この記事のポイント
- 給与が2,000万円を超えると年末調整の対象外です。還付になる人を除き確定申告が必要です
- 保険料控除や所得金額調整控除など、会社で精算されない控除をご自身で申告します
- 令和8年分の基礎控除は合計所得金額2,350万円超で段階的に減り、2,500万円超は0円です
- 確定申告をするとワンストップ特例は無効です。寄附金控除も申告書に書きます
まず結論:給与が2,000万円を超えると年末調整がなく、ご自身で確定申告をします
会社は毎月の給与から所得税を源泉徴収し、年末に1年分を精算します。この精算を年末調整といいます(No.2662)。
ただし、1年間の給与の総額が2,000万円を超える人は、年末調整の対象外です(No.2665)。
源泉徴収は毎月続き、1年分の精算は確定申告で行います(No.2020)。
給与の年間収入金額が2,000万円を超える人は、確定申告が必要です(No.1900)。還付になる人は、この義務から除かれます。
会社で精算されない控除は、ご自身の申告書に書かなければ反映されません。

年末調整がないと、会社に出すはずだった控除を自分で申告します
年末調整で会社が反映する控除を、ご自身の確定申告で申告します。
年末調整の対象は、所得税法190条が次のように定めています。
給与所得者の扶養控除等申告書を提出した居住者で、第一号に規定するその年中に支払うべきことが確定した給与等の金額が二千万円以下であるもの
(所得税法190条1項)
給与等には賞与も含まれます(所得税法28条1項)。12月の賞与で2,000万円を超える年もあります。
年末調整では、主に次の控除が反映されます(所得税法190条1項・No.2662)。
- 社会保険料控除(給与から差し引かれた分。源泉徴収票に記載があります)
- 生命保険料控除・地震保険料控除(保険料控除申告書で申告するもの)
- 扶養控除・障害者控除など(扶養控除等申告書で申告するもの)
- 所得金額調整控除(23歳未満の扶養親族がいる人など)
- 住宅ローン控除の2年目以後の分
両者の関係は、年末調整と確定申告の違いの記事で解説しています。
ポイント
所得金額調整控除は、給与の収入が850万円を超え、23歳未満の扶養親族がいる人などが対象です。給与の収入が1,000万円を超える人の控除額は15万円です(No.1411)。
令和8年分は、合計所得金額で基礎控除と住宅ローン控除の扱いが変わります
給与が2,000万円を超えると、所得が控除の区分の境目に近づきます。
給与所得は、給与の収入から給与所得控除を引いた金額です。
令和8年分の給与所得控除は、給与の収入が850万円を超えると195万円が上限です(No.1410)。
令和8年分の基礎控除は次のとおりです(No.1199・所得税法86条1項)。
| 合計所得金額 | 令和8年分の基礎控除 |
|---|---|
| 655万円超2,350万円以下 | 62万円 |
| 2,350万円超2,400万円以下 | 48万円 |
| 2,400万円超2,450万円以下 | 32万円 |
| 2,450万円超2,500万円以下 | 16万円 |
| 2,500万円超 | 0円 |
この改正は、原則として令和8年12月1日に施行され、令和8年分から適用されます(国税庁)。
合計所得金額は、おおまかには給与所得とほかの所得の合計です。
住宅ローン控除にも所得の要件があります(No.1211-1)。令和4年以後の入居で床面積50㎡以上なら、合計所得金額2,000万円以下の年分が対象です。
計算例
例1:住宅ローン控除の所得要件(令和4年以後に入居・床面積50㎡以上)
給与の収入2,150万円 - 195万円 = 給与所得1,955万円 → 2,000万円以下 ほかの所得が100万円あると 1,955万円 + 100万円 = 2,055万円 → その年分は対象外例2:令和8年分の基礎控除
給与の収入2,500万円 - 195万円 = 2,305万円 → 基礎控除62万円 給与の収入2,600万円 - 195万円 = 2,405万円 → 基礎控除32万円 基礎控除の差30万円 × 税率40% = 控除の差による所得税12万円給与のみ(例1後段を除く)・所得金額調整控除なしの前提です。税率40%は、課税される所得金額が1,800万円以上4,000万円未満の区分です。復興特別所得税と住民税は含めていません。
金額は一定の前提を置いた目安です。
12月の賞与や株式報酬で、区分の境目を越える年があります。

株式報酬・ふるさと納税・予定納税は、給与とは別に記録をそろえます
次の3つは、ご自身で資料を集めて申告する論点です。
雇用関係などに基づく税制非適格ストック・オプションは、行使時の利益が給与所得です(No.1543)。
この利益は給与所得の収入金額となり、合計所得金額を押し上げます。退職後に行使した場合の一部など、雑所得となる例外もあります(同)。
RSUなどの扱いと円換算は、株式報酬の記事で解説しています。
ふるさと納税は、寄附した年分の確定申告で寄附金控除を受けます(No.1155)。
確定申告をすると、ワンストップ特例の申請は無効になります(同)。
申請した分も含めて計算し(同)、寄附先の受領証などを添付か提示します(No.1150)。上限額の考え方はふるさと納税の記事へ。
補足
予定納税基準額(原則は前年分の申告納税額)が15万円以上の方は、7月と11月に予定納税をします。納めた予定納税額は、確定申告で計算した税額から差し引きます(No.2040)。
住宅ローン控除の2年目以後も、年末調整がなければ確定申告で受けます
年末調整がない方は、2年目以後の住宅ローン控除も確定申告で受けます(No.1211-1)。
確定申告書には、計算明細書と借入金の年末残高等証明書などを添付します(同)。「調書方式」の金融機関で適用申請書を出した方は、書類の一部が異なります(同)。
要件は、その控除を受ける年分の合計所得金額で判定します(同)。
令和4年以後入居(50㎡以上)の住宅では、合計所得金額2,000万円超の年分は控除の対象外です。
注意
令和3年以前の入居や、床面積40㎡以上50㎡未満の住宅などは、所得の要件が異なります。入居した年と住宅の区分を先に確かめます(No.1211-1・No.1212・No.1213)。

間違えやすいのは、会社任せにして申告から漏れる部分です
源泉徴収で済んだと考えると、控除の漏れや申告の遅れにつながります。
- 申告しないまま期限を過ぎた ― 無申告加算税や延滞税がかかることがあります(No.2024)。
- 保険料控除などを書き忘れた ― 会社に出していない控除は、申告書に書くまで反映されません。
- ワンストップ特例で済むと思った ― 寄附金控除を書き忘れると、更正の請求で直す手間が出ます。
- 予定納税を差し引かなかった ― 納めた分を引かないと、その分を納めすぎます。
- 源泉徴収票だけで所得を見積もった ― ほかの所得を足さないと、控除の判定を誤ります。
年末調整がない方は、年末調整で反映されるはずの控除を、一つずつご自身で拾い出します。
ここまではご自身で、ここから先は個別判断です
年内にご自身でそろえられるのは、次の6つです。
- 12月の給与と賞与を含めた、令和8年の給与の総額の見込み
- 生命保険料の控除証明書(添付か提示。令和9年以後の提出は明細書でも可。所得税法120条6項)
- iDeCoを個人で払っている場合の、掛金の証明書(No.1135)
- ふるさと納税の受領証と、医療費の領収書や医療費通知(No.1150・No.1120)
- 株式報酬の付与・権利確定・行使の日付と株数の記録
- 予定納税の通知書と、納付した記録
合計所得金額の見込みと、控除の区分の判定は個別判断です。
株式報酬の金額、住宅ローン控除の可否、基礎控除の区分は、事実によって結論が分かれます。

税理士に頼むと変わるのは、所得の見込み計算と控除の拾い出しです
小松公認会計士・税理士事務所では、次の作業を行います。
- 給与・賞与と株式報酬の記録をもとにした、合計所得金額の見込み計算
- 基礎控除の区分・住宅ローン控除の所得要件・所得金額調整控除の確認
- 会社で精算されない控除と、集める書類の一覧でのご案内
- 予定納税額の差し引きを含む確定申告書の作成と、期限内のe-Taxでの提出
令和8年分の申告期限は、原則として令和9年3月15日です(No.2020)。
全国どこからでも、オンラインで完結します。料金は、所得の種類・取引の量・記帳の状態で決まり、60秒見積りでその場で分かります。
この論点で小松公認会計士・税理士事務所ができること
制度は複雑ですが、お客様がすべてを理解する必要はありません。難しいことは、専門家にお任せください。
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小松公認会計士・税理士事務所 代表
小松 優馬公認会計士・税理士
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初回相談は無料です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 給与が2,000万円を超えると、会社は年末調整をしないのですか?
1年間に支払うべきことが確定した給与の総額が2,000万円を超える人は、年末調整の対象外です(No.2665・所得税法190条1項)。1年分の精算は、ご自身の確定申告で行います。還付になる人を除き、確定申告が必要です(No.1900)。
Q2. 令和8年分の基礎控除は、所得が高いといくらになりますか?
合計所得金額655万円超2,350万円以下は62万円です。2,350万円超は48万円、2,400万円超は32万円、2,450万円超は16万円で、2,500万円を超えると0円です(No.1199・所得税法86条1項)。令和8年12月1日施行の改正後の金額です。
Q3. 住宅ローン控除の2年目以後は、会社で受けられないのですか?
給与所得者は2年目以後を年末調整で受けられますが、年末調整がない方は、計算明細書などを添えて確定申告で受けます。令和4年以後入居で床面積50㎡以上の住宅は、その年分の合計所得金額2,000万円以下が要件です(No.1211-1)。
Q4. 給与だけなら、自分で確定申告できますか?
国税庁の確定申告書等作成コーナーで、ご自身で作成・提出できます(No.2020)。ただし株式報酬やほかの所得があると、基礎控除の区分や住宅ローン控除の可否が変わることがあります。合計所得金額の見込みを出してから進めると、判定を誤りにくくなります。
免責事項
本記事は令和8年10月時点の法令・公表資料に基づく一般的な解説です。所得税法28条1項・3項・86条1項(28条3項と86条1項は令和8年12月1日施行の改正後)・120条6項(令和9年1月1日施行)・121条1項・190条1項、租税特別措置法41条の3の11第1項、タックスアンサーNo.1120「医療費を支払ったとき(医療費控除)」・No.1135「小規模企業共済等掛金控除」・No.1140「生命保険料控除」・No.1150「一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)」・No.1155「ふるさと納税(寄附金控除)」・No.1199「基礎控除」・No.1211-1「住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」・No.1212「住宅の新築等をし、令和3年までに居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」・No.1213「認定住宅の新築等をし、令和3年までに居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」・No.1410「給与所得控除」・No.1411「所得金額調整控除」・No.1543「税制非適格ストック・オプションに係る課税関係について」・No.1900「給与所得者で確定申告が必要な人」・No.2020「確定申告」・No.2024「確定申告を忘れたとき」・No.2040「予定納税」・No.2260「所得税の税率」・No.2662「年末調整のしかた」・No.2665「年末調整の対象となる人」、国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」の内容を扱っています。毎月の源泉徴収税額の計算方法、年末調整を受けていない人の源泉徴収票の記載、2か所以上から給与を受ける場合の扱い、RSUなど株式報酬の所得区分・課税の時期・円換算・取得費、税制適格ストック・オプション、外国税額控除、非居住者や出国の扱い、配偶者控除・配偶者特別控除、地震保険料控除の添付書類、住宅ローン控除の控除額・借入限度額・控除期間と令和3年以前に入居した場合の要件、ふるさと納税の控除上限額の計算、医療費控除の対象となる医療費の範囲、給与と年金の双方がある場合の所得金額調整控除、予定納税の減額申請、無申告加算税の割合の細目、特定の基準所得金額の課税の特例、令和9年分以後の防衛特別所得税、給与所得者の特定支出控除、住民税・社会保険料への影響は扱っていません。記事中の計算例は一定の前提を置いた目安であり、実際の税額は所得や控除の内容によって変わります。具体的な判断は必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。
参考資料・出典
- e-Gov法令検索「所得税法」(28条・86条・121条・190条)https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033
- 国税庁 タックスアンサー No.2665「年末調整の対象となる人」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2665.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.1900「給与所得者で確定申告が必要な人」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1900.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.1199「基礎控除」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1199.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.1211-1「住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1211-1.htm
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