この記事のポイント
- 保証付融資は事業者・金融機関・信用保証協会の三者で成り立つしくみです
- 費用は信用保証料だけ。手数料や入会金は一切かかりません
- 保証料は貸付金額×料率×保証期間÷12×分割係数で決まります
- 代位弁済されても借金は消えません。求償権として協会へ返済します
まず結論:保証付融資は「協会が保証人になる」しくみです
保証付融資とは、信用保証協会が保証人になって金融機関から借りる融資です。
信用保証協会は、信用保証協会法に基づいて設立された公的機関です。全国の47都道府県と4市にあります。
当事者は、事業者・金融機関・信用保証協会の三者です。
保証を利用するために必要な費用は、所定の「信用保証料」だけです。
都道府県や市区町村の制度融資も、多くはこの保証付融資を使います。
創業時の入口の整理は創業融資の全体像をご覧ください。

三者のしくみ ― 制度融資では自治体が加わります
保証付融資は三者のしくみで、自治体の制度融資はそこに自治体が加わります。
申込みのルートは2つあります。
ひとつは「金融機関経由保証」です。金融機関に借入を申し込み、金融機関が協会へ保証を依頼します。
もうひとつは「協会斡旋保証」で、協会・自治体・商工団体などの窓口へ直接申し込みます。
審査の過程では、訪問や面談を行う場合があります。
保証が承諾されると、協会から金融機関へ「信用保証書」が発行されます。
融資実行時には信用保証委託契約書を提出し、保証料も金融機関経由で支払います。
ポイント
東京都の制度融資は、東京都・東京信用保証協会・指定金融機関の三者協調で成り立つ制度です。都の制度融資を受けるには、東京信用保証協会の保証が必要です。
信用保証料は「貸付金額×料率×保証期間÷12×分割係数」です
保証料は、貸付金額・信用保証料率・保証期間・分割係数の4つで決まります。
分割係数とは、分割返済による返済の進捗を考慮した掛目です。
均等分割返済では、13回以上24回以下で0.60、25回以上で0.55です(東京信用保証協会の例)。
料率は経営状況に応じた9つの区分から適用され、全国共通の料率表はありません。
料率の区分は、決算内容の評価によって決まります(東京信用保証協会)。
計算例
例1:貸付1,200万円・年1.15%・保証期間24か月(東京信用保証協会の公式計算例)
満期一括返済=12,000,000円 × 1.15% × 24/12 = 276,000円 均等分割返済(分割係数0.60)=12,000,000円 × 1.15% × 24/12 × 0.60 = 165,600円例2:貸付1,000万円・年1.15%(仮置き)・均等分割25回以上(分割係数0.55)
保証期間60か月=10,000,000円 × 1.15% × 60/12 × 0.55 = 316,250円 保証期間120か月=同じ算式で632,500円例2は一定の前提を置いた目安です。他の条件が同じなら、保証期間が2倍で保証料も2倍になります。
東京都の制度融資の保証料率は公表されています(令和8年度)。
責任共有制度の対象で500万円以下なら、年0.27%〜1.19%です(東京都の例)。
保証料は、原則として保証付融資の実行時に支払います。
保証料をいつ費用にするかは融資を受けた後の税務で扱っています。

責任共有制度 ― 金融機関が2割を負担するしくみです
責任共有制度は、協会と金融機関が適切な責任共有を図るための制度です。
| 方式 | 保証のしかた | 金融機関の負担 |
|---|---|---|
| 部分保証方式 | 個別貸付金の80%を協会が保証(一部の保証を除く) | 残りを金融機関が負担 |
| 負担金方式 | 保証時点では100%保証 | 代位弁済状況に応じて協会へ負担金を支払う |
どちらの方式を採るかは、各金融機関が選択します。
80%・20%は協会と金融機関の間の分担で、事業者の返済義務が2割減るわけではありません。
責任共有制度は、原則としてすべての保証が対象です。
ただし創業関連保証(スタートアップ創出促進保証制度を含む)は対象外です。
経営安定関連保証(セーフティネット保証)1号〜4号と6号も対象外です。
災害関係保証と小口零細企業保証も対象外です。
補足
信用保証制度は、国が出資する日本政策金融公庫による信用保険制度と連結しています。代位弁済額の70〜90%が保険金として協会へ支払われます。これは協会と公庫の間の話で、事業者の返済義務には影響しません。
プロパー融資との違いと、日本政策金融公庫との関係
協会の保証が付かない融資を「プロパー融資」といいます。
公式に示されているのは、両者の併用によって融資枠の拡大を図れるという点です。
中小企業庁も、実態に応じて両者を適切に組み合わせるべきだとしています。
| 比較点 | プロパー融資 | 保証付融資 | 日本政策金融公庫 |
|---|---|---|---|
| お金を貸す人 | 金融機関 | 金融機関(協会が保証) | 公庫(国民生活事業) |
| かかる費用 | 利息 | 利息+信用保証料 | 利息 |
| 申込窓口 | 金融機関 | 金融機関・協会・自治体・商工団体など | 公庫の支店 |
| 限度額の例 | 金融機関の判断 | 一般枠 2億8,000万円 | 一般貸付 4,800万円 |
なお公庫は、協会の代位弁済を再保険する信用保険業務も担っています。

代位弁済されても、借金は消えません
代位弁済とは、返済できなくなったときに協会が金融機関へ貸付残額を支払うことです。
協会は代位弁済額を元本とする債権を持ち、これを「求償権」といいます。
たとえば借入1,000万円が全額残った状態で代位弁済されたとします。
部分保証方式なら、協会の代位弁済は800万円、金融機関の負担は200万円です。
その後、事業者が協会へ弁済するのは800万円です。
注意
東京信用保証協会の信用保証委託契約書には、求償権の範囲が定められています。代位弁済額に対し、弁済の日の翌日以後年14パーセントの割合による損害金を償還します。
つまずきの入口は「利用できない」と公表されている事項です
東京信用保証協会は「ご利用いただけない中小企業」を公式に列挙しています。
- 確定申告をしていない
- 税金を滞納し、完納の見通しが見込めない
- 保証付融資や金融機関固有の融資に延滞などの債務不履行がある
- 事業実態・資金使途・返済能力を判断する資料の提示がない
- 粉飾決算や融通手形操作を行っている
- 過去の代位弁済先で、協会に求償債務が残っている
農林・漁業、金融業(一部を除く)、学校法人、宗教法人などは対象外の業種です。
許認可が必要な事業は、その許認可を受けていることが必要です。
東京都の制度融資でも、租税の未申告・滞納がないことが条件とされています。
一方で、赤字だけを理由に保証を断ることはない、とも明記されています。
ただし審査の結果、希望に添えない場合があるとされています。
注意
手数料や賛助金を要求する、いわゆる金融斡旋屋の事例が発生しています。協会が受け取るのは所定の信用保証料だけで、手数料や入会金は一切ありません。

ここまではご自身で、ここから先は個別判断です
ご自身で進められるのは、次の4点です。
- 事業所の所在地を管轄する信用保証協会を確認する
- 確定申告書(決算書)の直近2期分をそろえる
- 税金の未申告・滞納がないかを確認し、あれば納付の見通しを立てる
- 自治体のホームページで、制度融資の有無と条件を調べる
ここから先は個別判断です。
借入額・返済回数・据置期間の組み方で、保証料も毎月の返済額も変わります。
東京信用保証協会では、料率と保証料の目安を事前に照会できます。
ただし事前に分かるのは目安であり、最終的な料率は保証決定の際に決まります。
保証を受けられるかどうかも、個別の審査で判断されます。
税理士が入ると変わるのは、数字の裏づけと資料の整え方です
ひとつめは、直近の試算表の作成です。決算後の状況を数字で示せる状態にします。
ふたつめは、計画数値の裏づけです。資金使途と返済原資を月ごとに並べ、返済が回るかを試算します。
みっつめは、決算書の説明資料です。一時的な損益や特殊要因を補足資料で説明します。
よっつめは、面談前の想定問答です。訪問や面談で聞かれる点を事前に整理します。
いつつめは、必要資料の指示です。確定申告書、商業登記簿謄本、印鑑証明書などを申込前にそろえます。
税金の未申告・滞納は、申込前に解消しておくべき最優先の項目です。
小松公認会計士・税理士事務所では、試算表の作成から融資後の記帳・申告まで続けて担当します。
この論点で小松公認会計士・税理士事務所ができること
制度は複雑ですが、お客様がすべてを理解する必要はありません。難しいことは、専門家にお任せください。
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よくある質問(FAQ)
Q1. 信用保証料のほかに費用はかかりますか?
全国信用保証協会連合会は「保証をご利用いただくために必要になるのは、この費用だけです」と示しています。保証料は融資実行時に金融機関経由で支払います。手数料や入会金を要求する第三者が介入する保証申込は取り扱われません。
Q2. 責任共有制度で80%保証なら、残りの2割は返さなくてよいのですか?
いいえ。80%と20%は協会と金融機関の間のリスク分担であり、事業者の返済義務は変わりません。代位弁済された後は、協会が立て替えた額が求償権となり、事業者が協会へ返済していきます。
Q3. 保証料は繰上返済すると戻ってきますか?
東京信用保証協会では、最終約定期限前に完済した場合、規定により一部を返戻することがあるとされています。ただし計算の結果が1,000円以下のものは対象外です。完済の報告が著しく遅延した場合等も返戻できないことがあります。
Q4. 赤字決算でも保証を受けられますか?
全国信用保証協会連合会は「赤字だけを理由に保証をお断りすることはありません」と示しています。赤字の原因や経営意欲、事業計画などを総合的に検討して判断されます。ただし、審査の結果、ご希望に添えない場合もあります。
免責事項
本記事は令和8年9月時点の法令・公表資料に基づく一般的な解説です。信用保証協会法、中小企業信用保険法、全国信用保証協会連合会の「信用保証協会と信用保証制度」「初めての融資と信用保証」「信用保証料」「信用保証制度を支えるしくみ」「信用保証協会用語」「よくあるご質問」、東京信用保証協会の「信用保証料の計算例」「信用保証料率の体系」「信用保証料の返戻手続」「信用保証委託契約について」「ご利用いただけない中小企業とは」、中小企業庁「信用補完制度の見直し」、東京都産業労働局「東京都中小企業制度融資」の内容を扱っています。信用保証料率の9区分ごとの具体的な数値、金利の水準、保証の承諾率や代位弁済率、保証承諾までの所要日数、東京都以外の自治体の制度融資の内容、東京都以外の信用保証協会の料率や分割係数、借入金・支払利息・信用保証料の税務上の取扱いは扱っていません。記事中の計算例は制度の理解のための設例であり、一定の前提を置いた目安です。保証を受けられるかどうかは個別の審査で判断されるものであり、本記事は融資や保証の可否を示すものではありません。具体的な判断は必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。
参考資料・出典
- 全国信用保証協会連合会「信用保証協会と信用保証制度」https://www.zenshinhoren.or.jp/guarantee-system/
- 全国信用保証協会連合会「信用保証制度を支えるしくみ」https://www.zenshinhoren.or.jp/guarantee-system/hokan/
- 東京信用保証協会「信用保証料の計算例」https://www.cgc-tokyo.or.jp/business/guarantee_fee/calculation.html
- 東京信用保証協会「ご利用いただけない中小企業とは」https://www.cgc-tokyo.or.jp/business/unable.html
- 東京都産業労働局「東京都中小企業制度融資 お申込み条件」https://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.lg.jp/chushou/kinyu/yuushi/yuushi/jyouken
保証付融資の申込みは、数字をそろえてから動きましょう
保証付融資では、決算内容と直近の業況、資金使途と返済原資が数字で説明できるかどうかが出発点になります。借入額・返済回数・据置期間の組み方で信用保証料も毎月の返済額も変わり、税金の未申告や滞納があれば申込前に解消しておく必要があります。代表税理士が試算表の作成と計画数値の裏づけから伺い、申込前の資料の整え方、面談で聞かれる点の整理、融資後の記帳・申告まで通して対応します。
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