この記事のポイント
- 取引が単純なら、会計ソフトや作成コーナーでご自身で申告できる場合があります
- ソフトは集計をしますが、経費になるか・按分の割合は申告する人が決めます
- 10万円以上の備品・家族への給与・消費税の判定があると判断が増えます
- 記帳はご自身、申告は税理士という分け方で頼むこともできます
まず結論:取引が単純なら、会計ソフトでご自身で申告できる場合があります
個人事業主の確定申告は、ご自身で作って出すこともできます。
国税庁の確定申告書等作成コーナーなら、画面の案内に沿って作成・提出できます(No.2020)。
会計ソフトは、入力した取引を科目ごとに集計し、決算書の形にまとめる道具です。
経費になるか・按分の割合・資産の扱い・消費税の判定は、ソフトではなく申告する人が決めます。

会計ソフトがすることと、ご自身が決めることを分けます
所得税は納税者が自ら計算して申告する仕組みで、判断をするのは申告する人です(No.2080)。
| 場面 | ソフトがすること | ご自身が決めること |
|---|---|---|
| 日々の支払い | 入力した科目で集計 | 経費になる支払いか |
| 家賃・電気代 | 設定した割合で按分 | 割合と、その根拠 |
| 10万円以上の備品 | 入力どおり償却費を計算 | 資産にするか、特例を使うか |
| 消費税 | 設定した方式で計算 | 申告が要るか、方式を選べるか |
右の列の判断を誤ると、ソフトの計算が正しくても申告は誤りになります。
経費にならない支払いを除くのは、申告する人です
事業の口座やカードで払ったものでも、経費にならない支払いがあります。
国税庁の収支内訳書の書き方は、次のものを経費(必要経費)にならないとしています。
- 所得税・住民税
- 国民健康保険税・国民年金の保険料
- 延滞税・加算税や罰金など
- 衣料費や食費などの家事上の費用
注意
同じ家計の家族への給料は、原則として経費になりません(所得税法56条)。例外は青色事業専従者給与と白色の事業専従者控除で、年齢や従事期間などの要件があります。青色事業専従者給与の届出期限は、原則その年の3月15日です(No.2075)。1月16日以後の開業などは、2か月以内です。
経費にならない支払いを経費の科目で入力すると、ソフトはそのまま集計します。

家事按分は、割合の根拠を示せるかで決まります
自宅兼事務所の家賃や電気代は、仕事に使った部分だけが経費です。
国税庁は、家事関連費(生活と仕事の両方にかかわる費用)をこう説明しています。
この家事関連費のうち必要経費になるのは、取引の記録などに基づいて、業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる場合のその区分できる金額に限られます。
(国税庁タックスアンサー No.2210)
分け方は、使用面積や点灯時間などの適切な基準によります(収支内訳書の書き方)。
ソフトに割合を設定できても、割合を決めて根拠を残すのはご自身です。
詳しくは家事按分の記事で解説しています。
割合の根拠を説明できなければ、按分した経費が認められないおそれがあります。
10万円以上の備品と消費税は、入力の前の判断で結果が変わります
備品は原則、耐用年数(法令で決まった期間)に分けて経費にしますが、例外もあります(No.2100)。
- 10万円未満か、使える期間が1年未満:使い始めた年に全額
- 10万円以上20万円未満:3年間で均等に経費にする方法を選べる
- 一定の要件を満たす青色申告者:40万円未満なら、年300万円まで使い始めた年に全額
40万円未満は令和8年4月1日以後の取得分で、それより前は30万円未満です(同)。
計算例
例:令和8年6月に、仕事専用のパソコンを18万円で買い、使い始めた場合
3年で均等に経費にする方法 180,000円 ÷ 3 = 60,000円(令和8年分) 要件を満たす青色申告者が特例を使う方法 180,000円(令和8年分)免税事業者で、貸付けに使わない前提です。どちらも、申告書に明細を付けることが要件です。
金額は一定の前提を置いた目安です。どちらも選ばなければ、通常の減価償却です。
消費税は、2年前の課税売上高(消費税のかかる売上)で判定します。
1,000万円を超えると、申告が必要です(消費税法9条1項)。
インボイスの登録をした人は、1,000万円以下でも免除されません(No.6501)。
前年1〜6月の課税売上高などで、課税事業者になる場合もあります(同)。
使える計算方法も、売上の規模と届出の有無で変わります(消費税法37条1項)。
選び方はインボイス登録後の消費税の記事にまとめています。
消費税の申告が要るか、どの方式を使えるかは、ソフトに設定する前に決めることです。

ソフトに任せきりにすると、こんな誤りにつながります
入力の前提を誤ると、次のような誤りになります。
- 国民年金や国民健康保険税を経費にする ― 経費にならず、社会保険料控除の対象です(No.1130)。
- 届出なしで、同じ家計の家族の給料を経費にする ― 原則、経費になりません(所得税法56条)。
- 白色申告で、30万円の備品を一度に経費にする ― 原則、耐用年数に分けます(No.2100)。
- 按分の割合の根拠を残さない ― 明らかに区分できる分だけが経費です(No.2210)。
- インボイス登録後に、消費税を申告しない ― 課税売上高が少なくても免除されません(No.6501)。
- 期限(原則として翌年3月15日)に遅れる ― 青色申告特別控除は最高10万円です(No.2072)。
修正で税が増えると、加算税がかかる場合があります(国税通則法65条1項)。
申告の前に、経費・按分・資産・消費税の4点を見直すことが大切です。
「記帳はご自身、申告は税理士」という頼み方もあります
日々の入力はご自身で続け、決算と申告だけを税理士に頼む方法があります。
この分け方なら、領収書から帳簿を作る記帳代行は頼まずに済みます。
ご自身に残るのは、入力と、帳簿・領収書の保存(5年か7年)です(No.2070・No.2080)。
頼む範囲と費用は、税理士に任せるときの費用の記事も参考になります。
ポイント
令和8年分の65万円の青色申告特別控除は、正規の簿記(一般的には複式簿記)での記帳が前提です。貸借対照表などを添えた期限内の申告と、e-Taxか優良な電子帳簿の保存が要ります(No.2072)。令和9年分からは、書面で申告すると上限が10万円です(国税庁の案内)。
ソフトで記帳していても、出し方と期限で控除の額が変わります。

ここまではご自身で、ここから先は個別判断です
ご自身で進められるのは、次の6つです。
- 1年分の売上と経費を、ソフトに入力する
- 通帳やカードの明細と、ソフトの残高を合わせる
- 領収書と請求書を、日付順に保存する
- 国民年金や所得税など、経費にならない支払いを分ける
- 10万円以上の買い物、家族への支払い、按分する費用を書き出す
- 2年前と前年1〜6月の課税売上高、インボイスの登録を確かめる
5で書き出すものがなく、6で消費税の申告が要らなければ、ご自身で申告できる場合があります。
按分の割合、資産の扱い、家族への給与、消費税の方式は個別判断です。
税理士に頼むと変わるのは、入力の点検と決算の判断です
小松公認会計士・税理士事務所では、会計ソフトで記帳している方の申告で次の作業を行います。
- freee・マネーフォワード クラウド・弥生会計の帳簿の確認
- 経費にならない支払いの振り分けと、按分の根拠づけ
- 10万円以上の資産の償却の計算と、特例を使うかの判断
- 消費税の申告の要否の判定と、使える方式の比較
- 決算書と確定申告書の作成、e-Taxでの提出
- 納付または還付のご案内
全国どこからでも、オンラインで完結します。
料金の目安
基本料金32,000円(税込35,200円)に、当てはまる所得・控除ごとの単価を足した額が料金です。事業所得の単価は、1年の売上の規模で決まります。個人の確定申告は最低料金65,000円(税別・税込71,500円)からお引き受けしています。
通常料金での計算例です。事業所得(売上300万円まで)39,000円の方です。その他控除セット(社会保険料など)6,000円も足します。消費税の申告と記帳代行はない前提です。合計は税別77,000円(32,000円+39,000円+6,000円)、税込84,700円です。計算例は一定の前提を置いた目安です。
記帳代行は希望する方だけで、基本8,000円(税込8,800円)と1仕訳80円(税込88円)です。ご自身の料金は60秒見積りで確かめられます。
この論点で小松公認会計士・税理士事務所ができること
制度は複雑ですが、お客様がすべてを理解する必要はありません。難しいことは、専門家にお任せください。
登録者6,900人超
小松公認会計士・税理士事務所 代表
小松 優馬公認会計士・税理士
- お話を伺って、「あなたの場合はどうなるか」をはっきりお答えします
- 必要な書類のご案内から申告まで、まるごとお任せいただけます
- 料金は先にお見積り。全国どこでも、オンラインで完結できます
YouTube「税理士 小松ゆうまチャンネル」(登録者6,900人超)で、税金の話を分かりやすく解説しています。動画を見てみる
初回相談は無料です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 会計ソフトを使えば、税理士に頼まずに確定申告できますか?
取引が少なく、経費の区別や按分・資産の判断に迷わなければ、ご自身でできる場合があります。国税庁の作成コーナーでも、申告書を作成・提出できます(No.2020)。家族への給与・10万円以上の資産・消費税の申告がある年は、判断が増えます。依頼をご検討ください。
Q2. 国民年金や国民健康保険税は、経費に入れてよいですか?
経費には入れません。国税庁の収支内訳書の書き方は、国民健康保険税や国民年金の保険料を必要経費にならないものとしています。所得税や住民税も同じです。ご自身や同じ家計の家族の分を払った場合は、社会保険料控除の対象です(No.1130)。
Q3. 記帳は自分でして、申告だけを税理士に頼めますか?
頼めます。弊所では、freee・マネーフォワード クラウド・弥生会計の帳簿を確かめ、決算と申告書を作ります。記帳代行を頼まない分け方なので、入力と領収書の保存はご自身で続けます。按分や資産の扱いは、決算のときに一緒に確かめます。
Q4. 10万円以上のパソコンは、買った年に全額を経費にできますか?
原則は耐用年数に分けて経費にします。10万円以上20万円未満なら、3年で均等に経費にする方法を選べます。一定の要件を満たす青色申告者は、40万円未満なら年300万円まで、使い始めた年に全額経費にできます。令和8年3月31日までの取得分は30万円未満です(No.2100)。どちらも申告書に明細を付けます。
免責事項
本記事は令和8年11月時点の法令・公表資料に基づく一般的な解説です。所得税法45条1項・56条・57条1項・3項、所得税法施行令96条・138条・139条、租税特別措置法25条の2・28条の2、国税通則法65条1項、消費税法9条1項・37条1項、タックスアンサーNo.1130「社会保険料控除」・No.2020「確定申告」・No.2070「青色申告制度」・No.2072「青色申告特別控除」・No.2075「青色事業専従者給与と事業専従者控除」・No.2080「白色申告者の記帳・帳簿等保存制度」・No.2100「減価償却のあらまし」・No.2210「必要経費の知識」・No.6501「納税義務の免除」、国税庁「令和7年分 収支内訳書(一般用)の書き方」、令和9年分以後の青色申告特別控除についての国税庁の案内、弊所の料金表の内容を扱っています。事業所得と雑所得の区分、開業の届出と青色申告の承認申請の手続、通常の減価償却の計算(耐用年数・償却率・月割)と中古資産、少額減価償却資産の特例の中小事業者の要件と開業・廃業の年の月割り、償却資産税、家事按分の具体的な割合、青色事業専従者給与と事業専従者控除の要件の細目と金額、配偶者控除・扶養控除への影響、売上と経費の計上時期と棚卸、消費税の課税売上高の計算と特定期間の判定の細目、簡易課税の要件と届出期限・事業区分、2割特例などの経過措置、インボイスの登録の手続、優良な電子帳簿の要件と令和9年分以後の青色申告特別控除の細目、加算税の割合と延滞税、住民税・個人事業税・国民健康保険税の計算、会計ソフトごとの機能の違い、料金の細目(売上300万円超の按分・消費税の申告の料金・記帳代行の仕訳数)は扱っていません。記事中の計算例は一定の前提を置いた目安であり、実際の経費や税額は取引の内容によって変わります。具体的な判断は必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。
参考資料・出典
- e-Gov法令検索「所得税法」(45条・56条・57条)https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033
- 国税庁 タックスアンサー No.2210「必要経費の知識」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2210.htm
- 国税庁「令和7年分 収支内訳書(一般用)の書き方」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2025/pdf/034.pdf
- 国税庁 タックスアンサー No.2100「減価償却のあらまし」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2100.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.6501「納税義務の免除」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6501.htm
会計ソフトの帳簿をもとに、決算と申告を任せませんか
個人事業主の確定申告は、取引が少なく判断に迷いがなければ、会計ソフトでご自身でできる場合があります。経費にならない支払いの区別、家事按分の割合、10万円以上の資産、家族への給与、消費税の申告の要否は、ソフトが決めてくれません。代表税理士が、入力済みの帳簿を確かめ、決算の判断から申告書の作成とe-Taxでの提出まで担当します。記帳はご自身で続け、申告だけを任せる頼み方もできます。全国どこからでもオンラインで完結します。家族への給与や簡易課税の届出には期限があるため、年の途中でもご相談ください。
無料相談を申し込む 個人事業主・フリーランスの確定申告サポートを見る 約60秒で料金を自動見積り