この記事のポイント
- 自宅の家具・家電の売却は原則非課税。1個または1組30万円超の貴金属・書画等は除きます
- 賃貸・民泊用の家具は非課税の対象外で、原則、総合課税の譲渡所得です
- 3,000万円控除(要件あり)の対象は家屋と敷地で、家具の代金は対象外です
- 契約書で土地・建物・家具等の代金を分け、金額の根拠を残しておきます
まず結論:家具の代金は、土地建物の代金と分けて考えます
家具や家電を付けたまま家を売ると、売買代金に家具の分が含まれます。
税金は、土地建物の部分と家具の部分で別々に決まります。
土地建物の部分は、ほかの所得と分けて計算する分離課税の譲渡所得です。
自宅で使っていた家具・家電は、売っても原則として所得税がかかりません。
ただし、1個または1組30万円を超える美術品などや、賃貸・民泊用の家具は扱いが変わります。

自宅の家具・家電は「生活用動産」として非課税です
自宅の家具・家電を売って得た所得には、原則として所得税がかかりません。
自己又はその配偶者その他の親族が生活の用に供する家具、じゆう器、衣服その他の資産で政令で定めるものの譲渡による所得
(所得税法9条1項9号)
じゅう器は、日常に使う道具類のことです。
家具・じゅう器・衣服などを、国税庁は生活用動産と呼んでいます(タックスアンサー No.3105)。
政令は、非課税の範囲を次のように絞っています。
法第九条第一項第九号(非課税所得)に規定する政令で定める資産は、生活に通常必要な動産のうち、次に掲げるもの(一個又は一組の価額が三十万円を超えるものに限る。)以外のものとする。
(所得税法施行令25条)
「次に掲げるもの」は、貴石・貴金属・真珠などとその製品や、書画・骨とう・美術工芸品です。
これらで1個または1組の価額が30万円を超えるものは、非課税から外れます。
なお、非課税となる家具を売って損が出ても、その損はないものとみなされます(所得税法9条2項1号)。
美術品、賃貸・民泊用の家具、別荘は扱いが変わります
業務で使っていた家具は、原則として総合課税の譲渡所得になります。
賃貸の部屋や民泊の客室の家具は、原則として、自分や親族が生活に使う家具に当たりません。
総合課税とは、給与などほかの所得と合計して税額を計算する方法です。
| 売るもの | 扱い | 根拠 |
|---|---|---|
| 自宅で使っていた家具・家電 | 非課税 | 所得税法9条1項9号 |
| 1個または1組30万円超の貴金属・書画・骨とう等 | 総合課税の譲渡所得 | 所得税法施行令25条・No.3105 |
| 賃貸・民泊用の家具 | 原則、総合課税の譲渡所得 | No.3105 |
| うち取得価額10万円未満の減価償却資産など | 事業所得または雑所得 | 所得税法施行令81条・No.3105 |
10万円未満のものや一括償却資産でも、業務の性質上基本的に重要なものは別です。
これらは原則として譲渡所得になります(所得税法施行令81条)。
総合課税の譲渡所得には、年50万円の特別控除があります。
所有期間が5年を超えるものは、その2分の1が総合課税の対象です(No.3152)。
補足
家具などの長期・短期は、取得から売却までの所有期間で分けます(No.3152)。土地建物の「売った年の1月1日で5年超」とは数え方が違います(租税特別措置法31条1項)。
別荘は、マイホームの3,000万円控除の対象外です(No.3302)。
別荘に置いていた家具は、使い方によっては非課税になりません。
別荘の売却全体は別荘・セカンドハウスを売ったときの税金の記事で扱っています。

建物の設備は土地建物の側、置き家具は家具の側です
建物に附属する設備は、家具ではなく土地建物の側で扱います。
分離課税の対象は、土地等と「建物及びその附属設備若しくは構築物」です(租税特別措置法31条1項)。
所得税法施行令は、建物の附属設備を次のように例示しています。
建物及びその附属設備(暖冷房設備、照明設備、通風設備、昇降機その他建物に附属する設備をいう。)
(所得税法施行令6条1号)
一方、土地とその定着物は不動産、それ以外の物は動産です(民法86条)。
置き家具や、据え付けていない家電は家具の側です。エアコンのように迷う設備は、個別に確かめます。
契約書には、代金の内訳と家具等の一覧を書いておきます
売買契約書で土地・建物・家具等の代金を分けておくと、申告の根拠になります。
内訳がないと、代金を分ける根拠を後から用意することになります。
| 契約書に書くこと | 書き方の例 |
|---|---|
| 代金の内訳 | 土地○円・建物○円・家具等○円(合計○円) |
| 家具等の一覧 | 品名と数量を別紙にまとめ、契約書と一体にする |
| 設備の扱い | 建物と一緒に引き渡す設備を書き出す |
ポイント
家具等の金額は、中古の買取見積りなど、売る時点の価値を示す根拠をもとに決めます。
土地と建物の分け方は土地と建物の按分の記事で扱っています。

3,000万円の特別控除は、家屋と敷地の分にだけ使えます
マイホームの3,000万円控除は、家具の代金には使えません。
対象は、住んでいる家屋や、その家屋とともに売った敷地などです(No.3302)。
特例は、土地建物の譲渡所得から最高3,000万円を差し引く仕組みです(租税特別措置法35条1項)。
家具の所得は、この計算の外にあります。
以前住んでいた家を、後に賃貸や民泊に使った場合も対象になり得ます。
住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることが要件の一つです。
計算例
例:家具・家電付きの自宅を5,200万円で売却(うち家具・家電200万円)
前提 令和8年中に売却・所有期間5年超10年以下・3,000万円控除の要件を満たす 土地建物の取得費1,600万円(建物は償却費相当額を差し引いた後)・譲渡費用200万円 A 総額を土地建物の代金にした場合 5,200万円-1,800万円-3,000万円=400万円 B 家具・家電200万円(非課税)を分けた場合 5,000万円-1,800万円-3,000万円=200万円 税額(所得税15%、復興特別所得税は所得税の2.1%、住民税5%) A 812,600円/B 406,300円差は406,300円です。数値は一定の前提を置いた目安で、実際の額は条件で変わります。
家と一緒に売った1個または1組30万円超の絵画などにも、3,000万円控除は使えません。
特例の要件はマイホーム売却の3,000万円特別控除の記事で確かめてください。
内訳と区分を誤ると、税額がずれます(5つの例)
内訳と区分の誤りは、そのまま税額の誤りになります。
- 総額をそのまま土地建物の譲渡価額に書いた ― 家具の分まで分離課税の計算に入ります
- 家具の金額を実際の価値より多く書いた ― 土地建物の譲渡所得が少なく計算されます
- 賃貸・民泊用の家具を非課税と考えた ― 総合課税の譲渡所得などの申告が漏れます
- 1個または1組30万円超の美術品を家具と同じに扱った ― 課税される部分が漏れます
- 自宅の家具の売却損を、ほかの所得から差し引いた ― その損はないものとみなされます
注意
家具の金額を実際の価値より多くすると、本来より少ない申告になります。税務署の調査したところと異なれば、更正(税務署が税額を正すこと)の対象です。過少申告加算税がかかることもあります(国税通則法24条・65条)。
ここまではご自身で、ここから先は個別判断です
一覧づくりと資料集めはご自身でできますが、区分と金額の判断は個別です。
- 一緒に引き渡す家具・家電・設備の一覧を作る
- それぞれ自宅用か、賃貸・民泊用かを書き分ける
- 1個または1組30万円を超える美術品や貴金属がないか確かめる
- 購入時の領収書や保証書など、金額の手がかりを集める
ここから先は、物件と資料で結論が変わります。
設備が建物の附属設備に当たるか、家具等の金額をどう決めるかは個別判断です。
業務用の家具の取得費や所得区分、別荘の家具の扱いも同じです。

税理士が入ると変わるのは、内訳の根拠と申告の区分です
ひとつめは、契約前に代金の内訳案と根拠資料を確かめることです。
ふたつめは、設備が建物の附属設備に当たるかの確認です。
みっつめは、賃貸・民泊で使った家具の取得費と所得区分の計算です。
よっつめは、特例の要件の確認と、譲渡所得の内訳書への反映です。
小松公認会計士・税理士事務所では、契約書の内訳の確認から適正申告までを担当します。
この論点で小松公認会計士・税理士事務所ができること
制度は複雑ですが、お客様がすべてを理解する必要はありません。難しいことは、専門家にお任せください。
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小松公認会計士・税理士事務所 代表
小松 優馬公認会計士・税理士
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よくある質問(FAQ)
Q1. 家具付きで家を売ったとき、家具の代金にも税金がかかりますか?
自宅で使っていた家具・家電の売却による所得は非課税です(所得税法9条1項9号)。ただし、1個または1組30万円超の貴金属・書画・骨とうなどは除きます(所得税法施行令25条)。
Q2. 民泊や賃貸で使っていた家具を一緒に売ったら、どうなりますか?
自分や親族が生活に使う家具ではないため、非課税の対象外です。原則として総合課税の譲渡所得になり、年50万円の特別控除があります。取得価額10万円未満のものなどは、事業所得または雑所得となることがあります(No.3105)。
Q3. 3,000万円の特別控除は、家具の代金にも使えますか?
使えません。対象は、住んでいる家屋や、その家屋とともに売った敷地などです(No.3302)。家具の所得は土地建物の譲渡所得ではありません。家屋と敷地の分に使う場合も、特例の要件をすべて満たす必要があります。
Q4. 契約書に家具の内訳がないときは、どうすればよいですか?
総額を土地建物の譲渡価額にすると、家具の分まで分離課税の計算に入ります。中古の買取見積りなどで、売る時点の家具の価値の根拠をそろえます。分け方は、税理士と確かめることをおすすめします。
免責事項
本記事は令和8年10月時点の法令・公表資料に基づく一般的な解説です。所得税法9条1項9号・2項1号、所得税法施行令6条1号・25条・81条、租税特別措置法31条1項・35条1項、民法86条、国税通則法24条・65条、国税庁タックスアンサー No.3105・No.3152・No.3208・No.3302の内容を扱っています。別荘に置いていた家具が非課税の生活用動産に当たるかの判断、エアコンなど個々の設備が建物の附属設備に当たるかの判定、家具等の金額の算定方法、賃貸・民泊で使った家具の取得費(未償却残高)の計算、所得税基本通達33-1の2・33-1の3の細目、自宅の一部を賃貸・民泊に使っていた場合の居住用部分の判定、3,000万円特別控除と軽減税率の特例の各要件、消費税(課税事業者が事業用の建物や家具を売る場合)、令和9年分以後の復興特別所得税・防衛特別所得税の扱い、住民税の申告と納付の手続は扱っていません。記事中の計算例は令和8年中の売却などの一定の前提を置いた目安であり、実際の金額は取得費・譲渡費用・所有期間・特例の適否によって変わります。具体的な判断は必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。
参考資料・出典
- 国税庁 タックスアンサー No.3105 譲渡所得の対象となる資産と課税方法https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3105.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.3302 マイホームを売ったときの特例https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.3208 長期譲渡所得の税額の計算https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3208.htm
- e-Gov法令検索 所得税法(第9条 非課税所得)https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033
- e-Gov法令検索 所得税法施行令(第6条・第25条・第81条)https://laws.e-gov.go.jp/law/340CO0000000096
家具付きで家を売る前に、代金の内訳と申告の区分を確かめませんか
家具・家電付きの売却では、家具の代金の扱いや設備の区分で税額が変わります。3,000万円控除の対象も、家屋と敷地の分です。代表税理士が、契約書の内訳案と根拠資料を確認し、譲渡所得の内訳書と確定申告書まで一貫して作成します。契約の前や申告期限の前に、資料がそろった段階でご相談ください。
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