この記事のポイント
- 交際費は原則、経費(損金)になりません(タックスアンサーNo.5265)
- 資本金1億円以下の会社は年800万円か飲食費50パーセントの有利な方を選べます
- 1人1万円以下の飲食代は交際費から除外できます(記録の保存が条件)
- 交際費1,000万円と2,000万円の会社では有利な枠が入れ替わります
まず結論:交際費は「原則、経費にならない」が出発点です
「接待の飲食代は経費になりますよね」とよく聞かれますが、法人税では逆で、交際費は原則として経費になりません。
会社の帳簿では費用でも、法人税計算では利益に足し戻します(「損金不算入」)。国税庁の解説(タックスアンサーNo.5265)は次のとおりです。
交際費等の額は、原則として、その全額が損金不算入とされています
ただし中小企業には大きな救済の枠があり、正しく使えるかで納める税金が変わります。
そもそも「交際費」とは?
交際費とは、取引先など仕事の関係者への接待・もてなし・贈り物の支出で、範囲は広めです。会食・中元歳暮・ゴルフ接待などが典型で、帳簿の科目名では決まりません。「会議費」等でも中身が接待なら交際費です。
交際費にカウントされない支出もあります
次の3つは交際費から除外できます(タックスアンサーNo.5265)。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| ① 社内行事の費用 | 従業員慰安の運動会・社員旅行など通常の費用 |
| ② 1人1万円以下の飲食代 | 取引先との1人あたり1万円以下の飲食(社内だけの飲食は対象外) |
| ③ 少額の広告宣伝など | カレンダー・手帳等の配布品、会議の茶菓・弁当、取材費用 |
注意
1万円の基準は最近変わりました。令和6年3月31日以前は「1人あたり5,000円以下」が基準です。過去の帳簿を見直す際はご確認ください。
「1人1万円以下」を使うには、メモが必要です
1人1万円以下の飲食代を外すには条件があり、次の5つを記録した書類が必要です。
- ① 飲食した年月日
- ② 取引先の名前と、自社との関係
- ③ 参加人数
- ④ 金額と、お店の名前・場所
- ⑤ その他飲食費と分かる事項
領収証だけでは足りません。「誰と何人で」が分からなければ、1人あたりの金額を計算できないからです。裏に「○○商事の△△様と3名」とメモする程度で十分で、支払ったその日に書くのがコツです。決算時にまとめて思い出すのは無理です。
注意
社内だけの飲み会は1人1万円以下でも対象外です。判定は経理方式(税抜・税込)により、税込経理なら税込1万円超でアウトです。
中小企業は「2つの枠」から選べます
資本金1億円以下の会社(一部例外あり)は、次のどちらかを選べます。
| 枠 | 経費にできる範囲 |
|---|---|
| A:800万円の枠 | 交際費のうち年800万円までを経費にできる(超過分は不算入) |
| B:飲食費50パーセントの枠 | 接待の飲食費の半分を経費にできる |
「交際費800万円まで大丈夫」と言われるのはAの枠です。12か月ない事業年度は月割りで、6か月なら400万円。資本金5億円以上の会社の100パーセント子会社などは対象外です。
AとB、どちらが得?——計算してみないと分かりません
答えは会社によって違います。実際の数字で見てみましょう。
ケース1:交際費1,000万円(うち接待飲食費900万円)の会社
| 枠 | 経費にならない金額 |
|---|---|
| A:800万円の枠 | 1,000万円 − 800万円 = 200万円 |
| B:飲食費50パーセント | 1,000万円 − 450万円 = 550万円 |
この会社はAが有利です。差は350万円で、法人税率15パーセント(タックスアンサーNo.5759)なら税額で52万5,000円の差になります。
ケース2:交際費2,000万円(うち接待飲食費1,800万円)の会社
| 枠 | 経費にならない金額 |
|---|---|
| A:800万円の枠 | 2,000万円 − 800万円 = 1,200万円 |
| B:飲食費50パーセント | 2,000万円 − 900万円 = 1,100万円 |
ポイント
今度はBが有利になりました。交際費が大きく飲食費割合が高い会社では逆転します。飲食費を日頃から分けて集計しておくことが大切です。集計がなければ比べられません。
大企業はもっと厳しいルールです
参考までに、大企業のルールです。
- 資本金1億円超〜100億円以下:Bの枠(飲食費50パーセント)のみ
- 資本金100億円超:交際費は全額、経費になりません
実務で押さえてほしいこと
勝負は「支払った日」。科目も分けておく
1万円以下の飲食費のメモは後から作れません。「接待飲食費」を補助科目にすると、比較が一瞬で終わります。
社内飲食は別扱い。経費にならなくても接待はしてよい
役員・従業員だけの飲食は1万円ルールも50パーセントの枠も使えず、取引先同席はメモがなければ証明できません。税金が減らないだけで、必要な接待はして構いません。問題は私的支出を交際費に入れることで、税務調査でも必ず見られます。
交際費の取扱いについて小松公認会計士・税理士事務所ができること
制度は複雑ですが、お客様がすべてを理解する必要はありません。難しいことは、専門家にお任せください。
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よくある質問(FAQ)
Q1. 領収証は取ってありますが、誰と行ったかはメモしていません。1人1万円以下の飲食費として外せますか?
外せません。参加者の名前・関係・人数を記録した書類が必要です(国税庁タックスアンサーNo.5265)。人数不明では1人あたりの金額を計算できません。
Q2. 社員だけの飲み会は、1人1万円以下なら交際費になりませんか?
社内だけの飲食は1万円ルールの対象外です(国税庁タックスアンサーNo.5265)。社員旅行や運動会など慰安費用は別区分で交際費から外れます。
Q3. 800万円の枠と飲食費50パーセントの枠、どちらを選ぶべきですか?
会社により答えは変わります。交際費1,000万円(飲食費900万円)なら800万円の枠、2,000万円(飲食費1,800万円)なら50パーセントの枠が有利です。
Q4. 設立1年目で、事業年度が6か月しかありません。800万円の枠は使えますか?
枠は月割りです。800万円×6か月÷12か月=400万円です(国税庁タックスアンサーNo.5265)。設立初年度や決算期変更の年は要注意です。
免責事項
本記事は令和8年8月時点の法令・公表資料に基づく一般的な解説です。引用した国税庁タックスアンサーNo.5265およびNo.5759は、いずれも令和7年4月1日現在の法令等に基づくものです。本記事に記載した税額の目安は、法人税の年800万円以下の部分に適用される税率15パーセントのみで計算しており、地方法人税・法人住民税・法人事業税を含めた負担は考慮していません。交際費等に該当するかどうかの判定は個々の支出の実態によって異なり、本記事の区分がそのまま当てはまるとは限りません。実際の判断は必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。
参考資料・判例出典
- 国税庁タックスアンサー No.5265「交際費等の範囲と損金不算入額の計算」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5265.htm
- 国税庁タックスアンサー No.5759「法人税の税率」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5759.htm
- 租税特別措置法61条の4(交際費等の損金不算入)/法人税法66条(各事業年度の所得に対する法人税の税率)https://elaws.e-gov.go.jp/
交際費の扱いは、日々の記録で決まります
「誰と・何人で」のメモがあるかどうかで、経費にできる金額が変わります。決算のときにまとめて直すことはできません。記録の残し方から、当事務所が一緒に整えます。顧問契約のご相談も歓迎です。代表税理士が直接ご対応します。
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