法人税・節税

設備をリースで導入したときの税金
所有権移転外リースで使えない4つの制度

小松優馬

小松 優馬

公認会計士(登録番号43196)・税理士(登録番号151214)

監査法人での上場企業監査・上場準備CFO経験を経て独立。港区浜松町で個人・法人の税務をサポート。YouTubeチャンネル「公認会計士・税理士 小松ゆうま」運営。

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この記事のポイント

  • 法人税法上のリース取引は引渡しの時に売買があったものとされます
  • 判定は中途解約の禁止フルペイアウトの2要件です
  • 所有権移転外なら圧縮記帳・特別償却・少額・一括償却が使えません
  • 税額控除は使えます。償却方法はリース期間定額法です

まず結論:リースでも「買ったもの」として税金を計算します

法人税法上のリース取引に当たる契約は、リース資産の引渡しの時に売買があったものとされます。

毎月のリース料を、そのまま経費に落としていくだけの取引ではありません。

借りた側は、リース資産を自分の資産として償却します(国税庁タックスアンサーNo.5702)。

対象は、平成20年4月1日以後に締結する契約に係る資産の賃貸借のうち一定のものです。

ただし、賃借料などとして損金経理をした金額は、償却費として損金経理をした金額に含まれます。

ですから、毎月のリース料を費用に計上する経理そのものが否定されるわけではありません。

問題は別のところにあります。買った場合なら使えるはずの優遇制度が、一部使えなくなります。

この記事では、その線引きを順に整理します。

リースでも税務上は「買ったもの」として計算します
リースでも税務上は「買ったもの」として計算します

法人税法上のリース取引に当たるかどうか

結論から言うと、次の2つを両方満たす賃貸借が該当します。

  • 中途解約が禁止されていること。または賃借人が中途解約する場合に、未経過期間に対応するリース料の額の合計額のおおむね全部(原則として90パーセント以上)を支払うこととされていることなど
  • 賃借人がリース資産からもたらされる経済的な利益を実質的に享受でき、かつリース資産の使用に伴って生ずる費用を実質的に負担すべきこととされていること

2つ目は「フルペイアウト」と呼ばれます。借りた側が、実質的に持ち主と同じ立場になるという意味です。

2つ目には目安があります。リース料の額の合計額が、その資産の取得のために通常要する価額のおおむね90パーセント相当額を超える場合です。

注意

判定の材料はリース契約書です。「リース」という名前だけで決まるものではありません。解約条項と支払総額を見ないと、売買として扱うのか賃貸借として扱うのかが決まりません。契約を結ぶ前に確認してください。

判定の材料はリース契約書の解約条項と支払総額です
判定の材料はリース契約書の解約条項と支払総額です

所有権移転外リース取引とは何か

結論:法人税法上のリース取引のうち、次の6つのいずれにも該当しないものをいいます。

根拠は国税庁タックスアンサーNo.5704です。

該当すれば「所有権移転」になる事情内容
①譲渡リース期間の終了時または中途に、リース資産が無償または名目的な対価の額で賃借人に譲渡される
②再リースリース期間の終了後、無償と変わらない名目的な再リース料で再リースをすることが定められている(事実上予定されていると認められるものを含む)
③買取権買い取る権利が賃借人に与えられ、かつ著しく有利な価額で買い取るものであることなどにより、その権利の行使が確実と見込まれる
④特別仕様特別な注文によって製作された機械装置のように、その賃借人によってのみ使用されると見込まれる。または建築用足場材のように識別が困難
⑤資金の環流賃貸人に取得資金を貸し付けている金融機関等が、賃借人から資金を受け入れる構造になっている
⑥期間が短いリース期間が法定耐用年数に比して相当短い(賃借人の法人税の負担を著しく軽減すると認められるものに限る)

なお③は、令和7年4月1日前に締結された契約では基準が異なります。その場合は、著しく有利な価額で買い取る権利が与えられているものであることとされています。

実務でつまずきやすいのは⑥です。

「相当短いもの」には基準があります。リース期間が、法定耐用年数の70パーセントに相当する年数を下回る期間のものです。法定耐用年数が10年以上のリース資産は、60パーセントで判定します。

この年数は1年未満の端数を切り捨てて判定します。再リースが明らかな場合は、再リース期間を含めて判定します。

計算例

例1:法定耐用年数7年の機械を、リース期間5年で導入する場合

7年 × 70パーセント = 4.9年 1年未満の端数切捨て = 4年 リース期間5年 は 4年 を下回らない → ⑥に当たらない

例2:法定耐用年数12年の設備を、リース期間5年で導入する場合

10年以上なので 12年 × 60パーセント = 7.2年 1年未満の端数切捨て = 7年 リース期間5年 は 7年 を下回る → ⑥に当たる

いずれも一定の前提を置いた目安です。⑥は、賃借人の法人税の負担を著しく軽減すると認められるものに限られます。

法定耐用年数そのものの調べ方は、社用車や中古資産の耐用年数の記事で解説しています。

所有権移転外リース資産に使えない4つの制度

ここが本題です。所有権移転外リース取引で取得したものとされるリース資産には、次の4つの制度の適用がありません。

使えない制度どんな制度か
圧縮記帳
(法法47、措法65の7等)
保険金や補助金でもらったお金に、その期は税金がかからないようにする処理
特別償却
(措法42の6、42の10等)
設備を取得した年に、通常より多く償却できる制度
少額の減価償却資産の損金算入
(法令133)
金額の小さい資産を、取得した期に全額経費にできる制度
一括償却資産の損金算入
(法令133の2)
一定の資産をまとめて均等に償却できる制度

たとえばパソコンを1台ずつリースで導入しても、少額の減価償却資産の損金算入は使えません。買った場合の取扱いは少額減価償却資産の記事にまとめています。

ポイント

償却方法も決まっています。所有権移転外リース取引で取得したものとされるリース資産はリース期間定額法です。買った場合の減価償却とは別の方法になります。

圧縮記帳・特別償却・少額・一括償却は使えません
圧縮記帳・特別償却・少額・一括償却は使えません

ただし、税額控除は使えます

使えない制度ばかりではありません。国税庁は次のように書いています。

(注)所有権移転外リース取引により賃借人が取得したものとされる資産については、特別償却の規定は適用できませんが、税額控除の規定は適用できます。(国税庁タックスアンサーNo.5433)

同じ設備でも、買えば特別償却と税額控除の両方を検討できます。所有権移転外リースなら、税額控除を検討することになります。

制度の要件や限度額は、設備投資で使える中小企業の2つの税制の記事で説明しています。

「買うか、リースか」は資金繰りの話だと思われがちです。税務では、検討できる制度そのものが変わります。

特別償却は使えなくても、税額控除は検討できます
特別償却は使えなくても、税額控除は検討できます

オペレーティング・リースと、貸付けとされる場合

結論:法人税法上のリース取引に当たらない賃貸借は、賃貸借として処理します。

先ほどの2つの要件のいずれかに該当しない資産の賃貸借が、いわゆるオペレーティング・リース取引です。リース取引の範囲から除かれる土地の賃貸借も含まれます。

令和7年4月1日以後に開始する各事業年度では、債務の確定した部分の金額が損金の額に算入されます。

「債務の確定した部分の金額」とされています。そのため賃借料は、賃貸借期間の経過に応じて損金になります(国税庁タックスアンサーNo.5705)。

対象となる金額には、付随費用を含む借手の支払リース料が含まれます。ただし売上原価などの原価の額は除かれます。固定資産の取得に要した金額とされるべき費用の額、繰延資産となる費用の額も除かれます。

注意

いったん売却して借り戻すセール・アンド・リースバックにはご注意ください。一連の取引が実質的に金銭の貸借であると認められるときは、その売買はなかったものとされます。そして譲受人から譲渡人に対する金銭の貸付けがあったものとされます(国税庁タックスアンサーNo.5702)。売却益を見込んで資金計画を立てていると、前提が変わります。

ここまでは、リース契約書と法定耐用年数があればご自身でも確認できます。

一方で、6つの判定のうち③④⑤や、セール・アンド・リースバックの実質判断は、個別性が高い部分です。小松公認会計士・税理士事務所では、契約書を拝見して整理します。税務上どちらの取引になるのか、どの制度を検討できるのかをお伝えします。

設備の導入は、契約を結ぶ前のほうが選べる幅が残ります。署名の前に一度ご確認ください。

この論点で小松公認会計士・税理士事務所ができること

制度は複雑ですが、お客様がすべてを理解する必要はありません。難しいことは、専門家にお任せください。

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よくある質問(FAQ)

Q1. 毎月のリース料を経費にしています。税務でも同じ扱いですか?

法人税法上のリース取引に当たる場合、引渡しの時に売買があったものとされます。ただし賃借料などとして損金経理をした金額は、償却費として損金経理をした金額に含まれます。

Q2. 所有権移転外リース取引かどうかは、どこで見分けますか?

譲渡、名目的な再リース、買取権、特別仕様、資金の環流、期間が相当短いこと。この6つのいずれにも該当しないものが所有権移転外リース取引です(No.5704)。

Q3. リースで導入したパソコンに、少額の減価償却資産の損金算入は使えますか?

使えません。所有権移転外リース取引により取得したものとされる資産には、少額の減価償却資産の損金算入も一括償却資産の損金算入も適用がありません。

Q4. リースだと、設備投資の優遇は一切使えないのですか?

いいえ。国税庁は、所有権移転外リース取引により取得したものとされる資産について、特別償却は適用できないが税額控除は適用できるとしています。

免責事項

本記事は令和8年9月時点の法令・公表資料に基づく一般的な解説です。国税庁タックスアンサーNo.5702・No.5704・No.5705・No.5433の範囲を扱っています。リース会計基準の内容と会計上の仕訳、賃貸人(リース会社)側の収益・費用の計上方法、平成20年3月31日以前に締結した契約の取扱い、リース期間定額法の具体的な算式、中小企業投資促進税制などの要件・限度額、消費税の取扱いは扱っていません。記事中の計算例は一定の前提を置いた目安です。具体的な判断は必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。

参考資料・出典

リース契約は、署名する前が分かれ道です

同じ設備でも、買うのかリースにするのかで、検討できる税務上の制度が変わります。契約書を拝見して、どちらの取引になるのか、どの制度を使えるのかを整理します。代表税理士が直接ご相談に応じます。

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小松 優馬

公認会計士・税理士/元監査法人

大手監査法人にて上場企業の監査業務に従事。税務の専門性を高めるため独立。判例ベースの適正申告・節税にこだわり、お客様の人生設計を支える税務パートナーとして活動中。YouTubeチャンネル「税理士 小松ゆうま」では税務情報を発信中(登録者6,500人超)。

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