不動産譲渡所得

不動産売却の確定申告は自分でできる?
税理士に頼んだほうがよい場合の見分け方

小松優馬

小松 優馬

公認会計士(登録番号43196)・税理士(登録番号151214)

監査法人での上場企業監査・上場準備CFO経験を経て独立。港区浜松町で個人・法人の税務をサポート。YouTubeチャンネル「公認会計士・税理士 小松ゆうま」運営。

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この記事のポイント

  • 取得費の資料がそろい3,000万円控除を使うだけなら、自分でも作れます
  • 取得費不明・相続・共有・賃貸用は、計算のしかたで税額が変わります
  • 住み替えや相続では、どの特例を選ぶかで税額が変わります
  • マイホームの譲渡損失の繰越控除は、期限内の申告と連続した申告が要件です

まず結論:単純な売却なら自分でもできます。迷うのは取得費と特例です

取得費の資料がそろい、住んでいた家の3,000万円控除を使うだけなら、ご自身でも申告書を作れます。

申告の期間は原則、売った年の翌年2月16日から3月15日までです(No.3102)。

No.は、国税庁のタックスアンサー(税の解説ページ)の番号です。

国税庁は、確定申告書等作成コーナーを次のように案内しています。

画面の案内に沿って金額を入力することによりご自宅等で確定申告書等の作成・提出ができます。

必要な付表や明細書も、入力することで自動的に作成されます。

(国税庁 タックスアンサー No.3302)

ただし、作成コーナーは入力した金額をもとに計算します。

取得費の出し方や特例の選び方で税額が変わる売却は、入力の前に判断が要ります。

不動産を売った翌年の申告は、売り方と使う特例で難しさが変わります
不動産を売った翌年の申告は、売り方と使う特例で難しさが変わります

自分で申告しやすいのは、次の4つがそろう売却です

次の4つがそろえば、国税庁の記載例に沿って計算を進められます。

  • 購入時の売買契約書など、取得費(買った代金や手数料)が分かる資料がある
  • 単独の名義か、代金と費用を持分どおりに分けられる共有である
  • 住んでいた家を売り、使う特例は3,000万円控除だけである
  • 賃貸や事業に使った期間がなく、同じ年にほかの売却もない

3,000万円控除は、前年・前々年に同じ特例などを受けていないことも要件です(No.3302)。

令和7年分の「譲渡所得の申告のしかた」には、共有の土地と自宅の売却の記載例があります。

ポイント

令和8年分の確定申告書は様式が変わり、控用(複写式)が廃止されます。必要に応じて、控えをご自身で作って保管します(令和7年分の申告のしかた)。

税額が変わりやすいのは、次の6つの場面です

次の場面では、計算や特例の選び方で税額が変わります。

場面判断が要る点
取得費が分からない売った金額の5%とするか、資料から組み立てるか
相続した不動産亡くなった方の取得費の引継ぎ、取得費加算と空き家の特例の選択
共有で売った持分に応じた代金と費用の分け方
住み替えた3,000万円控除と買換え特例(令和9年12月31日までの売却が対象)の選択
賃貸や事業に使っていた毎年の減価償却費の合計を差し引く計算
損が出た・同じ年に複数売ったほかの所得と相殺できるか、特別控除の上限

取得費が分からないときは、売った金額の5%を取得費にできます(No.3258)。

実際の取得費が5%より少ないときも、5%を使えます。

相続した不動産は、亡くなった方の購入代金と取得の時期を引き継ぎます(No.3270)。

相続税がかかった方が一定の期間内に売ると、取得費加算を使えることがあります(No.3267)。

取得費加算は、相続税額の一部を取得費に足す特例です。

両方の要件に当てはまっても、空き家の特例と取得費加算は併せて使えません(No.3306)。

共有なら、全体の代金と持分に応じた代金を上下2段で書きます(記載例の事例1)。

相続した実家は、亡くなった方の取得費と取得の時期を引き継いで計算します
相続した実家は、亡くなった方の取得費と取得の時期を引き継いで計算します

住み替えでは、特例の選び方で税額や家族の控除が変わることがあります

住み替えでは、どの特例を選ぶかで税額が変わり、家族の控除に響くこともあります。

3,000万円控除と買換え特例は、同じ年も、前年・前々年との間でも併用できません(No.3355)。

買換え特例は、譲渡益を非課税にするのではなく、課税を将来に繰り延べる制度です。

どちらを選ぶかで、合計所得金額も変わります。

合計所得金額は、配偶者控除や基礎控除の判定に使う金額です。

売った方を配偶者控除や扶養控除の対象とする家族は、控除を受けられないことがあります。

新居の住宅ローン控除は、年の重なり方によっては3,000万円控除と両立しません(No.3302)。

賃貸に使った物件や、損が出た売却は計算の前提が変わります

賃貸用の物件と損が出た売却は、自宅とは計算の前提が違います。

賃貸など業務に使った建物は、毎年の減価償却費の合計を引いて取得費を出します(所得税法38条2項)。

経費にしていなかった年があっても、差し引く償却費の合計は変わりません。

居住期間も、耐用年数の1.5倍で計算した減価の額を引きます(No.3261)。

土地建物の譲渡損失は、一定の居住用財産の損失を除き、給与などと相殺できません(No.2250)。

マイホームの譲渡損失は、要件を満たせば相殺と翌年以後3年間の繰越しができます。

同じ年に複数売った場合、特別控除は年間の合計5,000万円が上限です(No.3223)。

補足

令和7年分の作成コーナーの案内では、年間の譲渡契約件数が4件以上の方は利用できません。交換・買換え等の特例を使う方などは、作成コーナーで譲渡所得の内訳書(計算の明細書)を作れません。内訳書を手書き等で作り、計算結果を入力して申告書を作ります。

賃貸に使っていた建物は、減価償却費の合計を引いて取得費を出します
賃貸に使っていた建物は、減価償却費の合計を引いて取得費を出します

間違えると、控除を受けられなかったり、税額が変わったりします

間違えたときに起きることは、次の3つです。

  • 特例を申告書に書かない ― 3,000万円控除は、一定の書類を添えた申告が必要です(No.3302)
  • 自宅の売却損の申告が期限後になる ― 原則として、損失を翌年以後に繰り越せなくなります
  • 取得費を調べずに5%で申告する ― 資料が見つかれば、取得費が大きくなることがあります

詳しくは3,000万円控除の申告要件の記事をご覧ください。

注意

マイホームの譲渡損失の繰越控除は、損益通算をした年分の期限内申告書の提出が要件です。翌年以後も、繰越控除を使う年まで連続して申告します(No.3370・No.3390)。

計算例

例:相続した土地を2,000万円で売却(令和8年中・譲渡費用100万円)

取得費が分からない 2,000万円 × 5% = 100万円 課税長期譲渡所得 2,000万円 - 100万円 - 100万円 = 1,800万円 所得税 2,700,000円 + 復興特別所得税 56,700円 + 住民税 900,000円 税額の合計 = 3,656,700円 契約書が見つかり取得費900万円なら 課税長期譲渡所得 1,000万円 1,500,000円 + 31,500円 + 500,000円 = 2,031,500円 差額 1,625,200円

長期とは、売った年の1月1日で所有期間が5年を超える売却です(No.3202)。

相続税がかからず特例も使わない、一定の前提を置いた目安です。

税率は令和8年分です(所得税15%、復興特別所得税は所得税額の2.1%、住民税5%)。

5%で申告すると、相続人が払った登記費用なども取得費に含められません(No.3270)。

資料がないときは、取得費が分からないときの記事をご覧ください。

ここまではご自身で、ここから先は個別判断です

資料をそろえて事実を整理するところまでは、ご自身で進められます。

  1. 売ったときの売買契約書・精算書・仲介手数料の領収書をそろえる
  2. 買ったときの契約書を探す(相続なら亡くなった方の資料)
  3. 住んでいた期間と、相続や共有の経緯をメモする
  4. 同じ年のほかの売却と、前年・前々年に使った特例を書き出す

書類の一覧は、必要書類チェックリストの記事にあります。

取得費の組み立て、特例の要件の確認と比較、損失の扱いは、資料と事情で結論が変わります。

資料をそろえて事実を整理するところまでは、ご自身で進められます
資料をそろえて事実を整理するところまでは、ご自身で進められます

税理士に頼むと変わるのは、取得費の根拠と特例の比較です

頼むと変わるのは、取得費の根拠づけと、特例を比べて選ぶ部分です。

小松公認会計士・税理士事務所では、売却の申告で次の作業を行います。

  • 取得費の資料の探し方のご案内と、根拠の整理
  • 使える特例の洗い出しと、選んだ場合の税額と合計所得金額の比較
  • 賃貸などに使った建物の、減価償却費の合計の計算
  • 譲渡所得の内訳書と申告書の作成・提出、控えのお渡し
  • 繰越控除がある場合の、翌年以後の申告の管理

依頼の流れは次のとおりで、全国どこからでもオンラインで完結します。

  1. 60秒見積りで、料金の目安を確かめる
  2. お申し込みのあと、必要な資料をご案内する
  3. 資料をオンラインで共有いただく
  4. 取得費と特例を確かめ、税額の見込みをお伝えする
  5. 申告書の内容をご確認いただき、提出する

料金は、売った金額や使う特例などで決まり、60秒見積りで分かります。

この論点で小松公認会計士・税理士事務所ができること

制度は複雑ですが、お客様がすべてを理解する必要はありません。難しいことは、専門家にお任せください。

小松公認会計士・税理士事務所 代表 小松優馬 登録者6,900人超

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  • お話を伺って、「あなたの場合はどうなるか」をはっきりお答えします
  • 必要な書類のご案内から申告まで、まるごとお任せいただけます
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よくある質問(FAQ)

Q1. 3,000万円控除で税金がゼロになるときも、申告は必要ですか?

必要です。国税庁は、一定の書類を添えて確定申告をすることが必要としています(No.3302)。売った年の前年・前々年に、この特例や譲渡損失の特例を受けていないことなども要件です。申告しないまま期限を過ぎた場合の扱いは、個別に確かめます。

Q2. 取得費が分からないときは、5%で申告するしかありませんか?

5%の概算取得費は、取得費が分からないときなどに使える方法です(No.3258)。相続した物件は、亡くなった方の購入代金と取得の時期を引き継ぎます(No.3270)。購入時の契約書が見つかれば実額で計算でき、税額が変わることがあります。

Q3. 確定申告書等作成コーナーで作れない譲渡所得の申告はありますか?

令和7年分の案内では、年間の譲渡契約件数が4件以上の方などは利用できません。交換・買換え等の特例を使う方は、内訳書を手書き等で作り、計算結果を入力して申告書を作ります。令和8年分は、国税庁の最新の案内で確かめます。

Q4. 投資用マンションを売って損が出ました。給与と相殺できますか?

土地建物の譲渡損失は、一定の居住用財産の損失を除き、給与などと損益通算できません(No.2250)。自宅の売却損は、要件を満たせば損益通算と繰越控除ができます(No.3370・No.3390)。繰越控除には、期限内の申告と連続した申告が要ります。

免責事項

本記事は令和8年10月時点の法令・公表資料に基づく一般的な解説です。国税庁タックスアンサー No.2250・No.3102・No.3202・No.3208・No.3223・No.3258・No.3261・No.3267・No.3270・No.3302・No.3306・No.3355・No.3370・No.3390、国税庁「令和7年分譲渡所得の申告のしかた」(事例1と【参考1】を含む)、確定申告書等作成コーナーの「ご利用になれない方」(令和7年分)の内容を扱っています。各特例の適用要件の細目と添付書類、申告要件を定めた条文の文言と期限後申告・更正の請求での扱い、空き家の特例と取得費加算の計算、買換え特例で買い換えた資産の取得価額の計算、住宅ローン控除の要件、譲渡損失の損益通算の限度額と住宅ローンの要件、共有の場合の特別控除の判定、所有期間の判定、短期譲渡所得と軽減税率の特例の税率、年の途中で売った賃貸用建物のその年の減価償却費、消費税、住民税・国民健康保険料への影響、令和8年分の作成コーナーの対応範囲、令和8年度改正による令和9年1月1日以後に生ずる所得の復興特別所得税の税率の引下げと防衛特別所得税の創設、弊所の料金は扱っていません。記事中の計算例は令和8年中の売却を前提とした一定の前提を置いた目安であり、実際の税額は取得費・譲渡費用・所有期間・使う特例・ほかの所得によって変わります。具体的な判断は必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。

参考資料・出典

不動産売却の申告を自分でするか、取得費と特例の確認から決めませんか

取得費の資料がそろい、3,000万円控除を使うだけの売却なら、ご自身での申告も選べます。取得費が分からない、相続した、共有している、賃貸に使っていた場合は、計算で税額が変わります。住み替えた、損が出た場合は、特例の選び方と申告のしかたで結果が変わります。代表税理士が、取得費の根拠の整理と特例の比較から、申告書の作成・提出まで担当します。売買契約書をお手元に、60秒見積りで料金をご確認のうえお申し込みください。

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小松 優馬

公認会計士・税理士/元監査法人

大手監査法人にて上場企業の監査業務に従事。税務の専門性を高めるため独立。判例ベースの適正申告・節税にこだわり、お客様の人生設計を支える税務パートナーとして活動中。YouTubeチャンネル「税理士 小松ゆうま」では税務情報を発信中(登録者7,000人超)。

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