法人税・節税

法人の確定申告の必要書類
勘定科目内訳明細書と法人事業概況説明書の注意点

小松優馬

小松 優馬

公認会計士(登録番号43196)・税理士(登録番号151214)

監査法人での上場企業監査・上場準備CFO経験を経て独立。港区浜松町で個人・法人の税務をサポート。YouTubeチャンネル「公認会計士・税理士 小松ゆうま」運営。

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この記事のポイント

  • 確定申告書には決算書・内訳明細書・概況説明書などの添付が要ります
  • 税額や所得を減らす租税特別措置を使う場合は適用額明細書も添付します
  • 事業年度開始の時の資本金の額等が1億円超の法人などは添付書類まで電子申告の対象です
  • 対象法人が期限内にe-Taxで出さず承認なく書面で出すと無効・無申告加算税の対象です

まず結論:法人の確定申告は、別表と添付書類を一式で出します

法人税の確定申告は、別表を作るだけでは終わりません。

国税庁の手引も、申告書と添付書類を税務署に出して申告の手続が完了するとしています。

勘定科目内訳明細書も法人事業概況説明書も、確定申告書に添付する書類です。

資本金の額等が事業年度開始の時に1億円超の会社などは、添付書類まで電子申告の義務があります。

法人の確定申告は、別表と添付書類を一式で出します
法人の確定申告は、別表と添付書類を一式で出します

添付する書類は、国税庁の手引に6つ並んでいます

確定申告書の添付書類は、法人税法74条3項と同法施行規則35条が定めています。

国税庁の手引は、次の6つを挙げています。

  • 貸借対照表と損益計算書
  • 株主資本等変動計算書(社員資本等変動計算書または損益金の処分表)
  • 貸借対照表と損益計算書の勘定科目内訳明細書
  • 事業等の概況に関する書類(完全支配関係がある法人との関係を示した図を含む)
  • 組織再編成(合併や会社分割など)の契約書などの写し
  • 組織再編成の主要な事項の明細書

組織再編成をしていなければ、最後の2つは要りません。

完全支配関係とは、株式の全部を直接または間接に持つ関係などをいいます。

税額や所得を減らす租税特別措置(政策のための特例)を使うときは、適用額明細書も添付します。

法人税の申告に当たり法人税関係特別措置(税額または所得の金額を減少させる規定等によるものに限ります。)を適用する場合には、①申告に使用する別表1等の「適用額明細書提出の有無」欄の「有」欄を○で囲むとともに、②「適用額明細書」を法人税申告書に添付する必要があります。

(タックスアンサー No.5932)

この特例の適用を受けない法人は、適用額明細書の提出は要りません(国税庁)。

作る別表は、会社の活動や決算の状況で変わります。

別表は税制改正で毎年度変わるので、その事業年度に対応した様式を使います。

補足

提出期限は、原則として事業年度終了の日の翌日から2か月以内です。延長の特例は申告期限の延長の記事で扱っています。令和8年4月1日以後開始の事業年度から、法人税を課される法人は防衛特別法人税の確定申告書も出します。

内訳明細書は科目の中身を、概況説明書は事業の概況を書きます

勘定科目内訳明細書は、貸借対照表と損益計算書の科目ごとに内訳を書く書類です。

内訳明細書の様式は、令和6年3月1日以後に終了する事業年度分が別にあります。

税務署が送る文書は、内訳書に準じた書類で代えることも認めています。

おおむね同封した各科目別の内訳書に準じた書類を作成しているときは、この内訳書に代え、それを提出していただいて差し支えありません。

(国税庁「勘定科目内訳明細書の提出について」)

法人事業概況説明書は、税務署所管の法人用の様式です。調査課所管の法人用には「会社事業概況書」があります。

記載要領は、確定申告書を出す際にこの説明書を添付するよう求めています。

金額は千円単位(千円未満切捨て)で書きます。「取引金額」欄は百万円単位、「源泉徴収税額」欄は円単位です。

記載要領は、位取りを誤らないよう注意を求めています。欄ごとの単位を確かめます。

概況説明書の様式も、令和6年3月1日以後に終了する事業年度分から改訂されています。電帳法(電子帳簿保存法)の適用状況などの欄が変わりました。

完全支配関係がある他の法人があれば、出資関係図も添付します(法人税法施行規則35条1項5号)。

計算例

例1:法人事業概況説明書に売上高を書く場合

売上高 123,456,789円 → 千円未満を切り捨てて 123,456(千円)

数字は一定の前提を置いた目安です。

内訳明細書は科目の中身を、概況説明書は事業の概況を書きます
内訳明細書は科目の中身を、概況説明書は事業の概況を書きます

資本金1億円超などの会社は、添付書類まで電子申告の対象です

一定の法人は、法人税などの申告をe-Tax(国税の電子申告の仕組み)で行う義務があります。

平成30年度改正でできた「電子情報処理組織による申告の特例」です。令和2年4月1日以後に開始する事業年度から適用されています。

法人税の対象は、事業年度開始の時の資本金の額等が1億円を超える内国法人です。通算法人・相互会社・投資法人・特定目的会社も対象です。

対象は申告書だけでなく、添付すべき書類の全てです。添付書類は光ディスクなどでも出せます(法人税法75条の4第1項)。

財務諸表や勘定科目内訳明細書は、法令上、PDFなどの画像データでは送れません。

書面で出したときの扱いは、次のとおりです。

電子申告の義務化の対象となる法人が、e-Taxにより法定申告期限までに申告書を提出せず、書面により提出した場合、その申告書は無効なものとして取り扱われることとなり、無申告加算税の対象となりますので、ご注意ください。

(e-Taxホームページ よくある質問)

期限内に書面で出し、期限後にe-Taxで出し直した場合も同様とされています。

回線の故障や災害などでe-Taxを使えないときは、税務署長の事前の承認を受けて書面で出せます。

増資で対象になった会社は、届出書を出します。期限は、資本金の額等が1億円超となった日から1か月以内です。

計算例

例2:3月決算の会社が、令和8年10月1日に増資した場合

資本金 90,000,000円 + 増資 30,000,000円 = 120,000,000円 令和8年4月1日開始の事業年度 開始の時は90,000,000円 → 資本金の基準では対象外 令和9年4月1日開始の事業年度 開始の時は120,000,000円 → e-Taxの義務の対象

資本金の額等にその後の増減がないものとした、一定の前提を置いた目安です。

地方税の法人住民税と法人事業税にも、電子申告の義務化があります(国税庁)。

地方税は都道府県や市町村に申告します。eLTAX(地方税の電子申告の仕組み)なら、複数の団体への手続をまとめて行えます(総務省)。

「おまけ」と考えて雑に作ると、手直しでは済まないことがあります

添付書類の不備は、出し直しだけで終わらない場合があります。

つまずく形は、次のとおりです。

  • 義務化の対象と気づかない ― 国税庁が「特に多い誤り」として挙げる形です。
  • 対象法人が添付書類をPDFや書面で出す ― 財務諸表・内訳明細書・会社事業概況書で挙がっています。
  • 適用額明細書の書き誤り ― 手引は、別表一からの転記と区分番号の誤りを挙げています。適用限度額の超過や、所得0円・欠損での税額控除の記載も同様です。
  • 概況説明書の単位の取り違え ― 千円単位の欄に円で書くと、位取りがずれます。
  • 出資関係図の付け忘れ ― 完全支配関係がある法人があるのに、図を添付しない形です。

注意

租特透明化法3条は、適用額明細書の添付漏れの扱いも定めています。添付しない場合や虚偽の記載をした場合は、その事業年度は特例の適用がないとされます。ただし誤りのない明細書が出されれば、故意の場合を除き、税務署長は適用できます。

いずれも、提出前に様式と手引に当てて確かめれば気づける誤りです。

添付書類の不備は、出し直しだけで終わらない場合があります
添付書類の不備は、出し直しだけで終わらない場合があります

ここまではご自身で、ここから先は個別判断です

決算の前に、ご自身で確かめられるのは次の5点です。

  1. 事業年度開始の時の資本金の額等が1億円を超えるかを見る
  2. その事業年度に対応した別表・内訳明細書・概況説明書の様式を選ぶ
  3. 使う予定の租税特別措置があるかを書き出す
  4. 完全支配関係がある会社の有無を確かめる
  5. 事業所がある都道府県・市町村を一覧にする

どの別表が要り、どの特例を使えるかは、決算の中身で変わる個別判断です。

地方税の電子申告の義務の範囲も、各地方公共団体の案内で確かめます。

必要な別表と特例は、決算の中身で変わります
必要な別表と特例は、決算の中身で変わります

税理士が入ると変わるのは、書類どうしの整合と提出の方法です

小松公認会計士・税理士事務所では、法人の確定申告で次の作業を行います。

ひとつめは、別表と決算書・内訳明細書の数字の突き合わせです。

ふたつめは、適用額明細書の区分番号と、別表一からの転記の確認です。

みっつめは、法人事業概況説明書の記入です。

よっつめは、e-Taxの義務の判定と、XML・CSVなど認められた形式での送信です。

いつつめは、地方税の申告をeLTAXでまとめて行うことです。

むっつめは、青色申告の承認の有無の確認です。手続は法人の青色申告の承認申請の記事で扱っています。

この論点で小松公認会計士・税理士事務所ができること

制度は複雑ですが、お客様がすべてを理解する必要はありません。難しいことは、専門家にお任せください。

小松公認会計士・税理士事務所 代表 小松優馬 登録者6,900人超

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よくある質問(FAQ)

Q1. 法人の確定申告で、別表のほかに出す書類は何ですか?

国税庁の手引は、貸借対照表と損益計算書、株主資本等変動計算書、勘定科目内訳明細書などを挙げています。事業等の概況に関する書類も添付します(法人税法74条3項・同法施行規則35条)。税額や所得を減らす租税特別措置を使う場合は適用額明細書も要ります。

Q2. 勘定科目内訳明細書は、会計ソフトの帳票で代えられますか?

税務署が送る文書は、おおむね各科目別の内訳書に準じた書類なら、代わりに出してよいとしています。ただし、e-Taxで送る財務諸表や内訳明細書は、法令上、PDFなどの画像データでは送れません。

Q3. 期の途中で増資して資本金が1億円を超えました。その期からe-Taxが義務ですか?

判定は事業年度開始の時の資本金の額等で行います。期の途中で1億円を超えても、その期の判定は開始の時の金額によります。届出書は、1億円超となった日から1か月以内に出します。通算法人・相互会社・投資法人・特定目的会社も対象です。

Q4. 租税特別措置を使わない会社も、適用額明細書は要りますか?

国税庁は、法人税関係の租税特別措置の適用を受けない法人は、適用額明細書の提出は不要としています。対象は、税額または所得を減らす措置を使う場合です。別表1等の該当欄の「有」を○で囲み、明細書を添付します(タックスアンサー No.5932)。

免責事項

本記事は令和8年10月時点の法令・公表資料に基づく一般的な解説です。法人税法74条3項、法人税法施行規則35条(1項5号)、租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律3条、タックスアンサーNo.5932「租特透明化法の制定に伴う適用額明細書について」、国税庁「令和7年版 法人税のあらましと申告の手引」・「法人事業概況説明書の記載要領」・「勘定科目内訳明細書の提出について」、e-Taxホームページ「大法人の電子申告の義務化について」と関連するよくある質問、租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律3条、国税庁「適用額明細書の記載の手引」、総務省「地方税務手続のデジタル化」の内容を扱っています。各別表の書き方、勘定科目内訳明細書と法人事業概況説明書の各欄の記載方法の細目、会社事業概況書の記載と調査課所管法人の範囲、組織再編成に係る添付書類、グループ通算制度、防衛特別法人税の税額計算、適用額明細書の区分番号、無申告加算税・延滞税の割合と額、青色申告の承認の取消し、e-Taxの利用開始の手続と送信できるデータ形式の細目、届出書の提出期限の日付の数え方、法人住民税・法人事業税の申告書の様式・添付書類・申告先の判定と電子申告の義務の範囲、消費税の申告は扱っていません。記事中の計算例は一定の前提を置いた目安です。具体的な判断は必ず税理士にご相談ください。本記事の情報を利用したことによる損害について、当事務所は責任を負いかねます。

参考資料・出典

決算書だけでなく、添付書類まで一式で確かめませんか

法人の確定申告では、別表のほかに決算書や勘定科目内訳明細書などの添付が法令で求められます。事業等の概況に関する書類も添付し、税額や所得を減らす租税特別措置を使う場合は適用額明細書も要ります。事業年度開始の時の資本金の額等が1億円を超える法人などには、e-Taxの義務があります。期限内にe-Taxで出さず書面で出すと、申告書は無効とされ、無申告加算税の対象です。回線の故障などで税務署長の事前の承認を受けた場合は例外です。代表税理士が、別表と決算書・内訳明細書の突き合わせから、e-Taxと地方税の提出まで対応します。適用額明細書と概況説明書の記載も、あわせて確かめます。決算の前の段階でご相談ください。

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小松 優馬

公認会計士・税理士/元監査法人

大手監査法人にて上場企業の監査業務に従事。税務の専門性を高めるため独立。判例ベースの適正申告・節税にこだわり、お客様の人生設計を支える税務パートナーとして活動中。YouTubeチャンネル「税理士 小松ゆうま」では税務情報を発信中(登録者7,000人超)。

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