この記事のポイント
- 共有の家では、自分の持分の取得対価を超える借入れは控除の対象外です
- 連帯債務は所得などに応じて決めた負担割合と持分で各人の対象額が決まります
- 持分と資金の負担割合が違うと贈与税の問題が生ずることがあります
- 給与所得者の2年目以後の書類は初年度の確定申告書に基づき発行されます
まず結論:持分・借入れ・負担の3つがずれると、控除額と贈与税に響きます
夫婦や親子で家を買うと、登記の持分、ローンの借り方、実際に返す人が別々に決まります。
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)を初めて受ける年の申告で、3つを確かめます。
借入れが自分の持分の取得対価を超えると、超えた分は控除の対象になりません。
持分を超えてお金を負担すると、贈与税の問題が出ることもあります。

控除の対象は「自分の持分を買うための、自分の借入れ」です
控除を受けられるのは、家を取得して住み、そのための借入れがある人です(租税特別措置法41条1項)。
年末の残高が取得対価を超えるときは、取得対価までが控除の基礎です(同法施行令26条6項・26項)。
取得対価とは、家や土地の購入代金などのことです。共有の家では、次のように計算します。
その家屋全体の取得等の対価の額にその者の共有持分割合を乗じて計算した金額が、その者の家屋の取得等の対価の額となります。
(国税庁 質疑応答事例「共有住宅の取得対価の額」)
| 借り方 | 形 | 控除の対象額の考え方 |
|---|---|---|
| ペアローン | 2人が別々に自分の名義で借りる | 自分の借入れの残高。持分の取得対価が上限 |
| 連帯債務 | 1本の借入れを2人で負う | 決めた負担割合による額。持分を買うための額が上限 |
| 連帯債務で家は1人の名義 | 借入れは2人、家の持ち主は1人 | 原則として、借入金の総額が持ち主の対象 |
ペアローンで持分より多く借りると、超えた分は控除できません
持分より多く借りた人は、持分の取得対価までしか控除の基礎になりません。
計算例
例:5,000万円の家を2分の1ずつ登記し、夫3,500万円・妻1,500万円を借りた場合
夫の取得対価 5,000万円 × 2分の1 = 2,500万円 夫の控除の基礎 年末残高3,400万円より少ない 2,500万円 夫の控除額 2,500万円 × 0.7% = 175,000円(残高のままなら238,000円) 妻の控除額 年末残高1,450万円 × 0.7% = 101,500円 夫7割・妻3割で登記した場合の夫 3,400万円 × 0.7% = 238,000円ペアローンで頭金なし、ZEH水準省エネ住宅の新築で令和8年に入居した前提です。借入限度額3,500万円の範囲内で、所得税額は足りるものとします。妻の控除額は、どちらの登記でも同じです。
金額は一定の前提を置いた目安です。
この例では、夫の借入れのうち1,000万円が、妻の持分の購入に充てられています。
購入資金の負担割合と登記の持分が異なると、贈与税の問題が生ずることがあります(No.4411)。
同じページの事例では、負担の割合どおりに登記していれば、贈与税の問題は生じないとされます。
購入後に気づいたときの扱いは、持分と資金負担のずれの記事で扱っています。
連帯債務は、取り決めた負担割合と持分で対象額が決まります
連帯債務では、2人の間で決めた負担の割合で、各人の対象額が変わります(質疑応答事例)。
負担割合は、所得金額などに応じて合理的に定める必要があります(同事例の注)。
共働きの夫婦の事例では、持分を超えて負担した分は相手への贈与となります。
ポイント
頭金を誰が出したかでも、対象額は変わります。事例は、4,500万円の家を2分の1ずつ共有し、借入れ4,000万円を夫6・妻4で負担する形です。頭金500万円を夫が1人で出すと、夫の対象は1,750万円です。持分の2,250万円から頭金を引いた額です。夫が妻に代わって負担する650万円は、夫から妻への贈与となります。
頭金を持分どおりに出した場合は、初年度の依頼の判断の記事で計算しています。
連帯債務があるときは、申告に連帯債務の付表も添付します(No.1211-1)。

名義は1人で連帯債務を2人で返すと、返済の年ごとに贈与とされます
家が夫だけの名義なら、連帯債務でも、原則として借入金の総額が夫の控除の対象です(質疑応答事例)。
共働きの収入で返すと、返済の年ごとに妻から夫へ贈与したものとされます(No.4411のQ&A)。
贈与額は、その年の返済額に、夫婦の所得の合計に占める妻の所得の割合を掛けた額です。
計算例
例:夫名義の家の連帯債務を、共働きで年240万円返した場合(所得は夫婦とも500万円)
妻から夫への贈与額 240万円 × 500万円 ÷(500万円+500万円)= 120万円 基礎控除後 120万円 - 110万円 = 10万円 贈与税 10万円 × 10% = 1万円(夫婦間の贈与は一般税率)その年にほかの贈与がない前提の、一定の前提を置いた目安です。
申告が要るかは、その年にもらった贈与の合計で決まります。合計が110万円を超える年は、翌年2月1日から3月15日までに申告します(No.4402)。
親子で組むローンは、親が返した分と親からの借入れに注意します
親子で家を共有するときも、自分の持分の取得対価が控除の上限です。
子の名義のローンを親が代わりに返すと、贈与の問題が出ます。
原則として、返した額を親から贈与で取得したものとみなされます(相続税法8条)。
親族や知人からの借入金は、住宅ローン控除の対象になりません(No.1211-1)。
親の資金援助で非課税などの特例を使った額は、取得対価から差し引きます(施行令26条6項)。

間違えると、所得税の修正と贈与税の申告漏れが重なることがあります
ずれたまま申告すると、次のような直しが要ります。
- 持分を超えた残高で控除した ― 控除が過大で、修正申告と延滞税の納付が要ります(No.2026)。
- 持分のない人が控除を受けた ― 家を取得していない人は対象になりません(措法41条1項)。
- 負担のずれを放置した ― ほかの贈与と合わせた合計が年110万円を超える年は、贈与税の申告が要ります。
過少申告加算税(少なく申告したときの税)は、調査の事前通知の前に自分から直せばかかりません。
注意
給与所得者は、2年目以後の控除を年末調整で受けられます(No.1211-1)。そのための書類は、初年度の確定申告書の内容に基づいて発行されます。国税庁は、内容が事実と異なると控除が受けられなくなることがあると注意しています。

ここまではご自身で、ここから先は個別判断です
ご自身で進められるのは、書類をそろえて3つのずれを書き出すところまでです。
- 登記事項証明書で、家と土地それぞれの持分を確かめる
- ローンの契約書で、ペアローンか連帯債務か、各人の借入額を確かめる
- 売買契約書で取得対価を確かめ、頭金を誰の口座から払ったかを書き出す
- 返済口座と、各人のその年の所得を一覧にする
- 借入れごとに、年末残高が分かる書類をそろえる
連帯債務の負担割合が合理的か、どの年にいくらの贈与になるかは、事実ごとの判断です。
親子のローンや、家と土地で持分が違う場合も、個別に確かめる必要があります。
税理士に頼むと変わるのは、各人の対象額の根拠と贈与税との整合です
小松公認会計士・税理士事務所では、ご夫婦・親子それぞれの申告を同じ前提でそろえて作ります。
- 登記・契約書・通帳から、持分・借入れ・負担を一覧に整理
- 各人の取得対価と控除の基礎の計算(連帯債務の付表を含む)
- 持分を超える負担の有無と、贈与税の申告が要る年の確認
- 確定申告書の作成と電子申告(e-Tax)での提出、控えの保管
- 2年目以後の年末調整で勤務先に出す書類のご案内
やりとりは、全国どこからでもオンラインで完結します。
料金の目安
基本料金32,000円(税込35,200円)に、当てはまる所得・控除ごとの単価を足した額が料金です。個人の確定申告は最低料金65,000円(税別・税込71,500円)からお引き受けしています。
例:給与所得・その他控除セット・住宅ローン控除(初年度)で申告する場合です。32,000円+6,000円+6,000円+15,000円=59,000円です。65,000円に満たないため、最低料金の65,000円(税込71,500円)になります。贈与税の申告が要る場合は、別にお見積りします。
ご自身の料金は60秒見積りで確かめられます。
この論点で小松公認会計士・税理士事務所ができること
制度は複雑ですが、お客様がすべてを理解する必要はありません。難しいことは、専門家にお任せください。
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小松公認会計士・税理士事務所 代表
小松 優馬公認会計士・税理士
- お話を伺って、「あなたの場合はどうなるか」をはっきりお答えします
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初回相談は無料です。
よくある質問(FAQ)
Q1. ペアローンで、持分より多く借りています。控除はどうなりますか?
控除の基礎は、年末残高と自分の持分の取得対価のうち少ないほうです(租税特別措置法施行令26条6項)。持分を超えて借りた分は対象になりません。借入限度額の上限もあります。資金の負担割合と登記の持分が異なると、贈与税の問題が生ずることもあります(No.4411)。
Q2. 夫婦の連帯債務です。負担割合は自由に決めてよいですか?
国税庁の質疑応答事例は、負担割合を所得金額などに応じて合理的に定める必要があるとしています。各人の対象額は、負担する借入れのうち自分の持分を買うための額までです。超えて負担した分は相手への贈与となります。申告では連帯債務の付表も添付します。
Q3. 家は夫の名義だけですが、妻もローンを返しています。問題はありますか?
連帯債務でも家が夫の単独所有なら、原則として借入金の総額が夫の控除の対象です(質疑応答事例)。共働きの収入で返すと、返済の年ごとに妻から夫へ贈与したものとされます(No.4411のQ&A)。贈与額は、返済額に夫婦の所得に占める妻の所得の割合を掛けた額です。
Q4. 親が子の住宅ローンの返済を手伝うと、税金はかかりますか?
子の名義のローンを親が代わりに返すと、贈与の問題が出ます。原則として、返した額を親から贈与で取得したものとみなされます(相続税法8条)。もらった合計が年110万円を超える年は申告が要ります(No.4402)。親族からの借入金は、住宅ローン控除の対象になりません。
免責事項
本記事は令和8年10月時点の法令・公表資料に基づく一般的な解説です。租税特別措置法41条1項・2項・4項・6項・7項・8項、租税特別措置法施行令26条6項・26項、租税特別措置法関係通達41-23、相続税法8条、国税庁タックスアンサーNo.1211-1「住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」・No.1225「住宅借入金等特別控除の対象となる住宅ローン等」とそのQ&A・No.2026「確定申告を間違えたとき」・No.4402「贈与税がかかる場合」・No.4408「贈与税の計算と税率(暦年課税)」・No.4411「共働きの夫婦が住宅を買ったとき」とそのQ&A、国税庁の質疑応答事例(共有住宅の取得対価の額、共有の家屋を連帯債務により取得した場合の借入金の額の計算、連帯債務により家屋を取得し単独所有とした場合の借入金の額の計算)、国税庁「年末調整で住宅借入金等特別控除を受ける方へ」の内容を扱っています。ペアローンで互いに連帯保証人になっている場合の扱い、親子リレー返済・収入合算などのローンの形ごとの扱い、親子の連帯債務での負担割合の決め方、ペアローンで持分を超えて借りた分の贈与の時期と金額、借入限度額・控除限度額の区分ごとの金額(計算例のZEH水準省エネ住宅を除く)、特例対象個人の上乗せ、床面積・合計所得金額などの要件の細目、家と土地で持分が異なる場合の計算、住宅取得等資金の非課税と相続時精算課税の要件と限度額、持分を直すときの扱い、贈与税の配偶者控除・延納、相続税法8条ただし書の例外、過少申告加算税・延滞税の割合と計算、付表の様式と書き方、住民税からの控除、借換え・繰上返済、離婚・財産分与、売却時の譲渡所得は扱っていません。記事中の計算例は一定の前提を置いた目安であり、実際の控除額と贈与税額は、住宅の区分・入居年・借入れと返済の状況・所得によって変わります。具体的な判断は必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。
参考資料・出典
- e-Gov法令検索「租税特別措置法」(41条)https://laws.e-gov.go.jp/law/332AC0000000026
- 国税庁 タックスアンサー No.1211-1「住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1211-1.htm
- 国税庁 質疑応答事例「共有住宅の取得対価の額」https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/06/34.htm
- 国税庁 質疑応答事例「共有の家屋を連帯債務により取得した場合の借入金の額の計算」https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/06/36.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.4411「共働きの夫婦が住宅を買ったとき」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4411.htm
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