この記事のポイント
- 年金400万円以下・全部が源泉徴収の対象・他の所得20万円以下なら所得税の申告は不要です
- 申告が要るときも、年金と控除だけならご自身で作成できる場合があります
- 家賃収入・海外の年金・不動産の売却・相続が加わると、申告の要否と手続きが変わります
- 所得税の申告が不要でも、住民税の申告が必要な場合があります
まず結論:年金だけなら、税理士に頼まずに済む場合があります
年金だけの方は、所得税の確定申告が要らない場合があります(所得税法121条3項)。
申告が要る場合や還付を受けたい場合も、ご自身で作れることがあります。
国税庁の確定申告書等作成コーナーなら、案内に沿って入力して作成・提出できます(No.1600)。
判断が変わる主な場面は、家賃収入・海外の年金・不動産の売却・相続が加わったときです。

年金だけの方の手続きは、3つの場合に分かれます
どれに当たるかで、所得税の手続きが決まります。
| 場合 | 所得税の手続き | ご自身でできるか |
|---|---|---|
| 申告不要の条件をすべて満たす | 確定申告は不要 | 手続きは不要(住民税の申告が要る場合あり) |
| 条件は満たすが、医療費控除などで還付を受けたい | 還付を受ける申告ができる | 年金と控除だけなら作れる場合あり |
| 条件から外れる | 所得控除を引いて残りがあれば、申告で精算 | 外れた理由しだい |
還付を受ける申告は、申告不要の方もできます(No.1600)。
還付の申告は、その年の翌年1月1日から5年間出せます(No.2030)。
申告したほうが得になる場面は、年金受給者の確定申告と400万円ルールの記事で解説しています。
申告不要になるのは、3つの条件をすべて満たすときです
国税庁は、国内で年金を受け取る方が次のすべてに当たれば、申告は不要としています(No.2020)。
- その年の公的年金等の収入金額が400万円以下
- その公的年金等の全部が、源泉徴収(支払うときに税金を差し引くこと)の対象
- 公的年金等以外の所得金額が20万円以下
根拠は所得税法121条3項です。
年金が少なく源泉徴収されない場合も、一定のものは「対象」に含まれます(No.2020)。
ポイント
400万円は、控除を引く前の収入で見ます。20万円は、経費などを引いた後の所得で見ます。家賃・事業・給与・売却などの所得は、合計して20万円と比べます(所得税法121条3項)。
外国の社会保険などの制度に基づく年金も、公的年金等に含まれます(No.1600)。
外国の制度に基づく年金を受け取る方は、申告不要の制度を使えません。
源泉徴収の対象とされない年金だからです(No.1600、所得税法203条の2)。
条件から外れる方は、所得控除を引いて残りがあれば、確定申告で税額を精算します(No.1600)。

家賃収入が加わると、経費を引いた「所得」で判定します
家賃収入があるときは、家賃の所得を出して20万円と比べます。
家賃の所得(不動産所得)は、収入から必要経費を引いた額です(所得税法26条2項)。
必要経費の主なものは、固定資産税・損害保険料・減価償却費・修繕費です(No.1370)。
家事上の経費と明確に区分できるものが対象です(同)。
計算例
例:国内の公的年金の収入380万円に、家賃収入60万円がある場合
経費35万円 60万円 − 35万円 = 25万円 → 20万円超のため、申告不要の制度は使えません 経費45万円 60万円 − 45万円 = 15万円 → 20万円以下のため、所得税の申告は不要です年金はすべて源泉徴収の対象で、ほかの所得はなく、青色申告でない前提です。
金額は一定の前提を置いた目安です。
15万円の場合も、住民税の申告が必要な場合があります(No.1600)。
青色申告でない方は、収入と必要経費の内容を書いた書類も添えます(所得税法120条)。

不動産を売った年は、年金だけの年と同じには考えられません
土地や建物を売った年は、売却の所得の計算と、特例の手続きが加わります。
売却の所得は、ほかの所得と分けて税額を計算します(租税特別措置法31条1項・32条1項)。
この所得も、20万円の判定に入ります(租税特別措置法施行令20条4項・21条7項)。
マイホームを売ったときの3,000万円の特別控除について、国税庁は次のように案内しています。
この特例の適用を受けるためには、一定の書類を添えて確定申告をすることが必要です。
(国税庁タックスアンサー No.3302)
注意
控除で税金が出ない見込みでも、申告しなければ特例は受けられません。売った年は、「年金だけだから申告は要らない」とは限りません。
売却があった年は、特例を使うかどうかで、申告の要否と税額が変わります。
自分でできる売却の見分け方は、不動産売却の申告を自分でするかの記事にまとめています。
家族が亡くなった年は、亡くなった方の申告が加わります
年の途中で亡くなった方に申告が必要なときは、相続人が準確定申告をします(所得税法125条1項)。
期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内です(No.2022)。
相続人が2人以上なら、連署で出すか、各人が別々に出して他の相続人に内容を通知します(同)。
申告の必要がなくても、還付を受けるための準確定申告はできます(所得税法125条2項)。
医療費控除の対象は、亡くなった日までに本人が払った医療費です(No.2022)。
流れと必要な書類は、準確定申告の記事で解説しています。
相続した家を貸したり売ったりすると、上の家賃収入や売却の判断が加わります。
「年金だけ」と思い込むと、こんな誤りにつながります
次の5つは、年金以外の事情を「年金だけ」と同じに扱ったときの誤りです。
- 外国の社会保険などの年金があるのに、400万円以下だからと申告しない ― 申告不要の制度は使えません。所得控除を引いて残りがあれば、申告で精算します(No.1600)。
- 家賃の所得が20万円以下なので、何も出さない ― 住民税の申告が要る場合があります(No.1600)。
- 3,000万円の控除で税金が出ないので申告しない ― 特例は申告が必要です(No.3302)。
- 死亡後に相続人が払った医療費を、準確定申告に入れる ― 対象外です(No.2022)。
- 準確定申告の期限を過ぎる ― 期限は、相続の開始を知った日の翌日から4か月以内です(No.2022)。
年金のほかに何があるかを、先に書き出すことが大切です。
ここまではご自身で、ここから先は個別判断です
年金だけの方が、ご自身で確かめられるのは次の4つです。
- 受け取っている年金をすべて書き出し、1年分の収入を合計する
- 外国の制度に基づく年金がないかを確かめる
- 家賃・給与・売却など、年金以外の所得を書き出して20万円と比べる
- 医療費や保険料などの控除の書類を集め、作成コーナーで入力する
年金と控除だけで済む方は、ここまでをご自身で進められる場合があります。
家賃の経費の範囲、売却の特例、外国の年金、準確定申告は個別判断です。
どれも、書類の読み方と計算の前提で、申告の要否や税額が変わります。

税理士に頼むと変わるのは、判定の根拠と申告までの手間です
小松公認会計士・税理士事務所では、次の作業を行います。
対象は、年金に家賃・売却・相続などが加わった方の申告です。
- 申告が必要か、還付の申告をするかの判定と、その根拠のご説明
- 年金・家賃・売却・控除について、集める書類の一覧でのご案内
- 家賃の収支の整理と減価償却費の計算、売却の所得の計算と特例の確認
- 準確定申告での相続人の確認と付表の作成、4か月の期限の管理
- 申告書の作成と電子申告、提出した申告書の控えのお渡し
全国どこからでも、オンラインで完結します。
料金の目安
基本料金32,000円(税込35,200円)に、当てはまる所得・控除ごとの単価を足した額が料金です。個人の確定申告は最低料金65,000円(税別・税込71,500円)からお引き受けしています。準確定申告も同じ料金体系です。
計算例:公的年金、その他控除セット(社会保険料など)、医療費控除が各6,000円の場合です。合計は32,000円+6,000円×3=50,000円(税込55,000円)です。65,000円に満たないため、最低料金の65,000円(税込71,500円)になります。計算例は一定の前提を置いた目安です。
年金と控除だけの方は、還付の見込みと料金を比べて、ご自身で申告する方法もあります。ご自身の料金は60秒見積りで確かめられます。
この論点で小松公認会計士・税理士事務所ができること
制度は複雑ですが、お客様がすべてを理解する必要はありません。難しいことは、専門家にお任せください。
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小松公認会計士・税理士事務所 代表
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よくある質問(FAQ)
Q1. 年金だけの確定申告は、税理士に頼まないとできませんか?
年金と医療費控除などの控除だけなら、ご自身で申告できる場合があります。国税庁の確定申告書等作成コーナーでは、案内に沿って申告書を作成・提出できます(No.1600)。家賃収入・外国の年金・不動産の売却・相続が加わると判断が増えるため、依頼をご検討ください。
Q2. 年金が400万円以下なら、確定申告は要りませんか?
所得税の申告が不要になるには、ほかに2つの条件があります。年金の全部が源泉徴収の対象で、ほかの所得が20万円以下であることです(所得税法121条3項)。外国の制度に基づく年金を受け取る方は、この制度を使えません(No.1600)。住民税の申告が必要な場合もあります。
Q3. 年金のほかに、家賃収入が少しあります。申告は必要ですか?
家賃収入から必要経費を引いた不動産所得で判定します。ほかの条件を満たし、年金以外の所得の合計が20万円以下なら、所得税の申告は不要です。20万円を超えると、申告不要の制度は使えません。所得控除を引いて残りがあれば、申告で精算します(No.1600)。
Q4. 年金を受け取っていた家族が亡くなりました。申告は必要ですか?
亡くなった方に申告が必要な場合は、相続人が準確定申告をします(所得税法125条1項)。期限は、相続の開始を知った日の翌日から4か月以内です(No.2022)。前年分を出す前に亡くなったときは、前年分も同じ期限です。還付を受けるための申告もできます(所得税法125条2項)。
免責事項
本記事は令和8年10月時点の法令・公表資料に基づく一般的な解説です。所得税法26条2項・120条6項(令和9年1月1日以後に出す申告書は同条8項)・121条3項・125条1項・2項・203条の2、租税特別措置法31条1項・32条1項、租税特別措置法施行令20条4項・21条7項、タックスアンサーNo.1370「不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)」・No.1600「公的年金等の課税関係」・No.2020「確定申告」・No.2022「納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)」・No.2030「還付申告」・No.3302「マイホームを売ったときの特例」、弊所の料金表の内容を扱っています。公的年金等控除の額と所得の計算、源泉徴収の税率、令和8年分の確定申告期間の日付、外国の年金の円換算と外国で差し引かれた税金の扱い(外国税額控除・租税条約)、外国の企業年金や個人年金の区分、土地や建物を売った所得の税率と計算(取得費・譲渡費用・特別控除後の金額での判定)、3,000万円の特別控除の要件、不動産所得の減価償却費の計算と青色申告、遺族年金・未支給年金の扱い、遺産分割前の家賃の扱い、相続税、住民税の申告の基準と国民健康保険料などへの影響、給与と年金の両方がある方の申告、扶養親族等申告書の書き方は扱っていません。記事中の計算例は一定の前提を置いた目安であり、実際の判定は年金の種類や所得の内容によって変わります。具体的な判断は必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。
参考資料・出典
- e-Gov法令検索「所得税法」(121条3項・125条)https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033
- 国税庁 タックスアンサー No.1600「公的年金等の課税関係」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1600.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.2020「確定申告」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2020.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.2022「納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2022.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.3302「マイホームを売ったときの特例」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm
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