事業所得

報酬から源泉徴収されたフリーランスの確定申告
引かれた税金を精算するときの注意点

小松優馬

小松 優馬

公認会計士(登録番号43196)・税理士(登録番号151214)

監査法人での上場企業監査・上場準備CFO経験を経て独立。港区浜松町で個人・法人の税務をサポート。YouTubeチャンネル「公認会計士・税理士 小松ゆうま」運営。

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この記事のポイント

  • 報酬から引かれた税金は、確定申告で過不足を精算します
  • 売上は振込額でなく引かれる前の金額で入れ、引かれた税金は経費にしません
  • 支払調書は本人に渡す義務がなく、請求書と入金の記録でも集計できます
  • 還付申告は翌年1月から5年間。令和8年分の55万円・65万円の青色申告特別控除は原則3月15日までです

まず結論:引かれた税金は、確定申告で差し引いて精算します

デザイン料・原稿料・講演料などの報酬は、原則として税金を差し引いて支払われます。

これを源泉徴収といい、1回の支払の100万円以下の部分は10.21%です(No.2795)。

給与と違って報酬に年末調整はないため、ご自身の確定申告で精算します。

源泉徴収された税金や予定納税額などがある場合には、この確定申告によってその過不足を精算します。

(国税庁タックスアンサー No.2020)

精算を漏らすと、納めすぎた税金は戻らないままです。

支払う側の決まりは、個人に払う報酬の源泉徴収の記事にあります。

報酬から引かれた税金は、確定申告で過不足を精算します
報酬から引かれた税金は、確定申告で過不足を精算します

引かれた税金は、計算した税額から最後に差し引きます

申告では、1年分の税額を計算してから、次の税額を差し引きます。

各種所得につき源泉徴収をされた又はされるべき所得税の額

(所得税法120条1項4号)

予定納税をした方は、その額も差し引きます。残りが黒字なら納付、赤字なら還付です。

計算例

例:令和8年分。報酬500万円、経費150万円、青色申告特別控除65万円、所得控除150万円の場合

引かれた税金 5,000,000円 × 10.21% = 510,500円(振込額4,489,500円) 事業所得 5,000,000円 - 1,500,000円 - 650,000円 = 2,850,000円 課税される所得 2,850,000円 - 1,500,000円 = 1,350,000円 所得税 1,350,000円 × 5% = 67,500円 復興特別所得税を足す 67,500円 + 1,417円(2.1%)= 68,917円 精算 68,917円 - 510,500円 = △441,583円(還付)

報酬はすべて源泉徴収の対象で1回100万円以下、65万円の控除の要件を満たす前提です。消費税の申告、ほかの所得、税額控除はないものとします。

金額は一定の前提を置いた目安です。

税額より引かれた税金が多ければ、差額は申告によって還付されます(所得税法138条1項)。

売上は振込額ではなく、引かれる前の金額で入れます

売上には、振込額ではなく、引かれる前の報酬の額を入れます。

売上は「収入すべき金額」で計算し(所得税法36条1項)、振込額は税金を引いた残りだからです。

引かれた税金は、経費にもなりません(所得税法45条1項2号)。

ポイント

引かれた税金は売上に含めたうえで、税額から差し引きます。両方から引くと、二重に差し引く形になります。

支払調書は届かなくても、請求書と入金の記録で集計できます

支払調書が届かなくても、確定申告はできます。

支払調書は、支払った側が翌年1月31日までに税務署へ出す書類です(No.7431)。

本人に渡す義務はないとされ(国税庁の法定調書FAQ Q3-1)、写しが届くかは取引先しだいです。

デザイン料や原稿料は、同じ相手への年間の支払が5万円以下なら提出の対象外です。

次の順に集計します。

  1. 1年分の請求書と支払明細を、取引先ごとに並べる
  2. 報酬の額・引かれた税額・振込額を書き出す
  3. 「報酬 - 税額 = 振込額」になるかを通帳で確かめる
  4. 合わない行は、取引先に内訳を尋ねる

金額は第二表の「所得の内訳」欄に書き、合計を第一表の「源泉徴収税額」欄に入れます。

支払調書の金額が合わないときは、請求書と入金の記録に戻ります

支払調書の金額は、そのまま写す数字ではありません。差が出た理由を確かめます。

差が出る場面支払調書の書き方(法定調書の手引)確かめること
年のずれその年中に支払の確定した額を書く売上は原則として、仕事を終えた日などの年に入れる(通達36-8)
未払の報酬未払の額と未徴収の税額を上段に内書きする上段は内数なので、足さない
消費税原則は含めて書く。区分があれば含めず、摘要欄に書けるご自身の集計が税込か税抜か

年をまたぐ報酬の税額は、売上に入れた年の申告で差し引きます。

その年の所得の基礎となった報酬の税額を差し引く定めだからです(所得税法120条1項4号)。

売上の年は、年またぎの計上の記事で解説しています。

注意

支払者がまだ納付していない税額は、納付があるまで還付されません(所得税法138条2項)。還付になる申告で未払の報酬の税額が未納付なら、第一表の専用の欄に書きます(所得税法施行令267条)。支払者が納付したら、遅滞なく「源泉徴収税額の納付届出書」を出して還付を受けます(同条3項)。

対象でない報酬から引かれたときは、対象外の報酬の記事をご覧ください。

失敗パターン:精算を間違えると、結果が変わります

上の例(正しくは441,583円の還付)でも、間違えると結果が変わります。

間違い例の場合の結果起きること
源泉徴収税額の欄を空けた68,900円の納付更正の請求で直す。期間は原則として、法定申告期限(還付申告は提出した日)から5年以内(No.2026・No.2030)
振込額を売上にし、税額からも引いた還付467,670円(26,087円多い)修正申告で直す。延滞税のほか、調査の通知後は過少申告加算税もかかる(No.2026)
還付だからと原則の期限3月15日を過ぎた還付413,505円(28,078円少ない)青色申告特別控除が65万円から10万円になる(No.2072)
申告しなかった441,583円が戻らない翌年1月1日から5年を過ぎると請求できない(国税通則法74条1項)

金額は一定の前提を置いた目安です。

納める税金があるのに申告しないと、無申告加算税や延滞税の対象になることがあります(No.2024)。

税額より多く引かれた分は、申告すると還付されます
税額より多く引かれた分は、申告すると還付されます

納める人と還付になる人で、出す時期の決まりが違います

年間の税額と引かれた税金のどちらが多いかで、手続きが分かれます。

場合所得税の手続き出す時期
年間の税額のほうが多い原則として確定申告が必要(No.2020)原則として翌年2月16日から3月15日まで
引かれた税金(予定納税を含む)のほうが多い申告の義務はなく、還付申告ができる(所得税法120条1項・122条1項)翌年1月1日から5年間(No.2030)

令和8年分の還付申告なら、令和9年1月1日から令和13年12月31日までです。

ただし、55万円・65万円の青色申告特別控除を受けるなら、還付申告でも期限があります。

法定申告期限(原則翌年3月15日)までの提出が必要です(No.2030)。

令和9年分以後は65万円・75万円で、どちらも期限内のe-Tax送信が要件です(租税特別措置法25条の2)。

ご自身で集計する部分と、個別判断の部分を分けます
ご自身で集計する部分と、個別判断の部分を分けます

ここまではご自身で、ここから先は個別判断です

ご自身で確かめられるのは、次の3つです。

  • 取引先ごとの報酬・引かれた税額・振込額の一覧
  • 引かれた税額の率が10.21%(1回100万円を超える部分は20.42%)か
  • 第二表の合計と、第一表の源泉徴収税額の一致

次の場面は、契約や事実で扱いが変わる個別判断です。

  • 源泉徴収の対象の報酬と、対象でない報酬が混ざっている
  • 検収や月ごとの報酬で、売上にする日が分かれる
  • 過去の年分に漏れや誤りがある

税理士に頼むと変わるのは、売上と税額の突き合わせです

小松公認会計士・税理士事務所では、次の作業を行います。

  • 必要な資料の一覧でのご案内
  • 請求書・入金の記録・報酬の明細をもとにした、売上と源泉徴収税額の集計
  • 領収書・通帳からの記帳代行(ご希望の方)
  • 青色申告決算書・収支内訳書の作成
  • 確定申告書の作成、内容のご確認、電子申告での提出
  • 納付または還付のご案内

全国どこからでも、オンラインで完結します。

料金の目安

基本料金32,000円(税込35,200円)に、当てはまる所得・控除ごとの単価を足した額が料金です。個人の確定申告は最低料金65,000円(税別・税込71,500円)からお引き受けしています。修正申告・更正の請求も同じ料金体系です。

通常料金での計算例です。売上500万円の事業所得49,000円と、その他控除セット(社会保険料など)6,000円を足します。合計は32,000円+49,000円+6,000円=87,000円(税込95,700円)です。

消費税の申告や記帳代行を頼む場合は、その分が加わります。計算例は一定の前提を置いた目安です。ご自身の料金は60秒見積りで確かめられます。

この論点で小松公認会計士・税理士事務所ができること

制度は複雑ですが、お客様がすべてを理解する必要はありません。難しいことは、専門家にお任せください。

小松公認会計士・税理士事務所 代表 小松優馬 登録者6,900人超

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よくある質問(FAQ)

Q1. 支払調書が届きません。確定申告はできますか?

申告できます。報酬の支払調書は、所得税法上、本人に交付する義務がないとされています(国税庁FAQ)。届かないときは、請求書・支払明細・入金の記録で、取引先ごとに報酬と引かれた税額を集計します。分からない行は取引先に確かめます。

Q2. 支払調書の金額と売上が合いません。どちらで申告しますか?

支払調書を写さず、請求書と入金の記録で確かめます。支払調書は、その年中に支払の確定した額を書く書類です。売上は原則として、仕事を終えた日などの年に入れます。年のずれ、未払、消費税の扱いで差が出ることがあります。

Q3. 引かれた税金のほうが多いときは、いつまでに申告しますか?

所得税の申告の義務はなく、還付申告ができます。提出できるのは翌年1月1日から5年間です(No.2030)。ただし、令和8年分の55万円・65万円の青色申告特別控除には期限があります。還付申告でも、原則令和9年3月15日までに提出します。

Q4. 引かれた税金は経費にできますか?

できません。所得税は必要経費にならないと定められています(所得税法45条1項2号)。売上には引かれる前の報酬の額を入れ、引かれた税金は申告書の源泉徴収税額の欄で差し引きます。売上と税額の両方から引くと、二重に差し引く誤りになります。

免責事項

本記事は令和8年11月時点の法令・公表資料に基づく一般的な解説です。所得税法36条1項・45条1項2号・120条1項・122条1項・138条1項・2項・190条・204条1項・205条1号・225条1項3号、所得税法施行令267条1項2号・3項、租税特別措置法25条の2、国税通則法23条1項・74条1項、所得税基本通達36-8、タックスアンサーNo.2020「確定申告」・No.2024「確定申告を忘れたとき」・No.2026「確定申告を間違えたとき」・No.2030「還付申告」・No.2031「未納付の源泉徴収税額に対する還付手続」・No.2072「青色申告特別控除」・No.2260「所得税の税率」・No.2795「原稿料や講演料等を支払ったとき」・No.7431「「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」の提出範囲と提出枚数等」、国税庁「法定調書に関するFAQ」Q3-1、令和8年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引、令和7年分の確定申告の手引き、令和8年分の確定申告書(案)、質疑応答事例「還付請求の消滅時効の起算日」、国税庁「防衛特別所得税及び復興特別所得税の源泉徴収のあらまし」、弊所の料金表の内容を扱っています。報酬が源泉徴収の対象になるかの個別の判定、支払う側の手続き、司法書士・外交員・ホステスなど計算方法の異なる報酬、誤って多く引かれた税金の取り戻し、取引先が源泉徴収をしなかった場合や倒産した場合の扱い、海外に住む方(非居住者)の報酬、事業所得と雑所得の区分、売上を入れる時期の細目(検収・月ごとの報酬・現金主義)、消費税の申告とインボイス、純損失の繰越しと繰戻し還付、予定納税の計算と減額申請、青色申告の承認申請、青色申告特別控除の細目(令和9年分以後の帳簿の要件を含む)、基礎控除など所得控除の額、無申告加算税・過少申告加算税・延滞税の計算、還付金の受取方法と還付加算金、令和9年分以後の申告書の様式、住民税・個人事業税・国民健康保険料への影響は扱っていません。記事中の計算例は一定の前提を置いた目安であり、実際の税額は所得や控除の内容によって変わります。具体的な判断は必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。

参考資料・出典

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小松 優馬

公認会計士・税理士/元監査法人

大手監査法人にて上場企業の監査業務に従事。税務の専門性を高めるため独立。判例ベースの適正申告・節税にこだわり、お客様の人生設計を支える税務パートナーとして活動中。YouTubeチャンネル「税理士 小松ゆうま」では税務情報を発信中(登録者7,000人超)。

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