この記事のポイント
- 不動産所得だけの大家も、事業的規模の賃貸なら加入できると中小機構は案内しています
- 中小機構の事業的規模の基準は5棟・10室・50先以上の賃貸か青色申告特別控除55万円・65万円です
- 会社員が副業でアパートを経営している場合は、加入できません
- 11月・12月の申込みを令和8年分の控除にするには、委託機関の窓口で現金を納めて加入します
まず結論:大家も加入できる場合があり、分かれ目は「事業として貸しているか」です
不動産所得だけの大家も、事業的規模で貸していれば加入できると中小機構は案内しています。
小規模企業共済は、経営者が廃業や退職に備えて積み立てる制度です(中小機構)。掛金は、その年に払った全額を所得から差し引けます(所得税法75条1項)。
ただし、会社員が副業でアパートを経営している場合は、加入できません。

大家が確かめる点は、所得の種類・会社員かどうか・従業員の数です
中小機構の基準のうち、大家に関わる点は次の3つです。
| 確かめる点 | 中小機構の基準 |
|---|---|
| 申告している所得 | 原則は事業所得。不動産所得だけなら、事業的規模の賃貸であること |
| 会社員かどうか | 法人や個人事業主と常時雇用関係にある給与所得者は、加入できない |
| 従業員の数 | 不動産業は、常時使用する従業員が20人以下 |
大家の扱いについて、中小機構のFAQは次のように答えています。
ただし、不動産賃貸業の個人事業主で、不動産所得でのみ申告している場合、事業と認められる一定の規模(事業的規模)以上の賃貸条件を満たしていればご加入いただけます。
(中小機構 小規模企業共済FAQ ID:627)
不動産所得だけで申告する大家は、事業的規模かどうかが分かれ目です。
契約できるのは、小規模企業者だけです(小規模企業共済法3条1項)。
家族は、事業専従者というだけでは加入できません。共同経営者の要件を満たせば、事業主1人につき2人まで加入できます。
会社で賃貸している場合は、役員登記をして事業に従事しているかなど、役員としての要件で見ます。
事業的規模といえるのは「5棟・10室・50先以上」か「青色申告特別控除55万円・65万円」です
中小機構のFAQは、次のどちらかを満たせば事業的規模といえるとしています。
- ① 貸家は5棟以上、アパート・マンションの部屋は10室以上、駐車場・土地は50先以上を貸している
- ② 青色申告者で、55万円または65万円の青色申告特別控除を受けている
「先」は契約件数のことで、土地の面積では判断しません。
①は申込みの時点で、貸しているか募集中の物件として持っていれば足ります。
10室に届かなくても、②の控除を受けていれば事業的規模といえます。家賃だけの方がこの控除を受けるには、賃貸が事業として行われていることが必要です(No.1373)。
①にも②にも当たらない場合は、このFAQの基準を満たしません。
部屋と駐車場を合わせて数えるかなど、FAQにない点は申込み前に中小機構などで確かめます。
税務では、事業かどうかを原則として実質で判断します(No.1373)。建物は、おおむね10室・5棟以上なら原則として事業として扱われます(同)。
補足
青色申告特別控除は令和9年分から見直され、書面で申告すると上限は10万円です(国税庁の案内)。②は55万円・65万円の控除を条件にしています。令和9年分以後の申告で判定するときの扱いは、中小機構の案内でお確かめください。改正の中身は令和9年分からの青色申告特別控除の記事で解説しています。

年内に入るなら、申込みの方法で控除の年が変わります
11月・12月に申し込むときは、窓口で現金を納めるかどうかで控除の年が変わります。
控除の対象は、その年に実際に払った掛金です(所得税基本通達74・75-1)。
中小機構は、オンラインの申込みは初回の請求が翌々月になると案内しています。オンラインで令和8年分の控除にするには、10月中の手続きが必要です。
11月・12月の申込みを令和8年分にするには、委託機関の窓口で現金を納めて加入します。
委託機関は、商工会・商工会議所・青色申告会などの団体と、金融機関の本支店です(制度のしおり)。加入業務を取り扱わない支店もあるため、前もって確かめます(同)。
窓口で納める現金は、毎月払いなら1か月分、年払いなら12か月分です(同)。
計算例
例:令和8年12月に、掛金月額30,000円で申し込む場合
オンラインで申込み → 初回の請求は令和9年2月 令和8年分の控除 0円 窓口で現金あり・毎月払い 30,000円 × 1か月 = 30,000円 窓口で現金あり・年払い 30,000円 × 12か月 = 360,000円年払いのうち11か月分は、前納(前払い)の掛金です。1年以内の前納は、払った年の申告書に全額を書けば、その年の控除にできます(通達74・75-2)。
金額は、加入が認められた前提の一定の目安です。控除の仕組みは小規模企業共済とiDeCoの記事で解説しています。
11月・12月に窓口で現金を納めた方の控除証明書は、令和9年2月中旬に発送予定です(中小機構)。令和9年1月1日以後の令和8年分の申告は、証明書に代えて一定の明細書も使えます(No.1135)。
資格を確かめずに入ると、契約の取り消しと申告のやり直しになります
加入した時点で資格がなかったと分かれば、契約は取り消され、控除を受けた申告も直すことになります。
次のような誤りは、契約の取り消しや申告の誤りにつながります。
- 会社員のまま加入した ― 副業でアパートを経営する会社員は、加入できません(中小機構)。
- 10室に届かず、55万円・65万円の控除もないまま加入した ― ①にも②にも当たりません。
- 掛金を不動産所得の経費に入れた ― 掛金は必要経費にできません(制度のしおり)。
- 前納分を払った年に入れなかった ― 後の更正の請求では、特例を使えません(通達74・75-2)。
取り消しは、契約した時点にさかのぼって行われます(中小機構)。
掛金はそのまま返され、控除を受けていれば修正申告が必要です。
中小機構は、契約者に加入時の資格を確かめる書面を送ったこともあります(令和6年12月31日に終了)。
注意
資格は加入した時点で見られます。加入後に会社員になっても、事業を続けていれば契約を続けられるとされています。反対に、加入時に資格がなければ、今は資格があっても取り消しの対象です(中小機構)。

ここまではご自身で、ここから先は個別判断です
申し込む前に、ご自身で確かめられるのは次の4つです。
- 前年の確定申告書で、申告している所得の種類を確かめる
- 青色申告決算書で、青色申告特別控除の額を確かめる
- 貸している、または募集中の棟・部屋・駐車場の数を数える
- 会社などから給与を受けていないかを確かめる
窓口では、提出したことが確かめられる確定申告書の控えを示します(制度のしおり)。
令和7年1月から、控えには収受印が押されません。e-Taxの受付番号の印字や、申告書等情報取得サービスで得た控えなどで示します(同)。
基準の境目にいる場合や、家族・会社が関わる場合は個別判断です。
年内に入るか、掛金をいくらにするかも、所得の見込みと資金繰りで答えが変わります。

税理士に頼むと変わるのは、加入前の確認と申告までの手間です
代表税理士が、加入前の確認から申告書の作成まで通して担当します。
小松公認会計士・税理士事務所では、次の作業を行います。
- 確定申告書・青色申告決算書・物件の一覧から、①②に当たるかの確認
- 令和8年分の所得の見込みと、掛金で減る税額・手元の資金の試算
- 窓口で示す、提出した申告書の控えとe-Taxの受信通知のお渡し
- 掛金の控除と前納の特例を入れた申告書の作成と、電子申告
- 共済金を受け取るときの所得の区分の確認
受け取り方で税金の計算が変わる点は、小規模企業共済の受け取り方の記事で解説しています。
料金の目安
基本料金32,000円(税込35,200円)に、当てはまる所得・控除ごとの単価を足した額が料金です。個人の確定申告は最低料金65,000円(税別・税込71,500円)からお引き受けしています。
家賃収入の単価は、物件ごとに、経費を引く前の1年分の家賃収入の額で決まります。小規模企業共済等掛金控除は「その他控除セット」(6,000円・税込6,600円)に含まれます。
ご自身の料金は60秒見積りで確かめられます。
この論点で小松公認会計士・税理士事務所ができること
制度は複雑ですが、お客様がすべてを理解する必要はありません。難しいことは、専門家にお任せください。
登録者6,900人超
小松公認会計士・税理士事務所 代表
小松 優馬公認会計士・税理士
- お話を伺って、「あなたの場合はどうなるか」をはっきりお答えします
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- 料金は先にお見積り。全国どこでも、オンラインで完結できます
YouTube「税理士 小松ゆうまチャンネル」(登録者6,900人超)で、税金の話を分かりやすく解説しています。動画を見てみる
初回相談は無料です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 会社員ですが、副業でアパートを経営しています。小規模企業共済に入れますか?
中小機構は、会社員(給与所得者)が副業的にアパートを経営している場合は、加入できないとしています。主な収入が家賃でも、会社員として固定給があれば加入できません。資格は加入した時点で見られます。加入後に会社員になっても、事業を続けていれば契約を続けられるとされています。
Q2. アパートが8室しかありません。加入はあきらめるしかありませんか?
中小機構のFAQでは、10室に届かなくても事業的規模といえる場合があります。青色申告者として、55万円または65万円の青色申告特別控除を受けている場合です。家賃だけの方がこの控除を受けるには、賃貸が事業として行われていることが必要です(No.1373)。どちらにも当たらなければ、FAQの基準を満たしません。駐車場と合わせて数えるかなどは、申込み前に確かめてください。
Q3. 12月に申し込めば、令和8年分の控除になりますか?
11月・12月のオンライン申込みは、初回の請求が翌年になり、令和9年分の控除です(中小機構)。令和8年分にするには、委託機関の窓口で現金を納める方法で加入します。加入が認められることが前提です。この場合、控除証明書は令和9年2月中旬に発送の予定です。
Q4. 妻も一緒に小規模企業共済に加入できますか?
事業専従者というだけでは加入できません。共同経営者の要件を満たせば、事業主1人につき2人まで加入できます。要件は、経営の重要な決定への関与か資金の提供と、業務執行の報酬などです。事業主が不動産所得だけで申告しているなら、その賃貸が事業的規模であることが条件です(中小機構)。
免責事項
本記事は令和8年10月時点の法令・公表資料に基づく一般的な解説です。小規模企業共済法2条1項・2項・3条1項、所得税法75条1項、所得税基本通達74・75-1・74・75-2、タックスアンサーNo.1135「小規模企業共済等掛金控除」・No.1373「事業としての不動産貸付けとそれ以外の不動産貸付けとの区分」・No.2072「青色申告特別控除」、国税庁の令和9年分以後の青色申告特別控除の案内、中小企業基盤整備機構の小規模企業共済FAQ(ID:627・628・737)・「加入資格」・「小規模企業共済の資格要件について」・令和8年10月16日のお知らせ・制度のしおり(令和8年6月改訂版)、弊所の料金表の内容を扱っています。掛金で減る税額の計算、共済金・解約手当金の所得の区分と税額、契約者貸付、掛金の増額・減額と掛止め、加入できる年齢、年金やほかの所得がある大家の加入の可否、部屋と駐車場を合わせて数えるかなどFAQにない基準の扱い、令和9年分以後の申告で中小機構の②をどう扱うか、会社の役員として加入する場合と共同経営契約書の細目、オンライン申込みの初回の引落しの月数、11月に窓口で加入した場合の12月分の掛金の請求月、事業として行われているかの税務上の実質判断の細目、不動産所得の計算と青色申告の承認、iDeCoなどほかの制度との関係、住民税・国民健康保険料への影響は扱っていません。記事中の計算例は一定の前提を置いた目安であり、実際の控除額は申込みの方法や納付の状況によって変わります。具体的な判断は必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。
参考資料・出典
- 中小機構 小規模企業共済FAQ ID:627「個人事業主として不動産賃貸業をしています。加入できますか。」https://kyosai-faq.smrj.go.jp/skyosai/index.php?action=faq&cat=12&id=627&artlang=ja
- 中小機構 共済サポートnavi「加入資格」https://kyosai-web.smrj.go.jp/skyosai/entry/index_02.html
- 中小機構「小規模企業共済のオンライン手続きによる加入申込について【令和8年分の所得控除の対象は10月申込分まで】」https://www.smrj.go.jp/kyosai/skyosai/news/2026/qsktgp000000cx1u.html
- 中小機構「小規模企業共済 制度のしおり」(令和8年6月改訂版)https://kyosai-web.smrj.go.jp/content/s_200_202311_shiori.pdf
- 国税庁 タックスアンサー No.1373「事業としての不動産貸付けとそれ以外の不動産貸付けとの区分」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1373.htm
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