不動産譲渡所得

不動産を売った翌年に来る住民税
納付は6月から、長期なら5パーセントです

小松優馬

小松 優馬

公認会計士(登録番号43196)・税理士(登録番号151214)

監査法人での上場企業監査・上場準備CFO経験を経て独立。港区浜松町で個人・法人の税務をサポート。YouTubeチャンネル「公認会計士・税理士 小松ゆうま」運営。

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この記事のポイント

  • 譲渡所得の住民税は長期5パーセント・短期9パーセントです
  • 所得税を納めた後、翌年度に別途課税されます
  • 納期は6月・8月・10月・1月中で、日は市町村の条例によります
  • 給与天引きか自分で納付かは確定申告書で選べます

まず結論:所得税を払い終えた後、もう一度来ます

3月に所得税を納めて、終わったと思う方が多くいます。

ところが6月に、住民税の通知が届きます。

大阪市は、このずれを次のように説明しています。

市民税・府民税・森林環境税は、所得税の源泉徴収制度と異なり、所得のあった翌年度に、前年中の所得等に基づき税額を決定する制度となっており、納付時期の所得状況などにかかわらず納めていただくこととなります。

売った年ではなく、その翌年度に来ます。

売却代金を使ってしまった後に届くのが、いちばん困る形です。

不動産を売った年の住民税は翌年度に課税され6月から納付が始まります
所得税を納めた後、6月に住民税の通知が届きます

税率は、長期5パーセント・短期9パーセントです

住民税も、他の所得と分けて計算します。

地方税法附則34条は、長期譲渡所得について道府県民税を「百分の二」、市町村民税を「百分の三」と定めています。

附則35条は、短期譲渡所得について「百分の三・六」と「百分の五・四」と定めています。

区分住民税所得税・復興特別所得税
長期譲渡所得(売却した年の1月1日で所有5年超)5%15.315%
短期譲渡所得(同5年以下)9%30.63%
居住用財産の軽減税率(6,000万円以下の部分)4%10.21%

住民税の内訳は自治体の区分によって変わりますが、合計は5パーセント・9パーセントで同じです。

所有期間の判定は、売った日ではなく売った年の1月1日です。

軽減税率の要件は10年超住んだマイホームを売るなら軽減税率の特例をご覧ください。

数字で見る:課税長期譲渡所得2,000万円のとき

金額に直すと、規模が見えます。

計算例

課税長期譲渡所得金額が2,000万円の場合の住民税

20,000,000円 × 5% = 1,000,000円 (道府県民税 2% = 400,000円/市町村民税 3% = 600,000円) 4回に分けて納めると、1回あたり 約250,000円

同じ金額が短期譲渡所得だった場合

20,000,000円 × 9% = 1,800,000円(長期との差 800,000円)

当事務所が税率を当てはめて計算したものです。実際の税額には給与など他の所得に対する住民税や均等割が加わり、100円未満の端数調整もあります。

所得税とは別に、これだけの額が翌年度に来ます。

いつ払うのか ― 納期は6月・8月・10月・1月中

納め方は2つあります。

地方税法320条は、普通徴収の納期をこう定めています。

普通徴収の方法によつて徴収する個人の市町村民税の納期は、六月、八月、十月及び一月中(…)において、当該市町村の条例で定める。但し、特別の事情がある場合においては、これと異なる納期を定めることができる。

給与から天引きされる場合(特別徴収)は、321条の5第1項が定めています。

十二分の一の額を六月から翌年五月まで

「月」は法律で決まっていますが、「日」は市町村の条例によります。

補足

実際の納期限は自治体ごとに違います。名古屋市は6月30日・8月31日・10月31日・翌年1月31日としています。大阪市の令和8年度は6月30日・8月31日・11月2日・翌年2月1日で、土日祝の関係で後ろにずれています。納期限は、届いた納税通知書で必ず確認してください。

普通徴収の住民税は6月8月10月1月中に市町村の条例で定める納期に納めます
納付書は年4回。納期限の日は自治体ごとに異なります

給与天引きか、自分で納付か ― 確定申告書で選べます

会社員の方に関わる話です。

地方税法321条の3第2項は、給与以外の所得の住民税について次のように定めています。

…当該給与所得以外の所得に係る所得割額を…特別徴収の方法によつて徴収することができる。ただし、第三百十七条の二第一項の申告書に給与所得以外の所得に係る所得割額を普通徴収の方法によつて徴収されたい旨の記載があるときは、この限りでない。

国税庁も、確定申告書の記入方法として説明しています。

給与から差し引かないで別に窓口等に自分で納付することを希望する場合には、「自分で納付」欄に を記入します。

何も書かなければ、譲渡所得分の住民税も給与から天引きされ得ます。

毎月の手取りが大きく減って初めて気づく、という形になりがちです。

注意

切替えは無条件ではありません。条文は「当該市町村の条例の定めるところによつて」としており、いったん特別徴収になった後の切替えは「その事情がやむを得ないと認められるとき」とされています。確定申告の時点で選んでおくのが確実です。

引っ越しても、納め先は1月1日の住所地です

売却後に住み替える方は、ここを間違えます。

地方税法318条は、個人の市町村民税の賦課期日を「当該年度の初日の属する年の一月一日」と定めています。

名古屋市は、当てはめをこう示しています。

1月1日現在にお住まいの市町村に納めます。

港区も同じ趣旨を示しています。

1月2日以降に区外に転出された場合は、その年度の住民税は港区に納めていただくことになります。

売って引っ越しても、前の住所地から通知が届きます。

転送の設定をしていないと、通知そのものに気づけません。

退職が重なると、まとめて引かれることがあります

売却と退職が同じ時期に重なる方は少なくありません。

地方税法321条の5第2項ただし書は、退職した場合の一括徴収を定めています。

東京都主税局は、これを平易にこう整理しています。

(イ)6 月1 日から12 月31 日までの間に退職した方で、残りの税額を退職金等からまとめて特別徴収されることを申し出た場合

(ウ)翌年1月1日から4月30日までの間に退職した方で、5月31日までの間に支払われる予定の退職手当等が残りの税額を超える場合

1月から4月の退職は、申し出がなくても一括徴収の対象になります。

退職金の手取りが想定より少なくなる原因が、これです。

なお、これは前年分の住民税の残りであって、売却した年の住民税とは別のものです。

退職した年は住民税が一括徴収されることがあり売却の翌年分とは別に発生します
退職時に引かれる住民税は、前年分の残りです

資金が足りなくなる典型は、この4つです

ご相談を受ける場面は、ほぼ同じです。

  • 所得税だけ用意していた ― 長期でも譲渡所得の5パーセントが翌年度に来ます
  • 納税資金を使ってしまった ― 住民税は納付時期の所得状況にかかわらず課税されます
  • 給与天引きを選んでいた ― 6月から毎月の手取りが減ります
  • 通知が前の住所に届いた ― 賦課期日は1月1日で、納め先は変わりません

住民税は、前もって取られる仕組みがありません。

所得税の予定納税は、国税庁タックスアンサーNo.2040が「対象税目 所得税」としており、しかも譲渡所得は予定納税基準額の計算から除かれる「除外所得の金額」に含まれています。

つまり売却の翌年は、所得税も住民税も、まとめて後から来ます。

納税資金が足りないときの手続は確定申告の税金が払えないときの対処法で扱っています。

ここまではご自身で、ここから先は個別判断です

ご自身で確認できるのは、次の4点です。

  1. 売った年の1月1日時点で、所有期間が5年を超えているかを確認する
  2. 課税譲渡所得の見込額に5パーセント(短期なら9パーセント)を掛けてみる
  3. 確定申告書の第二表で、徴収方法をどちらにするか決める
  4. 翌年6月に通知が届く住所が、今の住所かどうかを確認する

ここから先は個別判断です。

特別控除や特例を使うと課税譲渡所得が変わり、住民税も動きます。

また譲渡所得は特別控除前の金額が合計所得金額に入るため、扶養や保険料の判定にも影響します。

この点は不動産を売った年は扶養から外れる?で扱っています。

税理士が入ると変わるのは、翌年6月までの資金計画です

ひとつめは、所得税と住民税を分けた試算です。納付時期ごとに金額を並べます。

ふたつめは、納付カレンダーの作成です。3月の所得税、6月からの住民税を1枚にします。

みっつめは、徴収方法の助言です。給与天引きと自分で納付のどちらが資金繰りに合うかを見ます。

よっつめは、申告書への反映です。第二表の記入まで含めて作成します。

いつつめは、合計所得金額への影響の整理です。扶養・保険料まで見通します。

売却代金を使う前に、翌年6月までの表を作ります。

小松公認会計士・税理士事務所では、譲渡所得の計算から確定申告、納付の計画まで続けて担当します。

この論点で小松公認会計士・税理士事務所ができること

制度は複雑ですが、お客様がすべてを理解する必要はありません。難しいことは、専門家にお任せください。

小松公認会計士・税理士事務所 代表 小松優馬 登録者6,900人超

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よくある質問(FAQ)

Q1. 不動産を売った住民税は、いつ払いますか?

売った年の翌年度に納めます。地方税法320条は、普通徴収の納期を「六月、八月、十月及び一月中…において、当該市町村の条例で定める」としています。給与から天引きされる場合は、321条の5第1項により「十二分の一の額を六月から翌年五月まで」となります。納期限の日は自治体ごとに異なるため、納税通知書でご確認ください。

Q2. 譲渡所得にかかる住民税は何パーセントですか?

長期譲渡所得は5パーセント、短期譲渡所得は9パーセントです。地方税法附則34条は長期について道府県民税「百分の二」・市町村民税「百分の三」、附則35条は短期について「百分の三・六」「百分の五・四」と定めています。所有期間は、売却した年の1月1日時点で5年を超えるかどうかで判定します。

Q3. 会社に知られずに、自分で納めることはできますか?

確定申告書で選べます。地方税法321条の3第2項ただし書は、申告書に「普通徴収の方法によつて徴収されたい旨の記載があるとき」は特別徴収に加算しないとしています。国税庁も「自分で納付」欄に記入するよう案内しています。ただし切替えは市町村の条例の定めるところによるため、申告の時点で選んでおくのが確実です。

Q4. 売却後に引っ越したら、どこに納めますか?

1月1日時点の住所地の自治体です。地方税法318条は賦課期日を「当該年度の初日の属する年の一月一日」としています。港区は「1月2日以降に区外に転出された場合は、その年度の住民税は港区に納めていただくことになります」としています。転居後は、前の住所地からの通知が届くよう手続きをしておいてください。

免責事項

本記事は令和8年9月時点の法令等に基づく一般的な解説です。地方税法318条・319条・320条・321条の3・321条の4・321条の5および同法附則34条・35条、総務省「個人住民税」、東京都主税局「個人住民税」、国税庁タックスアンサーNo.3208・No.3211・No.2040、国税庁「手順6 住民税、事業税に関する事項を記入する」、大阪市・名古屋市・横浜市・港区の公表資料の内容を扱っています。個人住民税の納期・納税通知書の送付時期・普通徴収と特別徴収の取扱いは市町村の条例によって定められ、地方税法320条ただし書は特別の事情がある場合に異なる納期を定めることができるとしています。本記事に記載した納期限の例は特定の自治体が公表しているもので、全国一律のものではありません。必ずお住まいの市区町村にご確認ください。記事中の計算例は税率を当てはめて当事務所が試算したもので、実際の税額には他の所得に対する住民税・均等割・端数調整が加わります。住民票を異動していない場合の課税、公的年金からの特別徴収、国民健康保険料・介護保険料への影響、住民税の延滞金は扱っていません。具体的な判断は必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。

参考資料・出典

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不動産を売った年は、所得税を納めた後に住民税が来ます。長期譲渡所得なら5パーセント、短期なら9パーセントで、納付は翌年6月から始まります。しかも譲渡所得は所得税の予定納税の基礎からも除かれるため、前もって取られる仕組みがありません。代表税理士が、所得税と住民税を分けた試算、納付カレンダーの作成、徴収方法の選択、確定申告書第二表の記入、扶養や保険料への影響の整理まで、通して対応します。売る前のご相談がいちばん効きます。

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小松 優馬

公認会計士・税理士/元監査法人

大手監査法人にて上場企業の監査業務に従事。税務の専門性を高めるため独立。判例ベースの適正申告・節税にこだわり、お客様の人生設計を支える税務パートナーとして活動中。YouTubeチャンネル「税理士 小松ゆうま」では税務情報を発信中(登録者7,000人超)。

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