この記事のポイント
- 12月に終えた仕事の売上は、入金が1月でも原則として令和8年分です
- 引渡しや役務の提供を終えた日が原則で、入金の日では決まりません
- 要件を満たす青色申告者は、原則としてその年の3月15日までに届出をすれば入金の年で計上できます
- 年を誤ると、修正申告と更正の請求で2年分を直すことになる場合があります
まず結論:12月に終えた仕事は、入金が1月でも原則として令和8年分の売上です
所得税は、その年に「収入すべき金額」で所得を計算します(所得税法36条1項)。
事業の売上は原則として、入金の日ではなく、仕事を終えた日などで年が決まります。
売上を入れる年を誤ると、令和8年分と令和9年分の2年分の申告がずれます。

売上にする日は、仕事の形ごとに通達が定めています
売上にする日は原則として、引渡しや役務の提供を終えた日です。
事業所得の売上の時期は、所得税基本通達36-8が仕事の形ごとに定めています。
| 仕事の形 | 売上にする日(原則) | 12月に終えて1月に入金 |
|---|---|---|
| 商品の販売 | 引渡しがあった日 | 令和8年分 |
| 納品物がある請負(制作など) | 全部を完成して相手に引き渡した日 | 令和8年分 |
| 納品物がない請負 | 約束した役務の提供を終えた日 | 令和8年分 |
| 請負以外の人的役務の提供 | 役務の提供を終えた日 | 令和8年分 |
人が行うサービス(人的役務の提供)の売上は、次のとおりです。
人的役務の提供(請負を除く。)による収入金額については、その人的役務の提供を完了した日。
(所得税基本通達36-8(5))
請求書の日付や入金の日は、原則として売上の年を決める日ではありません。
副業で雑所得になる場合も、収入の態様に応じてこれらに準じて判定します(同36-14)。
事業所得と雑所得の分かれ目は、事業所得と雑所得の記事で解説しています。
月ごとの報酬や検収のある仕事は、契約の中身で日が変わります
報酬の受け取り方の約束によっては、売上にする日が変わります。
通達は、期間の経過や作業の進み具合に応じて報酬を受け取る約束がある場合も定めています。
その報酬は、約束により受け取る権利が決まった日の年分です(同36-8(5)ただし書)。
毎月の業務委託なら、12月分の報酬を受け取る権利がいつ決まるかを契約で確かめます。支払日と同じとは限りません。
検収(相手の確認)を終えた日などを、引渡しの日とする定めもあります。
対象は、商品の販売と建設工事などです(同36-8の2・36-8の3)。
いずれも、合理的な日のうち、毎年続けて計上している日によります。
制作物に検収がある仕事で、どの日を引渡しの日とするかは個別判断です。

例外として、入金の年で計上する方法を選べる方もいます
小規模な青色申告者は、届出をすれば入金の年で計上する方法を選べます(所得税法67条1項)。
この方法を、現金主義(お金の出入りの日で計算する方法)といいます。主な要件は次の3つです。
- 青色申告の承認を受けていること
- 前々年分の事業所得と不動産所得の金額の合計が300万円以下であること(同法施行令195条1号)
- その年の3月15日までに届出書を出していること(同施行令197条1項)
この合計は、青色事業専従者給与などを差し引く前の金額で見ます。
1月16日以後に開業した年の届出は、開業から2か月以内です。
注意
現金主義を選ぶと、青色申告特別控除は最高10万円になります(No.2072)。令和8年分の55万円・65万円も、令和9年分からの65万円・75万円も受けられません。
副業の雑所得は、前々年分のその業務の収入金額が300万円以下なら選べます(同法67条2項)。
要件は同施行令196条の2、申告書への記載は同197条3項が定めています。
届出をしていない事業所得の方は、原則どおり仕事を終えた日などで計上します。
年を誤ると、令和8年分と令和9年分の両方に影響します
売上の年がずれると、ずれた金額だけ2つの年の所得が増減します。
所得税は、1月1日から12月31日までの1年間ごとに所得と税額を計算します(No.2020)。
計算例
例:12月に終えた仕事の報酬50万円を、入金のあった令和9年分の売上にした場合
令和8年分の売上 正しくは800万円 → 申告 800万円 − 50万円 = 750万円 令和9年分の売上 正しくは900万円 → 申告 900万円 + 50万円 = 950万円経費は変わらない前提です。2年の合計は同じでも、税額は年ごとに計算します。
金額は一定の前提を置いた目安です。
令和8年分は修正申告、申告済みの令和9年分は更正の請求で直します。
修正申告は税額を増やす申告で、不足の税金には延滞税もかかります(No.2026)。
更正の請求は税額を減らすよう求める手続きで、原則として法定申告期限から5年以内です。
令和9年分の申告前なら、その50万円を外して申告します。
ポイント
調査の事前通知の前に自主的に修正申告をすれば、過少申告加算税はかかりません。通知の後は5%、調査の後は10%が基本で、一定の額を超える部分は割合が上がります(No.2026)。
申告の直し方は、確定申告を間違えたときの記事で解説しています。

売上の年がずれる記帳の例を5つ挙げます
次の5つは、売上や源泉徴収税額の年をずらしてしまう記帳の例です。
- 通帳の入金の合計を売上にした ― 12月に終えて1月に入金された仕事が、令和8年分から抜けます。
- 請求書を出した日で売上を入れた ― 12月の仕事の請求書を1月に出すと、年がずれます。
- 届出をせずに入金の年で計上した ― 現金主義は、要件を満たして届出をした方などが選べる方法です。
- 12月の前払いを令和8年分の売上にした ― 仕事を終えるのが1月なら、原則として令和9年分です。
- 源泉徴収税額を入金の年で差し引いた ― 売上に入れた年分で差し引きます(所得税法120条1項4号)。
売上の年がずれると、その報酬の源泉徴収税額を差し引く年もずれます。
ここまではご自身で、ここから先は個別判断です
12月31日の時点で、入金待ちの売上を書き出して帳簿を締めます。
入金待ちの代金は、売掛金(まだ受け取っていない代金)として帳簿に入れます。
青色申告の簡易な記帳でも、売掛帳は備える帳簿の例に挙がっています(No.2070)。
- 12月に終えた仕事を、請求書と納品の記録から書き出す
- 12月31日までに入金のないものを売掛金とし、令和8年分の売上に入れる
- 1月の入金は、売上ではなく売掛金の回収として記帳する
- 12月に受け取った前払いの代金のうち、仕事が1月のものを書き出す
- 源泉徴収された報酬は、引かれた税額も一緒に記録する
月ごとの報酬・検収のある仕事・現金主義を選ぶかどうかは、個別判断です。
掛金や備品など、売上以外で年末に確かめることは個人事業主が年末にやることの記事にまとめています。

税理士に頼むと変わるのは、売上の年の根拠と2年分の整合です
税理士が入ると、仕事ごとに売上にする日を根拠づけて帳簿を締められます。
小松公認会計士・税理士事務所では、次の作業を行います。
- 契約書・請求書・納品の記録をもとにした、仕事ごとの売上にする日の確認
- 12月31日の売掛金と前払いの代金の一覧づくりと、帳簿の締め
- 源泉徴収された税額を、売上を入れた年分にそろえる確認
- 現金主義を選べるかと、青色申告特別控除への影響の確認
- 過去の年分に誤りがあるときの、修正申告書と更正の請求書の作成
- 確定申告書の作成と電子申告、提出した申告書の控えのお渡し
全国どこからでも、オンラインで完結します。
料金の目安
基本料金32,000円(税込35,200円)に、当てはまる所得・控除ごとの単価を足した額が料金です。個人の確定申告は最低料金65,000円(税別・税込71,500円)からお引き受けしています。修正申告・更正の請求も同じ料金体系です。
通常料金での計算例です。事業の売上が300万円以下の方は、事業所得の単価が39,000円(税込42,900円)です。その他控除セット(社会保険料など)6,000円を足します。合計は32,000円+39,000円+6,000円=77,000円(税込84,700円)です。計算例は一定の前提を置いた目安です。
事業所得の単価は、売上の規模で決まります。ご自身の料金は60秒見積りで確かめられます。
この論点で小松公認会計士・税理士事務所ができること
制度は複雑ですが、お客様がすべてを理解する必要はありません。難しいことは、専門家にお任せください。
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よくある質問(FAQ)
Q1. 12月に納品した仕事の報酬が1月に入金されました。どちらの年の売上ですか?
原則として、納品した令和8年分の売上です。所得税は、その年に収入すべき金額で計算します(所得税法36条1項)。制作物の請負は、全部を完成して引き渡した日が原則です(所得税基本通達36-8)。入金の日では決まりません。現金主義を選んだ方などは例外です。
Q2. 入金の日で売上を計上してもよい場合はありますか?
あります。主な要件は、青色申告者で前々年分の事業所得と不動産所得の合計が300万円以下であることです。原則としてその年の3月15日までに届出をすれば入金の年で計上できます(所得税法67条1項)。選ぶと、青色申告特別控除は最高10万円になります(No.2072)。
Q3. 令和8年分の売上を令和9年分に入れていたら、どうなりますか?
令和8年分は税額が少なすぎるため、修正申告で直し、延滞税もあわせて納めます。調査の事前通知の後なら過少申告加算税もかかります。令和9年分を申告済みなら、更正の請求で多すぎた分を直します。期限は原則として法定申告期限から5年以内です(No.2026)。
Q4. 1月の入金から源泉徴収された税金は、どちらの年の申告で差し引きますか?
差し引く源泉徴収税額は、所得税法120条1項4号が定めています。その年の所得の計算の基礎となった所得について、源泉徴収をされた(またはされるべき)税額です。12月の仕事の報酬を令和8年分の売上に入れたなら、その源泉徴収税額も令和8年分で差し引きます。
免責事項
本記事は令和8年10月時点の法令・公表資料に基づく一般的な解説です。所得税法36条1項・67条1項・2項・120条1項4号、所得税法施行令195条1号・196条の2・197条1項・3項、所得税基本通達36-8・36-8の2・36-8の3・36-14、タックスアンサーNo.2020「確定申告」・No.2026「確定申告を間違えたとき」・No.2070「青色申告制度」・No.2072「青色申告特別控除」、弊所の料金表の内容を扱っています。着手金・中間金を受け取る仕事や完成まで数か月かかる請負、一部を引き渡すたびに代金を受け取る特約、検収基準の選び方と変更の細目、外注費などの経費を入れる年、在庫の評価、消費税の課税期間とインボイス、源泉徴収の対象となる報酬の範囲と支払調書、立替金・値引き・返品・貸倒れの処理、現金主義の届出書の書き方・適用をやめる場合と再び選ぶ場合・やめたときの調整・業務を廃止した年の扱い、事業所得と雑所得の区分、過少申告加算税・延滞税の計算と帳簿の提示がない場合などの加重、住民税・個人事業税・国民健康保険料への影響、令和9年分以後の青色申告特別控除(租税特別措置法25条の2)の要件の細目は扱っていません。記事中の計算例は一定の前提を置いた目安であり、実際の売上の年と税額は契約の内容や所得の状況によって変わります。具体的な判断は必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。
参考資料・出典
- e-Gov法令検索「所得税法」(36条・67条・120条)https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033
- e-Gov法令検索「所得税法施行令」(195条・196条の2・197条)https://laws.e-gov.go.jp/law/340CO0000000096
- 国税庁 所得税基本通達「〔収入金額〕」(36-8・36-8の2・36-8の3・36-14)https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/05/01.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.2026「確定申告を間違えたとき」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2026.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.2072「青色申告特別控除」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2072.htm
12月の仕事の売上を、正しい年分で締めませんか
12月に終えた仕事の売上は、入金が1月でも原則として令和8年分です。入金の年で計上できるのは、要件を満たして届出をした青色申告者などです。年を誤ると、修正申告と更正の請求で2年分を直すことになる場合があります。代表税理士が、契約書と請求書から仕事ごとに売上にする日を確かめ、12月31日の売掛金を整理して帳簿を締めます。確定申告書の作成と電子申告まで担当し、全国どこからでもオンラインで完結します。帳簿を締める前にご相談ください。
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