この記事のポイント
- 一般の乗用車の法定耐用年数は6年です。軽自動車は4年、二輪・三輪は3年です
- 中古なら簡便法で短縮でき、4年落ちは1年未満切捨てで2年です(No.5404)
- 期中に使い始めると月割り。決算月なら12分の1しか損金になりません(施行令59条)
- 耐用年数の算定は使い始めた事業年度限り。翌期のやり直しはできません
まず結論:耐用年数は短くできますが、使い始めた時期で金額が変わります
中古で買った社用車は、新車より短い耐用年数で減価償却できます。一般の乗用車の法定耐用年数は6年ですが、いわゆる「4年落ち」なら2年で計算できます。
ただし、二つの落とし穴があります。
- 期の途中で使い始めると、その事業年度の償却限度額は月割りになります。決算月に使い始めた車は12分の1しか損金になりません(法人税法施行令59条)
- 減価償却は課税の繰延べです。帳簿価額が下がった車を売れば、売却益が益金になります
「決算前に中古車を買って利益を落とす」とよく聞きますが、使い始める時期次第で効果は変わります。
なお本記事は、車を会社の事業の用に供していることが前提です。私的使用がある場合は別途の判断が必要です。
まず「法定耐用年数」を確かめます
中古の耐用年数は法定耐用年数をもとに計算します。耐用年数省令 別表第一の「車両及び運搬具」→「前掲のもの以外のもの」で自社の車の区分を確かめます。
| 細目 | 法定耐用年数 |
|---|---|
| 小型車(総排気量が0.66リットル以下のものをいう。) | 4年 |
| その他のもの 貨物自動車 ダンプ式のもの | 4年 |
| その他のもの 貨物自動車 その他のもの | 5年 |
| その他のもの 報道通信用のもの | 5年 |
| その他のもの その他のもの(=一般の乗用車) | 6年 |
| 二輪又は三輪自動車 | 3年 |
ふつうの営業車・社長車は「その他のもの その他のもの」で6年です。軽自動車は総排気量0.66リットル以下の「小型車」で4年、バイクは3年です。
注意
「運送事業用、貸自動車業用又は自動車教習所用の車両及び運搬具」は別区分で耐用年数が異なります。運送業・レンタカー業はそちらを確認してください。
中古資産は「簡便法」で耐用年数を計算します
中古資産の耐用年数について、国税庁タックスアンサーNo.5404はこう定めます。
中古資産(試掘権以外の鉱業権及び坑道を除きます。)を取得して事業の用に供した場合には、その中古資産の耐用年数は、法定耐用年数ではなく、その事業の用に供した時以後の使用可能期間として見積もられる年数によることができます。ただし、その使用可能期間の年数を見積もることが困難である場合には、簡便法により算定した年数によることができます。(国税庁タックスアンサーNo.5404)
1 法定耐用年数の全部を経過した資産 その法定耐用年数の20パーセントに相当する年数
2 法定耐用年数の一部を経過した資産 その法定耐用年数から経過した年数を差し引いた年数に、経過年数の20パーセントに相当する年数を加えた年数
なお、これらの計算により算出した年数に1年未満の端数があるときは、その端数を切り捨て、その年数が2年に満たない場合には2年とします。(国税庁タックスアンサーNo.5404)
つまり「残りの年数」に「経過した年数の2割」を足す計算です。
法定耐用年数6年の乗用車で計算すると
| 経過年数 | 簡便法の計算 | 見積耐用年数 |
|---|---|---|
| 2年 | (6年-2年)+2年×20%=4.4年 | 4年 |
| 3年 | (6年-3年)+3年×20%=3.6年 | 3年 |
| 4年 | (6年-4年)+4年×20%=2.8年 | 2年 |
| 法定耐用年数の全部を経過 | 6年×20%=1.2年 | 2年 |
計算例
例:いわゆる「4年落ち」(法定耐用年数6年)
(6年-4年)+4年×20%=2.8年 1年未満を切り捨てて見積耐用年数は2年6年をすべて経過した車も1.2年になりますが、2年に満たない場合は2年とされるため、こちらも2年です。それ以上は短くなりません。
耐用年数2年なら、定率法の償却率は1.000です
次は償却率です。国税庁タックスアンサーNo.5410によれば、定率法の償却限度額は次の式です。
定率法の償却限度額 = (取得価額 - 既償却額) × 定率法の償却率(国税庁タックスアンサーNo.5410)
平成24年4月1日以後に取得した資産の償却率は耐用年数省令 別表第十のとおりです。
| 耐用年数 | 定率法の償却率 |
|---|---|
| 2年 | 1.000 |
| 3年 | 0.667 |
| 4年 | 0.500 |
| 5年 | 0.400 |
| 6年 | 0.333 |
耐用年数2年の定率法の償却率は1.000ですから、取得価額のほぼ全額が1年分の償却限度額になります。ただし全額ではありません。No.5410はこう記します。
平成19年4月1日以後に取得をされた減価償却資産については、償却可能限度額および残存価額が廃止され、耐用年数経過時に残存簿価1円まで償却できるようになりました。(国税庁タックスアンサーNo.5410)
帳簿には1円が残ります。取得価額300万円の車なら、1年分の限度額は実際には2,999,999円です。
平成23年12月の改正で、平成24年4月1日以後取得の償却率は250%定率法から200%定率法に引き下げられました。古い資料の償却率にご注意ください。
最大の落とし穴は「月割り」です
償却限度額は、事業の用に供した月から期末までの月数で按分します。根拠は法人税法施行令59条です。
第五十九条 内国法人が事業年度の中途においてその事業の用に供した次の各号に掲げる減価償却資産については、当該資産の当該事業年度の償却限度額は、前条の規定にかかわらず、当該各号に定める金額とする。
一 ……当該資産につきこれらの方法により計算した前条の規定による当該事業年度の償却限度額に相当する金額を当該事業年度の月数で除し、これにその事業の用に供した日から当該事業年度終了の日までの期間の月数を乗じて計算した金額
2 前項第一号の月数は、暦に従つて計算し、一月に満たない端数を生じたときは、これを一月とする。(法人税法施行令59条)
- 基準は事業の用に供した日で、買った日や支払日ではありません
- そこから事業年度末までの月数を数え、1か月未満の端数は1か月とします(2項)
- 1年分の償却限度額にその月数/事業年度の月数を掛けます
数値で見ると
一定の前提を置いた目安です。3月決算・取得価額300万円の乗用車で、新車と「4年落ち」を比べます。
| 事業の用に供した時期 | 月数 | 新車 (耐用年数6年・償却率0.333) | 4年落ち (耐用年数2年・償却率1.000) |
|---|---|---|---|
| 期首(4月) | 12月 | 999,000円 | 3,000,000円 (残存簿価1円のため実際は2,999,999円) |
| 10月 | 6月 | 499,500円 | 1,500,000円 |
| 決算月(3月) | 1月 | 83,250円 | 250,000円 |
注意
同じ300万円の車でも、期首と決算月とで、その事業年度の償却限度額は12倍違います。3月20日納車でも月内なら1か月と数え12分の1です。決算月なら新車も中古も12分の1で、効くのは翌事業年度以降です。決算対策全体は決算前3か月にできることで整理しています。
償却限度額はあくまで上限で、法人税法施行令58条により決算で損金経理をしていなければ限度額まで損金にはなりません。
もう一つの限界は、減価償却が課税の繰延べであることです
耐用年数が短くなれば早い時期に大きな減価償却費が立ちますが、税金がなくなるわけではありません。2年で償却しても6年で償却しても、損金の合計額は変わらず、変わるのは「いつ」入るかだけです。
途中で売れば差が戻ります。2年で償却し終えた車の帳簿価額は1円ですから、売れば売却額のほぼ全額が売却益として益金になります。早めに落とした分は、売った事業年度に取り戻されます。
「4年落ちの車を買えば節税になる」と単純には言えません。効果が残るのは長く乗り続ける場合などで、設計は個社ごとに異なります。
そもそも事業に必要な車かどうかが先です。使わない車を買えば出ていく現金のほうが大きくなります。設備投資税制の全体像は設備投資で使える中小企業の税制にまとめています。
簡便法が使えない場合と、あとからやり直せない論点
資本的支出が多いと簡便法は使えません
中古車に手を入れた場合、No.5404には次の定めがあります。
なお、その中古資産を事業の用に供するために支出した資本的支出の金額がその中古資産の取得価額の50%に相当する金額を超える場合は、簡便法による耐用年数の算定はできません。
(注) その中古資産を事業の用に供するために支出した資本的支出の金額がその中古資産の再取得価額(中古資産と同じ新品のものを取得する場合のその取得価額をいいます。)の50パーセントに相当する金額を超える場合には、法定耐用年数によることになります。(国税庁タックスアンサーNo.5404)
| 資本的支出の金額 | 取扱い |
|---|---|
| 中古資産の取得価額の50%を超える | 簡便法による耐用年数の算定はできない |
| 中古資産の再取得価額(同じ新品を買う場合の取得価額)の50%を超える | 法定耐用年数による |
安く買って大がかりに手を入れた場合は、ここに当たる可能性があります。資本的支出に当たるかどうかの判断も含め、個別の確認が必要です。
算定は「事業の用に供した事業年度」でしかできません
中古資産の耐用年数の算定は、その中古資産を事業の用に供した事業年度においてすることができるものですから、その事業年度において耐用年数の算定をしなかったときは、その後の事業年度において耐用年数の算定をすることはできません。(国税庁タックスアンサーNo.5404 注)
使い始めた事業年度に法定耐用年数6年で計算すると、翌事業年度に2年へ直すことはできません。取得事業年度の決算で必ず検討します。
なお取得価額が小さい場合は、減価償却によらない方法を検討することもあります。少額の資産の扱いは少額減価償却資産と一括償却資産で整理しています。
実務での進め方と、よくある失敗
進め方
- 車検証で初度登録の時期と車種の区分(乗用車・小型車・貨物自動車)を確認します
- 別表第一で法定耐用年数を確認します
- 簡便法で見積耐用年数を計算し、1年未満を切り捨てます(2年に満たなければ2年)
- 別表第十で定率法の償却率を確認します
- 事業の用に供した日を確定し、期末までの月数を数えます(1か月未満は1か月)
- その事業年度の償却限度額を計算し、決算で減価償却費として計上します
よくある失敗
- 決算月に納車させてしまう。月割りで12分の1になります
- 「買った日」で月数を数える。条文上は「事業の用に供した日」です
- 使い始めた事業年度に耐用年数の算定をせず、あとの事業年度でやり直そうとする
- 軽自動車を6年で計算する。0.66リットル以下の「小型車」は4年です
- 売却時を考えていない。帳簿価額1円の車が売れれば売却益が益金になります
車検証・売買契約書・納車の記録と、会社の事業年度・利益の見通しを合わせて見ないと判断できません。一般論としてお伝えできるのは、この記事のところまでです。
中古の社用車の減価償却について小松公認会計士・税理士事務所ができること
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よくある質問(FAQ)
Q1. 「4年落ちの中古車を買うと1年で全額が経費になる」と聞きました。本当ですか?
半分正しく半分誤りです。法定耐用年数6年の乗用車を4年経過後に取得すると簡便法で2.8年、1年未満切り捨てで2年になり、償却率1.000のため限度額は取得価額のほぼ全額(残存簿価1円は残る)です。ただし中途供用は施行令59条により月割りで、決算月なら12分の1。減価償却は課税の繰延べで、売れば売却益が益金になります。
Q2. 月割りの月数は、いつから数えるのですか?
法人税法施行令59条は「事業の用に供した日から事業年度終了の日までの期間の月数」と定めます。契約日でも支払日でもなく使い始めた日が起点で、1か月に満たない端数は1か月とします。3月決算で3月20日に使い始めれば12分の1です。
Q3. 中古車を買った事業年度に法定耐用年数で計算してしまいました。翌事業年度に直せますか?
直せません。国税庁タックスアンサーNo.5404の注は、耐用年数の算定は事業の用に供した事業年度でのみでき、しなかったときは以後の事業年度でできない、としています。取得した事業年度の決算前に必ず確認してください。
Q4. 中古車を買って手を入れた場合も、簡便法は使えますか?
資本的支出の金額によります。No.5404は、資本的支出が取得価額の50%を超える場合は簡便法による算定はできず、再取得価額の50パーセントを超える場合は法定耐用年数によるとしています。資本的支出への該当性も含め、領収書と作業内容を確認のうえご相談ください。
免責事項
本記事は令和8年9月時点の法令・公表資料に基づく一般的な解説です。本記事は法人が中古の社用車を取得した場合の耐用年数の算定と、事業年度の中途で事業の用に供した場合の償却限度額の月割りを扱っており、車種ごとの相場や値落ちの水準、自動車税・自動車重量税・自賠責保険料の取扱い、リース取引の判定、消費税の取扱いは扱っていません。また、社長個人が私的に使用する部分がある場合の役員給与の認定に関する判定基準、経過年数が不明な場合の取扱い、初度登録年月からの月数を年に換算する方法についても本記事では扱っていません。記事中の数値例は一定の前提を置いた目安であり、実際の金額は取得価額・事業年度・経理処理によって変わります。具体的な判断は必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。
参考資料・出典
- 国税庁 タックスアンサー No.5404「中古資産の耐用年数」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5404.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.5410「減価償却資産の償却限度額の計算方法(平成19年4月1日以後取得分)」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5410.htm
- e-Gov法令検索 法人税法施行令(第58条・第59条)https://laws.e-gov.go.jp/law/340CO0000000097
- e-Gov法令検索 減価償却資産の耐用年数等に関する省令(別表第一・別表第十)https://laws.e-gov.go.jp/law/340M50000040015
社用車を買う前に、一度ご相談ください
中古の社用車は、使い始めた事業年度で耐用年数の算定をしておかないと、あとから直すことができません。また、使い始める時期によっては、その事業年度の償却限度額が12分の1になることもあります。買う前・納車の前であれば、時期による違いを試算してお示しできます。車検証と売買契約書、直近の申告書をお手元にご用意いただければ、その場で論点を整理してお伝えします。代表税理士が直接ご対応します。
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