確定申告

寄附金の税額控除と所得控除の選び方
認定NPO・公益法人・政党への寄附

小松優馬

小松 優馬

公認会計士(登録番号43196)・税理士(登録番号151214)

監査法人での上場企業監査・上場準備CFO経験を経て独立。港区浜松町で個人・法人の税務をサポート。YouTubeチャンネル「公認会計士・税理士 小松ゆうま」運営。

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この記事のポイント

  • 認定NPO法人等・一定の公益社団法人等・政党等への寄附は、条件を満たせば所得控除か税額控除を選べます
  • 税額控除は(寄附額−2,000円)の40%(政党等は30%)で、所得税額の25%が上限です
  • 税率45%の方や、寄附が所得税額に比べて大きい方は、所得控除が有利なことがあります
  • 選んだ控除は、申告後に更正の請求や修正申告で選び直せません。申告前に試算します

まず結論:寄附先によって、税額控除を選べるかが決まります

ふるさと納税以外の寄附も、確定申告で所得税の控除を受けられる場合があります。

控除には、所得から引く「所得控除」と、税額から直接引く「税額控除」の2つがあります。

税額控除を選べるのは、認定NPO法人等・公益社団法人等・政党等への寄附のうち一定のものです。

どちらが有利かは所得と寄附の額で変わるため、申告の前に両方で試算します。

ふるさと納税は、ふるさと納税の確定申告の記事をご覧ください。

寄附の控除は、寄附先によって選べる形が変わります
寄附の控除は、寄附先によって選べる形が変わります

寄附先ごとに、選べる控除は3つに分かれます

所得控除だけの寄附、税額控除も選べる寄附、控除のない寄附に分かれます。

寄附先所得控除税額控除
認定NPO法人・特例認定NPO法人対象選べる(40%)
公益社団法人・公益財団法人・社会福祉法人など(一定の要件を満たすもの)対象選べる(40%)
政党・政治資金団体対象選べる(30%)
後援会など一定の政治団体、公職の候補者対象なし
国・地方公共団体、そのほかの特定公益増進法人など対象なし
上記以外の団体(一般の寄附金)なしなし

表の「対象」は、寄附先ごとの条件を満たす寄附についてのものです(No.1150・No.1154)。

国立大学法人などへの修学支援などの寄附にも、税額控除を選べるものがあります(No.1266)。

認定NPO法人等への寄附は、認定の有効期間内に払ったものが対象です(No.1150)。

政党等の税額控除は、令和11年12月31日までに払った寄附が対象です(No.1260)。

土地などお金以外を寄附するときは、土地の寄附の記事をご覧ください。

所得控除と税額控除は、引く場所と上限が違います

所得控除は所得を、税額控除は所得税額を直接減らします。

  • 所得控除(寄附金控除) ― 寄附額から2,000円を引いた額を、所得から引きます。寄附額は総所得金額等の40%が上限です(所得税法78条1項)。
  • 税額控除 ― 寄附額から2,000円を引いた額の40%(政党等は30%)を、所得税額から引きます。100円未満は切り捨てます(No.1260・No.1263・No.1266)。

税額控除でも、寄附額は原則として総所得金額等の40%が上限です(暮らしの税情報)。

税額控除には、所得税額の25%までという上限もあります。認定NPO法人等と公益社団法人等は、合わせて25%です(同)。

2,000円は、所得控除と税額控除を合わせた金額です(同)。

ポイント

所得控除で減る所得税は、おおよそ「控除額×税率」です。税率は、所得に応じて5%から45%の7段階です(No.2260)。税率が40%より低ければ、認定NPO法人等・公益社団法人等への寄附は税額控除が大きくなる計算です。25%の上限にかかる場合は、この限りではありません。

補足

住民税の控除は別の仕組みで、住所地の自治体が条例で指定した寄附金などが対象です(暮らしの税情報)。

計算例:所得と寄附の額で、有利な方が入れ替わります

同じ認定NPO法人への寄附でも、所得と寄附の額で結論が変わります。

計算例

例1:課税される所得金額500万円(税率20%)で、10万円を寄附

所得控除 (100,000円 − 2,000円)× 20% = 19,600円 税額控除 (100,000円 − 2,000円)× 40% = 39,200円(25%の上限143,100円の範囲内)

例2:総所得金額等300万円・課税される所得金額150万円(税率5%)で、100万円を寄附

所得控除 1,500,000円 − 998,000円 = 502,000円 → 所得税 75,000円が25,100円に(49,900円減) 税額控除 998,000円 × 40% = 399,200円 → 上限 75,000円 × 25% = 18,750円 → 18,700円

どちらも、寄附先は認定NPO法人1か所で、ほかの寄附や税額控除はない前提です。所得税だけで比べ、復興特別所得税と住民税は含めていません。

金額は一定の前提を置いた目安です。例2は、25%の上限で税額控除が頭打ちになりました。

税率45%の方や、政党等への寄附で税率33%以上の方も、所得控除が有利になることがあります。

どちらが有利かは、ほかの所得や控除も入れた税額で比べないと決まりません。

所得と寄附の額で、所得控除と税額控除の有利な方が変わります
所得と寄附の額で、所得控除と税額控除の有利な方が変わります

間違えると、控除が受けられない・選び直せないことがあります

寄附の控除は、書類と寄附の中身で受けられるかが決まります。

  • 申告の後に控除を選び直す ― 更正の請求でも修正申告でもできません(確定申告書等作成コーナー)。
  • 書類が足りない ― 明細書と証明の書類を添付しないと、税額控除は使えません(No.1263など)。
  • パーティー券や党費・後援会の会費を入れた ― 寄附金に当たらず、控除の対象外です(No.1260)。
  • 家族の名義で寄附した ― 本人以外が払った寄附は、本人の寄附金控除になりません(No.1150)。
  • 住民税の申告だけをした ― 所得税の寄附金控除は受けられません(暮らしの税情報)。

どちらの控除にするかは、確定申告のときに決めておきます。

注意

公益社団法人・公益財団法人の税額控除では、対象の法人だと所轄庁等が証する書類の写しも要ります。寄附をする日以前5年以内に発行されたものに限ります(No.1266)。政党等は、選挙管理委員会等の確認印のある書類を添付します(No.1260)。間に合わないときは、領収書の写しを添付して申告し、届き次第、税務署に出します(同)。

受領証や証明の書類がそろっているかを先に確かめます
受領証や証明の書類がそろっているかを先に確かめます

個人事業主や大家の方は、寄附金控除と事業の経費の違いを押さえます

寄附金控除は、事業の経費(必要経費)とは別の仕組みの所得控除です。

必要経費は、収入を得るために直接かかった費用や、業務について生じた費用です(所得税法37条1項)。

寄附金控除は経費を引いた後の所得から差し引き、40%の上限もその所得で見ます(同78条1項)。

寄附をした人に特別の利益が及ぶものは、寄附金控除の対象になりません(No.1150)。

広告の掲載など見返りのある支出は、経費か寄附かを個別に判断します。

会社から寄附する場合は、法人の寄附金の記事をご覧ください。

ここまではご自身で、ここから先は個別判断です

寄附の控除で、ご自身で確かめられるのは次の4つです。

  1. 1月から12月に払った寄附を、寄附先ごとに書き出す
  2. 寄附先が認定NPO法人等か、税額控除の対象の法人か、政党等かを確かめる
  3. 受領証・証明の書類・確認印のある書類がそろっているかを確かめる
  4. 寄附が、ご本人の名義で払われているかを確かめる

認定NPO法人等の一覧は、内閣府NPO法人ホームページで見られます(No.1263)。

対象の公益社団法人等は、「公益法人information」などで確認できます(No.1266)。

所得控除と税額控除の試算、上限の計算、事業の経費との区分は個別判断です。

1月から12月に払った寄附を、寄附先ごとに書き出します
1月から12月に払った寄附を、寄附先ごとに書き出します

税理士に頼むと変わるのは、選び方の試算と添付書類の確認です

税理士が入ると、両方の方法で税額を出してから、控除を選べます。

小松公認会計士・税理士事務所では、次の作業を行います。

  • 寄附先ごとに、所得控除だけか、税額控除も選べるかの確認
  • 事業・家賃・給与などの所得を入れた、両方の方法での税額の試算
  • 40%・25%の上限と2,000円の扱いを入れた控除額の計算
  • 受領証・証明の書類の確認と、計算明細書の作成
  • 確定申告書の作成とe-Taxでの提出、提出した申告書の控えのお渡し

全国どこからでも、オンラインで完結します。

料金の目安

基本料金32,000円(税込35,200円)に、当てはまる所得・控除ごとの単価を足した額が料金です。個人の確定申告は最低料金65,000円(税別・税込71,500円)からお引き受けしています。

計算例:給与所得、その他控除セット(社会保険料など)、ふるさと納税が各6,000円の場合です。合計は32,000円+6,000円×3=50,000円(税込55,000円)です。65,000円に満たないため、最低料金の65,000円(税込71,500円)になります。計算例は一定の前提を置いた目安です。

ご自身の料金は60秒見積りで確かめられます。

この論点で小松公認会計士・税理士事務所ができること

制度は複雑ですが、お客様がすべてを理解する必要はありません。難しいことは、専門家にお任せください。

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よくある質問(FAQ)

Q1. 認定NPO法人に寄附しました。会社員でも確定申告が必要ですか?

控除を受けるには、会社員の方も確定申告書の提出が必要です(国税庁「暮らしの税情報」)。税額控除を選ぶときは、計算明細書と寄附先が出す証明の書類を添付します(No.1263)。住民税の申告だけでは、所得税の寄附金控除は受けられません。

Q2. 税額控除と所得控除は、どちらが有利ですか?

所得控除で減る所得税は、おおよそ(寄附額−2,000円)×税率です。税額控除は(寄附額−2,000円)×40%(政党等は30%)で、所得税額の25%が上限です。税率が控除の率より低く、上限にかからなければ、税額控除が大きくなる計算です。

Q3. 公益財団法人への寄附なら、どれでも税額控除を選べますか?

税額控除の対象は、運営と事業活動、市民の支援について要件を満たす法人への寄附です(No.1266)。証明の書類の写しを添付します。対象外でも、主たる目的の業務に関連する寄附は所得控除の対象になる場合があります(No.1150)。

Q4. 政党への寄附を税額控除で申告しました。後から所得控除に変えられますか?

変えられません。更正の請求でも修正申告でも、寄附金控除へは選び直せません(No.1260、質疑応答事例)。どちらにするかは、確定申告(期限後申告を含む)のときに選びます。認定NPO法人等・公益社団法人等への寄附も、選び直せません(確定申告書等作成コーナー)。所得控除が有利かどうかは、申告の前に試算します。

免責事項

本記事は令和8年10月時点の法令・公表資料に基づく一般的な解説です。所得税法37条1項・78条1項・2項、租税特別措置法41条の18第1項〜3項・41条の18の2第1項〜3項・41条の18の3第1項・2項、タックスアンサーNo.1150「一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)」(同Q&Aを含む)・No.1154「政治献金と寄附金」・No.1260「政党等寄附金特別控除制度」(同Q&Aを含む)・No.1263「認定NPO法人に寄附をしたとき」・No.1266「公益社団法人等に寄附をしたとき」・No.2260「所得税の税率」、国税庁の質疑応答事例「政党等寄附金特別控除と寄附金控除の選択替え」、国税庁の確定申告書等作成コーナーのよくある質問「寄附金控除・政党等寄附金等特別控除の選択」、国税庁「暮らしの税情報」(令和8年度版)「寄附金を支出したとき」、弊所の料金表の内容を扱っています。ふるさと納税の控除額と上限・ワンストップ特例、住民税の寄附金税額控除の対象と計算・各自治体の条例で指定された寄附金、土地など金銭以外の財産の寄附、特定新規中小会社の株式の取得(エンジェル税制)、公益信託への支出、財務大臣が指定した寄附金の個別の内容、公益社団法人等の税額控除の要件の具体的な基準、国立大学法人等の修学支援・研究支援の事業への寄附の要件と書類、寄附先が複数ある場合の選び方と計算の細目、住宅ローン控除・配当控除などほかの税額控除がある場合の25%の上限の計算、復興特別所得税、令和8年1月1日以後の公職の候補者による特定政党支部への寄附の除外、令和8年度改正による専修学校に関する指定寄附金などの範囲の見直し、事業の経費か寄附かの具体的な判断基準、法人の寄附金、相続税・贈与税、ふるさと納税以外の寄附の控除の料金の単価は扱っていません。記事中の計算例は一定の前提を置いた目安であり、実際の税額は所得や控除の内容によって変わります。具体的な判断は必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。

参考資料・出典

寄附の控除は、申告の前に両方の方法で試算しませんか

認定NPO法人等・公益社団法人等・政党等への一定の寄附は、所得控除と税額控除のどちらかを選べます。どちらが有利かは、所得と寄附の額で変わります。選んだ控除は、申告の後に更正の請求や修正申告で選び直せません。代表税理士が、寄附先ごとの控除の種類と書類を確かめ、両方の方法で税額を試算します。確定申告書の作成とe-Taxでの提出まで対応します。全国どこからでもオンラインで完結します。年内に寄附をする前か、受領証がそろった段階でご相談ください。

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小松 優馬

公認会計士・税理士/元監査法人

大手監査法人にて上場企業の監査業務に従事。税務の専門性を高めるため独立。判例ベースの適正申告・節税にこだわり、お客様の人生設計を支える税務パートナーとして活動中。YouTubeチャンネル「税理士 小松ゆうま」では税務情報を発信中(登録者7,000人超)。

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