この記事のポイント
- 年間収支報告書は、管理会社が扱ったお金の1年分の記録です
- ご自身で払った固定資産税・ローンの利息・修繕や、減価償却費は載りません
- 家賃の年は原則として、送金の日ではなく契約の支払日で決まります
- 税金の納めすぎは原則5年以内の更正の請求、不足は修正申告で直します
まず結論:年間収支報告書だけでは、申告の数字はそろいません
管理会社の年間収支報告書は、管理会社が扱ったお金の1年分の記録です。
ご自身で払った固定資産税やローンの利息、お金が動かない減価償却費は、報告書に載りません。
家賃をどの年の収入にするかは、原則として、送金の日ではなく契約の支払日で決まります。
報告書の数字に、載らない経費と年のずれを足し引きして、申告の数字にします。

報告書の対象は、管理会社を通ったお金です
不動産所得(家賃収入の所得)は、収入から必要経費を引いた額です(タックスアンサーNo.1370)。
| お金の流れ | 主なもの | 報告書 |
|---|---|---|
| 管理会社が集金・支払いをした | 家賃・共益費、管理料、管理会社が手配した修繕 | 対象 |
| ご自身で払った | 固定資産税、ローンの利息、火災保険料、ご自身で頼んだ修繕 | 対象外 |
| ご自身で受け取った | 管理会社を通さずに受け取った更新料など | 対象外 |
| お金が動かない | 建物の減価償却費 | 対象外 |
更新料や、返さないことになった敷金も収入です(No.1370)。
報告書の様式は管理会社ごとに違うので、何が載っているかは明細で確かめます。
載らない経費①:固定資産税とローンの利息は、ご自身の書類から拾います
固定資産税は、貸している土地・建物の分が必要経費です(No.1370・No.2210)。
経費にする年は、原則として、納めることが具体的に確定した年です(No.2215)。
ローンは、利息の部分が経費です。建物の火災保険料も経費になります。
根拠は、国税庁「令和7年分 収支内訳書(不動産所得用)の書き方」です。
注意
返済予定表の「返済額」をそのまま経費にすると、元本の分だけ所得が少なすぎる申告になります。元本の部分は経費になりません(同)。
利息・税金・保険料は、金融機関や市町村などの書類で1年分を確かめます。

載らない経費②:減価償却費とご自身で頼んだ修繕も入れます
建物の代金は、使える期間に分けて毎年の経費にします(No.2100)。これを減価償却といいます。
所得税の通常の減価償却費は、計上するかを選べない「強制償却」です(国税庁の質疑応答事例)。
減価償却費はお金が動かない経費なので、報告書には出てきません。
計算には、建物の取得価額と前年末の未償却残高を使います(収支内訳書の書き方)。
未償却残高は、取得価額のうち、まだ償却していない残りの額です。
ご自身で頼んだ修繕も、報告書に載りません。通常の修理の費用は、必要経費です(No.1379)。
価値を高めたり、使える期間を延ばしたりする部分は、資本的支出として減価償却します(同)。
分け方は、修繕費か資本的支出かの記事で解説しています。
ご自身で払う区分マンションの修繕積立金は、原則として修繕が終わった年の経費です。
管理規約に沿った支払いで、返還されないなど4つの要件を満たす場合は例外です。
支払期日の年の経費にできます(国税庁の質疑応答事例)。
家賃の年は原則として、送金の日ではなく契約の支払日で決まります
家賃の年は、原則として次の日で決まります(所得税基本通達36-5)。
契約や慣習などにより支払日が定められている場合は、その定められた支払日
(国税庁タックスアンサー No.1376)
支払日が決まっていれば、管理会社から送金された日は基準になりません。
送金が翌月になる場合、12月が支払日の家賃は翌年1月に届きます。
報告書が送金の日で1年分をまとめていると、この家賃は翌年の報告書に入ります。
報告書の集計の基準と、契約の支払日がそろっているかを確かめます。
家賃が毎月同じで入居者も変わらない年は、ずれても合計が同じになることがあります。
差が出るのは、入退去や家賃の改定、滞納、物件の売買があった年などです。
ポイント
敷金のうち返す部分は預り金なので、報告書の入金にあっても収入ではありません。返さないことが確定した日に、その分を収入にします(No.1376)。
補足
帳簿を継続して付け、前受け・未収の家賃を管理するなど、一定の要件を満たす場合は例外です。貸付期間に対応する家賃を、その年の収入にできます(昭和48年11月6日付の個別通達)。

報告書だけで申告すると、税金の納めすぎにも不足にもつながります
どちらの向きの誤りかで、直し方が変わります。
計算例
例:家賃月100,000円の区分マンション1室を、管理会社に任せている会社員の方
報告書の家賃1,200,000円 − 管理料66,000円 = 1,134,000円 載らない経費 固定資産税80,000円+ローンの利息150,000円+火災保険料15,000円 +修理40,000円+減価償却費300,000円 = 585,000円 正しい不動産所得 1,134,000円 − 585,000円 = 549,000円 報告書だけで申告すると 585,000円の所得の出しすぎ課税される所得金額が、税率20%の区分(330万円から694万9千円)のままとします。所得税は585,000円×20%=117,000円多くなります(No.2260)。
1年間入居し、経費は令和8年分で、修理は修繕費に当たり、管理組合への支払いは除く前提です。復興特別所得税と住民税は含めていません。
金額は一定の前提を置いた目安です。
- 載らない経費を入れ忘れた ― 税金を納めすぎます。更正の請求で直せる期間は、原則として法定申告期限から5年以内です(No.2026)。
- 送金額を収入にし、管理料も経費に入れた ― 送金額は管理料を引いた後なので、二重に引くことになります。
- 12月が支払日の家賃や、返さない敷金を入れ忘れた ― その年の所得が少なすぎる申告になります。
所得が少なすぎたときは修正申告で直し、延滞税もあわせて納めます(No.2026)。
調査の事前通知の前に自主的に修正申告すれば、過少申告加算税はかかりません(国税通則法65条6項)。
直し方は、確定申告を間違えたときの直し方の記事にまとめています。
ここまではご自身で、ここから先は個別判断です
報告書を受け取ったら、ご自身で次の4つを確かめられます。
- 報告書の期間と、送金の日・支払日のどちらで集計しているか
- 報告書の家賃が、管理料などを差し引く前の金額か
- ご自身で払った固定資産税・利息・保険料・修繕の書類がそろっているか
- 前年の申告書の控えで、建物の取得価額と未償却残高が分かるか
年明けに集める書類の一覧は、不動産所得の年末チェックの記事にまとめています。
修繕費か資本的支出か、家賃をどの年に入れるか、赤字の計算は個別判断です。

税理士に頼むと変わるのは、報告書から申告の数字への組み立てです
小松公認会計士・税理士事務所では、報告書を受け取ってから次の作業を行います。
- 年間収支報告書と賃貸借契約書を突き合わせ、家賃を支払日の年に振り分けます
- 送金額を、差し引く前の家賃と、管理料などの経費に分け直します
- 固定資産税・返済予定表・保険料・修繕の書類から、載らない経費を拾います
- 前年の控えから減価償却費を計算し、翌年に引き継ぎます
- 収支内訳書または青色申告決算書と申告書を作り、e-Taxで提出します
前年までの申告に入れ忘れがあれば、更正の請求で直す方法も検討します。全国どこからでもオンラインで完結します。
料金の目安
基本料金32,000円(税込35,200円)に、当てはまる所得・控除ごとの単価を足した額が料金です。個人の確定申告は最低料金65,000円(税別・税込71,500円)からお引き受けしています。修正申告・更正の請求も同じ料金体系です。
通常料金での計算例です。会社員の方が、家賃収入300万円までの物件を1つ持つ場合です。給与所得とその他控除セット(社会保険料など)は各6,000円です。不動産所得(家賃収入300万円まで)は35,000円です。合計は32,000円+6,000円+35,000円+6,000円=79,000円です。税込では86,900円です。消費税の申告と記帳代行はない前提で、計算例は一定の前提を置いた目安です。
家賃収入が300万円を超える方や物件が複数の方も、ご自身の料金は60秒見積りで確かめられます。
この論点で小松公認会計士・税理士事務所ができること
制度は複雑ですが、お客様がすべてを理解する必要はありません。難しいことは、専門家にお任せください。
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小松公認会計士・税理士事務所 代表
小松 優馬公認会計士・税理士
- お話を伺って、「あなたの場合はどうなるか」をはっきりお答えします
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初回相談は無料です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 管理会社の年間収支報告書の数字を、そのまま確定申告に書いてよいですか?
報告書に載るのは、管理会社が扱ったお金です。ご自身で払った固定資産税・ローンの利息・修繕や、減価償却費は載りません。家賃の年も原則として、送金の日ではなく契約の支払日で決まります(No.1376)。これらを足し引きして、申告の数字にします。
Q2. 12月分の家賃が、翌年1月に管理会社から送金されました。どちらの年の収入ですか?
原則として、賃貸借契約で決めた支払日の年の収入です(所得税基本通達36-5、No.1376)。支払日が12月なら、送金が翌年1月でも支払日の年の収入です。例外として、一定の要件を満たせば、貸付期間に応じて計上する方法もあります。
Q3. 減価償却費を入れずに申告してしまいました。直せますか?
減価償却費はお金が動かないため、報告書に載りません。所得税の通常の減価償却費は、計上するかを選べない「強制償却」です(国税庁の質疑応答事例)。入れ忘れて税金を納めすぎた場合は、更正の請求で直せます。期間は原則として法定申告期限から5年以内です(No.2026)。
Q4. 報告書では黒字でも、載らない経費を入れると赤字になることはありますか?
なる場合があります。不動産所得の赤字は、原則として給与など他の所得と差し引けます(所得税法69条1項)。ただし、土地を取得するための借入金の利子に当たる部分などは差し引けません(No.1391)。黒字のまま申告すると、税金を納めすぎることがあります。
免責事項
本記事は令和8年11月時点の法令・公表資料に基づく一般的な解説です。所得税法69条1項、国税通則法23条1項・65条6項、所得税基本通達36-5、昭和48年11月6日付の個別通達「不動産等の賃貸料にかかる不動産所得の収入金額の計上時期について」、タックスアンサーNo.1370「不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)」・No.1376「不動産所得の収入計上時期」・No.1379「修繕費とならないものの判定」・No.1391「不動産所得が赤字のときの他の所得との通算」・No.2026「確定申告を間違えたとき」・No.2100「減価償却のあらまし」・No.2210「必要経費の知識」・No.2215「固定資産税、登録免許税又は不動産取得税を支払った場合」・No.2260「所得税の税率」、国税庁の質疑応答事例「賃貸の用に供するマンションの修繕積立金の取扱い」「生計を一にする親族の有する資産に係る特別償却」、国税庁「令和7年分 収支内訳書(不動産所得用)の書き方」、弊所の料金表の内容を扱っています。サブリース(会社が一括で借り上げる形)の賃料の扱い、礼金・更新料の収入の年、敷金の返還しない部分の時期の細目、個別通達の要件の細目、固定資産税の納期ごとに経費にする方法、区分マンションの管理費、長期の損害保険料を一括で払った場合の扱い、修繕積立金の4つの要件の細目、減価償却費の計算方法と耐用年数、修繕費と資本的支出の区分の基準、土地を取得するための借入金の利子の計算と、別荘などの貸付けの赤字の扱い、過少申告加算税と延滞税の率と計算、青色申告特別控除の要件と令和9年分以後の見直し、消費税、住民税・個人事業税、令和8年分の確定申告期間の日付は扱っていません。記事中の計算例は一定の前提を置いた目安であり、実際の所得や税額は物件や契約の内容によって変わります。具体的な判断は必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。
参考資料・出典
- e-Gov法令検索「所得税法」(69条)https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033
- 国税庁 タックスアンサー No.1376「不動産所得の収入計上時期」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1376.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.1370「不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1370.htm
- 国税庁「令和7年分 収支内訳書(不動産所得用)の書き方」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2025/pdf/019.pdf
- 国税庁 タックスアンサー No.2026「確定申告を間違えたとき」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2026.htm
管理会社の報告書から、申告の数字を組み立てませんか
管理会社の年間収支報告書に載るのは、管理会社が扱ったお金です。ご自身で払った固定資産税・ローンの利息・修繕や、減価償却費は、ご自身の書類から拾って加えます。家賃の年は原則として、送金の日ではなく契約の支払日で決まります。代表税理士が、報告書と契約書の突き合わせから、申告書の作成と電子申告まで担当します。載らない経費の集計や、減価償却費の計算も行います。全国どこからでもオンラインで完結します。報告書が届いたら、前年の申告書の控えとあわせてご相談ください。
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