この記事のポイント
- 講演料・原稿料・書籍の監修料は、原則10.21%を差し引いて支払われます
- 給与1か所・2,000万円以下なら、給与以外の所得20万円以下で所得税の申告が不要な場合があります
- 申告すると、税率の区分と経費しだいで、税金が戻る場合と追加で納める場合があります
- 所得税の申告が不要でも、住民税の申告が要る場合があります
まず結論:謝礼から引かれた税金は、申告で戻る場合も、追加で納める場合もあります
講演料・原稿料・書籍の監修料は、原則として10.21%を差し引いて支払われます(No.2795)。
給与を受け取る会社員や公務員の方に向けた解説です。
給与以外の所得が20万円以下なら、所得税の申告をしなくてよい場合があります(No.1900)。
申告すると、税率の区分と経費しだいで、税金が戻ることも納めることもあります。
給与以外の所得が20万円を超えるときは、原則として確定申告が必要です。

講演料・原稿料・書籍の監修料は、支払う側が税金を差し引きます
講演料や原稿料は、原則として、支払う側が所得税を差し引いて国に納めます(所得税法204条1項1号)。
これを源泉徴収といいます。1回の支払の100万円以下の部分は、10.21%です(No.2795)。
書籍などの監修料も、原稿の報酬に含まれます(所得税基本通達204-6)。
「謝礼」「取材費」などの名目でも、報酬の性質があれば対象です(同204-2)。
ただし、給与に当たる支払は、この源泉徴収の対象から外れます(所得税法204条2項1号)。
詳しい決まりは、報酬の源泉徴収の記事にあります。
国税庁は、副業の原稿料を雑所得の例に挙げています(No.1500)。
雑所得は、ほかの所得に当たらない所得で、収入から必要経費を引いて計算します(所得税法35条)。
源泉徴収された税金や予定納税額などがある場合には、この確定申告によってその過不足を精算します。
(国税庁タックスアンサー No.2020)
引かれた税金は、申告書で計算した税額から差し引きます(所得税法120条1項4号)。
補足
令和9年1月1日以後に生ずる所得には、防衛特別所得税(所得税の1%)も加わります(No.1500)。復興特別所得税は1.1%に下がり、上乗せの合計の率は変わりません(No.2260)。
申告が要るかは、給与以外の所得が20万円を超えるかで決まります
給与を1か所から受ける会社員は、給与以外の所得が20万円を超えると、原則として申告が必要です。
その給与の全部が源泉徴収の対象である場合の基準です(No.1900)。
| 給与以外の所得の合計 | 所得税の確定申告 | あわせて確かめること |
|---|---|---|
| 20万円以下 | 原則として不要(還付を受けるための申告はできる) | 住民税の申告 |
| 20万円超 | 原則として必要 | 申告で税金が戻る人は、義務から外れる |
20万円は収入ではなく、経費を引いた後の所得で比べます(所得税法121条1項1号)。
ポイント
比べるのは謝礼だけではありません。家賃収入やほかの副業など、給与所得と退職所得以外の所得の合計です(同号)。
給与の収入が2,000万円を超える方は、この基準を使えません(同条1項)。給与2,000万円超の記事をご覧ください。
給与が2か所以上の方の基準は、副業の20万円ルールの記事で解説しています。
申告すると、税率の区分と経費しだいで、戻るか納めるかが分かれます
申告の義務がない方も、還付を受けるための申告ができます(No.2030)。
源泉徴収された税額が、年間の税額より多い場合です。
謝礼だけを見れば、謝礼の所得にかかる税金と、引かれた税金の比較で見当がつきます。
所得税の税率は、所得から控除を引いた金額に応じ、5%から45%の7段階です(No.2260)。
計算例
例:講演の謝礼100,000円(引かれた税金10,210円)、謝礼のための経費20,000円の場合
謝礼の所得 100,000円 - 20,000円 = 80,000円 税率5%の区分 80,000円 × 5.105% = 4,084円 → 6,126円が戻る 税率10%の区分 80,000円 × 10.21% = 8,168円 → 2,042円が戻る 税率20%の区分 80,000円 × 20.42% = 16,336円 → 6,126円を追加で納める率は、所得税に復興特別所得税(所得税の2.1%)を加えたものです。令和8年分で、謝礼を足しても税率の区分・ほかの所得・控除が変わらない前提です。謝礼で合計所得金額が489万円を超えると基礎控除が37万円減ります(No.1199)。端数処理と住民税は考えていません。
金額は一定の前提を置いた目安です。
税率10%の区分で経費がなければ、戻る額はほぼありません。
税率20%の区分では、経費が謝礼の半分に満たないと、追加で納める目安です。

医療費控除などで申告するときは、謝礼の所得も書きます
還付の申告でも、20万円以下の所得も書いて計算します(所得税法122条1項・120条1項)。
医療費控除やふるさと納税で申告するときも、謝礼の所得と引かれた税金を書きます。
注意
税率の区分が高い方は、謝礼の所得を加えると、医療費控除などで戻る額が減ることがあります。出す前に試算しておきます。
所得税の申告が要らない場合も、住民税は別です。
港区は、金額の多少にかかわらず住民税の申告が必要と案内しています。
住民税の申告の方法は、お住まいの市区町村の案内で確かめます。
謝礼の申告では、次の5つの誤りで税額や手続きがずれます
どれも、謝礼の記録や申告書の書き方から生じる誤りです。
- 振込額を収入にする ― 収入が少なくなり、引かれた税金の精算も漏れます。
- 引かれた税金を書かない ― 税額から差し引けず、納めすぎになります(所得税法120条1項4号)。
- 医療費控除の申告で謝礼を書かない ― 所得の書き漏れになります(所得税法122条1項)。
- 所得税が不要なので住民税の申告もしない ― 港区は、金額にかかわらず申告が必要と案内しています。
- 謝礼と無関係の支出を経費にする ― 経費は謝礼を得るための費用などです(所得税法37条1項)。
謝礼ごとに「差し引かれる前の金額」と「引かれた税金」を書き出すと、誤りに気づきやすくなります。

ここまではご自身で、ここから先は個別判断です
ご自身で進められるのは、次の4つです。
- 1月から12月の謝礼を、支払元ごとに書き出す
- 支払明細や振込額との差で、差し引かれる前の金額と引かれた税金を確かめる
- 謝礼のために自分で払った費用の領収書をそろえる
- 家賃収入やほかの副業も含めて、給与以外の所得の合計を出す
謝礼が1件で経費もない方は、ここまでで申告が要るかの見当がつくことがあります。
次の点は、事実によって判断が分かれます。
- 勤務先から受け取る謝礼が、給与に当たるか報酬に当たるか
- どの支出が、謝礼を得るために直接かかった費用に当たるか
- 医療費控除などとあわせて申告したとき、戻るか納めるか
戻るか納めるかは、謝礼以外の所得と控除まで入れて試算しないと分かりません。

税理士に頼むと変わるのは、戻るか納めるかの試算と申告書の作成です
小松公認会計士・税理士事務所では、謝礼のある会社員の方の申告で次の作業を行います。
- 支払明細と振込の記録を突き合わせた、謝礼ごとの収入と引かれた税金の確定
- 謝礼のために払った費用のうち、経費にできるものの確認
- 医療費控除やふるさと納税も入れた、戻るか納めるかの試算
- 源泉徴収票と謝礼の記録をまとめた確定申告書の作成と、e-Taxでの提出
- 住民税の申告が要るかの確認と、提出した申告書の控えのお渡し
令和8年分の還付の申告は、令和9年1月1日から5年間出せます(No.2030)。
申告が必要な方の期限は、原則として令和9年3月15日です(No.2020)。
全国どこからでも、オンラインで完結します。
料金の目安
基本料金32,000円(税込35,200円)に、当てはまる所得・控除ごとの単価を足した額が料金です。個人の確定申告は最低料金65,000円(税別・税込71,500円)からお引き受けしています。
通常料金での計算例です。単価は、給与所得とその他控除セットが各6,000円です。副業・雑所得は、売上規模300万円までなら22,000円です。合計は32,000円+6,000円×2+22,000円=66,000円(税込72,600円)です。計算例は一定の前提を置いた目安です。
60秒見積りでは「会社員・年金」と「副業・その他の所得」の両方を選びます。ご自身の料金は60秒見積りで確かめられます。
この論点で小松公認会計士・税理士事務所ができること
制度は複雑ですが、お客様がすべてを理解する必要はありません。難しいことは、専門家にお任せください。
登録者6,900人超
小松公認会計士・税理士事務所 代表
小松 優馬公認会計士・税理士
- お話を伺って、「あなたの場合はどうなるか」をはっきりお答えします
- 必要な書類のご案内から申告まで、まるごとお任せいただけます
- 料金は先にお見積り。全国どこでも、オンラインで完結できます
YouTube「税理士 小松ゆうまチャンネル」(登録者6,900人超)で、税金の話を分かりやすく解説しています。動画を見てみる
初回相談は無料です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 講演料から10.21%が引かれています。確定申告をすれば戻りますか?
謝礼の所得にかかる税金が、引かれた額より少なければ戻ります(No.2030)。ほかの所得や控除が同じ場合の目安です。令和8年分は、謝礼で合計所得金額が489万円を超えると基礎控除が37万円減ります(No.1199)。所得は謝礼から経費を引いた額で、税率は5%から45%です(No.2260)。税率の区分が高く経費が少ないと、追加で納めることがあります。
Q2. 給与のほかに原稿料が年15万円あります。確定申告は必要ですか?
原則として、所得税の申告は不要です(所得税法121条1項1号)。給与を1か所から受け、その全部が源泉徴収の対象で、給与が2,000万円以下の場合です。給与以外の所得は、家賃収入なども合計して20万円以下が条件です。住民税の申告は別に要る場合があります。
Q3. 医療費控除の申告をするとき、謝礼のことも書くのですか?
書きます。還付の申告でも、20万円以下の所得も書いて税額を計算します(所得税法122条1項)。謝礼の所得と引かれた税金を記載します。税率の区分によっては、医療費控除で戻る額が減ることがあるため、出す前に試算しておきます。
Q4. 書籍の監修料や「謝礼」という名目の支払も、税金が引かれますか?
書籍等の監修料は、原稿の報酬に含まれます(所得税基本通達204-6)。謝礼などの名目でも、報酬の性質があれば源泉徴収の対象です(同204-2)。給与に当たる支払は、報酬としての源泉徴収の対象外です(所得税法204条2項1号)。
免責事項
本記事は令和8年10月時点の法令・公表資料に基づく一般的な解説です。所得税法35条1項・2項2号・37条1項・120条1項1号・4号・121条1項1号・122条1項・204条1項1号・2項1号、所得税基本通達204-2・204-6、タックスアンサーNo.1199「基礎控除」・No.1500「雑所得」・No.1900「給与所得者で確定申告が必要な人」・No.2020「確定申告」・No.2030「還付申告」・No.2260「所得税の税率」・No.2795「原稿料や講演料等を支払ったとき」、港区の住民税の申告に関する案内、弊所の料金表の内容を扱っています。源泉徴収の対象とならない報酬と、その報酬から誤って差し引かれた税金の扱い、勤務先から受け取る謝礼が給与か報酬かの判定、事業所得と雑所得の区分、業務に係る雑所得の帳簿書類の保存と現金主義の特例、経費に当たる支出の個別の当てはめ、主催者が負担する交通費・宿泊費の扱い、請求書で消費税を区分する場合の扱い、1回100万円を超える支払の税額、懸賞や投稿の謝金、印税などの著作権の使用料、商品券など金銭以外の謝礼、支払調書、給与を2か所以上から受ける場合と給与2,000万円超の場合の詳細、同族会社の役員などが会社から賃貸料などを受け取る場合(所得税法121条1項ただし書)、確定申告をしないことを選んだ配当など20万円の合計に含めない所得、年末調整と所得控除の計算、住民税の税額・申告の手続・徴収方法、令和9年分以後の防衛特別所得税の計算の細目、公務員の兼業の許可など税以外の手続、加算税・延滞税と更正の請求は扱っていません。記事中の計算例は一定の前提を置いた目安であり、実際の税額は所得や控除の内容によって変わります。具体的な判断は必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。
参考資料・出典
- e-Gov法令検索「所得税法」(121条・122条・204条)https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033
- 国税庁 タックスアンサー No.2795「原稿料や講演料等を支払ったとき」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2795.htm
- 国税庁 所得税基本通達〔原稿等の報酬又は料金(第1号関係)〕(204-6)https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/36/02.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.1900「給与所得者で確定申告が必要な人」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1900.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.2030「還付申告」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2030.htm
講演や原稿の謝礼がある年の確定申告を、まとめて任せませんか
講演料・原稿料・書籍の監修料は、原則として10.21%が差し引かれて支払われます。給与が1か所・2,000万円以下の会社員は、所得税の申告が不要な場合があります。給与以外の所得が20万円以下の場合です。申告すると、税率の区分と経費しだいで、税金が戻る場合も追加で納める場合もあります。代表税理士が、謝礼ごとの収入と引かれた税金を確かめ、医療費控除などとあわせて試算します。確定申告書の作成とe-Taxでの提出まで担当します。全国どこからでもオンラインで完結します。支払明細がそろった段階でご相談ください。
無料相談を申し込む 副業の確定申告サポートを見る 約60秒で料金を自動見積り