は、取得価額×0.9×償却率×経過年数を差し引きます(所得税法施行令85条、タックスアンサー No.3261)。償却率は、業務用の耐用年数の1.5倍の年数(1年未満の端数は切捨て)に応じた旧定額法の率です。経過年数は6か月以上の端数を1年とし、6か月未満は切り捨てます。差し引く額は取得価額の95%が上限です。取得後に増改築した家は計算が異なります。詳しくはマイホーム売却の減価償却費 耐用年数1.5倍と経過年数で建物の取得費を計算で解説しています。
Q82. 夫婦で買った家で、登記の持分と出したお金の割合が違います。売るときに問題になりますか?
購入したときに、負担した割合を超える持分が贈与とされることがあります(タックスアンサー No.4411)。売るときは、持分ごとに譲渡所得を計算します。3,000万円の特別控除を受けられるかも、共有者ごとに判定します(No.3308)。持分を直して贈与がなかったものとされるのは、一定の条件と時期を満たす場合に限られます。詳しくは夫婦の持分と資金負担がずれた家を売るとき 購入時の贈与と持分ごとの申告で解説しています。
Q83. 遺言で不動産を売って代金を分けることになりました。譲渡所得は誰が申告しますか?
遺言執行者が遺産を売った国税庁の質疑応答事例では、法定相続分に応じて各相続人が申告するとされています。代金を受け取らない相続人にも、申告と納税が必要になることがあります。ただし、事案によって異なる課税関係が生ずることがあると注記されているため、遺言の内容と受遺者を確かめて判断します。取得費加算の特例は、相続税額があることなどが要件です。詳しくは清算型遺贈の譲渡所得は誰が申告する? 遺言で不動産を売って分けるときの税金で解説しています。
Q84. 生産緑地を売るとき、1,500万円の特別控除は使えますか?
地方公共団体や土地開発公社などが、生産緑地法の規定(11条1項・12条2項・15条2項)に基づいて買い取る場合に使えます(租税特別措置法34条の2第2項17号)。買取りの申出の後、行為の制限が外れてから民間へ売る場合は対象外です。相続税の納税猶予を受けている都市営農農地等では、買取りの申出によりその農地の分の猶予が打ち切られ、利子税もかかります。詳しくは生産緑地を売るときの税金 1,500万円控除の対象と納税猶予の打ち切りで解説しています。
Q85. 数年前にマイホームを売って3,000万円控除を使いました。次に売るときも使えますか?
今回売る年の前年か前々年に、3,000万円控除や買換え・交換・譲渡損失の特例などを受けていると使えません(租税特別措置法35条2項、タックスアンサー No.3302)。たとえば令和7年に使ったなら、令和8年と令和9年の売却では使えず、令和10年の売却からは、ほかの要件を満たせば使えます。被相続人の居住用財産(空き家)の特例を受けた分は、この制限では数えません。詳しくは3,000万円控除は2回目も使える? 前年・前々年の制限と年の数え方で解説しています。
Q86. 遺産分割が決まる前に相続した不動産を売りました。譲渡所得は誰がどの割合で申告しますか?
売る時に代金の分け方が決まっていなければ、原則として各相続人が法定相続分で申告します(国税庁の質疑応答事例)。代金を遺産分割の対象とし、確定申告期限までに分けて相続人全員がその割合で申告した場合は、その申告が認められます。期限後に分割が決まっても、そのことを理由に更正の請求等はできないとされています。詳しくは遺産分割前に相続した不動産を売ったら 譲渡所得の申告割合と後から分割した場合で解説しています。
Q87. 不動産を売ったときの売買契約書の印紙代は、譲渡所得の計算で差し引けますか?
売主が負担した印紙税は、譲渡費用として差し引けます(タックスアンサー No.3255)。印紙税の額は契約書の記載金額で決まり、令和9年3月31日までに作る記載金額10万円超の不動産の売買契約書は軽減されます(租税特別措置法91条)。たとえば1,000万円超5,000万円以下なら1通1万円です。売主用・買主用の2通を作れば、相手方の署名押印などがある写しも含めて2通分かかります。詳しくは不動産売却の印紙税はいくら? 売買契約書の軽減税率と、譲渡費用になる印紙代で解説しています。
Q88. 相続した空き家を兄弟の共有で売ります。空き家の3,000万円控除の「1億円以下」は、自分の持分の代金だけで判定しますか?
ほかの相続人の持分の代金も合わせて判定します。家や土地を相続したほかの相続人の持分は、一緒に売ると「適用前譲渡」として合計に入るため、3人で1億2,000万円で売ると、1人4,000万円でも3人とも使えません(措置法通達35-20)。特例を受けた後に、ほかの相続人の売却などで合計が1億円を超えたときは、その売却の日から4か月以内に修正申告書を出して納税します(租税特別措置法35条9項)。詳しくは空き家の3,000万円控除の1億円判定 共有や分けて売るときの合計と修正申告で解説しています。
Q89. 相続した要らない土地を手放したいです。相続土地国庫帰属制度を使うと、いくらかかりますか?
審査手数料は土地1筆あたり14,000円で、承認されると負担金を納めます。負担金は1筆ごとに基本20万円です。市街化区域等の宅地・農地や森林は、面積に応じて20万円以上になります。却下や不承認になっても、審査手数料は返りません。国庫帰属そのものに所得税・相続税がどう扱われるかは、個別に確認が要ります。売却や寄附との違いは相続土地国庫帰属制度と売却・寄附 要らない土地を手放すときの税金とお金の違いで解説しています。
Q90. 個人で持っている賃貸アパートの建物だけを、自分の会社に売ります。帳簿の金額(未償却残高)で売れば、譲渡所得は出ませんか?
売値と取得費が同じで譲渡費用がなければ、計算上の譲渡所得は0円です。ただし、売値が時価の2分の1未満なら、時価で売ったものとして計算します(所得税法59条1項2号・同法施行令169条)。2分の1以上でも、同族会社の行為計算の否認(所得税法157条)に当たると時価で計算されることがあります。土地を会社に貸すときの借地権の扱いも、売る前に決めておきます。詳しくは賃貸アパートの建物だけを自分の会社に売るとき 売主の譲渡所得と売値の決め方で解説しています。
Q91. 農地を売りました。農地の800万円の特別控除は、どんな売り方でも使えますか?
使えるのは、租税特別措置法34条の3第2項の各号に当たる譲渡です。農業委員会のあっせんなど、条文に定める手続を通した譲渡が対象で、手続を通さずに近所の方へ直接売った場合はどの号にも当たりません。控除は対象の土地の譲渡益が限度です。税額がゼロでも、確定申告書への記載と証明書類の添付が要件です(同条3項)。やむを得ない事情の例外もあります(同条4項)。同じ年に対象の土地の一部でも37条・37条の4の特例を受けると使えません。詳しくは農地の800万円特別控除 使える売り方と証明書類・つまずきやすい点で解説しています。
Q92. 家具・家電付きで自宅を売りました。売買代金のうち家具の分にも税金がかかりますか?
自宅で使っていた家具・家電など生活に通常必要な動産の売却による所得は、原則として非課税です(所得税法9条1項9号)。ただし、貴金属・書画・骨とうなどで1個または1組の価額が30万円を超えるものは除かれます(所得税法施行令25条)。賃貸や民泊に使っていた家具は非課税の対象外です。3,000万円の特別控除(要件あり)の対象は家屋と敷地で、家具の代金には使えません。契約書で土地・建物・家具等の代金を分け、金額の根拠を残しておきます。詳しくは家具・家電付きで家を売るときの税金 家具の代金の扱いと契約書の内訳で解説しています。
Q93. 任意組合型の不動産小口化商品の持分を売りました。どんな税金がかかりますか?
平成28年3月7日の国税不服審判所の裁決では、持分の譲渡を組合財産に対する持分の譲渡とみて、土地建物の部分を分離課税の長期譲渡所得としました。建物の取得費は、償却費の累積額を引いた額です。なお、業務の執行を全部任せている組合員(特定組合員)の組合事業による不動産所得の損失は、生じなかったものとみなされ、ほかの所得と差し引けません(租税特別措置法41条の4の2)。匿名組合型の利益の分配は原則として雑所得で、扱いは契約の内容で変わり得ます。詳しくは不動産小口化商品の持分を売ったときの税金 任意組合型と匿名組合型の違いで解説しています。
Q94. 相続した実家を売る前に遺品整理を業者に頼みました。この代金は譲渡所得の計算で差し引けますか?
譲渡費用は、売るために直接かかった費用です(所得税基本通達33-7)。譲渡価額を増やすため売る際に払った費用も含みます。土地を売るための建物の取壊し費用は譲渡費用と明記されていますが、遺品整理・家財の撤去・清掃の費用は、通達やタックスアンサーに名前がありません。売買契約で家財の撤去を定めていたか、払った時期と目的、領収書の内訳から個別に判断します。維持・管理のための費用は譲渡費用になりません。また、亡くなった後に相続人が頼んだ遺品整理の代金は、相続税の申告で差し引ける被相続人の債務にも当たりません(相続税法13条1項1号)。詳しくは相続した実家の片付け費用は譲渡費用になる? 遺品整理・取壊し・相続税の扱いで解説しています。
Q95. 家を売った後に引っ越しました。確定申告書はどこの税務署に出せばよいですか?
確定申告書は、原則として申告書を出す時の住所地を所轄する税務署に出します(国税通則法21条1項・所得税法15条1号)。売った家の所在地で、提出先が決まるわけではありません。売却益の住民税は、売った翌年の1月1日に住所がある市区町村と都道府県が課税します(地方税法318条・39条)。3,000万円の特別控除を受ける場合、売買契約日の前日の住民票の住所と売った家の所在地が違うときなどは、戸籍の附票の写しなども出します(租税特別措置法施行規則18条の2)。振替納税は、国税庁の案内では、転居で税務署が変わっても手続なしで続けられます。詳しくは自宅を売って引っ越したら確定申告はどこへ 提出先の税務署と住民税の納め先で解説しています。
Q96. 800万円以下の空き家や土地を売るとき、仲介手数料はいくらまでかかりますか?
宅地建物取引業者が受ける報酬の上限は、国土交通省の告示で決まっています。代金が800万円以下の宅地・建物の売買の媒介では、媒介に要する費用を勘案して、30万円の1.1倍(33万円)まで受けられる特例があります。通常の計算を超える額を受けるには、媒介契約の締結に際し、あらかじめ説明して合意を得ることが必要です。33万円は上限で、必ずその額になるわけではありません。払った仲介手数料は、譲渡所得の計算で譲渡費用として差し引けます(タックスアンサー No.3255)。要件を満たせば低未利用土地等の100万円控除も候補ですが、空き家の3,000万円控除とは同じ売却で併用できず、どちらも確定申告が必要です。詳しくは800万円以下の空き家を売るときの仲介手数料 上限の特例と譲渡費用・100万円控除で解説しています。
Q97. 未成年の子が相続した不動産を売ったとき、譲渡所得の確定申告は誰がしますか?
持ち主である子ども本人が、本人の名前で申告します。相続で取得した不動産は、原則として被相続人の取得費と取得の時期を引き継ぎます(所得税法60条1項。限定承認に係る相続を除く)。売買契約は、親権者が子を代表して結びます(民法824条)。母と未成年の子で遺産分割協議をするなど、親と子の利益が相反する場面では、家庭裁判所に特別代理人の選任を申し立てます(民法826条)。また、令和8年分以後は子の合計所得金額が62万円を超えると、親は扶養控除を受けられません(令和7年分は58万円)。長期譲渡所得の金額も合計所得金額に含まれます。詳しくは未成年の子が相続した不動産を売るとき 特別代理人と子どもの確定申告で解説しています。
Q98. リバースモーゲージで借りていた自宅を売ると、借入金の残高を差し引いて譲渡所得を計算できますか?
差し引けません。譲渡所得は、売った金額から取得費と譲渡費用を差し引いて計算します(タックスアンサーNo.3202)。借入金の残高はこの式に入らず、売却代金で返済しても計算は変わりません。本人が住んでいた家を売るなら、要件を満たせば居住用財産の3,000万円控除の対象になり得ます(親子や夫婦など特別の関係がある人への売却は対象外です)。相続人が売る場合は、要件を満たせば空き家の3,000万円控除か取得費加算の特例のどちらかを選びます。購入のための借入金の利子のうち取得費に入るのは、使用開始の日までの期間に対応する部分です(No.3252)。詳しくはリバースモーゲージの自宅売却の税金 生前か相続後かで使える特例が変わりますで解説しています。
Q99. 親の家は、親が生きているうちに売るのと、相続してから子が売るのとでは、どちらが税金が少なくなりますか?
前提によって入れ替わります。親が住んでいる家を親が売るなら、要件を満たせば親の3,000万円控除が使えます(タックスアンサーNo.3302)。残った代金は親の相続財産になります。相続後に子が売るなら、要件を満たせば空き家の3,000万円控除か、相続税がかかった人の取得費加算の特例のどちらかを使えます(No.3306・No.3267)。相続税の小規模宅地等の特例は、同居していた親族などが取得した場合、相続税の申告期限まで持ち続けることが要件で、その前に売ると使えません(配偶者には持ち続ける要件がありません。No.4124)。相続税がかかるか、家の評価額はいくらかで有利な方が変わるため、両方を試算して比べます。詳しくは親の家は生前に売るか相続後に売るか 実家の売却で使える特例と税金の比較で解説しています。
Q100. 土地を売るとき、買った後に払った造成や擁壁の工事費は、取得費に含めてよいですか?
原則として含めます。埋立てや土盛り、地ならし、防壁工事など、土地の造成や改良のための費用は、土地の取得費に入ります(所得税基本通達38-10)。ただし、規模や構造からみて構築物とすることが適当な防壁・石垣積みなどは構築物の取得費とすることができ、専ら建物を建てるための地盤強化などは建物の取得費になります。どちらも、建物等も売るときは、持っていた期間の減価の額を差し引きます(所得税法38条2項)。資料で示せる取得費と、売った金額の5%(概算取得費)を比べて選びます。5%に工事費を上乗せすることはできません(租税特別措置法31条の4第1項)。詳しくは土地の造成費・擁壁工事は譲渡所得の取得費に入る? 地盤改良・負担金と5%比較で解説しています。
Q101. 自宅を売って3,000万円控除を使えば、翌年度の国民健康保険料は上がりませんか?
保険料の政令では、所得割の基礎に入る譲渡所得は特別控除後の額です(国民健康保険法施行令29条の7第2項4号)。控除で譲渡所得がゼロになれば、所得割は増えません。ただし、7割・5割・2割の軽減の判定は特別控除前の額で見るため、譲渡所得の額によっては軽減が外れることがあります。75歳以上の後期高齢者医療の保険料も同じ考え方です。国民健康保険税の市町村も、地方税法附則36条1項で同じ扱いです。料率は市町村ごとに確かめます。3,000万円控除は、確定申告書への記載と明細書の添付が要件です(租税特別措置法35条12項)。詳しくは不動産売却で国民健康保険料は上がる? 所得割は特別控除後、軽減の判定は控除前で解説しています。
Q102. 古い家が建つ土地は、取り壊して更地にしてから売ったほうが税金は有利ですか?
一概には言えません。古家付きなら建物の取得費を取得費として差し引き、売るための取壊しなら取壊し費用は譲渡費用になります(所得税基本通達33-7)。建物の損失額も、譲渡のためと明らかなら譲渡費用です(同33-8)。自宅を壊してから売るときの3,000万円控除は、取り壊した日から1年以内に譲渡契約を結び、それまで貸付けなどに使わないことなどが要件です(タックスアンサーNo.3302)。相続した空き家は、令和6年1月1日以後の譲渡なら、売った年の翌年2月15日までに取壊し等をする場合も対象になり得ます(No.3306)。詳しくは古家付きで売るか更地で売るか 税金の計算と3,000万円控除の期限を比べるで解説しています。
Q103. 住んでいるマンションが敷地売却されることになりました。受け取る分配金に税金はかかりますか?
分配金は、部屋と敷地の権利を組合に移した対価で、譲渡所得の対象です。売った金額から取得費と譲渡費用を差し引いた利益に課税されます。自宅だった部屋なら3,000万円控除の要件を確かめます。先に引っ越した場合は、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの譲渡であることも必要です(タックスアンサーNo.3302)。耐震診断の報告義務があるマンションでは、土地等の部分に1,500万円控除が使える場合があります。詳しくはマンション敷地売却の税金 分配金は譲渡所得、使える特例と令和8年の改正で解説しています。
Q104. 土地を売った後、実測の結果で精算金を受け取りました。確定申告ではどう扱いますか?
実測精算金は売買代金の一部なので、譲渡価額に含めて計算します。精算金を返した場合は、返した後の代金で計算します。精算金を翌年に受け取るときも、原則は土地を引き渡した日の年分で申告します(所得税基本通達36-12。契約の効力発生の日を選ぶこともできます)。申告した後に精算額が決まり、税額が不足するときは修正申告、多すぎるときは更正の請求を検討します。詳しくは公簿売買と実測売買の譲渡所得 精算金と測量費は確定申告でどう扱うかで解説しています。
Q105. 家を売る前にした修繕やハウスクリーニングの費用は、譲渡所得から差し引けますか?
修繕費など、その資産の維持や管理のための費用は、譲渡費用に含まれません(所得税基本通達33-7(注)、タックスアンサーNo.3255)。家の価値を高める改良であれば、取得費(改良費)に入ります(所得税法38条1項)。建物の改良費は、減価の額を差し引いて計算します。ハウスクリーニングや建物状況調査は、通達やタックスアンサーに名前の記載がありません。売却に客観的に必要だったか、譲渡価額を増やすため売る際に払ったかで判断します。個別の判断です(最高裁判所 平成18年4月20日判決、所得税基本通達33-7)。詳しくは家の売却前のリフォーム費用は譲渡費用? ハウスクリーニング・修繕との線引きで解説しています。
Q106. 12月分の家賃が1月に振り込まれました。家賃収入は、どちらの年の確定申告に入れますか?
原則として、契約上の支払日がある年の収入です(所得税基本通達36-5)。支払日が12月なら、入金が翌年1月でも、支払日がある年の収入になります。継続的な記帳と前受収益・未収収益の経理などの要件を満たす方は、家賃の全部を毎年、貸付期間に対応させて計上する方法もあります。修繕費も、支払った日ではなく12月31日までに債務が確定した年の経費です(所得税法37条1項・所得税基本通達37-2)。詳しくは不動産所得の年末チェック 修繕の時期・12月分の家賃・年明けにそろえる書類で解説しています。
Q107. 不動産を売った年の確定申告は、自分でできますか?
取得費の資料がそろい、マイホームの3,000万円特別控除を使うだけの売却なら、国税庁の確定申告書等作成コーナーなどでご自身でも作れます。3,000万円控除で税金がゼロになるときも、確定申告が必要です(タックスアンサーNo.3302)。一方、取得費が分からない・相続した・共有・賃貸用・損が出た・住み替えで特例を選ぶ、といった場合は、計算のしかたや特例の選び方で税額が変わります。詳しくは不動産売却の確定申告は自分でできる? 税理士に頼んだほうがよい場合の見分け方で解説しています。
Q108. 年の途中で会社を辞めて個人事業主になりました。会社の給与の分は、どう申告しますか?
年の途中で退職した人は、年末調整の対象になりません(タックスアンサーNo.2665)。死亡による退職や、12月に支給される給与を受けた後の退職などは例外です。会社から受け取った源泉徴収票をもとに、給与と開業後の事業所得を1つの確定申告で精算します。源泉徴収税額との差額は、還付になることも納付になることもあります。事業所得の赤字は給与所得から差し引けます(所得税法69条1項)。詳しくは退職して独立した年の確定申告 給与と事業所得をまとめる1年目の注意点で解説しています。
Q109. 住宅ローン控除の初年度の確定申告は、税理士に頼まないとできませんか?
家と住宅ローンが単独名義で、親からの援助・前の家の売却の特例・増改築がなければ、ご自身でも申告しやすい形です。控除を受ける最初の年分は確定申告が必要です(租税特別措置法41条36項)。給与所得者は、2年目以後の年分を年末調整で受けられます(同法41条の2の2)。一方、共有・連帯債務や、贈与税の非課税の特例などを受けた親の援助があると、控除の基礎になる金額の計算が分かれます。詳しくは住宅ローン控除の初年度は自分で申告できる? 税理士に頼んだほうがよい場合で解説しています。
Q110. 個人事業主が12月に小規模企業共済に加入すれば、その年の控除になりますか?
控除の対象は、その年に払い込んだ掛金です。中小機構は、11月・12月のオンライン申込は初回の請求が翌年になると案内しており、その場合は翌年分の控除です。その年の控除にするには、12月の最終営業日までに委託機関の窓口で「現金あり」の加入手続きをします。パソコンなどの備品も、12月31日までに事業で使い始めたものがその年の対象です。詳しくは個人事業主が年末にやること 12月31日を過ぎると令和8年分に入らないもので解説しています。
Q111. 親から住宅取得等資金の贈与を受けて買った家を売ります。援助してもらった分も取得費に入りますか?
入ります。取得費は「その資産の取得に要した金額」です(所得税法38条1項)。贈与で受けたのは金銭で、家はご本人が買っているため、援助分を差し引かず、購入代金をもとに計算します。建物は、購入代金から減価の額を引きます。なお、住宅取得等資金の贈与税の非課税を居住の見込みで受けた人が、贈与を受けた年の翌年12月31日までに住まなかったときは、原則として修正申告が必要です(措置法70条の2第4項)。詳しくは親の援助(住宅取得等資金の贈与)で買った家を売る税金 取得費と非課税の注意点で解説しています。
Q112. 相続税の申告より前に、相続した家を売って確定申告をしました。相続税の取得費加算は、あとから使えますか?
確定申告を先に出し、その期限の後に相続税の期限内申告をした場合は、更正の請求で取得費加算の特例を受けられます。確定申告期限までに相続税を申告した人は、この更正の請求の対象外です。期限は、相続税の申告書を出した日の翌日から2か月を経過する日までです(措置法39条4項1号)。更正請求書には特例の適用を受ける旨を書き、計算の明細書なども添付します(同条5項)。加算額は財産ごとに計算し、譲渡益が上限です(タックスアンサーNo.3267)。詳しくは取得費加算の更正の請求 相続税の申告前に実家や土地を売ったときの期限と計算で解説しています。
Q113. 個人事業主や家賃収入がある人は、ふるさと納税の上限をどう見込めばよいですか?
令和8年中の寄附の特例分の上限は、令和8年の所得で計算する住民税の所得割の2割です(地方税法37条の2第11項など)。事業所得や不動産所得は、収入から必要経費を引き、青色申告なら青色申告特別控除も引いて計算します。給与の年収の早見表ではなく、1月から11月の帳簿で令和8年の所得を見込んでから寄附額を決めます。確定申告をすると、ワンストップ特例の申請は無効になります。令和9年中の寄附からは、193万円の上限も加わります。詳しくはふるさと納税の上限 個人事業主・不動産所得がある人の見込み方と年内の確認で解説しています。
Q114. 給与が2,000万円を超えると、年末調整はしてもらえないのですか?
1年間に支払うべきことが確定した給与の総額が2,000万円を超える人は、年末調整の対象外です(所得税法190条1項・タックスアンサーNo.2665)。1年分の精算はご自身の確定申告で行い、還付になる人を除き確定申告が必要です(No.1900)。生命保険料控除などの所得控除や、住宅ローン控除の2年目以後も、確定申告で受けます。令和4年以後入居(50㎡以上)の住宅ローン控除は、合計所得金額2,000万円以下の年分に限ります。詳しくは給与2,000万円超の会社員の確定申告 年末調整がない人が年内にすることで解説しています。
Q115. 副業でも開業届を出せば、事業所得になりますか?
事業所得か雑所得かは、届出の有無ではなく、活動が社会通念上事業と称する程度かという実態で判定します(所得税基本通達35-2)。そのため、開業届を出しても雑所得になることがあり、雑所得の赤字は給与などと損益通算できません。事業の程度の副業を始めた場合、開業届はその年分の確定申告期限までに出します(所得税法229条)。詳しくは副業でも開業届を出すべき? 出す場合・出さない場合で変わることで解説しています。
Q116. 開業前に払った準備の費用は、開業1年目の確定申告でどう扱いますか?
事業を始めるまでに開業準備のため特別に支出した費用は開業費として扱い、資産の購入代金と前払費用は含みません(所得税法施行令7条1項)。開業前に買ったパソコンなどは、事業で使い始めた日から減価償却資産として扱います。国税庁の質疑応答事例では、開業費は一度に全額でも、全く経費にしなくてもよいとされています。経費にできるのは、開業した年分からです。詳しくは開業1年目の個人事業主が12月までに準備すること 初めての決算と確定申告で解説しています。
Q117. 海外に口座や資産がある場合、12月31日に何を記録しておけばよいですか?
その年の12月31日に国外財産の価額の合計が5,000万円を超える居住者(非永住者を除く)は、翌年6月30日までに国外財産調書を出します(国外送金等調書法5条)。判定と記載は12月31日の現況で行い、円換算は12月31日の電信買相場(TTB)などを使います。国内の営業所の口座で管理する外国株は国内の財産です。残高・時価・相場を12月31日の時点で記録しておくと、翌年の申告と調書の土台になります。詳しくは海外口座がある人が年末に確認したいこと 12月31日の残高の記録と国外財産調書で解説しています。
Q118. 副業の報酬から所得税が差し引かれています。確定申告では入金額を収入にすればよいですか?
収入は、入金額ではなく差し引かれる前の金額で記録し、差し引かれた源泉徴収税額は確定申告で年間の税額との過不足を精算します(タックスアンサーNo.2020)。入金額で記録すると、収入と精算する税額の両方が少なくなります。支払調書は支払った側が税務署に出す書類で(所得税法225条1項)、手元に届くとは限らないため、請求書や入金明細で確かめます。詳しくは副業1年目の年末にやること 令和8年分の確定申告の準備と記録の整理で解説しています。
Q119. 年末に損失の出ている株を売って、ほかの口座の利益と差し引くことはできますか?
NISA口座を除き、上場株式等の売却損は、同じ年分のほかの口座の売却益と差し引けます。ただし、源泉徴収ありの特定口座どうしでも、口座をまたいで差し引くには確定申告が必要です(タックスアンサーNo.1476)。令和8年分に入るかは原則として受渡日で決まり、選択により約定日で申告することもできます(措置法通達37の10・37の11共-1)。NISA口座の損失は、差し引くことも繰り越すこともできません(No.1474)。詳しくは年末に株の損出しをする前に確認したいこと 受渡日・口座の種類・翌年の確定申告で解説しています。
Q120. 親の老人ホームの費用を子が払っています。子の医療費控除の対象になりますか?
特別養護老人ホームは、介護費・食費・居住費の自己負担額の2分の1が対象で、介護老人保健施設と介護医療院はその全額が対象です(タックスアンサーNo.1125)。理美容代などの日常生活費は対象外です。有料老人ホーム等の特定施設入居者生活介護も対象外です(タックスアンサーNo.1127)。控除するのは実際に払った人で、子が払う場合は親と生計を一にしていることが条件です(所得税法73条)。同居でなくても、常に生活費や療養費を送金している場合などは生計を一にしていると扱われます(所得税基本通達2-47)。詳しくは親の老人ホーム・介護費用は医療費控除の対象? 特養は2分の1、年内に集める書類で解説しています。
Q121. 夫婦のペアローンで家を買い、持分より多く借りています。住宅ローン控除はどうなりますか?
控除の基礎になるのは、年末の借入金の残高と、自分の持分の取得対価のうち少ないほうです(租税特別措置法施行令26条6項)。持分を超えて借りた分は、控除の対象になりません。借入限度額の上限もあります。また、資金の負担割合と登記の持分が異なると、贈与税の問題が生ずることがあります(タックスアンサーNo.4411)。購入した年の申告で、持分・借入れ・実際の負担をそろえて確かめておくことが大切です。詳しくはペアローン・連帯債務の住宅ローン控除 持分と負担がずれたときの控除額と贈与で解説しています。
Q122. 令和9年分から、青色申告特別控除はどう変わりますか?
令和9年分以後は、控除が75万円・65万円・10万円の3段階になります(租税特別措置法25条の2)。65万円は、事業の取引を複式簿記で記帳し、確定申告期限までにe-Taxで申告することが要件です。紙で出すと、控除は上限10万円です。75万円は、65万円の要件に加えて優良な電子帳簿の保存などが要件です。令和8年分は改正前のままで、要件を満たせば紙でも55万円です。詳しくは青色申告特別控除は令和9年分から改正 紙は上限10万円、年内に確かめることで解説しています。
Q123. 暗号資産を年末に売って利益が出ました。どの年の所得になりますか?
国税庁のFAQでは、原則として引渡しがあった日の属する年分の所得になり、選択により売却等の契約をした日の年分とすることもできます。売却だけでなく、暗号資産どうしの交換や、暗号資産での支払いも所得が生じる場面です。雑所得に区分される場合、損失は給与所得などと相殺できません。改正で設けられた分離課税の特例は、令和8年中の売却には使えません。詳しくは暗号資産を年末に売る前に確認したいこと 利益を確定した年の税金と翌年の申告で解説しています。
Q124. ふるさと納税の返礼品と満期保険金を同じ年に受け取りました。一時所得の50万円は別々に引けますか?
別々には引けません。一時所得の特別控除(最高50万円)は、1回だけ引きます(所得税法34条)。その年の一時所得の収入を合計し、収入を得るために支出した金額を引いたあとに引きます。国税庁の質疑応答事例では、返礼品の経済的利益は一時所得とされています。満期保険金で50万円の枠を使い切った年は、返礼品の分がそのまま一時所得に加わります。所得税の計算に入るのは、その2分の1です。詳しくはふるさと納税の返礼品に税金はかかる? 満期保険金と合わせた一時所得の50万円で解説しています。
Q125. 年金のほかに少しだけ家賃収入があります。所得税の確定申告が不要なら、何も出さなくてよいですか?
住民税の申告は、原則として必要です(地方税法317条の2第1項)。所得税は、公的年金等の収入が400万円以下でその全部が源泉徴収の対象であり、年金以外の所得の合計が20万円以下なら申告不要です(所得税法121条3項)。家賃が赤字の年は、確定申告をすると年金から引かれた所得税が戻る場合があります。詳しくは年金と家賃収入がある人の確定申告 自分でできる場合と、頼んだほうがよい場合で解説しています。
Q126. 12月に納品した仕事の報酬が、翌年1月に入金されました。どちらの年の売上になりますか?
原則として、納品した年の売上です。所得税は、その年に収入すべき金額で計算します(所得税法36条1項)。制作物の請負は、全部を完成して引き渡した日が原則です(所得税基本通達36-8)。入金の日では決まりません。要件を満たす青色申告者が届出をして、入金の年で計上する方法を選んでいる場合などは例外です。詳しくは12月の仕事が1月入金なら売上はどちらの年? フリーランスの年またぎの計上で解説しています。
Q127. 会社員ですが、講演料から10.21%が引かれていました。確定申告をすれば戻りますか?
戻る場合と、追加で納める場合があります。謝礼の所得(謝礼から経費を引いた額)にかかる税金が、引かれた額より少なければ戻ります(No.2030)。ほかの所得や控除が同じ場合の目安です。税率の区分が高く経費が少ないと、追加で納めることがあります。給与以外の所得が20万円以下なら、所得税の申告は原則不要です。給与を1か所から受け、その全部が源泉徴収の対象で、給与が2,000万円以下の場合です。住民税の申告は要る場合があります。詳しくは講演料・原稿料をもらった会社員 引かれた税金が戻る場合と確定申告が要る場合で解説しています。
Q128. 物販の個人事業主です。12月31日に在庫の棚卸しができないときは、どうすればよいですか?
国税庁の手引きでは、多忙で年末にできないときは、年末から多少前後した日に数えても差し支えないとされています。その場合は、棚卸しの日と12月31日の間の売上や仕入れから、12月31日現在の在庫を計算します。経費になる売上原価は、年初の在庫に年間の仕入れを足し、年末の在庫を引いて計算するため、年末の在庫を数え忘れると所得が少なく計算されます。詳しくは物販の個人事業主の棚卸のやり方 12月31日の在庫の数え方と確定申告で解説しています。
Q129. 家賃収入が赤字で、給与の税金が戻る見込みです。2月16日を待たずに申告できますか?
赤字を翌年以後に繰り越さず、税金が戻るだけの申告なら、還付申告として翌年1月1日から出せます(国税庁タックスアンサーNo.2030)。令和8年分なら令和9年1月1日からです。赤字を翌年以後に繰り越すときは、確定損失申告という別の申告になります。こちらも、2月15日以前に出せば期限内の扱いです。1月に出せるかは、源泉徴収票と12月分までの家賃・経費の書類がそろう時期で決まります。詳しくは家賃収入の赤字で還付を受ける会社員は1月から申告できる? そろえる書類と注意点で解説しています。
Q130. 業務委託で働く妻や、年金と家賃収入がある親を扶養に入れるときは、年収で判定しますか?
年収ではなく、経費などを差し引いた所得で判定します。業務委託の報酬や家賃は収入から経費を引いた額、年金は公的年金等控除を引いた額です。生計を一にしていることなどの条件のうえで、所得の合計が令和8年分は62万円以下(令和7年分は58万円以下)かで判定します。遺族年金など非課税の収入は含めません。詳しくは業務委託・家賃収入・年金がある家族の扶養判定 経費などを引いた所得で見ますで解説しています。
Q131. 不動産投資の赤字があれば、給与から差し引かれた所得税は戻りますか?
不動産所得の赤字は、原則として給与などの所得から差し引けます(所得税法69条1項)。ただし、土地を取得するための借入金の利子に当たる部分の赤字などは差し引けません(国税庁タックスアンサーNo.1391)。戻る額は、差し引ける赤字の額や給与の額によって変わります。詳しくは不動産投資の赤字で給与の税金は戻る? 損益通算できない部分と経費の誤りで解説しています。
Q132. 70歳以上の母が老人ホームに入所しました。同居老親等として58万円の扶養控除を受けられますか?
国税庁は、老人ホーム等に入所している場合は同居しているとはいえないとしています(国税庁タックスアンサーNo.1180)。その年12月31日に入所中なら、扶養親族に当たっても、控除は58万円でなく48万円です。一方、同居していた親が病気の治療のために入院している場合は、同居として扱って差し支えないとされています。詳しくは親が老人ホームに入った年の扶養控除 同居老親に当たるかと仕送りの記録で解説しています。
Q133. 個人事業の赤字を翌年以降に繰り越すには、どんな条件がありますか?
事業の赤字を繰り越すには、原則として赤字の年が青色申告で、赤字の年とその後の年の確定申告書を連続して出す必要があります(所得税法70条1項・4項)。繰り越せる期間は原則として翌年以後3年間です。白色の年の事業の赤字で繰り越せるのは、変動所得の損失と被災事業用資産の損失に限られます。詳しくは赤字の年の確定申告 個人事業主が損失を翌年以降に繰り越すための条件で解説しています。
Q134. オーナーチェンジで物件を買いました。買った年の固定資産税の精算金は、その年の経費にできますか?
売主に払った固定資産税の精算金は、物件の取得価額に入り、全額を買った年の経費にはできません(国税庁の質疑応答事例)。建物の分は減価償却費で経費になります。引き継いだ敷金は預り金で、返さないと確定するまで原則として収入になりません。詳しくはオーナーチェンジで物件を買った年の確定申告 引き継いだ敷金と家賃の日割りで解説しています。
Q135. 初めて賃貸物件を買いました。青色申告の申請はいつまでに出しますか?
事業所得などがなく、その年の1月16日以後に貸付けを始めた人は、始めた日から2か月以内に申請します。1月15日以前に始めた人は、その年の3月15日までです。すでに貸付けをしている人が翌年分から青色にするときは、翌年の3月15日までです。詳しくは不動産投資に開業届は必要? 初めて物件を買った人の青色申告の申請期限で解説しています。
Q136. 報酬と一緒に取引先へ請求した交通費は、売上に入れますか?
自分の仕事にかかる費用として受け取るなら、原則として売上に入れ、かかった交通費を経費にします。取引先が本来払う費用を実費で分けて受け取るなら、立替金として扱います。源泉徴収の対象の報酬では、受け取る交通費も原則として報酬に含まれます。詳しくは取引先に請求する交通費・材料費は売上?立替金? 報酬と一緒に受け取るお金の扱いで解説しています。
Q137. アパートの駐車場の舗装やフェンスは、確定申告とは別に申告が要りますか?
建物の固定資産税に含まれない舗装やフェンスなどは、償却資産として毎年1月31日までに市区町村(東京23区は都税事務所)へ申告します。令和9年度分の期限は2月1日です。扱いは自治体によって違うことがあります。詳しくはアパート・駐車場の償却資産の申告 大家が1月31日までに市区町村へ出すもので解説しています。
Q138. 確定申告で、ほかの所得と相殺できる赤字はどの所得の赤字ですか?
相殺できる赤字は、原則として不動産・事業・山林・譲渡の4つの所得の赤字です。株や土地建物の売却の赤字は、原則として別の枠で考えます。副業の赤字も、雑所得なら給与と相殺できません。詳しくは損益通算できる所得とできない所得 赤字の確定申告で相殺できる範囲と順番で解説しています。
Q139. 医療ローンで払った治療費は、どの年の医療費控除に入れますか?
歯科ローンは、信販会社が医院へ立替払をした年の控除に入れます。返済の年ごとには入れません。金利と手数料は対象外です。ほかの医療ローンも、仕組みが同じなら同じ考え方になると考えられます。医院への分割払いは、実際に払った年に入れます。詳しくは医療ローン・分割払いの医療費控除はどの年に入れる? 高額な治療で確かめることで解説しています。
Q140. 家賃収入の減価償却を計上し忘れていました。どう直しますか?
個人の減価償却は、計上するかどうかを選べません。計上漏れで税金を納めすぎた年は、更正の請求で直します。申告期限から原則5年以内です。経費にしなかった分も、売るときは取得費から引かれます。詳しくは家賃収入の減価償却を間違えていたら 計上漏れと耐用年数の誤りの直し方で解説しています。
Q141. 白色申告から青色申告に切り替えるには、いつまでに何を出しますか?
前の年から事業や貸付けを続けている人は、青色にしたい年の3月15日までに「所得税の青色申告承認申請書」を出します。令和9年分からなら令和9年3月15日までです。帳簿は、その年の1月1日の分から付けます。詳しくは白色申告から青色申告への切り替え 令和9年分からなら申請は3月15日までで解説しています。
Q142. 確定申告で予定納税額を差し引き忘れました。どう直しますか?
申告期限内なら、申告書を出し直します。期限を過ぎてから気づいたときは、更正の請求で多く納めた分の還付を求めます。原則として申告期限から5年以内です。書く金額は、通知書の合計欄の金額(減額の承認後は減額後の額)です。詳しくは予定納税を確定申告で差し引き忘れたら 二重に納めた分の取り戻し方と期限で解説しています。
Q143. RSUを売ったときの取得費を0円で申告していました。直せますか?
取得費は、原則として給与として課税された金額です。給与の分を正しく申告していたなら、0円にした分だけ税金を多く納めています。原則として申告期限から5年以内に更正の請求で直せます。給与も申告していなかったときは、修正申告になることがあります。詳しくはRSUの確定申告を間違えたら 二重課税は更正の請求、申告漏れは修正申告で解説しています。
Q144. 父が前年分の確定申告を出す前に亡くなりました。前年分の申告は誰がいつまでに出しますか?
申告が必要な方だった場合、前年分は相続人が出します。期限は、原則として相続の開始を知った日の翌日から4か月以内です。これは、前年分の期限(原則3月15日)までに亡くなった場合です。期限より後に亡くなった場合、前年分はすでに期限後申告です。亡くなった年の分の申告も要ることがあり、2つの申告になる場合があります。詳しくは前年分の確定申告を出す前に亡くなったら 申告が2つになる場合と4か月の期限で解説しています。
Q145. 個人事業主の消費税の申告期限は、所得税と同じ3月15日ですか?
違います。個人事業主の消費税の申告と納付の期限は、原則として翌年3月31日です。令和8年分なら、所得税は令和9年3月15日、消費税は3月31日が期限です。振替納税の引き落としの日も別です。詳しくは個人事業主の消費税の申告期限は原則3月31日 所得税との違いと遅れた場合で解説しています。
Q146. 築年数の古い中古住宅でも、住宅ローン控除は受けられますか?
昭和57年以後に建てられた住宅は、耐震の要件を満たすものとされます。昭和56年以前の住宅は、取得前2年以内の耐震の証明があれば対象になり得ます。取得の日までに耐震改修を申請し、入居までに改修と証明を終えた住宅も対象になり得ます。ほかの要件もあわせて確かめます。詳しくは中古住宅の住宅ローン控除 築年数・耐震の要件と、思い込みで起きる失敗で解説しています。

D. 税務調査・その他

Q147. 税務調査が入った場合のサポートは?
はい、税務調査対応もサポートします。立会いから対応文書作成までフォローします(別途料金)。
Q148. 税務署から手紙(お尋ね・連絡)が来ました。何をすればいいですか?
まず、慌てて一人で回答しないでください。書面の種類によって適切な対応が異なります。書面の写真を添えてご相談いただければ、何を求められているか・どう対応すべきかをご説明します。早く動くほど選択肢は多く残ります。
Q149. 他の税理士からの切り替えは可能ですか?
はい、可能です。前任税理士からの引き継ぎもスムーズに行います。
Q150. 贈与税の申告も対応してもらえますか?
はい、暦年贈与・相続時精算課税制度どちらも対応可能です。詳細は料金ページをご確認ください。
Q151. 創業融資や資金調達の相談もできますか?
はい、日本政策金融公庫の創業融資から民間銀行借入、補助金活用まで対応します。CFO経験を活かした事業計画書・資金繰り表の作成支援も行います。
Q152. 法人化のタイミングを相談できますか?
はい、フリーランス・YouTuber・不動産オーナー等の法人化タイミングを総合的に判断します。
Q153. 確定申告をしていない年があります。今から申告できますか?
できます。ご自身から期限後申告を行う場合と、税務署の調査を受けてから申告する場合とでは、無申告加算税の税率が変わります。早く動くほど負担は軽くなりますので、お早めにご相談ください。詳しくは確定申告をしていないとどうなる?無申告加算税・延滞税と期限後申告の進め方をご覧ください。
Q154. 確定申告の期限に間に合いそうにありません。どうすればよいですか?
期限内にできる範囲で提出し、後日修正する方法や、期限後申告として速やかに提出する方法があります。何もしないまま放置するのが最も不利です。やってはいけない対応もありますので、詳しくは確定申告が期限に間に合わないときの対処法 今からできること・やってはいけないことをご覧ください。
Q155. 医療費が年間10万円に届きませんが、医療費控除は使えませんか?
使える場合があります。医療費控除の基準は原則10万円ですが、その年の総所得金額等が200万円未満の方は総所得金額等の5パーセントが基準になります。年金収入のみの方やパート収入のみの方は、10万円未満でも対象になることがあります。市販薬の購入が中心の方は、セルフメディケーション税制(12,000円を超える部分・最高88,000円)を選べる場合もあります。詳しくは医療費控除はいくらから使える? 10万円より少なくても使える人がいますをご覧ください。
Q156. 住宅ローン控除を受けるのに確定申告は必要ですか?
はい、入居した年の翌年に確定申告が必要です。給与所得者の方でも初年度だけは自分で申告する必要があり、2年目以降は勤務先の年末調整で受けられます。登記事項証明書・売買契約書の写し・年末残高等証明書などの添付書類が必要です。初年度の申告を忘れていた場合でも、還付申告はその年の翌年1月1日から5年間提出できます。詳しくは住宅ローン控除の初年度は何をする? 確定申告の必要書類と入居年別の控除額をご覧ください。
Q157. 年金を受け取っています。確定申告は必要ですか?
公的年金等の収入金額が400万円以下で、かつ公的年金等以外の所得が20万円以下であれば、所得税の確定申告は不要です。ただしその場合でも住民税の申告が必要なことがあります。また、医療費控除や生命保険料控除などがある方は、申告することで源泉徴収された税金が戻る可能性があります。申告義務がないことと、申告しないほうが得であることは別です。詳しくは年金受給者の確定申告は必要?400万円ルールと申告したほうが得なケースをご覧ください。
Q158. 賃貸に出していたマンションを売却しました。3,000万円の特別控除は使えますか?
使えません。3,000万円の特別控除は、ご自身が住んでいた居住用財産が対象です。賃貸用の物件では、取得費も購入代金そのままではなく、必要経費に算入してきた減価償却費を差し引いた未償却残高で計算します。詳しくは賃貸マンション・アパート売却の税金 3,000万円控除は原則使えませんをご覧ください。なお、売却でかかった費用をどこまで差し引けるかについては測量費・取壊し費用は取得費?譲渡費用?不動産売却でかかった費用の線引きで解説しています。
Q159. ふるさと納税のワンストップ特例を申請しました。医療費控除で確定申告をしても大丈夫ですか?
確定申告をすると、ワンストップ特例の申請は効力を失います。そのため、確定申告書にふるさと納税分の寄附金控除を必ず記載してください。記載を忘れると控除がまるごと受けられず、自己負担が2,000円ではなく寄附額の全額になってしまいます。第二表の「寄附金控除に関する事項」だけでなく、「住民税に関する事項」の都道府県・市区町村への寄附(特例控除対象)欄への記載も必要です。詳しくはふるさと納税で確定申告が必要なのはどんなとき? ワンストップ特例が無効になる人をご覧ください。
Q160. 父が亡くなりました。父の確定申告はどうすればよいですか?
相続人が代わりに申告します。これを準確定申告といい、期限は相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内です。相続税の申告期限(10か月以内)より先に来るため、遺産分割の話し合いを待っていると期限を過ぎてしまいます。医療費控除や社会保険料控除は死亡の日までに支払った分が対象で、配偶者控除・扶養控除は死亡の日の現況で判定し月割りはしません。詳しくは亡くなった方の確定申告(準確定申告)4か月の期限と相続人がやることをご覧ください。
Q161. 海外に住んでいますが、日本のマンションを売却しました。日本で申告が必要ですか?
必要です。非居住者であっても、日本国内にある不動産の譲渡所得は日本で課税されます。さらに、買主は譲渡対価の10.21%を源泉徴収して納付します(個人が自己または親族の居住用に購入し、対価が1億円以下の場合を除きます)。源泉徴収された金額は税金の前払いにあたるため、確定申告で精算します。計算の結果、差額が戻ることも、追加で納めることもあります。申告書を提出するときまでに納税管理人の届出も必要です。詳しくは海外在住のまま日本の不動産を売却したら? 10.21%の源泉徴収と納税管理人をご覧ください。
Q162. マイホームを売って買い換えます。買換え特例と3,000万円特別控除はどちらを選ぶべきですか?
併用できないため、どちらか一方を選びます。買換え特例は税金が非課税になる制度ではなく、課税を将来に繰り延べる制度です。売った年の税負担はゼロでも、買い換えた家を将来売るときに繰り延べた利益が上乗せされます。譲渡益が3,000万円以下であれば特別控除だけで税額がゼロになるため、買換え特例を検討する意味があるのは譲渡益が大きいケースに限られます。なお買換え特例を使うと、買い換えた家について住宅ローン控除は受けられません。詳しくはマイホームの買換え特例と3,000万円控除はどちらが有利?令和9年12月31日まで2年延長をご覧ください。また、購入時の契約書に土地と建物の内訳がなく取得費が固まらない場合は契約書に土地と建物の内訳がない 不動産売却で取得費を按分する3つの方法で按分方法を解説しています。
Q163. 不動産を売って3,000万円の特別控除を使えば、扶養や配偶者控除に影響はありませんか?
影響します。扶養親族や配偶者控除・配偶者特別控除、住宅ローン控除などの判定に使う「合計所得金額」は、国税庁の定義上、申告分離課税の長期・短期譲渡所得については特別控除前の金額で計算します。特別控除によって所得税がゼロになっても合計所得金額には特別控除前の譲渡益がそのまま入るため、その年だけ扶養から外れる、基礎控除や配偶者控除が使えなくなる、といったことが起こります。国民健康保険料などの取扱いは市区町村の条例によって異なりますので、あわせてご確認ください。詳しくは不動産を売った年は扶養から外れる?3,000万円控除でも残る合計所得金額をご覧ください。
Q164. 提出した確定申告に間違いが見つかりました。いつまで直せますか?
税金を払いすぎていた場合の更正の請求は、原則として法定申告期限から5年以内です。税金が少なすぎた場合の修正申告に期限はありませんが、税務署の調査の事前通知前に自主的に提出すれば過少申告加算税はかかりません。事前通知の後は5パーセント(一定額を超える部分は10パーセント)、調査を受けた後は10パーセント(同15パーセント)となるため、早く動くほど負担が軽くなります。詳しくは確定申告を間違えたときの直し方 更正の請求は5年以内・修正申告は早いほど有利をご覧ください。
Q165. 確定申告の税金がすぐに払えません。分割で納めることはできますか?
いくつか方法があります。まず延納は、納付する税金の2分の1以上を法定納期限までに納めれば残りを5月31日まで延ばせる制度で、確定申告書に届け出るだけで利用できます。それでも難しい場合は、納期限から6か月以内に申請する換価の猶予(原則1年以内・月々の分割納付)や納税の猶予があり、猶予期間中の延滞税は全部または一部が免除されます。納税資金がなくても申告は期限内に済ませてください。詳しくは確定申告の税金が払えないときの対処法 延納・換価の猶予と延滞税の違いをご覧ください。
Q166. 親から相場より安く不動産を買っても問題ありませんか?
税務上は問題になり得ます。個人から著しく低い価額の対価で財産を譲り受けた場合、その財産の時価と支払った対価との差額は贈与により取得したものとみなされ、買った側に贈与税がかかります(相続税法7条)。相手が法人の場合は、時価の2分の1を下回る対価で売ると売主側で時価により譲渡所得が計算されます(所得税法59条1項2号)。また、親子や夫婦、生計が同じ親族などに売ると、マイホームの3,000万円特別控除は使えません。住宅ローン控除は、買う時とその後も生計が同じ親族から買うと使えません。詳しくは親子間の不動産売買は相場より安くできる? 低額譲渡の贈与税と同族会社の場合をご覧ください。
Q167. 公共事業で土地を売ることになりました。使える特例はありますか?
土地収用法などで収用権が認められている公共事業のための譲渡には、代替資産を取得した場合の課税の繰延べと最高5,000万円の特別控除という2つの特例があり、どちらか一方を選択します。5,000万円特別控除は、最初に買取り等の申出があった日から6か月を経過した日までに売っていること、最初に買取り等の申し出を受けた本人が譲渡していることなどが要件で、同じ事業で2以上の年にまたがるときは最初の年しか受けられません。詳しくは公共事業で土地を売ったときの5,000万円特別控除 収用等の特例と4つの要件をご覧ください。
Q168. 不動産を売って、買主から固定資産税の精算金を受け取りました。譲渡所得に含めるのですか?
含めます。買主が支払う精算金は税金の納付ではなく売買代金の一部であり、譲渡した日から年末までの期間に対応する固定資産税・都市計画税に相当する額は譲渡価額に算入します。自分が納めた固定資産税と相殺することはできず、その固定資産税は譲渡費用にもなりません。なお、1つの契約に基づく代金を2年以上に分けて受け取る場合も、その全額が譲渡した年の収入金額になります。詳しくは固定資産税の精算金も譲渡所得の収入金額です 不動産売却で入れ忘れやすい4つのお金をご覧ください。
Q169. 12月に売買契約をして、引渡しが翌年1月になります。どちらの年分で申告しますか?
選ぶことができます。資産を譲渡した日は原則として買主に引き渡した日ですが、売買契約などの効力発生の日(一般的には契約締結の日)に譲渡があったものとして申告することもできます。土地建物等の長期・短期は「譲渡した年の1月1日」時点の所有期間で判定するため、どちらの年分にするかで税率が20.315パーセントと39.63パーセントに分かれることがあります。特例の適用期限や合計所得金額にも影響しますので、契約前にご確認ください。詳しくは不動産売却の確定申告はどの年分? 年をまたぐ売却は引渡日と契約日を選べますをご覧ください。
Q170. 離婚の財産分与で自宅を渡します。税金はかかりますか?
かかることがあります。土地や建物で財産分与をすると、渡した側に譲渡所得の課税が行われ、分与した時の時価が収入金額になります。現金を1円も受け取っていなくても納税が生じる点にご注意ください。また、婚姻中に分与すると配偶者への譲渡となるため居住用財産の3,000万円特別控除は使えません。受け取った側は原則として贈与税はかかりませんが、取得費と取得時期は引き継がず、分与を受けた日にその時の時価で取得したものとして扱います。詳しくは離婚の財産分与で自宅を渡すと譲渡所得税がかかります 渡す側・受け取る側の税金をご覧ください。
Q171. 退職金から思ったより多く源泉徴収されていました。取り戻せますか?
「退職所得の受給に関する申告書」を勤務先に提出していなかった場合、退職金の支給額に20.42パーセントを乗じた額が源泉徴収されます。退職所得控除も2分の1にする計算も反映されないため、本来の税額より大幅に多くなります。この差額は確定申告で精算でき、還付を受けるための申告はその年の翌年1月1日から5年間提出できます。退職した年は年末調整を受けていないことも多く、給与の分だけでも還付になることがあります。詳しくは退職金に確定申告は必要?受給に関する申告書を出し忘れたときの取り戻し方をご覧ください。
Q172. 賃貸アパートを売却しました。譲渡所得のほかに消費税もかかりますか?
事業用の建物の売却は消費税の課税対象です(土地部分は非課税)。売却した年にご自身が課税事業者かどうかで納付の要否が決まります。見落としやすいのは売却の2年後で、建物の売却代金が基準期間の課税売上高に含まれるため、それまで免税事業者だった方が課税事業者になることがあります。詳しくは事業用の建物を売ったら消費税がかかります 譲渡所得とは別に確認したい4つのことをご覧ください。
Q173. 自宅で仕事をしています。家賃や電気代はどこまで経費にできますか?
生活と業務の両方にかかわる費用(家事関連費)は、業務の遂行上直接必要であったことを明らかに区分できる部分に限って必要経費になります。「何パーセントまで」という法令上の基準はなく、床面積・使用時間・走行距離など実態に基づく基準で説明できるかどうかが判断の分かれ目です。詳しくは自宅兼事務所の家賃・電気代はどこまで経費?家事按分の考え方と根拠の残し方をご覧ください。
Q174. 空き巣に入られました。確定申告で控除は受けられますか?
盗難による損害は雑損控除の対象になります。控除額は2つの計算式のうち多いほうを採用し、引ききれない金額は翌年以後3年間繰り越せます。なお、詐欺や恐喝による被害は雑損控除の対象となる原因に含まれていません。詳しくは災害・盗難で損害を受けたときの雑損控除 災害減免法とどちらが有利かをご覧ください。
Q175. 7月に予定納税の納付書が届きました。今年は所得が減る見込みです。減らせますか?
その年の所得が前年より明らかに少なくなる見込みであれば、予定納税額の減額申請ができます。提出期限は第1期分が7月15日、第2期分が11月15日で、納付期限(7月31日・11月30日)とは別の日付です。第1期分の期限を過ぎた場合でも、11月15日までに申請すれば第2期分は減額できる可能性があります。詳しくは予定納税とは?7月・11月に届く納付書の意味と減額申請の使い方をご覧ください。
Q176. 同じ年にマイホームと公共事業で2件の売却がありました。特別控除は両方とも満額使えますか?
使えません。譲渡所得の特別控除は7種類ありますが、その年の譲渡益全体を通じて合計5,000万円が限度とされており、控除する順序も決まっています。公共事業の5,000万円控除で枠を使い切ると、マイホームの3,000万円控除が残枠までしか使えないことがあります。契約前であれば譲渡時期をずらす選択肢もありますので、早めにご相談ください。詳しくは譲渡所得の特別控除は7種類 同じ年に使えるのは合計5,000万円までですをご覧ください。
Q177. 数年前に医療費が多くかかった年があります。今からでも還付を受けられますか?
確定申告の義務がない方の還付申告は、その年の翌年1月1日から5年間提出できます。医療費控除のほか、年の途中で退職した年の源泉徴収税額、住宅ローン控除、雑損控除、寄附金控除などが対象になります。ただし、副業の所得が20万円を超える会社員や個人事業主などで税金を納める方は別です。原則として翌年3月15日までの確定申告が必要で、この5年の扱いにはなりません。詳しくは還付申告はいつまで? 5年さかのぼれる人と、更正の請求になる人をご覧ください。
Q178. 妻に事業を手伝ってもらっています。給与を払えば経費にできますか?
生計を一にする配偶者その他の親族への給与は、原則として必要経費になりません(所得税法56条)。例外が青色事業専従者給与で、届出書の提出、6か月を超える期間専ら従事していること、労務の対価として相当な金額であることなどの要件があります。届出書の提出期限はその年の3月15日です。専従者給与を出すとその方について配偶者控除・扶養控除は使えなくなりますので、世帯全体での試算が必要です。詳しくは家族に払う給与は経費になる? 青色事業専従者給与と白色の事業専従者控除をご覧ください。
Q179. 小規模企業共済やiDeCoの掛金は、事業の経費に入れてよいですか?
入れられません。掛金は事業上の損金または必要経費には算入できず、その年に支払った全額が「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除になります。帳簿では事業主貸で処理し、確定申告書の所得控除欄に記載します。経費に計上すると事業所得が過少になり、個人事業税や国民健康保険料の計算までずれます。詳しくは小規模企業共済とiDeCoの掛金は必要経費になる? 全額が所得控除ですをご覧ください。
Q180. 相続した実家を売って兄弟で分けます。分け方で税金は変わりますか?
変わります。相続人全員で持分を相続して売り、代金を分ける換価分割と、1人が家を相続して他の相続人に金銭を払う代償分割では、譲渡所得を申告する人も、特別控除を何人分使えるかも変わります。また代償金は取得費になりません(相続した不動産の取得費は被相続人から引き継ぐため)。分割協議書に署名したあとでは選び直せませんので、売却前のご相談をおすすめします。詳しくは相続した実家を売って兄弟で分けるとき 換価分割と代償分割で変わる税金をご覧ください。
Q181. 金の地金を売った利益にも確定申告は必要ですか?
必要になる場合があります。金地金の売却益は、株式や不動産と違って給与などと合算する総合課税の譲渡所得です。譲渡益からは年間50万円の特別控除を差し引け、保有期間が5年を超えていれば控除後の金額の2分の1だけが課税対象になります。同じ利益でも5年以内か5年超かで負担が2倍以上変わることがあります。詳しくは金地金やゴルフ会員権を売ったときの税金 総合課税の譲渡所得と50万円特別控除をご覧ください。
Q182. 20万円のパソコンを買いました。全額その年の経費にできますか?
青色申告をしている中小事業者であれば、10万円以上40万円未満(令和8年3月31日までの取得は30万円未満)の資産を、年間300万円まで使い始めた年の必要経費にできます(少額減価償却資産の特例。開業・廃業の年の上限は月割り)。白色申告の方は、10万円以上20万円未満なら一括償却資産として3年間で均等に必要経費にできます。ただし所得が少ない年に一気に経費化しても効果は小さいため、翌年以降の所得の見通しとあわせて選ぶことをおすすめします。詳しくは40万円未満の備品は一括で経費にできる?少額減価償却資産の特例と一括償却資産の使い分けをご覧ください。
Q183. 開業したら、いつまでにどんな届出が必要ですか?
開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)は、事業を開始した年分の確定申告期限までに提出します。ただし青色申告承認申請書は、その年の1月16日以後に開業した場合は開業日から2か月以内で、この期限を過ぎるとその年は青色申告特別控除も青色事業専従者給与も使えません。家族や従業員に給与を払うなら給与支払事務所等の開設届出書を1か月以内に提出します。詳しくは開業したら出す届出書 青色申告承認申請は開業から2か月以内ですをご覧ください。
Q184. 大学生の子のアルバイト収入が136万円を超えました。扶養から外れますか?
扶養控除は使えなくなります。ただし19歳以上23歳未満のお子さんは、特定親族特別控除の対象です(合計所得金額123万円以下)。令和8年分は、給与だけなら給与収入136万円超159万円以下で控除額63万円です。特定扶養親族の扶養控除と同じ額なので、給与収入159万円までは親の所得税は変わりません。お子さんご自身も、令和8年分は給与収入178万円までなら所得税はかかりません。「本人の所得税がゼロ」と「親の扶養に入れる」は別です。扶養の判定は、基礎控除を引く前の合計所得金額(62万円以下)で行うためです。令和7年分は、136万円が123万円、159万円が150万円、178万円が160万円でした。詳しくは扶養控除・配偶者控除の年収の壁は? 令和8・9年分は136万円と178万円をご覧ください。
Q185. 年末調整を受けたのに確定申告が必要と言われました。どんなときですか?
医療費控除・寄附金控除・雑損控除の3つは、年末調整では受けられません。適用を受けたい年は確定申告が必要です。また住宅ローン控除は最初の年だけ確定申告が必要で、2年目以後は年末調整で受けられます。このほか、給与の年間収入金額が2,000万円を超える方、給与所得と退職所得以外の所得の合計額が20万円を超える方なども確定申告が必要です。年末調整で控除証明書を出し忘れた場合も、原則としてその年の翌年1月1日から5年間は還付申告で取り戻せます。詳しくは年末調整と確定申告は何が違う?年末調整では受けられない3つの控除をご覧ください。
Q186. 海外赴任が決まりました。株式を持っていると出国のときに課税されると聞きました。
国外転出の時に1億円以上の有価証券等を所有等しており、国外転出の日前10年以内の国内在住期間が5年を超えている方は、実際に売っていなくても含み益に所得税が課されます(国外転出時課税)。とくに重要なのは、国外転出の時までに納税管理人の届出をしたかどうかで申告期限が変わる点です。届出をしないまま出国すると、出国の時までに準確定申告と納税が必要になり、原則として納税猶予の特例も受けられません。出国日が決まった段階でご相談ください。詳しくは国外転出時課税(出国税)とは? 1億円以上の株などを持って海外へ移る人の税金をご覧ください。
Q187. FXや日経225先物で損が出ました。給与の税金と相殺できますか?
できません。先物取引・FXの損益は「先物取引に係る雑所得等」として申告分離課税(20.315パーセント)で計算し、給与所得や事業所得との損益通算はできません。上場株式等の譲渡損益や暗号資産の所得とも通算できない点にご注意ください。ただし損失は翌年以後3年間繰り越せます。繰り越すには、損失が出た年から連続して申告書付表を添付した確定申告書を提出し続ける必要があり、取引をしなかった年も申告が必要です。詳しくは先物取引・FXの確定申告 申告分離課税20.315パーセントと3年間の繰越控除をご覧ください。
Q188. 個人事業主です。何から手をつけるといちばん節税になりますか?
順番があります。①記帳を整えて経費を適正に計上する ②期限内にe-Taxで申告して青色申告特別控除65万円を確実に取る ③小規模企業共済やiDeCoなどの所得控除 ④資産の取得、の順です。①②は支出をともなわずに所得を減らせるため費用対効果がもっとも高く、逆に④から始めると手元の現金が減る割に税額は下がりません。なお申告が1日でも遅れると65万円は10万円になります。詳しくは個人事業主の節税は「順番」で決まります 使う順番を間違えると効果が消えますをご覧ください。
Q189. 不動産を売るために払った費用は、どこまで譲渡費用になりますか?
国税庁は譲渡費用を「土地や建物を売るために直接かかった費用」と定義し、仲介手数料・売主負担の印紙税・借家人への立退料・土地を売るための建物取壊し費用と損失額・有利な条件で売るための違約金・借地権売却時の名義書換料を挙げています。一方、修繕費や固定資産税などの維持管理費、売却代金の取立てのための費用は譲渡費用になりません。領収書の名目ではなく、何のために・いつ支出したかで判断されます。小松公認会計士・税理士事務所では、取得費・譲渡費用・特例の3つについて一次資料まで戻り、根拠を示せる範囲を漏れなく拾うことを実務の柱にしています。詳しくは不動産売却の税額は「申告のしかた」で変わりますをご覧ください。
Q190. 共有名義の土地を分けて、それぞれの単独名義にします。税金はかかりますか?
所得税基本通達33-1の7は、個人が他の者と土地を共有している場合において、その共有に係る一の土地についてその持分に応ずる現物分割があったときは、その分割による土地の譲渡はなかったものとして取り扱うとしています。面積の比と持分の割合が異なっていても、分割後の価額の比が持分の割合におおむね等しければ該当します。一方、複数の物件を分け合う場合は「一の土地」の分割ではないため、交換として課税関係が生じます(国税庁 質疑応答事例「共有物の分割」)。等価であっても結論は変わりません。登記を進める前にご相談ください。詳しくは共有名義を解消したいとき 共有物分割で譲渡所得が生じる場合・生じない場合をご覧ください。
Q191. 相続した土地を売ります。父がいくらで買ったのか調べる方法はありますか?
相続で取得した土地建物の取得費は、被相続人が買い入れたときの購入代金や購入手数料などを基に計算します(国税庁タックスアンサーNo.3270)。資料は、①ご自宅(売買契約書・権利証・領収証)②法務局(登記事項証明書・閉鎖登記簿・当時の抵当権設定登記)③金融機関(預金通帳・住宅ローン契約書)④分譲会社・仲介会社(分譲時のパンフレット・価格表)⑤市区町村(名寄帳・固定資産評価証明書)の順に当たると見つかることがあります。なお概算取得費(売った金額の5パーセント)を使うと、相続人が支払った登記費用などを取得費に含めることはできません。実額で計算できるかを先に検討する順序になります。詳しくは相続した不動産を売るとき 被相続人の取得費をさかのぼって調べる方法をご覧ください。
Q192. 1階が店舗、2階が自宅の建物を売りました。3,000万円控除は建物全体に使えますか?
原則として、自分の居住の用に使っていた部分に限られます(国税庁タックスアンサーNo.3452)。家屋と敷地のそれぞれについて面積により居住用部分を計算し、その部分だけが特例の対象になります。ただし、居住の用に使っていた部分が全体のおおむね90パーセント以上であるときは、全体を居住の用に使っていたものとして特例の適用を受けることができます(措置法通達31の3-8)。なお、居住用部分で使い切れなかった控除枠を非居住用部分の譲渡益に回すことはできません。過去の申告で用いてきた事業使用割合との整合も確認が必要です。詳しくは店舗兼住宅・賃貸併用住宅を売ったとき 3,000万円控除は居住部分だけ?おおむね90パーセントの基準をご覧ください。
Q193. 自分の会社に自宅の土地を贈与しました。お金は受け取っていませんが税金はかかりますか?
かかります。法人に対する贈与や遺贈、時価の2分の1未満の価額による譲渡があった場合には、時価で資産の譲渡があったものとされます(国税庁タックスアンサーNo.3105)。ご自身が100パーセント出資している同族会社であっても同じです。また、限定承認の相続や限定承認の包括遺贈(個人に対するものに限られます)も同様に時価で譲渡があったものとされ、この場合の譲渡所得は被相続人の準確定申告(相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内)で申告します。現金が入らないまま納税が生じますので、実行前の試算と納税資金の手当てが必要です。詳しくは対価を受け取っていないのに譲渡所得税がかかる? 法人への贈与・遺贈と限定承認のみなし譲渡をご覧ください。
Q194. 使っていない土地を安い値段で売りました。何か控除は使えますか?
都市計画区域内にある低未利用土地等を、その上にある建物等の対価を含めて500万円以下(一定の場合は800万円以下)で売り、売った年の1月1日において所有期間が5年を超えているなど一定の要件を満たす場合には、譲渡所得の金額から100万円を控除できます(国税庁タックスアンサーNo.3226)。市区町村長の確認をした書類の添付が必要で、収用等の特別控除など他の特例との重複適用はできません。適用期限は令和8年度税制改正により令和10年12月31日まで3年延長されました。詳しくは使っていない土地を500万円以下で売ったら100万円引けます 低未利用土地等の特別控除をご覧ください。
Q195. 事業で使っている土地建物を売って、別の物件に買い換えます。税金は安くなりますか?
一定の組合せに当てはまる買換えでは、譲渡益に対する課税の一部を将来に繰り延べることができます(国税庁タックスアンサーNo.3405)。非課税になるわけではなく、原則として譲渡価額の20パーセントに対応する部分に課税し、残りを繰り延べる仕組みです。買換資産を取得の日から1年以内に事業の用に供すること、買い換える土地の面積が譲渡した土地の面積の5倍以内であることなどの要件があり、届出と確定申告での書類添付も必要です。適用期限は令和8年度税制改正により令和11年12月31日まで3年延長されました(一部の組合せは期限が異なります)。詳しくは事業用資産の買換えの特例とは 課税が8割先送りになる仕組みと令和8年度改正の3年延長をご覧ください。
Q196. 借りていた事務所を明け渡して立退料を受け取りました。税金はかかりますか?
立退料は、その中身に応じて3つの所得に分かれます(国税庁タックスアンサーNo.3155)。①家屋の明渡しによって消滅する権利の対価に相当する金額は総合課税の譲渡所得、②立ち退きに伴う事業の休業等による収入金額または必要経費を補填する金額は事業所得等、③①②以外の金額は一時所得の収入金額になります。区分によって特別控除の使い方が変わるため、契約書や覚書に内訳を記載しておくことが大切です。なお、賃貸している建物やその敷地を売るために支払った立退料は、支払う側では譲渡費用になります(同No.1382)。詳しくは立退料をもらったとき・支払ったときの税金 3つに分かれる所得区分と、譲渡費用になる場合をご覧ください。
Q197. 何年も前にしたリフォームの費用は、売却時の取得費に入れられますか?
取得費には購入代金や建築代金のほか、設備費や改良費なども含まれます(国税庁タックスアンサーNo.3252)。増改築やリフォームの費用は、価値を高めたり使用可能期間を延ばしたりするものであれば取得費に入る余地があります。ただし建物については所有期間中の減価償却費相当額を差し引いた金額が取得費になります(同No.3261)。実務でいちばんの壁は資料です。工事請負契約書・見積書・請求書・領収書、工事代金の振込が残る通帳、リフォームローンの契約書などが手がかりになります。入れ忘れを防ぐため、売却が決まった段階で一度ご相談ください。詳しくはリフォーム・増改築の費用は取得費に入ります 売却時の入れ忘れを防ぐ資料の残し方をご覧ください。
Q198. 長く住んだマイホームを売ります。3,000万円を引いてもまだ利益が残る場合、税率は下がりますか?
売った年の1月1日において家屋と敷地の所有期間がともに10年を超えているなど一定の要件を満たす場合には、軽減税率の特例を使えます(国税庁タックスアンサーNo.3305)。この特例は3,000万円の特別控除と重ねて受けることができます。特別控除を差し引いたあとの課税長期譲渡所得金額のうち6,000万円以下の部分は10パーセント、6,000万円を超える部分は「(金額-6,000万円)×15パーセント+600万円」で所得税を計算します(このほか復興特別所得税が基準所得税額の2.1パーセント上乗せされ、住民税は別に定められています)。前年・前々年にこの特例を受けていないことなども要件です。詳しくは10年超住んだマイホームを売るなら軽減税率の特例 3,000万円控除と重ねて使えますをご覧ください。
Q199. 相続した不動産は、いつまでに売れば特例が使えますか?
特例ごとに期限が違います。取得費加算の特例は、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までの譲渡が要件です(相続開始からおよそ3年10か月。国税庁タックスアンサーNo.3267)。被相続人の居住用財産(空き家)の3,000万円特別控除は、相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの譲渡が要件で、さらに制度そのものの適用期限が令和9年12月31日までとされています(同No.3306)。両方を同じ不動産について重ねて適用することはできません。売却活動には数か月から1年以上かかることもありますので、期限から逆算してお早めにご相談ください。詳しくは相続した不動産の売却は「期限」から逆算します 3年10か月・3年目の12月31日・令和9年12月31日をご覧ください。
Q200. 贈与や相続でもらった不動産を売ります。名義変更のときに払った登記費用や不動産取得税は取得費に入りますか?
入れられます。贈与、相続または遺贈により取得した資産を売る場合、その名義変更のために支出した登録免許税(登記費用を含みます)・不動産取得税などは、譲渡所得の計算上、取得費に含めることができます。かつては取得費にならないものとして扱われていましたが、最高裁判所平成17年2月1日判決を受けて取扱いが改められたものです(国税庁タックスアンサーNo.3252、所得税基本通達60-2)。ただし業務の用に供される資産の場合には、これらの税金は取得費に含まれません。また、遺産分割のためにかかった訴訟費用等は取得費になりません。なお、概算取得費(譲渡価額の5パーセント)を使う場合には、これらの費用を上乗せすることはできません。取得費と取得時期は、原則として贈与した方・亡くなった方から引き継ぎます。詳しくは贈与や相続でもらった不動産を売るとき 名義変更で払った登記費用・不動産取得税は取得費に入りますをご覧ください。
Q201. 不動産を買うために借りた住宅ローンの利息は、売却時の取得費に入りますか?
一部が入ります。土地、建物などの固定資産の取得のための借入金の利子等のうち、借り入れた日からその固定資産の使用開始の日までの期間に対応する部分の金額は、原則としてその固定資産の取得費に含めます(国税庁タックスアンサーNo.3264、所得税基本通達38-8)。裏を返せば、住み始めたあと(使用開始後)の利子は取得費に入りません。借入金で購入した土地や建物を全く使用することなく売ったときは、借り入れた日から売った日までの利子の全額が取得費に含まれます。また、その資金を借り入れる際に支出した公正証書作成費用、抵当権設定登記費用、借入れの担保として締結した保険契約に基づき支払う保険料その他その借入れのために通常必要と認められる費用も、同様に取得費に算入します。なお、賃貸用など業務用の資産について既に必要経費に算入した利子は、重ねて取得費に入れることはできません。詳しくは不動産を買うための借入金の利息は取得費に入ります 借入れの日から使用開始の日までが対象ですをご覧ください。
Q202. 海外に持っている不動産を売りました。現地で税金を納めていても、日本で確定申告が必要ですか?
必要です。国税庁は、日本の居住者は原則として国内で生じた所得も国外で生じた所得も日本で課税されるとし、海外の不動産を売却して得た譲渡益についても、国内にある不動産を売却した場合と同様に課税されるとしています(タックスアンサーNo.3560)。外国通貨での譲渡所得の金額と取得価額は、原則としてその取引日のT.T.M(対顧客直物電信売相場と買相場の仲値)で円に換算します。取得時と売却時で相場が違うため、現地通貨では損失でも、円に直すと利益が出ていることがあります。現地で課税された分は外国税額控除で二重課税を調整しますが、控除できるのは控除限度額までで、全額とは限りません(タックスアンサーNo.1240)。詳しくは海外の不動産を売ったら日本でも確定申告が必要です 為替はT.T.Mで換算し外国税額控除で調整しますをご覧ください。
Q203. 個人で持っている不動産を自分の会社に現物出資します。現金を受け取らなくても税金はかかりますか?
かかります。国税庁は、法人に現物出資した場合も資産の譲渡になり、所得税の課税対象とされるとしています(タックスアンサーNo.3117)。このときの譲渡収入金額は、出資した不動産の時価ではなく、現物出資により取得した株式や出資持分の時価です。ただし、その価額が出資した不動産の時価の2分の1未満である場合は、出資した不動産の時価が収入金額とみなされます(所得税法59条、所得税法施行令169条)。同じ2分の1の線引きは、法人への低額譲渡にもあります(タックスアンサーNo.3217)。現金が入らないのに納税だけが発生するため、納税資金の準備とあわせた事前の試算が欠かせません。移したあとで戻すことはできませんので、手続に入る前にご相談ください。詳しくは個人の不動産を会社に現物出資すると 現金が入らなくても譲渡所得税がかかりますをご覧ください。
Q204. 平成22年に買った土地を売る予定です。使える特別控除はありますか?
あります。国税庁は、個人が平成21年に取得した国内の土地等を平成27年以降に譲渡した場合、または平成22年中に取得した土地等を平成28年以降に譲渡した場合には、その土地等に係る譲渡所得の金額から1,000万円を控除できるとしています(タックスアンサーNo.3225)。譲渡所得の金額が1,000万円に満たない場合は、その譲渡所得の金額が控除額になります。ただし、親子や夫婦など特別な間柄にある者から取得した土地等、相続・遺贈・贈与・交換・代物弁済・所有権移転外リース取引により取得した土地等は対象外です。また、収用等の特別控除や事業用資産の買換えの課税の繰延べなど、他の譲渡所得の特例と重ねて使うことはできません。適用には確定申告書にその旨を記載し、取得年が分かる書類を添付する必要があります。詳しくは平成21年・平成22年に買った土地の1,000万円特別控除 使い忘れが多い特例をご覧ください。
Q205. 道路の拡幅で立ち退くことになり、移転料の名目で補償金を受け取りました。譲渡所得として申告すればよいですか?
いいえ。補償金は名目ごとに課税上の扱いが分かれます。国税庁は、収用等により取得する補償金を対価補償金・収益補償金・経費補償金・移転補償金・その他の補償金に分類し、収用等の課税の特例の適用があるのは原則として対価補償金だけとしています(タックスアンサーNo.3555)。移転補償金は、その交付の目的に従って支出した額については各種所得の総収入金額に算入されませんが、目的に従って支出されなかった場合や支出後に残った場合は一時所得になります。ただし、建物等を引き家または移築するための補償金を受けて実際には取り壊したときや、移設困難な機械装置の補償金を受けたときは対価補償金として取り扱うことができ、借家人補償金は対価補償金とみなして取り扱われます。補償金の内訳書を手元に置いたうえでご相談ください。詳しくは収用の補償金は名目で所得区分が変わります 対価・収益・経費・移転の4区分をご覧ください。
Q206. 自宅を取り壊して更地にしてから土地を売りました。3,000万円の特別控除は使えますか?
3つの要件をすべて満たせば使えます。国税庁は、家屋を取り壊してその敷地だけを売った場合には原則としてこの特例の適用を受けられないとしたうえで、次の要件すべてに当てはまるときは適用を受けることができるとしています(タックスアンサーNo.3320)。(1)家屋を取り壊した日から1年以内にその敷地を売る契約をしていること(2)その家屋に住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること(3)その家屋を取り壊してから、その敷地を売る契約をした日まで、貸付けその他の用に使用していないこと。取り壊してから駐車場として貸すと(3)に当たらなくなります。また、家屋の一部を取り壊して敷地の一部を売ったときに、残った家屋が居住できる状態になっている場合は適用を受けられません。取り壊しの前に、契約の時期の見込みまで含めてご相談ください。詳しくは自宅を取り壊して土地だけを売るとき 3,000万円特別控除の3つの要件をご覧ください。
Q207. 単身赴任中で、自宅には妻と子どもだけが住んでいます。その自宅を売る場合、3,000万円の特別控除は使えますか?
一定の事情があれば、ご本人が住んでいなくても使えます。国税庁は、この特例は原則として家屋の所有者本人が現に住んでいるマイホームを譲渡した場合に受けられるものとしたうえで、本人が転勤や転地療養などの事情のため、配偶者等と離れて単身でほかに生活している場合で、これらの事情がなくなったときはその配偶者等と一緒に配偶者等が住んでいる家屋で生活すると認められる場合には、配偶者や子供だけが住んでいる家屋についても適用を受けることができるとしています(タックスアンサーNo.3317)。ポイントは「事情がなくなれば戻って一緒に暮らすと認められること」です。単身赴任先に生活の本拠を移してしまっている場合は当てはまりません。なお、売ったときに2つ以上マイホームを持っていたときは、主として住まいに使っていた家屋だけが対象になります。海外へ転勤して非居住者となった場合は別の取扱いになりますので、赴任先が国内か国外かも含めてご相談ください。詳しくは単身赴任中のマイホーム売却 3,000万円控除が使える人・使えない人をご覧ください。
Q208. 自宅の建物は夫の名義、土地は妻の名義です。売ったとき、妻も3,000万円の特別控除を使えますか?
3つの要件をすべて満たせば、敷地の所有者も適用を受けられます。この特例は原則として家屋の所有者が家屋とその敷地を譲り渡した場合に受けられるものですが、国税庁タックスアンサーNo.3311は、家屋の所有者と敷地の所有者が異なるときでも、(1)敷地を家屋と同時に売ること(2)家屋の所有者と敷地の所有者とが親族関係にあり、生計を一にしていること(3)その敷地の所有者は、その家屋の所有者と一緒にその家屋に住んでいることのすべてに当てはまるときは、敷地の所有者もこの特例の適用を受けることができるとしています。ただし注意が必要です。この場合の特別控除額は、家屋の所有者と敷地の所有者と合わせて3,000万円までで、差し引く順序はまず家屋の所有者、続いて敷地の所有者です。家屋の所有者側で3,000万円を使い切れば、敷地の所有者に残る控除額はありません。なお、1つの家屋を夫婦で共有している場合は結論が異なりますのでご注意ください。詳しくは家と土地で名義が違う自宅の売却 敷地の所有者も3,000万円控除を使える3要件をご覧ください。
Q209. 母が老人ホームに入所したあとに亡くなりました。空き家になっていた実家を売る場合、3,000万円の特別控除は使えますか?
「特定事由」に当たり、かつ一定の要件を満たせば対象になります。国税庁タックスアンサーNo.3307は、相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていなかった家屋であっても、要件を満たすときは被相続人居住用家屋として特例の対象になるとしています。まず、介護保険法の要介護認定もしくは要支援認定を受けていた被相続人が、特別養護老人ホーム・有料老人ホーム・介護老人保健施設・サービス付き高齢者向け住宅などに入居または入所していたことが必要です。認定を受けていたかどうかは、亡くなった時点ではなく、施設に入って家に住まなくなる直前の時点で判定します。そのうえで、住まなくなった時から相続の開始の直前まで、引き続きその家屋が被相続人の物品の保管その他の用に供されていたこと、その間に事業の用・貸付けの用・被相続人以外の者の居住の用に供されていたことがないことが求められます。空き家の間に人に貸したり、駐車場にしたり、お子様が住んだりすると使えなくなります。実務ではここで外れる例が多いところです。詳しくは老人ホーム入所後の実家を売ったとき 空き家3,000万円特別控除と特定事由をご覧ください。
Q210. 農地を売りました。売買契約は年内ですが、農地法の許可と引渡しは翌年になります。どちらの年分の申告になりますか?
農地は、ふつうの不動産とは選べる日が違います。譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期は、原則として資産の引渡しがあった日です(所得税基本通達36-12)。納税者の選択により契約の効力発生の日によることもできますが、農地法3条1項または5条1項本文の許可を受けなければならない農地・採草放牧地の譲渡(および同条1項6号の届出をしてする農地等の譲渡)については、選べるのが「その譲渡に関する契約が締結された日」とされています。つまり、契約した年で申告するか、引き渡した年で申告するかを選ぶことになり、どちらを選ぶかによって、その年の他の所得との関係や所有期間の判定が変わってきます。なお、許可を受ける前(または届出前)にその契約が解除された場合は、再売買と認められるものを除き、解除された日の翌日から2か月以内に更正の請求をすることができます(同通達の注2)。許可・届出の要否や進め方そのものは、農業委員会にご確認ください。詳しくは農地を売ったときの譲渡所得 農地法の許可と「どの年分の申告になるか」をご覧ください。
Q211. 住宅ローンが払えず、自宅が競売にかけられました。手元にお金は残っていませんが、確定申告は必要ですか?
まず原則として、競売でも任意売却でも、不動産を手放せば譲渡所得の対象になります。売却代金が全額借入金の返済に消えたというだけでは、課税がなくなるわけではありません。ただし例外があります。所得税法9条1項10号は、資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合における、国税通則法にいう強制換価手続による資産の譲渡による所得その他これに類するものとして政令で定める所得には所得税を課さないと定めています。そして所得税法施行令26条は、その政令で定める所得を、資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難であり、かつ強制換価手続の執行が避けられないと認められる場合における資産の譲渡による所得で、その譲渡に係る対価が当該債務の弁済に充てられたものとしています。所得税基本通達9-12の4は、譲渡に要した費用に相当する部分を除いた対価の全部が、譲渡の時において有する債務の弁済に充てられたかどうかで判定するとしています。当てはまるかどうかは、譲渡した時の現況による個別の判断になります(同通達9-12の2)。詳しくは競売・任意売却で不動産を手放したとき 譲渡所得と資力喪失による非課税をご覧ください。
Q212. 土地区画整理で換地を受け取りました。譲渡所得の申告は必要ですか?
換地を受け取っただけであれば、譲渡がなかったものとみなされます。租税特別措置法33条の3第1項は、土地区画整理法による土地区画整理事業や土地改良法による土地改良事業などが施行された場合において、換地処分により土地等を取得したときは、換地処分により譲渡した土地等の譲渡がなかったものとみなすと定めています。ただし同項のかっこ書きで、土地等とともに清算金を取得した場合や保留地が定められた場合には、その清算金の額または保留地の対価の額に対応する部分が除かれます。つまり清算金を受け取った部分は課税の対象になります。その清算金は租税特別措置法33条1項3号により「収用等」に当たるものとされており(土地区画整理法90条の規定により換地を定められなかったことにより支払われるものなどは除かれます)、要件を満たせば収用等の特例の対象になり得ます。また、受け取った換地を将来売るときは、従前の土地の取得の時期を引き継ぎます(同法33条の6第1項)。新しく取得した土地として短期譲渡になるわけではありません。詳しくは土地区画整理で換地を受け取ったときの税金 課税されるのは清算金の部分ですをご覧ください。
Q213. 相続した自社株を会社に買い取ってもらうと、どんな税金がかかりますか?
原則はみなし配当ですが、相続の直後であれば譲渡所得にできる特例があります。個人が非上場株式をその発行会社に譲渡して対価を受け取った場合、その額が発行会社の資本金等の額のうちその交付の基因となった株式に対応する部分の金額を超えるときは、超える部分が配当とみなされます(所得税法25条1項5号)。配当所得は他の所得と合算する総合課税です。これに対し、相続または遺贈により財産を取得し、その相続または遺贈について納付すべき相続税額がある個人が、相続の開始があった日の翌日から相続税の申告書の提出期限の翌日以後3年を経過する日までに、相続税の課税の対象となった非上場株式をその発行会社に譲渡した場合には、みなし配当課税を行わず全額を非上場株式の譲渡所得の収入金額とする特例があります(租税特別措置法9条の7第1項)。この特例を適用すると、収入金額から取得費と譲渡に要した費用を控除して計算した譲渡所得金額の15.315パーセントに相当する所得税および復興特別所得税が課税されます(国税庁タックスアンサーNo.1477。このほか住民税5パーセントがかかります=同No.1463)。取得費を計算する際に「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」を併用することも可能とされています(同No.1477、No.3267)。手続として、譲渡する日までに届出書を発行会社へ提出する必要があり、発行会社は譲り受けた日の属する年の翌年1月31日までに所轄税務署長へ提出します。期限を過ぎると使えません。詳しくは自社株を会社に買い取らせたときの税金|みなし配当と3年10か月の特例をご覧ください。
Q214. 創業融資を受けるのに、自己資金はいくら必要ですか?
日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金に、自己資金の割合を定めた要件はありませんが、公庫の公式Q&Aは「自己資金は平均で2割程度」としています。公庫の創業支援サイトは、創業資金総額に占める自己資金の割合が平均で2割程度であることを示し、「創業の手引」は自己資金を着実に蓄積することが重要としています。申込み直前にまとめて入金した資金は、出どころを説明できるようにしておく必要があります。なお、法人の場合、資本金として払い込む資金は融資の対象になりません。同じ創業融資でも、自治体の制度融資は信用保証協会の保証を付けて民間金融機関から借りる仕組みで、保証料がかかる代わりに公庫と並行して申し込めます。どちらを選ぶか、いくら申し込むかは、開業までの資金の動きと返済原資を計画書に落としてから決めるのが順序です。詳しくは創業融資の全体像 日本政策金融公庫と信用保証協会付き融資、自己資金の考え方をご覧ください。
Q215. 融資で借りたお金は、会社の収入として税金がかかりますか?
かかりません。借入金は益金(法人)にも収入金額(個人)にも当たりません。法人税法22条2項が益金の額に算入するのは資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引に係る収益の額であり、返済義務を負って受け取る借入金はこの収益の額に当たりません。個人でも所得税法36条の収入金額に該当しません。一方で返済した元本も経費にならず、経費になるのは支払利息(法人税法22条3項・所得税法37条)です。信用保証協会に払う保証料は、保証期間全体に対応する前払いの性質を持つため、原則として期間に応じて按分して損金にします(一括で経費にはなりません。消費税は非課税=タックスアンサーNo.6201)。「借りたお金は利益ではない」「返したお金は経費ではない」を混同すると、資金繰りと納税額の見込みが両方ずれます。詳しくは融資を受けた後の税務 借入金は収入にならず、利息と保証料の扱いが決算に効きますをご覧ください。
Q216. 信用保証協会の保証付融資は、銀行から直接借りるのと何が違いますか?
信用保証協会が保証人になることで、金融機関が貸しやすくなるしくみです。事業者・金融機関・信用保証協会の三者で成り立ち、これに自治体が加わるものを制度融資と呼びます。銀行が自ら信用リスクを負って貸すプロパー融資と違い、返済できなくなったときは協会が金融機関へ代位弁済します。事業者が負担する費用は信用保証料だけで、手数料や入会金はかかりません。保証料は貸付金額×保証料率×保証期間÷12×分割係数で計算しますが、保証料率に全国共通の表はなく、各信用保証協会が定めています。また責任共有制度により多くの制度で協会が8割・金融機関が2割を負担しますが、これは協会と金融機関の間の分担であって、事業者の返済義務が2割減るわけではありません。代位弁済されても借金は消えず、以後は求償権として協会へ返済することになります。詳しくは信用保証協会の保証付融資とは 制度融資のしくみと信用保証料の計算をご覧ください。
Q217. マル経融資とは何ですか。普通の公庫の融資と何が違いますか?
商工会議所等の推薦を受けて、日本政策金融公庫から無担保・無保証人で借りる制度です。正式名称は「小規模事業者経営改善資金」といい、日本商工会議所によれば昭和48年に創設されました。公庫が示す利用要件は5つあります。①常時使用する従業員が商業・サービス業(宿泊業及び娯楽業を除く)は5人以下、製造業その他は20人以下であること②原則6か月以上、商工会・商工会議所等の経営改善普及事業に基づく経営指導を受けていること③最近1年以上、その地区内で事業を行っていること④所得税・法人税・事業税・都道府県民税や市町村民税(均等割を含む)を原則としてすべて完納していること⑤商工業者であり公庫(国民生活事業)の非対象業種等でないこと、です。融資限度額は2,000万円、返済期間は10年以内(うち据置期間2年以内)、利率は特別利率Fが適用され、保証協会の保証も不要のため信用保証料がかかりません。もっとも「6か月以上の経営指導」が入口である以上、資金が必要になってから相談を始めると間に合いません。詳しくはマル経融資とは 商工会議所の推薦で無担保・無保証人で借りられる公庫の制度をご覧ください。
Q218. 借入金の返済が苦しいのですが、銀行以外に相談できる先はありますか?
中小企業活性化協議会という公的機関が、すべての都道府県に設置されています。中小企業庁によれば、全国各地の商工会議所等が運営し、弁護士・公認会計士・税理士・中小企業診断士・金融機関OB等の専門家が常駐しています。相談は無料で、相談内容はもちろん相談申込みについても秘密は厳守されます(事前予約が必要です)。支援は3つのフェーズに分かれ、収益力低下・借入増加のおそれがある段階では収益力改善計画の策定費用が原則無料です。リスケジュール等の金融支援を伴う場合は1年間の計画を作成します。金融支援を伴う本格的な経営改善計画(405事業)では、認定経営革新等支援機関である専門家への報酬の3分の2が補助され、通常枠は計画策定支援が上限200万円、伴走支援が上限100万円、金融機関交渉費用が上限10万円です。なお民事再生・破産等を申し立て済みの企業は対象になりません(その保証人が保証債務の整理を相談することは可能です)。動くべきは延滞する前です。詳しくは返済が苦しいときの条件変更 中小企業活性化協議会という公的な相談先をご覧ください。
Q219. 補助金は採択されたらすぐに入金されますか?資金の準備はどうすればよいですか?
補助金は後払いが原則で、採択されただけでは入金されません。中小企業庁のミラサポplusは「補助金は『後払い(清算払い)』が原則です。このため、事業者が自己資金で、全ての事業経費を立替えする必要があります」としています。流れは、交付申請、交付決定、事業実施、実績報告、確定検査、補助金額の確定、請求、入金と続きます。ここで見落とされやすいのが交付決定前の発注です。ものづくり補助金の公募要領は「交付決定日よりも前に発注・契約・購入を行った経費はいかなる理由があっても補助対象外となります」としており、契約を結んだだけでも対象外になります。また、立て替える金額は補助金の額ではなく消費税を含めた支払総額です。補助対象経費2,000万円・補助率2分の1なら、入金までに用意するのは2,200万円で、戻るのは1,000万円です。入金までのつなぎ資金については、千葉県信用保証協会の「セットアッパー」や山梨県信用保証協会の「補助金連携支援保証」のような制度がありますが、全国一律ではありません。詳しくは補助金は後払いです 交付決定から入金までの立替えと、つなぎ資金の考え方をご覧ください。
Q220. 借入なのに自己資本とみなされる融資があると聞きました。本当ですか?
資本性劣後ローンのことで、日本政策金融公庫の「挑戦支援資本強化特別貸付(資本性ローン)」がこれにあたります。公庫(国民生活事業)は「本制度による債務については、金融機関の資産査定上、自己資本とみなすことができます」としています。ただし貸借対照表では最後まで借入金(負債)のままで、変わるのは金融機関が会社を評価するときの取扱いだけです。特徴は3つあります。①期限一括返済で、それまでは利息のみを支払う②業績連動金利で、税引後当期純利益額が0円未満の年は返済期間にかかわらず一律0.50パーセント③法的倒産手続の開始決定があった場合、他のすべての債務に償還順位が劣後する、です。注意点として、償還期限まで5年以上ある間は残高の100パーセントがみなし自己資本ですが、残存期間が5年未満になると1年ごとに20パーセントずつ逓減します。また完済まで四半期ごとの経営状況の報告等を含む特約を結びます。金融庁の監督指針も「資本とみなして取り扱うことが可能」という書き方であり、取引先の銀行が必ずそう扱う義務を負うわけではありません。詳しくは資本性劣後ローンとは 借入なのに金融機関の資産査定で自己資本とみなされる公庫の融資をご覧ください。
Q221. 不動産の売買契約が解除になり、手付金を受け取りました。確定申告は必要ですか?
受け取った手付金は一時所得として申告が必要になる場合があります。所得税基本通達34-1(8)は、一時所得の例示として「民法第557条《手付》の規定により売買契約が解除された場合に当該契約の当事者が取得する手付金又は償還金(業務に関して受けるものを除く。)」を挙げています。一方で、契約が解除されると不動産は移転しないため、譲渡所得は生じません。一時所得は、総収入金額から「その収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額」と特別控除額(最高50万円)を引き、その2分の1を他の所得と合算します。その契約のために支払った仲介手数料は控除できると国税庁の質疑応答事例が示しています。ただし引けるのは「直接」要した金額に限られます。国税不服審判所は平成2年12月21日裁決で、売却が流れたために連鎖して解約した買換え契約の違約金1,000万円について、2つの契約は別々の行為であるとして控除を認めませんでした。なお、より有利な条件で他に売るために契約を解除して支払った違約金は、所得税基本通達33-7(2)により譲渡費用になります。詳しくは売買契約が解除になったとき 受け取った手付金は譲渡所得ではなく一時所得ですをご覧ください。
Q222. 約束手形は、いつまで使えますか?振込に変えると何が変わりますか?
多くの金融機関で、令和8年9月30日が手形・小切手の最終振出期限とされています。中小企業庁のミラサポplusは「多くの金融機関が令和8年9月30日を手形・小切手の最終振出期限に設定しています」としており、さらに「令和9年3月31日には、電子交換所における手形・小切手の利用交換が廃止される」としています。下請取引ではすでに手形で支払えません。令和8年1月1日に施行された中小受託取引適正化法により「令和8年1月1日以後の発注に係る製造委託等代金の支払に手形を交付することが禁止されている」からです。実務でいちばん影響が大きいのは支払日が前倒しになることです。120日サイトの手形を締め翌月末の振込に変えると、支払いが約90日早まります。毎月の仕入が500万円なら、切替えの時期に1,500万円を追加で用意する計算になります。受取手形を割り引いて資金化していた会社は、資金調達の手段そのものを組み直す必要があります。詳しくは約束手形が使えなくなります 令和8年9月末の最終振出期限と、支払サイト短縮への備えをご覧ください。
Q223. 会社の借入の経営者保証を外したいのですが、どうすればよいですか?
交渉ではなく、決算書の中身で決まります。経済産業省・金融庁・財務省の「経営者保証改革プログラム」は、経営者保証ガイドラインの要件として「①法人・個人の資産分離、②財務基盤の強化、③経営の透明性確保」を挙げています。あわせて金融機関には、保証契約を締結する場合に「どの部分が十分ではないために保証契約が必要となるのか」「どのような改善を図れば保証契約の変更・解除の可能性が高まるか」を個別具体的に説明し、記録することが求められています。まずこの説明を求めてください。要件をすべて満たさない場合でも、保証料の上乗せで経営者保証を提供しないことを選べる信用保証制度があります。東京信用保証協会は要件として「過去2年間において、決算書等を申込金融機関の求めに応じて提出していること」「代表者への貸付金等がなく、役員報酬等が社会通念上適切な範囲を超えていないこと」を挙げ、上乗せ率を0.25パーセントまたは0.45パーセントとしています。詳しくは経営者保証を外すには 国が示す3つの要件と、保証料の上乗せで外す選択肢をご覧ください。
Q224. 認知症の親の自宅を売りたいのですが、子どもが代わりに売れますか?
売れません。売買契約には本人の判断能力が必要です。成年後見人が選任されても自由に売れるわけではなく、民法859条の3は「成年後見人は、成年被後見人に代わって、その居住の用に供する建物又はその敷地について、売却、賃貸、賃貸借の解除又は抵当権の設定その他これらに準ずる処分をするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。」と定めています。保佐人・補助人が代理して処分する場合も、民法876条の5第2項・876条の10第1項により同じ許可が必要です。ここで注意したいのが税の期限です。居住用財産の3,000万円特別控除は、以前に住んでいた家屋については「住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日まで」に売った場合に限られます。令和5年4月に施設へ入られたなら、令和8年12月31日が期限です。譲渡益3,500万円・所有期間10年超なら、特例が使えるかどうかで所得税(復興特別所得税を含む)は510,500円と5,360,250円の差になります。詳しくは認知症の親の自宅は売れますか 家庭裁判所の許可と、3,000万円控除の期限をご覧ください。
Q225. 複数の借入を1本にまとめたいのですが、返済は楽になりますか?
月々の返済額は下がりますが、払う利息の合計は増えます。信用保証協会には借換保証があり、全国信用保証協会連合会はその目的を「複数の保証付融資の債務一本化等を促進することにより、中小企業・小規模事業者の月々の返済額の軽減等を推進し、中小企業・小規模事業者の資金繰りを円滑化することを目的に創設された保証制度です」と説明しています。東京信用保証協会の借換保証は融資限度額2億8,000万円(1組合4億8,000万円)、事業資金10年以内(据置期間1年以内を含む)で、申込みの条件として「①保証申込時点において、保証付借入金の残高があること」「②適切な事業計画を有していること」が挙げられています。ただし期間を延ばして月々を下げる仕組みのため、総額は増えます。残高2,000万円・年利2.0パーセントの借入を残り3年から10年にすると、月々は572,852円から184,027円に下がる一方、利息の合計は622,672円から2,083,240円へ約146万円増える計算です。返済条件を緩めている最中でも、条件変更改善型借換保証制度(保証期間15年以内)という道があります。なお日本政策金融公庫の公庫融資借換特例制度は「既往公庫融資の借換など」が対象で、他の金融機関からの借入をまとめる制度ではありません。詳しくは複数の借入を一本にまとめる借換保証 月々の返済額は下がり、利息の総額は増えますをご覧ください。
Q226. 売掛金を早く資金にしたいのですが、ファクタリングを使っても大丈夫ですか?
先に公的な制度を確かめてください。信用保証協会には流動資産担保融資保証制度(ABL保証)があり、全国信用保証協会連合会は保証限度額2億円(保証割合80パーセントの部分保証)、保証人は不要、保証料率は年0.68パーセントと公表しています。担保は売掛債権および棚卸資産で、東京信用保証協会は掛目を「売掛債権の場合70~100%(上限)、棚卸資産の場合は原則として30%」としています。一方ファクタリングについて金融庁は「ファクタリングとして行われ、契約書に『債権譲渡契約(売買契約)』であることが定められた取引であっても、経済的に貸付けと同様の機能を有していると思われるようなものについては、貸金業に該当するおそれがあります」と注意を促し、例として「売主が債権を買い戻すこととされている」「売主自身の資金によりファクタリング業者に支払をしなければならないこととされている」を挙げています。金融庁・警察庁・中小企業庁などの連名リーフレットは、被害が疑われる事例として「債権の買取代金が、債権額に比べて著しく低額であったり、高額な手数料が差し引かれる」「契約書に『売買契約』であることが定められていない」などを示しています。提示された手数料は、入金までの日数で年率に直して比べてください。額面1,000万円・入金まで60日で手数料を仮に10パーセントとすると、年率では約67.6パーセントになります。詳しくは売掛金を先に資金にする方法 ABL保証という公的な制度と、ファクタリングで金融庁が注意を促す3つの形をご覧ください。
Q227. マンションを売ったときの管理費・修繕積立金の精算金は、譲渡所得の計算でどう扱いますか?
固定資産税・都市計画税の精算金は、譲渡価額に算入されます(タックスアンサーNo.3214)。一方、管理費・修繕積立金の日割り精算金を名指しした国税庁の公表資料は見当たらず、契約の定め方を見て個別に判断します。売却しても戻らない修繕積立金や滞納分の清算は、所得税基本通達33-7の注が「資産の維持又は管理に要した費用」は譲渡費用に含まれないとしている点を踏まえて確かめます。詳しくはマンション売却の精算金と譲渡所得 管理費・修繕積立金・固定資産税の扱いの違いで解説しています。
Q228. 今年不動産を売りました。年末までにしておくことはありますか?
取得費の書類(購入時の契約書など)を探し始め、譲渡費用の領収書や精算書をまとめておくと、翌年の申告が進めやすくなります。売却代金からは、所得税と住民税の分を分けておきます。所得税は原則として翌年3月15日まで、住民税は原則として翌年6月以降に納めます。マイホームの3,000万円控除は、税額がゼロになる場合でも確定申告書への記載と書類の添付が要件です(租税特別措置法35条12項)。ふるさと納税など12月31日が区切りになるものも確かめます。詳しくは不動産を売った年の年末までにしておくこと 翌年の確定申告と納税に備えるで解説しています。
Q229. 親が不動産を売って引渡しを終えたあと、同じ年に亡くなりました。売却の申告はどうなりますか?
その譲渡所得は、亡くなった方の準確定申告で申告します。期限は、相続人が相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内です(所得税法125条)。3,000万円控除などの特例は、申告書への記載と書類の添付も要件です。準確定申告で納める所得税は、相続税の計算で債務として差し引けます。相続人が相続後に売った場合と違い、取得費加算の特例は使えません。詳しくは不動産を売った年に親が亡くなったら 譲渡所得の準確定申告と相続税の関係で解説しています。
Q230. 住民票を移していなかった家を売りました。居住用財産の3,000万円の特別控除は使えますか?
使える場合があります。住んでいた家かどうかは、住民票ではなく、その家を生活の拠点として使っていたかで判定します(租税特別措置法関係通達31の3-2・35-6)。売買契約日の前日の住民票の住所が売った家と違う場合などは、戸籍の附票の写しなど、住んでいたことを示す書類も添えます。前年・前々年に同じ特例を受けていないことなど、ほかの要件も必要です。詳しくは住民票を移していない家でも3,000万円控除は使える? 生活の拠点と添付書類で解説しています。
Q231. 不動産を売った年の確定申告を、e-Taxで出すことはできますか?
出せます。ただし、添付書類は書類ごとに出し方が違います。e-Taxのよくある質問では、譲渡所得の内訳書はイメージデータ(PDF)の対象外とされています。データか書面で出します。登記事項証明書は、添付が決められた特例なら不動産番号などを伝えて省略できます。3,000万円控除は、原則として申告書への記載と書類の添付が適用の条件です。詳しくは不動産を売った年の確定申告はe-Taxで出せる? 添付書類の出し方と注意点で解説しています。
Q232. 不動産を売った年の確定申告で、仲介手数料を入れ忘れていました。後から直せますか?
入れ忘れで税額が多すぎたときは、更正の請求で直します。期間は原則として法定申告期限から5年以内です(国税庁タックスアンサーNo.2026)。最終的な税額も純損失の金額も変わらないときはできません。領収書など、理由の基礎となる事実を証明する書類を添えます。反対に税額が少なすぎたときは修正申告です。3,000万円控除は確定申告書への記載と添付が条件で、後から当然に使えるわけではありません。詳しくは不動産売却の確定申告を間違えたら? 更正の請求・修正申告と特例を後から使えるかで解説しています。
Q233. 借地人に立退料を払って借地権を消滅させ、更地にしてから土地を売りました。立退料は譲渡費用になりますか?
借地権を消滅させるために払った対価は、譲渡費用ではなく旧借地権部分の取得費として計算します(所得税基本通達38-4の2)。土地は旧借地権部分と旧底地部分に分け、売った代金も分けて計算します。取得の日も部分ごとに判定するため、短期と長期の部分が分かれることがあります。詳しくは底地を借地人や第三者に売ったときの譲渡所得 取得費と立退料の扱いに注意で解説しています。
Q234. 不動産を売った年の確定申告を忘れていました。3,000万円控除は今からでも使えますか?
確定申告書には期限後申告書が含まれるため、要件を満たし、特例の記載と書類の添付があれば期限後でも使えます(所得税法2条1項37号、租税特別措置法35条12項)。税務署長の決定があるまでは期限後申告書を出せます(国税通則法18条1項)。法定申告期限から原則5年を過ぎた年分は出せないとする判決があります。ただし、マイホームの譲渡損失の繰越控除のように、期限内の申告が条件の特例もあります。詳しくは不動産を売ったのに確定申告を忘れた 期限後申告と加算税、特例は使えるかで解説しています。
Q235. 不動産を売った税金は、いつ払いますか?
所得税は原則として売った年の翌年3月15日まで、住民税は原則として翌年6月から納めます。特例がない人は、売った年の1月1日で所有5年超なら利益の約20%、5年以下なら約40%を残しておく目安があります。詳しくは不動産売却の税金はいつ払う? 売却代金から残す金額の目安と支払いの順番で解説しています。
Q236. 不動産の売買契約の前に、税金のことで何を確かめますか?
引渡しの年・特例の期限・買主・土地と建物の内訳・取得費の資料の5つを確かめます。引渡しの年で税率が変わることがあり、買主が親子や夫婦だと自宅の3,000万円の控除は使えません。詳しくは不動産を売る前に確認する5つのこと 契約前に確かめたい税金の分かれ目で解説しています。
Q237. 税務署から申告内容の確認の連絡が来ました。税務調査ですか?
調査とは限りません。まず調査か行政指導かを担当者に確かめます。期限内に申告した人が行政指導を受けて自主的に修正すると、過少申告加算税はかかりません。詳しくは税務署から申告内容の確認の連絡が来たら 税務調査との違いと修正の流れで解説しています。
Q238. 不動産を買取業者に売ると、税金の計算は変わりますか?
計算のしかたは仲介で売るときと同じです。手取りを動かすのは売値と仲介手数料の差です。買主が業者でも、自宅や空き家の特例の要件は確かめます。詳しくは不動産の買取と仲介で税金と手取りはどう変わる? 買取業者に売る前の比べ方で解説しています。
Q239. 親から安く買った不動産を売るとき、取得費は自分が払った代金ですか?
そうとは限りません。時価の2分の1未満で買い、代金が親の取得費などより少ないときは、親の取得費と取得の時期を引き継ぎます。それ以外のときは、自分が払った代金などで計算します。詳しくは親から安く買った不動産を売るときの取得費 親の取得費を引き継ぐ場合で解説しています。

E. 法人の節税・役員報酬について

Q240. 役員退職金はいくらまで損金にできますか?
法令にも通達にも金額の基準はありません。国税庁は「適正な額のもの」は損金の額に算入されるとし、法人税法34条2項は不相当に高額な部分は損金不算入と定めています。判断要素は、業務に従事した期間・退職の事情・同種同規模の法人の支給状況などです。実務でよく使われる功績倍率法の算式や倍率も法令の定めではないため、一律に安全な水準はありません。当事務所では、退職慰労金規程の整備と決議書類、支給額の相当性を説明できる資料をそろえたうえで金額を検討します。詳しくは役員退職金はいくらまで損金になる?功績倍率と分掌変更のときの落とし穴をご覧ください。
Q241. 法人保険に入れば節税になりますか?
「節税」ではなく課税の繰延べとお考えください。令和元年7月8日以後に契約した保険期間3年以上の定期保険等で最高解約返戻率が50パーセントを超えるものは、返戻率の区分に応じて保険料の一部を資産計上します(50パーセント超70パーセント以下は40パーセント、70パーセント超85パーセント以下は60パーセント)。また解約返戻金のうち資産に計上した額を超える部分は益金になるため、解約する年に対応する損金(役員退職金など)を用意していなければ効果は消えます。当事務所は保険の募集代理店ではありませんので、税務処理と資金繰りの観点から中立に検証します。詳しくは法人保険で節税はできる?令和元年の通達改正で変わった「保険と税」の関係をご覧ください。
Q242. 役員報酬は期の途中で変更できますか?
支給自体はできますが、期の途中の増額分は原則として損金になりません。損金にできる役員給与は定期同額給与・事前確定届出給与・一定の業績連動給与の3類型に限られ、定期同額給与は各支給時期の支給額が同額であることが要件だからです。改定できるのは事業年度開始後の限られた期間のみで、当期の利益を見てから調整することはできません。当事務所では、法人税だけでなく社長ご自身の所得税・住民税・社会保険料まで通算した複数案の試算をしたうえで、期首に金額を決めています。詳しくは役員報酬と役員退職金の組み立て方 社長個人の手取りまで考える出口設計をご覧ください。
Q243. 決算前にできることはありますか?決算日を過ぎてからでは遅いですか?
決算日を過ぎると、打てる手はほとんど残りません。決算前の代表的な打ち手は短期前払費用・決算賞与・少額減価償却資産・経営セーフティ共済の4つですが、いずれも決算日までの支払いや通知・事業供用が要件です。決算日後にできるのは、決算賞与のうち決算日までに各人別の通知と損金経理を済ませたもの(支払は翌日から1か月以内)と、債務が確定している費用の計上漏れの洗い出しに限られます。また4つとも多くは課税の繰延べであり、現金は先に出ていきます。着地の見込みが立つ決算日の3か月前を目安にご相談ください。詳しくは決算前3か月にできる法人の決算対策4つ 効果と、その限界をご覧ください。
Q244. 役員の自宅を社宅にすると、税金はどう変わりますか?
役員に社宅を貸す場合、役員から1か月当たり賃貸料相当額を受け取っていれば、会社が負担している差額について給与として課税されません(国税庁タックスアンサーNo.2600)。賃貸料相当額は、法定耐用年数30年以下なら床面積132平方メートル以下、30年超なら99平方メートル以下の小規模な住宅かどうかで計算式が変わります。ただし現金で支給する住宅手当や、役員本人が直接契約している場合の家賃負担は、社宅の貸与とは認められず給与として課税されます。会社が賃貸借契約の当事者となることが出発点ですので、導入前の設計が必要です。詳しくは社宅で役員報酬を見直す 賃貸料相当額の計算と、給与課税されない3つの条件をご覧ください。
Q245. 交際費は年800万円まで経費にできると聞きましたが、本当ですか?
交際費等は原則としてその全額が損金不算入ですが、期末の資本金の額または出資金の額が1億円以下である等の法人については、①接待飲食費の50パーセントに相当する金額を超える部分、②800万円にその事業年度の月数を乗じ12で除して計算した金額(定額控除限度額)を超える部分——のいずれかを損金不算入額とすることができます(国税庁タックスアンサーNo.5265)。どちらが有利かは交際費等の総額と飲食費の割合で入れ替わりますので、金額を入れて比較してください。また、1人当たり10,000円以下の飲食費を交際費等から除くには、参加者の氏名または名称・その関係・人数などを記載した書類の保存が必要です(令和6年3月31日以前に支出したものの基準金額は5,000円以下です)。詳しくは交際費はいくらまで経費になる?1人1万円以下の飲食費と800万円の定額控除限度額をご覧ください。
Q246. 従業員の給与を上げると、法人税が安くなる制度はありますか?
あります。中小企業者等が、平成30年4月1日から令和9年3月31日までの間に開始する各事業年度において、国内雇用者への給与等支給額を前期より1.5パーセント以上増やした場合には、増加額の15パーセント(上乗せ要件を満たす場合には最大45パーセント)を法人税額から控除できます(国税庁タックスアンサーNo.5927-2)。控除できるのは調整前法人税額の20パーセントまでで、控除しきれなかった金額は5年間繰り越せます。ただし明細を記載した書類を確定申告書等に添付した場合に限り適用され、設立事業年度は適用できません。役員報酬の増額は判定に入りません。詳しくは中小企業向け賃上げ促進税制 給与を1.5パーセント増やすと法人税額から最大45パーセントを控除できますをご覧ください。
Q247. 出張の日当を出したいのですが、いくらまで経費にできますか?
金額の上限は法令で定められていません。旅行の目的・目的地・行路や期間の長短・宿泊の要否・旅行者の職務内容および地位などからみて、その旅行に通常必要とされる費用の範囲内であれば、会社の経費になり、受け取る側にも所得税がかかりません(所得税基本通達9-3)。判定にあたっては、支給額が役員と使用人の全てを通じて適正なバランスが保たれている基準によって計算されたものか、同業種・同規模の他社が一般的に支給している金額に照らして相当かが勘案されます。当事務所では旅費規程の整備と記録の残し方からお手伝いします。詳しくは出張日当は会社の経費になり受け取る側に所得税がかかりません 旅費規程のつくり方をご覧ください。
Q248. 社長個人の土地に会社の建物が建っています。何か届出は必要ですか?
契約書で将来その土地を無償で返還することを定めたうえで、土地の所有者と借地人が連名で「土地の無償返還に関する届出書」を提出していれば、権利金の認定課税は行われません(国税庁タックスアンサーNo.5730)。届出書を出しておらず、相当の地代も収受していない場合には、権利金を受け取ったものとして課税されることがあります。また届出書が提出されている場合、相続税の計算では貸宅地を自用地としての価額の100分の80で評価します。届出が漏れているケースは実務でよく見かけますので、一度ご確認ください。詳しくは社長の土地に会社の建物を建てるとき 借地権の認定課税と土地の無償返還に関する届出書をご覧ください。
Q249. 機械やソフトウエアを買うと、法人税が安くなる制度はありますか?
中小企業者等には中小企業投資促進税制と中小企業経営強化税制があります。前者は計画の認定が不要で、1台160万円以上の機械装置などについて取得価額の30パーセントの特別償却か7パーセントの税額控除を選べます(国税庁タックスアンサーNo.5433。税額控除は資本金3,000万円以下の法人が対象)。後者は経営力向上計画の認定を受けることで即時償却または7パーセント(特定中小企業者等は10パーセント)の税額控除が使えます(同No.5434)。いずれも税額控除の上限は調整前法人税額の20パーセントで、適用期限は令和9年3月31日です。なお令和8年度税制改正により、令和8年4月1日以後に取得等をする工具・器具備品の取得価額要件は30万円以上から40万円以上に引き上げられました。詳しくは設備投資で使える中小企業の2つの税制 中小企業投資促進税制と中小企業経営強化税制の選び方をご覧ください。
Q250. 取締役になっていない家族社員でも、税務上は役員として扱われることがありますか?
あります。法人税法上の役員には、取締役などの登記された役員のほか、使用人以外の者でその法人の経営に従事しているものや、同族会社の使用人のうち一定の持株要件をすべて満たし、かつ経営に従事しているものが含まれます(国税庁タックスアンサーNo.5200)。持株要件は、①所有割合が50パーセントを超える最初の株主グループに属していること、②その属する株主グループの所有割合が10パーセントを超えていること、③本人(配偶者等を含む)の所有割合が5パーセントを超えていること、の3つです。役員に当たると判断されると、賞与などの支給が役員給与のルールで判定されます。株主名簿と職務の実態の両面から、期首前に確認することをおすすめします。詳しくは役職がなくても税務上は「役員」になります みなし役員の3つの持株要件をご覧ください。
Q251. 経営セーフティ共済に入れば節税になりますか?
掛金は支出した事業年度に損金算入できますが(措法66の11①二)、解約したときの解約手当金は益金になります。つまり税負担がなくなるのではなく、課税の時期を先に送る仕組みです。掛金は月額5,000円から20万円まで、掛金残高800万円まで積むことができ、12か月以上納めていれば掛金総額の8割以上、40か月以上で全額が戻ります(中小機構)。効果を出すには、解約する期に役員退職金など大きな損金を合わせる出口の設計が要ります。なお令和6年10月1日以後に解除があった後に再加入した場合、解除の日から2年を経過する日までに支出する掛金は損金になりません(措法66の11②)。詳しくは経営セーフティ共済は「出口」で決まります 掛金は損金・解約手当金は益金をご覧ください。
Q252. 会社で入っている保険を社長個人に名義変更したいのですが、いくらで評価しますか?
原則は支給時解約返戻金の額で評価します(所得税基本通達36-37)。ただし、支給時解約返戻金の額が支給時資産計上額の70パーセントに相当する金額未満である保険契約等に関する権利を支給した場合には、支給時資産計上額により評価します。解約返戻金が低い時期をねらって名義変更する手法に対応した取扱いで、令和3年7月1日以後に行う支給について適用されます。復旧することのできる払済保険に変更してから渡す場合にも、別の定めが置かれています。評価額の差はそのまま役員に対する経済的利益の額に響きますので、実行前にご相談ください。詳しくは会社の保険を社長個人へ名義変更するとき 低解約返戻金型は「資産計上額の70パーセント」が分かれ目ですをご覧ください。
Q253. 役員に賞与を出したいのですが、会社の経費にできますか?
役員に対する給与は、定期同額給与・事前確定届出給与・一定の業績連動給与のいずれにも該当しないと損金の額に算入されません(国税庁タックスアンサーNo.5211)。役員賞与を損金にするには、あらかじめ「事前確定届出給与に関する届出書」を提出しておく必要があります。届出期限は、原則として株主総会等の決議をした日から1か月を経過する日と会計期間開始の日から4か月を経過する日のいずれか早い日です(新設法人は設立の日以後2か月を経過する日)。届け出た額と実際の支給額が異なると事前確定届出給与に該当しなくなりますので、支給の前にご相談ください。詳しくは役員賞与を損金にする事前確定届出給与 届出の期限と、支給額が1円でも違うと全額が損金不算入になる理由をご覧ください。
Q254. 決算賞与を決算日までに支払えません。今期の経費にできますか?
次の3つの要件をすべて満たせば、支給額の通知をした日の属する事業年度の損金にできます(国税庁タックスアンサーNo.5350)。①その支給額を各人別に、かつ同時期に支給を受けるすべての使用人に通知していること ②通知した金額を通知したすべての使用人に対し、事業年度終了の日の翌日から1か月以内に支払っていること ③その支給額につき通知をした日の属する事業年度において損金経理をしていることです。なお、支給日に在職する使用人のみに賞与を支給することとしている場合の通知は、ここでいう「通知」に該当しません。賞与規程に支給日在職者の条項があると使えませんので、決算期を迎える前にご確認ください。詳しくは決算賞与は決算日までに支払わなくても損金にできます 未払計上が認められる3つの要件をご覧ください。
Q255. 社員の食事代は、いくらまで会社が負担できますか?
役員や使用人に支給する食事は、①役員や使用人が食事の価額の半分以上を負担していること ②(食事の価額)-(本人が負担している金額)が1か月当たり7,500円(消費税および地方消費税の額を除きます)以下であることの2つをどちらも満たしていれば、給与として課税されません(国税庁タックスアンサーNo.2594・令和8年4月1日現在法令等)。現金で食事代を補助する場合は、深夜勤務者に1食当たり650円以下の金額を支給する場合を除き、補助する全額が給与として課税されます。残業や宿日直のときに支給する食事は、無料で支給しても課税しなくてよいこととされています。詳しくは社員の食事代は1か月7,500円まで会社が負担できます 社員旅行・人間ドックまで含めた福利厚生の線引きをご覧ください。
Q256. 社長に万一のことがあったとき、会社から出す死亡退職金や弔慰金に税金はかかりますか?
被相続人の死亡によって受け取る退職手当金等のうち、被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したものは、相続または遺贈により取得したものとみなされて相続税の課税対象になります。ただし、すべての相続人が取得した退職手当金等の合計額が500万円×法定相続人の数の非課税限度額以下であれば課税されません(国税庁タックスアンサーNo.4117)。弔慰金については、実質上退職手当金等に該当すると認められる部分を除き、業務上の死亡であるときは死亡当時の普通給与の3年分、業務上の死亡でないときは普通給与の半年分までが弔慰金等に相当する金額とされ、これを超える部分は退職手当金等として相続税の対象になります(同No.4120)。詳しくは社長に万一があったとき 死亡退職金の500万円×法定相続人と、弔慰金の非課税枠をご覧ください。
Q257. 保険料の負担が重いので、会社の生命保険を払済保険に変更しようと思います。税金はかかりますか?
課税関係が生じることがあります。法人が既に加入している生命保険をいわゆる払済保険に変更した場合には、原則として、その変更時における解約返戻金相当額と、その保険契約により資産に計上している保険料の額(資産計上額)との差額を、その変更した日の属する事業年度の益金の額または損金の額に算入することとされています(法人税基本通達9-3-7の2)。ただし、既に加入している生命保険の保険料の全額(特約に係る保険料の額を除きます)が役員または使用人に対する給与となる場合は、この限りではありません。また同通達の(注)1では、養老保険・終身保険・定期保険・第三分野保険・年金保険(特約が付加されていないものに限ります)から同種類の払済保険に変更した場合に、本文の取扱いを適用せず、既往の資産計上額を契約が終了するまで計上しているときは、これを認めるとされています。特約の有無や変更後の保険の種類で結論が変わりますので、変更の手続に入る前にご相談ください。詳しくは払済保険への変更は、その事業年度に益金または損金が立ちます 法人保険の見直しをご覧ください。
Q258. 小規模企業共済は、どのように受け取ると税金の扱いが変わりますか?
受け取り方によって所得の種類が変わります。事業をやめて一括で受け取る共済金は退職所得とされます(所得税法施行令72条3項3号イ)。任意に解約した場合は65歳が分かれ目で、65歳以上の共済契約者に支給される解約手当金は退職所得とされ(同号ロ)、国税庁の質疑応答事例では65歳未満の共済契約者に支給されるものは一時所得とされています。個人事業と同一の事業を営む会社を設立するため、その事業に係る金銭以外の資産の出資をすることにより事業を廃止した場合に、共済契約が解除されたものとみなされて支給される解約手当金も退職所得です(同号ハ)。一方、分割払の方法により支給される分割共済金は公的年金等に該当し、公的年金等に係る雑所得となります(同令82条の2第2項3号)。受け取る年が会社からの役員退職金と近いと、退職所得控除額の計算に調整が入ることもあります。受け取る前の試算が有効です。詳しくは小規模企業共済は受け取り方で税金が変わります 一括は退職所得・分割は公的年金等・65歳未満の任意解約は一時所得をご覧ください。
Q259. 従業員の退職金を中退共で準備しています。決算日までに払えなかった掛金を、未払金にして今期の損金にできますか?
できません。法人税基本通達9-3-1は、法人税法施行令135条各号に掲げる掛金、保険料、事業主掛金等の額について、現実に納付または払込みをしない場合には、未払金として損金の額に算入することができないと定めています。通常の経費は債務が確定していれば未払計上できますが、退職金共済の掛金にはその考え方が使えません。金額が失われるわけではなく、損金になる時期が翌期にずれます。決算対策として使うのであれば、決算日までに納付を済ませる必要があります。なお同通達の(注)は、独立行政法人勤労者退職金共済機構の退職金共済契約の場合にも、被共済者には、その法人の役員で部長、支店長、工場長等のような使用人としての職務を有している者が含まれるとしています。詳しくは従業員の退職金を掛金で準備する中退共 掛金は納付した事業年度の損金・受け取る側は退職所得ですをご覧ください。
Q260. 会社で養老保険に入ると、保険料の2分の1を損金にできると聞きました。条件はありますか?
受取人の設定と、被保険者の範囲の2つで結論が変わります。法人税基本通達9-3-4は、法人が自己を契約者とし役員または使用人を被保険者とする養老保険の保険料について、(1)死亡保険金・生存保険金の受取人がいずれも法人の場合は全額を資産計上、(2)いずれも被保険者またはその遺族の場合は全額がその役員・使用人に対する給与、(3)死亡保険金の受取人が被保険者の遺族で、生存保険金の受取人が法人の場合は2分の1を資産計上し残額を期間の経過に応じて損金、と定めています。2分の1を損金にできるのは(3)の形だけです。ただし同(3)にはただし書きがあり、役員または部課長その他特定の使用人(これらの者の親族を含む。)のみを被保険者としている場合には、その残額はその役員・使用人に対する給与になります。誰を被保険者にするかを決める前にご相談ください。詳しくは養老保険で従業員の退職金を準備する 2分の1が損金になる形と給与になる形をご覧ください。
Q261. 妻を取締役にしています。毎月の役員報酬とは別に賞与を出したいのですが、届出をしなくても経費にできますか?
使用人兼務役員に当たるかどうかで結論が変わります。国税庁は、使用人兼務役員とは役員のうち部長、課長、その他法人の使用人としての職制上の地位を有し、かつ常時使用人としての職務に従事する者をいうとしたうえで、代表取締役・副社長・専務・常務その他これらに準ずる職制上の地位を有する役員・監査役などは使用人兼務役員にならないとしています(タックスアンサーNo.5205)。同族会社では、さらに持株割合による3つの要件(50パーセントを超える株主グループに属する/その株主グループの所有割合が10パーセント超/本人と配偶者等の所有割合が5パーセント超)をすべて満たす役員も、使用人兼務役員になれません。使用人兼務役員に当たる場合、使用人としての職務に対する給与は役員給与の3類型に当てはまらなくても損金不算入の対象から外れますが、使用人分の賞与は、他の使用人に対する賞与の支給時期と異なる時期に支給すると損金に算入されません(法人税法施行令70条3号)。詳しくは使用人兼務役員になれる人と2つの条件 家族の役員賞与を損金にできる場合をご覧ください。
Q262. 会社名義でゴルフ会員権を買いました。入会金と年会費は経費になりますか?
入会金は原則として経費ではなく資産に計上します。国税庁は、法人会員として入会する場合の入会金は資産に計上し、資産に計上した入会金は償却が認められないとしています(タックスアンサーNo.5381)。ただし記名式の法人会員で、名義人である特定の役員または使用人が専ら法人の業務に関係なく利用するため、その者が負担すべきものと認められるときは、入会金相当額はその人に対する給与になります。年会費・年決めのロッカー料・名義書換料は、入会金が資産計上されていれば交際費、入会金が給与とされていればその人への給与です。プレー代は入会金の処理にかかわらず、業務の遂行上必要と認められれば交際費、そうでなければ給与になります。脱退して返還を受けられない入会金は、脱退した事業年度の損金になります。詳しくは会社でゴルフ会員権を買ったら経費になる?入会金は資産・年会費は交際費が原則をご覧ください。
Q263. 中小企業退職金共済に加入することにしました。これまでの分の退職金を、在職中の従業員にまとめて支払っても損金になりますか?
要件を満たす「打切支給」であれば、支払った事業年度の損金になります。国税庁の法人税基本通達9-2-35は、法人が中小企業退職金共済制度または確定拠出年金制度への移行、定年の延長等に伴い退職給与規程を制定または改正し、使用人に対して退職給与を打切支給した場合において、その支給をしたことにつき相当の理由があり、かつ、その後は既往の在職年数を加味しないこととしているときは、その支給した退職給与の額をその支給した日の属する事業年度の損金の額に算入するとしています。ポイントは2つです。ひとつは「相当の理由」があること、もうひとつはこれから先の退職金の計算で過去の在職年数を使わないことです。同通達の(注)は、打切支給したこととして未払金等に計上した場合はこの取扱いに含まれないと明記しています。決算対策として未払計上するだけでは認められません。詳しくは退職金の打切支給とは 辞めていない人に払っても損金になる3つの場面をご覧ください。
Q264. 同業者団体が主催する海外視察ツアーに社長が参加しました。旅行代金は全額を経費にできますか?
旅行日程のうち、業務に従事した割合に応じた金額だけが旅費になります。国税庁の法令解釈通達「海外渡航費の取扱いについて」(平成12年10月11日付 課法2-15ほか)は、同業者団体等が行う視察等のための団体による海外渡航について、その旅行に通常要する費用の額に業務従事割合を基礎とした損金等算入割合を乗じて計算した金額を旅費として損金に算入するとしています。業務従事割合は「視察等の業務に従事したと認められる日数 ÷(視察等の業務に従事したと認められる日数 + 観光を行ったと認められる日数)」で計算し、損金等算入割合はこれを10パーセント単位に区分(10パーセント未満の端数は四捨五入)したものです。損金等算入割合が90パーセント以上なら全額が旅費、10パーセント以下なら全額が旅費になりません。旅費とされなかった部分は、参加した役員または使用人に対する給与になります。旅行日程表と現地での行動記録が判断の資料になりますので、必ず保存してください。詳しくは海外視察旅行の費用はどこまで会社の経費か 観光を含む海外出張の旅費のあん分をご覧ください。
Q265. 社長が亡くなり、会社で社葬を行いました。費用は会社の経費になりますか?また、いただいた香典はどう扱えばよいですか?
社会通念上相当と認められる社葬について、通常要する部分の金額は損金になります。国税庁の法人税基本通達9-7-19は、法人がその役員または使用人が死亡したため社葬を行い、その費用を負担した場合において、その社葬を行うことが社会通念上相当と認められるときは、その負担した金額のうち社葬のために通常要すると認められる部分の金額は、その支出した日の属する事業年度の損金の額に算入することができるとしています。関門は「社会通念上相当か」と「通常要する部分か」の2つです。金額の基準や費目の一覧は通達にもタックスアンサーにも書かれておらず、会社の規模・故人の職務・参列者の範囲といった個別の事情から判断することになります。なお、会葬者が持参した香典等を法人の収入としないで遺族の収入とすることは認められています(同通達の(注))。会社の雑収入に立てる必要はありません。詳しくは社葬費用は会社の経費になるか 損金になる範囲と香典の取扱いを解説をご覧ください。
Q266. 地元の神社の祭礼に協賛金を出しました。全額を経費にできますか?
原則として法人税法上の「寄附金」となり、限度額を超える部分は損金になりません。国税庁タックスアンサーNo.5281・No.5262によれば、神社の祭礼等の寄贈金や、事業に直接関係のない団体への金銭の贈与は、原則として寄附金として扱われます。そして法人税法第37条第1項により、寄附金は支出した全額が損金になるのではなく、一定の限度額を超える部分の金額が損金の額に算入されません。ここで大切なのは、支出したときの名目では決まらないという点です。「寄附金」「拠出金」「見舞金」その他いずれの名義であっても、贈与や無償の供与であれば寄附金になります。逆に、事業の遂行と直接関係のある広告宣伝費、交際費等、接待費、福利厚生費とされるものは寄附金から除かれます。看板や社名入りの提灯が掲出されるなど、広告宣伝としての実質があるかどうかで区分が変わりますので、支出の前に内容を整理しておくことをおすすめします。詳しくは神社の祭礼への寄贈金や協賛金は経費になるか 法人の寄附金の損金算入限度額をご覧ください。
Q267. 決算前に4年落ちの中古車を買えば、購入額の全額をその期の経費にできると聞きました。本当ですか?
「4年落ちなら耐用年数2年・定率法の償却率1.000」というところまでは正しいのですが、その期に全額が損金になるとは限りません。国税庁タックスアンサーNo.5404の簡便法によれば、法定耐用年数6年の一般の乗用車を4年経過後に取得した場合、(6年-4年)+4年×20パーセント=2.8年となり、1年未満を切り捨てて2年です。平成24年4月1日以後に取得した資産の定率法の償却率は、耐用年数2年で1.000とされています(耐用年数省令 別表第十)。ただし落とし穴が2つあります。1つは償却限度額が、事業の用に供した月からの月割りになることです(法人税法施行令59条)。決算月に使い始めた車は、1年分ではなく12分の1しか損金になりません。もう1つは、平成19年4月1日以後に取得した減価償却資産では帳簿価額に1円が残ることです。さらに、減価償却はあくまで課税の繰延べですから、帳簿価額が下がった車を売れば、そのときに売却益が益金になります。詳しくは社用車を中古で買うと何年で経費になる? 中古資産の簡便法と期の途中の月割りをご覧ください。
Q268. 企業型確定拠出年金の掛金を、決算で未払金に計上して今期の損金にできますか?
できません。現実に納付するまでは損金になりません。会社が支出した企業型確定拠出年金の事業主掛金は、法人税法施行令135条3号により、支出した事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入されます。そのうえで法人税基本通達9-3-1は、同条各号に掲げる掛金等の額について「現実に納付又は払込みをしない場合には、未払金として損金の額に算入することができない」と定めています。決算日までに引落しが済んでいなければ、その事業年度の損金にはなりません。決算前には、その事業年度の掛金が何月分まで実際に引き落とされているか、残高不足などで引落しが飛んでいる月がないか、未払計上した掛金が決算書に残っていないかをご確認ください。この取扱いは企業型確定拠出年金に固有のものではなく、同じ135条各号に並ぶ中小企業退職金共済の掛金などにも共通します。なお掛金には拠出限度額の定めがあります(確定拠出年金法施行令11条・36条)。詳しくは企業型確定拠出年金の掛金は会社の損金 受け取りは退職所得か公的年金等ですをご覧ください。
Q269. 社員に払う通勤手当は、いくらまで所得税がかからないのですか?
通勤の方法によって限度額が決まっています。所得税法9条1項5号は「通常の給与に加算して受ける通勤手当」のうち政令で定めるものを非課税としており、その中身は所得税法施行令20条の2が定めています。電車・バスなどの交通機関だけを使う場合は、最も経済的かつ合理的な経路および方法による運賃等・定期券の価額で、1か月15万円が上限です。新幹線や特急列車の運賃等も、その経路・方法が最も経済的かつ合理的と認められる場合には非課税に含まれますが、グリーン料金は含まれません(国税庁タックスアンサーNo.2582)。マイカーや自転車の場合は片道の通勤距離で決まり、片道2キロメートル未満は全額課税、2キロメートル以上10キロメートル未満は月4,200円、以降は距離に応じて上がり、95キロメートル以上で月66,400円です(同No.2585)。一定の要件を満たす駐車場等の料金を負担しているときは、月5,000円を限度に上乗せできます(所得税法施行令20条の2第3号)。限度額を超えて支給した部分は、支給した月の給与に上乗せして源泉徴収します。なお、所得税が非課税でも、健康保険・厚生年金保険の標準報酬月額の計算では報酬に含まれます(日本年金機構)。詳しくは通勤手当はどこまで非課税か 電車は月15万円・マイカーは片道の距離で決まりますをご覧ください。
Q270. 妻や子を従業員として雇っています。給与はいくらまで経費にできますか?
金額の基準は法令にありません。ただし、役員の家族への給与だけは相当性を問われます。使用人に払う給与は原則として全額が損金ですが、法人税法36条は、役員と政令で定める特殊の関係のある使用人に支給する給与(債務の免除による利益その他の経済的な利益を含みます)のうち不相当に高額な部分を損金不算入としています。対象となる「特殊関係使用人」は、①役員の親族、②役員と事実上婚姻関係と同様の関係にある者、③①②以外で役員から生計の支援を受けているもの、④②③の者と生計を一にするこれらの者の親族です(法人税法施行令72条)。金額が相当かどうかは、その使用人の職務の内容、会社の収益の状況、他の使用人への支給の状況、同種の事業を営み事業規模が類似する法人の支給の状況に照らして判定します(同施行令72条の2)。退職給与は、業務に従事した期間・退職の事情・類似法人の支給状況で判定し、企業年金や中小企業退職金共済などからの給付も勘案されます(法人税基本通達9-2-42)。なお、その家族が税務上は役員(みなし役員)に当たる場合は、そもそも役員給与のルールが適用されます。詳しくは社長の家族に払う給与はいくらまで経費になる? 特殊関係使用人と過大な使用人給与をご覧ください。
Q271. 2社を経営しています。片方の社員をもう1社で働かせ、給与相当額を精算していますが、外注費として処理してよいですか?
外注費ではありません。給与として扱われます。法人税基本通達9-2-45は、出向元が給与を支給しているために出向先が自己の負担すべき給与に相当する金額(給与負担金)を出向元へ支出したときは、その給与負担金の額は出向先におけるその出向者に対する給与として取り扱うとしています。同通達の注書きは、実質的に給与負担金の性質を有する金額を経営指導料等の名義で支出する場合にも適用があるとしており、名目を変えても結論は変わりません。出向者が出向先で役員になっている場合は、(1)給与負担金の額について出向先の株主総会等の決議がされていること、(2)出向契約等で出向期間と給与負担金の額があらかじめ定められていること、のいずれにも該当するときに、出向先におけるその役員に対する給与の支給として法人税法34条が適用されます(同9-2-46)。この場合の事前確定届出給与の届出は出向先法人が行います。逆に、出向先の給与水準が低いために出向元が差額を補填した金額は、出向元の損金になります(同9-2-47)。詳しくはグループ会社に社員を出向させたときの給与 給与負担金・較差補填金・経営指導料をご覧ください。
Q272. 補助金をもらいました。そのまま税金がかかってしまうのでしょうか?
受け取った補助金は益金ですが、圧縮記帳を使えるとその期の課税を抑えられます。法人税法42条1項は、固定資産の取得または改良に充てるための国または地方公共団体の補助金等(国庫補助金等)の交付を受けた場合で、その返還を要しないことが事業年度終了の時までに確定しているときに、その事業年度終了の時までに取得または改良をした交付の目的に適合した固定資産について、交付を受けた国庫補助金等の額(圧縮限度額)の範囲内で帳簿価額を損金経理により減額するか、積立金として積み立てる方法により経理したときは、その金額を損金の額に算入するとしています。返還不要が期末までに確定していないときは、法人税法43条の特別勘定を設ける方法があり、確定した事業年度に取り崩して益金に算入します。注意点は3つあります。第一に、これは課税の免除ではなく先送りです。圧縮した分だけ以後の減価償却費が減ります。第二に、確定申告書に明細の記載がなければ適用できません(法人税法42条3項)。第三に、工場誘致条例などに基づく補助金で実質的に税の減免に代えて交付されたものは、そもそも国庫補助金等に該当しません(法人税基本通達10-2-4)。火災や事故の保険金で建物を建て直した場合にも、別に圧縮記帳の規定があります(法人税法47条)。詳しくは補助金をもらったら税金がかかる?圧縮記帳で課税を先送りできる仕組みと要件をご覧ください。
Q273. 機械をリースで導入すれば、毎月のリース料をそのまま経費にできますか?
いいえ。法人税法上のリース取引に当たる場合は、引渡しの時に売買があったものとされます。国税庁は、①リース期間中の中途解約が禁止されている(または未経過期間のリース料のおおむね全部を支払う)こと、②賃借人が資産からもたらされる経済的な利益を実質的に享受し、使用に伴って生ずる費用を実質的に負担すべきこととされていること、の両方を満たすものを法人税法上のリース取引とし、リース資産の引渡しの時に売買があったものとするとしています(国税庁タックスアンサーNo.5702)。したがって資産に計上して償却することになり、所有権移転外リース取引であれば償却方法はリース期間定額法です。さらに所有権移転外リース資産には、圧縮記帳・特別償却・少額の減価償却資産の損金算入・一括償却資産の損金算入の4つの制度が適用できません(同No.5704)。ただし中小企業投資促進税制については「特別償却の規定は適用できませんが、税額控除の規定は適用できます」とされています(同No.5433)。いわゆるオペレーティング・リースであれば、契約に基づき支払うこととされている金額のうち債務の確定した部分を損金に算入します(同No.5705)。詳しくは設備をリースで導入したときの税金 所有権移転外リースで使えない4つの制度をご覧ください。
Q274. 業績が悪くなりました。期の途中で自分の役員報酬を下げられますか?
下げること自体はできますが、損金になるかどうかは別の問題です。経費(損金)になる定期同額給与の範囲は法人税法施行令69条1項1号が定めており、期の途中の改定が認められるのは2つの事由に限られます。1つ目は臨時改定事由で、「当該事業年度において当該内国法人の役員の職制上の地位の変更、その役員の職務の内容の重大な変更その他これらに類するやむを得ない事情」による改定です(同号ロ)。国税庁は例として、定時株主総会後に社長が退任したことに伴い臨時株主総会の決議により副社長が社長に就任する場合や、合併に伴い職務の内容が大幅に変更される場合を挙げています(法人税基本通達9-2-12の3)。2つ目は業績悪化改定事由で、「当該事業年度において当該内国法人の経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由」による改定ですが、条文上「その定期給与の額を減額した改定に限り」とされています(同号ハ)。つまり業績悪化を理由に増額することはできません。さらに通達は、この事由には「法人の一時的な資金繰りの都合や単に業績目標値に達しなかったことなどはこれに含まれない」と明記しています(同9-2-13)。原則は、会計期間開始の日から3か月を経過する日までにする通常改定です(同号イ)。詳しくは期の途中で役員報酬を変えられる2つの事由 ― 臨時改定事由と業績悪化改定事由をご覧ください。
Q275. 決算月を変えることはできますか?何か手続きが要りますか?
変えられます。会社側で定款等に定める会計期間を変更したうえで、税務署への届出が必要です。法人税法13条1項は、事業年度とは「法人の財産及び損益の計算の単位となる期間」で、法令で定めるものまたは法人の定款、寄附行為、規則、規約その他これらに準ずるもの(定款等)に定めるものをいう、としています。つまり決算月は法律で固定されているのではなく、会社が定款等で決めているものです。ただし同項ただし書きにより、その期間が1年を超える場合は、開始の日以後1年ごとに区分した各期間(最後に1年未満の期間を生じたときはその期間)とされるため、1年を超える事業年度は作れません。変更したときは、法人税法15条により「遅滞なく、その変更前の会計期間及び変更後の会計期間…を納税地の所轄税務署長に届け出なければならない」とされています。実際の手続は国税庁の「C1-8 異動事項に関する届出」で、提出時期は異動等後速やかに、提出先は異動前の納税地の所轄税務署長、添付書類はなし(ただし内容確認のため定款等の写しを確認される場合があります)とされています。提出はe-Taxソフトで作成・提出するか、書面なら1部を持参または送付します。なお変更した期は1年未満の事業年度になり、役員報酬を決める期限(定期同額給与の通常改定は会計期間開始の日から3か月を経過する日まで)も連動して動きます。詳しくは決算期(事業年度)は変えられます ― 手続と、変更した期に起きることをご覧ください。
Q276. 自社株を後継者に渡したいのですが、事業承継税制はいつまでに動けばよいですか?
特例措置を使うなら、令和9年9月30日までに特例承継計画を提出することが入口です。法人版事業承継税制は、後継者である受贈者が、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律の認定を受けている非上場会社の株式等を贈与により取得した場合において、その非上場株式等に係る贈与税について、一定の要件のもと、その納税を猶予し、後継者の死亡等により、納税が猶予されている贈与税の納付が免除される制度です(国税庁タックスアンサーNo.4439。相続税版は同No.4148)。国税庁の比較表によれば、特例措置は事前の計画策定等として特例承継計画の提出【平成30年4月1日から令和9年9月30日まで】が必要で、適用期限は平成30年1月1日から令和9年12月31日までの相続等・贈与とされています。期限はこの2つが別々にある点にご注意ください。計画の提出が間に合っても、贈与や相続等が令和9年12月31日を過ぎれば特例措置は使えません。特例措置と一般措置では中身も違い、対象株数は特例が全株式・一般は総株式数の最大3分の2まで、納税猶予割合は特例が100パーセント・一般は相続等80パーセント/贈与100パーセント、承継パターンは特例が複数の株主から最大3人の後継者・一般は1人、雇用確保要件は特例が弾力化・一般は承継後5年間平均8割の雇用維持が必要とされています。なお、あくまで猶予であって免除ではありません。一定の要件を満たさなくなると猶予が打ち切られ、利子税とともに納付することになる場合があります。詳しくは自社株の税金を猶予する事業承継税制 特例措置の入口は令和9年9月30日ですをご覧ください。
Q277. うちのような非上場の会社の株は、いくらと評価されるのでしょうか?
その株式を取得した人が同族株主等に当たるかどうかで、まず2つに分かれます。取引相場のない株式(上場株式および気配相場等のある株式以外の株式)は、財産評価基本通達により評価します。同族株主等が取得した株式は原則的評価方式で評価し、会社を大会社・中会社・小会社のいずれかに区分したうえで、大会社は類似業種比準方式、小会社は純資産価額方式、中会社は両者の併用によります(国税庁タックスアンサーNo.4638)。類似業種比準方式とは、類似業種の株価を基に、評価する会社の1株当たりの「配当金額」「利益金額」「純資産価額(簿価)」の3つで比準して評価する方法です。一方、同族株主以外の株主等が取得した株式は特例的評価方式である配当還元方式で評価し、その株式を所有することによって受け取る1年間の配当金額を一定の利率(10パーセント)で還元して評価します。さらに、比準要素数1の会社、株式等保有特定会社、土地保有特定会社、開業後3年未満の会社等、開業前または休業中の会社、清算中の会社は「特定の評価会社」として、会社規模の区分によらない別の方法で評価します。評価方式は株式を取得した人ごとに判定しますので、同じ会社の同じ株数でも、渡す相手によって評価額が変わり得ます。根拠は評基通168、178〜180、185、188、188-2、189〜189-6です。詳しくは社長の自社株はいくらと評価される?取引相場のない株式の3つの評価方式をご覧ください。
Q278. 借りている事務所の内装工事をしました。その期の経費にできますか?
できません。造作を一の資産として計上し、年数で分けて償却します。法人が建物を賃借し自己の用に供するため造作した場合には、その造作を一の資産として、その造作をした建物の耐用年数、その造作の種類・用途・使用材質等を勘案して合理的に耐用年数を見積もることとされています(国税庁タックスアンサーNo.5406、耐用年数の適用等に関する取扱通達1-1-3。引き渡しを受けた建物の全部が賃借している建物である場合に限られます)。建物附属設備に対する造作については、その建物附属設備の耐用年数により償却します。したがって1回の内装工事でも、建物への造作と建物附属設備への造作は分けて考える必要があり、工事の内訳書が判断の材料になります。例外として、賃借期間の定めがあるもの(更新のできないものに限ります)で、有益費の請求または買取請求をすることができないものについては、その賃借期間を耐用年数として償却することができます。この2つは「どちらか」ではなくどちらも満たす必要があり、更新ができる一般的な賃貸借契約では使えません。また、同一の建物についてした造作は、その全てを一の資産として総合して耐用年数を見積もることとされており、個々の造作ごとに見積もることはできません。まずは賃貸借契約書(期間・更新の可否・有益費や買取請求の条項)と工事の内訳書をご確認ください。詳しくは借りた事務所の内装工事は何年で経費になる?他人の建物に対する造作の耐用年数をご覧ください。
Q279. 新製品の開発にお金をかけました。法人税が安くなる制度はありますか?
あります。試験研究費は経費になるうえ、その一定割合を法人税額から直接控除できます。中小企業者等が使うのが「中小企業技術基盤強化税制」で、青色申告書を提出する中小企業者または農業協同組合等が各事業年度において試験研究費の額がある場合に、その額に一定割合を乗じて計算した金額をその事業年度の法人税額から控除できます(国税庁タックスアンサーNo.5444)。控除率は原則12パーセントで、増減試験研究費割合が12パーセントを超える場合は「12パーセント+(増減試験研究費割合-12パーセント)×0.375」となり、上限は17パーセントです。控除できる金額には別の上限があり、原則として調整前法人税額の25パーセントまでです。ただし増減試験研究費割合が12パーセントを超える事業年度は調整前法人税額の10パーセントが、試験研究費割合が10パーセントを超える事業年度は「(試験研究費割合-10パーセント)×2」(10パーセントが上限)が上乗せされます(この2つは重複適用できず、前者が優先します)。対象になる試験研究費は、製品の製造または技術の改良・考案・発明に係る試験研究のための原材料費、人件費、経費、外部への委託費などです。人件費は「専門的知識をもってその試験研究の業務に専ら従事する者」に係るものに限られます。また、対価を得て提供する新たな役務の開発(新サービス研究)も一定の要件のもとで対象になります。補助金など費用に充てるため他の者から支払を受ける金額があるときは、その額を控除した後の金額が試験研究費です。この制度は申告書への記載が条件です。控除の対象となる試験研究費の額と控除を受ける金額を確定申告書等に記載し、計算明細書を添付して申告する必要があり、決算後に気づいても遡れません。なお、資本金1億円超の法人は「一般試験研究費の額に係る税額控除制度」(同No.5442)のほうを検討します。2つの制度の重複適用はできません。詳しくは新製品の開発にかけた費用は法人税から直接引けます 中小企業技術基盤強化税制の12パーセントをご覧ください。
Q280. 2つ目の会社をつくりました。片方から片方へ資金を移しても税金はかかりませんか?
誰が2社を持っているかで結論が正反対になります。法人税法は、内国法人が完全支配関係(法人による完全支配関係に限ります)がある他の内国法人に対して支出した寄附金の額は、相手方で益金に算入される受贈益の額に対応するものに限り、全額を損金に算入しないとしています(法人税法37条2項)。受け取った側も、対応する受贈益の額を全額益金に算入しないとされています(同法25条の2第1項)。両方がセットで動くため、グループ全体では税負担が増えません。問題は「法人による」という限定です。社長個人がA社とB社をそれぞれ直接100パーセント持っている形には、この規定の適用がありません。その場合、出した側は一般寄附金の損金算入限度額を超える部分が損金不算入となり、受け取った側は受贈益の全額が益金に算入されます。限度額は「(資本金の額および資本準備金の額の合計額×当期の月数÷12×2.5/1000)+(所得の金額×2.5/100)」の4分の1です(法人税法施行令73条1項1号)。資本金等1,000万円・所得500万円なら限度額は37,500円にすぎません。なお、持株会社を間にはさむと結論が変わります。法人税基本通達9-4-2の5は、2社の間に一の者(法人に限る)による完全支配関係がある場合には、その株式を個人が間接に保有していても37条2項の適用があるとしています。資産を移す場合にも別のルールがあり、完全支配関係がある内国法人へ譲渡損益調整資産を譲渡したときは譲渡損益がいったん繰り延べられます(同法61条の11)。ただし譲渡直前の帳簿価額が1,000万円に満たない資産は対象外です(法人税法施行令122条の12第1項)。詳しくはグループ会社にお金を移すと課税されることがあります 完全支配関係の寄附金と受贈益をご覧ください。
Q281. 会社をたたもうと思います。申告や税金はどうなりますか?
解散した日で事業年度がいったん終わり、申告が1回増えます。法人税法14条1項1号は、内国法人が事業年度の中途において解散(合併による解散を除きます)をした場合には、その事業年度は解散の日に終了するとしています。決算月が来ていなくてもそこで1期が切れ、翌日から清算の事業年度が始まります。さらに同項5号により、清算中の法人の残余財産が確定した日にもその事業年度が終了します。申告期限にも特例があります。通常は各事業年度終了の日の翌日から2か月以内ですが、残余財産が確定した事業年度は「1か月以内」となり、しかもその1か月以内に残余財産の最後の分配または引渡しが行われる場合には、その行われる日の前日までに前倒しされます(同法74条2項)。分配を急ぐと申告期限のほうが先に来る点にご注意ください。清算の局面で最も効くのが期限切れ欠損金です。法人税法59条4項は、解散した法人に残余財産がないと見込まれるときは、適用年度前の各事業年度に生じた欠損金額を基礎に計算した金額を、その適用年度の所得の金額を限度として損金に算入するとしています。青色欠損金の繰越期間を過ぎた古い赤字も使えるという意味です。「残余財産がないと見込まれるとき」は、当該事業年度終了の時において債務超過の状態にあるときに該当し(法人税基本通達12-3-8)、その判定は実態貸借対照表(時価ベース)で行います(同12-3-9)。国税庁の質疑応答事例では、清算中の期に未払法人税等を負債に含めたところで判定して差し支えないとされています。適用には、明細を記載した書類と残余財産がないと見込まれることを説明する書類の添付が必要です(同法59条6項)。詳しくは会社をたたむときの法人税 解散の日で1期が切れ、債務超過なら期限切れ欠損金が使えますをご覧ください。
Q282. 店舗の外壁を塗り替えました。全額その期の経費にできますか?
金額と内容しだいです。まず「実質」で判定し、判定しきれないときに形式基準を使います。国税庁タックスアンサーNo.5402は、固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち、その固定資産の維持管理や原状回復のために要したと認められる部分の金額は修繕費として支出した時に損金算入が認められる一方、その修理、改良等が使用可能期間を延長させ、または価値を増加させるものである場合は、その部分に対応する金額は資本的支出になるとしています。判定は「修繕費、改良費などの名目によって判断するのではなく、その実質によって判定」します。実務では順に次を見ます。①法人税基本通達7-8-3により、一の修理、改良等の金額が20万円に満たない場合、またはおおむね3年以内の期間を周期として行われることが既往の実績その他の事情からみて明らかな場合は、修繕費として損金経理できます。②資本的支出か修繕費か明らかでない金額については、同7-8-4により、その金額が60万円に満たないとき、またはその固定資産の前期末における取得価額のおおむね10パーセント相当額以下であるときは修繕費にできます。③それでも判定できないときは、同7-8-5により、法人が継続して「その金額の30パーセント相当額」と「前期末における取得価額の10パーセント相当額」のいずれか少ない金額を修繕費とし、残額を資本的支出とする経理をしているときはそれが認められます。たとえば前期末の取得価額が3,000万円の建物なら10パーセントは300万円ですから、80万円の塗替えは②で修繕費にできる計算です。資本的支出になった部分は、その支出金額を固有の取得価額として、既存資産と種類および耐用年数を同じくする新たな減価償却資産を取得したものとして償却します(同No.5405)。詳しくはその工事は修繕費か資本的支出か 20万円・60万円・10パーセントの形式基準で分けますをご覧ください。
Q283. 来期に大きな設備投資をします。消費税は戻ってきますか?
免税事業者のままでは戻りません。課税事業者を選ぶかどうかを、支出する期が始まる前に決める必要があります。国税庁タックスアンサーNo.6501は、基準期間(法人は前々事業年度)の課税売上高が1,000万円以下なら原則として納税義務が免除されるとしたうえで、消費税課税事業者選択届出書を提出した場合は、原則として提出した日の属する課税期間の翌課税期間以後から課税事業者になるとしています。翌課税期間から選びたいのであれば当課税期間中に提出する必要があり、末日が土曜日・日曜日・祝日であっても提出期限は延長されません。ここを逃すと、その期の消費税は取り戻せません。注意したいのは、いったん選ぶと戻れない期間があることです。同No.6501は、課税事業者選択不適用届出書は事業を廃止した場合を除き、課税事業者となった日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ提出できないとしています。さらに、その2年を経過する日までの間に開始した課税期間中に調整対象固定資産(棚卸資産以外で一の取引単位の税抜価額が100万円以上の建物・機械装置・器具備品など)を取得し、一般課税で申告した場合は、原則として3年間は免税事業者に戻れず、2年間は簡易課税制度選択届出書も提出できません。税抜1,000万円以上の高額特定資産を取得した場合も、同様に3年間の制限がかかります(同No.6502)。加えて、居住用賃貸建物に係る課税仕入れ等の税額は仕入税額控除ができないとされている点にもご注意ください。詳しくは設備投資をする期は消費税が戻ることがあります 課税事業者選択届出書と2年・3年のしばりをご覧ください。
Q284. 社員の結婚祝金や見舞金を会社が出したいのですが、経費になりますか?受け取る側に税金はかかりますか?
社会通念上相当な範囲で、規程にもとづいて支給するものは、受け取る側で非課税、会社側で福利厚生費として損金にできます。所得税基本通達28-5は、雇用契約等に基づいて支給される結婚、出産等の祝金品について、その金額が支給を受ける者の地位等に照らし社会通念上相当と認められるものは課税しなくて差し支えないとし、同9-23は葬祭料、香典、災害等の見舞金で社会通念上相当と認められるものを非課税としています。ここで重要なのは「誰に」「いくら」を事前に決めた慶弔規程があるかです。役員だけを対象にしたり、金額が突出したりすると、法人税基本通達9-2-9・9-2-10により役員に対する給与とみなされ、定期同額給与に当たらない分は損金不算入となり、本人にも所得税がかかります。「何万円まで」という金額基準は通達に置かれていないため、業種や規模に照らした社会通念上の相当性を個別に判断します。詳しくは結婚祝金・出産祝金・見舞金を会社が払うとき 福利厚生費になる条件と、役員だけの落とし穴をご覧ください。
Q285. 決算月にまだ払っていない費用を、今期の経費にできますか?
「債務が確定している」費用だけです。法人税法22条3項2号は、販売費、一般管理費その他の費用のうち償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除くと定め、法人税基本通達2-2-12は「債務の確定」を①その事業年度終了の日までに債務が成立していること、②その債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること、③その金額を合理的に算定することができること、の3要件で判定するとしています。たとえば決算月分の社会保険料の会社負担分は、法人税基本通達9-3-2により納入告知書の到達前でも、保険料の計算の対象となった月の末日の属する事業年度に損金算入できます。一方、翌期に提供を受ける役務の前払いや、根拠のない見積計上は3要件を満たしません。決算整理でこの線引きを誤ると、税務調査で否認されるか、逆に落とせる費用を落とし損ねます。詳しくは決算月の未払計上 経費にできるのは債務が確定した費用だけですをご覧ください。
Q286. 相手先を明かせない支払いがあります。経費にできませんか?
相手先を帳簿に書けない支出は「使途秘匿金」として、損金不算入に加えて支出額の40パーセントが法人税に上乗せされます。租税特別措置法62条1項は、法人が使途秘匿金の支出をした場合、通常の法人税額にその支出額の100分の40を加算すると定めています。使途秘匿金とは、金銭の支出のうち相当の理由がなく、その相手方の氏名又は名称及び住所又は所在地並びにその事由を帳簿書類に記載していないものです(同条2項)。損金不算入となる点は法人税基本通達9-7-20が明記しており、500万円の使途秘匿金なら、500万円が損金にならず、さらに200万円の法人税が追加されます。領収書の紛失を放置して相手先を書かないままにする、交際費として処理しておけばよいと考える、といった対応が典型的な失敗です。帳簿の摘要に相手先を記載する運用と、証憑がないときの代替資料の整え方を、決算前に整理しておく必要があります。詳しくは使途秘匿金には40パーセントの追加課税 相手先を帳簿に書けない支出が会社に残す負担をご覧ください。
Q287. 業務委託契約書を結んでいれば、その支払いは外注費になりますか?
なりません。契約書の名前ではなく、働き方の実態で決まります。消費税法2条1項12号は課税仕入れから「給与等を対価とする役務の提供」を除いており、判定は雇用契約又はこれに準ずる契約に基づく対価かどうかによります。明らかでないときは、消費税法基本通達1-1-1が示す4つの事項――①その役務の提供の内容が他人の代替を容れるかどうか②役務の提供に当たり事業者の指揮監督を受けるかどうか③引渡し未了の完成品が不可抗力で滅失した場合等に報酬の請求ができるかどうか④材料又は用具等を供与されているかどうか――を総合勘案します。給与と判定されると消費税の仕入税額控除が否認されるうえ、源泉徴収漏れとして会社が源泉所得税を徴収されます(所得税法221条1項。本人への求償は同222条)。不納付加算税は10パーセント、仮装があれば重加算税35パーセントが加わり、消費税と源泉所得税の両方に響きます。詳しくは外注費と給与の区分 契約書の名前ではなく働き方の実態で決まりますをご覧ください。
Q288. 従業員の資格取得費用を会社が負担したら、本人に給与として課税されますか?
職務に直接必要で、金額が適正であれば課税されません。所得税基本通達36-29の2は、使用者が自己の業務遂行上の必要に基づき、役員又は使用人に職務に直接必要な技術若しくは知識を習得させ、又は免許若しくは資格を取得させるための研修会・講習会等の出席費用又は大学等の聴講費用に充てるものとして支給する金品を、その費用として適正なものに限り課税しなくてよいとしています。通達に金額の上限は置かれていないため、「いくらまでなら大丈夫」ではなく、職務との直接の関連と金額の相当性で判断します。なお学資金の非課税(所得税法9条1項15号)はこれとは別の規定で、法人の役員の学資は非課税の対象から外れます。返還を免除する条件を付けて支出した奨学金が貸付金と評価され、支出した事業年度の損金と認められなかった事例もあります。詳しくは資格取得費用と研修費を会社が負担したとき 給与課税されない条件と損金の時期をご覧ください。
Q289. 売上はいつの期に計上すればよいのですか。請求書の発行日ではだめですか?
原則は、目的物の引渡し又は役務の提供の日が属する事業年度です(法人税法22条の2第1項)。請求書の発行日は引渡しの日と一致するとは限りません。棚卸資産の販売については、法人税基本通達2-1-2が引渡しの日の候補として出荷した日・船積みをした日・相手方に着荷した日・相手方が検収した日・相手方において使用収益ができることとなった日を例示し、そのうち合理的と認められる日で法人が継続してその収益計上を行うこととしている日によるとしています。したがって、利益の出そうな期だけ基準を変える運用は認められません。請負は原則として目的物の全部を完成して相手方に引き渡した日(同2-1-21の7)、委託販売は受託者が販売をした日(同2-1-3)です。実務でもっとも多い指摘は、売上の締め日の翌日から決算日までに引き渡した締後売上の計上漏れです。翌期の売上が当期へ移るだけなので通算した税額は大きく変わりませんが、指摘を受けた期の税額は増え、過少申告加算税と延滞税の対象になります。詳しくは売上はいつの期の売上か 引渡基準と、期末の「期ずれ」で指摘される理由をご覧ください。
Q290. 赤字を避けたいので、今期は減価償却を見送ってもよいですか?
税務上は可能ですが、見送った分の損金は翌期に取り戻せません。法人税法31条1項は、損金に算入する金額を「償却費として損金経理をした金額」のうち償却限度額に達するまでの金額と定めています。損金経理が要件であるため、法人には償却しない自由があります(これに対し個人事業主は所得税法49条1項により、計算した金額がそのまま必要経費になります)。問題はその後です。定額法の償却限度額は「取得価額×定額法の償却率」なので、前期に償却しなくても翌期の限度額は増えません。結果として未償却残高が残り、償却の終わる時期が後ろにずれるだけです。一方、限度額を超えて償却した償却超過額は、法人税法31条4項により翌期以後の損金経理額に含めるものとされており、多すぎた分は繰り越せるのに少なすぎた分は繰り越せないという非対称があります。また「中小企業の会計に関する指針」は、固定資産の減価償却は「経営状況により任意に行うことなく」毎期継続して規則的に行うとしており、償却不足は申告書の別表から確認できます。詳しくは法人の減価償却は「しない」選択もできます 償却不足が決算書に残すものをご覧ください。
Q291. 会社を設立しました。青色申告の承認申請はいつまでに出せばよいですか?
法人の青色申告は届出ではなく、税務署長の承認を受ける制度です。法人税法122条2項により、設立の日の属する事業年度については設立の日以後3月を経過した日と、その事業年度終了の日のうち、いずれか早い日の前日までに申請書を提出します。「設立から3か月以内」と覚えていると、第1期が3か月より短い会社では間に合いません。すでに事業を行っている法人は、青色で申告しようとする事業年度開始の日の前日までです。期限を1日過ぎると、その事業年度は白色のまま確定します。白色だと、欠損金の繰越控除(法人税法57条・58条)、欠損金の繰戻し還付(80条)、中小企業者等の少額減価償却資産の特例(措置法67条の5)、中小企業投資促進税制(42条の6)、中小企業経営強化税制(42条の12の4)がいずれも使えません。創業期の赤字500万円を翌期の所得800万円から引けるかどうかで、課税所得は500万円変わります。また法人税法130条1項により青色申告書に係る更正は帳簿書類の調査を経た場合に限られ、131条の推計課税も及びません。詳しくは法人の青色申告 承認申請の期限と、白色のままだと使えなくなるものをご覧ください。
Q292. 40万円未満の備品を全額経費にしました。ほかに税金はかかりませんか?
固定資産税(償却資産)の申告対象になります。法人税で少額の資産を落とす方法は3つありますが、償却資産の申告から外れるのは2つだけです。地方税法施行令49条が名指ししているのは法人税法施行令133条1項(10万円未満の一時損金)と133条の2第1項(20万円未満の一括償却資産)などで、租税特別措置法67条の5の特例は含まれていません。東京都主税局も、申告対象となる資産として「租税特別措置法の規定を適用し、即時償却等をしているもの」を挙げ、国税との違いを示した表でこの特例について「金額にかかわらず、認められません」としています。評価額は取得価額に減価残存率を掛けて求め、初年度は取得月にかかわらず半年分の減価として計算します。評価額には取得価額の5パーセントという下限があり、耐用年数を過ぎても残り続けます。29万円のパソコンなら14,500円が毎年残ります。免税点150万円は課税されるかどうかの基準であり、申告義務(地方税法383条)を免除するものではありません。なお同特例の取得価額基準は、令和8年4月1日以後に取得等をする資産から40万円未満に引き上げられました(年300万円の上限は据置き)。詳しくは全額を経費にしても償却資産税は残ります 少額減価償却資産の特例と固定資産税(償却資産)をご覧ください。
Q293. 企業版ふるさと納税は、本当に寄附額の約9割が戻りますか?
「最大」約9割であり、多くの中小企業はそこまで届きません。内閣府地方創生推進事務局は「地方創生の取組に対して企業が寄附した場合、法人関係税を税額控除(最大約9割の軽減効果)」としており、内訳は損金算入が約3割、税額控除が最大6割、企業負担が約1割です。ただし控除には上限があります。法人住民税は寄附額の4割を控除できますが法人住民税法人税割額の20パーセントが上限、法人事業税は寄附額の2割で事業税額の20パーセントが上限、法人税は寄附額の1割を限度とし法人税額の5パーセントが上限です。1,000万円を寄附して住民税から400万円を控除するには、法人税割額が2,000万円必要になります。上限を超えた分は切り捨てられ、繰り越せません。このほか「本社が所在する地方公共団体への寄附は対象外」「寄附企業への経済的な見返りは禁止」「10万円以上の寄附が対象」とされ、租税特別措置法42条の12の2は青色申告書を提出する法人に限り、明細書の添付も要件としています。詳しくは企業版ふるさと納税 最大約9割が戻る仕組みと、控除しきれない会社が多い理由をご覧ください。
Q294. 社長が会社にお金を無利息で貸しています。契約書があれば問題ありませんか?
契約書の有無では決まりません。法人税法132条1項は、同族会社の「行為又は計算で、これを容認した場合には法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるときは、その行為又は計算にかかわらず、税務署長の認めるところにより」課税標準等を計算できると定めています。国税不服審判所は令和7年3月7日裁決で、同じ構造をもつ所得税法157条1項について「経済的かつ実質的な見地において不自然、不合理なもの、すなわち経済的合理性を欠くもの」がこれに当たるとし、無利息貸付けの判断は「当該貸付けの目的、金額、期間等の融資条件、無利息としたことの理由等の諸事情を総合的に考慮して判断すべきである」としました。この事案では、無利息・無期限・無担保の多額の貸付けについて「独立かつ対等で相互に特殊の関係のない当事者間で通常行われる取引とは大いに異なる」と判断され、受け取るべき利息相当額が雑所得に算入されています。会社側だけでなく社長個人の側でも課税されることにご注意ください。詳しくは社長と会社の取引は、契約書があっても否認されます 同族会社の行為計算の否認をご覧ください。
Q295. 当社は資本金1,000万円です。中小企業向けの税制はすべて使えますか?
株主構成と過去3年の所得によっては使えません。租税特別措置法施行令27条の4第17項は、資本金1億円以下の法人のうち「その発行済株式又は出資(その有する自己の株式又は出資を除く。)の総数又は総額の二分の一以上が同一の大規模法人(…)の所有に属している法人」「三分の二以上が大規模法人の所有に属している法人」を中小企業者から除いています。実務ではこれを「みなし大企業」と呼びます。大規模法人には資本金1億円超の法人だけでなく、「大法人(資本金の額又は出資金の額が5億円以上である法人など)との間にその大法人による完全支配関係がある普通法人」も含まれるため、親会社が資本金1億円以下でも、その親会社が資本金5億円以上の法人の100パーセント子会社なら該当します。国税庁は令和元年度改正により間接保有も対象になったとしています。さらに租税特別措置法42条の4第19項第8号の適用除外事業者(前3年以内に終了した各事業年度の所得の年平均額が15億円を超える法人)に当たると、中小企業向け租税特別措置が使えず、年800万円以下の部分の法人税率も15パーセントではなく19パーセントになります。判定は事業年度終了の時の現況によるため、期中の増資や株主の異動でも結論が変わります。詳しくは資本金1億円以下でも中小企業の特例が使えない会社 みなし大企業と適用除外事業者をご覧ください。
Q296. 今期は業績が落ちているのに、前期並みの中間納付の納付書が届きました。下げられますか?
仮決算による中間申告という方法があります。国税庁は「中間申告には、『前年度実績を基準とする中間申告(予定申告)』と『仮決算に基づく中間申告』の2種類があり、いずれかを選択することができます」としています。仮決算は上半期を1事業年度とみなして決算を組み、その実績で申告する方法です。前事業年度(12か月)の確定法人税額が240万円なら予定申告額は1,200,000円ですが、上半期の実績による法人税額が30万円なら差は90万円になります。ただし法人税法72条1項ただし書により、仮決算による税額が予定申告額を超える場合には選べません。また同条2項は「同項に規定する期間の末日における貸借対照表、当該期間の損益計算書その他の財務省令で定める書類を添付しなければならない」としており、上半期の決算を実際に組む必要があります。消費税にはこの「超える場合は不可」の定めがない一方、国税庁は「仮決算により計算した税額がマイナスとなった場合でも還付を受けることはできません」「仮決算による中間申告書を期限後に提出することはできません」としています。提出しなければ法人税法73条により前期実績で提出があったものとみなされ、延滞税の対象になります。所得税の予定納税にある減額申請のような手続はありません。詳しくは業績が落ちた期の中間納付は下げられます 予定申告と仮決算による中間申告の選び方をご覧ください。
Q297. 源泉所得税の納付を毎月ではなく、まとめて年2回にできると聞きました。条件はありますか?
給与の支給人員が常時10人未満の事業所であれば、納期の特例の承認を受けられます。国税庁は「給与の支給人員が常時10人未満である源泉徴収義務者は、給与や退職手当、税理士等の報酬・料金について源泉徴収をした所得税および復興特別所得税を、年2回にまとめて納付することができるという特例があります」としています。承認を受けると納付期限は「1月から6月までに源泉徴収した所得税および復興特別所得税は7月10日、7月から12月までに源泉徴収した所得税および復興特別所得税は翌年1月20日」となり、下半期分だけ10日ではなく20日である点にご注意ください。適用が始まるのは申請書を出した月の翌月に源泉徴収する分からで、提出した月の分にはさかのぼりません。対象も限定されており、所得税法216条が挙げるのは給与等・退職手当等と、同法204条1項2号に掲げる報酬・料金(税理士、弁護士、司法書士等)だけです。デザイン料や原稿料など、それ以外の報酬に対する源泉所得税は、特例の対象外で毎月10日までの納付が必要です。納め忘れると国税通則法67条の不納付加算税(自主的に納付した場合は5パーセント、告知を受けた場合は10パーセント)と延滞税がかかります。詳しくは源泉所得税の納期の特例 年2回にまとめる条件と、納付を忘れたときの加算税をご覧ください。
Q298. 契約書を電子契約に切り替えると、印紙税はかからなくなりますか?
印紙税がかかるのは「文書」で、国税庁は「電磁的記録は文書に含まれません」としています。国税庁の質疑応答事例は、注文請書を電子メールで送信した場合について「注文請書の現物の交付がなされない以上、たとえ注文請書を電磁的記録に変換した媒体を電子メールで送信したとしても、(…)課税文書を作成したことにはならないから、印紙税の課税原因は発生しないものと考える」という福岡国税局の回答を示しています。ただしこれは照会の事実関係を前提とした回答であり、電子メールで送った後に現物を交付した場合には、その現物に印紙税が課されるとされています。紙で作成する場合の税額は文書の種類と記載金額で決まります。建設工事の請負契約書で記載金額3,000万円なら本則20,000円、租税特別措置法の軽減措置(不動産の譲渡と建設工事の請負について令和9年3月31日まで)が適用されれば10,000円です。領収書は記載金額5万円未満が非課税で、5万円以上100万円以下は200円です。消費税額等を区分して記載すれば、その消費税額等は記載金額に含めません。貼り忘れが見つかると印紙税法20条1項により納付しなかった印紙税額の3倍の過怠税、自主的に申し出た場合は同条5項により1.1倍となります。詳しくは契約書と領収書の印紙税はいくらか 電子契約にしたときの取扱いと過怠税をご覧ください。
Q299. 簡易課税を選んでいます。事業区分は会社ごとに1つ決めればよいのでしょうか?
いいえ、課税資産の譲渡等ごとに判定します。国税庁は「事業者が行う事業が第1種事業から第6種事業までのいずれに該当するかの判定は、原則として、その事業者が行う課税資産の譲渡等ごとに行います」としています。したがって同じ会社の中に複数の区分の売上げが並ぶことがあります。区分していない売上げについては、消費税法施行令57条4項により、その区分していない事業のうち一番低いみなし仕入率が適用されます。2種類以上の事業を営む場合の計算には原則法と特例があり、1種類の事業の課税売上高が全体の75パーセント以上を占めるときは、その事業のみなし仕入率を全体に適用できます。たとえば第二種3,000万円・第五種1,000万円(税抜)であれば、原則法による仕入控除税額は2,262,000円、75パーセント特例では2,496,000円となり、特例のほうが234,000円有利になります。仮に区分していなければ1,560,000円まで下がり、特例との差は936,000円に広がります。簡易課税制度選択届出書は課税期間の初日の前日までに提出する必要があり、いったん選択すると原則として2年間は本則課税に戻せません。詳しくは簡易課税の事業区分とみなし仕入率 第一種から第六種までの判定と2種類以上の計算をご覧ください。
Q300. 会社の設立でかかった費用は、1期目に全額経費にしないといけませんか?
その必要はありません。創立費・開業費は繰延資産で、償却する期を自分で選べます。法人税法施行令14条1項は、繰延資産のうち1号を「創立費」、2号を「開業費」と定め、開業費を「法人の設立後事業を開始するまでの間に開業準備のために特別に支出する費用」としています。そして同令64条1項1号は、これらの償却限度額を「その繰延資産の額」としています。上限が全額であるということは、0円から全額までの間で自由に決められるということです。したがって1期目が赤字なら1円も償却せずに繰り越し、黒字になった期にまとめて損金にする、という選び方ができます。ただし自動的に落ちるわけではありません。法人税法32条1項は、損金に算入する額を「償却費として損金経理をした金額」のうち償却限度額に達するまでの金額としています。決算で費用に計上していなければ、申告書だけで減算することはできません。なお法人税基本通達8-3-2は、償却費以外の科目で損金経理をしている場合もその金額に含めるとしていますので、科目名そのものより、決算で費用にしたかどうかが問われます。個人事業の開業費は所得税法施行令7条1項1号の別の制度で、個人には創立費という区分がありません。詳しくは会社設立でかかった費用はいつ経費にできる 創立費・開業費と任意償却のしくみをご覧ください。
Q301. 個人事業の在庫や車を、そのまま会社の帳簿に載せてもよいですか?
載せられません。個人と会社は別人格ですので、売買・現物出資・賃貸のいずれかで移すことになり、個人の側に税金が生じます。在庫を安い値段で渡した場合、所得税基本通達40-2は、通常他に販売する価額のおおむね70パーセントに満たない対価での譲渡を「著しく低い価額の対価による譲渡」とし、同40-3により、その70パーセント相当額との差額が総収入金額に上乗せされます。通常の販売価額200万円の在庫を仕入値120万円で渡すと、総収入金額は140万円になります。ただであげた場合はさらに厳しく、所得税法59条1項1号により、法人への贈与はその時の価額で譲渡があったものとみなされます。時価の2分の1未満で売った場合も、所得税法施行令169条により同じ扱いです。会社の側では、買った値段が取得価額になり(法人税法施行令54条1項1号)、耐用年数は新品の年数ではなく、減価償却資産の耐用年数等に関する省令3条の簡便法で計算し直すことができます。また、個人が消費税の課税事業者であれば、この引継ぎは課税売上げに加わります。不動産については、移さずに個人が会社へ貸すという選択もあります。詳しくは法人成りの資産と負債の引継ぎ 売買・現物出資・賃貸の3ルートと、個人にかかる税金をご覧ください。
Q302. 会社で株式を持っています。受け取った配当金は全額が課税されますか?
いいえ。受取配当等の益金不算入という制度があり、持株割合に応じて4段階に分かれます。法人税法23条1項は、完全子法人株式等(持株割合100パーセント)と関連法人株式等(3分の1超)は配当等の額の全額、その他の株式等(5パーセント超3分の1以下)はその2分の1、非支配目的株式等(5パーセント以下)はその20パーセントを益金に算入しないとしています。したがって上場株式を1パーセント持っているだけの場合、配当100万円のうち益金不算入になるのは20万円で、80万円は課税されます。関連法人株式等については、法人税法施行令19条1項により配当等の額の4パーセントを負債利子として控除しますが、同条2項に上限があり、支払利子等の額の合計額の10パーセントまでです。また、源泉徴収された所得税は益金不算入とは別に法人税額から控除しますが、国税庁は、元本の所有期間に対応する部分の額のみが所得税額控除の対象になるとしています。なお法人税法23条7項は、確定申告書等に明細を記載した書類の添付がある場合に限り適用するとし、益金不算入額はその書類に記載された金額を限度としています。詳しくは会社が受け取った配当金の税金 受取配当等の益金不算入は持株割合で4段階に変わりますをご覧ください。
Q303. 在庫の評価方法を税務署に届け出ていない場合、どの方法で計算することになりますか?
最終仕入原価法による原価法になります。選べるはずの6つの方法のうち、会社が選ばなかったときに自動的に当てはめられる方法です。法人税法施行令31条1項は「評価の方法を選定しなかつた場合又は選定した方法により評価しなかつた場合における政令で定める方法は、第二十八条第一項第一号ホ(棚卸資産の評価の方法)に掲げる最終仕入原価法により算出した取得価額による原価法とする」としています。最終仕入原価法は、期末に一番近い仕入の単価を在庫全部に掛ける方法です。仕入単価が上がっている局面では在庫の金額が大きく出て、その分だけ売上原価が小さくなり、利益が膨らみます。同じ在庫1,500個でも、最終仕入原価法なら2,100,000円、総平均法なら1,800,000円となり、所得が300,000円ちがいます。届出の期限は、国税庁「C1-25 棚卸資産の評価方法の届出」によれば「普通法人を設立した場合は、設立第1期の確定申告書の提出期限」までです。あとから変えることもできますが、法人税基本通達5-2-13は「その現によっている評価の方法を採用してから3年を経過していないとき」は特別な理由がある場合を除き相当期間を経過していないときに当たるとしています。詳しくは法人の棚卸資産の評価方法と届出の期限 届け出なければ最終仕入原価法になりますをご覧ください。
Q304. 会社に利益をためておくと、法人税とは別の税金がかかることがあると聞きました。本当ですか?
あります。特定同族会社の留保金課税(法人税法67条)といい、社外に出さずに残した利益に対して、通常の法人税に上乗せして課税されます。対象は特定同族会社です。法人税法67条2項は、株主1グループが「発行済株式又は出資……の総数又は総額の百分の五十を超える数又は金額の株式又は出資を有する場合」の会社などとしています。ただし同条1項のかっこ書きは、資本金の額または出資金の額が1億円以下の会社について「前条第五項第二号から第五号までに掲げるもの及び同条第六項に規定する大通算法人に限る」と定めています。つまり中小企業は原則として対象外ですが、大法人の100パーセント子会社などは資本金が小さくても対象になります。ためた利益の全部にかかるわけではありません。同条5項は留保控除額を「次に掲げる金額のうち最も多い金額」とし、所得基準・定額基準・積立金基準の3つで比べます。税率は課税留保金額に応じて10・15・20パーセントの3段階です。課税留保金額が1億5,000万円なら、上乗せは2,350万円になります。詳しくは会社に利益をためると別の税金がかかることがあります 特定同族会社の留保金課税のしくみをご覧ください。
Q305. 消費税の本則課税なら、支払った消費税は全額を差し引けますか?
いつでも全額とはかぎりません。消費税法30条2項は、その課税期間の課税売上高が5億円を超えるとき、または課税売上割合が95パーセントに満たないときは、全額控除ではなくなるとしています。そのときの計算方法は個別対応方式と一括比例配分方式の2つです。個別対応方式は課税仕入れを用途で3つに分けます。消費税法基本通達11-2-18は「個々の課税仕入れ等について、必ず、課税資産の譲渡等にのみ要するもの、その他の資産の譲渡等にのみ要するもの及び課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものとに区分しなければならない」としています。一括比例配分方式は仕入れ全体に課税売上割合を掛けるだけですが、消費税法30条5項により2年間は個別対応方式に戻せません。どちらが有利かは仕入れの内訳で逆転します。課税売上割合40パーセント・課税仕入れ等の税額300万円という同じ条件でも、内訳しだいで個別対応方式が32万円多いことも、一括比例配分方式が36万円多いこともあります。用途区分の誤りは金額が大きくなりがちです。最高裁判所第一小法廷は令和5年3月6日に、課税資産の譲渡等のみならずその他の資産の譲渡等にも対応する課税仕入れは全て共通対応課税仕入れに該当すると解するのが相当である、と判断しています。詳しくは消費税の個別対応方式と一括比例配分方式 どちらが有利かは課税売上割合と用途区分で決まりますをご覧ください。
Q306. 決算が2か月で間に合いません。法人税の申告期限を延ばせますか?
延ばせます。定時株主総会が2か月以内に招集されない常況にあるときは、法人税法75条の2第1項により申告期限を1か月延ばせます。同項は「当該申告書の提出期限を一月間(次の各号に掲げる場合に該当する場合には、当該各号に定める期間)延長することができる」としています。ただし大きな落とし穴があります。申請書の提出期限は、延長したい事業年度が終わる日までです。同条3項が「前二項の申請は、第一項に規定する申告書に係る事業年度終了の日までに、」と定めているため、決算作業が始まってから気づいても間に合いません。納付の期限も延長後の期限まで延びますが(法人税法77条)、2か月を過ぎた期間には利子税がかかります。令和8年の利子税特例基準割合は年1.3パーセントです。所得1億円の中小法人が1か月延長した場合、法人税額22,544,000円に対する利子税は24,000円ですが、原則の期限までに22,540,000円を納めておけば0円になります。申請書を出さないまま1か月遅れて申告すると、無申告加算税と延滞税で1,178,800円です。消費税も届出書を出せば1か月延ばせます(消費税法45条の2第1項)。詳しくは決算が2か月で間に合わない会社へ 法人税の申告期限を1か月延ばす特例と、申請書の期限は事業年度終了の日までですをご覧ください。
Q307. 海外の会社や海外に住んでいる人に報酬を払います。何か差し引く必要はありますか?
国内源泉所得に当たる支払には、源泉徴収が必要です。所得税法212条1項は「その支払の際、これらの国内源泉所得について所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月十日までに、これを国に納付しなければならない」としています。税率は所得税20パーセントに復興特別所得税を加えた20.42パーセントが原則です。使用料100万円なら源泉徴収税額は204,200円で、相手に渡るのは795,800円になります。「手取りで100万円」と約束すると、負担が増えます。所得税基本通達181〜223共−4は「当該税引手取額を税込みの金額に逆算し」計算するとしており、税込みは1,256,597円、源泉徴収税額は256,597円です。租税条約で軽くなる場合もありますが、届出書を出していなければ国内法の税率になります。源泉徴収を忘れると不納付加算税10パーセント(国税通則法67条1項)と延滞税がかかります。詳しくは海外の会社や海外に住む人に支払うときの源泉徴収 非居住者・外国法人への支払は20.42パーセントが原則ですをご覧ください。
Q308. 使わなくなった機械や値下がりした土地は、評価損として経費にできますか?
できる場合は限られています。法人税法33条2項は、政令で定める事実が生じ「その内国法人が当該資産の評価換えをして損金経理によりその帳簿価額を減額したとき」に限って損金算入を認めています。政令で定める事実は法人税法施行令68条1項3号のイからホで、「当該資産が一年以上にわたり遊休状態にあること」などが並びます。逆に認められない場合も通達で示されています。法人税基本通達9-1-16は「過度の使用又は修理の不十分等により当該固定資産が著しく損耗していること」や、償却不足額が生じている場合、「機械及び装置が製造方法の急速な進歩等により旧式化していること」は該当しないとしています。帳簿価額3,000万円の機械を時価500万円まで減額できれば損金は25,000,000円で、法人税は5,554,000円減ります。ただし損金経理をしていなければ認められず、否認されると別表四で25,000,000円が加算されます。もう使わない設備であれば有姿除却という別の方法もあります。詳しくは使わなくなった設備や値下がりした土地は評価損にできるか 法人税法33条2項と施行令68条1項3号の5つの事実をご覧ください。
Q309. 業界団体や協会に払う会費は、会社の経費になりますか?
通常会費なら、払った事業年度の損金です。団体の広報・調査研究・研修指導・福利厚生など通常の業務運営に充てる会費がこれに当たります(法人税基本通達9-7-15の3(1))。会館の建設などに充てる特別会費は、いったん前払費用となり、団体が支出した日にその使い道で判定します(同通達9-7-15の3(2))。同業団体への加入金は繰延資産で、償却期間は5年です(同通達8-1-11・8-2-3)。地位を譲渡できる加入金や出資の性質がある加入金は、譲渡か脱退まで損金になりません。20万円未満なら損金経理でその期の損金にできます(法人税法施行令134条)。なお、ロータリークラブやライオンズクラブの入会金・経常会費は交際費です(同通達9-7-15の2)。詳しくは同業団体や協会の会費は経費になる?通常会費・特別会費・入会金の違いをご覧ください。
Q310. 社員が業務中に事故を起こし、会社が損害賠償金を払いました。損金になりますか?
業務の遂行に関連し、故意又は重過失に基づかない事故なら、給与以外の損金です(法人税基本通達9-7-16(1))。業務中でも故意・重過失があれば、払った額はまず社員への債権になります(同(2))。社員の支払能力からみて求償できない部分は貸倒れとして損金経理できますが、回収が確実な部分まで貸倒れにすると、その部分は給与とされます(同9-7-17)。決算日に示談がまとまっていなくても、相手方に申し出た金額は、保険金等で補塡されることが明らかな部分を除いて未払計上できます(同2-2-13)。業務に関連して社員に課された交通反則金は、会社が負担しても損金になりません(同9-5-12)。詳しくは社員の事故で会社が払った損害賠償金は損金か 業務関連と故意・重過失で決まるをご覧ください。
Q311. 役員退職金を一度に払えません。分割で払っても損金になりますか?
分けて払うこと自体はできます。損金の時期は、株主総会の決議等で額が具体的に確定した日の属する事業年度が原則ですが、法人税基本通達9-2-28のただし書は、支払った日の属する事業年度に損金経理した場合もこれを認めるとしています。東京地裁平成27年2月26日判決は、分割支給した金額をその都度損金経理する方法についても、ただし書は「その適用を排除するものではないと解される」と判断しています。注意したいのは二重計上です。決議の期に総額を未払計上したなら、翌期以降の支払は未払金の取崩しで、もう一度損金にはできません。受け取る側は、分割だけを理由に退職所得でなくなるわけではありません。詳しくは役員退職金を分割で払うとき 払った期の損金経理と受け取る側の退職所得をご覧ください。
Q312. 業務システムを外注で開発しました。開発費はその期の経費にできますか?
自社で使うソフトウエアは無形減価償却資産で、耐用年数は原則5年です(減価償却資産の耐用年数等に関する省令 別表第三)。購入したソフトウエアを導入するための設定作業や、自社の仕様に合わせる付随的な修正作業の費用も、取得価額に含めます(法人税基本通達7-3-15の2(注)1)。稼働後の改修は、障害の除去や現状維持なら修繕費、新しい機能の追加や機能の向上なら資本的支出です(同通達7-8-6の2)。なお、中小企業者等の少額減価償却資産の特例は、40万円未満が対象です(租税特別措置法67条の5)。これは令和8年4月1日以後の取得等の基準で、それより前は30万円未満です。詳しくはソフトウエア開発費の法人税 取得価額・耐用年数5年と改修費の区分をご覧ください。
Q313. 永年勤続表彰で社員に記念品を渡すと、給与として課税されますか?
条件を満たす記念品や旅行・観劇への招待なら、課税しなくて差し支えありません(所得税基本通達36-21)。条件は、勤続期間等に照らして社会通念上相当な金額であること、おおむね10年以上の勤続者が対象で、2回以上表彰する場合はおおむね5年以上の間隔をおくことです。記念品や招待の代わりに現金・商品券などを渡すと、その全額が給与として課税されます(国税庁タックスアンサー No.2591)。創業記念品は、処分見込価額による評価額が1万円以下であることなどが条件です(同通達36-22)。詳しくは永年勤続表彰・創業記念品が給与にならない条件 現金・商品券・旅行券の落とし穴をご覧ください。
Q314. 子会社への貸付金を放棄しました。損金になりますか?
原則は寄附金として扱われ、損金になるのは限度額までです(法人税法37条)。ただし、業績不振の子会社等の倒産を防止するためにやむを得ず行うもので、合理的な再建計画に基づくものであるなど、「相当な理由」があると認められるときは寄附金に当たりません(法人税基本通達9-4-2)。ここでいう子会社等には、資本関係のほか、取引関係・人的関係・資金関係等で事業関連性を有する者も含まれます(同通達9-4-1(注))。法人が100%を持つグループ内の寄附金は、全額が損金不算入です(法人税法37条2項)。社長個人が100%を持つ会社どうしの寄附金は、限度額まで損金になります。詳しくは子会社や取引先への債権放棄は損金になるか 寄附金と通達9-4-2の「相当な理由」をご覧ください。
Q315. 事業譲渡で払ったのれん代は、買った期に一度に経費にできますか?
一度には経費にできません。時価純資産を超えて払った部分は資産調整勘定となり、当初の額を60で割って月数を掛けた額を毎期損金に算入します(法人税法62条の8)。対象は、法人から、事業と主要な資産または負債のおおむね全部が移る場合です。個人事業者から買う場合は、この規定の対象外です。詳しくは事業譲渡ののれん代は60か月で損金に 資産調整勘定の計算と消費税の区分で解説しています。
Q316. 取引先へのリベートや招待旅行は交際費になりますか?
売上高などに比例して金銭で取引先の会社に払う売上割戻しは、交際費等に該当しません(措置法関係通達61の4(1)-3)。一方、同じ基準でも旅行や観劇への招待にすると交際費等に該当します(同-4)。詳しくはリベートや招待旅行は交際費か 金銭の売上割戻しと物品・旅行の線引きで解説しています。
Q317. 火災で受け取った保険金で建物を建て直します。保険金に全額課税されますか?
同一種類の代替資産を取得すれば、保険差益の範囲で圧縮記帳を検討できます(法人税法47条)。期末までに取得できないときは特別勘定で翌期以降につなげます(同48条)。課税の免除ではなく先送りです。詳しくは火災の保険金で建て直すときの圧縮記帳 保険差益の計算と特別勘定・償却への影響で解説しています。
Q318. 妻を非常勤役員にして役員報酬を払えば、全額を損金にできますか?
毎月同額などの形であっても、職務の内容に比べて不相当に高額な部分は損金になりません(法人税法34条2項・同施行令70条1号)。勤務の実態や職務内容が乏しいとして否認された裁決もあります。詳しくは家族を非常勤役員にした報酬は損金になる? 過大役員給与の判定と否認された裁決で解説しています。
Q319. 社長の家族旅行や私的な飲食を会社で払うと、どうなりますか?
社長への経済的な利益として役員給与に当たり、定期同額給与などに当たらなければ損金になりません(法人税法34条4項・法人税基本通達9-2-9)。社長個人にも給与として所得税がかかり、会社には源泉徴収の義務が生じます。詳しくは社長の私的な支出を会社が払うと役員給与に 経済的利益の損金不算入と源泉徴収で解説しています。
Q320. 社長の死亡保険金を会社が受け取ると、法人税はかかりますか?
保険金は会社の益金になり、資産に計上していた保険料との差額が利益になります。計上の時期は事実関係による個別判断です(令和6年2月26日裁決)。役員退職金は額が具体的に確定した期の損金が原則のため(法人税基本通達9-2-28)、時期の組み立てが大切です。詳しくは社長の死亡保険金を会社が受け取ったら 法人税がかかる仕組みと退職金の時期で解説しています。
Q321. 会社で入る終身の医療保険・がん保険の保険料は、払った年に全額損金になりますか?
保険期間が終身の第三分野保険は、116歳に達する日までを計算上の保険期間とみます(法人税基本通達9-3-5)。払込期間が保険期間より短いと、払った保険料の一部は前払として資産に残ります。解約返戻金のない短期払の保険には、同じ被保険者で年30万円以下などの条件で払った期に損金にできる扱いがあります。詳しくは会社で入る医療保険・がん保険は損金になる? 終身・短期払と30万円の特例で解説しています。
Q322. 会社の火災保険を5年分まとめて払えば、その期の経費にできますか?
長期一括払いの保険料は、原則として保険期間の経過に応じて損金にします。短期前払費用の特例は「支払った日から1年以内に提供を受ける役務」が対象のため(法人税基本通達2-2-14)、5年分の一括払いには使えません。満期返戻金のある積立型は、積立保険料の部分が資産になります。詳しくは火災保険の長期一括払いは全額経費? 法人の損害保険料の期間按分と積立保険料で解説しています。
Q323. 役員になって5年以内の退職金は、税金の計算が違うのですか?
役員の勤続年数が5年以下の人が、役員の期間に対応して受ける退職金を特定役員退職手当等といいます。この退職金は、退職所得の計算で「2分の1」が使えません(所得税法30条)。使用人の期間がある人は、その部分を別に計算します。同じ退職金額でも、勤続5年と6年で所得税が大きく変わることがあります。詳しくは役員勤続5年以下の退職金は2分の1なし? 特定役員退職手当等の計算と数え方で解説しています。
Q324. 役員退職金を社用車や不動産で渡すときは、帳簿価額で処理してよいですか?
税務では、渡す資産の時価で計算します。会社は時価と帳簿価額の差を譲渡損益とします(法人税法22条の2第4項)。時価は退職給与の額にも含めます(同法34条4項)。役員の退職所得の収入金額も、取得した時の価額です(所得税法36条2項)。資産で渡した分も源泉徴収と住民税の特別徴収の対象です。詳しくは役員退職金の現物支給は時価で計算 社用車・不動産の譲渡益と源泉徴収で解説しています。
Q325. 資金繰りが苦しく役員報酬を払えない月があります。社長が受け取りを辞退すれば所得税はかかりませんか?
課税されないのは、支給日の前に辞退の意思を明示した分に限られます(所得税基本通達28-10)。ただし会社側では、支給額の減額と同じ論点が生じます。支給日の後に放棄した分は、原則として免除の時に源泉徴収が必要で、会社には債務免除益が生じます。未払のまま後で払う場合は、実際に払うときに源泉徴収するのが原則です。詳しくは役員報酬を払えないとき 未払・辞退・減額で変わる源泉徴収と債務免除益で解説しています。
Q326. 会社が契約者になって役員や従業員の個人年金保険に入ると、保険料は損金になりますか?
死亡給付金と年金の受取人の組合せで取扱いが変わります。ともに会社なら全額を資産に計上し、ともに被保険者やその遺族なら全額がその人の給与です。死亡給付金が遺族、年金が会社なら、90%を資産に計上し残額は損金です。ただし役員など特定の人だけが被保険者なら、残額は給与です(平成2年5月30日付 直審4-19)。詳しくは法人契約の個人年金保険の保険料 受取人で変わる資産計上・給与・損金で解説しています。
Q327. 会社をたたむとき、社長は退職金と残余財産の分配のどちらで受け取るかで税金が変わりますか?
変わります。退職金は、退職所得控除を引いた額の2分の1に分離課税です。役員としての勤続年数が5年以下なら、その期間分は2分の1の計算がありません。残余財産の分配は、資本金等の額のうち対応する部分を超える額がみなし配当です。非上場会社なら総合課税です。会社側では、相当な額の退職金は損金になりますが、残余財産の分配は損金になりません。どちらが有利かは前提で変わります。詳しくは会社をたたむときの役員退職金と残余財産の分配 社長の税金と手取りの違いで解説しています。
Q328. 社長の所得補償保険を会社で契約すると、保険料は損金になりますか?
原則として損金ですが、社長への給与になる場合があります。受取人が会社なら、保険料は原則として期間の経過に応じて損金です。受取人が社長本人で役員など特定の人だけが加入なら、社長への給与です(法人税基本通達9-3-5)。給与でも、経常的に負担する分は定期同額給与となり、原則として損金です(法人税法34条1項)。本人が病気やけがで働けない期間の補てんとして受け取る所得補償保険金は非課税ですが、会社が受け取った保険金は益金です。詳しくは社長の所得補償保険・就業不能保険は会社の経費になる? 保険料と保険金の税金で解説しています。
Q329. 役員退職金と小規模企業共済・iDeCoの一時金を近い年に受け取ると、退職所得控除は減りますか?
勤続期間などが重なると、重なった期間分の控除が減ることがあります。原則は前年以前4年内の受け取りが調整の対象です。その年にiDeCo・企業型DCの一時金を受け取るなら19年内です。令和8年以後のiDeCo等の一時金が9年内にあれば、令和8年以後の9年内の受け取りも対象です(所得税法施行令70条1項2号)。詳しくは退職金とiDeCo・小規模企業共済は受け取る順番で税金が変わる 退職所得控除の重複調整で解説しています。
Q330. 社長の自宅の一部を会社の事務所として貸すと、社長は確定申告が必要ですか?
同族会社から給与と家賃を受け取る役員は、所得が20万円以下でも原則として確定申告が必要です。確定申告をすれば還付になる人は除きます(所得税法121条1項ただし書、同法施行令262条の2)。家賃は社長の不動産所得です。会社が払う家賃は、事務所の実態と相場に合う額であることが損金の前提です。詳しくは社長の自宅の一部を会社の事務所として貸す 家賃の損金と社長の不動産所得で解説しています。
Q331. 会社が加入する労災上乗せ保険(業務災害補償保険)の保険料は損金になりますか?
けがで保険金が出る傷害保険の保険料は、原則として期間の経過に応じて損金です(法人税基本通達9-3-5)。支払日から1年以内に終わる保障の保険料は、継続適用なら払った期の損金にできます(同2-2-14)。保険期間3年以上で最高解約返戻率50%超の契約は、原則として一部を資産に計上します(9-3-5の2)。受取人が本人・遺族で役員など特定の人だけが加入する場合は、その人への給与です。会社が受け取った保険金は益金で、本人へ渡す見舞金が非課税なのは社会通念上相当な額までです。詳しくは労災上乗せ保険の保険料は損金? 保険金を見舞金で渡すときと役員加入の税金で解説しています。
Q332. 退職金を払うとき、社員が「退職所得の受給に関する申告書」を出さないと会社の源泉徴収はどうなりますか?
支払の時までに申告書が出ていなければ、所得税等は支払額の20.42%で天引きします(所得税法201条3項・国税庁 No.2732)。差額は本人が確定申告で精算します。住民税は申告書がなくても通常の計算で天引きし、原則として翌月10日までに、支払を受けるべき日の属する年の1月1日の住所地の市区町村へ納めます。令和8年1月1日以後に支払うべき退職金は、退職所得の源泉徴収票を役員に限らず全員分税務署へ出します。詳しくは退職金を払う会社の源泉徴収と住民税 受給申告書から源泉徴収票の提出までで解説しています。
Q333. 会社名義の土地・建物を売ったとき、個人の譲渡所得と何が違いますか?
売却益は本業の損益と合算して法人税の所得を計算します(法人税法22条)。個人のような所有期間による長期・短期の区分や、マイホームの3,000万円控除はありません。青色申告の期の繰越欠損金は、要件を満たせば差し引けます(中小法人等以外は原則として所得の50%まで)。課税事業者なら建物部分の対価に消費税がかかり、土地は非課税です。詳しくは法人が不動産を売却したときの税金 個人の譲渡所得との違いと決算の注意点で解説しています。
Q334. 会社で入る総合福祉団体定期保険の保険料は、損金になりますか?
受取人が会社でも遺族でも、原則として期間の経過に応じて損金です(法人税基本通達9-3-5)。ただし、遺族が受け取る形で役員など特定の人だけを加入させると、保険料はその人への給与です。役員・使用人の全部か大部分が同族関係者の会社は、遺族受取なら全員加入でも同族関係者の分が給与です。根拠は所得税基本通達36-31の2の注2です。主契約の保険金額は、弔慰金・死亡退職金規程の支給額とセットで決めます。詳しくは総合福祉団体定期保険の保険料は損金? 給与にならない条件と保険金・弔慰金規程で解説しています。
Q335. 会社が社員の奨学金を代わりに返す「代理返還」は、社員の給与として課税されますか?
会社が日本学生支援機構へ直接送金し、通常の給与に上乗せして払う形なら、所得税は非課税となり得ます(所得税法9条1項15号・国税庁の質疑応答事例)。給与を減らしてその分を返還に充てる形は非課税になりません。役員の分や、社長のご家族だけを対象にした分は給与として課税されます。社員への代理返還は会社で給与として損金になります。賃上げ促進税制の給与等にも入りますが、役員の親族などの分は除きます。詳しくは奨学金の代理返還で社員の所得税は非課税になる? 手当との違いと会社の経費で解説しています。
Q336. インボイス登録をした法人の消費税の2割特例は、いつまで使えますか?
令和8年9月30日を含む課税期間までです。対象は、登録や課税事業者の選択がなければ免税事業者だった期に限られます。3月決算で事業年度が12か月なら、令和9年3月31日に終わる期が最後です。次の期は本則課税か簡易課税で、令和9年・令和10年の3割特例は個人事業者だけの制度です。2割特例を使った期の次の期は、その期から適用する旨を書いた届出書で簡易課税を使えます。簡易課税制度選択届出書の期限は、その期の申告期限です(次の期が令和8年10月1日以後に終わる場合)。詳しくは法人の2割特例はいつまで? 終わったあとの本則・簡易の選び方と届出期限で解説しています。
Q337. 会社が地震や水害で被災して赤字になったとき、前の期の法人税は戻りますか?
災害損失欠損金額なら、青色申告でなくても繰戻し還付を請求できます(法人税法80条5項)。遡れるのは前1年で、青色申告なら前2年です。還付を受ける期から連続して確定申告書を出していることが要件で、還付請求書は申告書と同時に出します。資本金1億円超の会社なども、災害損失欠損金額なら使えます。詳しくは会社が地震や水害で被災したときの法人税 繰戻し還付と災害損失特別勘定で解説しています。
Q338. 会社がメールで受け取ったPDFの請求書は、印刷して紙で保存すれば足りますか?
法人税では足りません。令和6年1月1日以後の電子取引は、印刷した書面でデータの保存に代えられません(国税庁 電子帳簿保存法一問一答 問98)。改ざん防止の措置をとり、日付・金額・取引先で探せる状態でデータを保存します。前々事業年度の売上高が5,000万円以下なら、ダウンロードの求めに応じる条件で検索の要件は不要です。改ざん防止の措置や、画面と紙に出せる備えなどは残ります。詳しくは会社の電子取引データの保存要件 メールの請求書は印刷だけでは足りませんで解説しています。
Q339. 会社の車を新車購入時に下取りに出しました。下取り価格を値引きとして相殺して処理してよいですか?
分けて処理します。国税庁は、下取りを伴う取引を2つの別個の取引としています(タックスアンサーNo.6305)。会社の側では、古い車の売却と新しい車の購入です。売却損益は売った値段から帳簿価額を引いて計算します。新しい車の取得価額は値引き後の代金を基に計算し、下取り価格は差し引きません。課税事業者なら、下取りの対価は消費税の課税売上げです。詳しくは社用車の売却・下取りの税金 売却損益と消費税、自動車税の未経過分の扱いで解説しています。
Q340. 特定退職金共済(特退共)の掛金は、会社の損金になりますか?
払った事業年度の損金です(法人税法施行令135条1号)。決算日までに納付していない分は、未払金として損金にできません。払い込んだ掛金は会社に返還されません。法人の役員は、使用人兼務役員を除き加入できません。要件に反して加入させた役員の分や、月3万円を超えて払った掛金は損金から除かれます。詳しくは特定退職金共済の掛金は損金になる? 特退共と中退共の違い・役員と家族の加入で解説しています。
Q341. 法人は税込経理と税抜経理のどちらを選んでも、法人税は同じですか?
納める消費税は同じですが、法人税の判定が変わることがあります。少額の減価償却資産の10万円や、交際費の1人1万円の判定は、採用した方式の金額で行います(国税庁の消費税経理通達)。免税事業者の法人は、税込経理で法人税を計算します。令和8年10月から令和10年9月までは、インボイス未登録の相手からの仕入れで仮払消費税等にするのは、税抜経理では税額の70%が原則です。詳しくは税込経理と税抜経理、法人はどっち? 10万円判定と控除対象外消費税の違いで解説しています。
Q342. フランチャイズの加盟金は、払った期に全額を損金にできますか?
契約ごとに20万円未満なら、支払った期に損金経理をすれば全額が損金です(法人税法施行令134条)。金額は、税抜経理なら税抜、税込経理なら税込で判定します(免税事業者は税込)。20万円以上で返還されない加盟金は、繰延資産として期間に分けて損金にします。国税庁の質疑応答事例には、契約期間20年・返還なしの加盟一時金を5年で償却するとした例があります。返還される保証金は費用になりません。詳しくはフランチャイズ加盟金の償却期間は? 保証金・ロイヤリティとの違いと解約時の扱いで解説しています。
Q343. 会社のホームページ制作費は、その期の損金にできますか?
会社案内などのページは、期末までに納品を受ければその期の損金が原則です(法人税法22条3項2号)。予約・決済などのプログラムの機能は、ソフトウエアとして5年で償却する場合があります。中小企業者等は、令和8年4月1日以後の取得分なら、40万円未満の資産を一度に損金にできます。青色申告、従業員数、年300万円の上限などの要件があります。見積書で金額を分けておくことが前提です。詳しくはホームページ制作費は一度に損金にできる? 広告宣伝費とソフトウエアの線引きで解説しています。
Q344. 防衛特別法人税は、いつから、どのような会社にかかりますか?
令和8年4月1日以後に開始する事業年度から、法人税を課される法人が対象です。税額は、一定の税額控除前の法人税額から年500万円を差し引いた額の4%です。税額が0円になる場合も、別表一次葉一の計算欄を書き、税額欄に「0」と記載して提出するよう国税庁が案内しています。納付も、法人税とは別に必要です。詳しくは防衛特別法人税とは? 500万円控除・4%の計算と中小法人の申告の注意点で解説しています。
Q345. 決算月に1年分の家賃や保守料を前払いすると、その期の損金にできますか?
支払日から1年以内に受けるサービスの前払いを、毎期続けて払った期の損金にしている場合は、払った期の損金にできます(法人税基本通達2-2-14)。今期だけまとめて払い、翌期に月払いへ戻すと、継続に当たらないとされるおそれがあります。借入金を預金や有価証券などで運用する場合の支払利子など、収益と対応させる費用は対象外です。利益などに比べて多額の前払いを認めなかった裁決もあります。詳しくは短期前払費用の要件 家賃・保守料の前払いを払った期の損金にできる場合で解説しています。
Q346. 社員だけの懇親会の飲食代は、1人1万円以下なら交際費になりませんか?
社内の者だけの飲食は、1人1万円以下でも、交際費等から除く特例の対象外です(租税特別措置法61条の4第6項)。専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用にあたれば、交際費等から除かれます。役員だけの会や、自己都合で欠席した人に代わりの現金を渡す会は、給与として課税しない扱いから外れます。詳しくは社内行事・懇親会の費用は福利厚生費? 交際費や給与になる4つの線引きで解説しています。
Q347. 従業員に無利息や低い利息でお金を貸すと、給与として課税されますか?
原則として、基準の利率で計算した利息と実際の利息との差額が給与として課税されます(所得税基本通達36-28・36-49)。令和8年中の貸付けの基準の利率は年1.3%です(他から借りたお金を貸したことが明らかな場合を除きます)。災害や病気などで臨時に多額の生活資金が必要になった従業員への合理的な貸付け、会社の借入金の平均調達金利など合理的な利率を定めて利息を受け取る貸付け、それ以外で差額が1年間で5,000円以下の場合は、課税しなくて差し支えないとされています。詳しくは従業員への貸付金は無利息だと給与課税? 課税しなくてよい3つの場合と基準の利率で解説しています。
Q348. 雇用調整助成金などの助成金は、入金した期の収益にすればよいですか?
入金した期とは限りません(法人税基本通達2-1-42)。休業手当や賃金などの経費を補塡するために交付される給付金は、休業などの事実があった日の期の益金に入れ、金額が確定していなければ見積ります。雇用の改善による奨励金は、支給決定があった日の期の益金です。どちらにあたるかは、その助成金の支給要件で確かめます。詳しくは雇用関係助成金の計上時期 入金日ではなく休業などの期か支給決定の期ですで解説しています。
Q349. 取引先に自社名入りの看板や陳列棚を贈った費用は、その期の経費になりますか?
原則として、税務上の繰延資産として償却します(法人税法施行令14条1項6号、法人税基本通達8-1-8)。償却期間は、その資産の耐用年数の10分の7(5年が上限・1年未満は切捨て)です(同8-2-3)。ただし、1個・1組ごとの金額が20万円未満なら、損金経理をすれば支出した期の損金にできます(同施行令134条)。受け取った側の受贈益の扱いは別に判定します。詳しくは広告用の看板や陳列棚を取引先に贈ったら繰延資産 償却期間・20万円の判定と受贈益で解説しています。
Q350. 税込1万円未満の経費なら、インボイスがなくても消費税を控除できますか?
基準期間の課税売上高が1億円以下か、特定期間の課税売上高が5千万円以下の課税期間で、令和11年9月30日までに行う税込1万円未満の課税仕入れなら、一定の事項を記載した帳簿の保存だけで控除できます(少額特例)。1万円未満かは、1商品ごとではなく1回の取引の税込金額で判定します。対象者でない場合や期限後は、本則課税なら原則としてインボイスの保存が必要です。詳しくはインボイスの少額特例とは? 1万円未満の判定単位と対象者・帳簿の書き方で解説しています。
Q351. 外貨建ての売掛金が期末に残っていると、入金前でも為替差損益を計上しますか?
換算方法の届出をしていない会社では、決済の期限が期末の翌日から1年以内の短期の売掛金は、期末の相場で換算し直し、その差額を益金・損金に入れます(期末時換算法。法人税法61条の9、同施行令122条の7)。届出をすれば発生時換算法も選べます。期限は、初めて取得した期の確定申告書の提出期限などです。取引の日の換算は、原則として取引を計上すべき日のTTMです(法人税基本通達13の2-1-2)。詳しくは会社の外貨建て取引の円換算と為替差損益 TTMの原則と期末換算の届出で解説しています。
Q352. 社員割引で自社商品を安く売ると、社員に給与として課税されますか?
自社で扱う商品の値引販売は、3つの要件をすべて満たせば課税しなくて差し支えないとされています(所得税基本通達36-23)。社員価格が取得価額以上で通常の販売価額のおおむね70%以上であること、値引率が全員一律か合理的なバランスが保たれる範囲の差であること、数量が一般の消費者が家事のために通常消費する程度であることです。外れると、通常の販売価額との差額が給与になります。食事や有価証券は対象外です。詳しくは社員割引に税金はかかる? 値引販売が給与課税されない3要件と役員の注意点で解説しています。
Q353. 社長1人が株主の会社でも、配当を払うときは源泉徴収が必要ですか?
必要です。非上場株式の配当は、所得税等の合計20.42%を差し引き、払った月の翌月10日までに納めます(所得税法181条1項、タックスアンサー No.1330)。住民税は差し引きません。支払の確定した日から1年を経過しても払わない配当は、その日に払ったものとみなして源泉徴収します(同条2項)。配当は会社の損金になりません。詳しくは配当の源泉徴収 非上場会社の配当は20.42%、翌月10日の納付と支払調書で解説しています。
Q354. 転勤する社員の引越し代を会社が負担したら、社員の給与として課税されますか?
転居のための旅行に通常必要と認められる範囲なら、所得税はかかりません(所得税法9条1項4号)。対象は運賃・宿泊料・移転料などに充てる金品で、範囲は旅行の目的や職務内容などに照らし、社内のバランスと同業他社の水準も勘案して判断します(所得税基本通達9-3)。超える部分は給与所得です(同9-4。入社に伴う転居なら雑所得)。通常の赴任旅費とは別に、滞在費の名目で払う着後滞在費は、旅費規程に基づいても給与として課税されます。詳しくは転勤・入社の引越し費用は給与になる? 会社負担が非課税になる範囲と赴任旅費で解説しています。
Q355. 会社で持っている暗号資産(仮想通貨)は、期末に時価で評価しなければなりませんか?
活発な市場がある暗号資産は、原則として期末に時価で評価します(法人税法61条2項)。自己の計算で持つ分は、評価損益を所得に入れます(同条3項)。評価損益は翌期に戻します(洗替え)。活発な市場がないものや、自社が発行して譲渡制限が続くものは原価法です。一定の譲渡制限が付いたものは時価評価か原価法かを選べ、選ばなければ原価法です。詳しくは法人の暗号資産の期末時価評価 対象外になるものと評価損益の計算方法で解説しています。
Q356. 資本金を減らす無償減資をすると、法人住民税の均等割は安くなりますか?
資本金等の額で区分が決まる会社は、無償減資だけでは下がりません。法人税法上の資本金等の額は、減らした資本金を加算するため変わりません(同法施行令8条1項12号)。減資で生じた剰余金を欠損てん補に充てた額は、一定の範囲で差し引けます(地方税法23条1項4号の2イ、地方税法施行規則1条の9の6)。ただし、判定に使う額は資本金と資本準備金の合計額を下回りません(地方税法52条4項)。詳しくは減資で税金はどう変わる? 均等割・資本金1億円の判定・みなし配当で解説しています。
Q357. 社長の役員報酬は、株主総会で決めた額どおりに払えば全額が損金になりますか?
損金になるのは、定期同額給与などの形で払う報酬です(法人税法34条1項)。そのうえで、総会で決めた額どおりでも、不相当に高額な部分は損金になりません(同条2項)。高額かどうかは、職務の内容・会社の収益・使用人の給与・同業類似法人の役員給与などに照らす実質基準と、定款や総会で決めた限度額と比べる形式基準で判定し、いずれか多い金額が損金になりません(同法施行令70条1号)。総会の決議額と同額でも、実質基準で否認された裁決があります。詳しくは社長の役員報酬はいくらまで損金? 不相当に高額な部分の判定と増額の注意で解説しています。
Q358. 会社を2つに分ける(分社化する)と、法人税は安くなりますか?
必ず安くなるわけではありません。期末の資本金1億円以下の会社(大法人の100%子会社などを除く)の軽減税率(年800万円以下の所得)や交際費の定額控除は、会社ごとに判定します。ただし、名義だけの会社の収益は、実際に収益を受ける会社のものとして課税されます(法人税法11条)。2社の間で相場から離れた料金をやり取りすると、寄附金や同族会社の行為計算の否認の対象になり得ます。均等割など、会社ごとにかかる税や費用も増えます。詳しくは分社化は節税になる? 会社ごとに使える枠と、否認・失敗の場面で解説しています。
Q359. 会社を設立するとき、資本金を1,000万円ちょうどにすると税金はどうなりますか?
消費税は、設立1期目から納税義務が免除されません。基準期間のない事業年度の期首の資本金が1,000万円以上の会社は「新設法人」に当たるためです(消費税法12条の2第1項)。一方、法人住民税の均等割は、資本準備金を含む資本金等の額で区分します。資本準備金がなければ「1,000万円以下」の区分です。同じ金額でも税目によって扱いが分かれるため、設立前に比べておくことが大切です。詳しくは会社設立の資本金はいくらにする? 1,000万円と1億円で変わる税金の境目で解説しています。
Q360. 家族が役員の不動産管理会社に、賃貸物件の管理料を払っています。管理料は家賃の何%までなら必要経費になりますか?
所得税法には、管理料の割合の定めはありません。裁決では、同業者の管理料の割合などから算定した適正額と比べて判断しています。管理の実態がないとして、必要経費になる管理料を零円とした裁決もあります(平成18年6月13日裁決)。会社の株主が地主本人でなく親族でも、同族会社の行為計算の否認(所得税法157条)の対象になり得ます。詳しくは不動産管理会社の管理料とサブリース 家族の会社との取引が否認される場面で解説しています。
Q361. 社長が会社からお金を受け取るなら、役員報酬と配当のどちらが有利ですか?
一律には決まりません。役員報酬は定期同額給与などの要件を満たせば会社の損金になり、社会保険料がかかります。配当は損金にならず、法人税等を払った後の利益から支払います。非上場の会社の配当は原則として総合課税で確定申告し、配当控除を受けられます(少額配当で申告しないことを選ぶと受けられません)。会社の税金・社長の税金・社会保険料の合計で比べることが大切です。詳しくは役員報酬と配当はどちらで受け取る? 会社と社長の税金・社会保険料で比べるで解説しています。
Q362. M&Aで会社を売ります。株式譲渡と事業譲渡で、税金はどう違いますか?
株式譲渡は、社長個人の株の売却益に申告分離課税で、所得税15%と住民税5%に、復興特別所得税を合わせて20.315%です。令和9年分以後は、防衛特別所得税を含めて同じ合計です。根拠は租税特別措置法37条の10と地方税法附則35条の2です。売却益が大きい年は、所得税の上乗せがありえます(租税特別措置法41条の19)。事業譲渡は、売却益が会社の所得になり法人税がかかります。そのお金を清算などで社長個人へ移すと、配当とみなされる部分に個人でも課税されます。売却前後に役員退職金を支給する組み合わせは、額や退任後の関わり方で結果が変わります。詳しくは会社を売るときの税金 株式譲渡と事業譲渡の違いと役員退職金の組み合わせで解説しています。
Q363. 社員の横領が発覚しました。横領された額は会社の損金になりますか?
横領された額は損失として損金になります(法人税法22条3項3号)。ただし、国税不服審判所の裁決は、同額の損害賠償請求権を同じ年度の益金に計上するのが原則としています。損失と請求権が同額なら、その年度の所得金額は変わりません(権利行使が期待できない客観的な状況にあった場合は例外です)。賠償金を受け取った年度の収益にできる法人税基本通達2-1-43の扱いは、役員や使用人からの賠償金には使えないとした裁決があります。回収できないときは、全額の回収不能が明らかになった年度に貸倒れにします(法人税基本通達9-6-2)。損金経理(決算で損失として処理)が要り、担保物は処分が先で、連帯保証人の支払能力も見ます。詳しくは従業員の横領は損金になる? 損害賠償請求権の益金計上と貸倒れの時期で解説しています。
Q364. 会社の法人税の申告に誤りが見つかりました。どうやって直せばよいですか?
税額が増えるなら修正申告、税額が減るなら更正の請求で直します。更正の請求は、原則として法定申告期限から5年以内です(国税通則法23条1項)。調査の通知の前で、更正を予知したものでない修正申告なら、過少申告加算税はかかりません(同法65条6項。延滞税はかかります)。法人税を直したら、法人住民税・法人事業税・消費税も確かめます。前期の所得計算の誤りは、当期の決算の前期損益修正だけでは足りず、前期の申告を直すことがあります。詳しくは法人税の申告を間違えたら 修正申告と更正の請求、地方税の連動と前期損益修正で解説しています。
Q365. 3月決算の会社で、4月に旧事務所を退去します。原状回復費用を3月期に計上できますか?
3月末までに工事が終わっていなければ、原則として3月期の損金になりません。期末までに債務が確定していない費用は、その期の損金にならないためです(法人税法22条3項2号・法人税基本通達2-2-12)。なお、償却中の旧事務所の礼金は、解約した日の属する事業年度に残りを損金に算入します(法人税基本通達8-3-6)。新事務所の礼金は、効果が1年以上に及ぶものは繰延資産です。1つの契約で20万円未満なら、払った期に費用として処理し、損金にできます(法人税法施行令134条)。詳しくは事務所移転の費用はいつ損金になる? 原状回復・敷金・礼金・内装の分け方で解説しています。
Q366. iDeCo+(中小事業主掛金納付制度)で会社が出す掛金は、損金になりますか?
会社が出す掛金は、実際に納付した事業年度の損金になり(法人税法施行令135条4号)、従業員の給与所得にもなりません。現実に納付していない掛金は、未払金として損金にできません(法人税基本通達9-3-1)。使えるのは、企業年金を実施しておらず、厚生年金の被保険者が300人以下の会社です。導入には労使の同意が要ります。対象はiDeCoに加入して給与天引きで掛金を納める従業員で、対象を絞るときは「一定の職種」か「一定の勤続期間」で決めます。掛金の上限は従業員と会社の掛金の合計で月2万3千円で、令和8年12月1日から月6万2千円に上がります。詳しくはiDeCo+(中小事業主掛金)は会社の損金 対象者の決め方と計上時期の注意点で解説しています。
Q367. インボイスの登録をしていない外注先への支払いは、令和8年10月から消費税の計算がどう変わりますか?
本則課税で申告する会社が、登録をしていない相手から仕入れた場合に差し引ける割合は、令和8年9月30日までの仕入れは80%、令和8年10月1日以後の仕入れは70%です(平成28年改正法附則52条1項・53条1項。令和8年度改正)。その後は令和10年10月1日から50%、令和12年10月1日から30%で、令和13年9月30日に終わります。割合は課税期間の開始日ではなく、仕入れを行った時期で決まります。経過措置の対象である旨を書いた帳簿と、区分記載請求書等の保存が要件です。令和8年10月1日以後に始まる期からは、同じ相手からの税込1億円を超える部分が対象外です。簡易課税・2割特例で申告する期には関係しません。詳しくは免税事業者からの仕入れは令和8年10月から70%控除 経過措置の要件と計算例で解説しています。
Q368. 会社を休眠させて売上がゼロです。法人税の申告はしなくてもよいですか?
休眠中でも、法人税の確定申告は毎期必要です。法人税法74条1項は各事業年度の終了後2か月以内の申告を求めており、休業中を除く定めはありません。2期続けて期限内に申告しないと、青色申告の承認を取り消す運用です(国税庁の事務運営指針)。欠損金の繰越しも、申告を連続して出していることなどが条件です(法人税法57条10項)。休業中の法人住民税の均等割の扱いは自治体ごとに違うため、届出先ごとに確かめます。最後の登記から12年たつ株式会社(特例有限会社を除く)は、公告から2か月以内に届出等をしないと解散したとみなされます。詳しくは休眠会社の法人税申告 休業中も毎期必要で、均等割とみなし解散にも注意で解説しています。
Q369. 領収書をなくした経費や、出金伝票だけの支払いは、会社の経費にできますか?
法人税法22条3項は、領収書があることを損金の条件としていません。ただし、業務の遂行上必要な支出であることが求められます。令和4年8月4日裁決は、購入の事実があっても使い道が確認できない支出を、損金に入らないとしました。振込記録・カード明細に加え、使い道が分かる記録も残します。消費税(本則課税)の仕入税額控除は、帳簿と請求書等の保存が原則の要件です(消費税法30条7項)。自社で作る出金伝票は、相手方の確認を受けた仕入明細書などでなければ請求書等に当たりません。帳簿の保存だけで控除できるのは、税込3万円未満の公共交通機関の運賃など、政令で定める取引です。一定規模以下の会社は、税込1万円未満の仕入れも令和11年9月30日まで帳簿だけで控除できます。社員の立替払いは、社員の所属が分かる名簿や立替金精算書もあわせて保存します。詳しくは領収書がない経費は会社の損金になる? 出金伝票・立替精算と消費税の注意点で解説しています。
Q370. 会社の帳簿や領収書は、何年保存すればよいですか?
法人税では、帳簿と書類を、申告期限の翌日から7年間保存します(タックスアンサーNo.5930)。欠損金の繰越控除を受けるときは、赤字が生じた事業年度の帳簿書類を10年間保存します(法人税法施行規則26条の3)。申告期限の延長を受けている会社は、延長した月数だけ起算日が後ろにずれます。消費税では、帳簿や請求書等を保存していない仕入れは、原則として仕入税額控除ができません(消費税法30条7項)。メールなどで受け取った電子取引のデータは、印刷するだけでなくデータのまま保存します(電子帳簿保存法7条)。会社法にも、会計帳簿などを閉鎖の時から10年間保存する定めがあります(会社法432条2項)。詳しくは会社の帳簿や領収書は何年保存する? 7年と10年の違いと捨ててはいけない書類で解説しています。
Q371. 中小企業の法人税の税率は何%ですか?地方税を含めるとどのくらいになりますか?
資本金1億円以下の法人などは、年800万円以下の部分が15%、超える部分が23.2%です(法人税法66条・租税特別措置法42条の3の2)。15%は令和9年3月31日までに開始する事業年度の特例で、所得10億円超の事業年度は17%です。大法人の100%子会社などは15%・19%とも使えず、適用除外事業者は19%です。事業年度が1年に満たないときは、800万円を月割りします。このほか地方法人税・法人住民税・法人事業税・特別法人事業税がかかります。令和8年4月1日以後に始まる期は、法人税額が年500万円を超えると防衛特別法人税も加わります。標準税率など一定の前提では、所得800万円の会社の負担は約196万円(約24.5%)が目安です。税率は自治体により異なります。法人住民税の均等割は赤字でもかかります。詳しくは法人税の税率はいくら? 中小法人の15%と、地方税を含めた負担の目安で解説しています。
Q372. スポーツクラブやジムの会費を会社が払うと、福利厚生費になりますか?
全員が一律に使える形で、金額が著しく多額でないなどの場合は、課税しない扱いになり得ます(所得税基本通達36-29)。ただし、役員だけを対象とする場合は、この扱いから除かれます。従業員のいない会社では、使えるのが役員だけになるため、社長の給与として源泉徴収や定期同額給与に当たるかを確かめるのが基本です。入会金は、法人会員なら資産に計上するのが原則で、個人会員なら会員本人の給与が原則です(法人税基本通達9-7-11・9-7-13の2)。詳しくはスポーツクラブの会費は福利厚生費? ジムの法人会員と社長の個人会員の違いで解説しています。
Q373. 法人の確定申告では、別表のほかにどんな書類を出しますか?
貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書・勘定科目内訳明細書などを添付し、事業等の概況に関する書類(法人事業概況説明書など)も添付します(法人税法74条3項・同法施行規則35条)。税額や所得を減らす租税特別措置の適用を受ける場合は、適用額明細書も添付します(タックスアンサーNo.5932)。事業年度開始の時の資本金の額等が1億円を超える法人などは、申告書と添付書類の電子申告が義務です。添付書類は光ディスクなどでも出せます。詳しくは法人の確定申告の必要書類 勘定科目内訳明細書と法人事業概況説明書の注意点で解説しています。
Q374. 社長個人名義の車を会社の仕事で使うとき、ガソリン代や自動車税を会社の経費にできますか?
業務で使った分は会社の費用として扱えます。私用の分まで会社が負担すると、役員の個人的な費用の負担として原則として役員給与になります(法人税基本通達9-2-9)。自動車税など年払いの私用分は、毎月おおむね一定でなく損金になりません(同9-2-11)。業務の分は、借上げの契約書と運行記録で説明できるようにします。会社から受け取る車の借上料は、原則として社長の雑所得です。同族会社の役員などがその会社から車の借上料などを受け取る場合は、給与以外の所得が20万円以下でも確定申告が必要です(確定申告で税金が還付になる人を除く。タックスアンサーNo.1900・No.1901)。詳しくは社長個人の車を会社で使うときの経費 借上料・維持費と私用分の線引きで解説しています。
Q375. 建設工事の売上は、代金を受け取った時ではなく、いつの期に計上しますか?
原則として、目的物の全部を完成して相手方に引き渡した日の属する事業年度に計上します(法人税基本通達2-1-21の7)。引渡しの日は、作業を結了した日や相手方が検収を完了した日など、工事の種類や性質に応じて合理的と認められる日を選び、毎期同じ基準で使います(同2-1-21の8)。一部を引き渡すたびに代金を受け取る特約や慣習がある工事は部分完成基準によります(同2-1-1の4)。工期1年以上・請負の対価10億円以上などの長期大規模工事は工事進行基準が強制されます(法人税法63条1項)。詳しくは工事の売上計上の時期は引渡しの日が原則 部分完成基準・工事進行基準との違いで解説しています。
Q376. 税理士やデザイナーに払った報酬について、会社は法定調書を出す必要がありますか?
同じ相手への年間の支払が5万円を超える税理士報酬やデザイン料などは、報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書の提出範囲です(タックスアンサーNo.7431)。法人への報酬や源泉徴収をしていない報酬も、提出範囲に当たれば出します。令和8年分は令和9年2月1日(月)までに、法定調書合計表を付けて税務署へ出します。なお、令和8年分の給与の源泉徴収票は、給与支払報告書を市区町村へ出せば提出扱いです。根拠は令和9年1月1日施行の所得税法226条6項です。詳しくは法定調書合計表の書き方と提出範囲 令和8年分から変わる源泉徴収票と支払調書で解説しています。
Q377. 会社の減価償却を定額法にしたいときは、どうすればよいですか?
償却方法を届け出ないと、平成19年4月1日以後に取得した機械・車両・備品などは定率法(法定償却方法)で計算します(法人税法施行令53条)。ただし、平成19年3月31日以前から旧定額法を選んでいた区分は、定額法とみなされます(同51条3項)。定額法を選ぶなら、設立第1期の確定申告書の提出期限などまでに、資産の区分ごとに償却方法の届出書を出します(同51条2項)。一度選んだ方法を変えるには、新しい方法を使う事業年度の開始の日の前日までに変更承認申請書を出し、税務署長の承認を受けます(同52条)。採用から3年を経過していない変更は、特別な理由がない限り承認されないことがあります(法人税基本通達7-2-4)。なお、平成19年4月1日以後に取得した建物や、平成28年4月1日以後に取得した建物附属設備・構築物は、もともと定額法だけです。詳しくは法人の減価償却 償却方法の届出の期限と、定率法・定額法の選び方で解説しています。
Q378. 出資している子会社が赤字続きです。会社が持つその株式の評価損は、損金にできますか?
赤字が続くだけでは足りません。発行会社の資産状態が著しく悪化したため価額が著しく下がったことが必要です(法人税法施行令68条1項2号ロ)。目安は、期末の1株当たり純資産が取得時よりおおむね50%以上下がることなどで(法人税基本通達9-1-9)、あわせて回復の見込みがないことも要ります(同9-1-11)。決算で損金経理をすることも要件です(法人税法33条2項)。増資の直後は、債務超過が続いていても原則として評価損の事実はないとされます(同通達9-1-12)。国内の100%子会社が清算中や、解散などの見込みがあるときは対象外です(法人税法33条5項)。詳しくは非上場株式の評価損は損金になる? 子会社株式の50%基準と否認された裁決で解説しています。
Q379. 「優良な電子帳簿」にすると、会社にどんなメリットがありますか?
要件を満たす電子帳簿で、あらかじめ届出書を出しておくと、その帳簿に記録された事項に関して申告漏れがあったときの過少申告加算税が5%軽減されます(電子帳簿保存法8条4項)。ただし、隠蔽・仮装があるときは軽減されません。仕訳帳・総勘定元帳だけでなく、作成している対象の補助簿もすべて要件を満たす必要があります。事業年度の初日から要件を満たしていれば、届出書は法定申告期限までに出せば足ります(一問一答 問43)。詳しくは優良な電子帳簿とは? 過少申告加算税が5%軽減される要件と届出書で解説しています。
Q380. 会社で中古の事務所を土地ごと買いました。売主に払った固定資産税の精算金は、経費にできますか?
租税公課として損金にすることは、公表裁決で認められていません。買主はその年の1月1日の所有者ではなく、固定資産税の納税義務者ではないためです。精算金は購入の代価として、土地と建物の取得価額に含めます(平成25年8月30日裁決など)。一括で買った代金は、契約書で建物の金額が明らかなら通常はその額によります。なければ固定資産税評価額の比などで分けます。建物の分は減価償却で費用になり、土地の分は費用になりません。詳しくは法人が土地と建物を一括で買ったときの取得価額 分け方と固定資産税の精算金で解説しています。
Q381. 社長からの借入金を、免除やDES(資本への振替)で減らすと、会社に税金はかかりますか?
債務免除を受けると、免除された額は債務免除益として会社の益金になります(法人税法22条2項)。その期の損金や繰越欠損金と差し引いても残る部分に、法人税がかかります。中小法人等でない場合、欠損金の控除は原則として所得の50%までです(法人税法57条1項・11項)。DESでは、資本金等の額が額面ではなく債権の時価で増えます(法人税法施行令8条1項1号)。国税庁は、額面と時価との差額が債務の消滅益になると説明しています。資本金等の額が増えると、法人住民税の均等割の区分が上がることもあります。同族会社でご家族が株主なら、株価の上昇分が社長からの贈与とみなされることがあります(相続税法基本通達9-2)。詳しくは役員借入金の債務免除とDES 社長からの借入金を減らすときの税金で解説しています。
Q382. 税務調査で売上の「期ズレ」を指摘されました。翌期に計上済みでも、修正申告は必要ですか?
必要です。売上は原則として、引渡しや役務の提供の日の期に計上します(法人税法22条の2第1項)。当期は修正申告などで直し、延滞税がかかります。調査の指摘を受けた後なら過少申告加算税も対象です。申告済みの翌期は、翌期の法定申告期限から5年以内であれば、更正の請求で減額を求めます(国税通則法23条1項)。国税庁の事務運営指針は、売上の繰延べが翌事業年度の収益に計上されていると確認された場合などを、帳簿書類の虚偽記載等に当たらないとしています。ただし、相手方との通謀や証ひょう書類の破棄・隠匿・改ざんによるもの等は除かれます。詳しくは期ズレを税務調査で指摘されたら 当期の修正と翌期の減額、重加算税の分かれ目で解説しています。
Q383. 会社で商標登録をしました。商標権は何年で償却しますか?
商標権は10年の定額法で償却します(耐用年数省令別表第三、法人税法施行令48条の2)。取得価額の全額まで償却できます(同令61条1項2号)。特許権は8年、実用新案権は5年、意匠権は7年です。工業所有権は、取得の日から事業に使ったものとして償却を始めます(法人税基本通達7-1-6)。登録のための費用は、取得価額に入れないこともできます(同通達7-3-3の2)。青色申告の中小企業者等は、令和8年4月1日以後の取得なら、40万円未満の少額減価償却資産の特例の対象になります(事業年度ごとに合計300万円まで)。詳しくは商標権の償却と特許権の耐用年数 商標登録の費用は取得価額か損金かで解説しています。
Q384. 仕入れた商品の運賃や関税は、期末の在庫の金額に含めますか?
含めます。購入した棚卸資産の取得価額は、購入代価に引取運賃・荷役費・運送保険料・購入手数料・関税などの付随費用を加えた額です(法人税法施行令32条1項1号)。関税のうち延滞税・加算税などの附帯税は除きます。一方、検収・選別などの費用や販売所等の間の移管の運賃などは、合計が購入代価のおおむね3%以内なら含めないことができます(法人税基本通達5-1-1)。不動産取得税・登録免許税・借入金の利子なども、含めないことができます(同通達5-1-1の2)。詳しくは棚卸資産の取得価額に含める付随費用 運賃・関税と含めなくてよい費用で解説しています。
Q385. 社用車の事故で、相手方から損害賠償金を受け取りました。いつの期の益金になりますか?
他の者から受ける損害賠償金は、原則として支払を受けるべきことが確定した日の属する期の益金です。実際に受け取った日の属する期の益金にしている場合も認められます(法人税基本通達2-1-43)。損害に係る損失は、保険金や共済金で補塡される部分を除き、損害が発生した期の損金にできます(同通達の注)。社員や役員から受ける賠償金は、受け取った期の益金にする扱いの対象外とした裁決があります。消費税は原則として対価に当たらず不課税ですが、実質が対価なら課税です(消費税法基本通達5-2-5)。詳しくは会社が受け取る損害賠償金はいつ益金? 示談金の計上時期と事故の仕訳・消費税で解説しています。
Q386. お店で自社ポイントを付けています。ポイント引当金を計上すれば、法人税の損金になりますか?
なりません。償却費以外の費用は、期末までに債務が確定したものに限られます(法人税法22条3項2号)。国税庁の趣旨説明も、ポイント引当金の繰入額は損金不算入と考えられるとしています。一方、法人税基本通達2-1-1の7の4つの要件をすべて満たし、継続して適用する場合は、ポイント分を売上から分けて前受けにできます。会計でもポイント分を分けていることが前提です。前受けにした未使用分は、付与の日から10年が経過した日の属する事業年度の終わりなどに益金にします(同通達2-1-39の3)。詳しくは自社ポイントの法人税と売上計上 前受けにできる4要件と引当金の扱いで解説しています。
Q387. オペレーティングリースに出資すると、法人税は減りますか?
組合の損失が損金になった期は、その分だけ所得が減ります。ただし、出口で売却益などが分配されると、その期の所得が増えます。課税の時期がずれる仕組みで、税金が消えるわけではありません。匿名組合の損益は組合の計算期間の末日を含む事業年度に計上し(法人税基本通達14-1-3)、一定の要件に当たると損失の取り込みに上限があります(租税特別措置法67条の12)。詳しくはオペレーティングリースは法人の節税になる? 損失計上の仕組みと出口で戻る利益で解説しています。
Q388. 役員退職金を払った期に会社が赤字になりました。その赤字は使えますか?
赤字は欠損金額として残ります。青色申告の年の欠損金額は、翌期以降10年の所得から差し引けます(法人税法57条・58条)。その後も毎期申告し、帳簿を保存していることが要件です。中小企業者等は、要件を満たせば前期の法人税の繰戻し還付も受けられます(法人税法80条)。要件には、前期から続けて青色申告であることや、欠損の期の確定申告書と同時に請求することがあります。退職金のうち不相当に高額な部分は損金にならず、欠損金額も小さくなります。詳しくは役員退職金で赤字になった期の欠損金 繰越控除・繰戻し還付と支給時期で解説しています。
Q389. 決算の直前に法人保険へ年払いで加入すれば、1年分の保険料はその期の損金になりますか?
すべてとは限りません。原則として一定期間、保険料の一部を資産に計上する保険があります(法人税基本通達9-3-5の2)。保険期間3年以上で最高解約返戻率50%超の定期保険・第三分野保険です。損金の部分も、1年以内の分を毎期続けて処理する場合に限って、払った期の損金にできます(法人税基本通達2-2-14)。加入した期だけ年払いにすると、継続を欠くおそれがあります。養老保険などは扱いが異なります。詳しくは決算前に法人保険へ年払いで入ると損金は? 資産計上と短期前払費用の判定の順番で解説しています。
Q390. 社長の携帯電話の料金を会社で払っています。私用の分も会社の損金になりますか?
業務に使った分は会社の費用です。私用の分を会社が負担すると、原則として社長への役員給与(経済的な利益)になります。役員給与になる部分は、毎月おおむね一定であれば定期同額給与として損金になり、そうでなければ損金になりません(法人税法34条1項1号・同法施行令69条1項2号)。どちらの場合も社長には所得税がかかり、会社は源泉徴収が必要です。家族の回線や機種代の負担にも注意が要ります。詳しくは社長の携帯・通信費を会社で払うと損金? 私用分が役員給与になる場合と分け方で解説しています。
Q391. 取引先に食品のお歳暮を贈りました。1人1万円以下の飲食費として扱えますか?
扱えません。取引先へのお歳暮は、原則として交際費等です(租税特別措置法61条の4第6項)。歳暮のような飲食物の詰め合わせの贈答は「飲食等」に入らないとされ(措置法通達61の4(1)-15の2)、1人1万円以下の飲食費の除外も、接待飲食費の50%の枠も使えません。一方、社名入りのカレンダー・手帳などを贈るために通常要する費用は、交際費等から除かれます。詳しくはお歳暮・年末の贈答品は交際費? 取引先への品物と社名入りカレンダー・手帳の扱いで解説しています。
Q392. 会社のカードで貯まったポイントを、社長が家族旅行に使いました。税務上どうなりますか?
カードのポイントを名指しした国税庁の見解は確かめられませんでしたが、会社が社長の個人的な費用を負担した形になり、役員給与(経済的な利益)に当たると考えられます(法人税法34条4項・法人税基本通達9-2-9)。一回限りの私用は定期同額給与に当たらず、損金になりません。役員給与とされれば社長に所得税がかかり、会社は源泉徴収の義務を負います。詳しくは法人カードのポイント・マイルの扱い 社長が私用で使うと役員給与になるかで解説しています。
Q393. 期末日の直前に売れ残りの在庫を廃棄すると決めました。処分が翌月になっても、今期の損金にできますか?
在庫の廃棄損は、廃棄を終えて損失が生じた事業年度の損金です(法人税法22条3項3号)。期末日に残っている在庫は、期末の棚卸資産として評価します。そのため、処分が翌月なら廃棄損は翌期の損金です。在庫を残したまま値下がり分を損金にするには、原則として評価損の要件か低価法によります。詳しくは在庫の廃棄損はいつ損金になる? 廃棄の記録の残し方と評価損との違いで解説しています。
Q394. 会社が受け取った社長の死亡保険金に、500万円×法定相続人の数の非課税枠は使えますか?
使えません。この枠は相続人が取得した保険金の枠で、会社が受け取る保険金は会社の益金です。保険金を家族に渡す形の一つが死亡退職金で、家族が受け取る死亡退職金には同じ算式の別の枠があります。対象は死亡後3年以内に支給が確定した分で、相続人が受け取るものです(相続税法12条1項7号)。詳しくは社長の生命保険は会社で入るか個人で入るか 保険料と受け取るときの税金の違いで解説しています。
Q395. 非常勤の妻にも、役員退職金を払えますか?
非常勤の家族の役員にも退職金は払えます。ただし、本当に退職したかと金額が相当かが問われます。辞任後も実印の管理や融資の交渉を続けた人の退職金が損金にならなかった例があり、相当な額を超える部分は損金になりません。詳しくは家族の役員に退職金は払える? 非常勤の妻でも損金になる条件と否認された例で解説しています。
Q396. 役員退職金の原資は、どう準備しますか?
内部留保・法人の保険・経営セーフティ共済・小規模企業共済を、誰のお金かといつ税金がかかるかで比べます。小規模企業共済は社長個人のお金で、会社の原資にはなりません。保険や経営セーフティ共済を退職金の前の期に解約すると、その期の税金が増えることがあります。詳しくは役員退職金の原資はどう準備する? 内部留保・保険・共済の違いと失敗例で解説しています。
Q397. 社長や役員だけを対象にした人間ドックの費用は、会社の経費になりますか?
役員だけを対象にする形は、給与とされるおそれがあります。役員の給与とされると、その分は原則として損金になりません。希望者全員が受けられ、受けた全員の費用を会社が払う、一般的な人間ドック程度の形なら、給与にしない扱いです。詳しくは人間ドック代は会社の経費になる? 福利厚生費の条件と役員だけの落とし穴で解説しています。

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