法人税・節税

法定調書合計表の書き方と提出範囲
令和8年分から変わる源泉徴収票と支払調書

小松優馬

小松 優馬

公認会計士(登録番号43196)・税理士(登録番号151214)

監査法人での上場企業監査・上場準備CFO経験を経て独立。港区浜松町で個人・法人の税務をサポート。YouTubeチャンネル「公認会計士・税理士 小松ゆうま」運営。

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この記事のポイント

  • 令和8年分の主な法定調書は令和9年2月1日(月)までに税務署へ出します
  • 税理士やデザイナーへの報酬は、同じ相手に年5万円超なら法人宛も支払調書の対象です
  • 令和8年分から給与の源泉徴収票は給与支払報告書で提出扱いです。本人交付と、他の調書の合計表は残ります
  • e-Taxなどの義務は前々年の枚数が種類ごとに30枚以上かで判定します(令和8年中の提出は100枚)

まず結論:令和8年分の主な法定調書は、令和9年2月1日までに税務署へ出します

会社が給与や報酬などを払うと、内容を税務署に知らせる法定調書(法律で決められた調書)を出します。

期限は原則として、支払の確定した年の翌年1月31日です(No.7400)。

令和9年1月31日は日曜日です。そのため令和8年分の期限は、令和9年2月1日(月)になります(国税通則法10条2項)。

令和8年分から、給与支払報告書を市区町村に出せば、給与の源泉徴収票は税務署に出したとみなされます。

ただし、報酬の支払調書などを出す会社は、合計表も引き続き必要です。

令和8年分の主な法定調書の期限は令和9年2月1日(月)です
令和8年分の主な法定調書の期限は令和9年2月1日(月)です

会社が出す主な法定調書は6種類で、提出範囲は種類ごとに決まっています

主な6種類の提出範囲は次のとおりです。

法定調書税務署に出す範囲(令和8年分)出典
給与所得の源泉徴収票年の途中で退職し、支払が30万円以下の人を除く全員No.7411
退職所得の源泉徴収票退職金を払った全員(令和8年1月1日以後に支払うべき分。死亡退職を除く)No.7421
報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書税理士・弁護士の報酬、デザイン料、原稿料などは、同じ相手に年5万円超No.7431
不動産の使用料等の支払調書同じ相手に年15万円超(法人に家賃だけを払う場合は不要)No.7441
不動産等の譲受けの対価の支払調書同じ相手に年100万円超No.7442
不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書同じ相手に年15万円超No.7443

金額は原則、消費税込みで判断します。

消費税が明確に区分されていれば、税抜きで判断しても差し支えありません(No.7431ほか)。

年1回だけの本体50,000円・消費税5,000円のデザイン料は、税抜きで判断すれば5万円以下です。

税理士法人など法人への報酬や、源泉徴収をしていない報酬も、範囲に当たれば対象です(No.7431)。

報酬の源泉徴収の計算は、個人に払う報酬の源泉徴収の記事で扱っています。

令和8年分から、給与の源泉徴収票は「出したものとみなす」制度になります

みなし提出の特例は令和5年度の改正でできたもので、令和8年分から対象です(国税庁Q&A問1)。

これらの報告書に記載された給与等又は公的年金等については、当該給与等又は公的年金等の支払をする者は、第一項又は第三項の規定による源泉徴収票の提出をしたものとみなす。

(所得税法226条6項。令和9年1月1日施行)

「これらの報告書」は、市区町村に出す給与支払報告書などです(同項1号・2号)。

みなし提出になるのは、給与支払報告書に載せた給与だけです。

あわせて、税務署に出す源泉徴収票の範囲が、給与支払報告書と同じになりました。

提出範囲は、年の途中で退職し、支払が30万円以下の人を除く全員分です(No.7411)。

令和7年分までは、年末調整をした役員は年150万円超、その他の人は500万円超などでした。

計算例

例1:年末調整をした役員に、年1,200,000円の給与を払った場合

令和7年分 1,200,000円 ≦ 1,500,000円 → 税務署への提出は不要でした 令和8年分 途中退職で30万円以下の人ではない → 提出範囲に入ります 給与支払報告書を市区町村に出す → 税務署に出したものとみなされます

例は一定の前提を置いた目安です。本人への源泉徴収票の交付は、提出範囲にかかわらず全員に必要です(No.7411)。

補足

退職所得の源泉徴収票は、令和8年1月1日以後に支払うべき分から全員分を出します(No.7421)。期限は退職後1か月以内で、まとめて翌年1月31日までに出すこともできます。死亡退職は別の調書です。手続は退職金の源泉徴収の記事にまとめています。

給与支払報告書が給与の源泉徴収票の提出を兼ねます
給与支払報告書が給与の源泉徴収票の提出を兼ねます

合計表は、税務署に実際に出す調書の分だけを書きます

法定調書を税務署に出すときは、合計表を付けます(No.7400)。

正式な名前は「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」で、6種類の兼用の様式です。

ポイント

給与の源泉徴収票をみなし提出にするだけなら、合計表も要りません。他の5種類を1枚でも出すなら合計表は必要で、給与の欄は書きません(国税庁Q&A問8)。

書き方の要点は次の4つです(手引 第8章)。

  • 年分と提出区分 ― 「令和8年分」と書き、新規は1、追加は2、訂正は3、無効は4です。
  • 提出媒体 ― 種類ごとに、書面は30、電子は14などのコードを書きます。
  • 報酬の欄 ― 人員は、個人と法人などに分けた実人員を書きます。
  • 退職の欄 ― 令和8年分からは、総額の欄と提出する欄の両方に全員分を書きます。

令和8年9月の国税システムの更改で、書面の法定調書の様式が変わりました。

書面で出すときは、国税庁のホームページにある最新の様式を使います。

e-Taxの義務は、前々年の枚数を種類ごとに数えて判定します

前々年に出すべきだった枚数が30枚以上の種類は、e-Taxなどで出します(所得税法228条の4)。

30枚の基準は、令和9年1月1日以後の提出からです。令和8年中の提出は100枚以上でした(No.7455)。

判定は種類ごとで、全部の調書を合わせた枚数ではありません。

計算例

例2:令和7年に出すべきだった枚数が、報酬32枚・給与18枚・不動産の使用料3枚の会社

報酬の支払調書 32枚 ≧ 30枚 → 令和9年1月はe-Taxなどで出します 給与・不動産の使用料 18枚・3枚 → 30枚未満のため義務はありません 合計は53枚ですが、種類ごとに判定します

給与の枚数は改正前の範囲で数え、みなし提出の分も含めます(国税庁Q&A問9)。

給与の源泉徴収票がこの義務に当たると、給与支払報告書も電子で出します(地方税法317条の6第5項)。

漏れやすい形は5つです。出さない・偽った記載には罰則もあります

次の形は、調書の漏れや誤りにつながります。

  • 法人への報酬を外す ― 税理士法人などへの報酬も、範囲に当たれば対象です。
  • 給与支払報告書を出したので合計表は不要と考える ― 他の調書を出すなら必要です。
  • 退職所得の源泉徴収票を役員分だけ出す ― 令和8年1月1日以後に支払うべき分は全員です。
  • e-Taxの義務を前年や合計の枚数で判断する ― 前々年の枚数を種類ごとに数えます。
  • 配当の支払調書も1月末と考える ― 期限は支払確定日から1か月以内です(所得税法225条1項)。

これらの書類の提出期限までに税務署長に提出せず、又はこれらの書類に偽りの記載若しくは記録をして税務署長に提出した者

(所得税法242条5号)

該当すると、1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金の対象です(同条柱書)。

給与支払報告書の不提出や虚偽の記載にも、同じ法定刑があります(地方税法317条の7第1項)。

注意

誤りに気づいたら、先に出したものと同じ内容の「無効分」と、正しい「訂正分」を作ります。それぞれ合計表を付けて出します。漏れは「追加分」として出します(手引 第9章)。

調書の種類は事実を確かめて判断します
調書の種類は事実を確かめて判断します

ここまではご自身で、ここから先は個別判断です

ご自身で進められるのは次の4点です。

  1. 支払先ごとに、その年の支払額を集計する(個人か法人か、消費税の区分も記録)
  2. 集計した額を、種類ごとの提出範囲に当てはめる
  3. 令和7年に出すべきだった枚数を、種類ごとに数える
  4. 給与支払報告書を、eLTAX(地方税の電子手続)・光ディスク等・書面のどれで出すか決める

支払がどの種類のどの号に当たるかは、契約と業務の事実を確かめて判断します。

外注先への支払が報酬か給与かで、出す調書が変わります。区分は外注費と給与の区分の記事で扱っています。

支払先の一覧で範囲と枚数を確かめます
支払先の一覧で範囲と枚数を確かめます

税理士が入ると変わるのは、支払先の区分と提出までの段取りです

小松公認会計士・税理士事務所では、法定調書について次の作業を行います。

ひとつめは、帳簿から支払先の一覧を作り、調書の種類と号を区分することです。

ふたつめは、提出範囲の判定です。消費税の区分と法人への支払も確かめます。

みっつめは、源泉徴収の要否と納付漏れの確認です。

よっつめは、給与支払報告書・法定調書・合計表の作成と、e-Tax・eLTAXでの提出です。

いつつめは、誤りや漏れが見つかったときの無効分・訂正分・追加分の作成です。

この論点で小松公認会計士・税理士事務所ができること

制度は複雑ですが、お客様がすべてを理解する必要はありません。難しいことは、専門家にお任せください。

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よくある質問(FAQ)

Q1. 給与支払報告書を市区町村に出せば、税務署には何も出さなくてよいですか?

給与支払報告書を出せば、令和8年分の源泉徴収票は提出扱いです(令和9年施行の所得税法226条6項)。ただし、報酬の支払調書や退職所得の源泉徴収票を出すときは、合計表も必要です。本人への源泉徴収票の交付も要ります。

Q2. 税理士法人に払った顧問料も、支払調書を出しますか?

法人への報酬や源泉徴収をしていない報酬も、提出範囲に当たれば支払調書を出します(No.7431)。税理士等への報酬は、同じ相手への年間の支払が5万円を超えるものが対象です。消費税が区分されていれば、税抜きで判断して差し支えありません。

Q3. 年120万円の給与を払っている役員の源泉徴収票は、税務署に出しますか?

令和7年分までは、年末調整をした役員は年150万円超が提出範囲でした。令和8年分からは、年の途中で退職し支払が30万円以下の人を除く全員が範囲です。給与支払報告書を市区町村に出せば、税務署に出したものとみなされます。

Q4. 提出した支払調書の金額を間違えたときは、どう直しますか?

先に出した分と同じ内容の「無効分」と、正しい「訂正分」を作ります。それぞれ合計表を付けて出します(国税庁の手引 第9章)。出し忘れは「追加分」として出します。令和8年分の給与支払報告書の誤りは、eLTAXなら「訂正」として出し直します。

免責事項

本記事は令和8年10月時点の法令・公表資料に基づく一般的な解説です。所得税法204条1項・225条1項・226条(令和9年1月1日施行の6項を含みます)・228条の4第1項・242条、所得税法施行規則84条2項・90条3項・93条2項(令和9年1月1日施行の前後の規定)、地方税法317条の6・317条の7、国税通則法10条2項、タックスアンサーNo.7400・No.7411・No.7421・No.7431・No.7441・No.7442・No.7443・No.7455、国税庁「令和8年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」、国税庁「源泉徴収票(給与所得・公的年金等)のみなし提出の特例に関するQ&A」(令和8年4月)の内容を扱っています。公的年金等の源泉徴収票、非居住者・外国法人に払う給与や報酬の支払調書、配当・利子・生命保険金など上記6種類以外の法定調書の提出範囲、相続税法・租税特別措置法などによる調書、死亡退職金の支払調書、退職所得の特別徴収票の市区町村への提出の省略、不動産業者である個人の提出義務、あっせん手数料の支払調書の省略、源泉徴収税額の計算と納付、外注費と給与の区分の判断、マイナンバーの記載、生命保険料控除の特例と退職所得の源泉徴収票の番号欄の記載、本店等一括提出・光ディスク等・認定クラウド等の手続、e-Taxの開始届出、給与支払報告書の総括表・提出期限が休日に当たる場合・市区町村ごとの訂正方法、加算税と罰則の適用の実際は扱っていません。記事中の計算例は一定の前提を置いた目安です。具体的な判断は必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。

参考資料・出典

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小松 優馬

公認会計士・税理士/元監査法人

大手監査法人にて上場企業の監査業務に従事。税務の専門性を高めるため独立。判例ベースの適正申告・節税にこだわり、お客様の人生設計を支える税務パートナーとして活動中。YouTubeチャンネル「税理士 小松ゆうま」では税務情報を発信中(登録者7,000人超)。

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