この記事の答え
- 確定申告の義務がない人の還付申告は翌年1月1日から5年間。令和3年分は令和8年12月31日までです。
- 申告書を出した年の納めすぎは更正の請求です。書かなかった住宅ローン控除は原則足せません。
- 控除額40万円・税率10%の人は、所得税と住民税で約8万1千円減る目安です。
還付申告は何年前までさかのぼれますか

確定申告の義務がない人は、その年の翌年1月1日から5年間、還付申告を出せます。還付申告とは、納めすぎた所得税を取り戻す申告です。
表1 年分ごとの期限
| 申告する年分 | 出せる最後の日 |
|---|---|
| 令和3年分 | 令和8年12月31日 |
| 令和4年分 | 令和9年12月31日 |
| 令和5年分 | 令和10年12月31日 |
| 令和6年分 | 令和11年12月31日 |
| 令和7年分 | 令和12年12月31日 |
令和9年1月1日になると、令和3年分の還付は受けられません。
税務署の窓口は12月29日から閉まります。e-Taxも同じ日から令和9年1月3日まで止まる予定です。
12月29日以後は郵送で出します。消印の日が提出日です。令和3年分は早めに準備してください。
確定申告の期間(原則2月16日から3月15日)を待つ必要はありません。令和8年分の還付申告は、令和9年1月1日から出せます。
失敗の例
国税庁は、令和2年分の申告書を令和8年1月31日に出す例で、還付は認められないと答えています。令和2年分の期限は、令和7年12月31日だったからです。
どんな人が、いくら戻りますか

戻るのは、給与や年金から引かれた所得税などが、納めすぎになっている人です。次の人などです。
- 年の途中で退職して就職せず、年末調整を受けていない人
- 医療費控除、寄附金控除、雑損控除(災害や盗難の損失)を受ける人
- 住宅ローン控除を年末調整で受けていない会社員
- 収入が年金だけで、生命保険料控除などを受ける人
引かれた所得税や前もって納めた所得税がない人は、申告しても戻りません。源泉徴収票の「源泉徴収税額」が0円の人などです。預貯金の利子から引かれた税金も戻りません。
会社員のAさんは、令和4年に医療費を50万円払いましたが、申告していません。保険金などの受取りはありません。Aさんの控除額は、50万円−10万円=40万円です。
Aさんの所得税の税率が10%なら、戻る所得税は約4万1千円です。所得税だけでなく、令和5年度の住民税も約4万円減ります。合計は約8万1千円です。
控除額の全部に同じ税率がかかる場合の、一定の前提を置いた目安です。所得税に復興特別所得税を含め、住民税は10%で計算しました。納めた所得税より多くは戻りません。
所得が200万円未満の人は、10万円の基準が変わります(医療費控除の記事)。
申告済みの年や、税金を納める人はどうなりますか

還付申告を出せるのは、その年の確定申告書をまだ出していない人です。図2で手続きを確かめてください。
原則3月15日までなら、確定申告書を出し直せます。先の申告の還付の処理が済むと、出し直せません。書かなかった住宅ローン控除は、原則として更正の請求で足せません。10万円を超える青色申告特別控除などは、提出の期限が条件です。還付申告でも原則3月15日までに出します。
副業の所得が20万円を超える会社員や個人事業主などで、税金を納める人は別です。原則として翌年3月15日までに確定申告が必要です。遅れると、無申告加算税や延滞税がかかることがあります。
確定申告書を出した年に税金を納めすぎたときは、更正の請求で直します。医療費控除や寄附金控除の書きもれは、税額が変わるならこの手続きの対象です。
所得の書きもれで税金が増えるときは、修正申告という別の手続きです。更正の請求の期間は原則として申告期限から5年以内で、還付申告をした年は提出した日から5年以内です。
失敗の例
会社員のBさんは、医療費控除だけを書いた還付申告を出し、住宅ローン控除を書き忘れました。
住宅ローン控除を書かずに確定申告書を出した年は、更正の請求で足せません。この控除は、確定申告書に書くことが条件だからです。
国税庁の作成コーナーの案内と、国税不服審判所の平成19年2月19日の裁決も同じ内容です。税務署長がやむを得ない事情を認めたときは別です。
どう進めますか。どこまで自分でできますか

年末調整を受けた給与だけの人が、医療費控除を足す申告なら、ご自身でも進めやすい形です。
- 年分ごとに源泉徴収票と控除の書類を集める
- 年分ごとに申告書を作る。副業などの所得も書く
- 提出時の住所地の税務署へ出し、還付を待つ
過去の様式は国税庁のページにあります。還付の目安は、e-Taxで3週間程度です。書類の不備、書面の別送、複数回の申告があると長くなります。書面は、2・3月で1か月から1か月半程度です。
次の人は、ここから先が個別判断です。
- 副業・株式・不動産などの所得もある人
- 確定申告の義務があったかもしれない人
- 申告した年と、していない年が混ざっている人
- 住宅ローン控除を書かずに申告した年がある人
小松公認会計士・税理士事務所では、5年分の資料を見て、年分ごとに還付申告か更正の請求かを分けます。副業などの所得も含めて計算し、電子申告まで行います。
料金の目安
基本料金32,000円(税込35,200円)に、当てはまる所得・控除ごとの単価を足した額が料金です。個人の確定申告は最低料金65,000円(税別・税込71,500円)からお引き受けしています。
例は、給与所得・医療費控除・その他控除セットの1年分です。32,000円+6,000円×3=50,000円(税込55,000円)です。65,000円に満たないため、最低料金の65,000円(税込71,500円)になります。計算例は一定の前提を置いた目安です。
更正の請求も同じ料金体系です。複数年分は、ご相談時にご案内します。ご自身の料金は60秒見積りで確かめられます。
よくある質問(FAQ)
Q1. 住宅ローン控除を申告し忘れた年はどうなりますか?
確定申告書を出していない年は、条件を満たせば5年以内の還付申告で受けられます。出した年は更正の請求で足せません(税務署長がやむを得ない事情を認めたときは別です)。次の年分からは、確定申告をするなど条件を満たせば受けられます。
Q2. 還付申告をすると、住民税も下がりますか?
原則として住民税にも反映され、住民税の申告を別に出す必要はありません。確定申告書のデータが税務署から市区町村へ送られるからです。古い年分の精算の時期や方法は、その年度の1月1日に住んでいた市区町村に確かめてください。
Q3. 副業の所得が20万円以下でも、還付申告に書きますか?
はい。20万円以下で確定申告が不要になるのは、申告しない場合の話です。還付申告をするときは、20万円以下の所得も書きます。その分、戻る税金が減ることがあります。
Q4. ふるさと納税のワンストップ特例を使った年は、還付申告でどうなりますか?
確定申告をすると、ワンストップ特例の申請は無効になります。申請した分も含めて寄附金控除を書いてください。書き忘れたら更正の請求で足せます。所得税等の額が変わらないときは、市区町村にご相談ください。
免責事項
本記事は令和8年11月時点の法令・国税庁の公表資料(国税不服審判所・総務省の公表資料を含みます)に基づく一般的な解説です。還付申告ができるか、いくら戻るかは、その年分の所得・控除の内容によって異なります。記事中の税額は一定の前提を置いた目安で、実際の還付額を保証するものではありません。退職金の還付、株式の譲渡損失、亡くなった人の申告の細部は扱っていません。住民税の扱いの細部は、市区町村にご確認ください。具体的な判断は税理士にご確認ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。
参考資料・判例出典
- 国税庁 タックスアンサー No.2030「還付申告」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2030.htm
- 国税庁 質疑応答事例「還付請求の消滅時効の起算日」https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/07/14.htm
- 国税庁「確定申告期に多いお問合せ事項Q&A」Q5 還付申告・Q6 何年前まで遡れるか・Q9 住民税の申告https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/qa/02.htm
- 国税庁「確定申告期に多いお問合せ事項Q&A」Q13 税務署の開庁時間https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/qa/04.htm
- 国税庁「確定申告期に多いお問合せ事項Q&A」Q41 還付金の時期https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/qa/11.htm
- 国税庁 令和7年分 確定申告の手引き「確定申告をすれば税金が還付される方」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2025/01/1_07.htm
- 国税庁 令和7年分 確定申告の手引き「確定申告が必要な方」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2025/01/1_06.htm
- 国税庁 令和7年分 確定申告の手引き「申告に誤りがあった場合など」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2025/01/1_10.htm
- 国税庁 所得税基本通達120-4(同一人から2以上の申告書が提出された場合)https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/19/01.htm
- 国税庁 所得税基本通達122-1(還付等を受けるための申告書に係る更正の請求)https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/19/02.htm
- 国税庁 e-Tax「e-Taxの利用可能時間」(利用可能時間カレンダー)https://www.e-tax.nta.go.jp/info_center/index.html
- 国税庁 タックスアンサー No.2020「確定申告」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2020.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.1900「給与所得者で確定申告が必要な人」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1900.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.1900のQ&A「確定申告を要しない場合の意義」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1900_qa.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.2026「確定申告を間違えたとき」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2026.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.1120「医療費を支払ったとき(医療費控除)」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1120.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.1155「ふるさと納税(寄附金控除)」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1155.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.2260「所得税の税率」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.1211-1「住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1211-1.htm
- 国税庁 タックスアンサー「住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)」のQ&A(Q8 確定申告書の提出期限)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1213_qa.htm
- 国税庁 確定申告書等作成コーナーhttps://www.keisan.nta.go.jp/
- 国税庁 確定申告書等作成コーナー「SSAJ020-SUE128(住宅借入金等特別控除)」(令和7年分よくある質問)https://www.keisan.nta.go.jp/r7yokuaru/koseiseikyusho/shotokuzeikoseisei/errorcodekoseiseikyu/5TE330.html
- 国税庁 確定申告書等作成コーナー「更正の請求をする理由等の入力例」https://www.keisan.nta.go.jp/r7yokuaru_sp/socat2/socat23/scid1380.html
- 国税庁「確定申告書等の様式・手引き等」(令和3年分から令和7年分)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/syotoku/index.htm
- 国税不服審判所 平成19年2月19日裁決(裁決事例集No.73 1頁。控除の記載がない確定申告書の更正の請求)https://www.kfs.go.jp/service/JP/73/01/index.html
- e-Gov法令検索「所得税法」(2条1項37号、73条、78条、120条1項、121条、122条)https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033
- e-Gov法令検索「国税通則法」(22条、23条1項、74条1項)https://laws.e-gov.go.jp/law/337AC0000000066
- e-Gov法令検索「租税特別措置法」(25条の2、41条1項・36項・37項)https://laws.e-gov.go.jp/law/332AC0000000026
- e-Gov法令検索「地方税法」(17条、17条の5第4項、17条の6第3項2号、35条、45条の3、314条の3、317条の2第1項、317条の3、318条)https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000226
- e-Gov法令検索「行政機関の休日に関する法律」(1条1項3号)https://laws.e-gov.go.jp/law/363AC0000000091
- 総務省「個人住民税」(所得割の税率)https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/150790_06.html
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