確定申告

確定申告を間違えたときの直し方
更正の請求は5年以内・修正申告は早いほど有利

小松優馬

小松 優馬

公認会計士(登録番号43196)・税理士(登録番号151214)

監査法人での上場企業監査・上場準備CFO経験を経て独立。港区浜松町で個人・法人の税務をサポート。YouTubeチャンネル「公認会計士・税理士 小松ゆうま」運営。

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この記事のポイント

  • 直す手続は3つ。訂正申告・更正の請求・修正申告です
  • 更正の請求ができるのは原則、法定申告期限から5年以内です
  • 修正申告は事前通知に自分から出せば加算税がかかりません
  • 自分から直すか調査後かで95,000円の差が出る例もあります

まず結論:「いつ気づいたか」で手続が3つに分かれます

申告の誤りを直す手続は3つあり、「いつ気づいたか」と「税金が多すぎたか、少なすぎたか」で決まります。取り違えると還付を逃したり、余計な加算税を負担したりします。次の表でご確認ください。

気づいた時期/誤りの方向使う手続期限ペナルティ
法定申告期限より前正しい申告書を出し直す(訂正申告)法定申告期限までなし
期限後・税金を払いすぎていた更正の請求原則、法定申告期限から5年以内なし
期限後・税金が少なすぎた修正申告期限の定めなし(早いほど有利)過少申告加算税・延滞税

手続は国税庁「確定申告書等作成コーナー」内の「更正の請求書・修正申告書作成コーナー」で行え、金額を入れると税額が自動計算されます。

赤ペンで書類を直す手元
早めの対応が有利です

払いすぎていたとき:更正の請求は「法定申告期限から5年以内」

納めすぎた税金は更正の請求で取り戻せます。還付が少なすぎた場合も同じです。請求書を税務署長に出し、認められれば還付されます。

5年は「申告書を出した日」からではありません

更正の請求ができる期間は、原則として法定申告期限から5年以内です(国税通則法23条)。申告書を出した日ではなく法定申告期限から数えるため、期限後申告の方ほど差が効いてきます。

税額が変わらなければ、更正の請求はできません

所得や控除の金額が動いても、最終的な税額(または純損失の金額)が変わらない場合には更正の請求はできません。「控除を1つ足したいが、もともと税額がゼロだった」場合が典型例です。

令和4年12月31日以後に課税期間が終了する分は、書式が簡単になっています

この分から「直す前の金額」の記載や、修正申告の申告書第五表の作成が不要になりました。様式は最新のものをご確認ください。

少なすぎたとき:修正申告は「気づいた時期」で加算税が変わります

確定申告の相談窓口
確定申告の相談窓口

税金が少なすぎたとき(還付が多すぎたときも)は修正申告で直します。提出期限はありませんが、遅れるほど負担が増える仕組みです。

過少申告加算税は3段階です

過少申告加算税は当初申告の不足への上乗せです。割合は修正申告の時期で次のように変わります(国税庁タックスアンサーNo.2026)。

修正申告のタイミング原則の割合加重される部分の割合
調査の事前通知に自主的に提出かかりません
事前通知・調査による更正を予知する前5パーセント10パーセント
調査を受けた(更正を予知した修正申告)/更正処分10パーセント15パーセント

「加重される部分」とは、新たに納める税金が当初の申告納税額と50万円のどちらか多い金額を超えた部分のことです。

数字のイメージ:当初の申告納税額30万円・追加の本税80万円のケース

当初の申告納税額30万円、追加の本税80万円の例です。30万円と50万円を比べると50万円のほうが多いため、基準となる金額は50万円です。

タイミング計算過少申告加算税
事前通知前の自主的な修正申告0円
事前通知後(更正を予知する前)50万円×5%+30万円×10%55,000円
調査後の修正申告50万円×10%+30万円×15%95,000円

同じ誤りでも、自分から直すかどうかで9万5,000円の差が生まれます。心当たりがある段階で動く価値は、ここにあります。

注意

令和6年1月1日以後に法定申告期限が来る分(令和5年分以降)は、帳簿の提示を求められて出さなかった場合や、売上金額が2分の1未満だった場合、10パーセントが追加されます(3分の2未満なら5パーセント)。帳簿の整備は加算税の重さに直結します。当初が期限後申告なら、無申告加算税がかかることもあります。

修正申告と更正の請求の書類
納め過ぎは更正の請求、不足は修正申告で正します

延滞税は「本税」にだけかかります(令和8年の割合)

修正申告で新たに納める税金は、提出する日が納期限です。あわせて延滞税を納めます。

延滞税の割合は、令和8年1月1日から令和8年12月31日までの期間について次のとおりです(国税庁タックスアンサーNo.9205)。

  • 納期限までの期間および納期限の翌日から2か月を経過する日まで … 年2.8パーセント
  • 納期限の翌日から2か月を経過した日以後 … 年9.1パーセント

「納期限」は期限内申告なら法定納期限、期限後申告・修正申告なら提出した日、更正・決定なら通知書が発せられた日から1か月後です。

ポイント

延滞税がかかるのは本税だけで、加算税にはかかりません。期限内申告で法定申告期限から1年を過ぎて修正申告した場合などは、一定期間を延滞税の計算に入れない特例があります(不正行為があった場合等を除く)。「延滞税が膨大になる」と決めつける前にご確認ください。

当事務所が実際によく見る「間違い」の型

誤りは、思い当たる場所に集中しています。心当たりのある項目があれば、まず5年以内かどうかをご確認ください。

払いすぎ(更正の請求の対象になりやすいもの)

  • 不動産の取得費を概算取得費(売却額の5パーセント)で申告した――資料が見つかれば実額で計算し直せることがあります
  • 使えたはずの特例を使っていない――記載・添付が条件の特例もあり、扱いは制度ごとに異なります
  • 医療費控除の集計漏れ、生命保険料控除・社会保険料控除の入力漏れ
  • 年の途中で退職し、年末調整を受けていないまま申告した

払い足りない(修正申告の対象になりやすいもの)

  • 副業の所得を集計し切れていなかった
  • ふるさと納税のワンストップ特例が確定申告で無効になったのに気づかず、寄附金控除を入れ忘れた
  • 特定口座(源泉徴収なし)の譲渡益や、複数の証券会社の損益の通算を誤った
  • 減価償却費や取得費の計算誤り

「金額の誤り」に見えても、実際は制度の当てはめの誤りであることが少なくありません。直し方を決める前に、誤りの中身をはっきりさせることが先です。

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よくある質問(FAQ)

Q1. 確定申告書を出した直後に間違いに気づきました。どうすればよいですか?

法定申告期限(原則3月15日)前なら、正しい申告書を出し直せば足ります(訂正申告)。期限内は最後の申告書が有効です。期限後は更正の請求か修正申告になります。

Q2. 更正の請求の5年は、いつから数えますか?

原則、法定申告期限から5年以内です(国税庁タックスアンサーNo.2026)。出した日からではありません。税額(または純損失の金額)が変わらない場合はできません。

Q3. 修正申告をすると、必ず加算税がかかりますか?

いいえ。事前通知前に自分から修正申告すればかかりません(国税庁タックスアンサーNo.2026)。事前通知後は5パーセント、調査後は10パーセントが原則で、50万円超の部分はそれぞれ10・15パーセントです。

Q4. 修正申告をした場合、納付はいつまでにすればよいですか?

提出する日が納期限で、あわせて延滞税を納めます。令和8年中は納期限の翌日から2か月まで年2.8パーセント、それ以後は年9.1パーセントです(国税庁タックスアンサーNo.9205)。

免責事項

本記事は令和8年8月時点の法令・公表資料に基づく一般的な解説です。更正の請求ができるかどうか、修正申告が必要かどうかは個別事情によって結論が異なり、加算税・延滞税の実際の金額は納付日や計算期間の特例の適用によって変動します。具体的な事案については必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。

参考資料・判例出典

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制度は複雑ですが、お客様がすべてを理解する必要はありません。難しいことは、専門家にお任せください。

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申告の誤りに気づいたら、早い段階でご相談ください

更正の請求か修正申告か、そして5年以内に入っているかどうかで、取れる手段が変わります。当事務所では、過去の申告書を拝見して「直す価値があるか」「直すとすればどの手続か」から検討します。他の事務所で作成された申告書のご相談も承ります。

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小松 優馬

公認会計士・税理士/元監査法人

大手監査法人にて上場企業の監査業務に従事。税務の専門性を高めるため独立。お客様の人生設計を支える税務パートナーとして活動中。YouTubeチャンネル「税理士 小松ゆうま」では税務情報を発信中(登録者6,500人超)。

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