この記事のポイント
- 掛金や国民年金は、原則として12月31日までに払った分が令和8年分の控除です
- パソコンなどの備品は、12月31日までに事業で使い始めたものが令和8年分の対象です
- 売上と経費は原則として、入金や支払いの日でなく確定した日で年が決まります
- どの手を使うかは令和8年分の所得の見込みしだいで、効果は人により違います
まず結論:12月31日を過ぎると、令和8年分に入らないものがあります
所得税は、1月1日から12月31日までの所得で計算します(タックスアンサーNo.2020)。
分かれ目は「払った日」「事業で使い始めた日」「売上や経費が確定した日」の3つです。
どの手を使うかは、令和8年分の所得の見込みで変わります。

12月31日が区切りになるものを一覧にします
次の6つは、12月31日までの状況で令和8年分に入るかが決まります。
| 項目 | 令和8年分に入る条件(原則) |
|---|---|
| 小規模企業共済・iDeCoの掛金 | 12月31日までに払い込んだ分 |
| 国民年金・国民健康保険料など | 12月31日までに払った分(生計を一にする家族の分を含む) |
| パソコンなどの備品 | 12月31日までに事業で使い始めた分 |
| 経費(未払いを含む) | 12月31日までに債務が確定した分 |
| 売上(入金が翌年でも) | 12月31日までに引渡しやサービスの提供を終えた分 |
| 在庫 | 12月31日に持っている分を評価し、売上原価を計算(所得税法47条1項) |
掛金と保険料は「払った年」の控除です
小規模企業共済やiDeCoの掛金は、その年に払った金額が控除の対象です(所得税法75条1項)。
iDeCoの毎月の掛金は、翌月26日に引き落とされます(iDeCo公式サイト)。控除は1月〜12月に納付した合計なので、毎月払いなら令和8年12月分は令和9年分の控除です。
国民年金や国民健康保険料も同じです。生計を一にする家族の分を払えば、払った人の控除になります(所得税法74条1項)。
過去の年分の国民年金も、12月31日までに払えば令和8年分の控除です。1年以内の前納や2年前納は、払った年にまとめて控除できます(No.1130の質疑応答)。
注意
小規模企業共済のオンライン申込は、11月・12月だと初回の請求が翌年になり、令和9年分の控除です。令和8年分にするには、委託機関の窓口で「現金あり」の加入手続きをします(中小機構)。
小規模企業共済の掛金は、事業の経費にはできません(中小機構)。詳しくは小規模企業共済とiDeCoの記事へ。

備品は「事業で使い始めた年」の経費です
パソコンなどの備品は、買った日ではなく、事業で使い始めた年から経費になります。
金額ごとの扱いは次のとおりです(No.2100、所得税法施行令138条・139条)。
- 10万円未満:使い始めた年に全額を経費にします
- 10万円以上20万円未満:3年間で均等に経費にできます(一括償却資産)
- 10万円以上40万円未満:青色申告の中小事業者は、使い始めた年に全額を経費にできます
40万円未満の特例は年300万円が上限で、開業や廃業の年は月割りです(租税特別措置法28条の2)。対象は令和8年4月1日以後の取得分で、それより前は30万円未満です(No.2100)。
計算例
例:令和8年12月に35万円のパソコンを買った場合(青色申告の中小事業者が特例を選ぶ前提)
12月中に使い始めた → 令和8年分の経費 350,000円 令和9年1月に使い始めた → 令和8年分の経費 0円(令和9年分に計上)金額は一定の前提を置いた目安です。
12月に買う備品は、年内に使い始めないと令和8年分になりません。
売上と経費は「確定した日」で年が決まります
売上と経費は原則として、お金が動いた日ではなく確定した日で計上します。
売上は、商品の引渡しやサービスの提供を終えた日の年分です(所得税基本通達36-8)。12月に納品し1月に入金される売上は、令和8年分です。
減価償却費以外の経費は、その年に債務が確定した分です(所得税法37条1項)。
通達は、12月31日までに3つの要件がそろうことを求めています(所得税基本通達37-2)。債務の成立、給付の原因となる事実の発生、金額を合理的に計算できることです。
家賃などの前払いは、払っても原則としてその年の経費になりません(同37-30の2)。支払った日から1年以内の分を、継続して払った年の経費にしている場合は認められます。
消耗品のまとめ買いも、原則は使った年の経費です(同37-30の3)。毎年ほぼ一定量を買って使う事務用品などには例外があります。
年の区切りを間違えると、2年分の申告に響きます
年の区切りを間違えると、令和8年分と令和9年分の両方の所得がずれます。
- 使い始める前の備品を経費にした ― 令和8年分の経費が多すぎ、申告を直す必要が出ます。
- 入金の日で売上を入れた ― 12月納品分が令和9年分に入り、両方の年の所得がずれます。
- iDeCoの12月分を入れた ― 令和8年に払っていない掛金は控除できません(所得税基本通達74・75-1)。
- 前納の特例を使わずに申告した ― 申告後に税額を減らすよう求めても、この特例は使えません(同74・75-2)。
帳簿の締めが遅れて申告期限を過ぎると、65万円・55万円の青色申告特別控除は使えません。控除は最高10万円になります(No.2072)。
令和8年分の期限は、原則として令和9年3月15日です(No.2020)。65万円は、正規の簿記(複式簿記)で記帳し、貸借対照表などを添えて期限内に申告することが前提です。そのうえで、e-Taxでの送信か優良な電子帳簿での保存が要ります。
補足
令和8年度改正で、令和9年分からは正規の簿記と期限内のe-Taxでの申告で65万円になります。優良な電子帳簿の保存なども行えば75万円です。書面申告の控除の上限は10万円です(国税庁の案内)。優良な電子帳簿は、年の初めから要件を満たす必要があります。

どの手を使うかは、令和8年分の所得の見込みで決まります
同じ金額の掛金でも、税率の区分が高い人ほど、減る所得税は大きくなります。
所得税の税率は、所得に応じて5%から45%の7段階です(No.2260)。
計算例
例:小規模企業共済の掛金を月25,000円で12か月払い、30万円を控除した場合(減る所得税)
課税される所得金額150万円 300,000円 × 5% = 15,000円 課税される所得金額300万円 300,000円 × 10% = 30,000円 課税される所得金額800万円 300,000円 × 23% = 69,000円課税される所得金額は、所得控除を引いた後の金額です。復興特別所得税と住民税は含めていません。
金額は一定の前提を置いた目安です。控除の前後で税率の区分が変わると、計算も変わります。
手を打つ順番は個人事業主が手を打つ順番の記事で解説しています。
年内の打ち手は、1月から11月の帳簿で所得の見込みを出してから選びます。

ここまではご自身で、ここから先は個別判断です
年内にご自身で確かめられるのは、次の5つです。
- 1月から11月の売上と経費を帳簿に入れ、合計を出す
- 12月に納品する売上と、12月中に確定する経費を書き出す
- 掛金・国民年金の払込みと引落し日を確かめる
- 買う予定の備品の納品と使い始めが年内かを確かめる
- 12月31日時点の在庫を数えて記録する
申告には、国民年金や掛金の証明書の添付か提示が要ります(No.1130・No.1135)。令和9年1月1日以後に出す令和8年分の申告書は、証明書に代えて一定の明細書も使えます。
どの手を使うと効果があるかは、所得の見込みと資金繰りを並べて決める個別判断です。
税理士に頼むと変わるのは、見込み計算と帳簿の締め方です
税理士が入ると、見込みをもとに打ち手を選び、帳簿を締められます。
小松公認会計士・税理士事務所では、次の作業を行います。
- 1月から11月の帳簿をもとにした、令和8年分の所得の見込み計算
- 掛金や備品の購入などの手ごとに、減る税額と手元の資金を並べた試算
- 12月の売上と経費を入れる年の確認と、12月31日での帳簿の締め
- 控除証明書など、集める書類の一覧でのご案内
- 青色申告決算書と確定申告書の作成と、期限内のe-Taxでの提出
全国どこからでも、オンラインで完結します。料金は、所得の種類・取引の量・記帳の状態で決まり、60秒見積りでその場で分かります。
この論点で小松公認会計士・税理士事務所ができること
制度は複雑ですが、お客様がすべてを理解する必要はありません。難しいことは、専門家にお任せください。
登録者6,900人超
小松公認会計士・税理士事務所 代表
小松 優馬公認会計士・税理士
- お話を伺って、「あなたの場合はどうなるか」をはっきりお答えします
- 必要な書類のご案内から申告まで、まるごとお任せいただけます
- 料金は先にお見積り。全国どこでも、オンラインで完結できます
YouTube「税理士 小松ゆうまチャンネル」(登録者6,900人超)で、税金の話を分かりやすく解説しています。動画を見てみる
初回相談は無料です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 12月に小規模企業共済に加入すれば、令和8年分の控除になりますか?
控除の対象は、その年に払い込んだ掛金です。中小機構は、11月・12月のオンライン申込は初回の請求が翌年になると案内しています。その場合は令和9年分の控除です。令和8年分にするには、12月の最終営業日までに委託機関の窓口で「現金あり」の加入手続きをします。
Q2. iDeCoの12月分の掛金は、令和8年分の控除に入りますか?
iDeCo公式サイトは、毎月の掛金は翌月26日に引き落とされると案内しています。控除になるのは、1月〜12月に納付した掛金の合計です。毎月払いの場合、令和8年12月分は令和9年分の控除です。払っていない掛金は控除できません(所得税基本通達74・75-1)。
Q3. 12月にパソコンを買えば、令和8年分の経費になりますか?
12月31日までに事業で使い始めることが必要です。青色申告の中小事業者は、10万円以上40万円未満の資産を使い始めた年に全額経費にできます。上限は年300万円(開業・廃業の年は月割り)で、令和8年4月1日以後の取得分が対象です。根拠は租税特別措置法28条の2です。
Q4. 65万円の青色申告特別控除の要件は、令和8年分と令和9年分で変わりますか?
令和8年分の要件は、正規の簿記での記帳と、貸借対照表などを添えた令和9年3月15日までの申告です。これに加えて、e-Taxでの送信か優良な電子帳簿での保存が必要です(No.2072)。令和9年分からは期限内のe-Taxが必須で、書面申告の上限は10万円です。
免責事項
本記事は令和8年10月時点の法令・公表資料に基づく一般的な解説です。所得税法37条1項・47条1項・74条1項・75条1項、所得税法施行令138条1項・139条1項、租税特別措置法25条の2・28条の2、所得税法等の一部を改正する法律(令和8年法律第12号)附則33条・35条、所得税基本通達36-8・37-2・37-30の2・37-30の3・74・75-1・74・75-2、タックスアンサーNo.1130「社会保険料控除」・No.1135「小規模企業共済等掛金控除」・No.2020「確定申告」・No.2072「青色申告特別控除」・No.2100「減価償却のあらまし」・No.2260「所得税の税率」、国税庁の令和9年分以後の青色申告特別控除の案内、iDeCo公式サイトと中小企業基盤整備機構の案内の内容を扱っています。消費税の届出(簡易課税制度の選択など)とインボイス、青色申告の承認申請、前払費用の特例の詳しい要件、消耗品の例外の細目、iDeCoの年単位拠出、小規模企業共済の加入資格と前納の細目、共済金や年金を受け取るときの課税、中小事業者の判定、貸付けの用に供した資産の扱い、取得価額に消費税を含めるかの判定、通常の減価償却の計算、償却資産税、棚卸資産の評価方法、現金主義の特例を選んだ青色申告者の計上時期、家事按分、青色事業専従者給与、医療費控除・生命保険料控除・寄附金控除、優良な電子帳簿の届出書、令和9年分以後の青色申告特別控除の細目(前々年の収入金額が1,000万円を超える方の扱いやデジタルシームレス保存など)、復興特別所得税・住民税・個人事業税・国民健康保険料への影響は扱っていません。記事中の計算例は一定の前提を置いた目安であり、実際の税額は所得や控除の内容によって変わります。具体的な判断は必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。
参考資料・出典
- e-Gov法令検索「所得税法」(37条・74条・75条)https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033
- e-Gov法令検索「租税特別措置法」(25条の2・28条の2)https://laws.e-gov.go.jp/law/332AC0000000026
- 国税庁 タックスアンサー No.2100「減価償却のあらまし」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2100.htm
- 国税庁「【令和9年分確定申告から適用】優良な電子帳簿の保存又はデジタルシームレス保存により75万円の青色申告特別控除を適用しましょう!」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kojin_jigyo/0026007-003_02.pdf
- 中小企業基盤整備機構「小規模企業共済のオンライン手続きによる加入申込について【令和8年分の所得控除の対象は10月申込分まで】」https://www.smrj.go.jp/kyosai/skyosai/news/2026/qsktgp000000cx1u.html
年内の打ち手は、所得の見込みを出してから選びませんか
掛金や国民年金は原則として払った年の控除、備品は使い始めた年から経費です。売上と経費は原則として、確定した日で令和8年分に入るかが決まります。どの手が効くかは、令和8年分の所得の見込みで変わります。代表税理士が、1月から11月の帳簿で所得の見込みを出し、年内に確かめることを整理します。帳簿の締めから、確定申告書の作成と期限内の提出まで対応します。全国どこからでもオンラインで完結します。12月31日を迎える前にご相談ください。
無料相談を申し込む 個人事業主・フリーランスの確定申告サポートを見る 約60秒で料金を自動見積り