確定申告

亡くなった方の確定申告(準確定申告)4か月の期限と相続人がやること

小松優馬

小松 優馬

公認会計士(登録番号43196)・税理士(登録番号151214)

監査法人での上場企業監査・上場準備CFO経験を経て独立。港区浜松町で個人・法人の税務をサポート。YouTubeチャンネル「公認会計士・税理士 小松ゆうま」運営。

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この記事のポイント

  • 準確定申告の期限は相続の開始を知った日の翌日から4か月以内です
  • 医療費控除等は死亡の日までの支払分。配偶者控除等は死亡当日の現況で判定します
  • 納める税金は相続税の債務控除の対象です(国税庁タックスアンサーNo.4126)
  • 還付金は相続税、還付加算金は所得税の対象という違いがあります

準確定申告とは何か

準確定申告とは、亡くなった方の1月1日から死亡の日までの所得について、相続人が代わりに行う確定申告です。期限は4か月。相続税の10か月より先に来ます。

国税庁タックスアンサーNo.2022は、年の途中で亡くなった方の所得と税額を、相続人が計算して申告・納税すると定めています。

ご家族を亡くされた直後はやるべきことが一度に押し寄せますが、準確定申告は「相続税より先に来る期限」として最初に取りかかるべきものです。

白い菊と静かな和室
亡くなった方のその年の申告は4か月以内の準確定申告です

期限は4か月。相続税の10か月より先に来る

準確定申告の期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内です。相続税の申告期限(10か月以内)より半年早く到来します。

具体的な日付で確認する

令和8年5月10日に亡くなり、相続人がその日に相続の開始を知った場合、期限は次のようになります。

手続き起算期限
所得税の準確定申告・納税知った日の翌日から4か月令和8年9月10日
相続税の申告・納税知った日の翌日から10か月令和9年3月10日

注意

遺産分割の話し合いが終わっていなくても、準確定申告の期限は待ってくれません。期限を過ぎると無申告加算税や延滞税の対象になり得ます(確定申告をしていないとどうなる?無申告加算税・延滞税と期限後申告の進め方)。

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準確定申告が必要な人・不要な人

生前に確定申告が必要だった方は、準確定申告も必要になるのが基本です。

必要になりやすいケース

申告義務はなくても、還付を受けられることがある

ポイント

源泉徴収されていた方は、年の途中で亡くなった分だけ1年分の所得控除を使い切れず、納めすぎのことがあります。準確定申告で税金が戻ります。「義務がない」と「したほうが得」は別です。

控除の判定は「死亡の日」で切る

ここが最も間違えやすい部分です。国税庁タックスアンサーNo.2022は、各種控除の取扱いを次のように整理しています。

控除判定のしかた
医療費控除死亡の日までに被相続人が支払った医療費が対象
社会保険料控除・生命保険料控除・地震保険料控除死亡の日までに支払った金額が対象
寄附金控除死亡の日までに支出した特定寄附金が対象
配偶者控除・扶養控除死亡の日の現況により判定し、月割計算は行わない

死亡後に支払った医療費はどうなるか

亡くなった後に相続人が支払った入院費などは、準確定申告の医療費控除には入れられません。ただし生計を一にしていた親族が払ったのであれば、払った人自身の医療費控除の対象になる余地があります(国税庁タックスアンサーNo.1120)。支払日と支払者は必ず記録してください。医療費控除の基本は医療費控除はいくらから使える?10万円の基準とセルフメディケーション税制の選び方をご覧ください。

相続人で書類を整理する場面
相続人が連署して一つの申告書を提出します

手続きの実務――付表・提出先・e-Tax

相続人が複数いる場合は「付表」を添付する

準確定申告書には各相続人の氏名・住所・続柄を記載した付表を付けます。相続人が2人以上なら原則全員の連署が必要ですが、他の相続人の氏名を付記して各人が別々に提出することもできます。

提出先は被相続人の死亡当時の納税地

提出先は相続人の住所地ではなく、亡くなった方の死亡当時の納税地を所轄する税務署です。遠方にお住まいの相続人ほど勘違いしやすい点です。

e-Taxにも対応している

準確定申告は令和2年分以降e-Taxでも提出できます。税理士が代理送信する場合、税理士の電子署名で相続人各自の電子署名を省けます。相続人が全国に散らばっているケースで大きな違いになります。

相続税との接点――納付税額・還付金の扱い

相続税申告に関わる書類
還付金と還付加算金は税目が異なります

準確定申告は所得税の手続きですが、その結果は相続税の計算にも影響します。

準確定申告で納める税金は債務控除できる

国税庁タックスアンサーNo.4126によれば、死亡後に相続人が納めた所得税などは、死亡のときに確定していないものであっても債務として遺産総額から差し引けます。ただし、相続人の責任で生じた延滞税や加算税は差し引けません。4か月の期限を守る実利はここにもあります。

還付金と還付加算金は税目が違う

還付を受けた場合の扱いは、国税庁の質疑応答事例「被相続人の準確定申告に係る還付金等」に整理されています。

受け取るもの性格課税関係
還付金(還付金請求権)被相続人が納めすぎた税金の返還相続財産として相続税の課税対象
還付加算金相続人が請求により取得する利息的なもの相続人の雑所得として所得税の課税対象

注意

還付金を相続財産に入れ忘れると、相続税の申告漏れになります。準確定申告と相続税申告を別々の担当者が行う場合に、起きやすい漏れです。

あわせて読みたい

よくある質問(FAQ)

Q1. 相続人が複数いる場合、代表者だけで準確定申告できますか?

原則として相続人全員の連署が必要です。ただし他の相続人の氏名を付記すれば各人が別々に提出することも認められます。単独で完結する手続きではありません。

Q2. 遺産分割が終わっていませんが、準確定申告は待てますか?

待てません。期限は相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内です。遺産分けの進み具合とは関係なく到来します。

Q3. 亡くなった父は青色申告をしていました。準確定申告でも青色申告特別控除は使えますか?

要件を満たせば使えます。ただし事業を引き継ぐ相続人が自分の申告で青色申告をするには、相続人自身の承認申請が必要です。承認はそのまま引き継がれません。

Q4. 亡くなった年に不動産を売却していた場合はどうなりますか?

生前に売っていたのであれば、その譲渡所得は準確定申告に含めます。取得費や特例の判定は通常の譲渡所得と同じです。相続人が相続後に売った場合は、相続人自身の確定申告で処理します。

免責事項

本記事は令和8年8月時点の法令・公表資料に基づく一般的な解説です。準確定申告の要否や控除の適用は個別の事情によって結論が変わり、相続税の申告と一体で検討すべき論点も含みます。具体的な事案については必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。

参考資料・判例出典

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小松 優馬

公認会計士・税理士/元監査法人

大手監査法人にて上場企業の監査業務に従事。税務の専門性を高めるため独立。お客様の人生設計を支える税務パートナーとして活動中。YouTubeチャンネル「税理士 小松ゆうま」では税務情報を発信中(登録者6,500人超)。

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