不動産譲渡所得

不動産売却後の確定申告
必要書類チェックリストと申告までの流れ

小松優馬

小松 優馬

公認会計士(登録番号43196)・税理士(登録番号151214)

監査法人での上場企業監査・上場準備CFO経験を経て独立。港区浜松町で個人・法人の税務をサポート。YouTubeチャンネル「公認会計士・税理士 小松ゆうま」運営。

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この記事のポイント

  • 申告の期間は売った年の翌年2月16日から3月15日までです。還付になる申告は2月15日以前でも提出できます
  • 「譲渡した日」は原則として引渡しの日ですが、契約の効力発生の日も選べます。年末年始の取引では申告する年が変わります
  • 必ず作るのは「譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)[土地・建物用]」と申告書第三表(分離課税用)です
  • 特例ごとに追加書類が違います。市区町村の確認書など時間がかかる書類から着手してください

まず結論:期限は翌年3月15日。書類集めは「買ったときの契約書」からです

まず結論:不動産を売ったら、翌年の2月16日から3月15日までに確定申告をします。必ず作る書類は「譲渡所得の内訳書」と申告書第三表の2つ。最優先は買ったときの売買契約書を探すことです。

申告期限は翌年3月15日

国税庁タックスアンサーNo.3102の案内です。

「譲渡所得の申告は、資産を譲渡した日の属する年の翌年の2月16日から3月15日の間に行ってください。なお、特定のマイホームの譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例の適用を受けることなどにより所得税の還付申告となる場合は、2月15日以前でも申告をすることができます。」

注意

納税も原則3月15日までです。売却代金を使い切り、納税資金が足りないというご相談が毎年あります。売却後すぐに見込み額を取り分けておいてください。

「譲渡した日」は引渡しの日が原則。契約日も選べます

「資産を譲渡した日は、原則として、売買など譲渡契約に基づいて資産を買主などに引き渡した日をいいますが、売買契約などの効力発生の日に譲渡があったものとして確定申告することもできます。契約の効力発生の日とは一般的には契約締結の日です。」

12月に契約して翌年1月に引き渡すようなケースでは、どちらを選ぶかで申告する年が変わります。「所有期間5年超」の判定(譲渡した年の1月1日時点)にも関わります。

特殊なケースの期限

  • 海外に出国する場合:納税管理人を選ぶ場合を除き、原則出国の時までに申告が必要です
  • 亡くなった場合:相続人が相続開始を知った日の翌日から4か月以内に申告します
売却後の申告に使う書類一式
売買契約書や領収書は申告まで大切に保管します

必要書類チェックリスト①:すべてのケースで共通

特例の有無にかかわらず必要な書類です。

申告書・計算明細書(作成するもの)

書類役割
所得税及び復興特別所得税の確定申告書本体
申告書第三表(分離課税用)土地・建物の譲渡所得は分離課税のため必須
譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)[土地・建物用](1〜4面)譲渡所得金額の計算用。特例適用時の計算明細書も兼ねる
申告書第四表(損失申告用)損失を翌年以後に繰り越す場合

売却に関する資料

  • 売却時の売買契約書の写し(譲渡価額・契約日・引渡日・特約の確認)
  • 仲介手数料の領収書・印紙代が分かるもの
  • 測量費・取壊し費用・立退料などの領収書(該当時)
  • 固定資産税・都市計画税の精算書
  • 売却代金の入金が分かる通帳の写し

譲渡費用は売るために直接かかった費用です(No.3202)。引越し費用など売却と直接関係のない支出は含みません。

購入(取得)に関する資料

  • 購入時の売買契約書の写し(取得費の根幹)
  • 購入時の仲介手数料の領収書・登録免許税や登記費用、不動産取得税、印紙税の資料
  • 建物の建築請負契約書(新築時)・リフォームや増改築の請負契約書と領収書

建物の取得費は購入代金全額でなく、使った年数分の価値の目減り(減価償却費相当額)を差し引いた金額です。引き忘れると取得費を多く計上しすぎます。

契約書が見つからない場合は 不動産売却で取得費がわからない?概算取得費5%で損しないための合理的算定法 をご覧ください。「5%しか引けない」と決めつける前にお読みください。

本人確認等

  • マイナンバーが確認できる書類・本人確認書類
  • 還付を受ける場合は本人名義の預貯金口座情報

還付口座は申告する本人の名義が必要です。共有名義ならそれぞれの申告に口座を書きます。

戸建ての外観
戸建ての外観

必要書類チェックリスト②:特例を使う場合の追加書類

使う特例ごとに追加書類が変わります。

マイホーム(居住用財産)の3,000万円特別控除

  • 譲渡所得の内訳書[土地・建物用]
  • 必要に応じて住民票の写しまたは戸籍の附票の写し等

要件は マイホーム売却の3,000万円特別控除と取得時期の落とし穴 参照。新居入居年・前年・前々年にこの特例を使うと住宅ローン控除は使えません。

被相続人の居住用財産(空き家)の3,000万円特別控除

  • 譲渡所得の内訳書[土地・建物用](1〜4面。空き家特例適用時は5面も
  • 売った資産の登記事項証明書等(相続・遺贈取得、昭和56年5月31日以前の建築、区分所有建物登記なしを証明)
  • 被相続人居住用家屋等確認書・耐震基準適合証明書または建設住宅性能評価書の写し
  • 売買契約書の写しなど(売却代金1億円以下の証明)

注意

確認書(市区町村長が交付)は申請から交付まで時間がかかります。詳しくは 相続した実家を売却したら税金はいくら?空き家3,000万円控除と取得費加算の使い分け 参照。

相続財産を譲渡した場合の取得費の特例(取得費加算)

  • 相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書・譲渡所得の内訳書[土地・建物用]

相続税の申告書の控えが前提。空き家特例と併用できません。

譲渡損失の損益通算・繰越控除

特例必要な様式
居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失(措法41の5)居住用財産の譲渡損失の金額の明細書(確定申告書付表)/同損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書
特定居住用財産の譲渡損失(措法41の5の2)特定居住用財産の譲渡損失の金額の明細書(確定申告書付表)/同損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書

損が出た年に申告しないと、繰越控除は使えません。「損だから申告不要」が最ももったいないパターンです。

登記事項証明書の添付は省略できます

「不動産番号等の明細書」に不動産番号を書けば、添付を省略できます。

チェックリストに印を付ける手元
必要書類を早めにそろえると申告がスムーズです

数字で確認:所有期間の判定を間違えると

いちばん大事なのは「いつ買ったか(取得の日)」です。判定を間違えると税額が倍近く変わります。課税譲渡所得金額1,000万円のケースで比べます。

区分所得税復興特別所得税住民税合計
長期(譲渡年の1月1日時点で5年超)1,500,000円31,500円500,000円2,031,500円
短期(同5年以下)3,000,000円63,000円900,000円3,963,000円

差額は1,931,500円です。基準日は「売った日」でなく「譲渡した年の1月1日」。5年半で売っても、その時点で5年未満なら「短期」です。

相続・贈与の不動産は、亡くなった方や贈与した方が買った日から数えます。相続の翌年に売っても長期になるのが通常です。

申告までの流れ(実務のすすめ方)

  1. ステップ1:売却前 ― 契約書を探す(最優先)。特例の候補を洗い出し、契約日・引渡日を検討し、納税分を取り分けます
  2. ステップ2:引渡し後〜年内 ― 契約書・領収書・精算書を1か所にまとめ、確認書・証明書の取り寄せを始めます(時間がかかるものから)。減価償却費相当額も計算します
  3. ステップ3:年明け〜3月15日 ― 内訳書を作り取得費・譲渡費用を整理し、申告書と第三表を提出・納付します(口座振替は期限に注意)

提出後も根拠資料は保管してください。税務署から「お尋ね」が届くことがあります。対応は 税務署から「お尋ね」が届いた…無視するとどうなる? にまとめています。

どこからが専門判断か

書類集めはご自身で進められます。専門判断が必要なのは次の場面です。

  • 買ったときの資料が揃わないとき、実際の金額をどこまで主張できるか
  • 複数の特例が使えるとき、どれを選ぶか(併用できない組み合わせがあります)
  • 共有・相続・買換えが絡むとき、誰の申告にどう反映するか
  • 建物と土地に取得費をどう振り分けるか

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よくある質問(FAQ)

Q1. 不動産を売った年の確定申告はいつまでですか?

売った年の翌年2月16日から3月15日に申告します。譲渡損失の特例などで還付になる場合は、2月15日以前でも申告できます。

Q2. 「譲渡した日」は契約日ですか、引渡日ですか?

原則は引き渡した日です。ただし売買契約の効力発生の日(契約締結日)に譲渡があったとして申告することもできます。年末年始をまたぐ取引では申告する年が変わります。

Q3. 購入時の売買契約書が見つかりません。申告できませんか?

申告はできます。分からない場合は売った値段の5%を取得費とみなす方法(概算取得費)があります。ただし5%の方法しか使えないわけではありません。住宅ローンの契約書や抵当権設定の登記などから説明できることがあります。

Q4. 登記事項証明書は必ず添付しなければなりませんか?

省略できる場合があります。「不動産番号等の明細書」に不動産番号を書くことで、添付を省略できます。

免責事項

本記事は令和8年8月時点の法令・公表資料に基づく一般的な解説です。必要書類は適用する特例および個別事情によって異なり、税務署から追加の資料を求められる場合があります。記載した設例は前提を単純化した試算であり、実際の税額を保証するものではありません。具体的な事案については必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。

参考資料・判例出典

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小松 優馬

公認会計士・税理士/元監査法人

大手監査法人にて上場企業の監査業務に従事。税務の専門性を高めるため独立。お客様の人生設計を支える税務パートナーとして活動中。YouTubeチャンネル「税理士 小松ゆうま」では税務情報を発信中(登録者6,500人超)。

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