法人税・節税

休眠会社の法人税申告
休業中も毎期必要で、均等割とみなし解散にも注意

小松優馬

小松 優馬

公認会計士(登録番号43196)・税理士(登録番号151214)

監査法人での上場企業監査・上場準備CFO経験を経て独立。港区浜松町で個人・法人の税務をサポート。YouTubeチャンネル「公認会計士・税理士 小松ゆうま」運営。

YouTubeチャンネルを見る →

この記事のポイント

  • 休眠しても会社は残り、法人税の確定申告は毎期必要です
  • 2期続けて期限内に申告しないと青色取消しの運用で、欠損金は連続申告などが条件です
  • 休業中の均等割の扱いは自治体ごとに異なり、窓口ごとに確かめます
  • 登記が12年ない株式会社(特例有限会社を除く)は、公告後2か月で届出等がないと解散とみなされます

まず結論:休眠しても会社は残り、法人税の申告は毎期続きます

休眠とは、解散や清算をしないまま、事業だけを休むことです。

法人税の確定申告は、事業年度ごとに出す決まりです。

内国法人は、各事業年度終了の日の翌日から二月以内に、税務署長に対し、確定した決算に基づき次に掲げる事項を記載した申告書を提出しなければならない。

(法人税法74条1項)

この条文には、休業中の会社を除く定めはありません。

売上がない期でも、決算をして法人税の申告書を出す必要があります。

事業を休んでも会社は残り、法人税の申告は毎期続きます
事業を休んでも会社は残り、法人税の申告は毎期続きます

休業の届出は、税金の窓口ごとに確かめます

休業を知らせる届出は、国税と地方税で窓口が分かれます。

日野市と東久留米市は、法人異動届出書に休業の旨を書いて出すよう案内しています。

日立市は、税務署または県に出した休業届の控えを添えるよう求めています。

東京23区では、都税事務所が市町村民税の分も扱います。

事務所を廃止したら、10日以内に異動届出書を出します(東京都主税局)。

注意

休業の届出を出しても、法人税の申告の義務は残ります。東京都も、申告書用紙の送付をやめる手続は申告納付の義務をなくすものではないと案内しています。

均等割は、休業中の扱いが自治体ごとに違います

休業の届出だけで、均等割が止まるとは限りません。

法人住民税の均等割は、利益がなくてもかかる定額の税金です。

市町村内に事務所または事業所がある法人が対象です(地方税法294条1項3号)。

東京都主税局は、均等割は決算の状況にかかわらず課税されると案内しています。

事務所または事業所とは、人と設備があり、継続して事業が行われる場所をいいます(同)。

自治体公式サイトの案内(要旨)
日野市休業中に申告と納付がなくても、未申告・未納付として扱わない。事業を行っていると判断すれば課税する
東久留米市休業を届け出た後は、均等割の申告は要らない
秋田県届出ができるのは、解散等の手続きができず再開の見込みもない法人など。一時的な休業は認めない

計算例

例1:東京23区だけに事務所があり、資本金等の額1千万円以下・従業者50人以下の会社

均等割の年額(東京都主税局の税率表) 70,000円 休業中も均等割がかかる扱いで5年続いた場合 70,000円 × 5年 = 350,000円

一定の前提を置いた目安です。休業中にかかるかは、自治体の扱いで変わります。

休業中の均等割の扱いは、自治体ごとに違います
休業中の均等割の扱いは、自治体ごとに違います

避けたい失敗は「申告をやめる」「届出だけ出す」です

申告をやめると、青色申告と欠損金の両方に響きます。

  • 申告をやめて青色申告を失う ― 期限までに申告しないことは、取消事由です。
  • 欠損金(税務上の赤字)が使えなくなる ― 連続した申告などが、繰越しの条件です。
  • 届出だけ出して申告しない ― 届出で法人税の申告は免除されません。
  • 均等割を放置する ― 事業活動が分かれば、遡って申告納付を求める県もあります。
  • みなし解散の通知を見落とす ― 通知を見落としても届かなくても、期限までに手続きをしないと解散とみなされます。

第七十四条第一項(確定申告)の規定による申告書をその提出期限までに提出しなかつたこと

(法人税法127条1項4号)

法第127条第1項第4号の規定による取消しは、2事業年度連続してその提出期限内に法第74条第1項の規定による申告書の提出がない場合に行うものとする。

(国税庁「法人の青色申告の承認の取消しについて(事務運営指針)」4)

休眠中に2期続けて期限内に申告しないと、青色の承認を取り消す運用です。

欠損金の繰越しは、生じた期から確定申告書を連続して出し、帳簿を残すことが条件です(57条10項)。

申告しない年があるままでは、この条件を満たしません。

青色でない期の欠損金は、災害による損失の分を除き、ないものとされます(58条1項)。

繰り越せるのは、10年以内に開始した事業年度の欠損金です(57条1項)。平成30年3月以前に開始した期の欠損金は、繰越しが9年です(平成27年改正法附則27条1項)。

計算例

例2:欠損金8,000,000円の中小法人等が、再開した期に所得6,000,000円を出した場合

申告を続けていた場合 6,000,000円 - 6,000,000円 = 課税所得0円(残り2,000,000円は翌期以後へ) 申告しない年があるままの場合 差し引けず 課税所得6,000,000円

一定の前提を置いた目安です。欠損金は青色の期の10年以内のもので、所得の全額まで差し引けるとしました。

全体は欠損金の繰越控除の記事にまとめています。

消費税は、出してある届出が休眠中も生きています

選んだ届出は、やめる届出を出さない限り効力が続きます(消費税法9条8項・37条7項)。

届出・登録残したまま再開すると
課税事業者を選ぶ届出(9条4項)基準期間(判定のもとになる過去の期間)の課税売上高が1,000万円以下でも、課税事業者のままです
簡易課税を選ぶ届出(37条1項)課税事業者の期は、控除額を売上の消費税から計算します。設備を買った消費税をそのまま差し引けません
インボイスの登録登録している間は、免税事業者になりません(9条1項)

やめる届出には、出せる時期の制限もあります(9条6項・37条6項)。

選択の効力は、やめる届出を出した期の翌期からなくなります。再開の前に見直します。

ポイント

課税事業者でも、確定申告書が要らない期間があります(消費税法45条1項ただし書)。課税売上などがなく、納める消費税額もない期間です。消費税の申告の要否は、法人税とは別に判定します。

最後の登記から12年たつ株式会社は、みなし解散の対象です

最後の登記から12年を過ぎた株式会社は、解散したとみなされることがあります(会社法472条1項)。

法務省によると、特例有限会社は含まれません。

法務大臣が官報で公告し、登記所から通知書が送られます。

公告から2か月以内に登記か「まだ事業を廃止していない」旨の届出をしないと、解散したとみなされます。

法務省は、通知書が届かなくても、期限までに手続きをしないと解散したとみなされると案内しています。

令和8年度の整理作業は、令和8年10月15日に公告があり、期限は12月15日です。

みなし解散の後も、3年以内なら株主総会の特別決議で会社を継続できます(同・473条)。

解散後の法人税は、会社をたたむときの法人税の記事で扱っています。

登記を12年放置した株式会社は、特例有限会社を除き、みなし解散の対象です
登記を12年放置した株式会社は、特例有限会社を除き、みなし解散の対象です

ここまではご自身で、ここから先は個別判断です

ご自身で確かめられるのは、次の4点です。

  1. 登記事項証明書で、最後の登記の日を確かめる
  2. 税務署・都道府県・市区町村に出した届出の控えを集める
  3. 消費税の届出(課税事業者の選択・簡易課税)とインボイス登録の有無を確かめる
  4. 毎期の決算日と申告期限を一覧にする

再開するときは、休業を届け出た自治体に再開の旨を届け出ます(日野市・東久留米市)。

青色を取り消された場合、通知を受けた日以後1年以内の申請は却下されることがあります(123条3号)。

申請の期限は、法人の青色申告の記事で解説しています。

補足

休眠会社の株式の50%超を他の者が持つ関係などになり、その日から5年以内に事業を始めたとします。この場合、それより前の欠損金は繰り越して使えません(法人税法57条の2第1項1号)。

休眠を続けるか解散するかは、欠損金の残りと均等割の負担を比べて検討します。

自治体ごとの均等割の扱いや、事務所を残すかどうかは、個別に確かめる部分です。

休眠を続けるか解散するか、再開の時期と届出を事前に整理します
休眠を続けるか解散するか、再開の時期と届出を事前に整理します

税理士が入ると変わるのは、期限と届出の管理です

小松公認会計士・税理士事務所では、休眠の前後で次の作業を行います。

ひとつめは、届出の控え・欠損金の残り・消費税の届出の棚卸しです。

ふたつめは、売上のない期も決算書と申告書を作り、期限内に出し続けることです。

みっつめは、均等割の確認です。事務所の所在地の窓口に、扱いと届出の要否を確かめます。

よっつめは、再開の時期から逆算した、消費税の届出の見直しです。

いつつめは、みなし解散の対象になる時期の確認です。

むっつめは、再開の届出と、青色申告の承認申請の時期を整えることです。

この論点で小松公認会計士・税理士事務所ができること

制度は複雑ですが、お客様がすべてを理解する必要はありません。難しいことは、専門家にお任せください。

小松公認会計士・税理士事務所 代表 小松優馬 登録者6,900人超

小松公認会計士・税理士事務所 代表

小松 優馬公認会計士・税理士

  • お話を伺って、「あなたの場合はどうなるか」をはっきりお答えします
  • 必要な書類のご案内から申告まで、まるごとお任せいただけます
  • 料金は先にお見積り。全国どこでも、オンラインで完結できます

YouTube「税理士 小松ゆうまチャンネル」(登録者6,900人超)で、税金の話を分かりやすく解説しています。動画を見てみる

初回相談は無料です。

あわせて読みたい

よくある質問(FAQ)

Q1. 休眠中で売上がゼロでも、法人税の申告は必要ですか?

必要です。法人税法74条1項は、各事業年度の終了後2か月以内の申告を求めています。休業中を除く定めはありません。2期続けて期限内に出さないと、青色の承認を取り消す運用です(事務運営指針)。欠損金の繰越しも、申告を連続して出していることなどが条件です(57条10項)。

Q2. 休業届を出せば、法人住民税の均等割はかかりませんか?

自治体ごとに違います。日野市は、休業中に申告がなくても未申告として扱いません。東久留米市は届出後の均等割の申告を不要とし、秋田県は一時的な休業を認めていません。東京都主税局は、赤字でも均等割がかかると案内しています。休業中の扱いは、窓口で確かめます。

Q3. みなし解散の通知が届いていなければ、解散にはなりませんか?

法務省は、通知書が届かなくても、期限までに登記か届出をしないと解散したとみなされると案内しています。期限は公告から2か月以内で、令和8年度は令和8年12月15日です。みなし解散の後も、3年以内なら株主総会の特別決議で会社を継続できます。

Q4. 休眠から再開するときは、何をすればよいですか?

休業を届け出た自治体に、再開の旨を届け出ます(日野市・東久留米市の案内)。消費税の課税事業者の選択や簡易課税の届出が残っていないかも確かめます。青色の取消しの通知を受けた日以後1年以内の申請は、却下されることがあります(法人税法123条3号)。

免責事項

本記事は令和8年10月時点の法令・公表資料に基づく一般的な解説です。法人税法57条1項・10項・11項、57条の2第1項1号、58条1項、74条1項、123条3号、127条1項4号、消費税法9条1項・4項・6項・8項、37条1項・6項・7項、45条1項、会社法472条・473条、地方税法294条1項3号、国税庁「法人の青色申告の承認の取消しについて(事務運営指針)」、法務省「休眠会社・休眠一般法人の整理作業について」「令和8年度の休眠会社等の整理作業(みなし解散)について」、東京都主税局の都税Q&Aと均等割の税率表、日野市・東久留米市・日立市・秋田県の公表資料の内容を扱っています。税務署へ休業を届け出る様式と記載方法、東京都と各区市町村の休業中の均等割の具体的な取扱い、均等割の減免、法人事業税・特別法人事業税、期限後申告をした事業年度がある場合の欠損金の扱い、事務運営指針の個別的な取扱い、無申告加算税・延滞税・延滞金・過料、欠損金の繰戻し還付、57条の2の政令で定める細目、消費税の届出の提出時期の特例・やむを得ない事情の特例・調整対象固定資産と高額特定資産の制限・還付申告・インボイス登録の取消し手続、源泉所得税と社会保険、特例有限会社・合同会社・一般社団法人等の登記、解散・清算の税務は扱っていません。令和8年度の整理作業の日付は同年度に限ったものです。記事中の計算例は一定の前提を置いた目安であり、会社の区分や自治体の扱いによって変わります。具体的な判断は必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。

参考資料・出典

会社を休眠させる前に、申告と届出の段取りを確かめませんか

会社を休眠させても、法人税の確定申告は毎期必要です。2期続けて期限内に出さないと、青色の承認を取り消す運用です。欠損金の繰越しも、申告を連続して出していることなどが条件です。休業中の均等割の扱いは、自治体ごとに異なります。登記が12年ない株式会社は、みなし解散の対象です(特例有限会社を除く)。公告から2か月以内に届出か登記をしないと、解散したとみなされます。代表税理士が、届出と欠損金の棚卸しから再開時の手続きまで通して対応します。売上のない期の決算と申告、均等割の確認、消費税の届出の見直しも行います。休眠に入る前の段階でご相談ください。

無料相談を申し込む 法人顧問サービスの詳細を見る 約60秒で料金を自動見積り

決算と申告だけのご依頼は、決算申告のみのプランをご覧ください。

小松 優馬

公認会計士・税理士/元監査法人

大手監査法人にて上場企業の監査業務に従事。税務の専門性を高めるため独立。判例ベースの適正申告・節税にこだわり、お客様の人生設計を支える税務パートナーとして活動中。YouTubeチャンネル「税理士 小松ゆうま」では税務情報を発信中(登録者7,000人超)。

関連記事

法人決算・顧問の料金
法人決算・税務顧問 ご相談受付中

法人決算・顧問の料金を約60秒で確認

業種・売上規模・記帳の状況を選ぶだけ。概算がその場で分かります

法人 60秒見積り

会社を休眠させるときの税務と届出のご相談

初回相談は無料です。代表が直接ご対応します。

法人顧問サービスの詳細を見る
法人60秒見積り 個人60秒見積り または自動見積りをせずに無料相談を申し込む