不動産譲渡所得

空き家にした自宅は3年で3,000万円控除が切れます
住まなくなった日からの数え方と、貸していた場合

小松優馬

小松 優馬

公認会計士(登録番号43196)・税理士(登録番号151214)

監査法人での上場企業監査・上場準備CFO経験を経て独立。港区浜松町で個人・法人の税務をサポート。YouTubeチャンネル「公認会計士・税理士 小松ゆうま」運営。

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この記事のポイント

  • 期限は住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日
  • この期間を過ぎると、3,000万円特別控除は使えません
  • その間、人に貸していても控除は使えます(家屋ごと売る場合)
  • 別荘・仮住まい・控除目的の入居は、そもそも対象外です

まず結論:期限は「3年目の12月31日」です

マイホームを売ったときの3,000万円特別控除は、いま自分が住んでいる家を売ることが原則です。ただし、過去に住んでいた家でも使えます。

国税庁は、次の2つのいずれにも当てはまるときは適用が受けられるとしています(タックスアンサーNo.3314)。

  1. 売った家屋は自分が所有者として住んでいたものであること
  2. 自分が住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までにその家屋を売るか、家屋とともにその敷地等を売ること

注意

国税庁は「この期間を過ぎてから売った場合にはこの特例の適用を受けることはできません」と明記しています。1日でも過ぎると使えません。

期限は「住まなくなった日から3年目の12月31日」です
期限は「住まなくなった日から3年目の12月31日」です

数え方 ― 「3年後の同じ日」ではありません

起算点は住まなくなった日、期限はその日から3年を経過する日が属する年の12月31日です。3年後の応当日ではないため、実際の猶予は3年より長くなります。

計算例

例1:令和6年2月に転勤で自宅を出た場合

3年を経過する日=令和9年2月 期限=令和9年12月31日

例2:令和6年11月に自宅を出た場合

3年を経過する日=令和9年11月 期限=令和9年12月31日(例1と同じ年です)

年の後半に住まなくなった方ほど猶予は短くなります。また、期限は「売買契約」ではなく譲渡の日で判定します。引渡しの時期まで含めて逆算してください。譲渡の日の考え方は引渡日と契約日は選べますで整理しています。

空けていた間、人に貸していたら使えないのか

いちばん多いご質問です。答えは、家屋を敷地とともに売るのであれば、貸していても3,000万円特別控除は使えます。

国税庁は、以前に住んでいた家屋について次のように書いています。

以前に住んでいた家屋(住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る場合に限ります。なお、その家屋は、住まなくなった日以後、どのような用途に使用してもかまいません。)(国税庁タックスアンサーNo.3302)

賃貸に出していた、親族に住んでもらっていた、物置にしていた。いずれも期限内の売却であれば妨げになりません。

注意

用途を問われないのは家屋を売る場合です。家屋を取り壊して敷地だけを売るときは条件が変わります。取壊しの日から1年以内に譲渡契約を結ぶこと、そして取り壊してから契約の日まで、その敷地を貸駐車場などその他の用に供していないことが必要です。詳しくは自宅を取り壊して土地だけ売るときをご覧ください。

家屋ごと売るなら、貸していた期間があっても妨げになりません
家屋ごと売るなら、貸していた期間があっても妨げになりません

そもそも対象外になる家屋が3つあります

期限を守っていても、次の家屋には適用されません(国税庁タックスアンサーNo.3302)。

  • この特例の適用を受けることだけを目的として入居したと認められる家屋
  • 居住用家屋を新築する期間中だけ仮住まいとして使った家屋、その他一時的な目的で入居したと認められる家屋
  • 別荘などのように、主として趣味・娯楽または保養のために所有する家屋

売る直前に住民票を移して短期間だけ住む、という形は1つ目に当たります。

売る相手にも制限があります

親子や夫婦など「特別の関係がある人」への譲渡は対象外です。ここには生計を一にする親族、売った家屋で売主と同居する親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人も含まれます。親族間での売買は親子間・同族会社との不動産売買で扱っています。

補足

売った年の前年および前々年にこの特例やマイホームの譲渡損失の特例を受けていると使えません。売った年・前年・前々年に買換えや交換の特例を受けている場合も同様です。数年内に不動産を売っている方は、まずここを確認してください。

期限を過ぎると、いくら変わるか

譲渡所得が3,000万円出る自宅を例にします。長期譲渡所得として一般の税率が適用されるものとしました。

計算例

期限内に売った場合(3,000万円特別控除あり)

課税される譲渡所得=0円 → 税額0円

期限を過ぎてから売った場合

所得税 30,000,000円×15%=4,500,000円 復興特別所得税 4,500,000円×2.1%=94,500円 住民税 30,000,000円×5%=1,500,000円 合計6,094,500円

売る時期が数か月ずれるだけで、600万円を超える差が出ることがあります。この金額は一定の前提を置いた目安ですが、期限を意識する理由としては十分です。

なお、相続した実家の場合は別の特例(空き家の3,000万円特別控除)で、期限の数え方も要件も違います。相続した不動産の売却は「期限」から逆算しますをご覧ください。

売る時期が数か月ずれるだけで、税額は大きく変わります
売る時期が数か月ずれるだけで、税額は大きく変わります

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よくある質問(FAQ)

Q1. 転勤で5年前に自宅を出ました。まだ3,000万円特別控除は使えますか?

住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日を過ぎているため、この特例は使えません。他に適用できる制度がないかを検討します。

Q2. 空き家にせず賃貸に出していました。控除は使えなくなりますか?

家屋を敷地とともに売る場合、住まなくなった日以後の用途は問われません。期限内の売却であれば適用を受けられます(国税庁タックスアンサーNo.3302)。

Q3. 家屋を取り壊して土地だけ売る場合も、用途は自由ですか?

違います。取壊しから1年以内に譲渡契約を結び、取り壊してから契約日まで貸駐車場などその他の用に供していないことが必要です。

Q4. 売る直前に住民票を戻して住めば、控除を使えますか?

この特例の適用を受けることだけを目的として入居したと認められる家屋には適用されません(国税庁タックスアンサーNo.3302)。

免責事項

本記事は令和8年9月時点の法令・公表資料に基づく一般的な解説です。租税特別措置法35条、同施行令20条の3・23条、国税庁タックスアンサーNo.3314・No.3302の範囲を扱っています。3,000万円特別控除の他の要件と申告手続の詳細、マイホームを売ったときの軽減税率の特例、被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例の要件、買換えの特例、譲渡損失の損益通算及び繰越控除、住宅ローン控除との関係、災害により滅失した家屋の敷地に関する特例の詳細、東日本大震災に関する特例は扱っていません。本記事の税額の計算は、長期譲渡所得として一定の前提を置いた目安であり、個別の税額を計算したものではありません。具体的な判断は必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。

参考資料・出典

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3,000万円特別控除の期限は、住まなくなった日から数えます。過ぎてしまうと取り返しがつきません。いつ住まなくなったか、いつまでに引き渡せばよいかを整理してお伝えします。代表税理士が直接ご対応します。

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小松 優馬

公認会計士・税理士/元監査法人

大手監査法人にて上場企業の監査業務に従事。税務の専門性を高めるため独立。判例ベースの適正申告・節税にこだわり、お客様の人生設計を支える税務パートナーとして活動中。YouTubeチャンネル「税理士 小松ゆうま」では税務情報を発信中(登録者6,500人超)。

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