この記事のポイント
- 食事代は①本人が半分以上負担 ②会社負担が1か月7,500円以下なら給与として課税されません
- 7,500円は令和8年4月1日現在の金額です(国税庁タックスアンサーNo.2594)
- 社員旅行は4泊5日以内・参加50パーセント以上が目安。役員だけの旅行は対象外です
- 人間ドックは希望者全員が受けられ、受けた全員の費用を会社が負担する形なら課税されません
まず結論:判定の軸は「全員が対象か」と「金額が常識の範囲か」です
福利厚生が経費として通るかどうかは、「全員が対象か」と「金額が常識の範囲か」でほぼ決まります。外れると、そのお金は「給与」として課税されます。
経費にならないのではなく、「福利厚生費」ではなく「給与」になるだけです。受け取った人に所得税・住民税がかかり、会社は源泉徴収が必要です。役員向けなら役員給与のルールに沿わないと損金不算入にもなります。
食事の支給 ―― 1か月7,500円まで(令和8年4月1日現在)
国税庁タックスアンサーNo.2594は、次の2つの要件をどちらも満たせば食事の支給は課税されないとしています。
役員や使用人に支給する食事は、次の2つの要件をどちらも満たしていれば、給与として課税されません。
(1)役員や使用人が食事の価額の半分以上を負担していること。
(2)次の金額が1か月当たり7,500円(消費税および地方消費税の額を除きます。)以下であること。
(食事の価額)-(役員や使用人が負担している金額)(国税庁タックスアンサーNo.2594、令和8年4月1日現在法令等)
2つの例で確かめます
| 例A(課税されます) | 例B(課税されません) | |
|---|---|---|
| 1か月の食事の価額 | 13,000円 | 14,000円 |
| 本人の負担 | 6,000円 | 7,000円 |
| 要件(1)半分以上を本人が負担 | 半分は6,500円。6,000円では足りません | 半分は7,000円。7,000円なので満たします |
| 要件(2)会社負担が7,500円以下 | 13,000円−6,000円=7,000円(満たす) | 14,000円−7,000円=7,000円(満たす) |
| 結果 | 差額7,000円が給与として課税 | 課税されません |
例Aのように会社負担が7,500円以下でも、本人が半分を負担していなければ課税されます。ここが最も間違えやすい点です。
食事の価額は、弁当なら購入金額、社員食堂なら材料費など直接かかった費用の合計額で見ます。7,500円以下かどうかは消費税等を除いた金額で判定し、10円未満は切り捨てます。
現金で食事代を渡すのは原則すべて課税です
食事を支給するのではなく、現金で食事代の補助をする場合には、深夜勤務者に夜食の支給ができないために1食当たり650円(消費税および地方消費税の額を除きます。)以下の金額を支給する場合を除き、補助をする全額が給与として課税されます。(同上)
「毎月〇千円の食事手当」という現金支給は全額が給与になります。食事そのものを支給する形にできるかが分かれ目です。
ポイント
残業・宿日直の食事は、無料で支給しても課税されません。通常の7,500円の枠とは別に扱えます。
社員旅行 ―― 4泊5日以内・参加50パーセント以上が目安
国税庁タックスアンサーNo.2603は、旅行の内容を総合的に勘案するとしたうえで次の2つを挙げています。
(1)旅行の期間が4泊5日以内であること。海外旅行の場合には、外国での滞在日数が4泊5日以内であること。
(2)旅行に参加した人数が全体の人数の50パーセント以上であること。工場や支店ごとに行う旅行は、それぞれの職場ごとの人数の50パーセント以上が参加することが必要です。(国税庁タックスアンサーNo.2603)
該当しないのは役員だけの旅行、取引先への接待・慰安旅行、私的旅行、金銭との選択が可能な旅行です。
注意
要件を満たしていても自己都合で参加しなかった人に金銭を支給すると、参加者も含めた全員に給与の支給があったものとされます。「行かない人には〇万円」という運用は禁物です。
国税庁が示している事例
| 事例 | 期間・費用・参加割合 | 取扱い |
|---|---|---|
| 事例1 | 3泊4日/旅行費用15万円(うち会社負担7万円)/参加割合100パーセント | 原則として課税しなくてよい |
| 事例2 | 4泊5日/旅行費用25万円(うち会社負担10万円)/参加割合100パーセント | 原則として課税しなくてよい |
| 事例3 | 5泊6日/旅行費用30万円(うち会社負担15万円)/参加割合50パーセント | 課税されます(5泊6日以上は社会通念上一般に行われている旅行と認められない) |
研修旅行は会社の業務に直接必要な場合のみ課税されません。同業者団体主催の観光旅行などは、原則として直接必要とはなりません。
人間ドック・健康診断 ―― 「役員だけ」にしないこと
国税庁の質疑応答事例「人間ドックの費用負担」は、対象を全員に広げれば課税する必要はないとしています。
給与等として課税する必要はありません。
役員や特定の地位にある人だけを対象としてその費用を負担するような場合には課税の問題が生じますが、役員又は使用人の健康管理の必要から、雇用主に対し、一般的に実施されている人間ドック程度の健康診断の実施が義務付けられていることなどから、一定年齢以上の希望者は全て検診を受けることができ、かつ、検診を受けた者の全てを対象としてその費用を負担する場合には、給与等として課税する必要はありません。(国税庁 質疑応答事例「人間ドックの費用負担」)
ポイントは「希望すれば全員が受けられる」ことと「受けた人全員の費用を会社が負担する」ことです。逆に社長や役員だけが高額な検診を受け、その費用を会社が負担する形は課税の問題が生じます。
3つに共通する考え方
| 「全員が対象か」の軸 | 「金額が常識の範囲か」の軸 | |
|---|---|---|
| 食事の支給 | 役員・使用人に支給するもの | 本人が半分以上負担、会社負担は月7,500円以下 |
| 社員旅行 | 参加が全体の50パーセント以上/役員だけは不可 | 4泊5日以内/少額不追求の趣旨を逸脱しないこと |
| 人間ドック | 一定年齢以上の希望者は全員が受けられること/役員や特定の地位の人だけは不可 | 一般的に実施されている人間ドック程度 |
社宅や出張日当も同じ発想で判定します。社宅で役員報酬を見直すと出張日当と旅費規程もご覧ください。
金額確認・規程整備・対象者を全員にすることは社内で進められますが、自社の運用が社会通念上のものといえるか、役員に偏っていないかの判断は個別の事情次第です。
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よくある質問(FAQ)
Q1. 社員に毎月5,000円の食事手当を現金で払っています。これは福利厚生費になりますか?
なりません。現金の食事代補助は、深夜勤務者への1食650円以下の夜食を除き全額が給与として課税されます。食事そのものを支給する形にできるかが分かれ目です。
Q2. 会社の食事負担が月7,500円以下なら、本人負担がなくても大丈夫ですか?
大丈夫ではありません。本人が食事の価額の半分以上を負担しなければ、会社負担が7,500円以下でも給与として課税されます。
Q3. 役員だけで研修を兼ねた旅行に行きたいのですが、福利厚生費にできますか?
該当しません。役員だけの旅行は給与や交際費として処理します。研修旅行として扱うには、会社の業務に直接必要であることが求められます。
Q4. 社長の人間ドック費用を会社で負担しています。問題ありますか?
対象者の決め方次第です。役員や特定の地位の人だけが対象だと課税の問題が生じます。希望者全員が受けられ、受けた全員の費用を負担する形にご検討ください。
免責事項
本記事は令和8年8月時点の法令・公表資料に基づく一般的な解説です。食事の支給に関する金額は国税庁タックスアンサーNo.2594(令和8年4月1日現在法令等)によります。軽減税率と標準税率が適用される場合の非課税限度額の判定方法、カフェテリアプラン、慶弔見舞金、社宅、通勤手当については本記事では扱っていません。社員旅行の取扱いは旅行の内容を総合的に勘案して判定されるため、本記事に挙げた要件を満たしていても個別の事情により結論が異なることがあります。具体的な判断は必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。
参考資料・出典
- 国税庁タックスアンサー No.2594「食事を支給したとき」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2594.htm
- 国税庁タックスアンサー No.2603「従業員レクリエーション旅行や研修旅行」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2603.htm
- 国税庁 質疑応答事例「人間ドックの費用負担」https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/gensen/03/03.htm
- 所得税基本通達36-24、36-29、36-30、36-38、36-38の2https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/01.htm
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