この記事のポイント
- やめるには届出書を出し、個人が翌年1月1日からやめるなら今年の12月17日までです
- 売上先が消費者や簡易課税の事業者なら、影響は生じないと考えられています
- 本則課税の売上先が控除できるのは、消費税相当額の70%まで(令和10年9月までの仕入れ)です
- やめても、2年の縛りや前々年の売上などで消費税の申告が続く場合があります
まず結論:やめるかは、売上先と「やめた後も続く納税」で決まります
インボイス(適格請求書)を出せるのは、登録を受けた事業者だけです。
登録をやめると、売上先によっては消費税の負担が増えます。
個人が翌年1月1日からやめるには、今年の12月17日までに届出書を出します。
ただし、やめても消費税の申告がすぐには無くならない場合があります。

売上先が消費者や簡易課税の事業者なら、影響は生じないと考えられています
財務省・公正取引委員会などのQ&Aは、売上先で場合を分けています。
| 売上先 | 登録をやめた後の影響 | 根拠 |
|---|---|---|
| 消費者・免税事業者 | 取引への影響は生じないと考えられる | Q&A Q2 |
| 簡易課税・2割特例で申告する事業者 | 同上 | Q&A Q2 |
| 上記以外の課税事業者(本則課税) | 原則、仕入税額控除ができない(経過措置で一定割合を控除) | Q&A Q3 |
仕入税額控除は、仕入れで払った消費税を、納める消費税から引く仕組みです。
本則課税の売上先が控除できる割合は、仕入れの時期で下がります(平成28年改正法附則53条1項)。
- 令和8年10月1日〜令和10年9月30日:消費税相当額の70%
- 令和10年10月1日〜令和12年9月30日:50%
- 令和12年10月1日〜令和13年9月30日:30%
売上先の2割特例も、令和8年9月30日を含む課税期間で終わります(国税庁Q&A問115)。
売上先側の要件は、免税事業者からの仕入れの記事にまとめています。
取引条件の見直しは、方法や内容によっては売上先が独占禁止法などで問題となり得ます(Q3)。
影響が出る可能性があるのは、本則課税で申告する事業者への売上です。

続けた場合の自分の負担は、2割特例から3割特例に変わります
売上の消費税額の2割を納める2割特例は、個人は令和8年分まで使えます(国税庁Q&A問115)。
令和9年分・令和10年分は、個人事業者だけの3割特例を使えます(令和8年度改正)。
要件は、基準期間(2年前)の課税売上高が1,000万円以下で、登録していることなどです。
特例と簡易課税の比べ方は、2割特例と3割特例の記事をご覧ください。
計算例
例:税抜の売上400万円(消費税相当額40万円)を、すべて本則課税の事業者に売っている場合
続ける・令和8年分(2割特例) 400,000円 × 20% = 80,000円を納める 続ける・令和9年分(3割特例) 400,000円 × 30% = 120,000円を納める 令和9年からやめる(売上先の控除) 400,000円 × 70% = 280,000円 売上先の負担の増加 400,000円 − 280,000円 = 120,000円税率10%、価格は据え置き、やめた後は免税事業者に戻れるという、一定の前提を置いた目安です。消費税と地方消費税の合計で計算しています。
この例では、自分が納めなくなる120,000円と同じ額だけ、売上先の負担が増えます。
やめる手続きは、登録の取消しを求める旨の届出書です
正式な名前は「適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」です。
この届出書を出すと、登録の効力がなくなります(消費税法57条の2第10項1号)。
国税庁は、提出の時期を次のように案内しています。
届出書を提出した日の属する課税期間の翌課税期間の初日から登録の効力を失わせるためには、翌課税期間の初日から起算して15日前の日までに提出が必要です。
(国税庁「D1-70 適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出手続」)
個人の課税期間は、原則として1月1日から12月31日までの1年です(国税庁Q&A問8)。
令和9年1月1日からやめるなら、令和8年12月17日までに出します。
過ぎると、登録がなくなるのは令和10年1月1日です(国税庁「消費税の届出書等について」)。
ポイント
期限の日が土日・祝日や12月29日〜31日でも、翌日には延びません(国税庁Q&A問13)。届出書は、e-Taxでも書面の送付でも出せます。
事業をやめた場合や亡くなった場合は、別の届出書を出します(同D1-70)。
やめても、消費税の申告が続く場合があります
次の場合は、登録をやめても課税事業者のままの年があります。
- 令和6年以後に、登録の申請だけで課税事業者になった ― 登録日から2年を経過する日を含む年まで、免税事業者に戻れません(平成28年改正法附則44条5項)。
- 課税事業者選択届出書を出して登録した ― 戻りたい年の前年12月31日までに、選択不適用届出書も出します(国税庁Q&A問13)。原則として、課税事業者になった日から2年間は免税事業者に戻れません(消費税法9条6項)。
- 前々年か前年1〜6月の課税売上高が1,000万円超 ― その年は課税事業者です(消費税法9条1項・9条の2第1項)。前年1〜6月は、課税売上高に代えて給与などの支払額で判定することもできます。
注意
令和6年4月1日に、免税事業者から登録した個人の例です(国税庁Q&A問13-2)。令和8年1月1日から登録をやめても、令和8年分は課税事業者として申告が必要です。
やめた後の年は、2割特例・3割特例も使えません。どちらも登録が要件です(平成28年改正法附則51条の2・51条の3)。
課税事業者のまま登録をやめると、インボイスを出せないのに消費税を納めることになります。

失敗につながるのは、期限・登録日・届出の確かめ漏れです
次の5つは、登録をやめるときの行き違いの例です。
- 12月18日以後に届出書を出す ― 翌年も登録が続き、なくなるのは翌々年の1月1日です。
- 売上が1,000万円以下に減れば、免税に戻ると考える ― 登録している間は、免税事業者になりません(Q&A問17)。
- やめた年は申告が要らないと思い込む ― 2年の縛りに当たる年は、申告が必要です(Q&A問13-2)。
- 選択不適用届出書を出し忘れる ― 課税事業者を選択した方は、登録をやめるだけでは免税に戻りません(Q&A問13)。
- やめた後に、すぐ登録し直す ― 再登録の日から2年を経過する日を含む年まで、免税に戻れません(Q&A問13-2)。
やめる前に、登録日と届出の履歴を確かめることが出発点です。
ここまではご自身で、ここから先は個別判断です
やめるかを考える前に、ご自身で確かめられるのは次の4つです。
- 売上先ごとに、消費者か事業者か、事業者なら申告の方法を確かめる
- 登録の通知書や国税庁の公表サイトで、自分の登録年月日を確かめる
- 登録のときに、課税事業者選択届出書を出したかを確かめる
- 前々年と前年1月〜6月の課税売上高を、帳簿で確かめる
続けるかやめるかは、売上先ごとの影響と自分の納税額を並べる個別判断です。
価格の見直しや簡易課税への切り替えなど、やめる以外の方法も比べます。

税理士に頼むと変わるのは、比べる根拠と届出の期限の管理です
小松公認会計士・税理士事務所では、次の作業を行います。
- 売上先ごとの申告方法の整理と、やめた場合の負担の試算
- 続けた場合の特例・簡易課税・本則課税での納税額の比較
- 登録日と届出の履歴の確認と、やめても申告が続く年の特定
- 取消しの届出書などの作成と、提出期限の管理
- 所得税と消費税の申告書の作成と、電子申告
全国どこからでも、オンラインで完結します。
料金の目安
基本料金32,000円(税込35,200円)に、当てはまる所得・控除ごとの単価を足した額が料金です。個人の確定申告は最低料金65,000円(税別・税込71,500円)からお引き受けしています。消費税の申告は、2割特例・3割特例・簡易課税なら18,000円(税込19,800円)が加わります。本則課税なら32,000円(税込35,200円)です。
通常料金での計算例です。事業の売上が300万円以下の方の事業所得は39,000円(税込42,900円)です。その他控除セット6,000円と、2割特例の消費税の申告18,000円を足します。合計は32,000円+39,000円+6,000円+18,000円=95,000円です。税込では104,500円です。計算例は一定の前提を置いた目安です。
ご自身の料金は60秒見積りで確かめられます。
この論点で小松公認会計士・税理士事務所ができること
制度は複雑ですが、お客様がすべてを理解する必要はありません。難しいことは、専門家にお任せください。
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小松公認会計士・税理士事務所 代表
小松 優馬公認会計士・税理士
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初回相談は無料です。
よくある質問(FAQ)
Q1. インボイス登録は、いつまでに届出書を出せばやめられますか?
「適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」を出します。個人が翌年1月1日からやめるには、今年の12月17日までの提出が必要です。過ぎると、登録がなくなるのは翌々年の1月1日です。期限の日が土日・祝日でも延びません(国税庁Q&A問13)。
Q2. 登録をやめれば、翌年から消費税の申告は要らなくなりますか?
要らなくなるとは限りません。前々年の課税売上高が1,000万円を超える年などは、課税事業者です。令和6年以後に登録の申請だけで課税事業者になった方は、2年の縛りがあります。登録日から2年を経過する日を含む年まで、免税に戻れません(平成28年改正法附則44条5項)。
Q3. 売上先が一般の消費者だけなら、登録をやめても影響はありませんか?
売上先が消費者や免税事業者、簡易課税の事業者なら、取引への影響は生じないと考えられます。財務省・公正取引委員会などのQ&Aの考え方で、2割特例の事業者も同様です。ただし、やめても申告が続く場合があるため、登録日と届出の履歴もあわせて確かめます。
Q4. 課税事業者選択届出書を出して登録した場合は、何が必要ですか?
取消しの届出書に加えて、消費税課税事業者選択不適用届出書が要ります。免税事業者に戻りたい年の前年12月31日までに出します(国税庁Q&A問13)。原則として、課税事業者になった日から2年間は戻れません(消費税法9条6項)。前々年の売上などの条件も要ります。
免責事項
本記事は令和8年10月時点の法令・公表資料に基づく一般的な解説です。消費税法9条1項・4項〜6項・8項・9条の2第1項・3項・4項・57条の2第10項、消費税法施行令70条の5第3項、所得税法等の一部を改正する法律(平成28年法律第15号)附則44条4項・5項・51条の2・51条の3・53条1項、地方税法72条の83、国税庁「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」(令和8年5月改訂)問2・問7・問8・問13・問13-2・問17・問115、国税庁「D1-70 適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出手続」、国税庁「消費税の届出書等について(令和8年2月)」、国税庁「令和8年度税制改正特集」、タックスアンサーNo.6501「納税義務の免除」、財務省・公正取引委員会・経済産業省・中小企業庁・国土交通省「免税事業者及びその取引先のインボイス制度への対応に関するQ&A」(令和8年1月30日改正)Q1〜Q3、弊所の料金表の内容を扱っています。簡易課税制度の要件・みなし仕入率・届出の特例、2割特例・3割特例を使えない課税期間の細目と計算の細目、売上先の経過措置の帳簿の記載・請求書の記載事項・1億円の上限・少額特例、売上先の非課税売上げに対応する仕入れの扱い、基準期間の課税売上高の計算の細目、特定期間の給与などの支払額の範囲、令和5年10月1日を含む課税期間に課税事業者選択届出書を出した場合の特例、調整対象固定資産・高額特定資産を取得した場合の制限、再び登録するときの手続の細目、事業廃止・死亡の場合の手続の細目、相続・合併・分割による納税義務の判定、飲食料品の税率の引下げに伴う届出の特例、独占禁止法などの対象取引と問題となる行為の細目、消費税の経理処理と所得税・住民税・個人事業税への影響、届出書の提出先の所在地は扱っていません。記事中の計算例は一定の前提を置いた目安であり、実際の税額と売上先の負担は、売上の内容・税率・売上先の申告の方法・取引の時期によって変わります。具体的な判断は必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。
参考資料・出典
- e-Gov法令検索「消費税法」(9条・57条の2、附則(平成28年法律第15号)44条・51条の2・51条の3・53条)https://laws.e-gov.go.jp/law/363AC0000000108
- 国税庁「D1-70 適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出手続」https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/annai/invoice_07.htm
- 国税庁「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」(令和8年5月改訂)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/01-01.pdf
- 国税庁「消費税の届出書等について(令和8年2月)」https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/todokedesho/index.htm
- 公正取引委員会「免税事業者及びその取引先のインボイス制度への対応に関するQ&A」https://www.jftc.go.jp/dk/guideline/unyoukijun/invoice_qanda.html
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インボイス登録をやめるには、登録の取消しを求める旨の届出書を出します。個人が翌年1月1日からやめるには、今年の12月17日までの提出が必要です。本則課税で申告する売上先は、控除できる額が減ります。やめても、2年の縛りや前々年の売上などで消費税の申告が続く場合があります。代表税理士が、売上先ごとの影響の試算と、続けた場合との比較を行います。登録日と届出の履歴の確認、届出書の作成と期限の管理、申告書の作成まで通して対応します。全国どこからでもオンラインで完結します。12月17日を迎える前にご相談ください。
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