この記事のポイント
- 商工会議所等の経営指導を原則6か月以上受けていることが入口です
- 無担保・無保証人で、信用保証協会の保証も要りません
- 融資限度額は2,000万円、返済期間は10年以内(据置2年以内)です
- 税金の未申告・滞納があると、要件そのものを満たしません
まず結論:マル経融資は「商工会議所の推薦」で借りる公庫の融資です
マル経融資とは、商工会議所等の推薦を受けて日本政策金融公庫から借りる融資です。
正式名称は「小規模事業者経営改善資金」といいます。
最大の特徴は、無担保・無保証人で借りられることです。
信用保証協会の保証も不要とされています。
日本商工会議所によれば、この制度が創設されたのは昭和48年です。
お金を貸すのは公庫で、推薦をするのが商工会議所等という役割分担です。
保証協会を使う融資との違いは信用保証協会の保証付融資をご覧ください。

利用できるのは、5つの要件をすべて満たす方です
公庫は、マル経融資の要件を5つに整理して公表しています。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 規模 | 常時使用する従業員が、商業・サービス業(宿泊業及び娯楽業を除く)は5人以下、製造業その他は20人以下 |
| 指導 | 原則6か月以上、商工会・商工会議所等の経営改善普及事業に基づく経営指導を受けていること |
| 居住 | 最近1年以上、商工会・商工会議所等の地区内で事業を行っていること |
| 納税 | 所得税、法人税、事業税、都道府県民税や市町村民税(均等割を含む)を原則としてすべて完納していること |
| 業種 | 商工業者であり、公庫(国民生活事業)の非対象業種等でないこと |
「今すぐ借りたい」と思った時点から始めると、指導の6か月が足りません。
資金が必要になる前から相談しておくことが、この制度では意味を持ちます。
注意
納税の要件は「原則としてすべて完納」です。申告そのものをしていない期がある場合や、税金を滞納している場合は、要件を満たしません。融資の審査以前の問題として、先に解消しておく必要があります。
かかる費用は利息だけです ― 信用保証料は不要です
マル経融資は無担保・無保証人で、保証協会の保証も不要です。
つまり、保証付融資でかかる信用保証料が発生しません。
この差がどのくらいかを、保証付融資の算式で確かめます。
計算例
保証付融資なら発生する信用保証料(東京信用保証協会の算式による設例)
貸付1,000万円・料率年1.15%・保証期間60か月・分割係数0.55 10,000,000円 × 1.15% × 60/12 × 0.55 = 316,250円 保証期間が120か月なら、同じ算式で632,500円マル経融資では、この保証料がかかりません。料率は一定の前提を置いた設例です。
利率は「特別利率F」が適用されます。
日本商工会議所は、令和8年9月1日現在の特別利率Fを年2.90パーセントと示しています。
金利は改定されるため、申込みの時点で必ず最新の利率をご確認ください。
支払った利息と保証料の決算での扱いは融資を受けた後の税務で扱っています。

限度額2,000万円・返済10年以内(据置2年以内)です
融資条件は公庫のページで公表されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 資金使途 | 経営改善のために必要な資金 |
| 融資限度額 | 2,000万円 |
| 返済期間 | 10年以内(うち据置期間2年以内) |
| 利率 | 特別利率F |
| 担保・保証人 | 無担保・無保証人(保証協会の保証も不要) |
据置期間は「返さなくてよい期間」ではなく、元金の返済を先に延ばす期間です。
据置の間も利息は発生し、据置が明けると元金の返済月額は重くなります。
ポイント
2,000万円を10年・据置2年で借りると、元金の返済は残り96回に集約されます。単純に割ると月およそ20万8,000円です。据置を使わず120回で返すなら月およそ16万6,000円で、据置は月々の負担を後ろに寄せる選択だと分かります。
返済の組み方は据置期間と返済計画で詳しく扱っています。
他の融資制度との違い
創業や運転資金の調達では、いくつかの選択肢が並びます。
| 比較点 | マル経融資 | 信用保証協会の保証付融資 |
|---|---|---|
| お金を貸す人 | 日本政策金融公庫(国民生活事業) | 金融機関(協会が保証) |
| 推薦・保証 | 商工会議所等の長の推薦 | 信用保証協会の保証 |
| かかる費用 | 利息のみ | 利息+信用保証料 |
| 担保・保証人 | 無担保・無保証人 | 制度・審査による |
| 限度額 | 2,000万円 | 一般枠 2億8,000万円 |
| 入口の条件 | 原則6か月以上の経営指導 | 金融機関・協会・自治体等への申込み |
限度額だけを見ればマル経融資は小さく、費用だけを見れば有利です。
どちらか一方に絞るのではなく、必要額と時期から逆算して選びます。
創業時の入口の整理は創業融資の全体像をご覧ください。
申込みの流れ ― 推薦の前に商工会議所の審査があります
日本商工会議所は、申込みの流れを次のように示しています。
- 6か月以上の経営指導を受ける
- 商工会議所にマル経融資の推薦を依頼する
- 商工会議所で調査・審査・認証を受け、公庫へ推薦される
- 公庫の審査を経て融資が決定する
- 融資が実行される
審査は商工会議所と公庫の二段階で、推薦されても公庫の審査があります。
日本商工会議所は、全国516か所の商工会議所で相談できるとしています。

進まなくなる典型は、この4つです
実務で止まるのは、制度の入口の条件を満たしていない場合です。
- 指導期間が足りない ― 資金が必要になってから相談を始めた
- 税金の未申告・滞納がある ― 納税の要件を満たさない
- 地区内での事業年数が1年未満 ― 移転直後や創業直後は対象外になる
- 数字を説明できない ― 試算表がなく、直近の業況を示せない
とくに多いのは、決算から半年以上たっているのに試算表がないケースです。
経営指導も推薦も、直近の数字がなければ進みません。
もうひとつ見落とされやすいのが、従業員数の数え方です。
要件は「常時使用する従業員」の数で判定します。
業種の区分によって、5人以下か20人以下かが分かれます。
宿泊業と娯楽業は商業・サービス業から除かれ、20人以下の側で判定します。
複数の事業を営んでいる場合は、どの業種で判定するかを商工会議所に確認します。
補足
マル経融資は「経営改善のために必要な資金」が資金使途です。設備資金として申し込む場合は、見積書など金額の根拠を求められます。資金使途の考え方は融資の資金使途をご覧ください。
ここまではご自身で、ここから先は個別判断です
ご自身で進められるのは、次の4点です。
- 事業所の所在地を管轄する商工会議所・商工会を調べる
- 経営指導の申込みをして、指導の記録を積み上げ始める
- 確定申告書(決算書)の直近2期分をそろえる
- 税金の未申告・滞納がないかを確認し、あれば納付の見通しを立てる
ここから先は個別判断です。
いくら借りるか、据置を何か月とるかで、月々の返済額は大きく変わります。
マル経融資だけで足りるのか、他の制度と組み合わせるのかも判断が要ります。
融資を受けられるかどうかは、最終的に公庫の審査で決まります。
税理士が入ると変わるのは、数字と資料の整え方です
ひとつめは、直近の試算表の作成です。決算後の業況を数字で示せる状態にします。
ふたつめは、資金繰り表です。いつ資金が不足するかを月ごとに並べます。
みっつめは、返済原資の裏づけです。返済額が利益とどう見合うかを試算します。
よっつめは、決算書の説明資料です。一時的な赤字や特殊要因を補足します。
いつつめは、未申告・滞納の解消です。申告と納税の順序を整理して進めます。
決算書の見え方そのものを整えることも、税理士の仕事です。
どこが見られるかは融資を受けるための決算書の見え方で扱っています。
小松公認会計士・税理士事務所では、試算表の作成から融資後の記帳・申告まで続けて担当します。
この論点で小松公認会計士・税理士事務所ができること
制度は複雑ですが、お客様がすべてを理解する必要はありません。難しいことは、専門家にお任せください。
登録者6,900人超
小松公認会計士・税理士事務所 代表
小松 優馬公認会計士・税理士
- お話を伺って、「あなたの場合はどうなるか」をはっきりお答えします
- 必要な書類のご案内から申告まで、まるごとお任せいただけます
- 料金は先にお見積り。全国どこでも、オンラインで完結できます
YouTube「税理士 小松ゆうまチャンネル」(登録者6,900人超)で、税金の話を分かりやすく解説しています。動画を見てみる
初回相談は無料です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 経営指導を受けた実績がありません。すぐに申し込めますか?
公庫は要件のひとつとして「原則6か月以上、商工会・商工会議所等の経営改善普及事業に基づく経営指導を受けている者」を挙げています。資金が必要になってから相談を始めると、指導期間が足りません。早めに商工会議所等へ相談することをおすすめします。
Q2. 担保も保証人も本当に不要ですか?
公庫は「無担保・無保証人(保証協会の保証も不要)」と示しています。信用保証料もかかりません。ただし、担保や保証人が不要であることと、審査に通ることは別です。融資の可否は公庫の審査で判断されます。
Q3. 赤字決算でも申し込めますか?
マル経融資の要件に「黒字であること」は含まれていません。ただし要件には税金の完納が含まれます。赤字の原因と今後の見通しを、試算表や資金繰り表で説明できるかどうかが実務上の分かれ目です。審査の結果、希望に添えない場合もあります。
Q4. 限度額の2,000万円まで借りられますか?
2,000万円は限度額であり、必ずその額まで借りられるという意味ではありません。資金使途と返済原資に見合う金額が、審査を通じて決まります。返済期間は10年以内(うち据置期間2年以内)です。
免責事項
本記事は令和8年9月時点の公表資料に基づく一般的な解説です。日本政策金融公庫「マル経融資(小規模事業者経営改善資金)」および同「小規模事業者経営改善資金(マル経融資)制度概要」、日本商工会議所「マル経融資」、東京信用保証協会「信用保証料の計算例」の内容を扱っています。特別利率Fの具体的な数値は日本商工会議所が示す令和8年9月1日現在の値であり、金利は改定されます。融資の可否、審査の基準や所要日数、商工会議所ごとの運用、公庫の非対象業種の具体的な範囲、他の融資制度との併用の可否、返済額の詳細なシミュレーション、借入金・支払利息の税務上の取扱いは扱っていません。記事中の計算例は制度の理解のための設例であり、一定の前提を置いた目安です。融資を受けられるかどうかは個別の審査で判断されるものであり、本記事は融資の可否を示すものではありません。具体的な判断は必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。
参考資料・出典
- 日本政策金融公庫「マル経融資(小規模事業者経営改善資金)」https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/kaizen_m.html
- 日本政策金融公庫「小規模事業者経営改善資金(マル経融資)制度概要」https://www.jfc.go.jp/n/finance/marukei/about/index.html
- 日本商工会議所「マル経融資」https://www.jcci.or.jp/support/financing/marukei/index.html
- 東京信用保証協会「信用保証料の計算例」https://www.cgc-tokyo.or.jp/business/guarantee_fee/calculation.html
マル経融資は、指導の6か月と直近の数字がそろって初めて動きます
マル経融資は、商工会議所等の経営指導を原則6か月以上受けていることが入口になります。そのうえで、直近の試算表と資金繰り表で業況と返済原資を説明できるかどうかが実務上の分かれ目です。税金の未申告や滞納があれば、申込み以前に解消しておく必要があります。代表税理士が試算表の作成と資金繰り表の組み立てから伺い、申込前の資料の整え方、他の制度と組み合わせる場合の順序、融資後の記帳・申告まで通して対応します。
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