不動産譲渡所得

家具・家電付きで家を売るときの税金
家具の代金の扱いと契約書の内訳

小松優馬

小松 優馬

公認会計士(登録番号43196)・税理士(登録番号151214)

監査法人での上場企業監査・上場準備CFO経験を経て独立。港区浜松町で個人・法人の税務をサポート。YouTubeチャンネル「公認会計士・税理士 小松ゆうま」運営。

YouTubeチャンネルを見る →

この記事のポイント

  • 自宅の家具・家電の売却は原則非課税。1個または1組30万円超の貴金属・書画等は除きます
  • 賃貸・民泊用の家具は非課税の対象外で、原則、総合課税の譲渡所得です
  • 3,000万円控除(要件あり)の対象は家屋と敷地で、家具の代金は対象外です
  • 契約書で土地・建物・家具等の代金を分け、金額の根拠を残しておきます

まず結論:家具の代金は、土地建物の代金と分けて考えます

家具や家電を付けたまま家を売ると、売買代金に家具の分が含まれます。

税金は、土地建物の部分と家具の部分で別々に決まります。

土地建物の部分は、ほかの所得と分けて計算する分離課税の譲渡所得です。

自宅で使っていた家具・家電は、売っても原則として所得税がかかりません。

ただし、1個または1組30万円を超える美術品などや、賃貸・民泊用の家具は扱いが変わります。

家具・家電を付けて家を売るときは、代金を土地建物の分と家具の分に分けて考えます
家具・家電を付けて家を売るときは、代金を土地建物の分と家具の分に分けて考えます

自宅の家具・家電は「生活用動産」として非課税です

自宅の家具・家電を売って得た所得には、原則として所得税がかかりません。

自己又はその配偶者その他の親族が生活の用に供する家具、じゆう器、衣服その他の資産で政令で定めるものの譲渡による所得

(所得税法9条1項9号)

じゅう器は、日常に使う道具類のことです。

家具・じゅう器・衣服などを、国税庁は生活用動産と呼んでいます(タックスアンサー No.3105)。

政令は、非課税の範囲を次のように絞っています。

法第九条第一項第九号(非課税所得)に規定する政令で定める資産は、生活に通常必要な動産のうち、次に掲げるもの(一個又は一組の価額が三十万円を超えるものに限る。)以外のものとする。

(所得税法施行令25条)

「次に掲げるもの」は、貴石・貴金属・真珠などとその製品や、書画・骨とう・美術工芸品です。

これらで1個または1組の価額が30万円を超えるものは、非課税から外れます。

なお、非課税となる家具を売って損が出ても、その損はないものとみなされます(所得税法9条2項1号)。

美術品、賃貸・民泊用の家具、別荘は扱いが変わります

業務で使っていた家具は、原則として総合課税の譲渡所得になります。

賃貸の部屋や民泊の客室の家具は、原則として、自分や親族が生活に使う家具に当たりません。

総合課税とは、給与などほかの所得と合計して税額を計算する方法です。

売るもの扱い根拠
自宅で使っていた家具・家電非課税所得税法9条1項9号
1個または1組30万円超の貴金属・書画・骨とう等総合課税の譲渡所得所得税法施行令25条・No.3105
賃貸・民泊用の家具原則、総合課税の譲渡所得No.3105
うち取得価額10万円未満の減価償却資産など事業所得または雑所得所得税法施行令81条・No.3105

10万円未満のものや一括償却資産でも、業務の性質上基本的に重要なものは別です。

これらは原則として譲渡所得になります(所得税法施行令81条)。

総合課税の譲渡所得には、年50万円の特別控除があります。

所有期間が5年を超えるものは、その2分の1が総合課税の対象です(No.3152)。

補足

家具などの長期・短期は、取得から売却までの所有期間で分けます(No.3152)。土地建物の「売った年の1月1日で5年超」とは数え方が違います(租税特別措置法31条1項)。

別荘は、マイホームの3,000万円控除の対象外です(No.3302)。

別荘に置いていた家具は、使い方によっては非課税になりません。

別荘の売却全体は別荘・セカンドハウスを売ったときの税金の記事で扱っています。

別荘や民泊に使っていた家は、家具の扱いや使える特例が自宅と異なることがあります
別荘や民泊に使っていた家は、家具の扱いや使える特例が自宅と異なることがあります

建物の設備は土地建物の側、置き家具は家具の側です

建物に附属する設備は、家具ではなく土地建物の側で扱います。

分離課税の対象は、土地等と「建物及びその附属設備若しくは構築物」です(租税特別措置法31条1項)。

所得税法施行令は、建物の附属設備を次のように例示しています。

建物及びその附属設備(暖冷房設備、照明設備、通風設備、昇降機その他建物に附属する設備をいう。)

(所得税法施行令6条1号)

一方、土地とその定着物は不動産、それ以外の物は動産です(民法86条)。

置き家具や、据え付けていない家電は家具の側です。エアコンのように迷う設備は、個別に確かめます。

契約書には、代金の内訳と家具等の一覧を書いておきます

売買契約書で土地・建物・家具等の代金を分けておくと、申告の根拠になります。

内訳がないと、代金を分ける根拠を後から用意することになります。

契約書に書くこと書き方の例
代金の内訳土地○円・建物○円・家具等○円(合計○円)
家具等の一覧品名と数量を別紙にまとめ、契約書と一体にする
設備の扱い建物と一緒に引き渡す設備を書き出す

ポイント

家具等の金額は、中古の買取見積りなど、売る時点の価値を示す根拠をもとに決めます。

土地と建物の分け方は土地と建物の按分の記事で扱っています。

建物に附属する設備と置き家具・家電を分け、契約書の代金の内訳に反映します
建物に附属する設備と置き家具・家電を分け、契約書の代金の内訳に反映します

3,000万円の特別控除は、家屋と敷地の分にだけ使えます

マイホームの3,000万円控除は、家具の代金には使えません。

対象は、住んでいる家屋や、その家屋とともに売った敷地などです(No.3302)。

特例は、土地建物の譲渡所得から最高3,000万円を差し引く仕組みです(租税特別措置法35条1項)。

家具の所得は、この計算の外にあります。

以前住んでいた家を、後に賃貸や民泊に使った場合も対象になり得ます。

住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることが要件の一つです。

計算例

例:家具・家電付きの自宅を5,200万円で売却(うち家具・家電200万円)

前提 令和8年中に売却・所有期間5年超10年以下・3,000万円控除の要件を満たす 土地建物の取得費1,600万円(建物は償却費相当額を差し引いた後)・譲渡費用200万円 A 総額を土地建物の代金にした場合 5,200万円-1,800万円-3,000万円=400万円 B 家具・家電200万円(非課税)を分けた場合 5,000万円-1,800万円-3,000万円=200万円 税額(所得税15%、復興特別所得税は所得税の2.1%、住民税5%) A 812,600円/B 406,300円

差は406,300円です。数値は一定の前提を置いた目安で、実際の額は条件で変わります。

家と一緒に売った1個または1組30万円超の絵画などにも、3,000万円控除は使えません。

特例の要件はマイホーム売却の3,000万円特別控除の記事で確かめてください。

内訳と区分を誤ると、税額がずれます(5つの例)

内訳と区分の誤りは、そのまま税額の誤りになります。

  • 総額をそのまま土地建物の譲渡価額に書いた ― 家具の分まで分離課税の計算に入ります
  • 家具の金額を実際の価値より多く書いた ― 土地建物の譲渡所得が少なく計算されます
  • 賃貸・民泊用の家具を非課税と考えた ― 総合課税の譲渡所得などの申告が漏れます
  • 1個または1組30万円超の美術品を家具と同じに扱った ― 課税される部分が漏れます
  • 自宅の家具の売却損を、ほかの所得から差し引いた ― その損はないものとみなされます

注意

家具の金額を実際の価値より多くすると、本来より少ない申告になります。税務署の調査したところと異なれば、更正(税務署が税額を正すこと)の対象です。過少申告加算税がかかることもあります(国税通則法24条・65条)。

ここまではご自身で、ここから先は個別判断です

一覧づくりと資料集めはご自身でできますが、区分と金額の判断は個別です。

  1. 一緒に引き渡す家具・家電・設備の一覧を作る
  2. それぞれ自宅用か、賃貸・民泊用かを書き分ける
  3. 1個または1組30万円を超える美術品や貴金属がないか確かめる
  4. 購入時の領収書や保証書など、金額の手がかりを集める

ここから先は、物件と資料で結論が変わります。

設備が建物の附属設備に当たるか、家具等の金額をどう決めるかは個別判断です。

業務用の家具の取得費や所得区分、別荘の家具の扱いも同じです。

どこまでが建物でどこからが家具か、物件ごとに確かめてから内訳を決めます
どこまでが建物でどこからが家具か、物件ごとに確かめてから内訳を決めます

税理士が入ると変わるのは、内訳の根拠と申告の区分です

ひとつめは、契約前に代金の内訳案と根拠資料を確かめることです。

ふたつめは、設備が建物の附属設備に当たるかの確認です。

みっつめは、賃貸・民泊で使った家具の取得費と所得区分の計算です。

よっつめは、特例の要件の確認と、譲渡所得の内訳書への反映です。

小松公認会計士・税理士事務所では、契約書の内訳の確認から適正申告までを担当します。

この論点で小松公認会計士・税理士事務所ができること

制度は複雑ですが、お客様がすべてを理解する必要はありません。難しいことは、専門家にお任せください。

小松公認会計士・税理士事務所 代表 小松優馬 登録者6,900人超

小松公認会計士・税理士事務所 代表

小松 優馬公認会計士・税理士

  • お話を伺って、「あなたの場合はどうなるか」をはっきりお答えします
  • 必要な書類のご案内から申告まで、まるごとお任せいただけます
  • 料金は先にお見積り。全国どこでも、オンラインで完結できます

YouTube「税理士 小松ゆうまチャンネル」(登録者6,900人超)で、税金の話を分かりやすく解説しています。動画を見てみる

初回相談は無料です。

あわせて読みたい

よくある質問(FAQ)

Q1. 家具付きで家を売ったとき、家具の代金にも税金がかかりますか?

自宅で使っていた家具・家電の売却による所得は非課税です(所得税法9条1項9号)。ただし、1個または1組30万円超の貴金属・書画・骨とうなどは除きます(所得税法施行令25条)。

Q2. 民泊や賃貸で使っていた家具を一緒に売ったら、どうなりますか?

自分や親族が生活に使う家具ではないため、非課税の対象外です。原則として総合課税の譲渡所得になり、年50万円の特別控除があります。取得価額10万円未満のものなどは、事業所得または雑所得となることがあります(No.3105)。

Q3. 3,000万円の特別控除は、家具の代金にも使えますか?

使えません。対象は、住んでいる家屋や、その家屋とともに売った敷地などです(No.3302)。家具の所得は土地建物の譲渡所得ではありません。家屋と敷地の分に使う場合も、特例の要件をすべて満たす必要があります。

Q4. 契約書に家具の内訳がないときは、どうすればよいですか?

総額を土地建物の譲渡価額にすると、家具の分まで分離課税の計算に入ります。中古の買取見積りなどで、売る時点の家具の価値の根拠をそろえます。分け方は、税理士と確かめることをおすすめします。

免責事項

本記事は令和8年10月時点の法令・公表資料に基づく一般的な解説です。所得税法9条1項9号・2項1号、所得税法施行令6条1号・25条・81条、租税特別措置法31条1項・35条1項、民法86条、国税通則法24条・65条、国税庁タックスアンサー No.3105・No.3152・No.3208・No.3302の内容を扱っています。別荘に置いていた家具が非課税の生活用動産に当たるかの判断、エアコンなど個々の設備が建物の附属設備に当たるかの判定、家具等の金額の算定方法、賃貸・民泊で使った家具の取得費(未償却残高)の計算、所得税基本通達33-1の2・33-1の3の細目、自宅の一部を賃貸・民泊に使っていた場合の居住用部分の判定、3,000万円特別控除と軽減税率の特例の各要件、消費税(課税事業者が事業用の建物や家具を売る場合)、令和9年分以後の復興特別所得税・防衛特別所得税の扱い、住民税の申告と納付の手続は扱っていません。記事中の計算例は令和8年中の売却などの一定の前提を置いた目安であり、実際の金額は取得費・譲渡費用・所有期間・特例の適否によって変わります。具体的な判断は必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。

参考資料・出典

家具付きで家を売る前に、代金の内訳と申告の区分を確かめませんか

家具・家電付きの売却では、家具の代金の扱いや設備の区分で税額が変わります。3,000万円控除の対象も、家屋と敷地の分です。代表税理士が、契約書の内訳案と根拠資料を確認し、譲渡所得の内訳書と確定申告書まで一貫して作成します。契約の前や申告期限の前に、資料がそろった段階でご相談ください。

無料相談を申し込む 不動産売却の確定申告サポートを見る 約60秒で料金を自動見積り

小松 優馬

公認会計士・税理士/元監査法人

大手監査法人にて上場企業の監査業務に従事。税務の専門性を高めるため独立。判例ベースの適正申告・節税にこだわり、お客様の人生設計を支える税務パートナーとして活動中。YouTubeチャンネル「税理士 小松ゆうま」では税務情報を発信中(登録者7,000人超)。

関連記事

不動産譲渡所得の料金
令和8年分 確定申告 お引き受け開始中

不動産売却の料金を約60秒で確認

譲渡対価規模・特例適用を選ぶだけ。令和8年12月31日までのお申込みで10%OFF。割引後の料金がその場で分かります

個人 60秒見積り

家具・家電付きの不動産売却と譲渡所得の申告のご相談

初回相談は無料です。代表が直接ご対応します。

不動産売却の確定申告サポートを見る
法人60秒見積り 個人60秒見積り または自動見積りをせずに無料相談を申し込む