この記事の答え
- 個人の減価償却は計上を選べません。経費にしていなくても、売るときは取得費から引かれます
- 計上漏れで納めすぎた年は更正の請求で、申告期限から原則5年以内です。計上しすぎた年は修正申告です
- 例:年44万円を8年計上し忘れた人は、5年分220万円を直せ、3年分132万円は直せません(目安)
個人の減価償却は、計上するかどうかを選べません
家賃収入の減価償却の計上漏れや耐用年数の誤りに気づいたら、年ごとに申告を直します。納めすぎた税金を取り戻せるのは、原則として法定申告期限(通常は翌年3月15日)から5年以内です。経費にしなかった分も、売るときは取得費から引かれ、その分だけ売却の利益が増えます。

減価償却は、建物の代金を耐用年数に割り振り、毎年少しずつ経費にする計算です。法人は計上しない選択もできますが、個人の大家は違います。個人の償却費は、法律で決まった方法で計算した金額になります。
このため、計上を忘れた年の分を、今年まとめて経費にすることはできません。定額法の償却費は、建物の取得にかかった金額に償却率を掛けた額です。過去に計上したかどうかでは増えません。
税金が多かった年は更正の請求、少なかった年は修正申告です

正しく計算し直して税金が減るか増えるかで、手続が決まります。
税額も赤字の金額も変わらない年は、更正の請求ができません。
減価償却を計上しなかった年は、税金を納めすぎていることがあります。更正の請求(納めすぎた税金の減額を求める手続)で直します。令和8年11月の時点では、令和3年分から令和7年分までが対象です。令和3年分の期限は、原則として令和9年3月15日です。
税金が少なかった年は修正申告(申告のやり直し)をします。調査の事前通知の前に自主的に直せば、上乗せの税金(過少申告加算税)はかかりません。事前通知の後は新たに納める税金の原則5%、調査を受けた後は原則10%です。手続は確定申告を間違えたときの記事で解説しています。
税務署が税額を直せる期間は、原則として法定申告期限から5年で、偽りや不正があると7年です。
耐用年数の誤りは、短いか長いかで手続が逆になります

耐用年数を短くしすぎると、償却費が多くなり、税金は少なくなります。この年は修正申告です。長くしすぎた年は反対で、更正の請求です。
注意
Aさん:親から相続したアパートに、中古物件の短い耐用年数を使いました。国税庁の資料では、相続(限定承認を除く)の賃貸用の建物には使えません。親の取得価額や耐用年数などを引き継ぎます。
Bさん:骨格材の肉厚が3ミリ以下の軽量鉄骨アパートを、34年で計算しました。金属造の住宅用は肉厚で19年・27年・34年に分かれ、Bさんの建物は19年です。
売るときは、経費にしなかった分も取得費から引かれます

取得費は、売却の利益を計算するときに差し引く金額です。貸していた建物の取得費は、購入代金などの合計から毎年の減価償却費の合計を引いた額です。国税庁の資料は、必要経費としていない部分があっても、合計することに変わりはないと説明しています。
計算例
例:平成30年1月に新築の区分マンションを買い、同月から貸しているCさん
建物の取得にかかった金額は2,000万円で、鉄筋コンクリート造の住宅用(耐用年数47年)です。定額法の償却率は0.022です。Cさんは令和7年分までの8年間、減価償却費を計上していません。
2,000万円 × 0.022 = 年44万円44万円 × 8年 = 352万円直せる5年分220万円で減る所得税は、税率が毎年20%のままなら約45万円です。復興特別所得税を含み、住民税は含みません。例は一定の前提を置いた目安です。
令和8年11月の時点です。更正の請求で直せるのは令和3年分から令和7年分で、平成30年分から令和2年分は直せません。
Cさんが何もしないまま売っても、令和7年分までの352万円は取得費から引かれます。売った後に気づいても、取得費は増えません。
確認まではご自身で、年ごとの計算は個別判断です
ご自身で進められるのは、過去の申告の確認と資料集めまでです。
ご自身で確かめること
- 過去の決算書の減価償却の欄
- 売買契約書の建物の金額
- 建物の構造と用途
個別判断になること
- 土地と建物への代金の分け方
- 正しい耐用年数と償却費
- どの年をどの手続で直すか
税理士に頼むと、売買契約書などで購入代金を土地と建物に分け、構造と用途に合う耐用年数で計算します。小松公認会計士・税理士事務所では、代表(公認会計士・税理士)が最初から最後まで作成します。修正申告・更正の請求もお引き受けし、全国オンラインで完結します。
料金の目安
修正申告・更正の請求も、確定申告と同じ料金体系です。基本料金32,000円(税込35,200円)に、当てはまる所得・控除ごとの単価を足した額です。個人の確定申告は最低料金65,000円(税別・税込71,500円)からお引き受けしています。
通常料金での計算例です。会社員で物件は1つ、家賃収入は年300万円以下、消費税の申告と記帳代行はない前提です。内訳は、基本料金、家賃収入35,000円、給与所得6,000円、その他控除セット6,000円です。合計は79,000円(税別)で、税込では86,900円です。一定の前提を置いた1年分の目安で、複数年分のご依頼はご相談時にご案内します。
ご自身の料金は60秒見積りで確かめられます。
この論点で小松公認会計士・税理士事務所ができること
制度は複雑ですが、お客様がすべてを理解する必要はありません。難しいことは、専門家にお任せください。
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小松公認会計士・税理士事務所 代表
小松 優馬公認会計士・税理士
- お話を伺って、「あなたの場合はどうなるか」をはっきりお答えします
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よくある質問(FAQ)
Q1. 5年より前の年の分は、どうなりますか?
更正の請求の期間を過ぎた年の税金は、原則として戻りません。それでも、その年の減価償却費は、売るときに取得費から引く合計に入ります。今年の経費に回すこともできません。
Q2. 強制償却とは何ですか?
個人の減価償却は、計上するかどうかを選べないという意味です。法律で決まった方法で計算した金額が、毎年の償却費になります。法人は決算で費用にした金額の範囲で経費になるので、扱いが違います。
Q3. 売買契約書に建物の金額が書いていません。どう計算しますか?
購入代金を土地と建物に分けます。国税不服審判所の裁決には、固定資産税評価額の割合で分ける方法を、一般的には合理的とした例があります。資料によって変わるので、個別に確かめます。
Q4. 中古の物件を新築と同じ耐用年数で計算してきました。短くできますか?
新築と同じ年数でも、誤りとは限りません。中古の耐用年数は、使うことができるという扱いだからです。国税庁の法人向けの資料では、使い始めた事業年度に計算しなかったら後からはできないとされています。個人は個別に確かめます。
免責事項
本記事は令和8年11月時点の法令・公表資料に基づく一般的な解説です。所得税法38条2項・49条1項・120条1項、所得税法施行令120条の2・126条2項・131条、減価償却資産の耐用年数等に関する省令3条1項・別表第一・別表第八、国税通則法10条・19条・23条1項・65条・70条1項・5項、法人税法31条1項、耐用年数の適用等に関する取扱通達1-5-1、国税庁タックスアンサーNo.2026「確定申告を間違えたとき」・No.2106「定額法と定率法による減価償却(平成19年4月1日以後に取得する場合)」・No.2260「所得税の税率」・No.3261「建物の取得費の計算」・No.5404「中古資産の耐用年数」、質疑応答事例「相続により取得した減価償却資産の耐用年数」、国税不服審判所の令和4年9月9日裁決、弊所の料金表の内容を扱っています。平成19年3月31日以前に取得した建物の計算、定率法、償却方法の届出と変更、年の途中から貸した年の月割り、建物附属設備と資本的支出、自宅を貸した場合の計算、国外の建物、計上しなかった年がある場合に償却が終わる時期、5年より前の年に多く計上した償却費の扱い、修正申告の対象とする年の判定、確定申告の必要がない人が還付のために出した申告の期限、住民税・事業税の手続、純損失の繰越し、判決などによる更正の請求、更正の請求書の様式と書き方、請求に付ける書類、過少申告加算税の割合が上がる部分(10%・15%)と帳簿に関する加算、当初の申告が期限後だった場合の無申告加算税、延滞税の割合、譲渡所得の税率と特例、法人の減価償却は扱っていません。中古の耐用年数の計算を後からできないことは、国税庁の法人向けの資料の内容で、個人について明記した資料は確認できなかったため、結論を示していません。記事中の計算例は一定の前提を置いた目安であり、実際の金額は建物の金額、取得の時期、所得や税率によって変わります。具体的な判断は必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。
参考資料・出典
- 国税庁「No.3261 建物の取得費の計算」(所得税法38条2項)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3261.htm
- 国税庁「No.2026 確定申告を間違えたとき」(国税通則法19条・23条・65条)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2026.htm
- e-Gov法令検索「所得税法」(38条2項・49条1項)https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033
- 国税庁 質疑応答事例「相続により取得した減価償却資産の耐用年数」(耐用年数省令3条1項・所得税法施行令126条2項)https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/04/30.htm
- e-Gov法令検索「国税通則法」(19条・23条1項・70条1項・5項)https://laws.e-gov.go.jp/law/337AC0000000066
- 国税庁「No.5404 中古資産の耐用年数」(耐用年数の適用等に関する取扱通達1-5-1)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5404.htm
- 国税不服審判所「令和4年9月9日裁決」(所得税法施行令126条1項)https://www.kfs.go.jp/service/JP/128/02/index.html
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減価償却の誤りは、年ごとに税金が増えるか減るかで手続が分かれ、耐用年数や建物の金額の確認も要ります。弊所が、前年までの申告書の控えと売買契約書をもとに、購入代金を土地と建物に分け、構造と用途に合う耐用年数で計算し直します。更正の請求・修正申告もお引き受けし、全国どこからでもオンラインで完結します。料金は60秒見積りで確かめられますので、更正の請求の期限を過ぎないよう、ご依頼をご検討ください。
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