この記事のポイント
- 顧問契約は必須ではなく、年1回の確定申告だけを税理士に頼むこともできます
- 分かれ目は、年の途中に期限のある手続きと、帳簿を毎月つけているかです
- 予定納税や給与の源泉所得税は、確定申告の時期とは別に期限が来ます
- 6月30日の現況で今年の税額が予定納税基準額に満たない見込みなら、7月15日までに減額を申請できます
まず結論:顧問契約は必須ではなく、年の途中の手続きで線を引きます
個人事業主に、税理士との顧問契約は必須ではありません。
所得税は、納税者が自ら所得と税額を計算して申告する仕組みです(No.2070)。
確定申告は年1回で、期間は原則として翌年2月16日から3月15日までです(No.2020)。年1回の申告だけを税理士に頼む方法もあります。
分かれ目は、年の途中に期限のある手続きがあるかと、帳簿を毎月つけているかです。

顧問契約と申告だけの依頼は、税理士が関わる時期が違います
違いは、税理士が関わる時期と、任せる範囲です。
税理士の業務は、税務代理・税務書類の作成・税務相談の3つです(税理士法2条1項)。
会計帳簿の記帳の代行は、これに付随する業務として行えます(同条2項)。
この記事では、年の途中から関わる契約を「顧問契約」と呼びます。
| 頼み方 | 税理士が関わる時期 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 確定申告だけ | 年1回(主に年明けから申告まで) | 1年分の帳簿と資料の確認、申告書の作成と提出 |
| 記帳から申告まで | 年1回(主に年明けから申告まで) | 領収書や通帳から帳簿を作り、申告まで |
| 顧問契約 | 毎月など、年の途中から | 帳簿の確認、税務の相談、期限のある手続きの確認 |
ポイント
帳簿をつけて保存する義務は、事業主ご本人にあります(所得税法148条1項・232条1項)。どの頼み方でも同じです。保存の期間は、帳簿や書類の種類により7年か5年です(No.2070・No.2080)。
年1回の申告だけで足りやすいのは、年の途中の手続きがない方です
次のすべてに当てはまる方は、年1回の申告だけの依頼で足りる場合があります。
- 毎月の売上と経費を、ご自身で帳簿や会計ソフトに入れている
- 消費税の申告がない(免税事業者である)
- 人を雇っておらず、家族に専従者給与も払っていない
- 予定納税の通知が届いていない
消費税は、2年前の課税売上高が1,000万円を超えると申告が要ります(No.6501)。
課税売上高とは、消費税のかかる売上の額のことです。
インボイスの登録をした方は、1,000万円以下でも免除されません(同)。
前年1月から6月の課税売上高などで、申告が要る場合もあります(同)。
ご自身で申告するか税理士に頼むかの判断は、個人事業主の申告を自分でするかの記事で扱っています。

確定申告とは別の時期に、期限が来る手続きがあります
次の手続きは、年1回の関わりでは間に合わないことがあります。
| 手続き | 当てはまる方 | 期限 |
|---|---|---|
| 予定納税の納付 | 予定納税基準額が15万円以上の方 | 7月と11月(No.2040) |
| 予定納税の減額申請 | 今年の税額が予定納税基準額に満たない見込みの方 | 第1期・第2期分は7月1日から15日まで |
| 給与の源泉所得税の納付 | 人を雇って給与を払う方 | 原則、支払った月の翌月10日(No.2505) |
| 簡易課税を選ぶ届出 | 消費税の申告をする方で、2年前の課税売上高が5,000万円以下の方 | 原則、使いたい年の前年12月31日まで(No.6505) |
予定納税の基準は、原則として前年分の申告納税額です(No.2040)。
金額は、税務署から6月15日までに通知されます(同)。
計算例
例:前年分の申告納税額600,000円が、そのまま予定納税基準額になる場合
第1期(7月) 600,000円 ÷ 3 = 200,000円 第2期(11月) 600,000円 ÷ 3 = 200,000円1年分の税額は翌年の確定申告で計算し、予定納税額を差し引いて精算します(No.2040)。
金額は一定の前提を置いた目安です。しくみは予定納税の記事で解説しています。
今年の税額が予定納税基準額に満たない見込みなら、減額を申請できます(国税庁の手続の案内)。
第1期・第2期分の減額は、6月30日の現況で見積もり、7月1日から15日までに申請します。
人を雇うと、源泉徴収した所得税を、原則として支払った月の翌月10日までに納めます(No.2505)。
給与の支給人員が常時10人未満などの要件を満たし、承認を受けると、年2回にまとめられます(同)。
その場合の期限は、7月10日と翌年1月20日です(同)。
簡易課税の届出の期限には、例外もあります(No.6505)。
免税事業者がインボイスの登録をした年や、2割特例・3割特例を使った翌年などです(同)。
申告の時期には、その年のこうした期限はすでに過ぎています。
年1回だけの関わりで、こんな行き違いにつながります
次の4つは、年の途中の記帳や手続きを後回しにしたときの行き違いです。
- 記帳を2月に始め、期限に遅れる ― 青色申告特別控除が減ります。令和8年分は、55万円・65万円の控除が受けられず、最高10万円です(No.2072)。
- 領収書だけを残し、帳簿をつけない ― 税務調査で、売上の帳簿がないことなどが分かった場合です。申告漏れの加算税の割合に、5パーセントか10パーセントが上乗せされます(No.2080)。
- 給与の源泉所得税を半年分まとめて納める ― 納期の特例の承認が要ります。承認がなければ、期限は支払った月の翌月10日です(No.2505)。
- 翌年の消費税の方式を、年明けに決める ― 間に合わないことがあります。簡易課税の届出は、原則として前年12月31日までです(No.6505)。
注意
令和9年分から、次のように変わります(国税庁の案内)。65万円の控除には、期限内のe-Taxでの送信が必須です。書面で申告すると、控除の上限は10万円です。簡易な記帳の方は、事業所得などの前々年分の収入金額にご注意ください。その額が1,000万円を超えると、10万円の控除も受けられません。

ここまではご自身で、ここから先は個別判断です
年1回の申告だけで足りるかは、次の4つで確かめられます。
- 毎月の売上と経費を帳簿に入れ、領収書を月ごとに保存する
- 税務署から予定納税の通知が届いているかを確かめる
- 2年前と前年1月から6月の課税売上高、インボイスの登録の有無を確かめる
- 人を雇う予定と、その時期を書き出す
1を続けられ、2から4に当たるものがなければ、年1回の申告だけで足りる場合があります。
予定納税の減額や簡易課税を選ぶかは、見込みの数字で決める個別判断です。
年の途中に判断が重なる年は、毎月の関わりも選択肢になります。

税理士に頼むと変わるのは、関わる時期と手続きの管理です
税理士が入ると、期限のある手続きの確認まで任せられます。
小松公認会計士・税理士事務所では、確定申告だけのご依頼で次の作業を行います。
- 必要書類の一覧でのご案内と、帳簿や会計ソフトのデータの確認
- 按分の割合や10万円以上の資産の扱いの確認と、根拠の整理
- 青色申告決算書か収支内訳書と、確定申告書の作成、e-Taxでの提出
- 納付・還付のご案内
記帳から申告までのご依頼や、個人事業主の月次顧問もあります。
全国どこからでも、オンラインで完結します。
依頼の費用と書類は、個人事業主の申告を頼む費用の記事で整理しています。
料金の目安
料金は、基本料金32,000円(税込35,200円)に、当てはまる所得・控除の単価を足した額です。事業所得の単価は、1年の売上の規模で決まります。個人の確定申告は最低料金65,000円(税別・税込71,500円)からお引き受けしています。
通常料金での計算例です。売上500万円の事業所得49,000円に、その他控除セット(社会保険料など)6,000円を足します。消費税の申告と記帳代行はない前提です。合計は税別87,000円(32,000円+49,000円+6,000円)、税込95,700円です。計算例は一定の前提を置いた目安です。
記帳代行は希望する方だけで、基本8,000円(税込8,800円)と1仕訳80円(税込88円)です。仕訳の分は、申告書の作成後に仕訳数が確定してから別途ご請求します。月次顧問契約(個人事業主)は、32,000円/月〜(税込35,200円/月〜)です。確定申告のご料金は60秒見積りで確かめられます。
この論点で小松公認会計士・税理士事務所ができること
制度は複雑ですが、お客様がすべてを理解する必要はありません。難しいことは、専門家にお任せください。
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小松公認会計士・税理士事務所 代表
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よくある質問(FAQ)
Q1. 個人事業主は、税理士と顧問契約を結ばないといけませんか?
結ぶ義務はありません。所得税は、納税者が自ら計算して申告する仕組みです(No.2070)。年の途中に期限のある手続きがなく、帳簿を毎月つけていれば、申告だけの依頼で足りる場合があります。ご自身で作成・提出する方法もあります(No.2020)。
Q2. 確定申告だけを頼むと、どこまでしてもらえますか?
弊所では、必要書類のご案内、帳簿の確認、按分や資産の扱いの確認を行います。決算書(または収支内訳書)と申告書の作成、e-Taxでの提出、納付・還付のご案内までが範囲です。帳簿の入力と領収書の保存はご自身で続けます。記帳代行を加えて頼むこともできます。
Q3. 年1回の申告だけでは足りないことがあるのは、どんなときですか?
予定納税の納付は7月と11月です(No.2040)。給与の源泉所得税は、原則として支払った月の翌月10日までです(No.2505)。簡易課税の届出は、原則として前年12月31日までです(No.6505)。申告の時期には、その年の期限は過ぎています。
Q4. 予定納税の通知が届きましたが、今年は売上が落ちています。減らせますか?
6月30日の現況で見積もった今年の税額が予定納税基準額に満たない見込みなら、減額を申請できます。第1期・第2期分の申請は7月1日から15日までです。10月31日の現況で見積もる第2期分だけの申請は、11月1日から15日までです。見積もりの基礎となる事実の書類も添えます(国税庁の案内)。
免責事項
本記事は令和8年11月時点の法令・公表資料に基づく一般的な解説です。税理士法2条1項・2項、所得税法104条1項・148条1項・232条1項、タックスアンサーNo.2020「確定申告」・No.2040「予定納税」・No.2070「青色申告制度」・No.2072「青色申告特別控除」・No.2080「白色申告者の記帳・帳簿等保存制度」・No.2505「源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例」・No.6501「納税義務の免除」・No.6505「簡易課税制度」、国税庁の「所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請手続」の案内、令和9年分以後の青色申告特別控除についての国税庁の案内、弊所の料金表の内容を扱っています。予定納税基準額の計算の細目(除外所得・外国税額控除・災害減免法)と特別農業所得者、減額申請の承認の基準と第2期分だけの申請の要件、延滞税、納期の特例の要件の細目と手続、源泉徴収の対象となる報酬・料金の範囲、給与の支払を始めるときの届出、源泉所得税の納付が遅れたときの加算税、消費税の課税売上高と特定期間の判定の細目、課税事業者の選択、簡易課税の事業区分とみなし仕入率、2割特例・3割特例の要件と期間、消費税の中間申告と申告期限、青色申告の承認申請、令和9年分以後の青色申告特別控除の細目(75万円の控除・優良な電子帳簿・デジタルシームレス保存)、加算税の加重措置の要件の細目、記帳の方法、法人成りの判断、住民税・個人事業税、他の事務所の顧問契約の内容と料金、弊所の月次顧問契約の具体的な内容は扱っていません。記事中の計算例は一定の前提を置いた目安であり、実際の税額や料金はご事情によって変わります。具体的な判断は必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。
参考資料・出典
- e-Gov法令検索「税理士法」(2条)https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC1000000237
- 国税庁 タックスアンサー No.2040「予定納税」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2040.htm
- 国税庁「A1-3 所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請手続」https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/02.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.2505「源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2505.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.6505「簡易課税制度」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6505.htm
顧問契約か確定申告だけか、年の途中の手続きから決めませんか
個人事業主に税理士の顧問契約は必須ではありません。予定納税や、人を雇ったときの源泉所得税、簡易課税を選ぶ届出は、確定申告とは別に期限が来ます。こうした手続きがあるかで、頼み方が変わります。代表税理士が、帳簿と前年分の申告書を確かめ、確定申告だけのご依頼で足りるかをお伝えします。決算書と申告書の作成からe-Taxでの提出まで担当し、全国どこからでもオンラインで完結します。
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