税務調査

税務調査が来たらどうする?
最初にやるべき5つのこと

小松優馬

小松 優馬

公認会計士(登録番号43196)・税理士(登録番号151214)

監査法人での上場企業監査・上場準備CFO経験を経て独立。港区浜松町で個人・法人の税務をサポート。YouTubeチャンネル「公認会計士・税理士 小松ゆうま」運営。

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この記事のポイント

  • 調査の前には「事前通知」があります(国税通則法74条の9)。11項目が知らされます
  • 出張や繁忙期など理由があれば日程変更を申し入れられます
  • 隠蔽仮装と認定されると重加算税35%(無申告なら40%)という重いペナルティです
  • 通知が来たら早めに税理士へ相談し、帳簿・領収書を整理します

まず結論:慌てなくて大丈夫。調査は「事前通知」から始まります

税務調査の多くは、ある日突然始まるわけではありません。始まる前に税務署から「事前通知」という連絡があります(国税通則法74条の9)。平成25年施行の改正国税通則法で、法律上の義務になりました。

通知は原則、税務署から電話で行われます。税務代理権限証書(代理を頼んでいる証明の書類)を出していれば税理士に連絡が入ります(同法74条の9第5項)。

調査当日の応接室
準備の有無で調査の結果は変わります

事前通知の11項目と通知方法

国税通則法74条の9第1項は、次の11項目を通知事項と定めています。

  1. 調査開始日時
  2. 調査開始場所
  3. 調査の目的
  4. 調査対象税目
  5. 調査対象期間
  6. 調査対象帳簿書類その他の物件
  7. 調査担当職員の氏名・所属官署
  8. 開始日時・場所の変更を求める場合の手続き
  9. 非違が疑われる場合の調査範囲拡大の可能性
  10. 納税義務者の氏名・住所
  11. 税務代理人がある場合はその氏名・住所

ポイント

通知を受けたら「対象税目」「対象期間」「対象帳簿書類」を必ず確認してください。範囲を広げるには合理的な理由が必要です。当事務所では内容を整理し、調査当日に臨みます。

調査の種類(任意調査と強制調査)

種類 根拠法令 特徴
任意調査 国税通則法74条の2〜74条の6 事前通知あり、納税者の協力を前提とする質問検査権
強制調査(マルサ) 国税犯則取締法(現在は国税通則法第11章) 裁判官の許可状に基づく臨検・捜索・差押え。重大な不正の嫌疑が前提
無予告調査 国税通則法74条の10 違法行為の発見・帳簿改ざんのおそれ等の合理的な理由がある場合

中小企業や個人事業者の調査は、ほとんどが任意調査です。「強制調査」は悪質性が高い場合に限られます。

隠蔽仮装と認定されると重加算税35%・40%

税務署からの封筒
税務署からの封筒

単なる申告もれと、意図的な所得隠しではペナルティの重さがまったく違います。「隠蔽仮装(いんぺいかそう)」とは事実を隠したり偽ったりすることです。国税通則法68条1項は、隠蔽仮装があれば35%、無申告なら40%の重加算税を課すと定めています。

事案 加算税率 根拠
過少申告(自主修正・調査前) 0% 通則法65条5項
過少申告(調査の事前通知後・調査前) 5%(50万円超部分10%) 通則法65条1項
過少申告(調査による更正) 10%(50万円超部分15%) 通則法65条1項・2項
隠蔽仮装による過少申告 35% 通則法68条1項
隠蔽仮装による無申告 40% 通則法68条2項

参考になる判例:隠蔽仮装の認定

最高裁平成7年4月28日判決(民集49巻4号1193頁)は、重加算税の要件を「故意に納税義務を免れる目的で仮装隠蔽し、それを原因として過少申告をしたこと」としました。記帳ミスや解釈の違いでは重加算税はかかりません。二重帳簿・架空仕入・売上除外は典型的な隠蔽仮装です。

注意

「社長が税理士の知らないところで二重帳簿を作っていた」場合でも、認定されれば会社に重加算税がかかります。経営者個人と会社のお金の境界、家事費の混入、現金売上の管理は重点的に確認されます。

事前準備で書類を整理
慌てず記録と資料をそろえるのが第一歩です

事前通知から調査終了までの流れ(手順7ステップ)

  1. 事前通知の受領(電話)― 11項目を確認、必要なら日程変更を申入れ
  2. 税理士への即時連絡 ― 代理権限証書の確認と方針協議
  3. 事前準備 ― 対象期間の帳簿・証憑・契約書・通帳等を整理
  4. 想定問答の検討 ― 論点を税理士と整理
  5. 実地調査(通常2〜3日) ― 事実に基づき正確に回答。曖昧な点は「確認します」で可
  6. 調査結果の説明 ― 修正点の説明。見解が違えば反論します
  7. 修正申告 or 更正処分 ― 納得できれば修正申告、できなければ更正処分を受け不服申立てへ

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よくある質問(FAQ)

Q1. 事前通知の日程は変更してもらえますか?

A. 出張や繁忙期など合理的な理由があれば可能です(国税通則法74条の9第2項)。

Q2. 税務調査は何年分が対象ですか?

A. 通常は3年分です。不正の疑いは5年分、偽りその他不正の行為は7年分さかのぼります(国税通則法70条1項・5項)。

Q3. 顧問税理士がいない場合でも調査に立ち会ってもらえますか?

A. はい、スポットでの立会いも可能です。できるだけ早くご相談ください。

免責事項

本記事は2026年5月時点の情報に基づいて作成しています。税法は頻繁に改正され、また個別事案により取扱いが異なるため、具体的な事案については税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。

参考資料・判例出典

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小松 優馬

公認会計士・税理士/元監査法人

大手監査法人にて上場企業の監査業務に従事。税務の専門性を高めるため独立。お客様の人生設計を支える税務パートナーとして活動中。YouTubeチャンネル「税理士 小松ゆうま」では税務情報を発信中(登録者6,500人超)。

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