この記事の答え
- 自分の仕事の費用は原則として売上です。取引先が本来払う費用を実費で分ければ立替金です
- 報酬から源泉徴収される人は、受け取る交通費も原則として報酬に含まれます
- 源泉徴収の例:交通費1万円で1,021円多く引かれ、申告で精算します(1回100万円以下・消費税別)
売上か立替金かは、本来だれが払う費用かで分かれます
取引先に請求する交通費や材料費は、自分の仕事の費用なら、原則として売上に含めます。払った分は経費にします。
立替金とは、取引先の代わりに一時的に払ったお金です。立替金として売上から外せるのは、本来は取引先が払う費用を、実費のまま報酬と分けて受け取る場合です。

請求額と実費が同じなら、どちらでも利益は同じです。差が出るのは、源泉徴収(取引先が報酬から税金を引いて納める仕組み)と消費税です。ただし、立替金と書いても、源泉徴収の対象から外れるとは限りません。
目安です。契約と実態で個別に判断します。
国税庁の質疑応答事例では、ホテルが客のタクシー代を立て替え、明確に区分すれば、消費税の対象外です。実費に上乗せすると、全額が対象です。
分け方を間違えると、税金の払いすぎや申告もれが起きます

分け方を間違えると、税額や取引先の書類との金額がずれます。次の3人は例です。
- ライターのAさん ― 取材の交通費を立替金として売上から外したのに、経費にも入れました。所得が小さくなり、税金が少なすぎる申告になります。
- 一人親方のBさん ― 材料費を売上に含めたのに、経費に入れ忘れました。所得が大きくなり、税金を払いすぎます。
- デザイナーのCさん ― 交通費を売上から外しましたが、取引先は報酬に含めました。取引先が税務署に出す支払調書(支払額の報告書)と、売上の金額が合いません。
注意
税金が少なすぎたときは、修正申告で直し、延滞税も納めます。調査の事前通知の後に直すと、追加の税金(過少申告加算税)がかかる場合があります。払いすぎたときは、税金を返してもらう手続き(更正の請求)ができる場合があります。期間は原則として申告期限から5年以内です。
源泉徴収がある仕事は、実費の交通費も原則として報酬です

デザイン料や原稿料など源泉徴収の対象の報酬では、本人が受け取る交通費も原則として報酬です。
対象の報酬の種類は、法律で決まっています。国税庁の資料では、実費のまま受け取っても同じ扱いです。車賃や材料費の名目でも、報酬の性質があれば対象です。
例外は、取引先が交通機関やホテルに直接払い、金額が通常必要な範囲の場合です。たとえば、取引先が切符を買って渡す形です。
計算例
例:デザイナーのCさん(報酬200,000円、交通費10,000円。税別)
報酬だけ 200,000円 × 10.21% = 20,420円交通費を含む 210,000円 × 10.21% = 21,441円差額 21,441円 − 20,420円 = 1,021円消費税を請求書で分け、1回の支払いが100万円以下という、一定の前提を置いた目安です。令和9年分以後も計算方法は変わりません。
源泉徴収された交通費は、売上に含めて経費にすると、支払調書の金額とそろいます。多く引かれた分は、確定申告で精算します。
売上に含めると、消費税を納めるかの判定に響きます

売上に含めた交通費や材料費は、原則として消費税の対象の売上にも入ります。国税庁の質疑応答事例も、弁護士が立替金として処理した実費の交通費を、対象と答えています。例外は、実質的に依頼者の直接払いと認められる場合です。
個人は、2年前のこの売上が1,000万円以下なら、原則として納税が免除されます。インボイス登録をした人などは免除されません。
納税を免除されているDさんは、報酬970万円、交通費と材料費50万円なら、売上1,020万円です。2年後は、原則として消費税の納税が必要です。売上に当たる費用を立替金として外すと、この判定を誤ります。
請求書は、報酬と実費を分けて書きます
請求書は、売上に含める費用と立替金で書き方を変えます。
売上に含めるとき(Cさんの例)
- デザイン料 200,000円
- 交通費 10,000円
- 消費税 21,000円
- 源泉徴収税額 −21,441円
- 差引の入金額 209,559円
立替金として分けるとき
- 報酬の合計と別の欄に書く
- 「立替金」と日付・内容・支払先を書く
- 領収書の金額のまま書く
- 領収書の写しと立替金精算書を添える
領収書の写しと精算書は、取引先の消費税の控除に使います。帳簿だけで控除できる支払いでは不要です。帳簿では、立替金は売上にも経費にも入れません。
ここまではご自身で、ここから先は個別に確かめます
ご自身で進められるのは、次の3つです。
- 請求書の交通費・材料費を、領収書と照らす
- 支払明細で、源泉徴収された金額を確かめる
- 売上・経費・立替金のどれに入れたかを書き出す
契約に実費の負担の定めがない場合や、売上が1,000万円に近い場合は、個別の判断が要ります。
税理士に頼むと、請求書から申告まで通して確かめます
小松公認会計士・税理士事務所では、次の作業を弊所が行います。全国オンラインで完結します。
- 請求書・入金の記録と、源泉徴収された報酬の明細の確認
- 領収書と通帳・カードの明細からの記帳代行(別料金)
- 確定申告書の作成と電子申告、消費税の申告
料金の目安
基本料金32,000円(税込35,200円)に、当てはまる所得・控除ごとの単価を足した額が料金です。個人の確定申告は最低料金65,000円(税別・税込71,500円)からお引き受けしています。
通常料金での計算例です。売上300万円までの事業所得と、その他控除セットがある場合です。32,000円+39,000円+6,000円=77,000円(税別・税込84,700円)です。消費税の申告がない場合の、一定の前提を置いた目安です。
ご自身の料金は60秒見積りで確かめられます。
この論点で小松公認会計士・税理士事務所ができること
制度は複雑ですが、お客様がすべてを理解する必要はありません。難しいことは、専門家にお任せください。
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よくある質問(FAQ)
Q1. 交通費込みの報酬を受け取ったときは、どう処理しますか?
受け取った報酬の全額が売上です。実際にかかった交通費は、領収書や記録を残して経費にします。報酬に含まれたお金なので、立替金にはなりません。
Q2. 領収書の宛名が自分でも、立替金にできますか?
宛名だけでは決まりません。本来は取引先が払う費用かどうかで判断します。取引先は、立て替えた人の宛名の適格請求書でも、精算書とあわせて保存すれば消費税の控除に使えます。
Q3. 商品の送料を別に請求したときも、売上ですか?
消費税では、条件を満たせば売上に含めなくて差し支えありません。条件は、他の業者に頼む配送料を代金と明確に分けて受け取り、預り金などで処理していることです。分けずに代金へ含めたときは、全額が売上です。
Q4. インボイス登録をしていると、売上に含めた分で税額は増えますか?
2割特例や3割特例、簡易課税を使う個人は、増えます。売上の消費税(地方消費税を含む)が1万円増えると、令和8年分までの2割特例で2,000円増えます。令和9年分・令和10年分の3割特例では3,000円です。一定の前提を置いた目安です。
免責事項
本記事は令和8年11月時点の法令・公表資料に基づく一般的な解説です。所得税法27条・36条・37条・204条・205条、消費税法2条1項8号・9条・28条、所得税基本通達204-2・204-4、消費税法基本通達10-1-16、国税庁の質疑応答事例「実費弁償金の課税」「ホテルの客のタクシー代の立替払」「弁護士に支払う旅費相当額」、インボイス制度に関するQ&A問94、タックスアンサーNo.2020・No.2026・No.2792・No.2795・No.6501・No.7431、「インボイス制度に関する 令和8年度税制改正について」「2割特例(インボイス発行事業者となる小規模事業者に対する負担軽減措置)の概要」「防衛特別所得税及び復興特別所得税の源泉徴収のあらまし(令和9年1月以後の源泉徴収)」、弊所の料金表の内容を扱っています。交通費や材料費について、売上と立替金の線引きを一般的に定めた規定は確認できなかったため、本記事の判定は質疑応答事例の考え方にもとづく目安です。質疑応答事例は弁護士やホテルの例で、ほかの業種の個別の取引の結論を示すものではありません。登録免許税など法令で依頼者が納める税金や手数料を立て替えた場合、材料の支給を受ける場合、帳簿のみで控除できる支払いの細目、適格請求書の記載事項、簡易課税の税額、特定期間の判定、支払調書の提出範囲、過少申告加算税・延滞税の計算、海外の旅費、売上の計上時期、契約書の書き方は扱っていません。記事中の計算例は一定の前提を置いた目安であり、実際の税額と料金は取引や所得の内容によって変わります。具体的な判断は必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。
参考資料・出典
- 国税庁 質疑応答事例「実費弁償金の課税」https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/02/12.htm
- 国税庁 質疑応答事例「ホテルの客のタクシー代の立替払」https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/02/11.htm
- 国税庁 質疑応答事例「弁護士に支払う旅費相当額」https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hotei/2/03.htm
- 所得税基本通達 法第204条《源泉徴収義務》関係〔共通関係〕(204-2・204-4)https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/36/01.htm
- 国税庁「インボイス制度に関する 令和8年度税制改正について」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice-review/pdf/0026002-095.pdf
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