この記事の答え
- 医療費が1年で10万円を超えると使えます。同じ財布で暮らす家族の分も、あなたが払えば合計できます。
- 年金やパートの収入だけの人など、所得が200万円未満の人は、所得の5%を超えれば使えます。
- 控除額が30万円なら、所得税と住民税で約4万5千円〜10万円減ります(税率5〜23%)。
医療費控除はいくらから使えますか

医療費控除は、1年間に払った医療費が10万円を超えると使えます。確定申告をすることで、税金が安くなることがある仕組みです。
年金やパートの収入だけの人は、10万円より少なくても使えることがあります。次の図で確かめてください。
所得とは、給料や年金の収入から決まった金額を引いた後の金額です。正式には「総所得金額等」といい、ほかの所得もある人は合計します。市販薬の特例(セルフメディケーション税制)は別の制度です。
「10万円」はどう数えますか
数えるのは、1月1日から12月31日までに実際に払った医療費です。まだ払っていない分は、実際に払った年の医療費になります。
控除額(所得から差し引ける金額)は、次の式で計算します。上限は200万円です。
計算の式
控除額 = 払った医療費 − 保険金などで受け取る分 − 10万円あなたが払った分であれば、同じ財布で暮らす配偶者や家族の医療費も合計できます。入院給付金や高額療養費は、その給付の対象になった医療費からだけ差し引きます。
申告の時に額が決まっていない保険金は、見込みの額を引きます。後で額が違ったら、申告を直す手続きが必要です。
所得が200万円未満の人は、式の「10万円」の代わりに「所得の5%」を使います。
計算例
例:年金だけで暮らすAさん(所得150万円、医療費12万円、保険金なし)
Aさんの基準 = 150万円 × 5% = 7万5千円Aさんの控除額 = 12万円 − 7万5千円 = 4万5千円10万円の基準なら、Aさんの控除額は2万円でした。
税金はいくら減りますか

払った医療費が、そのまま戻るわけではありません。医療費控除を使うと、税金を計算するもとになる所得が減ります。その結果、所得税と住民税が少なくなります。
会社員のBさん(所得200万円以上、保険金なし)が医療費を40万円払うと、控除額は30万円です。減る税金は、Bさんの所得税の税率で変わります。税率は5%から45%まであり、所得が多いほど高くなります。
所得税は復興特別所得税(令和8年分は2.1%)を含み、住民税は税率10%です。控除額の全部に同じ税率がかかるとした、一定の前提を置いた目安です。
給料や年金から引かれた所得税などがない人は、申告しても所得税は戻りません。
どんな費用が対象になりますか

治療のためのお金は対象です。予防や美容のためのお金は対象外です。病状に応じて一般的にかかる水準を大きく超える部分も、対象になりません。
対象になる
- 病院や歯医者の診察・治療の代金
- 治療に必要な薬の代金(風邪薬など)
- 電車やバスの通院費
- 入院の部屋代や病院の食事代
- 治療に必要な松葉杖・補聴器・義歯
対象にならない
- 健康診断の費用(原則)
- 医師や看護師へのお礼
- 予防接種やビタミン剤など、予防のための費用
- 美容のための整形手術
- 自家用車のガソリン代や駐車場代
- タクシー代(電車やバスを利用できないときを除く)
- 疲れをとるためのマッサージ
健康診断で重大な病気が見つかり、引き続き治療を受けたときは、その健康診断の費用も対象です。本人や家族の都合だけで選んだ個室の差額ベッド代は対象外です。
どうやって申告しますか

確定申告書に「医療費控除の明細書」を付けて提出します。会社員の人も、医療費控除は年末調整では受けられません。
領収書は提出しません。ただし、税務署から求められることがあります。領収書をもとに明細書を書いた分は、確定申告の期限から5年間、手元に保管してください。確定申告の義務がない人が還付を受ける申告では、提出した日から5年間です。
確定申告の義務がない人が所得税の還付を受ける申告は、翌年1月1日から5年間できます。申告を忘れた年も、令和8年中なら令和3年分から、令和9年中なら令和4年分から申告できます。すでに確定申告をした年に足すときは、別の手続き(更正の請求)になり、期限もあります。
自分でできるのはどこまでですか

領収書を合計して、基準を超えるかを確かめるところまでは、ご自身でできます。
失敗の例
- 入院費20万円に対して、給付金を25万円受け取った例です。余った5万円をほかの医療費からも引くと、控除額が最大で5万円少なくなります。
- 健康保険組合などから届く「医療費のお知らせ」だけで申告した例です。保険のきかない診療、薬局の薬、反映前の分、通院費が抜けてしまいます。
次の人は、個別の判断が必要です。
- 副業や家賃などの所得もある人
- 治療か美容か、判断が分かれる支出がある人
- 親の老人ホームや介護の費用を払っている人
小松公認会計士・税理士事務所では、領収書やお知らせをもとに、対象になる費用かを確かめます。保険金は、対象の医療費ごとに分けて計算します。副業などの所得も合わせて申告書と明細書を作り、電子申告まで行います。
料金の目安
料金は、基本料金32,000円(税込35,200円)に、所得と控除ごとの単価を足した額です。個人の確定申告は、最低料金65,000円(税別・税込71,500円)からお引き受けしています。
通常料金での計算例です。会社員の人なら、給与所得・医療費控除・その他控除セット(社会保険料など)を各6,000円足します。合計は50,000円(税込55,000円)なので、最低料金になります。
ご自身の料金は60秒見積りで確かめられます。
よくある質問(FAQ)
Q1. 家族の医療費は、どこまで合計できますか?
同じ財布で暮らす配偶者や親族の分です。同居は条件ではなく、仕送りで親の生活を支えている場合なども含まれます。合計できるのは、あなたが実際に払った分です。
Q2. 市販薬をたくさん買った年は、どうすればよいですか?
一定の健診や予防接種を受けた人は、市販薬の特例(セルフメディケーション税制)を選べます。対象の薬の購入額のうち1万2千円を超える分(上限8万8千円)を控除します。通常の控除との併用や申告後の変更はできません。特例は令和9年分以後も続きますが、対象の薬は見直されます。
Q3. 歯の矯正や出産の費用は、対象になりますか?
子どものかみ合わせの矯正など、必要と認められる矯正は対象です。見た目をよくするための矯正は対象外です。妊娠と診断されてからの検診や検査の費用は対象です。出産育児一時金は、医療費から差し引きます。
Q4. 医療費控除のために申告すると、20万円以下の副業の所得も申告しますか?
はい。給与を受けている人の「20万円以下なら申告不要」は、申告をしない場合の決まりです。医療費控除のために申告するときは、20万円以下の所得も合わせて申告します。
免責事項
本記事は令和8年11月時点の法令・国税庁の公表資料に基づく一般的な解説です。医療費控除の対象範囲は個々の支出の目的や状況によって判断が分かれることがあり、本記事の記載がすべての事案に当てはまるものではありません。計算例は一定の前提を置いた目安です。具体的な事案については税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。
参考資料・判例出典
- 国税庁タックスアンサー No.1120「医療費を支払ったとき(医療費控除)」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1120.htm
- 国税庁タックスアンサー No.1122「医療費控除の対象となる医療費」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1122.htm
- 国税庁タックスアンサー No.1122 Q&A(人間ドック・健康診断等の費用)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1122_qa.htm
- 国税庁タックスアンサー No.1124「医療費控除の対象となる出産費用の具体例」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1124.htm
- 国税庁タックスアンサー No.1126「医療費控除の対象となる入院費用の具体例」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1126.htm
- 国税庁タックスアンサー No.1128「医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1128.htm
- 国税庁タックスアンサー No.1119「医療費控除に関する手続について」(医療費通知の扱い)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1119_qa.htm
- 国税庁「医療費控除を受けられる方へ」(保険金などで補塡される金額・明細書の記入例)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2025/pdf/008.pdf
- 国税庁タックスアンサー No.1129「特定一般用医薬品等購入費を支払ったとき(医療費控除の特例)【セルフメディケーション税制】」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1129.htm
- 国税庁タックスアンサー No.1131「セルフメディケーション税制と通常の医療費控除との選択適用」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1131.htm
- 国税庁「暮らしの税情報(令和8年度版)」16ページ(セルフメディケーション税制の対象期間)https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/pdf/000.pdf
- 財務省「令和8年度 税制改正の解説」租税特別措置法等(所得税関係)の改正 434〜436ページ(セルフメディケーション税制の適用期限の撤廃・延長。令和9年分以後)https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2026/explanation/PDF/p0210-0436.pdf
- 国税庁タックスアンサー No.2030「還付申告」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2030.htm
- 国税庁タックスアンサー No.2260「所得税の税率」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm
- 国税庁タックスアンサー No.1410「給与所得控除」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1410.htm
- 国税庁タックスアンサー No.1600「公的年金等の課税関係」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1600.htm
- 国税庁タックスアンサー No.1900 Q&A(確定申告を要しない場合の意義)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1900_qa.htm
- 国税庁 質疑応答事例「共働き夫婦の夫が妻の医療費を負担した場合」https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/05/25.htm
- 国税庁 質疑応答事例「同居していない母親の医療費を子供が負担した場合」https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/05/58.htm
- 所得税基本通達73-1〜73-10(医療費控除関係)https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/16/01.htm
- 所得税法73条(医療費控除)、120条(確定所得申告)、122条(還付等を受けるための申告)、190条(年末調整)https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033
- 所得税法施行令207条(医療費の範囲)https://laws.e-gov.go.jp/law/340CO0000000096
- 租税特別措置法41条の17(セルフメディケーション税制。令和8年法律第12号による改正は令和9年分以後に適用)https://laws.e-gov.go.jp/law/332AC0000000026
- 地方税法314条の2第1項2号(個人住民税の医療費控除)https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000226
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