事業所得

個人事業主が初めて人を雇ったら
税金の手続きは届出・源泉徴収・年末調整の3つ

この記事の答え

  • 人を雇うと、届出・毎月の源泉徴収・年末調整の3つの手続きが増えます
  • 給与を払い始めるときは、開設届を開設から1か月以内に出します
  • 社会保険料等を引いて月15万円・扶養0人の税額は月2,080円です(令和9年分・申告書あり)
小松優馬

小松 優馬

公認会計士(登録番号43196)・税理士(登録番号151214)

監査法人での上場企業監査・上場準備CFO経験を経て独立。港区浜松町で個人・法人の税務をサポート。YouTubeチャンネル「公認会計士・税理士 小松ゆうま」運営。

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人を雇うと、税金の手続きは何が増えますか

個人事業主が人を雇って給与を払うと、税金の手続きが3つ増えます。雇うときの届出、毎月の源泉徴収、年末調整です。

源泉徴収とは、給与から所得税を差し引いて、雇う側が国に納めることです。

給与や賞与を払うときは、所得税を差し引きます
給与や賞与を払うときは、所得税を差し引きます
図1 雇ってからの1年の流れ
  1. 雇うとき:開設届を税務署へ出す(開設から1か月以内)。働く人から扶養控除等申告書を受け取る(最初の給与の前日まで)
  2. 毎月:給与から所得税を差し引き、原則として翌月10日までに納める
  3. 年末から翌年1月:その年最後の給与で年末調整をする。源泉徴収票を本人に渡し、給与支払報告書を市区町村へ出す(原則1月31日まで)

例外として、常時2人以下のお手伝いさんなど、家事使用人だけに給与を払う個人は、源泉徴収が要りません。

雇ったら最初に、何をしますか

雇い始めの届出は、提出先と期限を先に確かめます
雇い始めの届出は、提出先と期限を先に確かめます

個人事業主が新たに給与を払い始めるときは、「開設届」を税務署へ出します。国税庁の様式名は「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」です。

期限は、給与を扱う事務所の開設から1か月以内です。提出先は、その事務所の所在地の税務署です。

開業と同時に雇う人は、開業届の給与の欄に書き、開設届も出します。開業届の期限は確定申告の期限ですが、開設届は開設から1か月以内です。

次に、働く人から「扶養控除等申告書」を受け取ります。家族の状況などを書いてもらう書類です。受け取る期限は、最初の給与の前日までです。翌年からも毎年受け取ります。

この申告書は、税務署などに求められない限り提出せず、あなたが保管します。

毎月、いくら差し引いて、いつ納めますか

給与を払う月は、毎月の手続きがあります
給与を払う月は、毎月の手続きがあります

差し引く額は国税庁の税額表で調べ、原則として給与を払った月の翌月10日までに納めます。10日が土日祝日なら、休日明けの日が期限です。

税額は、社会保険料などを引いた後の給与と、扶養親族などの人数で決まります。申告書の有無でも大きく変わります。

たとえば、カフェを営むAさんが、アルバイトのBさんを雇ったとします。Bさんの社会保険料などを引いた後の給与は月15万円で、扶養親族はいません。

図2 申告書の有無で変わるBさんの毎月の税額(令和9年分)
提出あり
2,080円
提出なし
8,100円

税額表は令和9年1月から変わり、税額には防衛特別所得税も含まれます。令和8年分の給与に使う表では、2,420円と8,300円です。

条件を満たせば、納付を年2回にまとめる特例もあります(納期の特例の記事)。

年末と翌年1月には、何をしますか

年末調整のあとも、翌年1月に書類の期限があります
年末調整のあとも、翌年1月に書類の期限があります

年末調整は、その年最後の給与を払うときに行います。毎月差し引いた税額の合計と、1年分の税額との差を精算する手続きです。

差し引き過ぎた分は本人に返し、足りない分は給与から差し引きます。令和8年分は、基礎控除の引上げなどの改正を反映して計算します。令和8年12月に払う給与の税額の期限は、原則として令和9年1月12日です。

対象は、扶養控除等申告書を出している人です。その年の給与が2,000万円を超える人などは除きます。

注意

年の途中で入った人も、年末まで働いていれば対象です。前の勤め先に申告書を出して受けた給与も含めて計算します。その源泉徴収票などで確認できないと年末調整はできず、本人が確定申告で精算します。

翌年1月には、書類の期限があります。源泉徴収票は、給与を払ったすべての人に渡します。給与支払報告書は、働く人の住所地の市区町村へ出します。出した年の6月からは、原則として住民税も給与から差し引いて納めます。

期限はどちらも1月31日で、令和8年分は令和9年2月1日です。年の途中で退職した人は、期限や提出の範囲が違います。

手続きが漏れると、どうなりますか

差し引き忘れや納め忘れがあると、税務署に対しては雇う側のあなたが納めることになります。Aさんに起こり得る失敗は、次の3つです。

  • 申告書がないのに「提出あり」の欄で計算する ― 図2の例では月6,020円の不足です。毎月同じ給与なら1年で72,240円で、一定の前提を置いた目安です。
  • 納める日を忘れる ― 原則として税額の10%の追加の税金がかかります。調査の前に自分から納めたときは5%で、かからない場合もあります。延滞税もかかることがあります。
  • 報酬から差し引かない ― 人を雇うと、個人の税理士やデザイナーへの報酬からも、原則として差し引きます。

自分でできるのは、どこまでですか

届出と毎月の納付は、手順を決めればご自身でも進められます。

図3 ご自身で進めやすいことと、判断が要ること

ご自身で進めやすいこと

  • 開設届を税務署へ出す
  • 申告書を受け取り、保管する
  • 税額表で毎月の税額を調べる

個別の判断が要ること

  • 業務委託の人は給与に当たるか
  • 家族に払う給与は経費になるか
  • 掛け持ちや前職がある人の計算

業務委託は外注費と給与の記事、家族は専従者給与の記事で解説しています。

税理士に頼むと、何が変わりますか

税理士に頼むと、給与の支払いを含む1年分の帳簿を確かめたうえで、確定申告まで任せられます。

小松公認会計士・税理士事務所では、次の作業を弊所が行います。

  • 入力済みの帳簿や会計ソフトのデータの確認
  • 領収書・通帳からの記帳代行(別料金)
  • 青色申告決算書か収支内訳書と、確定申告書の作成・電子申告
  • 個人事業主の月次顧問(別料金)

給与計算と社会保険・労働保険の手続きは、社会保険労務士の業務のため、弊所ではお引き受けしていません。

年末調整や法定調書の作成をご希望の方は、お申込みの前にお伝えください。

料金の目安

基本料金32,000円(税込35,200円)に、当てはまる所得・控除ごとの単価を足した額が料金です。個人の確定申告は最低料金65,000円(税別・税込71,500円)からお引き受けしています。

通常料金での計算例です。売上500万円の事業所得49,000円と、その他控除セット6,000円を足します。合計は32,000円+49,000円+6,000円=税別87,000円(税込95,700円)です。消費税の申告と記帳代行がない場合の、一定の前提を置いた目安です。

ご自身の料金は60秒見積りで確かめられます。

この論点で小松公認会計士・税理士事務所ができること

制度は複雑ですが、お客様がすべてを理解する必要はありません。難しいことは、専門家にお任せください。

小松公認会計士・税理士事務所 代表 小松優馬 登録者6,900人超

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  • お話を伺って、「あなたの場合はどうなるか」をはっきりお答えします
  • 必要な書類のご案内から申告まで、まるごとお任せいただけます
  • 料金は先にお見積り。全国どこでも、オンラインで完結できます

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初回相談は無料です。

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よくある質問(FAQ)

Q1. アルバイトが1人だけでも、源泉徴収は必要ですか?

必要です。給与を払う個人事業主は、1人でも源泉徴収をします。例外は、常時2人以下のお手伝いさんなど、家事使用人だけに給与を払う個人です。開設届も、新たに給与を払い始めるときに出します。

Q2. 月10万円のパートの人からも、所得税を差し引きますか?

申告書があれば、社会保険料などを引いた後の給与が月11万1千円未満で0円です(令和9年分)。令和8年分は10万5千円未満です。0円でも納付書は税務署に出します。申告書がないと3.063%です。日雇いの人は別の欄です。

Q3. 開業届に給与の欄があります。開設届も出しますか?

開業後に初めて雇う場合も、開業と同時に雇う場合も、開設届を出します。開業届を出す人を開設届から除く定めは、令和8年1月1日に所得税法からなくなりました。開設届の期限は開設から1か月以内で、開業届の期限より早く来ます。

Q4. 源泉徴収票は、税務署にも出しますか?

令和8年分からは、給与支払報告書を市区町村へ出せば、税務署への提出は不要です。本人には、これまでどおり渡します。報酬の支払調書など、ほかの調書を税務署に出すときは、合計表も出します。

免責事項

本記事は令和8年11月時点の法令・公表資料に基づく一般的な解説です。所得税法183条・184条・185条・190条・194条・204条・221条・226条・229条・230条、所得税法施行規則98条・99条、国税通則法60条・67条、地方税法317条の6・321条の3〜321条の5、国税庁タックスアンサーNo.2502・No.2505・No.2665・No.2674・No.2792・No.7411、国税庁「給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出」「給与所得者の扶養控除等の(異動)申告」「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」、令和8年分・令和9年分の源泉徴収税額表、「令和8年分 年末調整のしかた」「令和8年分年末調整についてのお知らせ」「令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし」「防衛特別所得税及び復興特別所得税の源泉徴収のあらまし」、令和8年版「源泉徴収のあらまし」、源泉徴収票のみなし提出の特例の特設ページとQ&A、弊所の料金表の内容を扱っています。社会保険・労働保険の手続、雇用契約や労働法令、給与計算の方法、マイナンバーの取扱い、給与の支払明細書、日額表・賞与・退職金の税額の求め方、年末調整の計算の手順と各種控除の申告書、年の途中で退職した人の期限と提出範囲の細目、掛け持ちで働く人の扱い、納期の特例の要件と申請の時期、追加の税金(不納付加算税)がかからない場合の要件と納税の告知、不足分の本人への請求、延滞税の割合と計算、報酬の源泉徴収の対象と税率、支払調書と法定調書合計表の提出範囲、給与支払報告書の提出方法と総括表、住民税の特別徴収の手続の細目、外注と給与の区分の判定、家族に払う給与の要件、非居住者に払う給与は扱っていません。記事中の税額と計算例は一定の前提を置いた目安であり、実際の税額や料金はご事情によって変わります。具体的な判断は必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。

参考資料・出典

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人を雇うと、給与の支払いも帳簿に入り、確かめることが増えます。弊所が、帳簿の確認または記帳代行から、青色申告決算書と確定申告書の作成、電子申告までを担当します。給与計算と社会保険の手続きは社会保険労務士の業務のため、弊所ではお引き受けしていません。全国どこからでもオンラインで完結します。料金は60秒見積りで確かめられますので、雇い始めた年の申告を任せたい方はご依頼をご検討ください。

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小松 優馬

公認会計士・税理士/元監査法人

大手監査法人にて上場企業の監査業務に従事。税務の専門性を高めるため独立。判例ベースの適正申告・節税にこだわり、お客様の人生設計を支える税務パートナーとして活動中。YouTubeチャンネル「税理士 小松ゆうま」では税務情報を発信中(登録者7,000人超)。

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