この記事のポイント
- 確定申告の税理士費用は「所得の種類」「記帳代行の有無」「取引量」の3つでほぼ決まります
- 「丸投げ」の中身は事務所ごとに違います。記帳代行(帳簿づくり)が含まれるかどうかを必ず確認してください
- 税務代理・税務書類の作成・税務相談は税理士法第2条に定める税理士業務です。同法第52条により、税理士以外は原則として行えません
- 費用は「いくら払うか」ではなく「税額と手残りがどう変わるか」で判断すると、比較の軸がぶれません
まず結論:「丸投げ」の中身は事務所ごとに違います
同じ「丸投げ」でも、含まれる作業は事務所によって違います。特に大きいのは記帳代行(帳簿づくり)の有無です。
記帳代行あり/なしの違い
| 段階 | 作業内容 | 「丸投げ」に含まれるか |
|---|---|---|
| ①記帳(帳簿づくり) | 領収書・請求書・通帳の明細を仕訳に起こし、会計帳簿を作る | 事務所により異なる(記帳代行オプションになることが多い) |
| ②申告書の作成・提出 | 決算書・確定申告書を作成し、税務代理として提出する | 含まれる |
会計ソフト入力が済んでいるなら②だけで足ります。未入力なら①+②が必要で、同じ「丸投げ料金」でも①の有無で金額の意味が変わります。
依頼者側にどうしても残る作業
ポイント
依頼者側にどうしても残る作業
- 資料を集めて渡すこと(源泉徴収票、控除証明書、売買契約書、通帳など)
- 事実関係を答えること(この支出は何のためか、この入金は誰からか)
- 内容を確認して承認すること(申告書の最終確認)
申告書の内容に責任を負うのは、納税者ご本人です。
確定申告の税理士費用は何で決まるのか
費用を動かす要因は、次の3つです。
要因1:所得の種類と数
所得の種類ごとに計算方法・添付書類が違うため、種類が増えるほど作業と検討が増えます。
| 所得の種類 | 作業量に影響するポイント |
|---|---|
| 給与+医療費控除・ふるさと納税など | 資料が揃っていれば比較的シンプル |
| 事業所得(フリーランス・個人事業主) | 記帳の要否、青色申告特別控除の適用要件、消費税の要否 |
| 不動産所得(賃貸経営) | 減価償却、修繕費と資本的支出の判定、5棟10室の事業的規模 |
| 譲渡所得(不動産売却) | 取得費の算定、特例の選択、譲渡所得の内訳書と添付書類 |
| 株式・RSU・ストックオプション | 課税タイミングの判定、外国税額控除、為替換算 |
| 国外資産・海外所得 | 租税条約、財産債務調書・国外財産調書 |
不動産所得は不動産所得の確定申告、事業所得か雑所得かは事業所得の確定申告完全ガイドで解説しています。
要因2:記帳代行の有無
帳簿ができている状態からか、領収書の束からかで必要な時間はまったく違います。
要因3:取引量
年間の取引が数十件と数千件では作業量が桁違いで、売上規模や仕訳数を目安にする事務所が多くあります。
当事務所の料金の考え方
ご依頼前に金額を確定してからお引き受けし、追加請求はしません。所得の種類と規模を選ぶだけで概算が出る60秒見積りをご用意しています。個別の料金は料金ページに掲載しています。
ポイント
他事務所と比較するときに揃えたい3点
「記帳代行が含まれるか」「所得の種類ごとの加算があるか」「消費税申告が別料金か」を確認すると、公平に比較できます。
料金だけで選ぶと失敗する3つの理由
理由1:税務代理は税理士の独占業務です
申告書の作成や提出は、法律で税理士だけに認められた仕事です。国税庁は税理士法第2条を次のように説明しています。
1 税務代理(法第2条第1項第1号)
税務官公署に対する申告等につき、又はその申告等若しくは税務官公署の調査若しくは処分に関し税務官公署に対してする主張若しくは陳述につき、代理し、又は代行すること2 税務書類の作成(法第2条第1項第2号)
税務官公署に対する申告等に係る申告書等を作成すること3 税務相談(法第2条第1項第3号)
税務官公署に対する申告等、法第2条第1項第1号に規定する主張若しくは陳述又は申告書等の作成に関し、租税の課税標準等の計算に関する事項について相談に応ずること出典:国税庁「税理士制度のQ&A」2 税理士の業務
税理士法第52条は、税理士・税理士法人でない者が税理士業務を行うことを禁じています。違反すると2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金に処せられる場合があります(同法第59条第1項第4号)。「無料だから問題ない」という理屈も通りません。「業とする」は繰り返し行うことをいい、対価の有無は関係ないとされています(税理士法基本通達2-1)。
国税庁タックスアンサーNo.9204「にせ税理士にご注意」も依頼先の確認を案内しています(税理士証票の提示、日本税理士会連合会の税理士情報検索)。格安の申告代行サービスは、実際に申告書を作って提出するのが誰かをご確認ください。なお、記帳代行そのものは税理士法違反ではなく、申告書作成とは別の話だと理解しておく必要があります。
理由2:申告後の対応まで見据える必要があります
後から税務署の問い合わせや実地調査になったとき、申告書を作った人が説明できる状態かが効いてきます。
お尋ねへの対応は税務署から「お尋ね」が届いた…正しい対応手順、税務調査の初動は税務調査が来たらどうする?をご覧ください。
理由3:判断を1つ落とすだけで税額が動きます
費用の差より税額の差のほうが大きくなることは珍しくありません。
設例:青色申告特別控除65万円の有無で税額差を、課税所得500万円・住民税所得割10%で概算します。
| 項目 | 65万円控除なし | 65万円控除あり |
|---|---|---|
| 課税所得 | 500万円 | 435万円 |
| 所得税(速算表による) | 572,500円 | 442,500円 |
| 復興特別所得税(2.1%) | 12,022円 | 9,292円 |
| 住民税(所得割10%概算) | 500,000円 | 435,000円 |
| 合計 | 1,084,522円 | 886,792円 |
計算例
65万円控除の有無による税額差
65万円 ×(所得税20%+復興特別所得税0.42%+住民税10%) = 197,730円差額は197,730円です。
65万円控除には正規の簿記(複式簿記)による記帳に加え、優良な電子帳簿保存または期限内のe-Tax提出が必要です。期限を1日過ぎると控除は55万円または10万円になります。
費用は「支払う金額」ではなく「支払った結果どうなるか」で判断してください。
※上記の住民税は10%として概算した参考値で、実際の税額は各種控除の適用状況によって変わります。
依頼するかどうかの判断の目安
次の場合はご自身で申告される選択も合理的です。
- 給与1か所+医療費控除やふるさと納税だけで、資料も揃っている
- 副業の所得が小さく、経費の判断に迷いがない
一方、次に当てはまる場合は、専門的な判断が結果を大きく左右します。
- 不動産を売却した(取得費の算定・特例の選択で税額が数百万円動きます)
- 相続で取得した財産を売った(特例に期限があり、選択制のものがあります)
- 所得区分の判断に迷っている(事業所得か雑所得か。副業の20万円ルールもあわせてご覧ください)
- RSU・ストックオプション・外国株式がある(課税タイミングと為替換算の論点があります)
- 過去分の申告をしていない(早く動くほど加算税の負担が軽くなります)
- インボイス登録をして消費税の申告が必要になった
よくある質問(FAQ)
Q1. 確定申告の税理士費用は何で決まりますか?
主に3つです。所得の種類と数、記帳代行の有無、取引量です。所得の種類と規模を選ぶだけで概算が出る60秒見積りをご用意しています。
Q2. 領収書がぐちゃぐちゃでも依頼できますか?
できます。記帳代行を含めてお引き受けします。整理されていないほど作業量が増える分、費用に反映されます。会計ソフト入力まで終えていれば記帳代行なしで対応します。
Q3. 税理士でない業者に確定申告書の作成を頼んでもよいのですか?
おすすめできません。税務代理・税務書類の作成・税務相談は税理士法第2条の税理士業務で、同法第52条により税理士・税理士法人以外は原則行えません(違反は2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金、同法第59条第1項第4号)。依頼先が税理士かは税理士証票や日本税理士会連合会の検索で確認できます。
Q4. いつまでに依頼すればよいですか?
確定申告期間は原則、翌年2月16日から3月15日までです。多くの事務所が繁忙期になるため年内から前倒しでご相談いただくのが安全です。不動産を売った年や相続が発生した年は特に検討事項が多くなります。
免責事項
本記事は令和8年8月時点の法令・公表資料に基づく一般的な解説です。税理士報酬は事務所ごとに自由に定められるものであり、本記事は特定の金額水準を示すものではありません。記載した設例は前提を単純化した試算であり、実際の税額を保証するものではありません。具体的な事案については必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。
参考資料・判例出典
- 国税庁「税理士制度のQ&A」2 税理士の業務(税理士法第2条)https://www.nta.go.jp/taxes/zeirishi/zeirishiseido/qa/02.htm
- 国税庁「税理士制度のQ&A」6 税理士法違反行為(税理士法第52条・第59条第1項第4号)https://www.nta.go.jp/taxes/zeirishi/zeirishiseido/qa/06.htm
- 国税庁タックスアンサー No.9204「にせ税理士にご注意」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/osirase/9204.htm
- 国税庁タックスアンサー No.2020「確定申告」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2020.htm
- 国税庁タックスアンサー No.2072「青色申告特別控除」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2072.htm
- 国税庁タックスアンサー No.2260「所得税の税率」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm
- 税理士法2条・52条・59条(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/
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