この記事のポイント
- 赤字を繰り越さず税金が戻るだけの申告は、翌年1月1日から出せる還付申告です
- 1月に出せるかは、源泉徴収票と12月分までの家賃・経費の書類がそろう時期で決まります
- 出し直しや書類の不備があると、e-Taxでも3週間程度での還付処理の対象外です
- 赤字のうち、土地などを取得するための借入金の利子に当たる部分などは、給与と差し引けません
まず結論:家賃収入の赤字で税金が戻る申告は、1月から出せます
家賃収入の赤字は、原則として給与などの所得から差し引けます(所得税法69条1項)。
差し引いた結果、給与から引かれた所得税が多すぎれば、申告でその分が戻ります。
赤字を翌年以後に繰り越さず、税金が戻るだけの申告は「還付申告」です。
還付申告は、翌年1月1日から5年間出せます(No.2030)。
令和8年分の還付申告は、2月16日を待たずに令和9年1月1日から出せます。
1月中に出せるかどうかは、書類がそろう時期で決まります。

税金が戻るのは、家賃収入の赤字を給与と差し引くからです
税金が戻るのは、損益通算(ある所得の赤字をほかの所得から差し引くこと)の結果です。
家賃収入の所得(不動産所得)は、家賃などの収入から必要経費を引いた額です(No.1370)。
固定資産税・損害保険料・減価償却費・修繕費などが収入を上回ると、赤字になります。
その赤字を、給与などの黒字の所得から差し引きます(No.1391)。
年末調整では、勤務先が給与の1年分の所得税を精算します(No.1900)。
差し引いた後の税額より源泉徴収された税額が多ければ、その差が戻ります(No.2030)。
ポイント
赤字のすべてを差し引けるわけではありません。土地などを取得するための借入金の利子に当たる部分は除かれます。別荘などの貸付けの赤字も同じです(No.1391)。国外中古建物の、簡便法などで計算した償却費に当たる部分なども除かれます(No.2250)。
差し引けない部分の考え方は、家賃収入の確定申告を自分でするかの記事でも触れています。
戻る金額は、差し引ける赤字の額や給与の額によって変わります。

1月から出せるのは、還付申告が確定申告の期間と関係ないからです
確定申告の期間は、原則として翌年2月16日から3月15日までです(No.2020)。
還付申告については、国税庁が次のように案内しています。
還付申告書は、確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出することができます。
(国税庁タックスアンサー No.2030)
給与を受ける方のうち、申告すれば税金が戻る人は、申告が必要な人から除かれています(No.1900)。
赤字を繰り越す確定損失申告も、2月15日以前に出せば期限内の扱いです(所得税基本通達120-2)。
還付の時期について、国税庁の確定申告期のQ&A(Q41)は次のように説明しています。
- 2月・3月は大量の申告書が出る時期で、支払手続におおむね1か月から1か月半程度かかる
- e-Taxで出された還付申告は、3週間程度で処理している(複数回の申告や書類の不備などは対象外)
1月にe-Taxで出せば、申告書が集中する2月・3月を避けて提出できます。
e-Taxは、メンテナンスの日を利用可能時間カレンダーで確かめてから送ります。
還付申告の5年の期限は、還付申告の期限と進め方の記事にまとめています。
1月にそろう書類と、そろいにくい書類を分けて準備します
早く出すための準備は、書類が手元にそろう時期を知ることから始まります。
| 書類 | そろう時期の目安 | 確かめること |
|---|---|---|
| 給与の源泉徴収票 | 原則、翌年1月31日までに交付(所得税法226条1項) | 提出や提示は不要(e-Taxの案内)。金額は申告書に使う |
| 家賃の通帳・管理会社の明細 | 12月分は年明けに届くことがある | 1月から12月まで1年分あるか |
| 借入金の返済予定表・固定資産税や保険料の書類 | 手元の書類で確かめられる | 1年分の利子と税・保険料 |
| 12月に終えた修繕の請求書 | 年明けに届くことがある | 工事が12月中に終わったか |
| ふるさと納税などの寄附の証明書類 | 寄附先などから届く | ワンストップ特例の分も入れる |
補足
令和8年度改正で、所得税の基礎控除の引上げなどが行われました。国税庁によると、原則として令和8年分以後に適用されます。令和8年12月に行う年末調整などに変更が生じるとしています。申告書は、年末調整を終えた源泉徴収票の金額で作ります。
青色申告でない方は、収入と必要経費の内容を書いた書類も添えます(所得税法120条・122条3項)。
作成コーナーでは、青色申告決算書や収支内訳書も作れます(国税庁)。
管理会社や銀行から集める書類は、不動産所得の年末チェックの記事で一覧にしています。
1月中に出せるかは、源泉徴収票と12月分までの明細がそろう日で決まります。

早く出そうとして起きる失敗は、出し直しと書き漏れです
1月に急いで出すと、次のような誤りにつながります。
- 源泉徴収票が届く前に、見込みの金額で出す ― 金額が違えば出し直しになります。同じ人の複数回の申告は、e-Taxでも3週間程度での処理の対象外です(Q41)。
- 12月分の家賃を入れ忘れる ― 戻る税金が多すぎた場合は、修正申告で直します(No.2026)。
- 12月に終えた修繕の費用を入れ忘れる ― 戻る税金が少なすぎた場合は、更正の請求で直します。期間は原則として、還付申告書を出した日から5年以内です(No.2030)。
- ワンストップ特例を申請した寄附を書かない ― 確定申告をすると、特例の申請は無効です。申請した分も含めて寄附金控除を計算します(No.1155)。
- 20万円以下の副業の所得を書かない ― 還付申告では、ほかの所得も申告が必要です(Q5)。
- 屋号の入った口座を振込先にする ― 口座名義に屋号が含まれると、還付金を振り込めません(Q43)。
注意
還付申告は5年間出せますが、期限内の提出が要件の特例は別です。令和8年分の青色申告特別控除(55万円・65万円)などです。受けるなら、原則翌年3月15日までに出します(No.2030)。ただし、この控除は黒字の所得が限度です(No.2072)。家賃収入が赤字で事業の黒字もない年は使えません。
1月に出すときほど、書類をそろえて1回で正しく出すことが大切です。
ここまではご自身で、ここから先は個別判断です
12月から1月にかけて、ご自身で進められるのは次の5つです。
- 勤務先に、源泉徴収票を受け取る時期と方法(紙か電子か)を聞く
- 管理会社に、12月分までの明細が届く時期を聞く
- 通帳で、1月から12月までの家賃の入金を確かめる
- ふるさと納税など、年末調整で受けていない控除の書類を集める
- 還付金の振込先として、本人の氏名だけの名義の口座を決める
どの支出を経費にできるか、差し引けない赤字がいくらかは、個別判断です。
減価償却費の計算や、赤字を翌年以後に繰り越すかどうかも、事実によって判断が分かれます。
税理士に頼むと変わるのは、1月中に出すための段取りです
小松公認会計士・税理士事務所では、1月中の提出を目指して次の作業を行います。
- 12月のうちに、物件ごとに集める書類の一覧をお送りします
- 源泉徴収票が届く前に、家賃と経費の集計と減価償却費の計算を進めます
- 土地の借入金の利子など、給与と差し引けない赤字を計算します
- 源泉徴収票が届いたら、還付の見込み額をお知らせします
- 青色申告決算書または収支内訳書と申告書を作り、e-Taxで提出します
- 申告書の控えをお渡しし、翌年の減価償却に引き継ぎます
書類のやり取りから提出まで、全国どこからでもオンラインで完結します。
料金の目安
基本料金32,000円(税込35,200円)に、当てはまる所得・控除ごとの単価を足した額が料金です。個人の確定申告は最低料金65,000円(税別・税込71,500円)からお引き受けしています。
通常料金での計算例です。会社員の方が、家賃収入300万円までの物件を1つ持つ場合です。給与所得、その他控除セット(社会保険料など)、ふるさと納税が各6,000円です。不動産所得(家賃収入300万円まで)は35,000円です。合計は32,000円+6,000円+35,000円+6,000円+6,000円=85,000円です。税込では93,500円です。消費税の申告と記帳代行はない前提で、計算例は一定の前提を置いた目安です。
家賃収入が300万円を超える方や物件が2つ以上の方も、ご自身の料金は60秒見積りで確かめられます。
この論点で小松公認会計士・税理士事務所ができること
制度は複雑ですが、お客様がすべてを理解する必要はありません。難しいことは、専門家にお任せください。
登録者6,900人超
小松公認会計士・税理士事務所 代表
小松 優馬公認会計士・税理士
- お話を伺って、「あなたの場合はどうなるか」をはっきりお答えします
- 必要な書類のご案内から申告まで、まるごとお任せいただけます
- 料金は先にお見積り。全国どこでも、オンラインで完結できます
YouTube「税理士 小松ゆうまチャンネル」(登録者6,900人超)で、税金の話を分かりやすく解説しています。動画を見てみる
初回相談は無料です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 家賃収入の赤字で税金が戻る場合、2月16日を待たずに申告できますか?
還付申告は、確定申告期間とは関係なく翌年1月1日から5年間出せます(No.2030)。令和8年分なら、令和9年1月1日から出せます。赤字を繰り越す確定損失申告も、2月15日以前に出せば期限内の扱いです(所得税基本通達120-2)。
Q2. 還付申告を出してから、還付金はどのくらいで振り込まれますか?
国税庁は、e-Taxで出された還付申告を3週間程度で処理しているとしています。訂正申告など同じ人の複数回の申告や、書類の不備、書面による別送書類の提出があると対象外です。2月・3月は、支払手続におおむね1か月から1か月半程度かかるとしています(Q41)。
Q3. 申告した後に、12月中に終えた修繕の請求書が届きました。どうすればよいですか?
経費が増えて戻る税金が少なすぎたときは、更正の請求で直します。期間は原則として、還付申告書を出した日から5年以内です(No.2030、所得税基本通達122-1)。反対に、家賃の入れ忘れなどで戻る税金が多すぎたときは、修正申告で直します(No.2026)。
Q4. ふるさと納税のワンストップ特例を申請しています。還付申告をするとどうなりますか?
確定申告をすると、ワンストップ特例の申請は無効になります(No.1155)。申請した分も含めて寄附金控除を計算し、申告書に書きます。書き忘れたときは更正の請求で直せます。ただし、税額が変わらない場合は更正の請求ができないため、お住まいの市区町村に相談します。
免責事項
本記事は令和8年11月時点の法令・公表資料に基づく一般的な解説です。所得税法69条1項・120条・121条1項・122条・123条1項・226条1項、所得税基本通達120-2・122-1、タックスアンサーNo.1155「ふるさと納税(寄附金控除)」・No.1370「不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)」・No.1391「不動産所得が赤字のときの他の所得との通算」・No.1900「給与所得者で確定申告が必要な人」・No.2020「確定申告」・No.2026「確定申告を間違えたとき」・No.2030「還付申告」・No.2250「損益通算」、国税庁「確定申告期に多いお問合せ事項Q&A」のQ5・Q41・Q43、e-Taxの利用可能時間と第三者作成書類の添付省略の案内、国税庁の令和8年度税制改正(基礎控除の引上げ等)の案内、確定申告書等作成コーナーのお知らせ、弊所の料金表の内容を扱っています。還付される税額と住民税の減少額の計算、税率、損益通算できない部分(土地等を取得するための負債の利子・国外中古建物・組合事業など)の計算方法、減価償却費の計算、修繕費と資本的支出の区分、家賃や経費の計上時期の細目、借入金の返済額の扱い、赤字を繰り越す場合の青色申告の要件、青色申告特別控除の要件と金額、令和9年1月1日以後に出す申告書から使える控除の証明書に代わる明細書の制度、令和8年度改正による基礎控除などの見直しの金額、令和8年分の確定申告期間と作成コーナーの公開日の具体的な日付、e-Taxの年末年始の利用時間と利用の手続、還付加算金、修正申告で生じる加算税・延滞税、ふるさと納税の控除の上限、物件を買った年・相続した年の申告、住民税の申告、消費税の申告は扱っていません。記事中の計算例は一定の前提を置いた目安であり、実際の料金は所得や控除の内容によって変わります。具体的な判断は必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。
参考資料・出典
- 国税庁 タックスアンサー No.2030「還付申告」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2030.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.1391「不動産所得が赤字のときの他の所得との通算」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1391.htm
- 国税庁 確定申告期に多いお問合せ事項Q&A「【税金の還付】」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/qa/11.htm
- e-Gov法令検索「所得税法」(69条・120条・122条・123条・226条)https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033
- 国税庁 タックスアンサー No.1155「ふるさと納税(寄附金控除)」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1155.htm
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