この記事の答え
- 請負の売上は原則、完成して引き渡した年(作業だけの仕事は完了した年)です
- 完成が翌年の仕事は原則、代金の前払いを前受金にし、材料費や外注費も翌年へ送ります
- 例:外注費60万円だけを先に経費にすると、その年の利益は60万円少なくなります
年をまたぐ請負の売上は、原則として完成して引き渡した年に入れます

完成まで数か月かかる仕事では、着手金や中間金を先に受け取ることがあります。
請負(仕事の完成を約束する契約)の売上は、原則として完成して引き渡した年に入れます。
完成が翌年以後なら、代金の前払いは原則として受け取った年の売上になりません。その仕事の材料費や外注費も、原則として売上を入れる年の経費にします。
入金の年で計上する現金主義の届出をした人などは、扱いが違います。
着手金と中間金は、受け取った年の売上になりますか

完成が翌年以後なら、前払いの着手金と中間金は原則として受け取った年の売上になりません。
国税庁の通達は、請負の売上の日を次のように定めています。
- 物を渡す仕事は、目的物の全部を完成して相手に引き渡した日です。
- 物を渡さない仕事は、約束した作業やサービスの提供を完了した日です。
先に受け取った代金は、前受金(仕事を終える前に受け取った代金)として帳簿に残します。
注意
「着手金」という名前だけでは決まりません。東京高裁の平成20年10月30日判決は、弁護士の着手金を、依頼を受けた年の収入としました。結果にかかわらず、依頼を受けたときに受け取る報酬だったためです。請負とは別の契約の事案です。ご自身の着手金の中身は、契約書で確かめます。
12月に終えた仕事の入金が1月の場合は年またぎの売上の記事をご覧ください。法人の工事は工事の売上の記事で解説しています。
材料費と外注費は、どの年の経費になりますか

その仕事に直接かかった材料費や外注費などは、原則として売上を入れる年の経費にします。
売上に直接かかった費用は、その売上に対応させて経費にするためです。
年末に未完成の仕事の費用は、原則として仕掛品(作りかけの仕事にかかった費用)として翌年以後へ送ります。
原則として今年の経費
- 事務所の家賃など、どの仕事にも共通の費用
- 年内に引き渡した仕事の材料費・外注費
原則として今年の経費にしない
- 未完成の仕事の材料費・外注費(翌年へ送る)
- 支払う義務が年内に確定していない費用(前払いでも同じ)
計算例
例:Web制作のAさん(個人事業主)の300万円の仕事
Aさんは令和8年に、着手金と中間金で200万円を受け取り、外注費60万円を払いました。令和9年2月に納品して残金100万円を受け取り、外注費40万円を払いました。
令和8年分 売上0円・経費0円(前受金200万円、仕掛品60万円) 令和9年分 売上300万円 − 経費100万円 = 利益200万円消費税を除き、現金主義の届出がない場合の、一定の前提を置いた目安です。
間違えると、2年分の申告に影響します

売上や経費の年を誤ると、利益が別の年にずれて、2年分の申告に影響します。他の仕事の利益を毎年300万円として、Aさんの令和8年分で比べます。
- 失敗1:入金のとおりに売上を入れた ― 利益は140万円(200万円−60万円)多く、税金は払いすぎです。
- 失敗2:外注費だけ先に経費にした ― 利益は60万円少なく、税金は足りません。
他の仕事の利益を毎年300万円とした、一定の前提を置いた目安です。
令和9年分の利益は、どちらも逆の方向に同じ額だけずれます。
税金が足りない年は、修正申告(申告のやり直し)で直し、延滞税も納めます。過少申告加算税(不足分にかかる追加の税)は、調査の事前通知の前に自主的に直せばかかりません。通知の後はかかります。
税金が多すぎた年は、更正の請求(払いすぎを戻す手続き)ができる場合があります。期限は原則として法定申告期限から5年以内です。直し方は申告を間違えたときの記事で解説しています。
ここまではご自身で、ここから先は個別判断です
年末の整理は、次の3つまでご自身で進められます。
- 12月31日の時点で未完成の仕事を書き出す
- 仕事ごとに、受け取ったお金を前受金として分ける
- 仕事ごとに、かかった材料費や外注費を集計する
次の場合は扱いが変わることがあるため、個別判断です。
- 日々の作業や月ごとに報酬が確定する契約
- 工事で、完成した部分を引き渡すたびに、その割合で代金を受け取る特約や慣習があるとき
- 工事・製造・ソフトウェア開発の請負で、進み具合で売上を分ける工事進行基準を使うとき
- 要件を満たす青色申告者が、入金の年で計上する現金主義の届出をしているとき
- 途中解約、年をまたぐ検収、返さない約束の着手金があるとき
税理士に頼むと変わること
税理士に頼むと、売上と経費の年を帳簿と資料で確かめたうえで申告できます。
小松公認会計士・税理士事務所では、次の作業を弊所が行います。
- 売上の請求書・入金の記録と、入力済みの帳簿の確認
- 決算と確定申告書の作成、電子申告
- 記帳代行(別料金)
- 過去の年の修正申告・更正の請求
全国どこからでも、オンラインで完結します。
料金の目安
基本料金32,000円(税込35,200円)に、当てはまる所得・控除ごとの単価を足した額が料金です。個人の確定申告は最低料金65,000円(税別・税込71,500円)からお引き受けしています。
通常料金での計算例です。売上500万円の事業所得49,000円に、その他控除セット(社会保険料など)6,000円を足します。合計は32,000円+49,000円+6,000円=87,000円(税込95,700円)です。消費税の申告と記帳代行がない場合の、一定の前提を置いた目安です。
ご自身の料金は60秒見積りで確かめられます。
この論点で小松公認会計士・税理士事務所ができること
制度は複雑ですが、お客様がすべてを理解する必要はありません。難しいことは、専門家にお任せください。
登録者6,900人超
小松公認会計士・税理士事務所 代表
小松 優馬公認会計士・税理士
- お話を伺って、「あなたの場合はどうなるか」をはっきりお答えします
- 必要な書類のご案内から申告まで、まるごとお任せいただけます
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初回相談は無料です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 着手金を受け取った年に、売上へ入れなくてよいのですか?
完成が翌年の請負なら、代金の前払いは原則として引き渡した年の売上で、受け取った年は前受金にします。ただし、弁護士の着手金を、結果にかかわらず受け取る報酬として、依頼を受けた年の収入とした判決があります。現金主義の届出をした人なども別です。
Q2. 年末に未完成の仕事の外注費は、今年の経費にできますか?
その仕事に直接かかった外注費は、原則として売上を入れる年の経費です。年末に未完成なら仕掛品として翌年へ送ります。外注先への前払いも、支払う義務が年内に確定していなければ、今年の経費になりません。
Q3. 12月に納品して、検収が1月でした。どちらの年の売上ですか?
物を渡す請負は、全部を完成して相手に引き渡した日が原則です。工事は、作業を終えた日や検収を終えた日などのうち、合理的な日を毎年続けて使う定めがあります。制作物で検収をどう見るかは、契約の内容で個別に判断します。
Q4. 着手金から源泉徴収されました。いつの申告で差し引きますか?
申告で差し引く源泉徴収税額は、その年の所得の計算の基礎となった所得についての税額です。着手金を翌年の売上にするなら、その分の税額も翌年分の申告で差し引くと考えられます。
免責事項
本記事は令和8年11月時点の法令・公表資料に基づく一般的な解説です。所得税法2条1項16号・36条1項・37条1項・66条・67条1項・120条1項4号、所得税法施行令3条・195条・197条1項、所得税基本通達36-8(4)(5)・36-8の3・37-1、民法632条、タックスアンサーNo.2026「確定申告を間違えたとき」・No.2200「収入金額とその計算」・No.2210「必要経費の知識」、国税庁「令和7年分 青色申告の決算の手引き(一般用)」、東京高裁平成20年10月30日判決(弁護士の委任契約の事案です。最高裁の平成21年4月28日の決定で上告棄却・不受理となり、確定しました)、国税不服審判所平成25年3月25日裁決、弊所の料金表の内容を扱っています。令和8年分の手引きは本記事の時点で確認できていません。請負と委任の見分け方、途中で解約された場合や返さない約束の着手金の扱い、段階ごとに納品・検収する制作の契約の売上の日、月ごとの報酬の細目、工事進行基準の計算と選び方の細目、長期大規模工事の判定の細目、現金主義の要件の細目と青色申告特別控除への影響、仕掛品の評価方法と人件費の扱い、副業の雑所得の場合、消費税の課税の時期、住民税と国民健康保険料への影響、延滞税の計算、帳簿を提示しない場合などの過少申告加算税の加算、法人の工事は扱っていません。記事中の計算例は一定の前提を置いた目安であり、実際の金額は契約の内容や所得によって変わります。具体的な判断は必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。
参考資料・出典
- 国税庁 所得税基本通達 法第36条《収入金額》関係〔収入金額〕(36-8 事業所得の総収入金額の収入すべき時期)https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/05/01.htm
- e-Gov法令検索「所得税法」(36条・37条・66条・67条)https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033
- 国税庁「令和7年分 青色申告の決算の手引き(一般用)」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2025/pdf/025.pdf
- 国税庁 タックスアンサー No.2026「確定申告を間違えたとき」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2026.htm
- 国税庁 税務訴訟資料 第258号-204(順号11062)東京高等裁判所 平成20年10月30日判決https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/soshoshiryo/kazei/2008/pdf/11062.pdf
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着手金や中間金を受け取った仕事、年末に未完成の仕事があると、売上と材料費・外注費の年を分けて帳簿を締めることになります。契約の中身で扱いが変わることもあります。弊所が、売上の請求書・入金の記録と帳簿を確かめたうえで、決算と確定申告書の作成、電子申告まで対応します。全国どこからでもオンラインで完結します。契約書と入金の記録がそろった段階で、ご依頼をご検討ください。
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