この記事のポイント
- 特養は介護費・食費・居住費の自己負担額の2分の1、介護老人保健施設・介護医療院はその全額が対象です
- 訪問介護(生活援助中心型を除く)や通所介護は、原則として医療系サービスと併せて使った月だけ対象です
- 控除するのは実際に払った人です。子が払うなら、親と生計を一にしていることが条件です
- 令和8年中(12月31日まで)に払った分が令和8年分です。領収証・利用票・証明書を年内から集めます
まず結論:介護の費用は、施設とサービスの種類で対象額が変わります
親の介護の費用にも、医療費控除の対象になる部分があります。
特別養護老人ホーム(特養)は、介護費・食費・居住費の自己負担額の2分の1が対象です。
介護老人保健施設(老健)と介護医療院は、その全額が対象です。
控除するのは実際に払った人で、子が払うなら親と生計を一にしていることが条件です。
令和8年分の対象は、12月31日までの1年間に払った分です。書類は年内からそろえます。

施設の費用は、施設の種類で「全額」か「2分の1」かが分かれます
対象の範囲は、施設の種類ごとに決まっています(タックスアンサーNo.1125)。
| 施設 | 医療費控除の対象 |
|---|---|
| 特養(指定介護老人福祉施設) | 介護費・食費・居住費の自己負担額の2分の1 |
| 老健(介護老人保健施設) | 介護費・食費・居住費の自己負担額 |
| 介護医療院 | 介護費・食費・居住費の自己負担額 |
理美容代などの日常生活費と特別なサービス費用は対象外です。
高額介護サービス費の払戻しは差し引きます。
特養の施設サービス費の自己負担額だけに対する払戻しは、その2分の1を差し引きます。
計算例
例:特養の1年分を、子が払った場合
介護費・食費・居住費の自己負担額 月100,000円 × 12か月 = 1,200,000円 特養の対象額 1,200,000円 × 2分の1 = 600,000円 高額介護サービス費(施設サービス費分) 40,000円 × 2分の1 = 20,000円 医療費控除額 600,000円 - 20,000円 - 100,000円 = 480,000円 老健なら 1,200,000円 - 40,000円 - 100,000円 = 1,060,000円金額は一定の前提を置いた目安です。生計を一にし、子の総所得金額等が200万円以上で、ほかに医療費がない前提です。
10万円の基準は、医療費控除の記事で解説しています。
自宅や有料老人ホームなどのサービスは、医療系かどうかと組み合わせで決まります
訪問看護などの医療系サービスは対象です。
訪問介護(生活援助中心型を除く)などは、医療系と併せて使った月だけ対象です(No.1127)。
| 区分 | 主なサービス |
|---|---|
| 対象 | 訪問看護、訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション、短期入所療養介護 |
| 医療系と併せて使う月だけ対象 | 訪問介護(生活援助中心型を除く)、通所介護(デイサービス)、短期入所生活介護 |
| 対象外 | 生活援助中心型の訪問介護、認知症高齢者グループホーム、有料老人ホーム等の特定施設入居者生活介護 |
「併せて使う」とは、1か月単位のケアプラン(介護の計画)に医療系が入っている場合です。
判断は、居宅介護支援事業者(ケアプランを作る事業所)が交付する「サービス利用票」で行います。
同じデイサービスでも、医療系サービスがない月の分は原則として対象外です。
補足
介護福祉士等による喀痰吸引等(たんの吸引など)の対価は別扱いです。医療系と併せて使わない月や、対象外のサービスでも対象です。金額は、サービスの対価の10分の1です(No.1127の注)。

誰の申告で控除するかは、「払った人」と「生計を一」で決まります
控除するのは、医療費を払った人です。
居住者が、各年において、自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る医療費を支払つた場合
(所得税法73条1項)
「生計を一にする」は、同じ家に住んでいることに限りません(所得税基本通達2-47)。
療養などの都合で離れて暮らしていても、常に生活費や療養費を送金している場合などが当たります。
親が子の扶養親族かどうかは問われず、親の所得の額の要件もありません(質疑応答事例)。
判定は、費用の原因が生じた時か払った時の現況で行います(同通達73-1)。
注意
親が自分の年金や預金から払った分は、親の医療費控除です。源泉徴収や予定納税で納めた所得税がなければ、申告しても還付はありません(No.2030)。
親の年金の申告の要否は、年金受給者の確定申告の記事で扱っています。
誰のお金で払ったかで、控除する人が決まります。
12月31日までに払った分が令和8年分です。書類は年内から集めます
対象は、その年の1月1日から12月31日までに払った分です(No.1120)。
未払いの分は、実際に払った年の対象です(所得税基本通達73-2)。
12月分の利用料を令和9年1月に払えば、令和9年分の医療費控除の対象です。
年内に集めたい書類は次のとおりです。
- 施設や事業者の領収証(医療費控除の対象額の欄があるか)
- サービス利用票(医療系サービスの有無の確認用)
- 高額介護サービス費の払戻しの額が分かる書類
- おむつ代があれば、医師の「おむつ使用証明書」など
- 仕送りをしていれば、送金の記録
ポイント
病気やけがでおおむね6か月以上寝たきりで、医師の治療を受けている方のおむつ代は対象です。医師の「おむつ使用証明書」が要ります(質疑応答事例)。令和7年1月1日以後に出す令和6年分以後の申告では、主治医意見書の写しなども代わりに使えます。主治医意見書で代える条件は、おむつ代の控除が1年目か2年目以降かで違います。
令和8年分の還付申告(税金を取り戻す申告)は、令和9年1月1日から5年間出せます(No.2030)。

対象外の費用や払った人を取り違えると、申告を直すことになります
領収証の合計をそのまま入れると、次の誤りが生じます。
- 特養の費用を全額入れた ― 対象は2分の1なので、対象額が2倍になります。
- 医療系がない月のデイサービスを入れた ― その月の分は、原則として対象外です。
- 12月分を翌年1月に払ったのに入れた ― 払った年の控除です。
- 親のお金で払った分を子の申告に入れた ― 控除は払った人が受けます。
- 高額介護サービス費を差し引かなかった ― 払戻しの額を差し引きます。
控除が多すぎたら修正申告(申告のやり直し)をし、不足の税金と延滞税を納めます(No.2026)。
税務署の調査の事前通知の後に直すと、過少申告加算税もかかります。
入れ忘れは、更正の請求(税金の払いすぎを直す手続き)で直せます。期間は原則として5年以内です(No.2026・No.2030)。
ここまではご自身で、ここから先は個別判断です
年内にご自身でできるのは、次の5つです。
- 1年分の領収証を月ごとにまとめ、対象額の欄を確かめる
- 契約書で、施設の種類を確かめる
- サービス利用票を月ごとに保管する
- 誰のお金で払ったかを、通帳や振込の記録で確かめる
- おむつ代があれば、早めに医師へ証明書を頼む
次の点は、事実に応じて判断が分かれます。
- 施設に入っている親と、生計を一にしているといえるか
- 領収証に対象額が書かれていない費用の扱い
- 有料老人ホームなどに住む親が受ける医療や看護の費用
障害者控除との関係は、障害者控除などの記事で扱っています。
生計を一にするかは、送金や費用の負担の実態を並べて決める個別判断です。

税理士に頼むと変わるのは、対象額の集計と控除する人の整理です
小松公認会計士・税理士事務所では、次の作業を行います。
- 領収証から対象額を拾い、日常生活費の除外や2分の1を反映した集計
- サービス利用票による、医療系サービスがある月の確認
- 誰が払ったかと、生計を一にする関係の整理
- 医療費控除の明細書と申告書の作成、e-Taxでの提出
- 親御さんの年金の申告の要否の確認
全国どこからでも、オンラインで完結します。
料金の目安
基本料金32,000円(税込35,200円)に、当てはまる所得・控除ごとの単価を足した額が料金です。個人の確定申告は、最低料金65,000円(税別・税込71,500円)からお引き受けしています。
例:給与所得の方が、医療費控除とその他控除セットを使う場合です。単価は各6,000円(税込6,600円)です。合計は32,000円+6,000円×3=50,000円(税込55,000円)です。65,000円に満たないため、最低料金の65,000円(税込71,500円)になります。公的年金の親御さんの申告でも、同じ計算です。
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この論点で小松公認会計士・税理士事務所ができること
制度は複雑ですが、お客様がすべてを理解する必要はありません。難しいことは、専門家にお任せください。
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よくある質問(FAQ)
Q1. 特別養護老人ホームの費用は、全額が医療費控除の対象ですか?
対象は、介護費・食費・居住費の自己負担額の2分の1です(タックスアンサーNo.1125)。理美容代などの日常生活費と特別なサービス費用は対象外です。施設の領収証には、基本的に対象額が書かれます。介護老人保健施設と介護医療院は、その自己負担額の全額が対象です。
Q2. 離れて暮らす親の施設の費用を子が払うと、子の医療費控除になりますか?
親と生計を一にしていれば、施設の費用のうち対象額を、払った子が控除できます(国税庁の質疑応答事例)。同居でなくても、常に生活費や療養費を送金している場合などは当たります(所得税基本通達2-47)。親が子の扶養親族かどうかは問いません。
Q3. デイサービスやホームヘルパーの費用も対象になりますか?
通所介護(デイサービス)や訪問介護(生活援助中心型を除く)は、医療系と併せて使った月だけ対象です。その月のケアプランに医療系があるかは、サービス利用票で確かめます(No.1127)。医療系がない月でも、介護福祉士等による喀痰吸引等の対価(対価の10分の1)は対象です。
Q4. 寝たきりの親のおむつ代は、医療費控除の対象になりますか?
病気やけがでおおむね6か月以上寝たきりで、医師の治療を受けている方のおむつ代が対象です。医師の「おむつ使用証明書」が要ります(国税庁の質疑応答事例)。令和7年1月1日以後に出す令和6年分以後の申告では、条件を満たす主治医意見書の写しなども使えます。
免責事項
本記事は令和8年10月時点の法令・公表資料に基づく一般的な解説です。所得税法73条1項、所得税基本通達2-47・73-1・73-2、タックスアンサーNo.1120「医療費を支払ったとき(医療費控除)」・No.1125「医療費控除の対象となる介護保険制度下での施設サービスの対価」・No.1127「医療費控除の対象となる介護保険制度下での居宅サービス等の対価」・No.2026「確定申告を間違えたとき」・No.2030「還付申告」、国税庁の質疑応答事例「同居していない母親の医療費を子供が負担した場合」・「父親の控除対象配偶者である母親の医療費を子供が負担した場合」・「共働き夫婦の夫が妻の医療費を負担した場合」・「寝たきりの者のおむつ代」の内容を扱っています。医療費控除の10万円・5%の基準の詳しい計算とセルフメディケーション税制、地域密着型の介護老人福祉施設や小規模多機能型居宅介護・定期巡回・随時対応型訪問介護看護・地域支援事業などの個別のサービスの扱い、老健・介護医療院の個室等の特別室の使用料の扱い、有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅の家賃や入居金の扱い、通所の交通費、喀痰吸引等の対価の計算の細目、主治医意見書でおむつ使用証明書に代える場合の要件の細目、医療費控除の明細書の書き方と領収証の保存、修正申告・更正の請求の期間の起算日の細目、高額介護サービス費が申告までに確定しない場合の扱い、障害者控除・扶養控除の要件、亡くなった後に払った医療費の扱い、医療費控除による所得税の減少額、住民税・介護保険料・国民健康保険料への影響は扱っていません。記事中の計算例は一定の前提を置いた目安であり、実際の対象額は領収証の記載と契約の内容によって変わります。具体的な判断は必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。
参考資料・出典
- 国税庁 タックスアンサー No.1125「医療費控除の対象となる介護保険制度下での施設サービスの対価」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1125.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.1127「医療費控除の対象となる介護保険制度下での居宅サービス等の対価」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1127.htm
- 国税庁 質疑応答事例「同居していない母親の医療費を子供が負担した場合」https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/05/58.htm
- 国税庁 質疑応答事例「寝たきりの者のおむつ代」https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/05/54.htm
- e-Gov法令検索「所得税法」(73条)https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033
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特別養護老人ホームの費用は、介護費・食費・居住費の自己負担額の2分の1が対象です。介護老人保健施設と介護医療院は、その全額が対象です。理美容代などの日常生活費は対象外です。訪問介護(生活援助中心型を除く)や通所介護は、原則として医療系と併せて使った月だけが対象です。控除するのは実際に払った人で、子が払うなら親と生計を一にしていることが条件です。代表税理士が、領収証とサービス利用票から対象額を集計し、控除する人を整理します。医療費控除の明細書と確定申告書の作成、提出まで対応します。全国どこからでもオンラインで完結します。12月31日を迎える前にご相談ください。
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