この記事の答え
- 間違えやすいのは収入の内訳・減価償却・借入金と地代家賃の欄です
- 自分で申告する大家は、前年の控えを写す前に、契約書や返済予定表で確かめます
- 例:建物2,000万円で耐用年数を誤ると、経費の差は年46万円、5年で230万円(一定の前提の目安)
間違えやすいのは、収入の内訳・減価償却・借入金と地代家賃の欄です
青色申告決算書や収支内訳書を自分で作るときは、この3か所を確かめます。減価償却の誤りは、直すまで翌年以降の申告に残ります。

家賃収入の確定申告書には、不動産所得用の書類を付けて出します。青色申告の人は青色申告決算書、白色申告の人は収支内訳書です。
収入の内訳には、家賃以外の受け取りも書きます

収入の内訳には、家賃のほかに、礼金・権利金・更新料も書きます。返さないことが確定した敷金や保証金、入居者から受け取る水道料や電気料も収入です。
Aさんは、毎月の家賃の入金だけを集計し、更新料を書き漏らしました。税金が足りなければ、修正申告をして不足の税金を納めます。
預かっているだけの敷金や保証金は、収入ではありません。「保証金・敷金」の欄に、期末の残高を書きます。
契約で支払日が決まっている家賃は、原則としてその支払日の年の収入です。詳しくは年末チェックの記事をご覧ください。
この欄には、借主ごとに所在地、契約期間、貸付面積も書きます。収支内訳書の「貸付不動産の保有状況」には、空室も含めます。
減価償却の欄は、4つの数字で経費の額が決まります

減価償却は、建物の代金を決まった年数(耐用年数)に分けて、毎年の経費にする計算です。欄には、取得価額、耐用年数、月数、貸付割合を資産ごとに書きます。
- 取得価額(買った金額など)を書く。土地の分は入れない
- 建物の構造と用途に合う耐用年数と、その年数で決まる率(償却率)を書く
- その年に貸付けに使った月数を書く。月の途中からは、その月も1か月と数える
- 貸している部分の割合(貸付割合)を掛ける。自宅の部分は経費にならない
平成19年4月1日以後に取得した建物の例です。それより前は、計算が異なります。
耐用年数は、建物の構造と用途で変わります。住宅用なら、木造は22年、鉄筋コンクリート造は47年です。金属造は骨格材の肉厚(骨組みの鋼材の厚さ)で、19年、27年、34年に分かれます。中古の物件は、別の計算ができます。
借入金は利子だけが経費で、地代家賃は権利金などと分けて書きます
物件を買うための借入金は、返済額のうち利子の部分だけが経費です。返済額は、返済予定表で元本と利子に分けます。
「借入金利子の内訳」の欄には、「金融機関を除く」とあります。銀行などの利子は、この内訳には書かず、経費の「借入金利子」の欄に入れます。
地代家賃の欄には、貸している建物の敷地の地代などを書きます。内訳では、権利金や更新料を上の段、賃借料を下の段に分けます。
注意
次の2つは、経費が多すぎる誤りです。
Bさん:9月に買ってすぐ貸した年に、12か月分の償却費を書きました。正しくは4か月分です。
Cさん:銀行への返済額の全部を、借入金利子の欄に入れました。
減価償却の誤りは、翌年以降の申告と売るときの計算に残ります
未償却残高は、取得価額からこれまでの償却費を引いた残りの金額です。今年の残高は、前年の残高から今年の償却費の合計を引いて求めます。ずれた残高や誤った耐用年数は、直すまで翌年以降に残ります。
計算例
例:軽量鉄骨の新築アパートを買ったDさん
建物の取得価額は2,000万円で、骨格材の肉厚は3mm以下です。1月に買って全部を貸し、定額法(毎年同じ額を経費にする方法)で計算します。
正しい耐用年数19年:2,000万円 × 0.053 = 106万円誤って34年で計算:2,000万円 × 0.030 = 60万円経費は1年で46万円少なく、その分だけ所得が多い申告になります。例は一定の前提を置いた目安です。
貸し続け、誤りを直さない場合の目安です。
売るときに差し引く建物の取得費は、経費にしなかった分があっても、本来の償却費の合計を引いて求めます。Dさんが5年目の年末に売ると、申告書の残高は1,700万円でも、取得費の計算では1,470万円です。
誤りに気づいたら、早めに誤った年の申告を直します。税金を納めすぎた年を直せるのは、原則として申告期限から5年以内です。手続は確定申告を間違えたときの記事をご覧ください。
資料との照合まではご自身で、その先は個別判断です

ご自身で確かめるのは、数字の出どころまでです。
ご自身で確かめること
- 前年の未償却残高とのつながり
- 家賃・礼金・更新料と入金の記録
- 返済予定表の元本と利子
個別判断になること
- 土地と建物の代金の分け方
- 中古や相続の物件の耐用年数
- 自宅と兼用の建物の貸付割合
- 見つかった誤りの直し方
税理士に頼むと、家賃と経費の集計から、決算書と確定申告書の作成、電子申告までを任せられます。小松公認会計士・税理士事務所では、代表(公認会計士・税理士)が最初から最後まで作成します。弊所は、売買契約書などで代金を土地と建物に分け、構造と用途に合う耐用年数で計算します。修正申告や更正の請求もお引き受けしています。
料金の目安
基本料金32,000円(税込35,200円)に、当てはまる所得・控除ごとの単価を足した額が料金です。個人の確定申告は最低料金65,000円(税別・税込71,500円)からお引き受けしています。
通常料金での計算例です。会社員で物件は1つ、家賃収入は年300万円以下、消費税の申告と記帳代行はない前提です。内訳は、基本料金、家賃収入35,000円、給与所得6,000円、その他控除セット6,000円です。合計は79,000円(税別)で、税込では86,900円です。一定の前提を置いた目安です。
ご自身の料金は60秒見積りで確かめられます。
この論点で小松公認会計士・税理士事務所ができること
制度は複雑ですが、お客様がすべてを理解する必要はありません。難しいことは、専門家にお任せください。
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小松公認会計士・税理士事務所 代表
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よくある質問(FAQ)
Q1. 確定申告書等作成コーナーで作れば、欄の誤りは防げますか?
計算は自動で行われますが、入力した取得価額や耐用年数、収入の金額が誤っていれば、結果も誤ります。入力の前に、売買契約書や入金の記録で数字を確かめます。
Q2. 貸しているのが1室だけでも、65万円の控除を書けますか?
令和8年分は、事業的規模でない貸付けだけなら、控除の上限は10万円です。55万円と65万円は受けられません。他に事業所得がある人は別です。要件は不動産所得の記事、令和9年分からの改正は別の記事をご覧ください。
Q3. 中古の物件の耐用年数は、どう書きますか?
買った後に使える年数を見積もって書けます。見積りが難しいときは、大規模な改良をしていない限り、法定の耐用年数と経過した年数から計算できます。式は国税庁の書き方に載っています。
Q4. 赤字の年は、借入金の利子の書き方が変わりますか?
赤字で、土地を買うための借入金の利子があるときは、専用の欄にその額を書きます。赤字のうち、この利子の分は、給与などの黒字から差し引けません。計算は赤字と給与の記事をご覧ください。
免責事項
本記事は令和8年11月時点の法令・公表資料に基づく一般的な解説です。所得税法38条2項・49条・120条・149条、所得税法施行令132条、所得税法施行規則47条の3・65条、租税特別措置法25条の2・41条の4、減価償却資産の耐用年数等に関する省令別表第一・別表第八、国税庁タックスアンサーNo.1370・No.1373・No.1376・No.1391・No.2026・No.2072・No.2100・No.2106・No.3261、「令和7年分 青色申告決算書(不動産所得用)の書き方」「令和7年分 収支内訳書(不動産所得用)の書き方」と各様式、弊所の料金表の内容を扱っています。欄の名称は令和7年分の様式によるもので、令和8年分の様式と書き方は執筆時点で確認できていません。現金主義の特例を選んだ人の決算書、組合事業や信託から生じる不動産所得、国外中古建物、貸借対照表の作り方、消費税の経理処理、定率法・旧定額法の計算、資本的支出と修繕費の区分、少額の減価償却資産、相続や贈与で取得した物件の引継ぎ、自宅を賃貸に転用した場合、貸付割合の決め方と未償却残高の細目、土地の分の利子の計算の細目、家賃を貸付期間に応じて計算する要件、直せる年の範囲の細目、過少申告加算税と延滞税の計算は扱っていません。記事中の計算例は一定の前提を置いた目安であり、実際の金額は建物の構造や取得の時期などによって変わります。具体的な判断は必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。
参考資料・出典
- 国税庁「令和7年分 青色申告決算書(不動産所得用)の書き方」(所得税法149条・所得税法施行規則65条)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2025/pdf/039.pdf
- 国税庁「令和7年分 収支内訳書(不動産所得用)の書き方」(所得税法120条・所得税法施行規則47条の3)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2025/pdf/019.pdf
- 国税庁「No.1376 不動産所得の収入計上時期」(所得税基本通達36-5〜7)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1376.htm
- 国税庁「No.3261 建物の取得費の計算」(所得税法38条2項)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3261.htm
- 国税庁「No.2026 確定申告を間違えたとき」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2026.htm
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