不動産譲渡所得

単身赴任中のマイホーム売却
3,000万円控除が使える人・使えない人

この記事の答え

  • 転勤などで単身赴任中でも、配偶者や子どもが住む家なら3,000万円控除を使える場合があります。
  • 赴任が終わればその家で暮らすと認められる人が対象です。違う人も、売る期限内なら使える場合があります。
  • 5年を超えて持っていた家で利益2,000万円なら、税額の差は約406万円です(目安)。
小松優馬

小松 優馬

公認会計士(登録番号43196)・税理士(登録番号151214)

監査法人での上場企業監査・上場準備CFO経験を経て独立。港区浜松町で個人・法人の税務をサポート。YouTubeチャンネル「公認会計士・税理士 小松ゆうま」運営。

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自分が住んでいない家でも、3,000万円控除は使えますか

単身赴任中で自分は住んでいない家でも、特例の対象になる場合があります
本人が住んでいない家でも、特例の対象になる場合があります

単身赴任中で自分が住んでいなくても、配偶者や子どもが住む家なら、使える場合があります。3,000万円控除は、マイホームを売った利益から最高3,000万円を差し引ける特例です。

この特例は、原則として、持ち主本人が今住んでいる家を売るときに使います。ただし国税庁は、次の2つに当てはまれば、本人が住んでいなくても使えると説明しています。

  • 本人が、転勤や転地療養(療養のための転居)などの事情で、配偶者や子どもと離れて単身で暮らしている
  • その事情がなくなれば、配偶者や子どもが住むその家で、一緒に暮らすと認められる

ここでいう配偶者や子どもは、本人と同居するのが通常の人です。以下では「家族」と呼びます。

図1 あなたは使える? 30秒チェック
質問1 家族は、売るときもその家に住んでいますか?
はい質問2へ進みます
いいえ期限内に売れば使える場合があります(図3)
質問2 本人が単身で家を離れた理由は、転勤や転地療養などの事情ですか?
はい質問3へ進みます
いいえ期限内に売れば使える場合があります(図3)
質問3 事情がなくなれば、その家で家族と暮らすと認められますか?
はい使える場合があります
いいえ期限内に売れば使える場合があります(図3)

質問3が「はい」でも、赴任先にも自分の家がある人は、主として住まいに使っていた1軒だけが対象です。本人が持ち主として住んだことのない家は、対象になりません。売ると決めた後の質問3の判定は、個別の判断です。

このほかの条件もあります。全体の条件は、3,000万円控除の基本の記事で確かめてください。

特例を使えるかどうかで、税金はいくら違いますか

売主が買主に家の鍵を手渡す場面
特例を使えるかどうかで、税額が大きく変わることがあります

5年を超えて持っていた家で利益が2,000万円なら、税額の差は約406万円です。会社員のAさんの例で、目安を見てみます。

Aさんは、転勤で単身赴任中に、妻と子どもが住む自宅を売りました。Aさんが家と土地を持っていた期間は、売った年の1月1日で5年を超えています。

Aさんの売却の利益は2,000万円です。利益とは、売った金額から、買ったときの代金などと売るための費用を引いた金額です。

図2 特例の有無で変わるAさんの税額(利益2,000万円)
所得税など住民税
使える
0円
使えない
4,063,000円

利益2,000万円に税率20.315%(所得税など15.315%、住民税5%)を掛けた、一定の前提を置いた目安です。ほかの特例や所得控除は考えていません。

Aさんが特例を使えるときは、利益の全部を差し引けるので、この利益にかかる税金は0円です。

注意

税金が0円になる人も、書類を添えて確定申告をしなければ、この特例は使えません。

「自分は住んでいないから」と特例を書かずに申告すると、図2の差がそのまま負担になります。

条件に当たらない人や、赴任先にも家がある人はどうなりますか

夕暮れの街を望むベランダの椅子とカップ
赴任先の住まいも確かめます

家族も引っ越した人や図1の質問2・3が「いいえ」の人には、売る期限があります。赴任先にも家がある人は、対象が1軒になります。

図3 使える場合と、使えない場合の例

使える場合がある

  • 家族も引っ越した人、図1の質問2・3が「いいえ」の人:本人が住まなくなった日から3年を経過する日が入る年の12月31日までに売る
  • その期限を過ぎた人:生計を一にする親族が住み続け、本人の今の住まいは本人の持ち家でない(国税庁の通達の取扱い)

使えない

  • 売る期限を過ぎ、親族の扱いにも当たらない
  • 赴任先にも自分の家がある:主な住まいでないほうの家を売る
  • 親子や夫婦など、特別の関係がある人に売る
  • 前年か前々年に同じ特例などを受けた

質問2・3が「いいえ」の人も、本人が住まなくなった日から同じ期限までに売れば、使える場合があります。家族が住み続けていても、同じ期限です。たとえば、本人が令和5年4月に住まなくなった場合の期限は、令和8年12月31日です。

家族も引っ越した人も、この期限を確かめます。本人が先に出た人は、家族が出るまで質問2・3が「はい」なら、家族が出た日から数える場合があります。

その期限を過ぎた人は、別の扱いを確かめます。本人が持ち主として住んだ家に、生計を一にする親族(生活費を共にする親族)が住み続けている場合です。これは法律でなく、国税庁の通達の取扱いです。親族が住まなくなった日などから1年を過ぎる前に売ること、決められた書類を添えることなども条件です。

赴任先にも自分の家がある人は、好きなほうを選べず、主として住まいに使っていた1軒だけが対象です。質問2・3が「いいえ」の人の元の家が主な住まいかどうかは、本人が住まなくなった時の状況で判定します。

どんな失敗がありますか

住宅街の郵便受けに届いた封筒
郵便物の配達の有無など、暮らしの実態も判断の材料になることがあります

自分の住まいに当たるかどうかは、住民票の住所だけでは決まりません。国税庁は、本人と家族の暮らしぶり、入居の目的、家の設備などを総合して判定するとしています。

失敗の例

  • 平日に泊まったと主張したマンションの例。ある人は、平日はマンションに泊まっていたと主張しました。しかし、週末は家族のいる家で過ごし、電気・ガス・水道の使用はごくわずかでした。国税不服審判所は、暮らしの中心は家族のいる家だと判断しました。マンションの売却に特例は認められませんでした(平成5年の判断)。
  • 貸していた家へ本人だけ移ったと主張した例。ある人は、転勤中に家を勤務先の社宅として貸しました。本社に戻った後、本人だけがその家へ移ったと主張しました。しかし、週に4〜5日は家族のいる社宅で過ごしていました。審判所は、その家を暮らしの中心とは認めませんでした(昭和56年の判断)。

どこまで自分で確かめられますか

税理士が夫婦に資料を見せて説明している場面
赴任の経緯と家族の暮らしを整理して、条件を確かめます

事実を書き出すところまでは、ご自身でできます。次の4つを、売買契約の前に整理してください。

  • 家を離れた日と、その理由(赴任の辞令など)
  • 家族がその家に住み続けた期間
  • 赴任先などに、ほかの自分の家があるか
  • 売買契約日の前日の、住民票の住所

次の3つは、個別の判断が必要です。

  • その家で一緒に暮らすと認められるか
  • 2軒のどちらが主な住まいか
  • いつを「住まなくなった日」とするか

新しい家で住宅ローン控除を使う予定の人は、併用の制限も確かめてください。

税理士が入ると変わること

小松公認会計士・税理士事務所では、赴任の辞令や家族の暮らしの資料から、条件に当たるかを確かめます。特例を使える場合と使えない場合の税額を並べて試算します。確定申告に添える書類をご案内し、申告書を作成して提出します。

売買契約の前にご相談いただくと、売る時期と期限の関係まで確かめられます。

単身赴任中のマイホーム売却について小松公認会計士・税理士事務所ができること

制度は複雑ですが、お客様がすべてを理解する必要はありません。難しいことは、専門家にお任せください。

小松公認会計士・税理士事務所 代表 小松優馬 登録者6,900人超

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よくある質問(FAQ)

Q1. 単身赴任が何年も続いていても、3,000万円控除は使えますか?

使える場合があります。国税庁の案内や通達に、赴任の年数の上限は書かれていません。事情がなくなれば、その家で配偶者や子どもと暮らすと認められるかで判断します。

Q2. 住民票を赴任先に移していても使えますか?

使える場合があります。住民票だけでは決まらず、暮らしの実態などから判定します。売買契約日の前日の住民票の住所が売る家と違う場合などは、戸籍の附票の写し(住所の履歴の記録)なども添えます。くわしくは住民票の記事へ。

Q3. 赴任先の家と、配偶者や子どもが住む家を両方売ると、3,000万円ずつ引けますか?

引けません。2つ以上のマイホームを持っているときは、主として住まいに使っていた家だけが対象です。控除額も、同じ年の売却を合わせて3,000万円が限度です。夫婦の共有名義の家は、共有者ごとに判定し、控除は1人につき最高3,000万円です。

Q4. 海外赴任で日本に住所がなくなった場合も同じですか?

使える場合があります。ただし、国内の単身赴任とは別の確認も必要です。たとえば、買主が代金から10.21%を源泉徴収する場合があります。くわしくは海外在住のまま売却した場合の記事をご覧ください。

免責事項

本記事は令和8年11月時点の法令・国税庁の公表資料に基づく一般的な解説です。単身赴任中の家を売ったときに3,000万円控除を使えるかどうかの主な点を扱っており、特例の要件の全部を説明したものではありません。海外へ転勤して非居住者となった場合、家屋を取り壊して土地だけを売る場合、家屋と土地の所有者が異なる場合などは、別の確認が必要です。本記事の計算例は、一定の前提を置いた目安であり、個別の税額を計算したものではありません。具体的な判断は税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。

参考資料・出典

単身赴任中の家を売る前にご相談ください

単身赴任中のマイホームは、赴任の事情、家族の暮らし、ほかの家の有無で、特例を使えるかが変わります。売買契約の前にご相談いただければ、使える場合と使えない場合の税額を並べてご説明します。代表税理士が直接ご対応します。

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小松 優馬

公認会計士・税理士/元監査法人

大手監査法人にて上場企業の監査業務に従事。税務の専門性を高めるため独立。判例ベースの適正申告・節税にこだわり、お客様の人生設計を支える税務パートナーとして活動中。YouTubeチャンネル「税理士 小松ゆうま」では税務情報を発信中(登録者7,000人超)。

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