この記事のポイント
- 法人会員の入会金は資産に計上・償却不可です(通達9-7-11・9-7-12)
- 年会費・プレー代は業務に必要なら交際費、私的なら給与に(9-7-13)
- 名義人が私的に使えば、入会金相当額もその人への給与に(通達9-7-11)
- 社交団体・ロータリークラブの入会金は支出年度の交際費です(9-7-14・9-7-15の2)
まず結論:入会金は資産、年会費は交際費、プレー代は交際費か給与です
ポイント
法人会員の入会金は資産に計上し、償却も認められません。年会費・プレー代は、業務上必要かどうかで交際費か給与かに分かれます。
- 入会金(法人会員として入会)→ 資産に計上。償却は認められません
- 年会費・年決めロッカー料・名義書換料 → 入会金が資産計上なら交際費
- プレー代 → 業務の遂行上必要と認められれば交際費
- 名義人が専ら業務に関係なく使っているときなど → その役員・使用人に対する給与
根拠は国税庁タックスアンサーNo.5381と、法人税基本通達9-7-11から9-7-13までです。「会社で買えば経費になる」とは言えません。
先に通達の地図を持つ ―― クラブの種類ごとに定めが違います
| 何についての定めか | 通達 |
|---|---|
| ゴルフクラブの入会金 | 9-7-11 |
| 資産に計上した入会金の処理 | 9-7-12 |
| ゴルフクラブの年会費・プレー代等 | 9-7-13 |
| レジャークラブの入会金 | 9-7-13の2 |
| 社交団体の入会金・会費等 | 9-7-14・9-7-15 |
| ロータリークラブ・ライオンズクラブ | 9-7-15の2 |
ゴルフクラブと社交団体では、入会金の扱いが正反対です。同じ「入会金」でも行き先が違います。
入会金 ―― 法人会員か個人会員かで、資産か給与かが分かれます
1 法人会員として入会する場合は資産に計上します。ただし、記名式の法人会員で名義人である特定の役員または使用人が専ら法人の業務に関係なく利用するためこれらの者が負担すべきものであると認められるときは、この入会金に相当する金額は、これらの者に対する給与となります。
2 個人会員として入会する場合は、入会金は個人会員である特定の役員または使用人に対する給与となります。ただし、無記名式の法人会員制度がないため個人会員として入会し、その入会金を法人が資産に計上した場合において、その入会が法人の業務の遂行上必要であるため法人の負担すべきものであると認められるときは、その処理が認められます。(国税庁タックスアンサーNo.5381)
法人会員の入会金は原則資産計上ですが、記名式で名義人が「専ら法人の業務に関係なく利用する」ため負担すべきと認められるときは、その人への給与になります。
個人会員としての入会金は逆に、原則はその役員・使用人に対する給与で源泉徴収の対象です。例外は、無記名式の法人会員制度がなく個人会員で入会し、法人が資産計上したうえで業務上必要と認められる場合だけです。
注意
他人の会員権を購入した場合、購入代価だけでなく名義変更のためにクラブへ支払う費用も入会金に含めて資産計上します(通達9-7-11の注)。
年会費・ロッカー料・名義書換料 ―― 入会金の処理についていきます
法人がゴルフクラブに支出する年会費、年決めのロッカー料その他の費用(その名義人を変更するために支出する名義書換料を含み、プレーする場合に直接要する費用を除きます。)については、その入会金が資産として計上されている場合には交際費となり、その入会金が給与とされている場合には会員である特定の役員または使用人に対する給与となります。(国税庁タックスアンサーNo.5381)
| 入会金の処理 | 年会費・年決めロッカー料・名義書換料 |
|---|---|
| 資産に計上している | 交際費 |
| 給与とされている | 会員である特定の役員・使用人に対する給与 |
入会金の判定を誤ると、毎年の年会費の処理まで連鎖して誤ります。交際費に振り分けた金額は、そこからさらに損金不算入の判定を通ります。詳しくは交際費が損金にならない理由と、中小法人の取扱いをご覧ください。
プレー代だけは別ルート ―― 業務の遂行上必要かどうかで決まります
プレーする場合に直接要する費用については、入会金を資産に計上しているかどうかにかかわらず、その費用が法人の業務の遂行上必要なものであると認められる場合には交際費となり、その他の場合にはその役員又は使用人に対する給与となります。(国税庁タックスアンサーNo.5381)
ポイントは「入会金を資産に計上しているかどうかにかかわらず」という一文です。資産計上していても、そのラウンドが業務上必要と認められなければ、プレー代はその人への給与になります。
ここで効いてくるのが記録です。誰と回ったのか、どの取引先の方なのか、目的は何か。残っていなければ、業務上必要だったと説明できません。給与とされる線引きは役員社宅で家賃の何割を会社の経費にできるかの考え方も参考になります。
数値で見ると、どれくらい違うのか
以下は目安です。他人の会員権を法人会員として購入代価400万円で取得し、名義変更費用50万円をクラブへ支払い、年会費12万円・年決めロッカー料3万円・年間のプレー代60万円がかかったとします。
ケース1:取引先の接待にのみ使っている場合
| 支出 | 金額 | 扱い |
|---|---|---|
| 購入代価+名義変更費用 | 4,500,000円 | 資産に計上(償却不可) |
| 年会費+年決めロッカー料 | 150,000円 | 交際費 |
| プレー代 | 600,000円 | 交際費 |
| 交際費に集まる額 | 750,000円 | 損金不算入の判定へ |
450万円は資産として残り、買った年の経費にはなりません。
ケース2:名義人である社長が専ら業務に関係なく利用している場合
| 支出 | 金額 | 扱い |
|---|---|---|
| 入会金相当額 | 4,500,000円 | 役員に対する給与 |
| 年会費+年決めロッカー料 | 150,000円 | 役員に対する給与 |
| プレー代 | 600,000円 | 役員に対する給与 |
| 給与とされる額の合計 | 5,250,000円 | 源泉徴収の対象 |
同じ支出でも利用実態が違うだけで、525万円が役員給与とされ、所得税・住民税の負担も増えます。
資産に計上した入会金は、いつ損金になるのか
法人が資産に計上した入会金については償却を認めないものとするが、ゴルフクラブを脱退してもその返還を受けることができない場合における当該入会金に相当する金額及びその会員たる地位を他に譲渡したことにより生じた当該入会金に係る譲渡損失に相当する金額については、その脱退をし、又は譲渡をした日の属する事業年度の損金の額に算入する。(法人税基本通達9-7-12)
- 脱退して返還を受けられない入会金相当額 → 脱退した日の属する事業年度の損金
- 会員たる地位を譲渡して生じた譲渡損失に相当する金額 → 譲渡した日の属する事業年度の損金
資産に計上した入会金が損金になるのは、脱退・譲渡という出口の場面だけです。預託金制は、返還請求権が顕在化した部分を貸倒損失・貸倒引当金にできます(同通達の注)。
補足
個人が会員権を売ったときの計算は別の話です。詳しくはゴルフ会員権を売ったときの譲渡所得にまとめています。
ゴルフ以外のクラブ ―― レジャークラブ・社交団体・ロータリークラブ
| クラブの種類 | 法人会員としての入会金の扱い |
|---|---|
| ゴルフクラブ | 資産に計上(償却は認められません) |
| レジャークラブ | 原則は資産に計上。有効期間が定められ入会金相当額の返還を受けられないものは繰延資産として償却可 |
| 社交団体 | 支出の日の属する事業年度の交際費 |
| ロータリークラブ・ライオンズクラブ | 入会金・経常会費とも支出をした日の属する事業年度の交際費 |
レジャークラブは、宿泊・体育・遊技施設等を会員に利用させるゴルフクラブ以外のクラブです。スポーツクラブやリゾート会員権が典型で、有効期間が定められ脱退時に入会金相当額の返還を受けられないものは繰延資産として償却できます(給与とされるものを除く)。
社交団体は個人会員でも、法人会員制度がなく業務上必要なら交際費です。ロータリークラブ・ライオンズクラブで経常会費以外に負担した金額は、目的に応じて寄附金または交際費になります。
よくある失敗と、確かめておきたいこと
- 入会金を交際費で一括処理している。ゴルフクラブなら資産に計上します
- 資産に計上した入会金を毎年少しずつ償却している。償却は認められません
- 社長個人の名義で入会し、会社が払っている。原則はその役員への給与です
- プレー代の同伴者を記録していない。業務の遂行上必要だったと説明できません
- 脱退・譲渡した年度に損金算入の処理を忘れている。出口の論点です
- スポーツクラブの会員権をゴルフと同じ処理にしている。別の通達です
確かめる順序は、①会員の種別②記名式なら名義人は誰か③会則に無記名式の法人会員制度があるか④直近数年の利用記録、の4つです。「専ら法人の業務に関係なく利用する」に当たるかは、利用の実態を見たうえでの個別判断になります。
ゴルフ会員権・クラブの入会金について小松公認会計士・税理士事務所ができること
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よくある質問(FAQ)
Q1. 会社でゴルフ会員権を買えば、その年の経費になりますか?
なりません。法人会員として入会した場合の入会金は資産に計上し、償却も認められません(法人税基本通達9-7-11・9-7-12)。損金になるのは、脱退して返還を受けられない場合や譲渡損失が生じた場合の、その事業年度だけです。
Q2. 社長個人の名義で入会し、会社が入会金を払いました。どうなりますか?
原則、その役員に対する給与として源泉徴収の対象になります。例外は、無記名式の法人会員制度がないため個人会員で入会し、会社が資産に計上したうえで業務上必要と認められる場合だけです。会則をご確認ください。
Q3. 取引先を接待したときのプレー代は、交際費でよいのですか?
入会金の資産計上にかかわらず、業務上必要と認められれば交際費、そうでなければ給与です。同伴者・取引先・目的の記録を残してください。損金算入の判定は交際費が損金にならない理由と、中小法人の取扱いもご覧ください。
Q4. スポーツクラブやロータリークラブの会費も、ゴルフと同じ扱いですか?
違います。レジャークラブは条件を満たせば繰延資産として償却できます。社交団体・ロータリークラブ・ライオンズクラブの入会金は支出した事業年度の交際費です。名前でなく会則で確認します。
免責事項
本記事は令和8年9月時点の法令・公表資料に基づく一般的な解説です。本記事は、法人がゴルフクラブ・レジャークラブ・社交団体等に支出する入会金と会費等について、国税庁タックスアンサーNo.5381および法人税基本通達9-7-11から9-7-15の2までが定める取扱いを扱っています。交際費等の損金不算入額の計算、個人がゴルフ会員権を譲渡した場合の譲渡所得の計算、入会金・年会費・プレー代の消費税の課税区分、ゴルフ場利用税の仕組み、給与とされた場合の源泉徴収税額の具体的な計算、レジャークラブの入会金を繰延資産として償却する場合の償却期間、役員に対する給与とされた場合の法人税法上の取扱い、会員権の相場や預託金の償還の見通しについては、本記事では扱っていません。記事中の数値例は一定の前提を置いた目安であり、実際の金額と結論は契約の内容と利用の実態によって変わります。具体的な判断は必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。
参考資料・出典
- 国税庁 タックスアンサー No.5381「ゴルフクラブの入会金と会費の取扱い」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5381.htm
- 国税庁 法人税基本通達 第9章第7節第3款「会費及び入会金等の費用」(9-7-11・9-7-12・9-7-13・9-7-13の2・9-7-14・9-7-15・9-7-15の2)https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/09/09_07_03.htm
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ゴルフ会員権やスポーツクラブの会員権は、法人会員か個人会員か、記名式か無記名式か、そして実際に誰がどう使うかで、資産・交際費・給与のどれになるかが変わります。買ってしまってから名義や使い方を変えても、すでに済んだ処理をさかのぼって直すことはできません。会員証・入会申込書・会則と直近の申告書をお手元にご用意いただければ、どの区分に当たるのか、何を記録に残しておけばよいのかを整理してお伝えします。代表税理士が直接ご対応します。
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