不動産譲渡所得

不動産売却の税額は「申告のしかた」で変わります
取得費・譲渡費用・特例で見直せる3つのこと

小松優馬

小松 優馬

公認会計士(登録番号43196)・税理士(登録番号151214)

監査法人での上場企業監査・上場準備CFO経験を経て独立。港区浜松町で個人・法人の税務をサポート。YouTubeチャンネル「公認会計士・税理士 小松ゆうま」運営。

YouTubeチャンネルを見る →

この記事のポイント

  • 譲渡所得で動かせるのは取得費・譲渡費用・特例の3つです
  • 取得費は契約書がなくても一次資料から再構成できることがあります
  • 譲渡費用は売却に直接かかった費用のみです(No.3255)
  • 特別控除は同じ年合計5,000万円までです(No.3223)

譲渡所得の計算式と、動かせる3つ

不動産の税額は「取得費」「譲渡費用」「特例」をどれだけ丁寧に検討するかで変わります。売った値段そのものは動かせません。

譲渡所得 = 譲渡価額 −(取得費 + 譲渡費用)− 特別控除

申告の準備しだいで変わるのは、取得費・譲渡費用・特別控除の3つだけです。小松公認会計士・税理士事務所では一次資料まで戻り、根拠を示せるものを漏れなく拾います。

申告内容を見直す手元
取得費・譲渡費用・特例は申告後でも見直せることがあります

①取得費:購入代金だけではありません

「取得費」は不動産を手に入れるためのお金で、買った値段だけではありません。国税庁の解説(No.3252)は次のようなものも含めるとしています。

  • 購入時の仲介手数料
  • 購入時に納めた登録免許税・登記費用、不動産取得税、印紙税
  • 土地の測量費、造成費用、埋立て・地ならしの費用
  • 建物付き土地を購入してすぐ取り壊した場合の建物購入代金・取壊し費用
  • 所有権を確保するために要した訴訟費用
  • 借主に支払った立退料

ポイント

建物は持っていた期間の値下がり分(減価償却費相当額)を差し引いた金額が取得費です。入れ忘れず、入れ過ぎない。両方が大切です。

契約書が見つからないとき

買った値段が不明なら、売却額の5パーセントを引く「概算取得費」がありますが、契約書がない=すぐに5パーセント、ではありません。住宅ローン契約書・抵当権設定登記・分譲時のパンフレット・通帳の出金記録・確定申告書控えから組み立て直せることがあります。

相続で取得した場合

相続・贈与でもらった不動産は、亡くなった方(贈与した方)の値段と時期をそのまま引き継ぎます。相続時点の評価額ではありません。購入時の資料をさかのぼって探します。

②譲渡費用:入るもの・入らないもの

売るために直接かかった費用が「譲渡費用」です(国税庁タックスアンサーNo.3255)。

譲渡費用になるもの
売却時の仲介手数料
売主が負担した印紙税
貸家を売るために借家人に支払った立退料
土地を売るため建物を取り壊した取壊し費用・建物の損失額
有利な条件で売るため契約を解除した場合の違約金
借地権を売るときに地主の承諾料として支払った名義書換料

次のものは譲渡費用になりません(同ページ)。

  • 修繕費・固定資産税など維持や管理のための費用
  • 売った代金の取立てのための費用

注意

⚠️ 「売るために払った=譲渡費用」とは限りません

ハウスクリーニングやリフォームは内容により取得費・譲渡費用・維持管理費に分かれます。名目でなく、何のために・いつ払ったかで判断されます。

還付の入金を確認する通帳
更正の請求により納め過ぎた税金が戻る場合があります

③特例:使えるものを取りこぼさない

特別控除は特例ごとに控除額が決まり、次の制限があります(国税庁タックスアンサーNo.3223)。

  • それぞれの特別控除額は、特例ごとの譲渡益が限度です
  • その年の譲渡益の全体を通じて、合計5,000万円が限度です
  • 控除は定められた順序で行います

主な特例はマイホームの3,000万円特別控除、相続空き家の特別控除、収用の5,000万円特別控除など。取得費加算の特例、損益通算・繰越控除、買換えの特例など特別控除以外の制度もあります。

特例は「使えるのに知らなかった」で終わりがちな領域です。判定には住民票の異動履歴・建物の建築年月日・相続の経緯など、契約書だけでは分からない情報が必要です。

申告に必要な資料

ご相談時は次の資料があるとスムーズです。すべて揃っていなくても構いません。

区分資料
売ったとき売買契約書、領収書、仲介手数料の領収書、決済時の精算書、登記事項証明書
買ったとき売買契約書、領収書、仲介手数料の領収書、登記費用・不動産取得税の領収書、分譲時のパンフレット
取得の経緯相続の場合は被相続人の資料・相続税の申告書、贈与の場合は贈与契約書
特例の判定住民票の除票、戸籍の附票、建物の登記事項証明書(建築年月日の確認)、耐震基準適合証明書など
その他取壊し・測量・立退きにかかった費用の領収書、賃貸していた場合は過去の確定申告書控え

契約書がない場合ほど、早めにご相談ください。記録から手がかりを探すには時間がかかります。

気を付けるべき5つの点

1. どの年分で申告するか

売った日は原則、引渡しがあった日です。契約の効力発生の日でも申告でき、年をまたぐ売却では所有期間や税率に影響します。

2. 固定資産税の精算金

買主から受け取る固定資産税・都市計画税の精算金は、譲渡価額に含めます。精算書を見落とすと収入が過少になります。

3. 特別控除で税額がゼロでも、扶養からは外れます

注意

扶養・配偶者控除の判定に使う「合計所得金額」は特別控除前の金額です。税額ゼロでも扶養や住宅ローン控除に影響します。

4. 住民税は翌年に来ます

所得税は申告時に納めますが、住民税は翌年度課税です。代金を使い切ると翌年の納付で資金不足になることがあります。

5. 共有の場合は持分ごとに判定します

共有名義の不動産は共有者ごとに自分の持分を申告し、特別控除の可否も共有者ごとに判定されます。

マンションの空室
マンションの空室

不動産売却の確定申告について小松公認会計士・税理士事務所ができること

制度は複雑ですが、お客様がすべてを理解する必要はありません。難しいことは、専門家にお任せください。

小松公認会計士・税理士事務所 代表 小松優馬 登録者6,900人超

小松公認会計士・税理士事務所 代表

小松 優馬公認会計士・税理士

  • お話を伺って、「あなたの場合はどうなるか」をはっきりお答えします
  • 必要な書類のご案内から申告まで、まるごとお任せいただけます
  • 料金は先にお見積り。全国どこでも、オンラインで完結できます

YouTube「税理士 小松ゆうまチャンネル」(登録者6,900人超)で、税金の話を分かりやすく解説しています。動画を見てみる

初回相談は無料です。相談だけで終えていただいて構いません。

あわせて読みたい

よくある質問(FAQ)

Q1. 購入時の売買契約書がありません。概算取得費5パーセントしか使えませんか?

必ずしもそうではありません。住宅ローンの契約書、抵当権設定登記の記録、分譲時のパンフレット、通帳の出金記録、確定申告書控えから説明できれば5パーセントに限られません。

Q2. 売る前に行ったリフォーム代は譲渡費用になりますか?

内容によります。譲渡費用は「売るために直接かかった費用」で、維持管理の費用は含みません。何のために・いつ払ったかで判断します。

Q3. 同じ年に2件の不動産を売りました。特別控除は両方とも満額使えますか?

使えないことがあります。特別控除は特例ごとの譲渡益が限度で、その年全体でも合計5,000万円が限度です。順序も決まっているため事前の試算をおすすめします。

Q4. 3,000万円の特別控除で税額がゼロになりました。それでも申告は必要ですか?

必要です。特別控除は確定申告が適用条件です。合計所得金額は特別控除前の金額のため、税額ゼロでも扶養等に影響することがあります。

免責事項

本記事は令和8年8月時点の法令・公表資料に基づく一般的な解説です。取得費・譲渡費用に算入できるかどうか、特例を適用できるかどうかは、取得の経緯・利用状況・売却の事情によって結論が変わります。本記事は特定の費目の算入を保証するものではありません。具体的な事案については必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。

参考資料・判例出典

資料が一部しかない状態からでもお引き受けします

不動産の売却は、取得費・譲渡費用・特例のどれか一つを見落とすだけで税額が大きく変わります。購入時の契約書が見つからない、相続で取得したので経緯が分からない、といった状態からのご相談も歓迎です。売却前であれば、年分の選択や特例の要件を整えるところからお手伝いできます。代表税理士が直接ご対応します。

無料相談を申し込む 不動産売却の確定申告サポートを見る 約60秒で料金を自動見積り

小松 優馬

公認会計士・税理士/元監査法人

大手監査法人にて上場企業の監査業務に従事。税務の専門性を高めるため独立。お客様の人生設計を支える税務パートナーとして活動中。YouTubeチャンネル「税理士 小松ゆうま」では税務情報を発信中(登録者6,500人超)。

関連記事

不動産譲渡所得の料金
令和8年分 確定申告 お引き受け開始中

不動産売却の料金を約60秒で確認

譲渡対価規模・特例適用を選ぶだけ。今なら全項目10%OFF後の特価がその場で分かります

個人 60秒見積り

不動産売却の確定申告のご相談

初回相談は無料です。代表が直接ご対応します。

不動産売却の確定申告サポートを見る
法人60秒見積り 個人60秒見積り