この記事のポイント
- 組合の損益は、分配を受けていなくても出資した法人の損益として計上します
- 匿名組合の損益は、組合の計算期間の末日を含む事業年度に計上します
- 一定の要件に当たると、出資額を基礎とした額を超える損失はその期の損金になりません
- 前倒しした損失は出口の売却益などで戻る、課税の繰延べの仕組みです
まず結論:オペレーティングリースの損失は、出口で利益として戻ってきます
この記事でいうオペレーティングリースは、法人が任意組合や匿名組合に出資する仕組みです。
組合や営業者が航空機・船舶・コンテナなどを買い、貸し出して収益を得ます。
初めの年は、組合の損失が契約の割合に応じて会社に分配されることがあります。
その損失が損金(税金の計算で差し引ける費用)になれば、その期の所得は減ります。
しかし、機体などを売る出口では、売却益などが利益として分配されます。
減った税金は消えるのではなく、出口の年に戻ってくる「課税の繰延べ」です。
設備を借りて使う側の税金は、リース取引の記事で扱っています。

組合の損益は、分配を受けていなくても会社の損益に入ります
組合の損益は、お金の分配を受けたかどうかに関係なく計上します。
任意組合は、各当事者が出資して共同の事業を営む契約です(民法667条1項)。
その事業の利益や損失は、各組合員に直接帰属します(法人税基本通達14-1-1)。
匿名組合は、相手方の営業のために出資し、利益の分配を受ける契約です(商法535条)。
計上の時期は、通達が次のように定めています。
現実に利益の分配を受け、又は損失の負担をしていない場合であっても、匿名組合契約によりその分配を受け又は負担をすべき部分の金額をその計算期間の末日の属する事業年度の益金の額又は損金の額に算入し
(法人税基本通達14-1-3)
| 区分 | 任意組合型 | 匿名組合型 |
|---|---|---|
| 会社の損益になる額 | 分配割合に応じた損益(通達14-1-1の2) | 契約で分配を受け、負担する部分(通達14-1-3) |
| 計上する事業年度 | 原則は事業年度に対応する損益。毎年1回以上一定の時期に計算し、帰属が発生後1年以内なら、計算期間の終了の日を含む事業年度 | 計算期間の末日を含む事業年度 |
任意組合の損益は、原則として収入・支出・資産・負債を分配割合で割り振ります(通達14-1-2)。
減価償却費などの費用がリース料の収入を上回る年は、損失になります。
ポイント
決算の直前に匿名組合へ出資しても、組合の計算期間の末日が翌期なら、損失の計上も翌期です。出資した期の損失になるとは限りません。
一定の要件に当たると、損失の取り込みに出資額を基礎とした上限があります
一定の要件に当たると、出資額を基礎とした金額を超える損失は、その期の損金になりません。
対象は、次の2つに当たる場合です(租税特別措置法67条の12)。
- 特定組合員に当たる ― 重要な財産の処分・譲受けや多額の借財で、執行の決定に関与し、かつ交渉などを自ら行う組合員など以外です
- 政令で定める場合に当たる ― 組合の債務を返す責任の限度が、実質的に組合財産の価額とされている場合などです
組合員が組合の債務を直接に負担しない場合も、政令に挙がっています(施行令39条の31第3項3号)。
匿名組合契約も、この条文の「組合契約」に含まれます(措置法67条の12第3項)。
匿名組合員は、営業者の業務を執行できません(商法536条3項)。
匿名組合型では、この上限に当たるかを特に確かめます。
上限は、出資の価額を基礎に計算した金額(調整出資等金額)です。
おおまかには、出資額に前期までの組合の損益を加減し、分配を引いた額です(施行令39条の31第5項)。
超えた部分は、後の期に同じ組合事業の利益の額まで損金になります(措置法67条の12第2項)。
確定申告書を続けて提出していることが条件で、明細書の添付も要ります。
計算例
例1:出資1,000万円の会社に、1年目に1,200万円の損失が分配された場合
上限(調整出資等金額) 出資額1,000万円(前期までの損益・分配なし) その期に損金にならない額 1,200万円 - 1,000万円 = 200万円 200万円は繰り越し、後の期の同じ組合事業の利益の範囲で損金に措置法67条の12の対象に当たると仮定した、一定の前提を置いた目安です。
注意
上の要件に当たる法人で、組合の損益が実質的に欠損とならないと見込まれる場合があります。その場合は、上限の内側でも損失の全額が損金になりません(措置法67条の12第1項)。損失を補塡する契約などの内容から判断します(施行令39条の31第7項)。
補足
有限責任事業組合の組合員である法人にも、出資の価額を基礎とした上限があります(措置法67条の13)。特定組合員かどうかは問いません。

出口では、前倒しした損失が利益として戻ります
出口では、先に損金にした分が、売却益などとして益金に戻る仕組みです。
減価償却で下がった帳簿の金額と、売った金額との差が、出口の利益になります。
計算例
例2:本業の所得が毎年2,000万円の会社が、匿名組合に3,000万円を出資した場合
1〜3年目 2,000万円 - 分配された損失1,000万円 = 所得1,000万円(各年) 4〜9年目 組合の損益は0円と仮定 → 所得2,000万円(各年) 10年目(出口) 2,000万円 + 分配された利益3,600万円 = 所得5,600万円 組合分の合計 -1,000万円 × 3年 + 3,600万円 = +600万円 10年間の所得の合計 出資しない場合2億円 → 出資した場合2億600万円金額は一定の前提を置いた目安で、分配された損失は全額がその期の損金になると仮定しています。税率・為替・分配の時期の変動は考えていません。
税金が消えるのではなく、課税される年が後ろにずれる仕組みです。
出口の年に経費を合わせる考え方は、法人保険と税の記事と共通です。
失敗パターンは「出口の年」と「お金の拘束」に表れます
問題になるのは、出口の年と会社の利益計画がずれたときです。
- 出口の年に本業の利益が重なる ― 例2の10年目のように所得が大きくなり、納税の資金も要ります
- 赤字の期に損失を取り込む ― その期の税金は減りません。欠損金の繰越控除には、10年以内という期限などの要件があります(法人税法57条)
- 役員退職金の年と出口の年がずれる ― 退職金の損金と出口の益金を同じ期に合わせる計画は、売却の時期が動くと合わなくなります
- 途中で抜けにくい ― 存続期間を定めた匿名組合契約で、商法が認める解除はやむを得ない事由があるときです(商法540条2項)。任意組合の脱退も同様です(民法678条2項)
- 出資が全額戻るとは限らない ― 契約の終了時、出資が損失で減っていれば、営業者は残額を返せば足ります(商法542条)。機体の売却価格や為替でも、戻るお金は変わります
出資の判断は、出口の年の利益と資金繰りまで見込んでから行います。
他の決算対策と限界は、決算前3か月の決算対策の記事にまとめています。

ここまではご自身で、ここから先は個別判断です
契約書と組合の計算書で、ご自身で確かめられるのは次の点です。
- 任意組合か匿名組合か、契約の種類を確かめる
- 組合の計算期間の末日と、自社の決算日の関係を確かめる
- 存続期間・途中解除・持分の譲渡の条件を書き出す
- 損失を補塡する約束や、組合の借入れの条件を確かめる
- 受け取るお金の通貨と、出口の想定時期を書き出す
ここから先は、事実によって判断が分かれます。
特定組合員や政令で定める場合に当たるかは、契約の条項を読んで行う個別判断です。
重要な財産や多額の借財かも、金額や割合などから総合的に判定します(措置法通達67の12-1・2)。
上限の金額の計算と、繰り越した損失の管理も同じです。

税理士が入ると変わるのは、出口の年までの所得の見込みと申告の根拠です
小松公認会計士・税理士事務所では、出資を決める前から次の作業を行います。
- 契約書と組合の計算書を読み、損益を計上する事業年度を決める
- 措置法67条の12の上限を検討し、繰越の管理と明細書の作成まで行う
- 出口の年を含む複数年の所得と納税額の見込みを作る
- 役員退職金・設備投資などの計画と、出口の時期の組み合わせを検討する
- 毎期の計算書を受け取り、決算と申告に反映する
打合せから申告まで、全国どこからでもオンラインで進められます。
出口の時期と会社の利益計画を合わせる設計は、会社ごとです。弊所で組み立てます。
この論点で小松公認会計士・税理士事務所ができること
制度は複雑ですが、お客様がすべてを理解する必要はありません。難しいことは、専門家にお任せください。
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小松公認会計士・税理士事務所 代表
小松 優馬公認会計士・税理士
- お話を伺って、「あなたの場合はどうなるか」をはっきりお答えします
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初回相談は無料です。
よくある質問(FAQ)
Q1. オペレーティングリースに出資すれば、法人税は減りますか?
損失が損金になった期は、その分所得が減ります。ただし、出口で売却益などが分配されると、その期の所得が増えます。課税の時期がずれる仕組みで、税金が消えるわけではありません。一定の要件に当たると、損失に上限もあります(措置法67条の12)。
Q2. 決算の直前に匿名組合へ出資すれば、今期の損失になりますか?
匿名組合の損益は、組合の計算期間の末日を含む事業年度に計上します(法人税基本通達14-1-3)。計算期間の末日が翌期なら、損失の計上も翌期です。出資した日だけで、今期の損失になるとは限りません。
Q3. 出資額より大きな損失が分配されたら、全額を損金にできますか?
特定組合員に当たり、債務の責任が実質的に組合財産の価額までの場合などは、出資額を基礎とした金額を超える部分がその期の損金になりません(措置法67条の12)。超えた部分は、確定申告書を続けて出していれば、後の期の同じ組合事業の利益の範囲で損金になります。契約の内容から実質的に欠損とならないと見込まれる場合は、損失の全額がその期の損金になりません。
Q4. 途中で出資をやめて、お金を戻してもらえますか?
存続期間を定めた匿名組合契約で、商法が解除を認めるのはやむを得ない事由があるときです(商法540条2項)。任意組合の脱退も同様です(民法678条2項)。匿名組合契約の終了時も、出資が損失で減っていれば残額の返還で足ります(商法542条)。出資の前に契約の定めを確かめます。
免責事項
本記事は令和8年10月時点の法令・公表資料に基づく一般的な解説です。法人税基本通達14-1-1・14-1-1の2・14-1-2・14-1-3、租税特別措置法67条の12・67条の13、租税特別措置法施行令39条の31、租税特別措置法関係通達(法人税編)67の12-1・67の12-2、法人税法57条1項、商法535条・536条・540条・542条、民法667条1項・678条2項の内容を扱っています。特定組合員の判定の細目、政令で定める場合の各号の当てはめ、調整出資等金額の計算の細目、組合員の地位の承継や適格合併等の扱い、組合員でなくなった事業年度の扱い、信託の受益者の扱い、有限責任事業組合の調整出資金額の計算、組合の減価償却資産の償却方法と耐用年数、外貨建ての損益の換算、匿名組合の利益の分配に係る源泉徴収、消費税、個人が出資する場合の所得税、出資持分の譲渡損益、金融商品取引法上の規制、特定の商品の評価、欠損金の繰越控除の限度額と青色申告などの要件、法人税額への影響額は扱っていません。記事中の計算例は一定の前提を置いた目安であり、実際の損益は契約の内容と組合の事業の状況によって変わります。具体的な判断は必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。
参考資料・出典
- e-Gov法令検索「租税特別措置法」(67条の12・67条の13)https://laws.e-gov.go.jp/law/332AC0000000026
- e-Gov法令検索「租税特別措置法施行令」(39条の31)https://laws.e-gov.go.jp/law/332CO0000000043
- 国税庁 法人税基本通達 第14章第1節第1款「組合事業による損益」(14-1-1〜14-1-3)https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/14/14_01_01.htm
- 国税庁 租税特別措置法関係通達(法人税編)「第67条の12《組合事業等による損失がある場合の課税の特例》関係」https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/hojin/sochiho/750214/15/15_67_10.htm
- e-Gov法令検索「商法」(535条〜542条)https://laws.e-gov.go.jp/law/132AC0000000048
オペレーティングリースに出資する前に、出口の年まで確かめませんか
オペレーティングリースの損失は、組合の計算期間などに応じて計上する事業年度が決まります。一定の要件に当たると、出資額を基礎とした金額を超える損失は、その期の損金になりません。前倒しした損失は、出口の売却益などで益金として戻る仕組みです。代表税理士が、契約書の確認から、損失の上限の検討、出口の年を含む複数年の所得の見込みまで行います。役員退職金や設備投資の計画と、出口の時期の組み合わせも検討します。出資を決める前の段階でご相談ください。
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