この記事のポイント
- 取引先へのお歳暮は、条文の「贈答」に当たり、原則として交際費等です
- 歳暮の食品の詰め合わせは「飲食等」に含まれず、1人1万円以下の除外や50%の枠に入りません
- 社名入りのカレンダー・手帳などを贈与するために通常要する費用は交際費等から除かれます
- 資本金1億円以下の中小法人(大法人の100%子法人等を除く)は800万円の枠か50%の枠を選べます
まず結論:取引先へのお歳暮は、原則として交際費等です
取引先へのお歳暮やお中元は、法人税では原則として交際費等に当たります。
交際費等は、接待や贈り物などのための支出です。
損金(税金の計算で差し引ける費用)にできる額が、法律で限られています。
一方で、社名入りのカレンダーや手帳を配る通常の費用は、交際費等から除かれます。
歳暮の食品を飲食の接待と同じに扱うと、損金にならない額を少なく計算するおそれがあります。

交際費等の定義には「贈答」がはっきり入っています
取引先への贈り物は、条文が名前を挙げている支出です。
定義は、租税特別措置法(以下「措置法」)61条の4第6項にあります。
交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為(以下この項において「接待等」という。)のために支出するもの
(租税特別措置法61条の4第6項)
交際費等に当たるかは、帳簿の科目名ではなく、何のための支出かで決まります。
交際費等は、原則としてその全額が損金になりません(タックスアンサーNo.5265)。
補足
事業に直接関係のない人への贈与は、寄附金か交際費等かを実態で判定します。金銭での贈与は、原則として寄附金です。国税庁の解釈を示す租税特別措置法関係通達(以下「通達」)61の4(1)-2が定めています。
歳暮の食品の詰め合わせは「飲食費」に入りません
食品のお歳暮でも、飲食の接待の費用とは別に扱われます。
飲食の費用には、次の2つの特別な扱いがあります。
- 社外の人を交えた飲食で、1人1万円以下の費用は、書類の保存を条件に交際費等から除かれる
- 資本金100億円以下の法人(一部を除く)は、接待飲食費の50%に当たる額まで損金にできる
根拠は、措置法61条の4第1項・6項2号・8項と、同法施行令37条の5第1項です。
しかし通達は、贈答用の食品をこの「飲食等」から外しています。
例えば中元・歳暮の贈答のように、単なる飲食物の詰め合わせ等を贈答する行為は、飲食等には含まれない。
(通達61の4(1)-15の2の注)
歳暮の食品は、1人1万円以下の除外にも、接待飲食費の50%にも入りません。
ただし、接待の飲食に付随する費用は、その飲食の費用に含めて差し支えないとされています(同注)。
1万円以下の飲食費に要る書類は、交際費の基本の記事で扱っています。
社名入りのカレンダー・手帳を配る通常の費用は、交際費等から除かれます
多くの相手に配る少額の広告用の品は、贈り物でも交際費等から外れます。
除かれる費用は、施行令が次のように定めています。
カレンダー、手帳、扇子、うちわ、手拭いその他これらに類する物品を贈与するために通常要する費用
(租税特別措置法施行令37条の5第2項1号)
その範囲は、通達が示しています。
措置法令第37条の5第2項第1号に規定する「これらに類する物品」とは、多数の者に配付することを目的とし主として広告宣伝的効果を意図する物品でその価額が少額であるものとする。
(通達61の4(1)-20)
つまり、多数に配る、主に広告宣伝の効果をねらう、価額が少額という3つがそろう物品です。
得意先などへ見本品・試用品を渡す通常の費用も、交際費等に含みません(通達61の4(1)-9)。
ポイント
「おおむね3,000円以下」は、売上割戻しと同じ基準で渡す物品などの目安です。根拠は通達61の4(1)-3の注2です。カレンダー・手帳の通達は、金額を示していません。物品で渡す割戻しはリベートと交際費の記事で扱っています。
看板や陳列棚のような広告用の資産を贈る場合は、広告用の資産を贈る記事をご覧ください。

中小法人は「800万円の枠」と「接待飲食費の50%」から選べます
中小法人は枠を2つから選べますが、50%の枠では贈答品の分は全額が損金になりません。
対象は、期末の資本金が1億円以下の法人です。
資本金5億円以上の法人の100%子法人などは除きます(タックスアンサーNo.5265)。
- 800万円の枠:800万円×月数÷12の額まで損金にできる(措置法61条の4第2項)
- 接待飲食費の50%:接待飲食費の半分に当たる額まで損金にできる(同条1項)
800万円の枠を、定額控除限度額といいます。
月数は暦に従って数え、1か月未満の端数は1か月とします(同条4項)。
接待飲食費は、社外の人を交えた飲食の費用のうち、帳簿書類で明らかにしたものです(同条6項)。
帳簿書類に書く事項は、年月日・相手・金額・店名などです(措置法施行規則21条の18の4)。
計算例
例1:交際費等600万円(接待の飲食費200万円、お歳暮などの贈答品400万円)
800万円の枠 600万円は800万円以内 → 損金にならない額 0円 50%の枠 600万円 - 200万円 × 50% = 500万円が損金にならない例2:交際費等2,000万円(接待の飲食費1,400万円、歳暮の食品の詰め合わせ600万円)
50%の枠 2,000万円 - 1,400万円 × 50% = 1,300万円 800万円の枠 2,000万円 - 800万円 = 1,200万円(こちらが有利) 歳暮も飲食費に入れた誤り 2,000万円 - 2,000万円 × 50% = 1,000万円 差 1,200万円 - 1,000万円 = 200万円を少なく計算資本金1,000万円・事業年度12か月の会社とした、一定の前提を置いた目安です。
飲食費は、いずれも1人1万円超で、帳簿に必要な事項を書いたものとします。
誤った区分のままだと、損金にならない額を200万円少なく計算してしまいます。
800万円の枠は、申告書に計算の明細書を添付した場合に限り使えます(措置法61条の4第7項)。
失敗パターン:年末の贈答品で処理を誤る5つの形
次の5つは、区分と記録の仕方を先に決めれば防ぎやすい誤りです。
- 歳暮の食品を接待飲食費に入れる ― 50%の枠で、損金にならない額を少なく計算します(例2)
- 食品のお歳暮を1人1万円以下の飲食費として外す ― 詰め合わせの贈答は「飲食等」に含まれません
- 社名を入れた高価な品を、カレンダーと同じに扱う ― 類する物品は、多数に配る少額の広告用の品です
- カレンダーの代金とお歳暮の代金を一括で処理する ― 交際費等に入る額を分けて示せません
- 決算月に買い、まだ贈っていない品まで集計する ― 当期の交際費等に入るのは、当期に贈った分です
注意
交際費等の支出の事実があったときとは、贈答などの行為があったときです。代金を仮払や未払で経理しているかどうかは問いません(通達61の4(1)-24(2))。年末をまたぐ品は、贈った日を記録しておきます。
送り先・品物・金額・贈った日を、その都度記録しておくことが出発点です。

ここまではご自身で、ここから先は個別判断です
年末の贈答品の記録までは、社内の資料で進められます。
- お歳暮の送り先リストを作り、相手先・関係・品物・金額・贈った日を書く
- 社名入りのカレンダーや手帳は、作った部数・単価・配った範囲を控える
- 接待の飲食、贈答品、配る広告用の品を、請求書ごとに分けて記帳する
- 決算の前に、交際費等の合計と接待飲食費の額を集計する
ここから先は、事実によって判断が分かれます。
ある品が少額で、主に広告宣伝の効果をねらう物品かは、品物と配り方で判断します。
自社製品を贈るときに見本品に当たるかや、寄附金との区分も個別の判断です。
どちらの枠が有利かは、交際費等の総額と飲食費の割合で変わります。

税理士が入ると変わるのは、贈答品の区分の根拠と枠の選び方です
小松公認会計士・税理士事務所では、決算の前に次の作業を行います。
- 贈答品の送り先リストの様式を用意し、書き方をお伝えする
- 支出ごとに、交際費等・広告宣伝費などへの区分を確かめる
- 接待飲食費の帳簿書類に、記載事項がそろっているかを確かめる
- 2つの枠を試算して有利なほうを選び、明細書を作って申告書に添付する
- 年末をまたぐ贈答品の時期と、区分の根拠資料をそろえる
資料のやり取りから申告まで、全国どこからでもオンラインで完結します。
この論点で小松公認会計士・税理士事務所ができること
制度は複雑ですが、お客様がすべてを理解する必要はありません。難しいことは、専門家にお任せください。
登録者6,900人超
小松公認会計士・税理士事務所 代表
小松 優馬公認会計士・税理士
- お話を伺って、「あなたの場合はどうなるか」をはっきりお答えします
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初回相談は無料です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 取引先に贈るお歳暮は、交際費になりますか?
原則として交際費等です。措置法61条の4第6項は、得意先など事業に関係のある者への「贈答」のための支出を交際費等とします。科目名では決まりません。資本金1億円以下の中小法人は、800万円の枠などで一部を損金にできます。資本金5億円以上の法人の100%子法人等は除きます。
Q2. 食品のお歳暮は、1人1万円以下の飲食費として扱えますか?
扱えません。歳暮のような飲食物の詰め合わせ等の贈答は、「飲食等」に入りません(通達61の4(1)-15の2注)。1万円以下の飲食費の除外も、接待飲食費の50%の枠も使えません。ただし、接待の飲食に付随する費用は、その飲食の費用に含めて差し支えないとされています。
Q3. 社名入りのカレンダーや手帳を配る費用は、交際費になりますか?
カレンダー・手帳・扇子・うちわ・手拭いなどを贈与するために通常要する費用は、交際費等から除かれます。根拠は措置法施行令37条の5第2項1号です。類する物品は、多数に配る目的で、主に広告宣伝の効果をねらう少額の品です(通達61の4(1)-20)。
Q4. 贈答品がある会社は、800万円の枠と50%の枠のどちらを選べばよいですか?
期末資本金1億円以下の中小法人は、どちらかを選べます。資本金5億円以上の法人の100%子法人等は除きます。50%の枠では、贈答品の分を損金にできません。両方を計算し、損金にならない額が少ないほうを選びます。800万円の枠は、明細書の添付が条件です。
免責事項
本記事は令和8年10月時点の法令・公表資料に基づく一般的な解説です。租税特別措置法61条の4第1項・2項・4項・6項・7項・8項、同法施行令37条の5第1項・2項1号、同法施行規則21条の18の4、租税特別措置法関係通達(法人税編)61の4(1)-2・61の4(1)-3の注2・61の4(1)-9・61の4(1)-15の2・61の4(1)-20・61の4(1)-24、タックスアンサーNo.5265「交際費等の範囲と損金不算入額の計算」の内容を扱っています。措置法61条の4は令和9年3月31日までの間に開始する事業年度に適用される規定であり、その後の改正は扱っていません。1人1万円以下の飲食費の書類の記載事項の詳細、会議費・取材費の範囲、期末資本金1億円超の法人と通算法人の計算、従業員・役員に配る品物の扱い(給与・福利厚生費の判定)、寄附金の損金算入限度額、売上割戻し・景品の詳細、看板など広告宣伝用資産の贈与(繰延資産)、受け取った側の課税、消費税の扱い(軽減税率・商品券等)、法人税の税率と税額への影響額、加算税・延滞税、修正申告・更正の請求の手続は扱っていません。記事中の計算例は一定の前提を置いた目安であり、実際に損金にならない額は、会社の交際費等の内容と経理方式(税抜・税込)によって変わります。具体的な判断は必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。
参考資料・出典
- e-Gov法令検索「租税特別措置法」(61条の4)https://laws.e-gov.go.jp/law/332AC0000000026
- e-Gov法令検索「租税特別措置法施行令」(37条の5)https://laws.e-gov.go.jp/law/332CO0000000043
- e-Gov法令検索「租税特別措置法施行規則」(21条の18の4)https://laws.e-gov.go.jp/law/332M50000040015
- 国税庁 租税特別措置法関係通達(法人税編)第61条の4《交際費等の損金不算入》関係 第1款「交際費等の範囲」https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/hojin/sochiho/750214/08/08_61_4a.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5265.htm
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取引先へのお歳暮は、原則として交際費等です。歳暮の食品の詰め合わせは「飲食等」に含まれず、接待飲食費の50%の枠に入りません。社名入りのカレンダー・手帳などを贈与するために通常要する費用は、交際費等から除かれます。代表税理士が、贈答品の区分から帳簿の確認、2つの枠の試算、明細書の作成まで通して対応します。贈答品を手配する前の段階でご相談ください。
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