この記事のポイント
- 住宅ローン控除の初年度は確定申告が必要で、給与所得者は2年目以後を年末調整で受けられます
- 家とローンが単独名義で、援助・売却の特例・増改築がなければ、ご自身で申告しやすい形です
- 共有・連帯債務や親の援助があると、控除の基礎になる金額の計算が分かれます
- 入居の年と前2年・後3年に前の家の売却で3,000万円控除などを受けると、控除は受けられません
まず結論:単独名義で援助や売却がなければ、ご自身でも申告できます
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、控除を受ける最初の年分に確定申告が必要です。
家もローンもご自身1人の名義で、書類がそろえば、ご自身でも申告書を作れます。
国税庁の確定申告書等作成コーナーに入力すると、計算明細書も自動で作られます。
一方で、共有名義・連帯債務、親の援助、前の家の売却、増改築の4つでは、判断と計算が分かれます。
4つのどれかに当てはまるなら、初年度だけでも税理士に任せる意味があります。

初年度だけは確定申告が要り、2年目からは年末調整に移れます
控除を受けるには、確定申告書への記載と書類の添付が条件です。
第一項の規定は、確定申告書に、同項の規定による控除を受ける金額についてのその控除に関する記載があり、かつ、財務省令で定めるところにより、当該金額の計算に関する明細書、登記事項証明書その他の書類の添付がある場合に限り、適用する。
(租税特別措置法41条36項)
給与所得者は、2年目以後の年分を年末調整で受けられます(タックスアンサーNo.1211-1)。
税務署から届く証明書兼申告書などを、勤務先に出す形です。
年末調整で受けられるのは、確定申告で一度控除を受けた後です(租税特別措置法41条の2の2第1項)。
事業所得などで毎年確定申告をする方は、2年目以後も確定申告で受けます。
令和8年分の確定申告の期限は、令和9年3月15日(月)です。
還付申告(税金を返してもらう申告)は、2月15日以前も受け付けます(国税庁)。
補足
令和8年度の税制改正で、入居の期限が令和12年12月31日まで5年延びました。令和8年1月1日以後の入居では、床面積40㎡以上50㎡未満の中古住宅なども対象になりえます。区分ごとの要件があり、合計所得金額が1,000万円を超える年は対象外です。借入限度額と控除期間は、住宅の区分と入居年で変わります。

ご自身で申告しやすいのは、次の条件がそろう方です
次のすべてに当てはまれば、計算が分かれる要素の少ない形です。
- 家・土地・ローンの名義が、どれもご自身1人だけ
- 親などから、住宅資金の援助を受けていない
- 前の家の売却で、3,000万円控除などの特例を使わない
- 新築や中古の購入だけで、増改築の工事をしていない
- 店舗や事務所との併用がない
- 年末残高等証明書・登記事項証明書・売買契約書がそろっている
書類と流れは、初年度の必要書類の記事にまとめています。
ポイント
単独名義でも、住宅の区分(認定住宅・省エネ基準適合住宅など)を示す証明書は先に確かめます。区分で添付書類が変わります。令和6年以後の入居では、省エネ基準に適合しない新築は、建築確認や建築の時期によっては対象外です。
計算が分かれるのは、共有・援助・売却・増改築の4つです
4つの場面では、年末のローン残高をそのまま控除の基礎にできないことがあります。
① 共有名義・連帯債務
共有の家では、全体の取得対価(購入代金など)に持分の割合を掛けた額が、自分の取得対価です。
連帯債務(複数の人が同じ借入れを一緒に負う形)は、所得などに応じた負担割合で対象額が変わります。
いずれも国税庁の質疑応答事例の考え方で、申告では連帯債務の付表も添付します。
② 親からの資金援助
住宅取得等資金の非課税などの特例を受けた援助の額は、取得対価から差し引きます。
根拠は租税特別措置法施行令26条6項です。
差し引いた後の取得対価が年末残高より少なければ、少ないほうが控除の基礎です。
非課税を受けるには、翌年2月1日から3月15日までに贈与税の申告が要ります。
援助が非課税の額以下でも同じです(タックスアンサーNo.4508)。
住宅ローン控除の申告には、その贈与税の申告書の写しなども添えます。
③ 前の家の売却
入居の年とその前2年・後3年に、前の家の売却で3,000万円控除などを受けたとします。
その場合、住宅ローン控除は受けられません(租税特別措置法41条21項・22項)。
有利な選び方は、3,000万円控除と住宅ローン控除の記事で扱っています。
④ 増改築
増改築は、補助金を除いた工事費が100万円を超えることなどが要件です。
その2分の1以上が、居住用部分の工事である必要もあります(タックスアンサーNo.1211-4)。
中古住宅の取得と増改築を両方した場合は、原則として控除額を別々に計算して合計します。
入居後の軽微な修繕は、対象になりません(国税庁)。
計算例
例1:親の援助800万円に非課税の特例を使った場合(国税庁Q&Aの数値)
取得対価 3,000万円 - 800万円 = 2,200万円 年末残高2,500万円より少ないため、控除の基礎は 2,200万円 控除額 2,200万円 × 0.7% = 154,000円(差し引かないと175,000円で、21,000円多い)例2:夫婦2分の1ずつの共有で、借入4,000万円を夫6対妻4で負担(国税庁の質疑応答事例)
購入代金4,500万円・頭金500万円は持分どおりに負担 夫の対象 4,000万円 × 50% = 2,000万円(負担2,400万円との差400万円は妻への贈与) 妻の対象 4,000万円 × 40% = 1,600万円金額は一定の前提(借入限度額の範囲内・年末残高は例の額)を置いた目安です。

間違えると、修正申告や贈与の問題として後から表れます
初年度の誤りは、内容と気づいた時期で、直し方と負担が変わります。
- 援助を差し引かずに申告した ― 控除が多すぎるため、修正申告(税額を正しく直す申告)をし、延滞税も納めます。
- 持分を超えてローンを負担した ― 超えた分は、配偶者への贈与とされます(持分と資金負担のずれの記事)。
- 贈与税の申告を出さなかった ― 住宅取得等資金の非課税の特例を受けられません。
税務署の調査の事前通知の前に、自主的に修正申告をしたとします。
この場合、過少申告加算税(少なく申告したときの税)はかかりません。
通知の後に直すと、新たに納める税金に加算税がかかります(タックスアンサーNo.2026)。
注意
入居の翌年以後3年以内に前の家を売り、3,000万円控除などを受けたとします。この場合、住宅ローン控除はさかのぼって受けられなくなります。控除を受けた年分は、修正申告(年末調整の年分は期限後申告)をして納付します。期限は、売った年分の確定申告期限です(租税特別措置法41条の3第1項)。
売却の予定があるなら、初年度の申告の前に、どちらの特例を使うかを決めておきます。

ここまではご自身で、ここから先は個別判断です
ご自身で進められるのは、書類をそろえて事実を整理するところまでです。
- 年末残高等証明書・登記事項証明書・売買契約書(または工事請負契約書)をそろえる
- 住宅の区分を示す証明書を、引渡しのときの書類から探す
- 家・土地・ローンの名義と、持分の割合を書き出す
- 援助を受けた額と時期、贈与税の申告の予定をメモする
- 前の家を売る予定と、その時期の見込みを書き出す
持分と負担割合の分け方や、売却との有利判定は、事実ごとの個別判断です。
援助を家と土地のどちらに充てたかや、増改築が対象になるかも、内容で判断が分かれます。
税理士に頼むと変わるのは、対象額の根拠と2つの申告の整合です
小松公認会計士・税理士事務所では、初年度の申告だけのご依頼もお受けしています。
ひとつめは、住宅の区分と取得の形に合わせた、必要書類の指示です。
ふたつめは、持分と連帯債務の負担割合の確認です。付表まで含めて、各人の対象額を計算します。
みっつめは、援助を差し引いた取得対価の計算です。贈与税の申告と数字をそろえて作ります。
よっつめは、前の家の売却との見込み計算です。どちらの特例が有利かを並べて比べます。
いつつめは、申告書の作成と電子申告(e-Tax)での提出、控えの保管です。
むっつめは、2年目以後の年末調整に向けて、勤務先に出す書類のご案内です。
やりとりは、全国どこからでもオンラインで完結します。
料金は、所得の種類・取引の量・記帳の状態で決まり、60秒見積りでその場で分かります。
この論点で小松公認会計士・税理士事務所ができること
制度は複雑ですが、お客様がすべてを理解する必要はありません。難しいことは、専門家にお任せください。
登録者6,900人超
小松公認会計士・税理士事務所 代表
小松 優馬公認会計士・税理士
- お話を伺って、「あなたの場合はどうなるか」をはっきりお答えします
- 必要な書類のご案内から申告まで、まるごとお任せいただけます
- 料金は先にお見積り。全国どこでも、オンラインで完結できます
YouTube「税理士 小松ゆうまチャンネル」(登録者6,900人超)で、税金の話を分かりやすく解説しています。動画を見てみる
初回相談は無料です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 会社員です。住宅ローン控除の初年度も、年末調整で受けられますか?
受けられません。控除を受ける最初の年分は、確定申告が必要です(租税特別措置法41条36項)。申告書に控除額を書き、計算明細書や登記事項証明書などを添付します。給与所得者は、2年目以後の年分を年末調整で受けられます。
Q2. 親から住宅資金の援助を受けました。自分で申告できますか?
申告はできますが、計算に注意が要ります。非課税の特例などを受けた援助の額は、取得対価から差し引きます(租税特別措置法施行令26条6項)。そのうえで年末残高と比べます。贈与税の申告書の写しなども添付するため、2つの申告の数字をそろえる必要があります。
Q3. 夫婦の連帯債務で家を買いました。控除はどう分けますか?
国税庁の質疑応答事例では、所得などに応じて合理的に決めた負担割合と持分で、対象額が変わります。持分を超えて負担した分は、配偶者への贈与となります。家が夫の単独所有なら、原則として借入金の総額が夫の対象です。申告では連帯債務の付表も添付します。
Q4. 前の家を数年後に売る予定です。初年度に気をつけることはありますか?
入居の年と前2年・後3年に、前の家の売却で3,000万円控除などを受けたとします。その場合、住宅ローン控除は受けられません(租税特別措置法41条21項・22項)。翌年以後3年以内の売却で受けるなら、控除を受けた年分の申告と納付が要ります(同法41条の3)。
免責事項
本記事は令和8年10月時点の法令・公表資料に基づく一般的な解説です。租税特別措置法41条1項・2項・21項・22項・36項、41条の2の2第1項、41条の3第1項、70条の2第1項・14項、租税特別措置法施行令26条6項、国税庁タックスアンサーNo.1211-1「住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」と関連するQ&A・No.1211-4「増改築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」・No.2026「確定申告を間違えたとき」・No.4508「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」とそのQ&A、国税庁の質疑応答事例(共有住宅の取得対価の額、共有の家屋を連帯債務により取得した場合の借入金の額の計算、連帯債務により家屋を取得し単独所有とした場合の借入金の額の計算)、国税庁「暮らしの税情報」(令和8年度版)、令和8年度税制改正の大綱の内容を扱っています。借入限度額・控除限度額・控除期間の区分ごとの金額、子育て世帯などへの借入限度額の上乗せ、床面積40㎡以上50㎡未満の住宅の区分ごとの要件、認定住宅等の証明書の細目、調書方式の添付書類、住民税からの控除、借換え・繰上返済・転勤と再居住、合計所得金額の計算、3,000万円控除などの譲渡の特例の要件と有利判定の計算、住宅取得等資金の非課税の限度額と受贈者の要件、相続時精算課税、持分と負担のずれによる贈与税の計算、店舗併用住宅の按分、過少申告加算税・延滞税の割合と計算、災害の特例は扱っていません。記事中の計算例は国税庁の公表事例の数値に一定の前提を置いた目安であり、実際の控除額は住宅の区分・入居年・借入の状況で変わります。具体的な判断は必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。
参考資料・出典
- e-Gov法令検索「租税特別措置法」(41条・41条の2の2・41条の3・70条の2)https://laws.e-gov.go.jp/law/332AC0000000026
- 国税庁 タックスアンサー No.1211-1「住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1211-1.htm
- 国税庁 質疑応答事例「共有の家屋を連帯債務により取得した場合の借入金の額の計算」https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/06/36.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.4508「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4508.htm
- 国税庁掲載「令和8年度税制改正の大綱(令和7年12月26日閣議決定)(抄)」https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shotoku/0026004-015.pdf
住宅ローン控除の初年度の申告を、計算の根拠から整えませんか
住宅ローン控除の初年度は、確定申告で控除額を計算して申告します。共有名義・連帯債務、親の資金援助、増改築があると、年末残高をそのまま使えないことがあります。入居の年と前2年・後3年に前の家の売却で3,000万円控除などを受けると、控除を受けられません。代表税理士が、必要書類の指示から申告書の作成と提出まで通して対応します。持分と負担割合の確認、援助を差し引いた計算、贈与税の申告との照合も行います。給与所得者は2年目以後を年末調整で受けられるため、初年度だけのご依頼もお受けしています。
無料相談を申し込む 確定申告サポートの詳細を見る 約60秒で料金を自動見積り