確定申告

年金だけの確定申告は税理士に頼む?
自分でできる場合と判断が変わる4つの場面

小松優馬

小松 優馬

公認会計士(登録番号43196)・税理士(登録番号151214)

監査法人での上場企業監査・上場準備CFO経験を経て独立。港区浜松町で個人・法人の税務をサポート。YouTubeチャンネル「公認会計士・税理士 小松ゆうま」運営。

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この記事のポイント

  • 年金400万円以下・全部が源泉徴収の対象・他の所得20万円以下なら所得税の申告は不要です
  • 申告が要るときも、年金と控除だけならご自身で作成できる場合があります
  • 家賃収入・海外の年金・不動産の売却・相続が加わると、申告の要否と手続きが変わります
  • 所得税の申告が不要でも、住民税の申告が必要な場合があります

まず結論:年金だけなら、税理士に頼まずに済む場合があります

年金だけの方は、所得税の確定申告が要らない場合があります(所得税法121条3項)。

申告が要る場合や還付を受けたい場合も、ご自身で作れることがあります。

国税庁の確定申告書等作成コーナーなら、案内に沿って入力して作成・提出できます(No.1600)。

判断が変わる主な場面は、家賃収入・海外の年金・不動産の売却・相続が加わったときです。

年金だけなら、税理士に頼まずに済む場合があります
年金だけなら、税理士に頼まずに済む場合があります

年金だけの方の手続きは、3つの場合に分かれます

どれに当たるかで、所得税の手続きが決まります。

場合所得税の手続きご自身でできるか
申告不要の条件をすべて満たす確定申告は不要手続きは不要(住民税の申告が要る場合あり)
条件は満たすが、医療費控除などで還付を受けたい還付を受ける申告ができる年金と控除だけなら作れる場合あり
条件から外れる所得控除を引いて残りがあれば、申告で精算外れた理由しだい

還付を受ける申告は、申告不要の方もできます(No.1600)。

還付の申告は、その年の翌年1月1日から5年間出せます(No.2030)。

申告したほうが得になる場面は、年金受給者の確定申告と400万円ルールの記事で解説しています。

申告不要になるのは、3つの条件をすべて満たすときです

国税庁は、国内で年金を受け取る方が次のすべてに当たれば、申告は不要としています(No.2020)。

  • その年の公的年金等の収入金額が400万円以下
  • その公的年金等の全部が、源泉徴収(支払うときに税金を差し引くこと)の対象
  • 公的年金等以外の所得金額が20万円以下

根拠は所得税法121条3項です。

年金が少なく源泉徴収されない場合も、一定のものは「対象」に含まれます(No.2020)。

ポイント

400万円は、控除を引く前の収入で見ます。20万円は、経費などを引いた後の所得で見ます。家賃・事業・給与・売却などの所得は、合計して20万円と比べます(所得税法121条3項)。

外国の社会保険などの制度に基づく年金も、公的年金等に含まれます(No.1600)。

外国の制度に基づく年金を受け取る方は、申告不要の制度を使えません。

源泉徴収の対象とされない年金だからです(No.1600、所得税法203条の2)。

条件から外れる方は、所得控除を引いて残りがあれば、確定申告で税額を精算します(No.1600)。

外国の制度に基づく年金を受け取る方は、申告不要の制度を使えません
外国の制度に基づく年金を受け取る方は、申告不要の制度を使えません

家賃収入が加わると、経費を引いた「所得」で判定します

家賃収入があるときは、家賃の所得を出して20万円と比べます。

家賃の所得(不動産所得)は、収入から必要経費を引いた額です(所得税法26条2項)。

必要経費の主なものは、固定資産税・損害保険料・減価償却費・修繕費です(No.1370)。

家事上の経費と明確に区分できるものが対象です(同)。

計算例

例:国内の公的年金の収入380万円に、家賃収入60万円がある場合

経費35万円 60万円 − 35万円 = 25万円 → 20万円超のため、申告不要の制度は使えません 経費45万円 60万円 − 45万円 = 15万円 → 20万円以下のため、所得税の申告は不要です

年金はすべて源泉徴収の対象で、ほかの所得はなく、青色申告でない前提です。

金額は一定の前提を置いた目安です。

15万円の場合も、住民税の申告が必要な場合があります(No.1600)。

青色申告でない方は、収入と必要経費の内容を書いた書類も添えます(所得税法120条)。

家賃収入があるときは、経費を引いた所得で20万円と比べます
家賃収入があるときは、経費を引いた所得で20万円と比べます

不動産を売った年は、年金だけの年と同じには考えられません

土地や建物を売った年は、売却の所得の計算と、特例の手続きが加わります。

売却の所得は、ほかの所得と分けて税額を計算します(租税特別措置法31条1項・32条1項)。

この所得も、20万円の判定に入ります(租税特別措置法施行令20条4項・21条7項)。

マイホームを売ったときの3,000万円の特別控除について、国税庁は次のように案内しています。

この特例の適用を受けるためには、一定の書類を添えて確定申告をすることが必要です。

(国税庁タックスアンサー No.3302)

注意

控除で税金が出ない見込みでも、申告しなければ特例は受けられません。売った年は、「年金だけだから申告は要らない」とは限りません。

売却があった年は、特例を使うかどうかで、申告の要否と税額が変わります。

自分でできる売却の見分け方は、不動産売却の申告を自分でするかの記事にまとめています。

家族が亡くなった年は、亡くなった方の申告が加わります

年の途中で亡くなった方に申告が必要なときは、相続人が準確定申告をします(所得税法125条1項)。

期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内です(No.2022)。

相続人が2人以上なら、連署で出すか、各人が別々に出して他の相続人に内容を通知します(同)。

申告の必要がなくても、還付を受けるための準確定申告はできます(所得税法125条2項)。

医療費控除の対象は、亡くなった日までに本人が払った医療費です(No.2022)。

流れと必要な書類は、準確定申告の記事で解説しています。

相続した家を貸したり売ったりすると、上の家賃収入や売却の判断が加わります。

「年金だけ」と思い込むと、こんな誤りにつながります

次の5つは、年金以外の事情を「年金だけ」と同じに扱ったときの誤りです。

  • 外国の社会保険などの年金があるのに、400万円以下だからと申告しない ― 申告不要の制度は使えません。所得控除を引いて残りがあれば、申告で精算します(No.1600)。
  • 家賃の所得が20万円以下なので、何も出さない ― 住民税の申告が要る場合があります(No.1600)。
  • 3,000万円の控除で税金が出ないので申告しない ― 特例は申告が必要です(No.3302)。
  • 死亡後に相続人が払った医療費を、準確定申告に入れる ― 対象外です(No.2022)。
  • 準確定申告の期限を過ぎる ― 期限は、相続の開始を知った日の翌日から4か月以内です(No.2022)。

年金のほかに何があるかを、先に書き出すことが大切です。

ここまではご自身で、ここから先は個別判断です

年金だけの方が、ご自身で確かめられるのは次の4つです。

  1. 受け取っている年金をすべて書き出し、1年分の収入を合計する
  2. 外国の制度に基づく年金がないかを確かめる
  3. 家賃・給与・売却など、年金以外の所得を書き出して20万円と比べる
  4. 医療費や保険料などの控除の書類を集め、作成コーナーで入力する

年金と控除だけで済む方は、ここまでをご自身で進められる場合があります。

家賃の経費の範囲、売却の特例、外国の年金、準確定申告は個別判断です。

どれも、書類の読み方と計算の前提で、申告の要否や税額が変わります。

ご自身で確かめることと、個別に判断することを分けて進めます
ご自身で確かめることと、個別に判断することを分けて進めます

税理士に頼むと変わるのは、判定の根拠と申告までの手間です

小松公認会計士・税理士事務所では、次の作業を行います。

対象は、年金に家賃・売却・相続などが加わった方の申告です。

  • 申告が必要か、還付の申告をするかの判定と、その根拠のご説明
  • 年金・家賃・売却・控除について、集める書類の一覧でのご案内
  • 家賃の収支の整理と減価償却費の計算、売却の所得の計算と特例の確認
  • 準確定申告での相続人の確認と付表の作成、4か月の期限の管理
  • 申告書の作成と電子申告、提出した申告書の控えのお渡し

全国どこからでも、オンラインで完結します。

料金の目安

基本料金32,000円(税込35,200円)に、当てはまる所得・控除ごとの単価を足した額が料金です。個人の確定申告は最低料金65,000円(税別・税込71,500円)からお引き受けしています。準確定申告も同じ料金体系です。

計算例:公的年金、その他控除セット(社会保険料など)、医療費控除が各6,000円の場合です。合計は32,000円+6,000円×3=50,000円(税込55,000円)です。65,000円に満たないため、最低料金の65,000円(税込71,500円)になります。計算例は一定の前提を置いた目安です。

年金と控除だけの方は、還付の見込みと料金を比べて、ご自身で申告する方法もあります。ご自身の料金は60秒見積りで確かめられます。

この論点で小松公認会計士・税理士事務所ができること

制度は複雑ですが、お客様がすべてを理解する必要はありません。難しいことは、専門家にお任せください。

小松公認会計士・税理士事務所 代表 小松優馬 登録者6,900人超

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  • お話を伺って、「あなたの場合はどうなるか」をはっきりお答えします
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よくある質問(FAQ)

Q1. 年金だけの確定申告は、税理士に頼まないとできませんか?

年金と医療費控除などの控除だけなら、ご自身で申告できる場合があります。国税庁の確定申告書等作成コーナーでは、案内に沿って申告書を作成・提出できます(No.1600)。家賃収入・外国の年金・不動産の売却・相続が加わると判断が増えるため、依頼をご検討ください。

Q2. 年金が400万円以下なら、確定申告は要りませんか?

所得税の申告が不要になるには、ほかに2つの条件があります。年金の全部が源泉徴収の対象で、ほかの所得が20万円以下であることです(所得税法121条3項)。外国の制度に基づく年金を受け取る方は、この制度を使えません(No.1600)。住民税の申告が必要な場合もあります。

Q3. 年金のほかに、家賃収入が少しあります。申告は必要ですか?

家賃収入から必要経費を引いた不動産所得で判定します。ほかの条件を満たし、年金以外の所得の合計が20万円以下なら、所得税の申告は不要です。20万円を超えると、申告不要の制度は使えません。所得控除を引いて残りがあれば、申告で精算します(No.1600)。

Q4. 年金を受け取っていた家族が亡くなりました。申告は必要ですか?

亡くなった方に申告が必要な場合は、相続人が準確定申告をします(所得税法125条1項)。期限は、相続の開始を知った日の翌日から4か月以内です(No.2022)。前年分を出す前に亡くなったときは、前年分も同じ期限です。還付を受けるための申告もできます(所得税法125条2項)。

免責事項

本記事は令和8年10月時点の法令・公表資料に基づく一般的な解説です。所得税法26条2項・120条6項(令和9年1月1日以後に出す申告書は同条8項)・121条3項・125条1項・2項・203条の2、租税特別措置法31条1項・32条1項、租税特別措置法施行令20条4項・21条7項、タックスアンサーNo.1370「不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)」・No.1600「公的年金等の課税関係」・No.2020「確定申告」・No.2022「納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)」・No.2030「還付申告」・No.3302「マイホームを売ったときの特例」、弊所の料金表の内容を扱っています。公的年金等控除の額と所得の計算、源泉徴収の税率、令和8年分の確定申告期間の日付、外国の年金の円換算と外国で差し引かれた税金の扱い(外国税額控除・租税条約)、外国の企業年金や個人年金の区分、土地や建物を売った所得の税率と計算(取得費・譲渡費用・特別控除後の金額での判定)、3,000万円の特別控除の要件、不動産所得の減価償却費の計算と青色申告、遺族年金・未支給年金の扱い、遺産分割前の家賃の扱い、相続税、住民税の申告の基準と国民健康保険料などへの影響、給与と年金の両方がある方の申告、扶養親族等申告書の書き方は扱っていません。記事中の計算例は一定の前提を置いた目安であり、実際の判定は年金の種類や所得の内容によって変わります。具体的な判断は必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。

参考資料・出典

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小松 優馬

公認会計士・税理士/元監査法人

大手監査法人にて上場企業の監査業務に従事。税務の専門性を高めるため独立。判例ベースの適正申告・節税にこだわり、お客様の人生設計を支える税務パートナーとして活動中。YouTubeチャンネル「税理士 小松ゆうま」では税務情報を発信中(登録者7,000人超)。

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